特許訂正審判
2018-390153
潤滑剤組成物及び転がり軸受
- 審判番号
- 2018-390153
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2011-163433外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年10月02日
- 審決日
- 2018年11月27日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (C10M) / P141 .852-Y (C10M) / P141 .854-Y (C10M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5842434号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5842434号の明細書、及び、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、及び、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5842434号は、平成23年7月26日の出願であって、平成27年11月27日にその特許権の設定登録がなされたものであり、その後、平成30年10月2日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2.請求の要旨
本件訂正審判の請求は、特許第5842434号の明細書、特許請求の範囲を本件訂正審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりである。
1. 訂正事項1
特許請求の範囲【請求項1】及び【請求項2】を削除する。
2. 訂正事項2
特許請求の範囲【請求項3】に「請求項1または2記載の」とあるうち、請求項1を引用するものについて、下記のように独立項形式に訂正する。
「内輪と外輪との間に、保持器により複数の転動体を回動自在に保持してなり、かつ、
基油と、ゲル化剤と、添加剤とを含有する潤滑剤組成物であって、
前記ゲル化剤が、アミノ酸系ゲル化剤及びベンジリデンソルビトール系ゲル化剤の少なくとも1種であり、
前記添加剤が、1000Hz時の比誘電率が1000以上であるジフェニルハイドロゲンフォスファイト、モノn-オクチルホスフェート及びジエチルホスホノ酢酸から選ばれる少なくとも1種と、1000Hz時の比誘電率が1000未満であるソルビタンモノオレート、オレオイルザルコシン及びポリオキシエチレンラウリルエーテルから選ばれる少なくとも1種との混合物であることを特徴とする潤滑剤組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。」
3. 訂正事項3
特許請求の範囲【請求項3】に「請求項1または2記載の」とあるうち、請求項2を引用するものについて、下記のように独立項形式に訂正し、新たに請求項4とする。
「内輪と外輪との間に、保持器により複数の転動体を回動自在に保持してなり、かつ、基油と、ゲル化剤と、添加剤とを含有する潤滑剤組成物であって、
前記ゲル化剤が、アミノ酸系ゲル化剤及びベンジリデンソルビトール系ゲル化剤の少なくとも1種であり、
前記添加剤が、1000Hz時の比誘電率が1000以上であるジフェニルハイドロゲンフォスファイト、モノn-オクチルホスフェート及びジエチルホスホノ酢酸から選ばれる少なくとも1種と、1000Hz時の比誘電率が1000未満であるソルビタンモノオレート、オレオイルザルコシン及びポリオキシエチレンラウリルエーテルから選ばれる少なくとも1種との混合物であり、下記式で表わされる粘性回復率が98%以上であることを特徴とする潤滑剤組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。
【数1】
(但し、せん断後不混和ちょう度は、自転-公転式攪拌機により自転1370r/min、公転1370r/minにて3分間攪拌した後の不混和ちょう度であり、放置後不混和ちょう度は、自転-公転式攪拌機により自転1370r/min、公転1370r/minにて3分間攪拌した後、40℃で1時開放置した後の不混和ちょう度である。)」
4. 訂正事項4
明細書段落【0015】の「天然油計」との記載を「天然油系」に訂正する。
5. 訂正事項5
明細書の段落【0020】の「低誘電率添加止剤」との記載を「低比誘電率添加剤」に訂正する。
第3.判断
1. 訂正の目的・新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1及び2を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前請求項3が請求項1または2を引用するところ、請求項2を引用しないことを明記し、請求項1を引用するものについて独立項形式に書き下すものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項2は、請求項1を引用する請求項3を独立項形式に書き下した以外は訂正前の請求項3と同一であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前請求項3が請求項1または2を引用するところ、請求項1を引用しないことを明記し、請求項2を引用するものについて独立項形式に書き下すものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項3は、請求項2を引用する請求項3を独立項形式に書き下した以外は訂正前の請求項3と同一であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、訂正事項3は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、明細書の段落【0015】の「天然油計」との記載を「天然油系」に訂正するものであり、訂正事項4について、訂正前の明細書には以下の記載がある。
「基油は、ゲル化剤を溶解でき、ゲル化剤によりゲル化される潤滑油であれば制限は無く、鉱油系、合成油系または天然油計の潤滑剤を目的に応じて選択することができる。鉱油系潤滑油としては、・・が好ましい。合成油系潤滑油としては、・・が挙げられる。天然油系潤滑油としては、・・が挙げられる。」
そうすると、「天然油計」との記載の前後の記載から、「天然油計」は、「天然油系」の誤記であることが明白である。
したがって、訂正事項4は、誤記を本来の意味に正すものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。
また、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、訂正事項4は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、明細書の段落【0020】の「低誘電率添加止剤」との記載を「低比誘電率添加剤」に訂正するものであり、訂正事項5について、訂正前の明細書には以下の記載がある。
「本発明の潤滑剤組成物は、基油をゲル化剤で増ちょうし、更に1000Hz時の比誘電率が1000以上であるジフェニルハイドロゲンフォスファイト、モノn-オクチルホスフェート及びジエチルホスホノ酢酸から選ばれる少なくとも1種(以下、「高比誘電率添加剤」という)と、1000Hz時の比誘電率が1000未満であるソルビタンモノオレート、オレオイルザルコシン及びポリオキシエチレンラウリルエーテルから選ばれる少なくとも1種(以下、「低比誘電率添加剤」という)との混合物を添加したものである。」(段落【0009】)
「(製造方法)
本発明の潤滑剤組成物を製造する方法には、先ず、基油にゲル化剤を所定量添加し、ゲル化剤が完全に溶解するまで加熱攪拌する。次いで、予め水冷したアルミニウム製バットに流し込み、バットを冷水で冷却する。そして、ゲル状に硬化した硬化物に高比誘電率添加剤と、低誘電率添加止剤とを所定量添加し、撹拌後、3本ロールミルにかけて混練して潤滑剤組成物を得る。」(段落【0020】)
そうすると、訂正前の明細書の段落【0020】の「ゲル状に硬化した硬化物に高比誘電率添加剤と、低誘電率添加止剤とを所定量添加し」との記載が意味するところは、訂正前の明細書の段落【0009】の記載を勘案すると、「低誘電率添加止剤」が「低比誘電率添加剤」の誤記であることが明白であると理解できる。
したがって、訂正事項5は、誤記を本来の意味に正すものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。
また、訂正事項5は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、訂正事項5は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
2. 独立特許要件について
訂正事項4、5に係る訂正は、上記(4)、(5)にそれぞれ説示したとおり、誤記の訂正を目的とするものであるが、訂正後における特許請求の範囲の請求項3、4に記載される事項により特定される発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲の請求項3、4に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、訂正事項4、5に係る訂正は、特許法第126条第7項に適合するものである。
第4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1、2、4号に掲げる事項を目的とするものであって、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、本件訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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