特許訂正審判
2020-390043
主軸装置
- 審判番号
- 2020-390043
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2009-017770
- 登録番号
- 特許第5359319号(P5359319)
- 請求日
- 2020年06月05日
- 審決日
- 2020年07月27日
- 公報発行日
- 2020年10月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 嘉章
- 審判官 平田 信勝
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P141 .851-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .857-Y (F16C) / P141 .854-Y (F16C) / P141 .855-Y (F16C) / P141 .856-Y (F16C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条1項4号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5359319号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5359319号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5359319号は、平成21年1月29日(優先権主張 平成20年2月6日、平成20年10月27日)の出願であって、平成25年9月13日にその特許権の設定登録がなされたものである。
そして、令和2年6月5日に本件訂正審判の請求がなされた。
2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5359319号の明細書、特許請求の範囲及び図面を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
3 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、次のとおりである。(下線部は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項1】を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の【請求項2】を独立請求項の形式にし、次のとおりにする。
「【請求項2】
外周面に内輪軌道面を有する内輪と、内周面に外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に配置される複数の転動体と、を有し、オイル潤滑によって潤滑される複数の軸受と、
工具を取り付け可能な回転軸と、
該回転軸を前記軸受を介して回転自在に支持するハウジングと、
を有する主軸装置であって、
前記外輪には、排油穴が径方向に貫通形成されるとともに、前記外輪の外周面には、前記排油穴と連通する周方向溝が形成され、前記外輪の内周面には、前記排油穴が開口する軸方向位置に集油溝が周方向に亘って形成され、
前記軸受は、前記転動体が接触角を持って配置される玉であり、前記複数の玉を略等間隔で保持する外輪案内の保持器がさらに設けられたアンギュラ玉軸受を含み、
前記アンギュラ玉軸受において、カウンターボア側の内周面に開口する前記排油穴の開口は、その軸方向内端が前記外輪軌道面と前記保持器のポケットの軸方向内端面との間に位置し、且つ、その軸方向外端が前記保持器の軸方向外端面よりも軸方向内側に位置するように、前記外輪軌道面の近傍に配置され、
前記ハウジングには、少なくとも一つの前記軸受の前記排油穴と前記主軸装置の外部に設けられた負圧発生装置との間のみを連通する排油通路が形成され、
該排油穴内には、前記負圧発生装置からの吸引力によって、負圧が作用することを特徴とする主軸装置。」
(3)訂正事項3
明細書の段落【0008】を次のとおりにする。
「【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、内周面に外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に配置される複数の転動体と、を有し、オイル潤滑によって潤滑される複数の軸受と、
工具を取り付け可能な回転軸と、
該回転軸を前記軸受を介して回転自在に支持するハウジングと、
を有する主軸装置であって、
前記外輪には、排油穴が径方向に貫通形成されるとともに、前記外輪の外周面には、前記排油穴と連通する周方向溝が形成され、前記外輪の内周面には、前記排油穴が開口する軸方向位置に集油溝が周方向に亘って形成され、
前記軸受は、前記転動体が接触角を持って配置される玉であり、前記複数の玉を略等間隔で保持する外輪案内の保持器がさらに設けられたアンギュラ玉軸受を含み、
前記アンギュラ玉軸受において、カウンターボア側の内周面に開口する前記排油穴の開口は、その軸方向内端が前記外輪軌道面と前記保持器のポケットの軸方向内端面との間に位置し、且つ、その軸方向外端が前記保持器の軸方向外端面よりも軸方向内側に位置するように、前記外輪軌道面の近傍に配置され、
前記ハウジングには、少なくとも一つの前記軸受の前記排油穴と前記主軸装置の外部に設けられた負圧発生装置との間のみを連通する排油通路が形成され、
該排油穴内には、前記負圧発生装置からの吸引力によって、負圧が作用することを特徴とする主軸装置。
(2) 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、内周面に外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に配置される複数の転動体と、を有し、オイル潤滑によって潤滑される複数の軸受と、
工具を取り付け可能な回転軸と、
該回転軸を前記軸受を介して回転自在に支持するハウジングと、
を有する主軸装置であって、
前記外輪には、排油穴が径方向に貫通形成されるとともに、前記外輪の内周面には、前記排油穴が開口する軸方向位置に集油溝が周方向に亘って形成され、
前記軸受は、前記転動体が接触角を持って配置される玉であり、前記複数の玉を略等間隔で保持する外輪案内の保持器がさらに設けられたアンギュラ玉軸受を含み、
前記アンギュラ玉軸受において、カウンターボア側の内周面に開口する前記排油穴の開口は、その軸方向内端が前記外輪軌道面と前記保持器のポケットの軸方向内端面との間に位置し、且つ、その軸方向外端が前記保持器の軸方向外端面よりも軸方向内側に位置するように、前記外輪軌道面の近傍に配置され、
前記ハウジングには、少なくとも一つの前記軸受の前記排油穴と前記主軸装置の外部に設けられた負圧発生装置との間のみを連通する排油通路が形成され、
該排油穴内には、前記負圧発生装置からの吸引力によって、負圧が作用することを特徴とする主軸装置。」
(4)訂正事項4
明細書の段落【0013】の【図2】の「第1実施形態」を「第1参考形態」とし、同段落の【図6】の「本実施形態」を「本参考形態」とし、同段落の【図17】の「本考案品」を「参考品」とし、段落【0014】、【0036】、【0039】、【0044】、【0045】、【0048】、【0050】、【0058】の「第1実施形態」を「第1参考形態」とし、段落【0015】、【0018】、【0033】、【0035】の「本実施形態」を「本参考形態」とする。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0013】の【図8】、【図14】の「第2実施形態」を「第2参考形態」とし、同段落の【図10】、【図11】の「本実施形態」を「本参考形態」とし、段落【0036】の「第2実施形態」を「第2参考形態」とし、段落【0036】、【0037】、【0038】の「本実施形態」を「本参考形態」とする。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0057】の【実施例】を【参考例】とし、段落【0058】の「本考案の主軸装置」を「参考の主軸装置」とし、段落【0058】、【0059】、【0060】、【0063】、【0064】の「本考案品」を「参考品」とする。
(7)訂正事項7
図面【図17】及び【図19】の「考案品」を「参考品」とする。
4 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものであるので、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するものであるから、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2が請求項1を引用する形式であったものを、独立請求項の形式にするものであるので、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項2は、請求項2の記載の形式を改めるにすぎないものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0008】には、訂正前の特許請求の範囲の記載に対応する記載がなされていたところ、訂正事項1及び2により、特許請求の範囲の記載が訂正されたことに伴い、明細書の記載が訂正後の特許請求の範囲の記載と一致せず、不明瞭な記載となる。
訂正事項3は、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲と整合させるための訂正であるので、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項3は、明細書の段落【0008】の記載を、訂正事項1及び2により訂正された特許請求の範囲に対応する記載とするものであるから、訂正事項1及び2と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書に記載された「第1実施形態」は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の実施形態であるところ、訂正事項1により請求項1は削除されたことにより、もはや特許請求の範囲に含まれない態様が実施形態として記載されていることになり、発明の範囲を不明確にしている。
訂正事項4は、訂正後の特許請求の範囲に含まれない訂正前の明細書中の「第1実施形態」と第1実施形態に対応する「本実施形態」及び「本考案品」を、「第1参考形態」と「参考形態」及び「参考品」とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項4は、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲に含まれなくなる形態を参考形態と訂正するものにすぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書に記載された「第2実施形態」は、訂正後の請求項2で特定されている「前記外輪の外周面には、前記排油穴と連通する周方向溝が形成され」との事項を備えておらず、また、訂正後の請求項2及び3で特定される「前記外輪の内周面には、前記排油穴が開口する軸方向位置に集油溝が周方向に亘って形成され」との事項を備えていないため、「第2の実施形態」との記載は発明の範囲を不明確にしている。
訂正事項5は、訂正後の特許請求の範囲に含まれない訂正前の明細書中の「第2実施形態」と第2実施形態に対応する「本実施形態」を、「第2参考形態」と「本参考形態」とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項5は、訂正後の特許請求の範囲に含まれなくなる形態を参考形態と訂正するものにすぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0058】~【0064】には、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の実施形態である【図5】及び【図7】の軸受を用いた例が「実施例」及び「本考案品」として記載されていたところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことに伴い、【図5】及び【図7】の軸受を用いた例は訂正後の特許請求の範囲に含まれなくなるため、当該段落の「実施例」及び「本考案品」との記載は発明の範囲を不明確にしている。
訂正事項6は、訂正後の特許請求の範囲に含まれない訂正前の明細書中の「実施例」及び「本考案品」を、「参考例」及び「参考品」とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項6は、訂正後の特許請求の範囲に含まれなくなる例を参考例または参考品に訂正するものにすぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正前の図面【図17】及び【図19】には、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の実施形態である【図5】及び【図7】の軸受を用いた例が「本考案品」として記載されていたところ、訂正事項1により請求項1が削除されたことに伴い、【図5】及び【図7】の軸受を用いた例は訂正後の特許請求の範囲に含まれなくなるため、当該段落の「本考案品」との記載は発明の範囲を不明確にしている。
訂正事項7は、訂正後の特許請求の範囲に含まれない訂正前の図面中の「本考案品」を、「参考品」とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否か
訂正事項7は、訂正後の特許請求の範囲に含まれなくなる例を参考品に訂正するものにすぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項7は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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