特許訂正審判
2019-390123
EV,HEV駆動モータ軸受用グリース組成物及びEV,HEV駆動モータ軸受
- 審判番号
- 2019-390123
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2013-525779外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年12月10日
- 審決日
- 2020年01月31日
- 公報発行日
- 2020年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (C10M) / P141 .852-Y (C10M) / P141 .853-Y (C10M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5999714号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5999714号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
特許第5999714号に係る特許出願は、平成24年7月27日(優先権主張 平成23年7月28日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年9月9日にその特許権の設定登録がされ、令和元年12月10日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
2 請求の趣旨と訂正事項
本件訂正審判の「請求の趣旨」は、「特許第5999714号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
そして、その訂正の内容は、以下の訂正事項1~8のとおりである(なお、訂正に関連する箇所に下線を付した)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「EV,HEV駆動モータ軸受に封入されるグリース組成物であって、増ちょう剤及び基油を含み、
増ちょう剤が、下記式(A)で示されるジウレア化合物であり、
基油が、トリメチロールプロパンエステル油を、基油の全質量に対して80質量%以上含有し、40℃における動粘度が15~50mm2/sである前記グリース組成物。
【化1】
(式中、R2は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基を示す。R1およびR3は同一または異なる基であり、炭素数16~20の直鎖または分岐アルキル基またはシクロへキシル基を示し、炭素数16~20の直鎖または分岐アルキル基とシクロへキシル基の総モル数に対する炭素数16~20の直鎖または分岐アルキル基のモル数の割合[{(アルキル基の数)/(シクロへキシル基の数+アルキル基の数)}×100]が、60~80%である。)」と記載されているのを、
「EV,HEV駆動モータ軸受に封入されるグリース組成物であって、増ちょう剤及び基油を含み、さらにアミン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤を含み、
増ちょう剤が、下記式(A)で示されるジウレア化合物であり、
基油が、トリメチロールプロパンエステル油であって、40℃における動粘度が19.7mm2/sであり、
アミン系酸化防止剤が、ジフェニルアミンであり、
フェノール系酸化防止剤が、エステル基を有するヒンダードフェノールであり、
増ちょう剤を15質量%含み、
混和ちょう度が235である前記グリース組成物。
【化1】
(式中、R2は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基を示す。R1およびR3は同一または異なる基であり、炭素数16~20の直鎖または分岐アルキル基またはシクロへキシル基を示し、炭素数16~20の直鎖または分岐アルキル基とシクロへキシル基の総モル数に対する炭素数16~20の直鎖または分岐アルキル基のモル数の割合[{(アルキル基の数)/(シクロへキシル基の数+アルキル基の数)}×100]が、60~80%である。)」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3、5、7も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4及び請求項6を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に
「さらに、過塩基性金属スルホネートを含む、請求項1~4のいずれか1項記載のグリース組成物。」と記載されているのを、
「さらに、過塩基性金属スルホネートを含む、請求項1~3のいずれか1項記載のグリース組成物。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項7も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に
「請求項1~6のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなり、dmn値が100万以上で使用されることを特徴とする転がり軸受。」と記載されているのを、
「請求項1~3及び5のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなり、dmn値が100万以上で使用されることを特徴とする転がり軸受。」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落0005に
「1.EV,HEV駆動モータ軸受に封入されるグリース組成物であって、増ちょう剤及び基油を含み、
増ちょう剤が、下記式(A)で示されるジウレア化合物であり、
基油が、トリメチロールプロパンエステル油を、基油の全質量に対して80質量%以上
含有し、40℃における動粘度が15~50mm2/sである前記グリース組成物。」と記載されているのを、
「1.EV,HEV駆動モータ軸受に封入されるグリース組成物であって、増ちょう剤及び基油を含み、さらにアミン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤を含み、
増ちょう剤が、下記式(A)で示されるジウレア化合物であり、
基油が、トリメチロールプロパンエステル油であって、40℃における動粘度が19.7mm2/sであり、
アミン系酸化防止剤が、ジフェニルアミンであり、
フェノール系酸化防止剤が、エステル基を有するヒンダードフェノールであり、
増ちょう剤を15質量%含み、
混和ちょう度が235である前記グリース組成物。」に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落0007に
「4.さらに、アミン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含有する、前記1~3のいずれか1項記載のグリース組成物。
5.さらに、過塩基性金属スルホネートを含む、前記1~4のいずれか1項記載のグリース組成物。
6.前記グリース組成物の混和ちょう度が200~300である、前記1~5のいずれか1項記載のグリース組成物。
7.前記1~6のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなり、dmn値が100万以上で使用されることを特徴とする転がり軸受。」と記載されているのを、
「4.さらに、過塩基性金属スルホネートを含む、前記1~3のいずれか1項記載のグリース組成物。
5.前記1~4のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなり、dmn値が100万以上で使用されることを特徴とする転がり軸受。」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落0022及び0030にそれぞれ
「実施例1~12」と記載されているのを、「実施例1及び参考例2~12」に訂正し、
明細書の段落0028の表1に
「実施例2」~「実施例12」と記載されているのを、それぞれ「参考例2」~「参考例12」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落0017及び0019にそれぞれ
「質量である」と記載されているのを、「質量%である」に訂正する。
3 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1のグリース組成物を、「さらにアミン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤を含み」、「アミン系酸化防止剤が、ジフェニルアミンであり」、「フェノール系酸化防止剤が、エステル基を有するヒンダードフェノールであり」、「増ちょう剤を15質量%含み」、「混和ちょう度が235である」ものに限定し、さらに、基油を「トリメチロールプロパンエステル油であ」るものに限定し、基油の40℃における動粘度を「19.7mm2/s」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 拡張又は変更の存否
訂正事項1は、上記アに示したように「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項の有無
訂正事項1は、本件特許明細書の段落0028の表1に記載の実施例1のグリース組成物(基油としてエステル油A:動粘度19.7mm2/sのトリメチロールプロパン油、酸化防止剤としてアミン系A:ジフェニルアミン、及びフェノール系A:エステル基を有するヒンダードフェノールを含み、増ちょう剤を15質量%含み、混和ちょう度が235)に基づくものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下、まとめて「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないので、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、特許請求範囲の請求項4及び請求項6を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 拡張又は変更の存否
訂正事項2は、上記アに示したように「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項の有無
訂正事項2は、上記アに示したように「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、請求項の削除により新規事項が導入されるとはいえないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
訂正事項2は、請求項4及び請求項6を削除するものであるから、独立特許要件を充足しなくなるような事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(3)訂正事項3、4
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項5の記載について、請求項4の記載を引用しない「請求項1~3のいずれか1項」を引用するものに限定するものであり、
訂正事項4は、訂正前の請求項1~6のいずれか1項を引用する請求項7の記載について、請求項4、6の記載を引用しない「請求項1~3及び5のいずれか1項」を引用するものに限定するものであるから、
訂正事項3、4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 拡張又は変更の存否
訂正事項3、4は、上記アに示したように「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項の有無
訂正事項3、4は、上記アに示したように「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、引用する請求項の選択肢の削除により新規事項が導入されるとはいえないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
訂正後の請求項5、7に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないので、訂正事項3、4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(4)訂正事項5~7
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正事項1の請求項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るために、請求項1の記載に対応する段落0005の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、
訂正事項6は、訂正事項2の請求項4、6を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るために、請求項4、6の記載に対応する段落0007の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、
訂正事項7は、訂正事項1の請求項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るために、訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明に該当しない「実施例」を「参考例」に訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
このように、訂正事項5~7は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
イ 拡張又は変更の存否
訂正事項5~7は、上記アに示したように「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項の有無
訂正事項5~7は、上記アに示したように「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであって、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図ることにより新規事項が導入されるとはいえないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(5)訂正事項8
ア 訂正の目的
明細書の段落0018に「これら酸化防止剤を含む場合、その総量は、本発明のグリース組成物の質量に対して、2.0~3.0質量%」と記載され、段落0028の表1、及び段落0029の表2に「添加剤 質量%」と記載されているように、訂正前の明細書の段落0017の「これら任意の添加剤の含有量は、本発明のグリース組成物の質量に対して、通常、0.5~5.0質量である。」及び段落0019の「過塩基性金属スルホネート系硬化抑制剤を含む場合、その含有量は、本発明のグリース組成物の質量に対して、0.05~1.0質量であるのが好ましい。」における「質量」は「質量%」の誤記であることは、当業者に自明であるから、訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当する。
イ 拡張又は変更の存否
訂正事項8は、上記アに示したように「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 新規事項の有無
訂正事項8は、上記アに示したように「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、誤記の訂正により新規事項が導入されるとはいえないから、願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
エ 独立特許要件
訂正事項8の訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないので、訂正事項8は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1ないし3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5ないし7項の規定に適合するものである。
よって、結論の通り審決する。
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