特許訂正審判
2018-390084
潤滑剤組成物及び転がり軸受
- 審判番号
- 2018-390084
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2009-172925外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月17日
- 審決日
- 2018年08月20日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (C10M) / P141 .852-Y (C10M) / P141 .853-Y (C10M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項2号特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条6項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5458718号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5458718号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許は、発明の名称を「潤滑剤組成物及び転がり軸受」とする特許第5458718号(以下、「本件特許」という。)であって、平成21年7月24日を出願日とする特願2009-172925号について、平成26年1月24日、請求項1、2に対して、設定登録を受けたものである。その後、本件特許に対し、平成30年5月17日に訂正審判の請求がなされ、同年6月20日付けで審尋を行い、これに対し、同年7月6日に回答書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 本件訂正の内容
本件訂正審判に係る明細書及び特許請求の範囲の訂正の内容は、以下に示す、訂正事項1ないし4である(これらを併せて「本件訂正」という。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲【請求項1】の「ベンジリデンソルビトール、ジトリリデンソルビトール、非対称のジアルキルベンジリデンソルビトールから選ばれる少なくとも1種のベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」との記載を、「ジベンジリデンソルビトール、ジトリリデンソルビトール、非対称のジアルキルベンジリデンソルビトールから選ばれる少なくとも1種のベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」に訂正し、特許請求の範囲【請求項1】の「アミノ酸系ゲル化剤:ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤=20~80%:80~20%」との記載を、「アミノ酸系ゲル化剤:ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤=50%:50%」に訂正する(請求項1を引用する請求項2についても同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
明細書段落【0008】の「ベンジリデンソルビトール、ジトリリデンソルビトール、非対称のジアルキルベンジリデンソルビトールから選ばれる少なくとも1種のベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」との記載を、「ジベンジリデンソルビトール、ジトリリデンソルビトール、非対称のジアルキルベンジリデンソルビトールから選ばれる少なくとも1種のベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」に訂正し、明細書段落【0008】の「アミノ酸系ゲル化剤:ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤=20~80%:80~20%」との記載を、「アミノ酸系ゲル化剤:ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤=50%:50%」に訂正する。
(3)訂正事項3
明細書段落【0017】の「天然油計」との記載を、「天然油系」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0026】の「実施例1~2」との記載を、「実施例1、参考例2」に訂正し、段落【0030】の「実施例1、2」との記載を、「実施例1及び参考例2」に訂正し、段落【0034】の表1中の「実施例2」との記載を、「参考例2」に訂正する。
第3 当審の判断
上記訂正事項1ないし4が、特許法第126条第1項ただし書き各号に掲げる事項を目的とするものであるか否か(訂正の目的の適否)、同条第5項(新規事項の追加の有無)、同条第6項(特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無)及び同条第7項(独立特許要件充足性)の各規定に適合するものであるか否かについて、訂正事項1から順に以下検討する。
1 訂正事項1
(1)訂正の目的の適否
上記審尋に対する上記回答書で示された特公昭49-7268号公報の「ベンジリデンソルビトールは、ソルビットとベンズアルデヒドとの縮合により得られる固体化合物で、生成物としては、1・3-2・4-ジベンジリデンソルビトール、1・3-2・4-5・6-トリベンジリデンソルビトールがあり」(第1頁右欄第28~33行)との記載、
国際公開第2008/007642号の「[0006] 本発明は、黒色顔料としてカーボンブラックを用いると共に、ベンジリデンソルビトール系のゲル化剤を用いて・・・ゲル化不良なしにクレヨンを製造する方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明によれば、有機溶剤にカーボンブラックと樹脂成分を溶解、分散させた後、加熱下にジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のゲル化剤を溶解させ・・・ことを特徴とするクレヨンの製造方法が提供される。
発明の効果
[0008] 本発明によれば、有機溶剤にカーボンブラックと樹脂成分を溶解、分散させた後、加熱下に上記ベンジリデンソルビトール系のゲル化剤を溶解させ・・・クレヨンを安定して製造することができる。」との記載、
国際公開第03/041664号の「上記油溶性ゲル化剤としては・・・モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体から選ばれるゲル化剤が挙げられる。」(第19頁第15~22頁)との記載(以上の下線は当審で付した)によれば、モノベンジリデン、ジベンジリデン及びトリベンジリデンを含めてベンジリデンと表現していることが分かるから、「ベンジリデンソルビトール」は、ソルビトールのベンジリデン誘導体の総称であって、「ジベンジリデンソルビトール」の他に「トリベンジリデンソルビトール」及び「モノベンジリデンソルビトール」等を含む上位の概念の化合物であるといえる。
そして、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1のベンジリデンソルビトール系ゲル化剤の選択肢のうち「ベンジリデンソルビトール」を、ベンジリデンソルビトールに含まれる化合物である「ジベンジリデンソルビトール」に限定し、特許請求の範囲の請求項1の「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」の質量比を、「20~80%:80~20%」から、「50%:50%」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるといえる。
また、特許請求の範囲の請求項2は、請求項1を引用するものであるから、訂正事項1は、請求項2についても、上記請求項1と同様の訂正を行うものであるところ、当該訂正も、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
明細書段落【0026】には、「表1に示す配合にて実施例1~2、比較例1~3の潤滑剤組成物及び合計量を4質量%としてN-2-エチルヘキサノイル-L-グルタミン酸ジブチルアミドとジベンジリデンソルビトールとの配合比率を変えたものを調製した。」との記載があり、同段落【0034】の【表1】には、上記の「実施例1」として、基油のポリオールエステルが96、アミノ酸系ゲル化剤が2、ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤(ジベンジリデンソルビトール)が2の潤滑剤組成物が記載されている。この数値は、上記の段落【0026】の記載によれば、質量%を表しているといえるから、「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」との質量比は、2:2、すなわち50%:50%である。
このように、「ジベンジリデンソルビトール」については、上述の段落【0026】、【0034】の【表1】に記載され、「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」との質量比を、1:1とすることは、上述の段落【0034】の【表1】に記載される「実施例1」に示されていた事項であるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項1は、特許請求の範囲に記載された「ベンジリデンソルビトール」を、ベンジリデンソルビトールに含まれる化合物である「ジベンジリデンソルビトール」に限定し、「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」の質量比を、「20~80%:80~20%」から、「50%:50%」に限定するものであるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。
そうすると、訂正事項1は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件充足性
訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、先行技術との関係において、特許要件を満たさなくなるような事情は存在せず、また、訂正事項1により、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載に新たな記載不備が生じるわけでもない。
そうすると、訂正事項1は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
2 訂正事項2
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書段落【0008】には、本件訂正前の請求項1に対応する「ベンジリデンソルビトール」との記載がなされ、「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」の質量比として、本件訂正前の請求項1に対応する「20~80%:80~20%」との記載がなされていたところ、当該請求項1は前記訂正事項1により訂正されたため、両者は整合しないものとなった。
訂正事項2は、当該不整合を解消するためのものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるといえる。
(2)新規事項の追加の有無
上記1(2)のとおり、「ベンジリデンソルビトール」を、「ジベンジリデンソルビトール」とすること、及び「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」との質量比を、50%:50%とすることは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項であるから、訂正事項2は、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項2は、前記訂正事項1により減縮された特許請求の範囲の記載に明細書の記載を整合させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
そうすると、訂正事項2は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
3 訂正事項3
(1)訂正の目的の適否
本件訂正前の明細書段落【0017】には、「天然油計」と記載されているが、この記載は、日本語として意味をなさず、文脈からみて「天然油系」の誤記であることは明白である。
そうすると、訂正事項3は、明白な誤記を本来の正しい意味に正すものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項3は、単に、日本語として意味をなさない明白な誤記である「天然油計」を、本来の意味である「天然油系」に正すものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項3は、単なる誤記の訂正にすぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
そうすると、訂正事項3は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
(4)独立特許要件充足性
訂正事項3は、単に、日本語として意味をなさない明白な誤記を、本来の意味に正すものであるから、これにより独立特許要件を充足しなくなるような事情は認められない。
そうすると、訂正事項3は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。
4 訂正事項4
(1)訂正の目的の適否
上記訂正事項1により、特許請求の範囲に記載された「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」との質量比は、50%:50%に限定されたところ、本件訂正前の明細書の段落【0034】の【表1】に記載される「実施例2」は、アミノ酸系ゲル化剤が3(質量%)、ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤が1(質量%)であるから、「実施例2」は、「アミノ酸系ゲル化剤」と「ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤」との質量比が、本件訂正後の請求項1の「50%:50%」に含まれるものではなく、本件訂正後の特許請求の範囲に係る発明の実施例にあたらない。
そうすると、訂正事項4の明細書段落【0026】、段落【0030】及び段落【0034】の【表1】における各訂正は、当該発明の技術的範囲に含まれなくなる「実施例2」を「参考例2」とし、当該訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載とを整合させるものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるといえる。
(2)新規事項の追加の有無
訂正事項4は、上記訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために、当該発明の技術的範囲に含まれなくなる「実施例2」を「参考例2」に訂正するものである。
そうすると、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項4は、単に、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
そうすると、訂正事項4は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
第4 結び
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第2号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第5項から第7項までの規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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