特許訂正審判
2026-390070
電力制御実行方法及びユーザ装置
- 審判番号
- 2026-390070
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2016-547886
- 登録番号
- 6611723
- 請求日
- 2026年04月28日
- 審決日
- 2026年06月23日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】河合 章
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】竹本 実
- 審判長/審判官
- 審判長 中木 努
- 審判官 角田 慎治
- 審判官 本郷 彰
- 分類
- P141 .853-Y (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第3項、特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6611723号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6611723号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、〔6―8〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6611723号は、2015年(平成27年)1月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2014年1月22日 アメリカ合衆国(US)、2014年4月17日 アメリカ合衆国(US)、2014年5月27日 アメリカ合衆国(US)、2014年9月3日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、令和元年11月8日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、令和8年2月12日に訂正審判(訂正2026-390021)の請求がされたところ、令和8年3月10日付けで訂正拒絶理由が通知され、令和8年4月27日に審判請求が取り下げられ、令和8年4月28日に本件訂正審判の請求がされた。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6611723号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1から5、及び、6から8について訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次の訂正事項1及び2のとおりである。(「第2」において、下線は訂正箇所を示す。)
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「第1のサブフレームにおいて、前記第1のセルグループへの前記第1のアップリンク送信が、前記第2のセルグループへの前記第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて、スケーリングダウンが実行され」と記載されているのを、「第1のサブフレームにおける前記第1のセルグループへの前記第1のアップリンク送信が、前記第2のセルグループへの前記第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて、スケーリングダウンが実行され」に訂正する。
(請求項1を引用する請求項2から5も同様に訂正する。)
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6に「第1のサブフレームにおいて、前記第1のセルグループへの前記第1のアップリンク送信が、前記第2のセルグループへの前記第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて、スケーリングダウンが実行され」と記載されているのを、「第1のサブフレームにおける前記第1のセルグループへの前記第1のアップリンク送信が、前記第2のセルグループへの前記第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて、スケーリングダウンが実行され」に訂正する。
(請求項6を引用する請求項7から8も同様に訂正する。)
第3 当審の判断
1 請求項1から5からなる一群の請求項に係る訂正について
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項2から5は請求項1を引用したものであり、訂正事項1に係る訂正によって記載が訂正される請求項1と連動して訂正されるものである。したがって、請求項1から5は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
したがって、請求項1から5に係る本件訂正審判の訂正は、一群の請求項ごとに請求するものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合する。
(2)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正前の請求項1の「第1のサブフレームにおいて、前記第1のセルグループへの前記第1のアップリンク送信が、前記第2のセルグループへの前記第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて、スケーリングダウンが実行され」との記載では、第1のサブフレームが、第1のセルグループへの第1のアップリンク送信に関するものであるのか、第2のセルグループへの第2のアップリンク送信に関するものであるのか明瞭でない。
そこで、訂正事項1により、「第1のサブフレームにおいて、前記第1のセルグループへの前記第1のアップリンク送信が、前記第2のセルグループへの前記第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて」と記載されているのを、「第1のサブフレームにおける前記第1のセルグループへの前記第1のアップリンク送信が、前記第2のセルグループへの前記第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて」に訂正することで、第1のサブフレームが第1のセルグループへの第1のアップリンク送信に関するものであることを明瞭にするものである。
よって、訂正事項1は特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
設定登録時の明細書には、段落[0006](以下、隅付き括弧は、角括弧で示す。)に「端末は、マクロセルと小規模セルに二重接続(dual connectivity)することもできる。」と記載され、段落[0007]に「しかし、このような二重接続状況を考慮した端末の電力制御方案がいままで研究されない問題点がある。」と記載されている。よって、明細書に記載された発明(以下、「本件発明」という。)の電力制御とは端末の電力制御である。また、端末の電力制御とは、アップリンク送信時の電力制御であることは技術常識である。
該明細書の段落[0281]に「本明細書の第3の開示は、MCGとSCGとの間に時間同期が合わない状況での電力制御に対する解決方案を提示する。」と記載され、段落[0283]に「図11a乃至図11eは、eNodeB間にサブフレーム同期が合わない状況で電力制御に対する一例を示す。」と記載されている。ここで、MCGとSCGとあるから、2つのセルグループの存在を前提としていることは明らかである。そうすると、段落[0281]以降には、これら2つのセルグループの間に時間同期が合わない状況での電力制御に対する解決方案が提示されるものといえる。そして、段落[0283]は、段落[0281]以降の記載であるから、eNodeB間にサブフレーム同期が合わない状況で電力制御に対する一例とは、少なくとも2つのセルグループのそれぞれに存在するeNodeB間にサブフレーム同期が合わない状況で端末において電力制御を行うものが記載されているといえる。
さらに、段落[0284]に「第1のeNodeBのサブフレームiが第2のeNodeBのサブフレームkとサブフレームk+1に重なっている形態を考慮する・・・この場合、重複領域を複数の部分に分けて電力制御及び電力スケーリングを実行することを考慮することができる。・・・一例として、第1のeNodeBのサブフレームiに対する電力を計算時に第1のeNodeBサブフレームiと重なる第2のeNodeBのサブフレームkに対して電力スケーリングによる電力(i、k)を設定し、第2のeNodeBのサブフレームk+1に対して電力スケーリングによる電力(i、k+1)を計算した以後、第1のeNodeBのサブフレームiに対する電力は、電力(i、k)と電力(i、k+1)の最小値に設定できる。」と記載されている。
ここで、請求項1の「第1のサブフレーム」が第1のeNodeBのサブフレームiであるとすると、電力の計算時に電力スケーリングによる第1のeNodeBのサブフレームiに対する電力は、電力(i,k)と電力(i、k+1)の最小値に設定できるとは、電力制御についての記載といえ、上述したとおり、本件発明の電力制御とは、端末におけるアップリンク送信時の電力制御についての記載であり、第1のeNodeBサブフレームiが第2のeNodeBサブフレームkやk+1と重なっている場合(重複している場合)であるから、第1のeNodeBサブフレームi及び第2のeNodeBサブフレームkにおいて、第1及び第2のeNodeBのいずれからもアップリンク送信が存在し、それらのアップリンク送信が重複する際に、電力スケーリングによる電力を電力(i、k)と電力(i、k+1)の最小値に設定するという電力制御を行うものであるといえる。
そして、電力(i、k)と電力(i、k+1)の最小値に設定するものであるから、本件発明はアップリンク送信時の電力のスケールダウンが実行されるものといえる。
また、本件発明は、上述したとおり、2つのセルグループのそれぞれに存在するeNodeB間にサブフレーム同期が合わない状況で端末において電力制御を行うものについて記載されているものであるから、第1のeNodeBが第1のセルグループに存在するものとし、第1のeNodeBのセルグループを第1のセルグループ、第1のeNodeBサブフレームiを第1のサブフレーム、第2のeNodeBが第2のセルグループに存在するものとし、第2のeNodeBのセルグループを第2のセルグループ、と称するのは任意である。
そうすると、第1のeNodeBサブフレームiが第2のeNodeBサブフレームkやk+1と重なっている場合、第1のeNodeBのサブフレームiに対する電力を計算時とは、第1のサブフレームにおける、第1のセルグループへのアップリンク送信が、第2のセルグループの第2のアップリンク送信と重複する場合に、端末において電力を計算する時であり、電力の計算時に電力スケーリングによる第1のeNodeBのサブフレームiに対する電力は、電力(i,k)と電力(i、k+1)の最小値に設定するとは、第1のセルグループへのアップリンク送信が、第2のセルグループの第2のアップリンク送信と重複する場合に電力スケーリングによる第1のeNodeBのサブフレームiに対する電力は、電力(i,k)と電力(i、k+1)の最小値に設定すると決定していることといえ、当該決定に基づいてアップリンク送信時に電力のスケールダウンが実行されるものである。以上のことから、設定登録時の明細書には、第1のサブフレームにおける第1のセルグループへの第1のアップリンク送信が、第2のセルグループへの第2のアップリンク送信と重複することの決定に基づいて、スケーリングダウンが実行されるものが記載されているといえる。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記「ア」で説示したとおり、訂正事項1は訂正前の請求項1に係る発明を明瞭にしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものではないことから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項1の小括
上記「(1)」、及び、上記「ア」から「ウ」のとおり、訂正事項1は特許法第126条第1項ただし書第3項に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合する。
2 請求項6から8からなる一群の請求項に係る訂正について
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項7及び8は請求項6を引用したものであり、訂正事項2に係る訂正によって記載が訂正される請求項6と連動して訂正されるものである。したがって、請求項6から8は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
したがって、請求項6から8に係る本件訂正審判の訂正は、一群の請求項ごとに請求するものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1と同様な訂正である。
したがって、上記「1」の「(2)」の「ア」で説示したのと同様、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項2は、訂正事項1と同様な訂正である。
したがって、上記「1」の「(2)」の「イ」で説示したのと同様、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
訂正事項2は、訂正事項1と同様な訂正である。
したがって、上記「1」の「(2)」の「ウ」で説示したのと同様、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項2の小括
上記「(1)」、及び、上記「ア」から「ウ」のとおり、訂正事項2は特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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