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特許訂正審判

2021-390121

転がり軸受及び工作機械用主軸装置

審判番号
2021-390121
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2012-139973
登録番号
5929543
請求日
2021年08月13日
審決日
2021年10月29日
公報発行日
2022年02月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】日本精工 株式会社
  • 【請求人代理人】松山 美奈子
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 尾崎 和寛
  • 審判官 中村 大輔
分類
P141 .851-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .854-Y (F16C) / P141 .855-Y (F16C) / P141 .856-Y (F16C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条3号特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第126条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第5929543号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第5929543号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第5929543号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成24年6月21日に特許出願され、平成28年5月13日に特許権の設定登録がされたものであって、令和3年8月13日に、特許権者である日本精工株式会社より、本件特許に対して本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5929543号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 本件訂正審判の訂正の内容は以下の訂正事項1~16のとおりである(下線は訂正箇所であり、当審で付した。)。 1 訂正事項1 本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載を、 「外輪と、内輪と、前記外輪及び内輪との間に転動自在に配置される複数のころと、円周方向に所定の間隔で形成され、該複数のころをそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備え、該保持器の案内方式が外輪案内または内輪案内である転がり軸受であって、 前記保持器は、前記ころの軸方向一方側と他方側に保持器案内面をそれぞれ有し、 一方側の前記保持器案内面の幅をΔL1、他方側の前記保持器案内面の幅をΔL2、軸方向ポケットすきまをΔPとすると、以下の(I)及び(II)式を満たし、 ΔP≦ΔL1≦4×ΔP (I) ΔP≦ΔL2≦4×ΔP (II) 前記ころは、軸方向の両側をそれぞれの端部へ向けて全周に亘って徐々に縮径させてなるクラウニング部と、該クラウニング部を一定の径寸法で連続させてなるころ直線部と、を有し、 前記ポケットには、前記ころ直線部と対向する部分に直線形状を有するポケット直線部が形成され、 前記ポケット直線部の長さが、前記ころ直線部の長さ以下である ことを特徴とする転がり軸受。」 と訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項3~9においても同様に訂正する。)。 2 訂正事項2 本件特許の特許請求の範囲の請求項2の記載を、 「外輪と、内輪と、前記外輪及び内輪との間に転動自在に配置される複数のころと、円周方向に所定の間隔で形成され、該複数のころをそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備え、該保持器の案内方式が外輪案内または内輪案内である転がり軸受であって、 前記保持器は、前記ころの軸方向一方側と他方側のいずれか一方に保持器案内面を有し、 前記保持器案内面の幅をΔL、軸方向ポケットすきまをΔPとすると、以下の(III)式を満たし、 ΔP≦ΔL≦4×ΔP (III) 前記ころは、軸方向の両側をそれぞれの端部へ向けて全周に亘って徐々に縮径させてなるクラウニング部と、該クラウニング部を一定の径寸法で連続させてなるころ直線部と、を有し、 前記ポケットには、前記ころ直線部と対向する部分に直線形状を有するポケット直線部が形成され、 前記ポケット直線部の長さが、前記ころ直線部の長さ以下である ことを特徴とする転がり軸受。」 と訂正する(請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~9においても同様に訂正する。)。 3 訂正事項3 本件特許の特許請求の範囲の請求項7を削除する。 4 訂正事項4 本件特許の特許請求の範囲の請求項8を、 「前記ポケット直線部の長さは、前記ころ直線部の長さから前記軸方向ポケットすきまを差し引いた長さ未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の転がり軸受。」 と訂正する(請求項8を引用する請求項9においても同様に訂正する。)。 5 訂正事項5 本件特許の特許請求の範囲の請求項9の「請求項1~8」との記載を「請求項1~6及び8」と訂正する。 6 訂正事項6 本件特許の明細書の段落【0009】の記載を以下のように訂正する。 「本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。 (1) 外輪と、内輪と、前記外輪及び内輪との間に転動自在に配置される複数のころと、円周方向に所定の間隔で形成され、該複数のころをそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備え、該保持器の案内方式が外輪案内または内輪案内である転がり軸受であって、 前記保持器は、前記ころの軸方向一方側と他方側に保持器案内面をそれぞれ有し、 一方側の前記各保持器案内面の幅をΔL1、他方側の前記保持器案内面の幅をΔL2、軸方向ポケットすきまをΔPとすると、以下の(I)及び(II)式を満たし、 ΔP≦ΔL1≦4×ΔP (I) ΔP≦ΔL2≦4×ΔP (II) 前記ころは、軸方向の両側をそれぞれの端部へ向けて全周に亘って徐々に縮径させてなるクラウニング部と、該クラウニング部を一定の径寸法で連続させてなるころ直線部と、を有し、 前記ポケットには、前記ころ直線部と対向する部分に直線形状を有するポケット直線部が形成され、 前記ポケット直線部の長さが、前記ころ直線部の長さ以下である ことを特徴とする転がり軸受。 (2) 外輪と、内輪と、前記外輪及び内輪との間に転動自在に配置される複数のころと、円周方向に所定の間隔で形成され、該複数のころをそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備え、該保持器の案内方式が外輪案内または内輪案内である転がり軸受であって、 前記保持器は、前記ころの軸方向一方側と他方側のいずれか一方に保持器案内面を有し、 前記保持器案内面の幅をΔL、軸方向ポケットすきまをΔPとすると、以下の(III)式を満たし、 ΔP≦ΔL≦4×ΔP (III) 前記ころは、軸方向の両側をそれぞれの端部へ向けて全周に亘って徐々に縮径させてなるクラウニング部と、該クラウニング部を一定の径寸法で連続させてなるころ直線部と、を有し、 前記ポケットには、前記ころ直線部と対向する部分に直線形状を有するポケット直線部が形成され、 前記ポケット直線部の長さが、前記ころ直線部の長さ以下である ことを特徴とする転がり軸受。 (3) グリース潤滑で使用され、 前記保持器には、前記ころと前記保持器案内面との間に、グリース溜まりが設けられ、 前記グリース溜まりの幅は、前記保持器案内面の幅以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の転がり軸受。 (4) 前記保持器は、前記保持器案内面が案内輪の案内面端部よりも軸方向内側に設けられ、 前記保持器案内面から前記案内輪の案内面端部までの距離は、前記保持器案内面の幅以上であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の転がり軸受。 (5) 前記ころと前記保持器との径方向ポケットすきまは、案内すきまの2倍以上、且つ、案内輪の面取り長さ以下であることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の転がり軸受。 (6) 前記保持器は、軸方向に並んで配置された一対のリング部と、該リング部間を繋ぐように、円周方向に所定の間隔で配置された複数の柱部と、を有し、 前記柱部は、円周方向両側の軸方向中間部に、前記ころ側に突出した爪部を有し、 前記径方向ポケットすきまは、前記爪部の内面から前記保持器の回転軸線と前記ころの回転軸線を結ぶ線分と平行に引いた線と前記ころとの交点との間の距離であることを特徴とする(5)に記載の転がり軸受。 (7)前記ポケット直線部の長さは、前記ころ直線部の長さから前記軸方向ポケットすきまを差し引いた長さ未満であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の転がり軸受。 (8) (1)~(7)のいずれかに記載の転がり軸受を備えたことを特徴とする工作機械用主軸装置。」 7 訂正事項7 本件特許の明細書の段落【0010】の「また、グリースが保持器案内面に入り込みやすくなり、保持気温の発生を抑制でき、さらに潤滑特性の向上により軸受の長寿命化することができる。」との記載を「また、グリースが保持器案内面に入り込みやすくなり、保持気温の発生を抑制でき、さらに潤滑特性の向上により軸受を長寿命化することができる。」と訂正する。 8 訂正事項8 本件特許の明細書の段落【0011】の「上記(3)に記載の転がり軸受によれば、ころの近傍にグリース溜まりを設けることにより、さらに潤滑特性の向上により軸受の長寿命化することができる。」との記載を「上記(3)に記載の転がり軸受によれば、ころの近傍にグリース溜まりを設けることにより、さらに潤滑特性の向上により軸受を長寿命化することができる。」と訂正する。 9 訂正事項9 本件特許の明細書の段落【0013】の「また、保持器ところ間の摩擦が増加することがないので、以上昇温により焼きつきも防止することができる。」との記載を「また、保持器ところ間の摩擦が増加することがないので、以上昇温による焼きつきも防止することができる。」と訂正する。 10 訂正事項10 本件特許の明細書の段落【0015】の「上記(7)に記載の」との記載を「上記(1)又は(2)に記載の」と訂正する。 11 訂正事項11 本件特許の明細書の段落【0016】の「上記(8)に記載の」との記載を「上記(7)に記載の」と訂正する。 12 訂正事項12 本件特許の明細書の段落【0017】の「上記(9)に記載」との記載を「上記(8)に記載」と訂正する。 13 訂正事項13 本件特許の明細書の段落【0018】の「【図5】(a)はころの平面図である、(b)は保持器の平面図である。」との記載を「【図5】(a)はころの平面図であり、(b)は保持器の平面図である。」と訂正する。 14 訂正事項14 本件特許の明細書の段落【0036】の「潤滑特性の向上により軸受の長寿命化することができる」との記載を「潤滑特性の向上により軸受を長寿命化することができる」と訂正する。 15 訂正事項15 本件特許の明細書の段落【0067】の「実施例4d」との記載を「比較例4d」と訂正する。 16 訂正事項16 本件特許の明細書の段落【0068】の「実施例4d」との記載を「比較例4d」と訂正する。 第4 当審の判断 1 訂正事項1について (1)訂正の目的 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に、本件訂正前の請求項1を引用する本件訂正前の請求項7の発明特定事項の全てを追加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に、本件訂正前の請求項1を引用する本件訂正前の請求項7の発明特定事項の全てを追加するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)独立特許要件について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に、本件訂正前の請求項1を引用する本件訂正前の請求項7の発明特定事項の全てを追加するものであるところ、本件訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないので、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 2 訂正事項2について (1)訂正の目的 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2に、本件訂正前の請求項2を引用する本件訂正前の請求項7の発明特定事項の全てを追加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2に、本件訂正前の請求項2を引用する本件訂正前の請求項7の発明特定事項の全てを追加するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)独立特許要件について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2に、本件訂正前の請求項2を引用する本件訂正前の請求項7の発明特定事項の全てを追加するものであるところ、本件訂正後の請求項2に記載されている事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないので、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 3 訂正事項3について (1)訂正の目的 訂正事項3は、本件訂正前の請求項7を削除するというものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項7を削除するものにすぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)独立特許要件について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項7を削除するというものであるから、独立特許要件は課されない。 4 訂正事項4について (1)訂正の目的 訂正事項4は、訂正事項1及び2によって、本件訂正前の請求項7の発明特定事項を本件訂正前の請求項1及び2にそれぞれ追加すると同時に、訂正事項3によって、本件訂正前の請求項7を削除したことに伴い、請求項7の記載を引用していた本件訂正前の請求項8の記載を、訂正事項1~3の訂正に整合させるための訂正であって、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項4は、訂正事項1及び2によって、本件訂正前の請求項7の発明特定事項を本件訂正前の請求項1及び2にそれぞれ追加すると同時に、訂正事項3によって、請求項7を削除したことに伴い、請求項7の記載を引用していた本件訂正前の請求項8の記載を、訂正事項1~3の訂正に整合させるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項4は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 5 訂正事項5について (1)訂正の目的 本件訂正前の請求項9が請求項7の記載を引用することを含んでいたところ、訂正事項3によって請求項7は削除された。訂正事項5は、本件訂正前の請求項9の記載を訂正事項3による訂正内容に整合させるための訂正であって、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項5は、本件訂正前の請求項9の記載を訂正事項3による訂正内容に整合させるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項5は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 6 訂正事項6について (1)訂正の目的について 訂正事項6は、本件訂正前の明細書の段落【0009】の記載を、本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるためのものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項6は、本件訂正前の明細書の段落【0009】の記載を、本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項6は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 7 訂正事項7、8及び14について (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落【0010】、【0011】及び【0036】の「軸受の長寿命化する」という記載は、日本語として不明瞭である。訂正事項7、8及び14は、この日本語として不明瞭な「軸受の長寿命化する」という記載を日本語として明瞭な記載である「軸受を長寿命化する」とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項7、8及び14は、本件訂正前の明細書の段落【0010】、【0011】及び【0036】の「軸受の長寿命化する」という記載を、日本語として明瞭な記載である「軸受を長寿命化する」とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項7は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 8 訂正事項9について (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落【0013】の「異常昇温により焼きつきも防止することができる。」という記載は、技術的に明確ではない。訂正事項9は、この技術的に明確でない記載を技術的に明確な「異常昇温による焼きつきも防止することができる。」とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項9は、技術的に明確でない「異常昇温により焼きつきも防止することができる。」という記載を、技術的に明確な「異常昇温による焼きつきも防止することができる。」とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項9は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 9 訂正事項10~12について (1)訂正の目的について 本件特許の明細書の段落【0015】~【0017】は、段落【0009】の記載を引用するものであるところ、訂正事項6によって、段落【0009】が訂正されるから、訂正事項10~12は、本件訂正前の明細書の段落【0015】~【0017】の記載を訂正事項6による訂正に整合させるための訂正であって、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項10~12は、本件訂正前の明細書の段落【0015】~【0017】の記載を訂正事項6による訂正に整合させるための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項10は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 10 訂正事項13について (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落【0018】の「【図5】(a)はころの平面図である、(b)は保持器の平面図である。」との記載は、日本語として必ずしも明瞭でない。訂正事項13は、この不明瞭な記載を日本語として明瞭な記載である「【図5】(a)はころの平面図であり、(b)は保持器の平面図である。」とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項13は、本件訂正前の明細書の段落【0018】の「【図5】(a)はころの平面図である、(b)は保持器の平面図である。」という記載を、日本語として明瞭な記載である「【図5】(a)はころの平面図であり、(b)は保持器の平面図である。」とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項13は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 11 訂正事項15及び16について (1)訂正の目的について 本件訂正前の明細書の段落【0067】及び【0068】の【表3】には、本件訂正前の請求項1に記載の発明特定事項を充足する実施例を実施例4dとして記載しているが、当該実施例4dは、訂正事項1により訂正された本件訂正後の請求項1に記載の発明特定事項である「ポケット直線部の長さが、ころ直線部の長さ以下である」を充足しないため、もはや実施例とはいえなくなり、当該実施例4dを実施例として記載することは本件訂正後の特許請求の範囲との関係で不明瞭な記載となる。訂正事項15及び16は、本件訂正前の明細書の段落【0067】及び【0068】の【表3】の「実施例4d」を、本件訂正後の請求項1の記載に整合させて「比較例4d」に訂正するための訂正であって、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 (2)新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項15及び16は、本件訂正前の明細書の段落【0067】及び【0068】の【表3】の本件訂正前の「実施例4d」を、本件訂正後の請求項1の記載に整合させて「比較例4d」に訂正するための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないといえる。 したがって、訂正事項15及び16は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 第4 むすび 以上のとおりであるので、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1ないし訂正事項16による訂正は、特許法第126条第1ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-390121

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