特許訂正審判
2021-390154
転がり軸受
- 審判番号
- 2021-390154
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2007-150087
- 登録番号
- 5233171
- 請求日
- 2021年09月22日
- 審決日
- 2021年12月01日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 嘉章
- 審判官 中村 大輔
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P141 .851-Y (F16C) / P141 .852-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特許第5233171号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5233171号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第5233171号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成19年6月6日に特許出願され、平成25年4月5日にその特許権の設定登録がされたものであって、令和3年9月22日に、特許権者である日本精工株式会社より、本件特許に対して本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、審判請求書の請求の趣旨に記載されるとおり、特許第5233171号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その内容は以下のとおりである。
1.訂正事項1
特許請求の範囲【請求項1】の「各軌道面の残留オーステナイト量が20~45体積%」との記載を「各軌道面の残留オーステナイト量が30~40体積%」に訂正し、「転動体が、浸炭窒化処理または窒化処理され、かつ、転動面における窒素濃度が0.2~2.0質量%であり、Si及びMnを含有する窒化物の面積率が1%以上20%以下であり、表面硬さがHV750以上であり、平均粒径0.05μm~1μmの該窒化物を面積375μm2中に100個以上含有し、前記転動体の転動面からの深さをZとし、前記転動体の直径をdとしたとき、前記転動体のZ=0.045dにおける硬さがHV650~850であり、Z=0.18dにおける硬さがHV700~771である」との記載を「前記転動体が、0.95質量%以上1.10質量%以下のCと、0.4質量%以上0.7質量%以下のSiと、0.9質量%以上1.15質量%以下のMnと、0.9質量%以上1.2質量%以下のCrと、残部がFe及び不可避不純物からなり、浸炭窒化処理または窒化処理され、かつ、転動面における窒素濃度が0.45~0.5質量%であり、Si及びMnを含有する窒化物の面積率が1%以上20%以下であり、表面硬さがHV750以上であり、平均粒径0.05μm~1μmの該窒化物を面積375μm2中に100個以上含有し、前記転動体の転動面からの深さをZとし、前記転動体の直径をdとしたとき、前記転動体のZ=0.045dにおける硬さがHV770~816であり、Z=0.18dにおける硬さがHV700~771である」に訂正する。
2.訂正事項2
明細書段落【0014】の「各軌道面の残留オーステナイト量が20~45体積%」との記載を「各軌道面の残留オーステナイト量が30~40体積%」に訂正し、「転動体が、浸炭窒化処理または窒化処理され、かつ、転動面における窒素濃度が0.2~2.0質量%であり、Si及びMnを含有する窒化物の面積率が1%以上20%以下であり、表面硬さがHV750以上であり、平均粒径0.05μm~1μmの該窒化物を面積375μm2中に100個以上含有し、前記転動体の転動面からの深さをZとし、前記転動体の直径をdとしたとき、前記転動体のZ=0.045dにおける硬さがHV650~850であり、Z=0.18dにおける硬さがHV700~771である」との記載を「前記転動体が、0.95質量%以上1.10質量%以下のCと、0.4質量%以上0.7質量%以下のSiと、0.9質量%以上1.15質量%以下のMnと、0.9質量%以上1.2質量%以下のCrと、残部がFe及び不可避不純物からなり、浸炭窒化処理または窒化処理され、かつ、転動面における窒素濃度が0.45~0.5質量%であり、Si及びMnを含有する窒化物の面積率が1%以上20%以下であり、表面硬さがHV750以上であり、平均粒径0.05μm~1μmの該窒化物を面積375μm2中に100個以上含有し、前記転動体の転動面からの深さをZとし、前記転動体の直径をdとしたとき、前記転動体のZ=0.045dにおける硬さがHV770~816であり、Z=0.18dにおける硬さがHV700~771である」に訂正する。
3.訂正事項3
明細書段落【0046】の「実施例1~21」との記載を「実施例12、18~20、参考例1~11、13~17、21」に訂正する。
4.訂正事項4
明細書段落【0050】の【表2】中「実施例1」~「実施例11」、「実施例13」~「実施例17」及び「実施例21」を「参考例1」~「参考例11」、「参考例13」~「参考例17」及び「参考例21」に訂正する。
5.訂正事項5
明細書段落【0050】の【表2】中「比較襟7」を「比較例7」に訂正する。
6.訂正事項6
明細書段落【0051】の「組み合わた実施例」を「組み合わせた実施例」に訂正する。
7.訂正事項7
明細書段落【0051】の「軌道面の残留オーステナイト量が20~45体積%」との記載を「軌道面の残留オーステナイト量が30~40体積%」に訂正し、同「転動面における窒素濃度が0.2~2.0質量%」との記載を「転動面における窒素濃度が0.45~0.5質量%」に訂正する。
第3 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「転動体」の組成を特定し、各発明特定事項の数値範囲をさらに減縮する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1に関し、願書に添付した明細書には、以下の記載がある(下線は当審において付与した。以下同様。)。
ア 「各軌道面の残留オーステナイト量が30~40体積%」であることについて
「【0019】
本発明では、内輪及び外輪に浸炭処理または浸炭窒化処理を施し、軌道面の残留オーステナイト量を20~45体積%とする。上述のように、残留オーステナイトが多いほど圧痕は付き易くなるため、本発明では残留オーステナイトを20体積%以上と多くする。好ましくは30体積%以上とする。但し、残留オーステナイトが多すぎると表面硬さや耐圧痕性、耐摩耗性が低下したり、高温での寸法安定性が悪化するため、45体積%以下、好ましくは40体積%以下とする。」
イ 「転動体が、0.95質量%以上1.10質量%以下のCと、0.4質量%以上0.7質量%以下のSiと、0.9質量%以上1.15質量%以下のMnと、0.9質量%以上1.2質量%以下のCrと、残部がFe及び不可避不純物」からなることについて
「【0029】
尚、転動体は以下に示す元素を含有することが好ましい。残部は鉄及び不可避不純物である。
【0030】
[C:0.3~1.2質量%]
炭素は鋼に必要な強度と寿命を得るために重要な元素である。炭素が少なすぎると十分な強度が得られないだけでなく、後述する浸炭窒化の際に必要な硬化層深さを得るための熱処理時間が長くなり、熱処理コストの増大につながる。そのため、炭素含有量は0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上とする。Z=0.18d、好ましくはZ>0.06dの硬さを得るためには0.95質量%以上が好ましい。また、炭素含有量が多すぎると製鋼時に巨大炭化物が生成され、その後の焼入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を与えるほか、ヘッダー性が低下してコストの上昇を招くおそれがあるため上限を1.2質量%、好ましくは1.10質量%とする。
【0031】
[Si:0.3~2.2質量%、Mn:0.2~2.0質量%]
上述したように、Si・Mn系窒化物を十分に析出させるためには、Si及びMnを多く含有した鋼材を用いる必要がある。一般的な軸受材料であるSUJ2は、Si含有量が0.25%、Mn含有量が0.4%であり、浸炭窒化等で窒素を過剰に付加してもSi・Mn系窒化物量が少ない。このため、Si及びMnの含有量は、以下の値を臨界値とする。
【0032】
<Si:0.3~2.2質量%>
Si・Mn系窒化物の析出に必要な元素であり、Mnの存在によって、0.3質量%以上の添加で、窒素と効果的に反応して顕著に析出する。好ましくは0.4~0.7質量%とする。
【0033】
<Mn:0.2~2.0質量%>
Si・Mn系窒化物の析出に必要な元素であり、Siとの共存によって、0.2質量%以上の添加で、Si・Mn系窒化物の析出を促進させる作用がある。また、Mnはオーステナイトを安定化する働きがあるので、硬化熱処理後に残留オーステナイトが必要以上に増加するといった問題を引き起こすのを防止するため、2.0質量%以下とする。好ましくは0.9~1.15質量%とする。また、より好ましくは、下記理由によりSi/Mn比率を5以下とする。」
「【0035】
[Cr:0.5~2.0質量%]
Crは焼入れ性を向上させると同時に、炭化物形成元素であり、材料を強化する炭化物の析出を促進し、更に微細化させる。0.5質量%未満であると焼入れ性が低下して十分な硬さが得られなかったり、浸炭窒化時に炭化物が粗大化したりする。2.0質量%を越えると、浸炭窒化時に表面にCr酸化膜が形成されて、炭素及び窒素の拡散を阻害する。そのため、Cr含有量は0.5質量%以上2.0質量%以下とすることが好ましく、0.9~1.2質量%とすることがより好ましい。」
ウ 「転動面における窒素濃度が0.45~0.5質量%」であることについて
「【0020】
また、転動体の表面層に所定の窒素を富化させるために浸炭窒化処理または窒化処理を行う。窒素は炭素と同じようにマルテンサイトの固溶強化および残留オーステナイトの安定確保に作用するだけでなく、窒化物または炭窒化物を形成して耐圧痕性、耐摩耗性を向上させる作用がある。表面窒素濃度が高いほど耐摩耗性、耐圧痕性に優れており、表面窒素濃度が0.2質量%を超えると顕著に効果が現れるが、好ましくは0.45質量%以上とする。」
明細書の段落【0050】の【表2】の「実施例12」には、「転動体表面の窒素濃度(質量%)」が「0.50」であることが記載されている。
エ 「転動体のZ=0.045dにおける硬さがHV770~816」であることについて
「【0028】
また、最大静的せん断応力作用深さ(静的せん断応力分布)は転動体直径と相関があるため、次のように硬さを規定した。即ち、転動体の転動面からの深さをZとし、転動体の直径をdとしたとき、転動体のZ=0.045dにおける硬さをHV650~850、好ましくはHV770~816とし、Z=0.18dにおける硬さをHV700~771、より好ましくはHV718~771とすることにより、軌道輪と転動体との接触によるブリネル圧痕の形成を抑制することができ、軌道輪と転動体間に作用する接線力を抑制して長寿命化が達成可能である。」
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1では特定されていなかった転動体の組成を特定し、さらに本件訂正前の請求項1の各発明特定事項の数値範囲を、本件訂正前の範囲内でさらに減縮する訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1では特定されていなかった転動体の組成を特定し、さらに本件訂正前の請求項1の各発明特定事項の数値範囲を、本件訂正前の範囲内でさらに減縮する訂正であるところ、本件訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
本件訂正前の明細書の段落【0014】には、本件訂正前の請求項1に記載された発明特定事項に対応する記載が含まれていたところ、訂正事項1により、本件訂正後の請求項1に記載された発明特定事項との間に齟齬が生じ、不明瞭となる。訂正事項2は、本件訂正前の明細書の段落【0014】の記載を、訂正事項1による本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正事項1と実質的に同様の内容の訂正であり、上記1.(2)で示したとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、本件訂正前の明細書の段落【0014】の記載を、訂正事項1による本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことが明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の要件は課されない。
3.訂正事項3及び4について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0046】及び段落【0050】の【表2】には、本件訂正前の請求項1に記載された発明特定事項を充足する実施例が記載されているが、そのうち実施例1~11、13~17、21は、訂正事項1による本件訂正後の請求項1に記載された発明特定事項を充足しないため、もはや実施例とはいえず、当該実施例を実施例として記載することは、本件訂正後の特許請求の範囲との関係で不明瞭な記載となる。訂正事項3及び4は、本件訂正前の明細書の段落【0046】及び段落【0050】の【表2】の実施例1~11、13~17、21を、訂正事項1による本件訂正後の請求項1の記載に整合させて「参考例」とする訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3項に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3及び4は、訂正事項1による本件訂正後の請求項1に記載された発明特定事項を充足しない実施例を「参考例」とする訂正であり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3及び4は、訂正事項1による本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるため、訂正前の「実施例」を「参考例」とする訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことが明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項3及び4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の要件は課されない。
4.訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正事項5は、本件訂正前の明細書の段落【0050】の【表2】に記載された「比較襟7」という明らかな誤記を「比較例7」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、日本語表記として明らかな誤記を本来の正しい表記に訂正するものにすぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、日本語表記として明らかな誤記を本来の正しい表記に訂正するものにすぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことが明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項5は、日本語表記として明らかな誤記を本来の正しい表記に訂正するものにすぎず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
5.訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正事項6は、本件訂正前の明細書の段落【0051】に記載された「組み合わた」という明らかな誤記を「組み合わせた」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、日本語表記として明らかな誤記を本来の正しい表記に訂正するものにすぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、日本語表記として明らかな誤記を本来の正しい表記に訂正するものにすぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことが明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項6は、日本語表記として明らかな誤記を本来の正しい表記に訂正するものにすぎず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
6.訂正事項7について
(1)訂正の目的について
本件訂正前の明細書の段落【0051】には、訂正事項1による本件訂正前の請求項1に記載された発明特定事項に対応する記載が含まれていたところ、訂正事項1により、本件訂正後の請求項1に記載された発明特定事項との間に齟齬が生じ、不明瞭となる。訂正事項7は、本件訂正前の明細書の段落【0051】の記載を、訂正事項1による本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7は、本件訂正前の明細書の段落【0051】の記載を、訂正事項1による本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であり、1.(2)で示したとおり、訂正事項1が願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正といえるから、訂正事項7も願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかである。したがって、訂正事項7は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、本件訂正前の明細書の段落【0051】の記載を、訂正事項1による本件訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことが明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の要件は課されない。
7.一群の請求項について
本件訂正審判は、特許権全体に対して請求されたものであり、請求項ごとに請求されたものではないから、一群の請求項に関する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するか否かの検討を要しない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1ないし訂正事項7による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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