特許訂正審判
2018-390068
耐水性グリース組成物及び車両用ハブユニット軸受
- 審判番号
- 2018-390068
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2006-184641外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年04月06日
- 審決日
- 2018年05月22日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .852-Y (C10M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5096703号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5096703号の明細書を、本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯等
本件訂正審判に係る特許は、発明の名称を「耐水性グリース組成物及び車両用ハブユニット軸受」とする特許第5096703号(以下、「本件特許」という。)であって、平成18年7月4日を出願日とする特願2006-184641号について、平成24年9月28日に設定登録を受けたものである(設定登録時の請求項の数は2である。)。
その後、平成30年4月6日に本件訂正審判が請求された。
第2 本件訂正審判の請求の趣旨と訂正内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 本件訂正審判において請求された訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容
(1) 訂正事項1
明細書の段落【0039】の「3巣の防錆剤」との記載を、「3種の防錆剤」に訂正する。
(2) 訂正事項2
明細書の段落【0041】【図2】の「実施例れ得られた」との記載を「実施例で得られた」に訂正する。
第3 当審の判断
前記訂正事項1及び2が、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものであるか否か(訂正の目的の適否)、同条第5項(新規事項の追加の有無)、同条第6項(特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無)及び同条第7項(独立特許要件充足性)の各規定に適合するものであるか否かについて、以下順に検討をする。
1 訂正事項1について
(1) 訂正の目的の適否
訂正前の明細書の段落【0038】~【0040】には、次のように記載されている。
「【0038】
実施例1、2と比較例1,2との比較から、カルボン酸系防錆剤、カルボン酸塩系防錆剤及び脂肪酸のアミン塩の3種の防錆剤を併用することで、防錆剤を全く含有しないもの(比較例1)及び他の防錆剤を用いたもの(比較例2)に比べて、耐水性、耐フレッチング性及び耐腐食性に総合的に優れることがわかる。
【0039】
また、比較例4から、3巣の防錆剤を併用しても、増ちょう剤として芳香族ジウレアを用いないと耐フレッチング性に劣ることがわかる。
【0040】
また、比較例3から、3種の防錆剤を併用しても、脂肪酸のアミン塩が3質量%を超えると耐水性及び耐フレッチング性が低下することがわかる。」
当該記載からみて、比較例1~4として準備されたものは、防錆剤を全く含有しないもの(比較例1)、他の防錆剤を用いたもの(比較例2)、3種の防錆剤を併用しているものの、脂肪酸のアミン塩が3質量%を超えるもの(比較例3)及び3種の防錆剤を併用しているものの、増ちょう剤として芳香族ジウレアを用いないもの(比較例4)であることが理解できる。このことは、訂正前の明細書の段落【0037】【表1】に記載された比較例1~4の成分組成からも明らかである。
そうすると、訂正前の明細書の段落【0039】に記載された「3巣の防錆剤」は、その前後の文脈からみて、本来、「3種の防錆剤」を意味するものと解するのが合理的であり、当該「3巣の防錆剤」は、これを誤って記載したものということができる。
したがって、訂正事項1は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものといえる。
(2) 新規事項の追加の有無
訂正事項1は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正に過ぎず、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであるから、特許法第126条第5項に規定されている要件に適合するものである。
(3) 特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項1は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正に過ぎず、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定されている要件に適合するものである。
(4) 独立特許要件充足性
訂正事項1は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正に過ぎず、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、また、この訂正により、明細書及び特許請求の範囲の記載に、新たな記載不備が生じるわけでもないから、独立特許要件を充足するといえる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に規定されている要件に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1) 訂正の目的の適否
訂正前の明細書の段落【0041】には、【図2】の説明として「実施例れ得られた」との記載があるが、当該「実施例れ得られた」は、それ自体、日本語表記として意味をなしていない、不明瞭な記載である。
そして、当該「実施例れ得られた」は、本来、「実施例で得られた」という意味合いで記載すべきところを誤って記載したものであるか、あるいは、「実施例で得られた」という意味合いが日本語表記として適切に表現されていなかったものと考えるのが合理的である。
そうすると、訂正事項2は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正であるか、あるいは、日本語表記として明瞭に表現されていなかった不明瞭な記載を本来の意味に明瞭化する訂正であるといえるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正、あるいは、同第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(2) 新規事項の追加の有無
訂正事項2は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正に過ぎないから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか、あるいは、不明瞭な記載を本来の意味に明瞭化する訂正に過ぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであるから、特許法第126条第5項に規定されている要件に適合するものである。
(3) 特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の有無
訂正事項2は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正であるか、あるいは、不明瞭な記載を本来の意味に明瞭化する訂正に過ぎず、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定されている要件に適合するものである。
(4) 独立特許要件充足性
訂正事項2の目的が誤記の訂正である場合には、独立特許要件が課されるが、この場合、訂正事項2は、明白な誤記を本来の意味に訂正する誤記の訂正に過ぎないのであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在しない。また、この訂正により、明細書及び特許請求の範囲の記載に、新たな記載不備が生じるわけでもないから、独立特許要件を充足するといえる。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項に規定されている要件に適合するものである。
第4 結び
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号あるいは第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第5項から第7項までの規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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