特許訂正審判
2017-390144
環状部材の熱処理方法
- 審判番号
- 2017-390144
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2003-032457外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年12月12日
- 審決日
- 2018年04月17日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 【請求人】高周波熱錬 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 分類
- P141 .841-Y (C21D) / P141 .851-Y (C21D) / P141 .853-Y (C21D) / P141 .854-Y (C21D) / P141 .855-Y (C21D) / P141 .856-Y (C21D) / P141 .857-Y (C21D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4176501号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4176501号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4176501号は、平成15年 2月10日(優先権主張 平成14年 2月 8日 平成14年 7月29日)を出願日とする出願(特願2003-32457号)の請求項1~6に係る発明について、平成20年 8月29日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成29年12月12日に本件訂正審判の請求がされ、平成30年 1月22日付けで訂正拒絶理由通知が通知され、これに対して、同年 2月22日に、審判請求書及び訂正明細書、特許請求の範囲、図面を補正する手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正事項
1 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、特許第4176501号の明細書、特許請求の範囲及び図面を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 訂正事項
平成30年 2月22日に手続補正された本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1~13のとおりである。(当審注:下線は訂正箇所を示すため当審が付与した。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「鋼製の環状部材」と記載されているのを「鋼製の環状部材(但し、環状部材の外径は940mmである)」に訂正し(訂正事項1-1)、「下記式で定義される」と記載されているのを、「下記式(但し、環状部材の外径は940mmである)で定義される」に訂正する(訂正事項1-2)(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、5、及び6も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1~3のいずれか一項に記載の」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1~3、及び5のいずれか一項に記載の」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0013】の「このような本発明に係る環状部材の熱処理方法においては、熱処理前の前記第一隙間を前記環状部材の内径の0%超過且つ0.11%以下とすることが好ましい。」との記載を削除する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0014】に「さらに、本発明に係る環状部材の熱処理方法においては、ウェイトの荷重で前記複数のピンの内端部を押圧して、前記ピンの外端部に前記環状部材の内周面を押圧させるとともに、下記式で定義される矯正指数Kを23.5~138.2として、前記環状部材の加熱及び冷却を行うことが好ましい。」と記載されているのを、「さらに、本発明に係る環状部材(但し、環状部材の外径は940mmである)の熱処理方法においては、ウェイトの荷重で前記複数のピンの内端部を押圧して、前記ピンの外端部に前記環状部材の内周面を押圧させるとともに、下記式(但し、環状部材の外径は940mmである)で定義される矯正指数Kを23.5~138.2として、前記環状部材の加熱及び冷却を行うことが好ましい。」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0017】に「前記第一隙間の大きさは、熱処理前においては前記環状部材の内径の0%超過且つ0.11%以下」と記載されているのを、「前記第一隙間の大きさは、熱処理前においては0より大きい値で且つ前記環状部材が収縮した際に前記環状部材の内周面の全面が前記第一保持治具の外周面に接触するような大きさ」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0018】に「各ピン毎」と記載されているのを「ピン毎」に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0048】の記載、及び明細書の段落【0049】の「図3のグラフから、第一隙間C1の大きさが環状部材1の内径Dの0%超過且つ0.11%以下であると、焼入れ後の環状部材1の真円度が優れていて、変形の抑制効果が高いことが分かる。そして、0.07%以下であると変形の抑制効果がより高く、0.03%以下であると変形の抑制効果が極めて高いことが分かる。なお、」との記載を削除する。
(10)訂正事項10
明細書の段落【0050】に「450,600,960mmの3種類」と記載されているのを「940mm」に訂正する。
(11)訂正事項11
明細書の段落【0069】【図面の簡単な説明】【図3】の「環状部材の内径に対する第一隙間の大きさの比率と環状部材の真円度との相関を示すグラフである。」との記載を削除する。
(12)訂正事項12
図面の図3を削除する。
(13)訂正事項13
図面の図4の凡例から「○ 外径450mm、ピン12個」及び「▲ 外径600mm、ピン12個」の記載を削除し、図4から「外径450mm、ピン12個」のプロット(○)及び「外径600mm、ピン12個」のプロット(▲)を削除する。
なお、平成30年 1月22日付けの訂正拒絶理由通知の概要は、訂正事項1、6、10、13に係る訂正は、特許法第126条第6項に規定する要件に適合せず、本件訂正審判に係る請求は、特許権全体に対して請求するものと認められるから、訂正事項1、6、10、13を含む本件訂正審判の請求に係る訂正は全て認められない、というものである。
第3 当審の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1-1について
(ア)訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載されていた「鋼製の環状部材」の外径について特段の特定がされていなかったものを「940mm」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)願書に添付した明細書(以下、「訂正前明細書」という。)【0024】には、「そして、環状部材1の外径は940mm、内径は920mm、幅(径方向に対して垂直な方向の幅)は26mmである。」と記載され、【図4】(凡例)には
「【図4】
」
と記載されているから、訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。
(ウ)上記(ア)、(イ)で検討したように、訂正事項1-1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項1-2について
(ア)訂正事項1-2に係る訂正は、訂正事項1-1に係る訂正と同様に、下記式
「
」
における「環状部材の外径(mm)」を、「940mm」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)そして、訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは上記ア(イ)に記載のとおりであるので、同様の理由により、訂正事項1-2に係る訂正も、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。
(ウ)前記(ア)、(イ)で検討したように、訂正事項1-2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 訂正事項1のまとめ
(ア)以上のとおりであるので、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
(ア)訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項4を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)また、訂正事項2に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3、4について
(ア)訂正事項3、4に係る訂正は、いずれも、訂正事項2に係る訂正によって請求項4が削除されたことから、請求項5、6において請求項4を引用しないものとして、請求項の記載の整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)また、訂正事項3、4に係る訂正は、いずれも、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項5について
(ア)訂正事項5に係る訂正は、訂正事項2に係る訂正によって請求項4が削除されたことから、願書に添付した明細書の【0013】から請求項4の記載に対応する記載を削除して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)また、訂正事項5に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項6について
(ア)訂正事項6に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって生じる、特許請求の範囲の記載と願書に添付した明細書の【0014】の記載の間の不一致を解消して、記載の整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)また、訂正事項6に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)訂正事項7について
(ア)訂正事項7に係る訂正は、訂正事項2に係る訂正によって請求項4が削除されたことから、願書に添付した明細書の【0017】の請求項4に対応する記載を請求項2の記載に対応するものに訂正して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)また、訂正事項7に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(7)訂正事項8について
(ア)訂正事項8に係る訂正は、願書に添付した明細書の【0018】の「各ピン毎」という記載が日本語表記として正確でなかったのを「ピン毎」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)また、訂正事項8に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(8)訂正事項9、11~12について
(ア)訂正事項9に係る訂正は、訂正事項2に係る訂正によって請求項4が削除されたことから、願書に添付した明細書の【0048】、【0049】から請求項4の記載に対応する記載を削除して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るものである。
(イ)訂正事項11に係る訂正は、訂正事項2に係る訂正によって請求項4が削除されたことから、願書に添付した明細書の【0069】から【図3】の請求項4の記載に対応する記載を削除して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るものである。
(ウ)訂正事項12に係る訂正は、訂正事項2に係る訂正によって請求項4が削除されたことから、願書に添付した図面から【図3】を削除して、特許請求の範囲の記載と図面の記載の整合を図るものである。
したがって、訂正事項9、11~12に係る訂正は、いずれも、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(エ)また、訂正事項9、11~12に係る訂正は、いずれも、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(9)訂正事項10、13について
(ア)訂正事項10に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって鋼製の環状部材の外径が「940mm」のみに特定されたことに伴って、願書に添付した明細書の【0050】における環状部材1の外径を「940mm」と訂正することにより、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るものである。
(イ)訂正事項13に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって鋼製の環状部材の外径が「940mm」のみに特定されたことに伴って、願書に添付した図面の【図4】中の凡例から「○ 外径450mm、ピン12個」及び「▲ 外径600mm、ピン12個」の記載を削除し、【図4】から「外径450mm、ピン12個」のプロット(○)及び「外径600mm、ピン12個」のプロット(▲)を削除して、特許請求の範囲の記載と図面の記載の整合を図るものである。
したがって、訂正事項10、13に係る訂正は、いずれも、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(ウ)また、訂正事項10、13に係る訂正は、いずれも、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、平成30年 2月22日の手続補正により、訂正事項1、6、10、13に係る訂正は上記のとおりに補正され、それらの訂正事項に係る訂正が特許法第126条第6項の規定に適合することは上記(1)、(5)、(9)に記載のとおりであるから、平成30年 1月22日付け訂正拒絶理由通知の訂正拒絶理由は解消した。
2 訂正後の発明の独立特許要件について
訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見いだせないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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