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特許訂正審判

2025-390161

ファン取付部付きシート、空調衣服の服本体及び空調衣服

審判番号
2025-390161
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2019-088705
登録番号
7014441
請求日
2025年11月11日
審決日
2026年03月04日
公報発行日
2026年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】株式会社空調服
  • 【請求人代理人】鮫島 正洋
  • 【請求人代理人】高橋 正憲
  • 【請求人代理人】山崎 臨在
審判長/審判官
  • 審判長 廣川 浩
  • 審判官 河合 弘明
  • 審判官 本郷 彰
分類
P141 .851-Y (A41D) / P141 .853-Y (A41D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条7項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
データ出所
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特許第7014441号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第7014441号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第7014441号は、2014年(平成26年)3月18日を国際出願日とする特願2016-508371号の一部を、平成30年9月27日に新たな特許出願とした特願2018-181167号の一部を、令和元年5月9日に新たな特許出願としたものであって、令和4年1月24日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和7年11月11日に本件訂正審判の請求がされ、令和8年2月9日に手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7014441号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認めるとの、審決を求めるものである。 第3 訂正事項 本件訂正審判の請求に係る訂正の内容は、以下の訂正事項1から訂正事項3のとおりである。(「第3」において、下線は訂正箇所を示す。) 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「 ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服本体であって、 前記ファン取付部は、 当該空調衣服の服本体の服地を形成するシート状部材に設けられた、前記ファンを通すための略円形の開口孔と、 前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、 を備え、 前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、 前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されていることを特徴とする空調衣服の服本体。」と記載されているのを、 「 ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服本体であって、 前記ファン取付部は、 当該空調衣服の服本体の服地を形成するシート状部材に設けられた、前記ファンを通すための略円形の開口孔と、 前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、 を備え、 前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、 前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されており、 前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え、 前記補強手段は、前記シート状部材に比して非伸縮性であり、かつ、前記ファンを前記ファン取付部に取り付けたときに前記突出部又は前記係止部材と直接接することを特徴とする空調衣服の服本体。」 に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項2から6も同様に訂正する。) 2 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7に、 「 ファンを取り付けるためのファン取付部付きシートであって、 前記ファンを通すための略円形の開口孔が形成されたシート状部材と、 前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、 を備え、 前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、 前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されていることを特徴とするファン取付部付きシート。」と記載されているのを、 「 ファンを取り付けるためのファン取付部付きシートであって、 前記ファンを通すための略円形の開口孔が形成されたシート状部材と、 前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、前記シート部材に比して非伸縮性であり、内側面が露出している補強手段と、 を備え、 前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、 前記シート状部材の端部は折り返され、前記折り返された前記端部と前記端部と重なっているシート状部材の部分は補強手段を介さず固着され、 前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されていることを特徴とするファン取付部付きシート。」に訂正する。 3 訂正事項3 明細書の段落[0013](以下、隅付き括弧は、角括弧で示す。以下、同様である。)に、 「 上記の目的を達成するための本発明は、ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服本体であって、前記ファン取付部は、当該空調衣服の服本体の服地を形成するシート状部材に設けられた、前記ファンを通すための略円形の開口孔と、前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、を備え、前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されていることを特徴とするものである。」と記載されているのを 「 上記の目的を達成するための本発明は、ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服本体であって、前記ファン取付部は、当該空調衣服の服本体の服地を形成するシート状部材に設けられた、前記ファンを通すための略円形の開口孔と、前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、を備え、前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されており、前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた西出部とを有するファン本体と、前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え、前記補強手段は、前記シート状部材に比して非伸縮性であり、かつ、前記ファンを前記ファン取付部に取り付けたときに前記突出部又は前記係止部材と直接接することを特徴とするものである。」に訂正する。 第4 当審の判断 1 訂正事項1について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の、 「 ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服本体であって、 前記ファン取付部は、 当該空調衣服の服本体の服地を形成するシート状部材に設けられた、前記ファンを通すための略円形の開口孔と、 前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、 を備え、 前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、 前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されていることを特徴とする空調衣服の服本体。」とする発明特定事項に、「前記補強手段は、前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を付加するという訂正(以下、「訂正事項1-1」)という。)、及び、「前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え、」、前記補強手段は、「前記ファンを前記ファン取付部に取り付けたときに前記突出部又は前記係止部材と直接接する」という発明特定事項を付加するという訂正(以下、「訂正事項1-2」という。)からなる。 (1)訂正事項1-1 ア 訂正の目的について 訂正事項1-1は、本件訂正前の請求項1の発明特定事項に、「前記補強手段は、前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を直列的に付加するものである。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 設定登録時の明細書の、段落[0009]に「空調服等に用いられるシート状部材は伸縮するので、・・・」、段落[0043]に「しかしながら、空調服等に使用するシート状部材10は伸縮性を有するので、上記の数値は切り込み13の厳密な長さを規定するものではない。」との記載があるから、ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服に用いられるシート状部材は伸縮性を有するものであることが記載されているといえる。 また、設定登録時の明細書の、段落[0019]に「このファン取付部付きシート1は、図1に示すように、シート状部材10と、開口孔20と、伸縮性のない扁平な環状の補強部材(補強手段)30とを備える。」、段落[0023]に「この補強部材30の素材としては、洗濯可能なものであって、伸縮性があまりなく、しかも、縫合可能な素材が用いられる。具体的には、プラスチック、樹脂含浸布、人工皮革、伸縮性のないゴムのいずれかの素材を用いることができる。」との記載があるから、補強手段は伸縮性がない若しくは伸縮性があまりないもの、が記載されているといえる。 そして、上述のとおり、シート状部材は伸縮性を有するものであって、補強手段は伸縮性がない若しくは伸縮性があまりないものであるから、補強手段は、シート状部材に比して伸縮性がない、すなわち、補強手段は、シート状部材に比して非伸縮性であることは自明である。 したがって、「前記補強手段は、前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を付加する訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項1-1は、本件訂正前の請求項1の発明特定事項に、「前記補強手段は、前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 エ 独立特許要件について 訂正事項1-1は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、本件訂正後の請求項1から6に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。 また、訂正事項1-1による訂正後の請求項1から6に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 そうすると、訂正事項1-1による訂正後の請求項1から6に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 したがって、訂正事項1-1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項1-2 ア 訂正の目的について 訂正事項1-2は、いずれも、本件訂正前の請求項1の発明特定事項に、「ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、筒状部の外側に差し込んで突出部と対向する状態でファン本体に装着される係止部材とを備え」、「補強手段は、ファンをファン取付部に取り付けたときに、突出部又は係止部材と直接接すること」という発明特定事項を直列的に付加するものである。 したがって、訂正事項1-2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 設定登録時の明細書の、段落[0021]に「ファン本体110は、筒状部111と、この筒状部111の上端から筒状部111の側面と略垂直な方向に突出するフランジ部112とを有する。」、「係止部材120を筒状部111の外側に差し込んでファン本体110と係合させることにより、係止部材120を、フランジ部112と対向する状態でファン本体110に容易に装着することができる。」との記載、段落[0080]に「112 フランジ部(突出部)」との記載があるから、段落[0021]に記載されるフランジ部は、突出部であるといえる。そうすると、ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、筒状部の外側に差し込んで突出部と対向する状態でファン本体に装着される係止部材とを備えるものであるといえる。 また、設定登録時の明細書の、段落[0028]に「ファン100をファン取付部に取り付けたときには、補強部材30と係止部材120とが直接接すると共に、補強部材30の内側面31が筒状部111の外側面に直接接するようになっている。」との記載、段落[0063]に「例えば、ファンとしては、ファンが取り付けられたときに補強部材の裏面と突出部とが直接接するように構成されたものであってもよい。」との記載、段落[0080]に「30,30a,30c 補強部材(補強手段)」との記載があるから、補強手段は、ファンをファン取付部に取り付けたときに、突出部又は係止部材と直接接することが記載されているといえる。 そうすると、「ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、筒状部の外側に差し込んで突出部と対向する状態でファン本体に装着される係止部材とを備え」、「補強手段は、ファンをファン取付部に取り付けたときに、突出部又は係止部材と直接接すること」という発明特定事項を付加する訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項1-2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項1-2は、本件訂正前の請求項1の発明特定事項に、「ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、筒状部の外側に差し込んで突出部と対向する状態でファン本体に装着される係止部材とを備え」、「補強手段は、ファンをファン取付部に取り付けたときに、突出部又は係止部材と直接接すること」という発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項1-2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 エ 独立特許要件について 訂正事項1-2は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、本件訂正後の請求項1から6に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。 また、訂正事項1-2による訂正後の請求項1から6に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 そうすると、訂正事項1-2による訂正後の請求項1から6に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 したがって、訂正事項1-2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項1の小括 上記「(1)」及び「(2)」のとおり、訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ特許法第126条第5項から第7項の規定に適合する。 したがって、訂正事項1-1及び訂正事項1-2からなる訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ特許法第126条第5項から第7項の規定に適合する。 2 訂正事項2について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項7の、 「 ファンを取り付けるためのファン取付部付きシートであって、 前記ファンを通すための略円形の開口孔が形成されたシート状部材と、 前記シート状部材と別体として形成され、前記開口孔の直径と略同一の直径の略円形の開口部を有し、前記シート状部材の前記開口孔の周囲における端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、 を備え、 前記シート状部材の前記開口孔の縁には、ほつれ留め処理が施され、 前記補強手段は縫合可能な素材で作製されており、前記補強手段と前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部とを縫合することにより前記補強手段が前記シート状部材に固着されていることを特徴とするファン取付部付きシート。」とする発明特定事項に、補強手段は「前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を付加するという訂正(以下、「訂正事項2-1」という。)、及び、シート状部材が「前記シート状部材の端部は折り返され、前記折り返された前記端部と前記端部と重なっているシート状部材の部分は補強手段を介さず固着され」るという発明特定事項を付加するという訂正(以下、「訂正事項2-2」という。)からなる。 (1)訂正事項2-1 ア 訂正の目的について 訂正事項2-1は、本件訂正前の請求項7の発明特定事項に、補強手段は「前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を直列的に付加するものである。 したがって、訂正事項2-1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 設定登録時の明細書の、段落[0009]に「空調服等に用いられるシート状部材は伸縮するので、・・・」、段落[0043]に「しかしながら、空調服等に使用するシート状部材10は伸縮性を有するので、上記の数値は切り込み13の厳密な長さを規定するものではない。」との記載があるから、ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服に用いられるシート状部材は伸縮性を有するものであることが記載されているといえる。 一方、設定登録時の明細書の、段落[0019]に「このファン取付部付きシート1は、図1に示すように、シート状部材10と、開口孔20と、伸縮性のない扁平な環状の補強部材(補強手段)30とを備える。」、段落[0023]に「この補強部材30の素材としては、洗濯可能なものであって、伸縮性があまりなく、しかも、縫合可能な素材が用いられる。具体的には、プラスチック、樹脂含浸布、人工皮革、伸縮性のないゴムのいずれかの素材を用いることができる。」との記載、段落[0038]に「第二実施形態のファン取付部付きシート1aは、図7に示すように、シート状部材10aと、開口孔20と、伸縮性のない扁平な環状の補強部材(補強手段)30aとを備える。」との記載があるから、補強手段は伸縮性がない若しくは伸縮性があまりないもの、が記載されているといえる。 そして、上述のとおり、シート状部材は伸縮性を有するものであって、補強手段は伸縮性がない若しくは伸縮性があまりないものであるから、補強手段は、シート状部材に比して伸縮性がない、すなわち、補強手段は、シート状部材に比して非伸縮性であることは自明である。 したがって、補強手段は「前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を付加する訂正事項2-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項2-1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項2-1は、本件訂正前の請求項7の発明特定事項に、補強手段は「前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るという発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項2-1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 エ 独立特許要件について 訂正事項2-1は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、本件訂正後の請求項7に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。 また、訂正事項2-1による訂正後の請求項7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 そうすると、訂正事項2-1による訂正後の請求項7に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 したがって、訂正事項2-1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2-2 ア 訂正の目的について 訂正事項2-2は、本件訂正前の請求項7の発明特定事項に、「シート状部材の端部は折り返され」、「折り返された端部と端部と重なっているシート状部材の部分は補強手段を介さず固着され」るという発明特定事項を直列的に付加するものである。 したがって、訂正事項2-2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 設定登録時の明細書の、段落[0040]に「図7(b)に示すように、開口孔20の周囲におけるシート状部材10aの端部には複数の切り込み13が入れられ、その切り込み13が入れられたシート状部材10aの部分は裏側に折り返されている。ここで、切り込み13が入れられたシート状部材10aの部分を「切込部14」とも称することにする。そして、各切込部14とそれに重なっているシート状部材10aの部分とは接着されている。」との記載があり、該「シート状部材10aの端部には複数の切り込み13が入れられ、その切り込み13が入れられたシート状部材10aの部分は裏側に折り返されている。」との記載から、シート状部材の複数の切り込みが入れられた部分はシート状部材の端部であるといえ、切り込みが入れられたシート状部材の当該部分、すなわちシート状部材の端部は、裏側に折り返されているのだから、シート状部材の端部は折り返されているものといえる。 そして、「切り込み13が入れられたシート状部材10aの部分を「切込部14」とも称する」ものであり、「各切込部14とそれに重なっているシート状部材10aの部分とは接着されている。」ものであって、上述したとおり、シート状部材の複数の切り込みが入れられた部分はシート状部材の折り返された端部であるといえるから、切込部14は折り返された端部であるといえる。そうすると、各切込部14、すなわち、折り返された端部と端部と重なっているシート状部材の部分とは接着されているものといえる。そして、図7(b)から、切込部14とシート状部材10aが、補強手段30aを介さずに接着、すなわち固着されることを読み取ることができる。 そうすると、「シート状部材の端部は折り返され」、「折り返された端部と端部と重なっているシート状部材の部分は補強手段を介さず固着され」るという発明特定事項を付加する訂正事項2-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項2-2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項2-2は、本件訂正前の請求項7の発明特定事項に、「シート状部材の端部は折り返され」、「折り返された端部と端部と重なっているシート状部材の部分は補強手段を介さず固着され」るという発明特定事項を直列的に付加するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項2-2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 エ 独立特許要件について 訂正事項2-2は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、本件訂正後の請求項7に係る発明に、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を新たに生じさせるものではない。 また、訂正事項2-2による訂正後の請求項7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 そうすると、訂正事項2-2による訂正後の請求項7に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 したがって、訂正事項2-2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項2の小括 上記「(1)」及び「(2)」のとおり、訂正事項2-1及び訂正事項2-2は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ特許法第126条第5項から第7項の規定に適合する。 したがって、訂正事項2-1及び訂正事項2-2からなる訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ特許法第126条第5項から第7項の規定に適合する。 3 訂正事項3について (1)訂正の目的について 訂正事項3は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 訂正事項3は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、上記「1」の「(1)」の「イ」及び上記「1」の「(2)」の「イ」で説示したのと同様の理由により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 訂正事項3は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、上記「1」の「(1)」の「ウ」及び上記「1」の「(2)」の「ウ」で説示したのと同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項から第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-390161

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