特許訂正審判
2026-390030
電気化学装置及び電子装置
- 審判番号
- 2026-390030
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2022-554641
- 登録番号
- 7803870
- 請求日
- 2026年02月19日
- 審決日
- 2026年05月13日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】寧徳新能源科技有限公司
- 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 梶尾 誠哉
- 審判官 ▲吉▼澤 雅博
- 審判官 木村 貴俊
- 分類
- P141 .852-Y (H01M) / P141 .853-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第184条の3第1項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7803870号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7803870号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7803870号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、令和3年11月18日を国際出願日とする外国語特許出願(特願2022-554641。甲1)であって、令和4年9月9日に明細書の翻訳文(以下、単に「翻訳文」という。)が提出され、令和5年12月27日付けで拒絶理由が通知され、令和6年4月3日に意見書及び手続補正書(以下「第1回補正書」という。甲2)が提出され、同年7月31日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、令和6年12月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され、令和7年8月13日付けで拒絶理由が通知され、同年11月12日に意見書及び手続補正書(以下「第3回補正書」という。甲3)が提出され、令和8年1月13日に請求項1~8に係る発明について特許権の設定登録がされたものであり(甲4)、その後、同年2月19日に本件の訂正審判が請求されたものである。
なお、本件特許に係る出願は、特許法第184条の3第1項の規定により、日本の特許出願とみなされ、翻訳文は、同法第184条の6第2項の規定により、同法第36条第2項の規定により願書に添付して提出した明細書とみなされる。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7803870号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」ものである。
なお、請求人は、証拠方法として、以下の甲第1号証(甲1)~甲第4号証(甲4)を提出している。
甲1:特表2023-554205号公報
甲2:令和6年4月3日に提出された手続補正書(第1回補正書)
甲3:令和7年11月12日に提出された手続補正書(第3回補正書)
甲4:本件特許の特許公報
2 訂正の内容
本件訂正審判における訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
設定登録時の明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0082】に記載された【表4-2】を【表4-1】とし、【表4-1】の内容を、第1回補正書で補正された明細書の段落【0082】に記載された【表4-1】の内容に訂正する。
(2)訂正事項2
本件特許明細書の段落【0083】に記載された【表4-3】を、【表4-2】とし、【表4-2】の内容を、本件特許明細書の段落【0082】に記載された【表4-2】の内容に訂正する。
(3)訂正事項3
本件特許明細書の段落【0084】に記載された【表4-3】の内容を、本件特許明細書の段落【0083】に記載された【表4-3】の内容に訂正する。
第3 当審の判断
1 本件特許明細書の記載について
本件特許明細書には以下の記載がある。
「【0081】
4、炭素数が5以下且つ沸点が120℃以下の有機溶剤が電池性能に与える影響
実施例4-1~4-29及び比較例4-1~4-4の電解液のパラメータ及び電池性能データは表4に示す。
【0082】
【表4-2】
・・・(当審注;「(実施例)4-7」との記載が一番上の左端にあり、その後、「実施例4-8」~「実施例4-15」が示されている。)・・・
【0083】
【表4-3】
・・・(当審注;「実施例4-23」~「実施例4-29」が示されている。)・・・
【0084】
【表4-3】
・・・(当審注;「実施例4-21」~「実施例4-29」が示されている。)・・・」
2 訂正事項1について(本件特許明細書の段落【0082】)
(1)訂正の目的について
ア 上記1のとおり、本件特許明細書の段落【0081】には、「・・・実施例4-1~4-29及び比較例4-1~4-4の電解液のパラメータ及び電池性能データは表4に示す。」と記載されているから、段落【0081】に続く段落【0082】には、通常であれば、「実施例4-1」から順に示されると想定されるところ、実際には「実施例4-8」~「実施例4-15」が示されており、「実施例4-1」~「実施例4-7」は示されていない。
また、段落【0082】には、「【表4-2】」と記載されているところ、通常であれば想定される【表4-1】とは記載されていない。
そして、本件特許明細書のその他の記載を参照しても、「実施例4-1」~「実施例4-7」は示されていないし、【表4-1】との記載も存在しない。
そうすると、本件特許明細書の段落【0082】の【表4-2】との記載及び【表4-2】の内容は、誤記であると認められる。
イ 一方、第1回補正書で補正された明細書の段落【0082】には、【表4-1】と記載され、【表4-1】の内容として、「実施例4-1」~「実施例(4-7)」が順に示されているから、上記アで述べたように、通常であれば想定される【表4-1】との記載があり、【表4-1】の内容である「実施例4-1」~「実施例(4-7)」も示されている。
そうすると、本件特許明細書の段落【0082】の【表4-2】を【表4-1】とし、【表4-1】の内容を、第1回補正書で補正された明細書の段落【0082】の【表4-1】の内容に訂正することは、本来その意であることが明細書の記載から明らかな内容に正すものであって、誤記の訂正といえる。
ウ したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。
(2)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
第1回補正書で補正された明細書の段落【0082】の【表4-1】との記載及び【表4-1】の内容は、翻訳文、すなわち、願書に最初に添付した明細書の段落【0082】に記載されている(なお、【表4-1】の内容から「比較例4-2」が削除されているが、そのことは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かの判断に影響を及ぼすものではない。)。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1による訂正は、上記(1)のとおり、誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項1による訂正は、上記(3)のとおり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないから、訂正後における請求項1~8に係る発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在しない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第7項に適合する。
(5)小括
以上によれば、訂正事項1による訂正は、訂正要件に適合する。
3 訂正事項2及び訂正事項3について(本件特許明細書の段落【0083】、【0084】)
(1)訂正の目的について
ア 上記2のとおり、訂正事項1による訂正は、訂正要件に適合するから、本件特許明細書の段落【0082】には、【表4-1】と記載され、第1回補正書で補正された明細書の段落【0082】の【表4-1】の内容が記載されているものである。
そうすると、段落【0082】の【表4-1】の末尾の実施例は「実施例4-7」のことであるにもかかわらず、「実施例」としか記載がなく、「4-7」が抜けているから、段落【0082】に続く段落【0083】には、通常であれば、【表4-2】と記載され、「4-7」と続き、その後に「実施例4-8」以降の実施例が続くと想定されるところ、上記1のとおり、段落【0083】には、【表4-3】と記載され、「実施例4-23」以降の実施例が示されているから、段落【0083】の記載は、段落【0082】との関係において不合理を生じているといえる。
そして、本件特許明細書の段落【0083】に続く段落【0084】をみると、段落【0083】と同様、【表4-3】と記載され、「実施例4-21」以降の実施例が示されているところ、「実施例4-23」~「実施例4-29」は、段落【0083】の【表4-3】と重複した実施例となっているから、段落【0084】の記載は、段落【0083】との関係において不合理を生じているといえる。
したがって、段落【0083】と段落【0084】の記載は、それ自体の記載内容が他の記載との関係において不合理を生じている。
イ 一方、本件特許明細書の段落【0082】には、【表4-2】と記載され、「4-7」と続き、その後に「実施例4-8」以降の実施例が順に示されており、段落【0083】には、【表4-3】と記載され、その後に「実施例4-23」以降の実施例が順に示されているから、これらの段落【0082】及び【0083】に記載された内容を、訂正要件に適合する本件特許明細書の段落【0082】の後の段落に、段落【0083】及び【0084】として記載すれば、上記アで述べた段落【0083】と段落【0084】の記載によって生じている不合理を解消することができる。
そうすると、訂正事項2により、本件特許明細書の段落【0083】に記載された【表4-3】を【表4-2】とし、【表4-2】の内容を、本件特許明細書の段落【0082】に記載された【表4-2】の内容に訂正すること、訂正事項3により、本件特許明細書の段落【0084】に記載された【表4-3】の内容を、本件特許明細書の段落【0083】に記載された【表4-3】の内容に訂正することは、それ自体の記載内容が他の記載との関係において不合理を生じている記載を正す訂正といえる。
ウ したがって、訂正事項2及び訂正事項3による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0082】に記載されており、訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0083】に記載されている。
したがって、訂正事項2及び訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2及び訂正事項3による訂正は、上記(1)のとおり、本件特許明細書の段落【0083】及び段落【0084】の記載内容が他の記載との関係において不合理を生じている記載を正す訂正といえるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項2及び訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項2及び訂正事項3は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであるから、同条第7項の独立特許要件は課されない。
(5)小括
以上によれば、訂正事項2及び訂正事項3による訂正は、訂正要件に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項~第7項に規定される要件に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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