特許訂正審判
2025-390189
ファン取付部付きシート、空調衣服の服本体及び空調衣服
- 審判番号
- 2025-390189
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-181167
- 登録番号
- 6527281
- 請求日
- 2025年12月23日
- 審決日
- 2026年03月03日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社空調服
- 【請求人代理人】鮫島 正洋
- 【請求人代理人】高橋 正憲
- 【請求人代理人】山崎 臨在
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 寺谷 大亮
- 審判官 衣鳩 文彦
- 分類
- P141 .851-Y (A41D) / P141 .852-Y (A41D) / P141 .853-Y (A41D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項2号特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6527281号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6527281号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6527281号(以下「本件特許」という。)は、2014年(平成26年)3月18日を国際出願日とする特願2016-508371号の一部を、平成30年9月27日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1~8に係る発明について、令和元年5月17日に特許権の設定登録がされ、その後、令和7年12月23日に本件訂正審判の請求がされ、令和8年2月9日に手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1~4のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「内径が前記開口孔の直径よりも小さく、外形が前記開口孔の直径よりも大きい環状に形成され、」
と記載されているのを
「内径が前記開口孔の直径よりも小さく、外径が前記開口孔の直径よりも大きい環状に形成され、」
に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~7も同様に訂正する。)
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「一方の面が前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、
を備えることを特徴とする空調衣服の服本体。」
と記載されているのを
「一方の面が前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部に固着され、前記シート状部材に比して非伸縮性であり、内側面が露出している補強手段を備え、
前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記筒状部の外側に差し込んで前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え、
前記ファンが取り付けられたときに、前記補強手段の内周側の端部が、前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれるとともに、前記シート状部材は前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれないこと
を特徴とする空調衣服の服本体。」
に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~7も同様に訂正する。)
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8に、
「内径が前記開口孔の直径よりも小さく、外形が前記開口孔の直径よりも大きい環状に形成され、一方の面が前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、
を備えることを特徴とするファン取付部付きシート。」
と記載されているのを
「内径が前記開口孔の直径よりも小さく、外径が前記開口孔の直径よりも大きい環状に形成され、一方の面が前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部に固着され、前記シート状部材に比して非伸縮性であり、内側面が露出している補強手段を備え、
前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記筒状部の外側に差し込んで前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え、
前記ファンが取り付けられたときに、前記補強手段の内周側の端部が、前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれるとともに、前記シート状部材は前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれないことを特徴とするファン取付部付きシート。」
に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0013】に、
「上記の目的を達成するための本発明は、ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服本体であって、前記ファン取付部は、当該空調衣服の服本体の服地を形成するシート状部材に設けられた、前記ファンを通すための略円形の開口孔と、内径が前記開口孔の直径よりも小さく、外形が前記開口孔の直径よりも大きい環状に形成され、一方の面が前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、を備えることを特徴とするものである。」
と記載されているのを
「上記の目的を達成するための本発明は、ファンを取り付けるためのファン取付部を備えた空調衣服の服本体であって、前記ファン取付部は、当該空調衣服の服本体の服地を形成するシート状部材に設けられた、前記ファンを通すための略円形の開口孔と、内径が前記開口孔の直径よりも小さく、外径が前記開口孔の直径よりも大きい環状に形成され、一方の面が前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部に固着され、前記シート状部材に比して非伸縮性であり、内側面が露出している補強手段を備え、前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記筒状部の外側に差し込んで前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え、前記ファンが取り付けられたときに、前記補強手段の内周側の端部が、前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれるとともに、前記シート状部材は前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれないことを特徴とするものである。」
に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1の「内径が前記開口孔の直径よりも小さく、外形が前記開口孔の直径よりも大きい環状に形成され、・・・補強手段を備え、」における「外形」との記載は、上記「内径」及び「前記開口孔の直径」との記載、並びに本件特許明細書の【0025】の「開口孔20の直径を補強部材30の内径よりも大きくする場合には、補強部材30の外径は開口孔20の直径よりも大きくしなければならない。」との記載に照らせば、「外径」の誤記であることは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正かについて
訂正事項1は、本件特許の願書に最初に添付した明細書の【0025】に「開口孔20の直径を補強部材30の内径よりも大きくする場合には、補強部材30の外径は開口孔20の直径よりも大きくしなければならない。」等の記載に基づくものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないかについて
訂正事項1は、前記(1)のとおり誤記の訂正を目的とするものであり、その訂正により実質上特許請求の範囲は変わらないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正後の請求項1~7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)訂正事項1についてのまとめ
以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであり、同条第5項~第7項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1の「一方の面が前記開口孔の周囲における前記シート状部材の端部に固着され、内側面が露出している補強手段と、を備えることを特徴とする空調衣服の服本体。」との発明特定事項に対して、「前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るとの発明特定事項を付加する訂正(以下「訂正事項2-1」という。)と、「前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記筒状部の外側に差し込んで前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え、前記ファンが取り付けられたときに、前記補強手段の内周側の端部が、前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれるとともに、前記シート状部材は前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれない」との発明特定事項を付加する訂正(以下「訂正事項2-2」という。)とからなる。
(1)訂正の目的について
ア 訂正事項2-1について
訂正事項2-1は、「補強手段」について「前記シート状部材に比して非伸縮性であ」るとの限定を付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項2-2について
訂正事項2-2は、「前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記筒状部の外側に差し込んで前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え」るとして、「ファン」の構成を特定するとともに、「ファン」の当該構成を前提に、「前記ファンが取り付けられたときに、前記補強手段の内周側の端部が、前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれるとともに、前記シート状部材は前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれない」として、「補強手段」と「シート状部材」の配置について特定するものであると解される。
よって、訂正事項2-2は、「補強手段」と「シート状部材」について限定を付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 小括
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正かについて
ア 訂正事項2-1について
本件特許明細書の【0009】の「空調服等に用いられるシート状部材は伸縮するので、」及び【0043】の「しかしながら、空調服等に使用するシート状部材10は伸縮性を有するので、」等の記載によれば、本件特許の明細書等には、空調服に用いられるシート状部材は伸縮性を有することが記載されているといえる。
また、本件特許明細書の【0019】の「このファン取付部付きシート1は、図1に示すように、シート状部材10と、開口孔20と、伸縮性のない扁平な環状の補強部材(補強手段)30とを備える。」及び【0023】の「この補強部材30の素材としては、洗濯可能なものであって、伸縮性があまりなく、しかも、縫合可能な素材が用いられる。具体的には、プラスチック、樹脂含浸布、人工皮革、伸縮性のないゴムのいずれかの素材を用いることができる。」等の記載によれば、本件特許の明細書等には、補強手段は伸縮性がない若しくは伸縮性があまりないことが記載されているといえる。
そして、上述のとおり、シート状部材は伸縮性を有するのに対し、補強手段は伸縮性がない若しくは伸縮性があまりないのであるから、補強手段は、シート状部材に比して非伸縮性であることは、本件特許の明細書等の記載から自明の事項である。
よって、訂正事項2-1は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
イ 訂正事項2-2について
訂正事項2-2の「前記ファンは、筒状部とその筒状部の側面と略垂直な方向に突出するように前記筒状部に設けられた突出部とを有するファン本体と、前記筒状部の外側に差し込んで前記突出部と対向する状態で前記ファン本体に装着される係止部材とを備え」との事項は、本件特許明細書の【0021】の「このファン100は、図2に示すように、モータやプロペラが収納されるファン本体110と、ファン本体110に装着される環状の係止部材120とを備える。ファン本体110は、筒状部111と、この筒状部111の上端から筒状部111の側面と略垂直な方向に突出するフランジ部112とを有する。・・・このため、係止部材120を筒状部111の外側に差し込んでファン本体110と係合させることにより、係止部材120を、フランジ部112と対向する状態でファン本体110に容易に装着することができる。」等の記載に基づくものである。
また、訂正事項2-2の「前記ファンが取り付けられたときに、前記補強手段の内周側の端部が、前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれるとともに、前記シート状部材は前記突出部と前記係止部材との間に挟み込まれない」との事項は、本件特許明細書の【0037】の「この場合には、図6に示すように、補強部材30の上側の面(表面)の一部だけがシート状部材10で覆われることになり、ファン100をファン取付部に取り付けたときには、開口孔20の周囲における補強部材30の端部だけが、フランジ部112の下側の面と係止部材120の上側の面との間で挟み込まれることになる。」及び以下の図6等の記載に基づくものである。
「【図6】
[図:0001435132000001.jpg]
」
よって、訂正事項2-2は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 小括
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないかについて
訂正事項2は、前記(1)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項2に係る訂正後の請求項1~7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)訂正事項2についてのまとめ
以上のとおり、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同条第5項~第7項の規定に適合する。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項8について、訂正事項1及び2と同様の訂正をするものであるから、前記1(1)及び2(1)と同様に、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないかについて
前記(1)のとおり、訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項8について、訂正事項1及び2と同様の訂正をするものであるから、前記1(2)及び(3)並びに2(2)及び(3)と同様に、誤記の訂正を目的とする訂正は願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないため、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)独立特許要件について
訂正事項3に係る訂正後の請求項8に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(4)訂正事項3についてのまとめ
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであり、同条第5項~第7項の規定に適合する。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正事項4は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正か、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないかについて
訂正事項4は、前記(1)のとおり、訂正事項1及び2に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るための訂正であるから、前記1(2)及び(3)並びに2(2)及び(3)と同様に、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項4についてのまとめ
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、同条第5項及び第6項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合する。
したがって、本件訂正は適法にされたものであるから、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
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