特許訂正審判
2023-390018
ロータ用無方向性電磁鋼板及びロータ用無方向性電磁鋼板の製造方法
- 審判番号
- 2023-390018
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-073558外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6497176
- 請求日
- 2023年02月15日
- 審決日
- 2024年02月19日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (C21D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6497176号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6497176号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6497176号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成27年3月31日の出願であって、平成31年3月22日に特許権の設定登録がされ、その後、令和5年2月15日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6497176号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、請求人が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(審決注:下線部分は訂正箇所であり、請求人が訂正特許請求の範囲において示したとおりである。また、「・・・」は記載の省略を表す。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「使用時の鉄心の温度が100℃以上300℃以下となる設計のモータのロータ部分の鉄心素材として用いられる無方向性電磁鋼板であり、
質量%で、
C:0.0020%~0.0100%
P,Snの少なくとも何れか一方:それぞれ0.01%~0.20%
Si:2.0%~4.0%
sol-Al:0.3%~2.0%
Mn:0.2%~1.0%
を含有し、かつ、
N、Nb、Zr、Ti、Vの少なくとも何れかを、下記式(1)で表わされるCfreeの値が0.002≦Cfree≦0.005となるように含有し、
残部がFe及び不純物であり、
15℃での引張強さTSをTS(RT)とし、100℃以上300℃以下でのTSの最低値をTS(Min)としたとき、TS(Min)/TS(RT)≧0.9である、ロータ用無方向性電磁鋼板。
・・・」
と記載されていたものについて、「Si:2.0%~4.0%」を「Si:2.3%~4.0%」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「請求項1に記載されたロータ用無方向性電磁鋼板の製造方法であって、
化学成分として、質量%で、
C:0.0020%~0.0100%
P,Snの少なくとも何れか一方:それぞれ0.01%~0.20%
Si:2.0%~4.0%
sol-Al:0.3%~2.0%
Mn:0.2%~1.0%
を含有し、かつ、
N、Nb、Zr、Ti、Vの少なくとも何れかを含有し、当該N、Nb、Zr、Ti、Vの含有量が、下記式(1)で表わされるCfreeの値が0.002≦Cfree≦0.005となるように制御されており、
残部がFe及び不純物である無方向性電磁鋼板スラブを、冷間圧延板とした後、
仕上げ焼鈍において、焼鈍温度を900℃以上で行い、冷却時の800℃以下500℃以上の温度域における冷却速度を25℃/秒超過とする、ロータ用無方向性電磁鋼板の製造方法。
・・・」
と記載されていたものについて、「Si:2.0%~4.0%」を「Si:2.3%~4.0%」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1、2について
(1)訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、請求項1に記載された無方向性電磁鋼板に含有されるSiの含有量の数値範囲を「Si:2.0%~4.0%」から「Si:2.3%~4.0%」に減縮するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項2に係る訂正は、請求項2に記載された無方向性電磁鋼板スラブに含有されるSiの含有量の数値範囲を「Si:2.0%~4.0%」から「Si:2.3%~4.0%」に減縮するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
よって、訂正事項1、2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無
本件特許についての願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)には、以下の記載がある。
「【0044】
[Si:2.0%~4.0%]
Siは、電磁鋼板の固有抵抗を高める元素であり、鉄損の低減に有効であることに加えて、安価に固有抵抗を高めることが出来るとの経済的な理由から、2.0%以上を含有することが好ましい。一方で、Siの含有量が多いほど鉄損には有効であるが、多すぎると脆化して製造途中での破断リスクを著しく増大することから、Siの含有量の上限を4.0%とすることが好ましい。Siの含有量は、より好ましくは、2.5%~3.3%である。」
「【実施例】
【0062】
(実施例1)
以下の表2に示すような成分の無方向性電磁鋼板インゴットを、真空溶解により溶製した。得られた無方向性電磁鋼板インゴットを、熱間圧延で板厚t=2.1mmの熱延板とし、1000℃×40秒の熱延板焼鈍を施した後、酸洗し、冷間圧延により板厚t=0.30mmの冷延板とした。その後、表2に示すような仕上げ焼鈍温度及び冷却速度条件で仕上げ焼鈍を行い、更に、絶縁コーティングを施した。」
「【0065】
【表2】
[図:0001410154000001.jpg]
」
ここで、【実施例】の記載によると、表2に示されるNo.4(発明例)の無方向性電磁鋼板は、Si含有量が2.3mass%(質量%)の無方向性電磁鋼板インゴットを圧延、焼鈍等して製造したものであるところ、インゴットは鋳型に流し込んで固めたものであるのに対して、無方向性電磁鋼板製造の実操業においては連続鋳造によってインゴットの代わりにスラブを製造してから圧延、焼鈍等するのが技術常識であるから、本件明細書には、Si含有量が2.3mass%(質量%)の無方向性電磁鋼板スラブが記載されているに等しいと認められる。
また、一般に圧延、焼鈍等の前後で鋼の化学成分が変化しないことも技術常識であるから、本件明細書には、Si含有量が2.3mass%(質量%)の無方向性電磁鋼板も記載されているに等しいと認められる。
そうすると、請求項1、2に記載されたSiの含有量の数値範囲を「Si:2.0%~4.0%」から「Si:2.3%~4.0%」に減縮する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであるといえる。
よって、訂正事項1、2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記(1)のとおり、訂正事項1、2に係る訂正は、請求項1、2に記載されたSiの含有量の数値範囲を「Si:2.0%~4.0%」から「Si:2.3%~4.0%」に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1、2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項1、2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件訂正後の請求項1、2に係る発明は、それぞれ特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなくてはならない。
そして、当該発明がそれぞれ特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は発見しない。
よって、訂正事項1、2に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項から第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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