特許訂正審判
2024-390047
回転機用無方向性電磁鋼板とその製造方法
- 審判番号
- 2024-390047
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2002-050069外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 4023183
- 請求日
- 2024年05月28日
- 審決日
- 2024年08月09日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (C22C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第4023183号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第4023183号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第4023183号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成14年 2月26日の出願であって、平成19年10月12日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、令和 6年 5月28日に本件訂正審判の請求がされ、同年 6月24日に上申書が提出された。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4023183号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、訂正箇所には、当審が下線を付した。
1 訂正事項1
(1)訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1に、「Si:2.6%~4%」とあるのを、「Si:2.6%~3.5%」に訂正する。
(2)訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1に、
「平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」とあるのを、
「平均鉄損値W15/200(a)が15.6W/kg以下であり、W15/200(0)はW15/200(20)より小さく、かつ、W15/200(20)が18.5W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
2 訂正事項2
(1)訂正事項2-1
特許請求の範囲の請求項2に、「Si:2.6%~4%」とあるのを、「Si:2.6%~3.5%」に訂正する。
(2)訂正事項2-2
特許請求の範囲の請求項2に、
「平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」とあるのを、
「平均鉄損値W15/200(a)が15.6W/kg以下であり、W15/200(0)はW15/200(20)より小さく、かつ、W15/200(20)が18.5W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」に訂正する。
(請求項2の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
3 訂正事項3
(1)訂正事項3-1
特許請求の範囲の請求項3に、「Si:2.6%~4%」とあるのを、「Si:2.6%~3.5%」に訂正する。
(2)訂正事項3-2
特許請求の範囲の請求項3に、
「平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」とあるのを、
「平均鉄損値W15/200(a)が15.6W/kg以下であり、W15/200(0)はW15/200(20)より小さく、かつ、W15/200(20)が18.5W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」に訂正する。
(請求項3の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
4 訂正事項4
(1)訂正事項4-1
特許請求の範囲の請求項4に、「Si:2.6%~4%」とあるのを、「Si:2.6%~3.5%」に訂正する。
(2)訂正事項4-2
特許請求の範囲の請求項4に、
「平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」とあるのを、
「平均鉄損値W15/200(a)が15.6W/kg以下であり、W15/200(0)はW15/200(20)より小さく、かつ、W15/200(20)が18.5W/kg以下であることを特徴とする回転機用無方向性電磁鋼板。」に訂正する。
(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)
第4 訂正の適否についての当審の判断
1 訂正事項1-1に係る訂正について
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項1-1に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項1において、回転機用無方向性電磁鋼板のSi含有量について、その上限値を「4%」から「3.5%」に限定して特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。」)の段落【0043】には、「Si:2.6~4% Siは鋼の比抵抗を高め、鉄損を低減させる作用があり、すくなくとも2.6%以上含有させる。しかし多くなりすぎると鋼が硬く脆くなって、冷間圧延時の破断が生じやすくなり、鋼板の打抜き時の金型摩耗が著しくなるなど生産性を低下させるので、多くても4%までとする。望ましいのは2.6~3.5%である。」との記載があるから、訂正事項1-1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記(1)のとおり、訂正事項1-1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 訂正事項1-2に係る訂正について
(1)訂正の目的の適否について
ア 訂正事項1-2において、「平均鉄損値W15/200(a)が16W/kg以下である」を、「平均鉄損値W15/200(a)が15.6W/kg以下であり、」とする訂正は、特許請求の範囲の請求項1において、回転機用無方向性電磁鋼板の平均鉄損値W15/200(a)(={W15/200(0)+W15/200(20)}/2)について、その上限値を「16W/kg」から「15.6W/kg」に限定して特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
イ 訂正事項1-2において、「16W/kg以下である」の後に、「W15/200(0)はW15/200(20)より小さく、」を加える訂正は、特許請求の範囲の請求項1において、回転機用無方向性電磁鋼板の平均鉄損値W15/200(a)の構成要素である、W15/200(0)とW15/200(20)との大小関係を新たに、「W15/200(0)はW15/200(20)より小さく」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
ウ 訂正事項1-2において、「ことを特徴とする」の前に、「かつ、W15/200(20)が18.5W/kg以下である」を加える訂正は、特許請求の範囲の請求項1において、回転機用無方向性電磁鋼板の平均鉄損値W15/200(a)の構成要素である、W15/200(20)について、その上限を新たに特定し、「18.5W/kg以下」の範囲に特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
エ 以上のとおりであるから、訂正事項1-2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
ア 本件明細書の段落【0071】の表3には、試番3として、平均鉄損値W15/200(a)の値が15.6W/kgであることが記載されているから、訂正事項1-2の上記(1)アの部分に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
イ 本件明細書の段落【0018】には、「無負荷の場合の鉄損と、負荷をかけた場合の鉄損とを対比してみると、応力を負荷すれば鉄損値は増大する」ことが記載されている。ここで、請求項1に記載されるとおり、「W15/200(0)」は、「無負荷のときの」鉄損値であり、「W15/200(20)」は、「20MPaの応力を負荷したときの」鉄損値であるから、「W15/200(20)」は、「W15/200(0)」よりも大きい値となるといえる。また、本件明細書の表3の測定結果をみても、「応力なし」の鉄損値は、いずれも、「応力負荷(20MPa)」の鉄損値よりも小さい。
そうすると、本件明細書には、「W15/200(0)はW15/200(20)より小さく」との事項が記載されていると認められるから、訂正事項1-2の上記(1)イの部分に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 上記(1)アのとおり、特許請求の範囲の請求項1には、平均鉄損値W15/200(a)について、その上限を特定し、その上限値以下の範囲とすることが記載されているから、その構成要素である、W15/200(20)についても、その上限を特定し、その上限値以下の範囲とすることも記載されていると認められる。
また、本件明細書の段落【0002】に記載のとおり、回転機用無方向性電磁鋼板において、すぐれた磁気特性(低鉄損、高磁束密度)を備えていることが求められる(鉄損については、その値が小さいことが求められる)ことは技術常識であるから、優れた磁気特性の指標として、鉄損値の一つであるW15/200(20)についても、その上限を特定し、その上限値以下の範囲とすることは、本件明細書に記載されているに等しい事項である。
そして、段落【0071】の表3には、試番3として、W15/200(20)の値が18.5W/kgであること、及び、試番3以外の本発明範囲のものについて、W15/200(20)の値が18.5W/kg以下であることが記載されている。
以上によれば、本件明細書には、W15/200(20)について、その上限を特定し、「18.5W/kg以下」の範囲とすることも記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項1-2の上記(1)ウの部分に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
エ 以上のとおりであるから、訂正事項1-2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記(1)のとおり、訂正事項1-2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 訂正事項2-1、3-1、4-1に係る訂正について
これらの訂正事項に係る訂正は、上記1で検討した、訂正事項1-1と同様の訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
4 訂正事項2-2、3-2、4-2に係る訂正について
これらの訂正事項に係る訂正は、上記2で検討した、訂正事項1-2と同様の訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
5 独立特許要件について
訂正事項1~4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件訂正後の請求項1~5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないところ、本件訂正後の請求項1~5に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は見いだせない。
よって、訂正事項1~4に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
6 一群の請求項について
本件訂正前の請求項5は、請求項1~4のそれぞれの記載を引用するものであり、訂正事項1~4によって記載が訂正される請求項1~4に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~5は一群の請求項である。
そして、本件訂正審判の請求は、一群の請求項ごとにされたものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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