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特許異議申立

2022-701138

一本鎖RNA編集オリゴヌクレオチド

審判番号
2022-701138
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-567204外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7074345
請求日
2022年11月18日
審決日
2024年04月25日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.536-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7074345号発明「一本鎖RNA編集オリゴヌクレオチド」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7074345号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、5~20〕について訂正することを認める。 特許第7074345号の請求項1及び5~20に係る特許を維持する。 特許第7074345号の請求項2~4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7074345号の請求項1~20に係る特許についての出願は、平成29年6月22日(パリ条約による優先権主張 2016年6月22日、2016年8月30日、2017年2月21日、2017年4月20日 いずれも(GB)英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国))を国際出願日とする出願であって、令和4年5月16日にその特許権の設定登録がされ、同年5月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~20に係る特許について、同年11月18日に特許異議申立人 吉川 雅也により特許異議の申立てがされたものである。 その後の手続の経緯は、次のとおりである。 令和5年 3月30日付け : 取消理由通知書 同年 7月 4日 : 意見書(特許権者) 同年10月11日付け : 取消理由通知書(決定の予告) 同年12月14日 : 訂正請求書、意見書(特許権者) 令和6年 1月 5日 : 上申書(特許異議申立人) 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年12月14日付けの訂正請求書の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、「請求項1~4のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に、「請求項1~5のいずれか一項」と記載されているのを「請求項1または5」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項8に、「請求項1~7のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1および5~7のいずれか一項」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11に、「請求項1~10のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1および5~10のいずれか一項」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項12に、「請求項1~11のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1および5~11のいずれか一項」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項14に、「請求項1~13のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1および5~13のいずれか一項」に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項15に、「請求項1~13のいずれか」と記載されているのを、「請求項1および5~13のいずれか」に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項16に、「請求項1~13のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1および5~13のいずれか一項」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項17に、「請求項1~13のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1および5~13のいずれか一項」に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項19に、「請求項1~13のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1および5~13のいずれか一項」に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項5~20は、訂正前の請求項2~4を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項2~4に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項2~20は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 したがって、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項について請求されたものである。 3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、新規事項追加の有無、独立特許要件 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項1は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項1は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否 訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項2は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項2は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的の適否 訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項3は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項3は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的の適否 訂正事項4は、訂正前の請求項5が、訂正前の「請求項1~4のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項4は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項4は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的の適否 訂正事項5は、訂正前の請求項6が、訂正前の「請求項1~5のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1または5」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項5は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項5は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (6)訂正事項6について ア 訂正の目的の適否 訂正事項6は、訂正前の請求項8が、訂正前の「請求項1~7のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~7のいずれか一項」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項6は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項6は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (7)訂正事項7について ア 訂正の目的の適否 訂正事項7は、訂正前の請求項11が、訂正前の「請求項1~10のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~10のいずれか一項」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項7は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項7は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (8)訂正事項8について ア 訂正の目的の適否 訂正事項8は、訂正前の請求項12が、訂正前の「請求項1~11のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~11のいずれか一項」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項8は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項8は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (9)訂正事項9について ア 訂正の目的の適否 訂正事項9は、訂正前の請求項14が、訂正前の「請求項1~13のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~13のいずれか一項」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項9は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項9は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (10)訂正事項10について ア 訂正の目的の適否 訂正事項10は、訂正前の請求項15が、訂正前の「請求項1~13のいずれか」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~13のいずれか」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項10は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項10は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (11)訂正事項11について ア 訂正の目的の適否 訂正事項11は、訂正前の請求項16が、訂正前の「請求項1~13のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~13のいずれか一項」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項11は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項11は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項11に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (12)訂正事項12について ア 訂正の目的の適否 訂正事項12は、訂正前の請求項17が、訂正前の「請求項1~13のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~13のいずれか一項」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項12は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項12は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項12に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (13)訂正事項13について ア 訂正の目的の適否 訂正事項13は、訂正前の請求項19が、訂正前の「請求項1~13のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1および5~13のいずれか一項」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項13は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 新規事項追加の有無 訂正事項13は、訂正前の請求項2~4の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項13に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 4 まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、5~20〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認容されるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~20に係る発明(以下、「本件発明1~20」という。)は、令和5年12月14日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。下線は訂正箇所を示すものである。 「【請求項1】 細胞内に存在するADAR酵素による標的RNA中に存在する標的アデノシンの脱アミノ化のための、細胞内で標的RNAと二本鎖複合体を形成することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)であって: a)前記AONは、前記標的アデノシンを含む標的RNA領域に相補的であり、前記AONは、前記相補的標的RNA領域と1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを含み; b)前記AONは、1つまたは複数の糖修飾を有する1つまたは複数のヌクレオチドを含み、ただし、前記標的アデノシンに対向するヌクレオチドは、2’-OH基を有するリボースまたは2’-H基を有するデオキシリボースを含み; c)前記AONは、ADAR酵素に結合することができる分子内ステムループ構造を形成することができる部分を含まず; d)前記AONは、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含まず; e)前記AONは、5’末端アミノ修飾を含まず; f)前記AONは、SNAPタグドメインに共有結合していない、AON。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 前記標的アデノシンに対向する前記ヌクレオチドが、シチジン、デオキシシチジン、ウリジン、またはデオキシウリジンである、請求項1のいずれか一項に記載のAON。 【請求項6】 前記標的アデノシンに対向する前記ヌクレオチドからすぐ5’および/または3’にあるヌクレオチドが、2’-OH基を有するリボース、または2’-H基を有するデオキシリボースを含む、請求項1または5に記載のAON。 【請求項7】 前記AON中の他の全てのヌクレオチドが、2’-O-アルキル基、好ましくは2’-O-メチル基を含む、請求項5または6に記載のAON。 【請求項8】 少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含む、請求項1および5~7のいずれか一項に記載のAON。 【請求項9】 前記AONの5’末端および3’末端の2、3、4、5、または6個の末端ヌクレオチドが、ホスホロチオエート連結で結合している、請求項8に記載のAON。 【請求項10】 5’および3’末端の5個の末端ヌクレオチドが、ホスホロチオエート連結で結合している、請求項9に記載のAON。 【請求項11】 10、11、12、13、14、15、16または17ヌクレオチドより長い、請求項1および5~10のいずれか一項に記載のAON。 【請求項12】 100ヌクレオチドより短い、好ましくは60ヌクレオチドより短い、請求項1および5~11のいずれか一項に記載のAON。 【請求項13】 18~70ヌクレオチド、好ましくは18~60ヌクレオチド、より好ましくは18~50ヌクレオチドを含む、請求項11または12に記載のAON。 【請求項14】 請求項1および5~13のいずれか一項に記載のAONおよび医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。 【請求項15】 遺伝的障害の治療または予防用の、請求項1および5~13のいずれかに記載のAONを含む医薬組成物であって、前記遺伝的障害は、好ましくは、嚢胞性線維症、ハーラー症候群、アルファ-1-抗トリプシン(A1AT)欠損症、パーキンソン病、アルツハイマー病、白皮症、筋萎縮性側索硬化症、喘息、β-サラセミア、カダシル(Cadasil)症候群、シャルコー・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、遠位型脊髄性筋萎縮症(DSMA)、デュシェンヌ/ベッカー型(Duchenne/Becker)筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連疾患、家族性腺腫、ポリポーシス、ガラクトース血症、ゴーシェ病(Gaucher's Disease)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス(Hereditary Hematochromatosis)、ハンター症候群、ハンチントン病、炎症性腸疾患(IBD)、遺伝性多凝集反応症候群(Inherited polyagglutination syndrome)、レーバー先天黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィーI型およびII型、神経線維腫症、ニーマン・ピック病タイプA、BおよびC、NY-eso1関連がん、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性繊毛病(Primary Ciliary Disease)、プロトロンビンG20210A変異のようなプロトロンビン変異関連障害、肺高血圧症、網膜色素変性症、サンドホフ病、重症複合型免疫不全症候群(SCID)、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、スタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、X連鎖免疫不全、および癌からなる群から選択される、医薬組成物。 【請求項16】 遺伝的障害の治療または予防のための薬剤の製造における請求項1および5~13のいずれか一項に記載のAONの使用であって、前記遺伝的障害は、好ましくは、嚢胞性線維症、ハーラー症候群、アルファ-1-抗トリプシン(A1AT)欠損症、パーキンソン病、アルツハイマー病、白皮症、筋萎縮性側索硬化症、喘息、β-サラセミア、カダシル症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、遠位型脊髄性筋萎縮症(DSMA)、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連疾患、家族性腺腫、ポリポーシス、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス、ハンター症候群、ハンチントン病、炎症性腸疾患(IBD)、遺伝性多凝集反応症候群、レーバー先天黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィーI型およびII型、神経線維腫症、ニーマン・ピック病タイプA、BおよびC、NY-eso1関連がん、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性繊毛病、プロトロンビンG20210A変異のようなプロトロンビン変異関連障害、肺高血圧症、網膜色素変性症、サンドホフ病、重症複合型免疫不全症候群(SCID)、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、スタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、X連鎖免疫不全、および癌からなる群から選択される、AONの使用。 【請求項17】 細胞内の標的RNAに存在する少なくとも1つの標的アデノシンの脱アミノ化のための、細胞をエクスビボで処理する方法であって: (i)請求項1および5~13のいずれか一項に記載のAONを前記細胞に提供するステップ; (ii)前記AONを前記細胞に取り込ませるステップ; (iii)前記AONを前記標的RNAにアニーリングさせるステップ; (iv)野生型酵素に見出されるような天然dsRNA結合ドメインを含むADAR酵素により、前記標的RNA中の前記標的アデノシンをイノシンに脱アミノ化させるステップ;および (v)任意選択で、前記標的RNA中の前記イノシンの存在を同定するステップを含む方法。 【請求項18】 ステップ(v)が: a)前記標的RNA配列を配列決定するステップ; b)脱アミノ化によってUGGコドンに編集されるUGAまたはUAG終止コドン内に前記標的アデノシンが位置する場合、機能的な、伸長した、全長のおよび/または野生型のタンパク質の存在を評価するステップ; c)両方の標的アデノシンの脱アミノ化によってUGGコドンに編集されるUAA終止コドン内に2つの標的アデノシンが位置する場合、機能的な、伸長した、全長のおよび/または野生型のタンパク質の存在を評価するステップ; d)プレmRNAのスプライシングが脱アミノ化によって変化したか否かを評価するステップ;または e)機能的読み出しを使用するステップであって、ここで前記脱アミノ化後の前記標的RNAが、機能的な、全長の、伸長したおよび/または野生型のタンパク質をコードする、ステップ を含む、請求項17に記載の方法。 【請求項19】 前記標的RNA配列が、CFTR(例えば、1784G>A変異を編集するため)、CEP290(例えば、c.2991+1655A>G変異を編集するため)、アルファ1-抗トリプシン(A1AT;例えば、9989G>A変異;もしくは1096G>A変異を編集するため)、LRRK2(例えば、G6055変異を編集するため)、BDNF(例えば、RNAレベルでVal66Met変異を修復するため)をコードするか、または前記標的RNAがIDUA遺伝子によってコードされる(例えば、c.1205G>A(W402X)変異を編集するため)、請求項1および5~13のいずれか一項に記載のAON。 【請求項20】 前記標的RNA配列が、CFTR(例えば、1784G>A変異を編集するため)、CEP290(例えば、c.2991+1655A>G変異を編集するため)、アルファ1-抗トリプシン(A1AT;例えば、9989G>A変異;もしくは1096G>A変異を編集するため)、LRRK2(例えば、G6055変異を編集するため)、BDNF(例えば、RNAレベルでVal66Met変異を修復するため)をコードするか、または前記標的RNAがIDUA遺伝子によってコードされる(例えば、c.1205G>A(W402X)変異を編集するため)、請求項17または18のいずれかに記載の方法。」 第4 当審が通知した取消理由の概要及び特許異議申立の理由の概要 1 当審が通知した取消理由について (1)令和5年3月30日付け取消理由通知に記載した取消理由について 訂正前の請求項1~20に係る特許に対して、当審が令和5年3月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件特許の請求項1~20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 本件特許の請求項2~13に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項2~13に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるか、あるいは、本件特許の請求項2~13に係る発明は、甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 また、本件特許の請求項14~20に係る発明は、甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14~20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)令和5年10月11日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 訂正前の請求項1~20に係る特許に対して、当審が令和5年10月11日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件特許の請求項2~13に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項2~13に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるか、あるいは、本件特許の請求項2~13に係る発明は、甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 また、本件特許の請求項14~20に係る発明は、甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14~20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 特許異議申立の理由の概要及び証拠方法について 特許異議申立人が、訂正前の請求項1~20に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の概要及び証拠方法は、次のとおりである。 (1)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如) 請求項1~20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものであり、また、請求項1~20に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (2)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如) 請求項1~20に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものであり、また、請求項1~20に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (3)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第3号証を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如) 請求項1~20に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものであり、また、請求項1~20に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1~2、4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (4)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第4号証を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如) 請求項1~20に係る発明は、甲第4号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものであり、また、請求項1~20に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び甲第1~3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 (5)特許法第36条第6項第1号及び第36条第4項第1号 本件発明の詳細な説明には、「【図8】・・・・・・ADAR56-2、ADAR57-2およびADAR58-2では有意なシフトは観察されなかった」と記載され(【図面の簡単な説明】)、「結果(図4参照)は、これらの条件下で、オリゴヌクレオチドADAR65-2およびADAR93-1を用いたトランスフェクションは、変異体Idua mRNAのみを発現する、オリゴヌクレオチド処理されていない細胞(NT)由来の試料で得られた蛍光と比較して、酵素活性のわずかな改善(2倍未満)しかもたらさなかったことを明らかに示している。」と記載されている(【0104】)ように、本件発明に対応する実施例であっても、「引用文献1により想定される効果を大きく超える、驚くべき効果」を奏するとは限らなく、本件発明の詳細な説明に記載されている発明は、特定のオリゴヌクレオチド配列によって「引用文献1により想定される効果を大きく超える、驚くべき効果」を奏する発明である。 よって、請求項1~20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 したがって、請求項1~20に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消すべきものである。 また、本件発明の詳細な説明は、当業者が、請求項1~20に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 したがって、請求項1~20に係る発明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1~20に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消すべきものである。 (6)証拠方法 ア 甲第1号証:J.Am.Chem.Soc.(2003)Vol.125,p.10867-10876 イ 甲第2号証:Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)Vol.92,p.8298-8302 ウ 甲第3号証:Angew.Chem.Int.Ed.(2014)Vol.53,p.6267-6271 エ 甲第4号証:RNA(2001)Vol.7,p.846-858 第5 甲号証の記載 甲第1号証~甲第4号証には、以下の事項が記載されている(英語で記載されているので、日本語訳で摘記する。下線は合議体による。)。 1 甲第1号証:J.Am.Chem.Soc.(2003)Vol.125,p.10867-10876 (甲1-1)「 [図:0001414140000001.jpg] アザ効果を測定するために生成された二本鎖RNA基質・・・・・・」(図7) (甲1-2)「 [図:0001414140000002.jpg] ADAR2による脱アミノ化アッセイに使用する合成オリゴヌクレオチド二本鎖基質・・・・・・」(図4) 2 甲第2号証:Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)Vol.92,p.8298-8302 (甲2-1)「 [図:0001414140000003.jpg] 図2.本研究に使用する相補的RNAオリゴヌクレオチドの配列が示される。・・・・・・」(図2) (甲2-2)「治療への応用のためには、修正を行うRNAオリゴヌクレオチドがヌクレアーゼに対して安定されている必要がある。そこで、我々は、ヌクレアーゼ耐性である修正RNAオリゴヌクレオチドについて、in vitroで復帰活性を調べた。」(第8300頁右欄第24行~第27行) 3 甲第3号証:Angew.Chem.Int.Ed.(2014)Vol.53,p.6267-6271 (甲3-1)「 [図:0001414140000004.jpg] 図3.F5ライデン多型の修復・・・・・・」(図3C) (甲3-2)「 [図:0001414140000005.jpg] 図1.eCFP mRNAの終止66コドンの編集における化学的に修飾されたガイドRNAの効果(・・・;標的アデノシンはアスタリスクで表示;2’-O-メチル基で修飾された塩基は、赤の小文字で表され、ホスホロチオエート連結は、緑の「s」で表される。)」(図1F) (甲3-3)「アンチセンスオリゴマーは、よくリボース骨格で広く修飾される。典型的な例は、・・・2’-O-メチル基、末端ホスホロチオエート基を含むアンタゴニストである。そのような修飾は、プローブをヌクレアーゼ耐性にさせる。」(第6267頁右欄下から第8行~第3行) (甲3-4)「ガイドRNAの化学修飾によるインビトロおよび細胞培養における部位特異的RNA編集の改善」(表題) (甲3-5)「アデノシンのイノシンへの脱アミノ化は、・・・・・・」(要約) (甲3-6)「RNA編集を指示するために、我々は、タンパク質誘導ヒトADAR1(RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ)を、そのC末端触媒ドメインをSNAPタグに融合させることにより、ガイドRNA依存性酵素に設計した(スキーム1)。[2]SNAPタグ[3]により、5’末端にO6-ベンジルグアニン(BG)修飾を有するガイドRNAとの完全に1対1に規定されたコンジュゲートの形成が可能になる。」(第6267頁左欄下から第13行~第7行) (甲3-7)「5’-BG修飾したガイドRNAの代わりに5’-アミノ(NH2)修飾したガイドRNAを適用すると、通常、インビトロ編集条件に応じて編集活性が低下するか、さらには消滅する。[2]そこで、我々は、対応するNH2ガイドRNAの存在下で細胞の転写修復を試験した。」(第6269頁右欄第6行~第10行) (甲3-8)「・・・・・・ガイドRNA/mRNA二本鎖内に・・・・・・」(第6270頁左欄下から第11行) 4 甲第4号証:RNA(2001)Vol.7,p.846-858 (甲4-1)「 [図:0001414140000006.jpg] 」(図2) (甲4-2)「 [図:0001414140000007.jpg] 」(図4A) 第6 当審の判断 1 令和5年3月30日付け取消理由通知に記載した取消理由について (1)特許法第29条第2項(甲第1号証を主引用例とする進歩性欠如) ア 本件発明1について 甲第1号証には、ADAR酵素によるRNA編集に使用する二本鎖RNA基質のオリゴヌクレオチドが記載されている(上記記載事項(甲1-1)、(甲1-2))が、当該オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の糖修飾を有する1つまたは複数のヌクレオチドを含むものではないから、本件発明1は、AONが1つまたは複数の糖修飾を有する1つまたは複数のヌクレオチドを含むのに対し、甲第1号証に記載されたオリゴヌクレオチドは、そのようなヌクレオチドを含んでいない点で少なくとも相違する。 上記相違点について検討する。 ヌクレアーゼ耐性を付与するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドに糖修飾を有するヌクレオチドを含ませるようにすることは、本願優先日前周知技術である(上記記載事項(甲2-1)~(甲2-2)、上記記載事項(甲3-1)~(甲3-3))ものの、甲第1号証に記載されているオリゴヌクレオチドは、インビトロ反応系において、二本鎖RNA基質として、ADAR酵素による脱アミノ化アッセイに使用されている(上記記載事項(甲1-1)、(甲1-2)、等)だけであり、甲第1号証に記載されているオリゴヌクレオチドを、インビトロ反応系以外の系、例えば、本件発明1のような細胞内で使用することを動機付ける記載は甲第1号証には示されていないから、甲第1号証に記載されているオリゴヌクレオチドに、糖修飾を有するヌクレオチドを含ませるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 よって、甲第2~4号証の記載から、甲第1号証に記載されているオリゴヌクレオチドに、糖修飾を有するヌクレオチドを含ませるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 イ 本件発明5~20について 本件発明5~20は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 特許異議申立人の意見について 特許異議申立人は、令和6年1月5日付け上申書において、甲第1号証には、「オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与する必要性が、・・・存在しない」という記載があるわけでも、「オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与することが不要である」という記載があるわけでもない旨主張しているが、甲第1号証に「オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与する必要性が、・・・存在しない」という記載がないことや、甲第1号証に「オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与することが不要である」という記載がないことが、甲第1号証に記載されているオリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与することの根拠になるとはいえないから、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 また、特許異議申立人は、同上申書において、アッセイに使用されている「RNasin」は、RNA分解酵素を阻害するものであり、ヌクレアーゼを阻害するものであるから、甲第1号証のインビトロ反応系においてヌクレアーゼ耐性を付与することは、甲第1号証において明確に意識されている旨主張しているが、甲第1号証には、「RNasin」をどのような目的で使用しているのか何ら記載されておらず、「RNasin」がRNA分解酵素を阻害するものであったとしても、インビトロ反応系においてそのようなRNA分解酵素阻害剤を使用することが、甲第1号証に記載されているオリゴヌクレオチドに、糖修飾を有するヌクレオチドを含ませるようにすることの動機付けになるとはいえないから、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 エ まとめ 以上のとおり、本件発明1、5~20は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とすることはできない。 2 令和5年10月11日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について 本件発明1、5~20は、上記取消理由通知(決定の予告)が対象としていない発明である。 3 取消理由通知書で採用しなかった申立理由について (1)特許法第29条第1項第3号(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如) 上記1(1)アで述べたように、本件発明1は、AONが1つまたは複数の糖修飾を有する1つまたは複数のヌクレオチドを含むのに対し、甲第1号証に記載されているオリゴヌクレオチドは、そのようなヌクレオチドを含んでいない点で相違するから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明とはいえない。 また、本件発明5~20は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明とはいえない。 したがって、本件発明1、5~20は、甲第1号証に記載された発明とはいえない。 (2)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如) 甲第2号証には、2’-O-メチル基を含む、RNA編集に使用するRNAオリゴヌクレオチドが記載されている(上記記載事項(甲2-1))が、当該オリゴヌクレオチドは、相補的標的RNA領域と1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを含むものではないから、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明とはいえない。 また、本件発明5~20は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第2号証に記載された発明とはいえない。 甲第2号証には、甲第2号証に記載されている上記RNAオリゴヌクレオチドに、相補的標的RNA領域と1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを設けることは記載も示唆もされておらず、また、甲第1、3~4号証にも、甲第2号証に記載された発明において相補的標的RNA領域と1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを設けることの動機付けになるような記載はないから、甲第1、3~4号証の記載から、甲第2号証に記載されているRNAオリゴヌクレオチドに、相補的標的RNA領域と1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを設けることは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 よって、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件発明5~20は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、本件発明1、5~20は、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第3号証を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如) ア 本件発明1について 上記記載事項(甲3-6)から、上記記載事項(甲3-1)中のガイドRNAは、5’-BG-UAUUCcuCGCCUGUで表されるガイドRNAであり、上記記載事項(甲3-2)中のガイドRNAは、5’-BG-gaacaccCCAgcascsasgsaで表されるガイドRNA(下線は、標的アデノシンに対向するヌクレオチド)であると認められる。 そうすると、上記記載事項(甲3-1)~(甲3-2)、(甲3-4)~(甲3-8)から、甲第3号証には、「ADAR酵素による標的RNA中に存在する標的アデノシンの脱アミノ化のための、細胞内で標的RNAと二本鎖複合体を形成することができるガイドRNAであって、 5’-BG-UAUUCcuCGCCUGU または、 5’-BG-gaacaccCCAgcascsasgsa で表されるガイドRNA(下線は、標的アデノシンに対向するヌクレオチド)、 または、5’-BG修飾の代わりに5’-アミノ修飾したガイドRNA。」の発明が記載されている。 本件発明1と甲第3号証に記載された発明を対比すると、本件発明1は、AONが、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含まず、5’末端アミノ修飾を含まないのに対し、甲第3号証に記載された発明は、ガイドRNAが、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含むか、または、5’末端アミノ修飾を含む点で少なくとも相違する。 よって、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明とはいえない。 また、本件発明5~20は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第3号証に記載された発明とはいえない。 次に、上記相違点について検討する。 上記記載事項(甲3-1)~(甲3-2)、(甲3-6)~(甲3-7)から、甲第3号証に記載されているガイドRNAは、5’末端にO6-ベンジルグアニン(BG)修飾を有することを必須としており、ADAR酵素のC末端触媒ドメインをSNAPタグに融合させた融合タンパク質とのコンジュゲートにより、RNA編集が可能になるものである。 そして、上記記載事項(甲3-7)の「5’-BG修飾したガイドRNAの代わりに5’-アミノ(NH2)修飾したガイドRNAを適用すると、通常、インビトロ編集条件に応じて編集活性が低下するか、さらには消滅する。」という記載は、ADAR酵素とコンジュゲートできない場合には、編集活性が低下するか消滅することを意味しており、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含まないガイドRNAを使用することを妨げる記載であり、また、甲第3号証には、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含まず、5’末端アミノ修飾を含まないガイドRNAを使用することを動機付ける記載はないから、甲第3号証に記載された発明において、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含むガイドRNA、または、5’末端アミノ修飾を含むガイドRNAの代わりに、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含まず、5’末端アミノ修飾を含まないガイドRNAを使用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 よって、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲第1~2、4号証に記載された事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明において、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含むガイドRNA、または、5’末端アミノ修飾を含むガイドRNAの代わりに、5’末端O6-ベンジルグアニン修飾を含まず、5’末端アミノ修飾を含まないガイドRNAを使用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 したがって、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第3号証に記載された発明及び甲第1~2、4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明5~20について 本件発明5~20は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第3号証に記載された発明及び甲第1~2、4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 特許異議申立人の意見について 特許異議申立人は、令和6年1月5日付け上申書において、5’-BG修飾したガイドRNAの代わりに、5’-アミノ修飾以外の他の修飾をしたガイドRNAやそもそも修飾を行わないガイドRNAを用いることは、当業者が容易に想到し得ることである旨主張しているが、甲第3号証には、5’-アミノ修飾以外の他の修飾をしたガイドRNAやそもそも修飾を行わないガイドRNAを用いることは記載も示唆もされておらず、また、上記アで述べたように、甲第3号証に記載されているガイドRNAは、5’末端にO6-ベンジルグアニン(BG)修飾を有することを必須としており、ADAR酵素のC末端触媒ドメインをSNAPタグに融合させた融合タンパク質とのコンジュゲートにより、RNA編集が可能になるものであるから、5’-アミノ修飾以外の他の修飾をしたガイドRNAやそもそも修飾を行わないガイドRNAを使用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえないから、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 エ まとめ 以上のとおり、本件発明1、5~20は、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第3号証に記載された発明及び甲第1~2、4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第4号証を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如) 甲第4号証には、「バルジ」を含む、ADAR酵素によるRNA編集に使用するRNA基質が記載されている(上記記載事項(甲4-1))が、当該RNA基質は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)ではないから、本件発明1は、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第4号証に記載された発明及び甲第1~3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件発明5~20は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第4号証に記載された発明及び甲第1~3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、本件発明1、5~20は、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第4号証に記載された発明及び甲第1~3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)特許法第36条第6項第1号及び第36条第4項第1号 ア 本件明細書に記載された事項 本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている(下線は合議体による。)。 (ア)「【0085】 [実施例1] 異なるアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたGFP標的RNA中の非センス変異の編集および配列分析 細胞ゲノムに安定に組み込まれた緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現構築物を含むHeLa細胞を使用して、細胞系におけるRNA編集を最初に調べた。この構築物では、終止コドン(TAG)がコドン位置57に導入されており、その結果、mRNA中にトリプレットUAGが生じる。このトリプレットの中央にあるアデノシンのところでRNAを編集すると、結果的に正常な全長タンパク質の発現をもたらす。構築物(下記参照)および細胞株は、当業者に公知の技術を用いて作製された。 【0086】 標的RNAと比較して異なるミスマッチを含む一組の異なるアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、このトリプレットの中央のAを実際にIに脱アミノ化することができるか否かを調べた(後にGと読まれると予想される)。図1を参照されたい。UAGトリプレットの編集は、Trpコドンを表すUGG、引き続き機能的GFPタンパク質をもたらすと予想される。標的RNA中の他のアデノシンが編集されないことを確実にするために、終止コドンに対向するアンチセンスオリゴヌクレオチドの3つのヌクレオチド(各オリゴヌクレオチド中の3’-ACC-5’、中央のミスマッチCを有する、図1を参照)は2’-OMe基を含ませなかったが、アンチセンスオリゴヌクレオチド中の他の全てのヌクレオチドは含ませた。さらに、試験した全てのオリゴヌクレオチドの両側の末端の4つの連結はホスホロチオエート連結であり、一方残りの連結は通常のホスホジエステル連結であった。 ・・・・・・・・・・・・ここでAからIへの編集は配列決定クロマトグラムにおいてAからGへのシグナルの強度の(部分的な)シフトとして明らかになるはずである。この方法は完全には定量的ではないが、AとGの頻度の比はAからIへの編集効率のおよその推定値として使用することができる。予想どおり、AONをトランスフェクトしなかった試料では、標的部位のAピークと重なるGのシグナルは観察されない(図2、パネルAおよびB)。対照的に、AONでトランスフェクトした試料では、重なっているAおよびGピーク(それぞれ図2の緑色および黒色)によって示されるように、Gへの部分的変化がこの位置で観察される。影響は様々である:各AONで標的部位での少量の重なり合ったGシグナルが観察され得るが、その影響はAONのADAR58とADAR59で最も強くなる(図2 G-J)。 【0088】 ゆらぎ塩基対は、RNA二次構造において基本的な役割を果たし、tRNA中に広く存在する。非常に多くの場合、RNA配列におけるそれらの出現は、バルジRNA構造、ループおよびミスマッチと近い。AON中のゆらぎ塩基対の存在がRNA編集に及ぼす影響を調べるために、本発明の発明者らは5つのゆらぎ塩基対を含むADAR72-1を設計した。GFP標的RNAにおける非センス変異の編集を誘導するその能力(上記参照)を調べ、そして全く同じ配列を有するがゆらぎ塩基対を含まないオリゴヌクレオチドADAR59-2(=ADAR59、上記参照)と比較した: 【0089】 【化1】 [図:0001414140000008.jpg] 【0090】 上鎖はAON、下鎖は5’から3’の標的RNAである。標的アデノシンは太字である。ミスマッチとゆらぎは下線が引かれ、矢印はさらなるゆらぎ塩基対の位置を示す。 【0091】 ADAR59-2(=ADAR59;配列番号4、実施例5も参照)およびADAR72-1(配列番号34)は、以下に示すように化学修飾されている:小文字は2’-O-メチル修飾RNAヌクレオチドを表し、大文字のヌクレオチドは修飾されていないRNAヌクレオチドを表す。星印は、AONの3’および5’末端のヌクレオシド間ホスホロチオエート連結を表す。ミスマッチとゆらぎは下線で示される。 【0092】 【化2】 [図:0001414140000009.jpg] 【0093】 ・・・・・・・・・・・・図3に提供された配列決定データは、AONが使用されなかった試料については検出可能なAからIへの編集がないことを示し:バックグラウンドを超えるGシグナルは見られなかった。対照的に、オリゴヌクレオチドADAR59-2が編集アッセイにおいて使用された試料については、目に見えるGシグナルが明らかに存在する。さらにより高い強度のGシグナルがオリゴヌクレオチドADAR72-1について示されており、これは標的RNA/AON配列中のさらなるゆらぎ塩基対の存在が、AからIへの編集を増加させるのに役立つことを示している。」(【0085】~【0093】) (イ)「【0094】 [実施例2] ハーラー症候群の治療におけるRNA編集 本発明のシステムを使用するRNA編集のための1つの潜在的な疾患標的は、ムコ多糖症I型-ハーラー(MPS I-H;ハーラー症候群)である。この疾患は、リソソーム酵素α-L-イズロニダーゼをコードするIDUA遺伝子のc.1205G>A(W402X)変異によって引き起こされる。本発明の方法および手段を用いてAからIを編集することは、潜在的に変異を野生型配列へ戻すと予想される。・・・・・・・・・・・・ 【0098】 本発明の発明者らは、マウスモデルを使用して本明細書に概説したように、以下の配列を有する(上鎖は3’から5’へのオリゴヌクレオチド;下鎖は5’から3’への標的RNA(配列番号12);ミスマッチおよびゆらぎには下線が引かれている)、RNA編集に使用されるIdua配列のこの部分に由来するプレmRNAに対する多くのアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製した。 【0099】 【化4】 [図:0001414140000010.jpg] 【0100】 ADAR65(配列番号13)、ADAR65-2(配列番号24)、ADAR65-2x(配列番号25)、ADAR66(配列番号14)、ADAR67(配列番号15)、ADAR91(配列番号26)およびADAR93(配列番号27)は、以下のように多くの化学修飾を有する。 【0101】 【化5】 [図:0001414140000011.jpg] 【0102】 小文字は2’-Oメチル修飾RNAヌクレオチドを表し、大文字ヌクレオチドは修飾されていないRNAヌクレオチドであり(したがって、2’-Oメチル修飾はされていない)、その全てのヌクレオチド上に2’-Oメチル修飾を有するADAR65-2を除いて、標的アデノシンの反対側にある中央シチジンを囲む。星印は、オリゴヌクレオチドの全ての末端における(4)ホスホロチオエート連結を表す。ミスマッチとゆらぎは下線で示される。ADAR91は標的RNAと5つ(の領域)のミスマッチ/ゆらぎを有し、ADAR67は4つを有し、ADAR93とADAR65-2Xはどちらも2つを有するが、ADAR65、ADAR65-2およびADAR66のAONは標的アデノシンに対向するヌクレオチドでのみが異なる。ADAR65およびADAR66の修飾は同一であるが、ADAR66はADAR65よりも3’末端で2ヌクレオチド短い。 ・・・・・・・・・・・・ 【0104】 結果(図4参照)は、これらの条件下で、オリゴヌクレオチドADAR65-2およびADAR93-1を用いたトランスフェクションは、変異体Idua mRNAのみを発現する、オリゴヌクレオチド処理されていない細胞(NT)由来の試料で得られた蛍光と比較して、酵素活性のわずかな改善(2倍未満)しかもたらさなかったことを明らかに示している。対照的に、他のAONでは有意な増加が観察され、AON ADAR67およびADAR91は2倍を超える活性の増加をもたらし、そしてAON ADAR66、ADAR65およびADAR65-2Xは、それぞれ3、4および6倍を超える増加をもたらした。 【0105】 続いて、オリゴヌクレオチド、標的RNAおよびADARタンパク質間の相互作用のモデリングデータに基づいて、本発明者らは、編集部位から4位上流のオリゴヌクレオチドのミスマッチが標的RNAへのADARタンパク質の結合を増強し、これにより、編集効率と編集レベルが向上し得ると考えた。4つのオリゴヌクレオチド(ADAR93-2、ADAR93-3、ADAR93-4およびADAR93-5)は、マウスIdua変異遺伝子(W392X)の標的プレmRNAを編集し、そのWT配列を復元することに対する4位でのミスマッチの効果を試験するために設計された。 【0106】 【化6】 [図:0001414140000012.jpg] 【0107】 上鎖はオリゴヌクレオチドであり、下鎖は太字の変異(A)を有する標的RNAである。ミスマッチとゆらぎは下線で示される。標的配列中の変異の4ヌクレオチド上流の位置における標的配列とのオリゴヌクレオチドADAR93-3とADAR93-5との間のミスマッチが矢印で示される。ADAR92-2は(そのミスマッチ以外は)ADAR93-3と同一である。ADAR93-4は(そのミスマッチ以外は)ADAR93-5と同一である。ADAR93-2(配列番号28)、ADAR93-3(配列番号29)、ADAR93-4(配列番号30)およびADAR93-5(配列番号31)は、以下のように多くの化学修飾を有する: 【0108】 【化7】 [図:0001414140000013.jpg] 【0109】 小文字は2’-Oメチル修飾RNAヌクレオチドを表し、大文字ヌクレオチドは未修飾RNAヌクレオチドである(したがって、2’-Oメチル修飾はない)。ヌクレオシド間の星印は、ホスホロチオエート連結を表す。ミスマッチとゆらぎは下線で示される。 【0110】 野生型配列の復元に対するこれら4つのオリゴヌクレオチドの効果を、上記のように編集および酵素アッセイにおいて試験した。図5(A)および(B)に示されるように、標的配列とのオリゴヌクレオチドADAR93-2およびADAR93-5のC-Aミスマッチの導入は、ミスマッチなしのオリゴヌクレオチドと比較した場合の蛍光シグナルの増加によって示される、編集に対するポジティブな効果を示した(それぞれADAR93-2およびADAR93-4)。これは、編集部位から上流の4位(上流=標的配列中の5’側)とのさらなるミスマッチが、ADARタンパク質がさらに標的RNAに結合するのを助け、それがその後の編集効率の向上をもたらすことを示している。」(【0094】~【0110】) (ウ)「【0113】 [実施例5] 内在性ADARによるRNA編集 外因性ADAR酵素を過剰発現することなくRNA編集が達成され得るか否かを調べるために、ADAR1および/またはADAR2を発現する利用可能な細胞株をまず評価した。次いで、これらの細胞(ADAR1および/またはADAR2を(過剰)発現する場合)は、実施例1に概説したようなGFP終止コドンを含む構築物で目的のオリゴヌクレオチドと共にトランスフェクトして、GFP終止を編集する。・・・・・・・・・・・・ 【0115】 全ての細胞株がADAR1もしくはADAR2またはADAR1およびADAR2の両方を発現することが判明したので、トランスフェクトするのが困難であると思われるT84を除く全ての細胞を試験し、これらの内在性レベルのRNA編集酵素が、標的配列中の所定の位置でRNAを編集するのに十分であったか否かを見た。・・・・・・・・・・・・以下のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、実施例1および図1ならびに配列番号1~4にそれぞれ示したものと同様にして試験した。 【0117】 【化8】 [図:0001414140000014.jpg] 【0118】 小文字は2’-Oメチル修飾RNAヌクレオチドであり、大文字のヌクレオチドは未修飾RNAヌクレオチド(したがって、2’-Oメチル修飾なし)であり、GFPstop57の標的アデノシンに対向する中心Cを囲む。星印(*)は、オリゴヌクレオチドの末端におけるヌクレオシド間のホスホロチオエート連結を表す。 【0119】 ・・・・・・・・・・・・図7は、配列決定においてフォワード(FWD)およびリバース(REV)プライマーを用いたSNU-475(肝臓癌)細胞上の4つのオリゴヌクレオチドによる結果を示す。図8は、配列決定においてフォワード(FWD)プライマーを用いたMCF7(乳癌)細胞上の4つのオリゴヌクレオチドによる結果を示す。これらの図は、標的位置における配列のとても明らかで有意なシフトを示したが、ここで内在性ADARによるRNA編集が4つ全てのオリゴヌクレオチドを用いたSNU-475細胞において観察された一方で、ADAR59-2はMCF7において最良の結果を提供したように見える。図9は、ADAR57-2使用後のシーケンス結果を提供する(図7の左下も参照)が、標的アデノシン(矢印)でのみ脱アミノ化が行われた一方で、周囲のアデノシンで無作為編集が行われておらず、本発明のAONと方法が非常に部位特異的な編集を保証することを示している。これらの結果は、本発明の発明者らが、標的配列およびRNA編集誘導性オリゴヌクレオチド(特定の修飾を有する)が導入された細胞において、RNA編集酵素を過剰発現する必要なしに、すなわち内在性ADARタンパク質の酵素活性に依存することによって、部位特異的な様式で(すなわち、AONによって標的化されたRNA配列内のただ1つのアデノシンが編集された;図9参照)、RNA編集を達成したことを示す。」(【0113】~【0119】) (エ)「【0120】 [実施例6] 内在性ADARによる内在性標的へのRNA編集 実施例5に概説したように内在性ADAR酵素を使用してRNA編集を達成した後、標的配列の同時トランスフェクションを使用せずに内在性ADAR酵素を使用したRNA編集もまた達成可能であるか否かを調べた。本発明の発明者らは、その比較的高い存在量および普遍的な発現のために、内在性標的として小核リボ核タンパク質ポリペプチドA(Snrpa)を選択した。・・・・・・・・・・・・ 【0125】 【表2】 [図:0001414140000015.jpg] 【0126】 ADAR87-1を使用した場合、バックグラウンドを超える編集は観察されなかった(データは示さず)。ADAR89-1オリゴヌクレオチドによるRNA編集の結果を図12に示す。パネル(A)は、終止コドン位置(矢印で示す)で検出可能なRNA編集が全く無い非トランスフェクト(non-transfected;NT)対照を示す。パネル(B)は、ADAR2の短いアイソフォームをコードするプラスミドのみをトランスフェクトした対照を示す。パネル(C)は、矢印で示されるGピークの上昇を示す。明らかにバックグラウンドを超えるこの増加は、ADAR2過剰発現プラスミドでトランスフェクトされなかった細胞において、(A->I)RNA編集が、ADAR89-1 AONのみによるトランスフェクション後に、所望の位置で行われたことを示す。パネル(D)は、ADARsh発現プラスミドとAONの両方を用いた陽性対照を示す。この結果(パネルC)は、ADAR過剰発現の非存在下でかつ標的RNAの過剰発現を引き起こすプラスミドの同時トランスフェクションなしに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入することによって誘導RNA編集が特異的に所望の位置で観察されたこれまでで最初の例であると考えられる。 【0127】 ADAR89-2およびADAR94-1の2つのさらなるオリゴヌクレオチドを設計した(表2参照):中央トリプレットCCA(真ん中のヌクレオチドCは編集されるアデノシンの反対側である)はDNAであり、残りのオリゴヌクレオチドは2’-O-メチル修飾である。ADAR89-2の配列はADAR89-1と同一であるが、ADAR94-1の配列はADAR89-2と比較してさらなる2つのミスマッチがある(図12参照)。これらのAONを、Hepa 1-6細胞において、この上の実施例に記載されているものと同じアッセイで試験した。得られた配列決定データを図13に示すが、これは非トランスフェクト対照(NCTRL)についてRNA編集が検出されないことを示す。オリゴヌクレオチドADAR89-2の配列決定データは、矢印で示す編集部位にGヌクレオチドが存在することを示しており、これは中央トリプレットがDNA(RNAではなく)である場合にも良好な編集が得られることを示している。ヌクレアーゼにとても敏感な中央トリプレットRNAヌクレオチドをDNAで置き換えると、AONの安定性が増す。オリゴヌクレオチドADAR94-1のGピークのシグナルの明らかな上昇は、ADAR89-2の配列の10位と14位にさらなる2つのミスマッチを挿入すると、内在性SnrpaプレmRNAの編集にさらに好ましい効果があることを示しているが、これもまた、さらなるバルジ、ミスマッチおよび/またはゆらぎがRNA編集効率(全ての異なる標的において、配列、AON-RNAらせんの融解温度、重複、二次構造などの要因の多様性に依存する可能性が非常に高い)をさらに上昇させることができることを示す。」(【0120】~【0127】) (オ)「【0014】 【図1】GFP-停止標的配列(下鎖)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(上鎖)の相補性を示す図である。パネルA~Dにおいて、標的RNAの配列の部分は、5’から3’(各パネルにおいて下鎖)で示され、標的アデノシン(A)を太字で示している。上鎖のオリゴヌクレオチドの配列は、3’から5’で示され、ミスマッチ、ゆらぎ、および「バルジ」を下線で示している。化学的修飾は示されていない。全てのパネルの下鎖は同じであり(配列番号5)、GFP標的配列の部分のみを反映している。標的配列中のUAGは、終止コドン(5’~3’)であり、AがIに編集されたとき(Gとして読み取られる)、Trpコドンを表すUGGに変換され、GFPタンパク質が機能的なタンパク質として完全翻訳されることを可能にする。A.上鎖AON ADAR56(配列番号1);B.上鎖AON ADAR57(配列番号2);C.上鎖AON ADAR58(配列番号3);D.上鎖AON ADAR59(配列番号4)。 【図2】配列解析によってアッセイされた編集効率を示す図である。クロマトグラム(A~J)は、標的部位(中心Aの上にハイライト表示されている)および隣接するヌクレオチドにおけるヌクレオチド頻度を示す。ピークのヌクレオチド同一性は、クロマトグラムの下の配列と同じ色で示され、ここでGは黒で表される。パネル(A)では、非処理細胞(non-treated;NT)の結果が示され、パネル(B)ではトランスフェクション試薬のみが使用された(CTRL)。パネル(C)~(J)で示すように、AON ADAR56からADAR59を50nMまたは100nMの濃度で使用した。中央のAの上のGシグナルが明らかに増加している(隣接Gシグナルにおいて「肩」として示されているが、対照では肩が観察されない)が、これは全ての4つの場合において、4つのAONのいずれを使用しても、RNA編集がその位置で起きたことを示している。 【図3】GFP標的配列上にADAR2aでトランスフェクトした細胞からのHeLa細胞溶解物中でADAR59-2およびADAR72-1(ADAR59-2と比較して、さらなるゆらぎ塩基対を含む)を使用した後の配列決定結果を示す図である。さらなるゆらぎは、RNA編集効率を増加する。編集された標的の位置を矢印で示す。 【図4】α-L-イズロニダーゼアッセイで測定した酵素活性(全タンパク質濃度に対して正規化した相対蛍光単位として)を示す図である。示されるように、2つの重複測定からの平均活性および標準偏差が各AONについて示される。NT:無処理。 【図5】標的配列の上流の位置4の標的配列とのミスマッチにおいてのみ互いに異なる2対のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用した後の図4と同じ酵素アッセイを示す図である。オリゴヌクレオチドと標的配列の間でのこの特定のさらなるバルジの正の効果を示している。 ・・・・・・・・・・・・ 【図7】SNU-475肝臓癌細胞において4つの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ADAR56-2、ADAR57-2、ADAR58-2およびADAR59-2、ここではそれぞれ56-2、57-2、58-2および59-2と略記する)とインキュベートしたGFPstop57標的プラスミド由来のPCR産物の配列決定結果を示す図である。ADAR59-2=ADAR59。ADAR酵素を過剰発現させる必要なくRNA編集が起きている。「Fwd」=フォワード配列決定。「Rev」=リバース配列決定。標的アデノシンのスポット(フォワード配列のグアノシンへのシフトおよびリバース配列のシチジンへのシフト)を矢印によって示す。 【図8】MCF7乳癌細胞における4つの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ADAR56-2、ADAR57-2、ADAR58-2およびADAR59-2、ここではそれぞれ56-2、57-2、58-2および59-2と略記する)とインキュベートしたGFPstop57標的プラスミド由来のPCR産物の配列決定結果を示す図である。ADAR酵素を過剰発現させる必要なくRNA編集が起きている。「Fwd」=フォワード配列決定。標的アデノシンのスポット(グアノシンへのシフト)を矢印によって示す。ADAR56-2、ADAR57-2およびADAR58-2では有意なシフトは観察されなかったが、ADAR59-2では非常に有意なRNA編集のシフトが観察された。 【図9】ADAR57-2(図7、左下も参照)で処理した後の標的アデノシン(矢印)を囲む領域の配列データを示し、標的アデノシンの近くおよびAONの標的領域の他のアデノシンにおいて脱アミノ化は起きないことを示す図である。 ・・・・・・・・・・・・ 【図12】AONを用いたマウスHepa 1-6細胞における内在性SNRPA RNAに対するRNA編集の結果を示す図である。パネル(A)は非トランスフェクト(non-transfected;NT)対照を示す。パネル(B)は、ADAR2の短いアイソフォームをコードするプラスミドのみがトランスフェクトされた対照を示す。パネル(C)は、ADAR2過剰発現プラスミドでトランスフェクトされなかった細胞において、ADAR89-1 AONによるトランスフェクション後に所望の位置で(AからIへの)RNA編集が行われたことを示す矢印によって示されるGピークの上昇を示す。パネル(D)は、ADARsh発現プラスミドおよびAONの両方を用いた陽性対照を示す。 【図13】マウスHepa 1-6細胞におけるADAR89-2およびADAR94-1 AONの導入後の配列決定結果を示し、標的化アデノシンに対向する中央トリプレットにDNAヌクレオシドを有するAONでRNA編集が達成され得ることを示し、さらなるミスマッチが導入された場合、そのようなRNA編集はさらに増加し得ることを示す図である。」(【0014】) (カ)「 [図:0001414140000016.jpg] 」(図1) (キ)「 [図:0001414140000017.jpg] 」(図2) (ク)「 [図:0001414140000018.jpg] 」(図3) (ケ)「 [図:0001414140000019.jpg] 」(図4) (コ)「 [図:0001414140000020.jpg] 」(図5) (サ)「 [図:0001414140000021.jpg] 」(図7) (シ)「 [図:0001414140000022.jpg] 」(図8) (ス)「 [図:0001414140000023.jpg] 」(図9) (セ)「 [図:0001414140000024.jpg] 」(図12) (ソ)「 [図:0001414140000025.jpg] 」(図13) イ 本件発明1、5~20について 本件明細書の発明の詳細な説明には、細胞内に存在するADAR酵素による標的RNA中に存在する標的アデノシンの脱アミノ化のための、細胞内で標的RNAと二本鎖複合体を形成することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)であって、前記相補的標的RNA領域と1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを含む、AONの具体例として、様々な配列を有するAONが記載されており(上記記載事項(ア)~(エ))、それらのAONについて、編集効率を調べた実験結果(上記記載事項(ア)~(オ)及び(カ)~(ソ))が記載されている。 そして、ミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを含むAONを使用した場合に、AONの編集効率をより向上させることができたことが実施例等により具体的に記載されている(上記記載事項(ア)~(オ)及び(カ)~(ソ))。 また、図8に示されている実施例5の実験結果(上記記載事項(シ))については、同じAONを用いた図7に示されている実施例5の実験結果(上記記載事項(サ))について、「【図7】SNU-475肝臓癌細胞において4つの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ADAR56-2、ADAR57-2、ADAR58-2およびADAR59-2、ここではそれぞれ56-2、57-2、58-2および59-2と略記する)とインキュベートしたGFPstop57標的プラスミド由来のPCR産物の配列決定結果を示す図である。ADAR59-2=ADAR59。ADAR酵素を過剰発現させる必要なくRNA編集が起きている。」と記載され(上記記載事項(オ))、「図7は、配列決定においてフォワード(FWD)およびリバース(REV)プライマーを用いたSNU-475(肝臓癌)細胞上の4つのオリゴヌクレオチドによる結果を示す。図8は、配列決定においてフォワード(FWD)プライマーを用いたMCF7(乳癌)細胞上の4つのオリゴヌクレオチドによる結果を示す。これらの図は、標的位置における配列のとても明らかで有意なシフトを示したが、ここで内在性ADARによるRNA編集が4つ全てのオリゴヌクレオチドを用いたSNU-475細胞において観察された一方で、ADAR59-2はMCF7において最良の結果を提供したように見える。」と記載されている(上記記載事項(ウ))から、ADAR56-2、ADAR57-2、ADAR58-2についても、有意な編集活性が得られたことが示されていると認められる。 また、図4に示されている実施例5の実験結果(上記記載事項(ケ))については、「結果(図4参照)は、これらの条件下で、オリゴヌクレオチドADAR65-2およびADAR93-1を用いたトランスフェクションは、変異体Idua mRNAのみを発現する、オリゴヌクレオチド処理されていない細胞(NT)由来の試料で得られた蛍光と比較して、酵素活性のわずかな改善(2倍未満)しかもたらさなかったことを明らかに示している。」と記載されており(上記記載事項(イ))、ADAR65-2、ADAR93-1についても、オリゴヌクレオチド処理されていない細胞(NT)よりも「酵素活性のわずかな改善」が得られたことが記載されているから、ADAR65-2、ADAR93-1についても、有意な編集活性が得られたことが示されていると認められる。 そうすると、本件発明の詳細な説明には、細胞内に存在するADAR酵素による標的RNA中に存在する標的アデノシンの脱アミノ化のための、細胞内で標的RNAと二本鎖複合体を形成することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)であって、前記相補的標的RNA領域と1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを含む、AONとして、様々な配列を有するAONについて、AONの編集効率をより向上させることができたことを裏付ける実施例が複数例示されているといえるから、本件発明の詳細な説明の実施例で実際に使用されているAON以外の本件発明1に包含されるAONについても、本件発明の詳細な説明の実施例で実際に用いられているAONの実験結果と同様の効果が得られることを当業者が容易に理解することができるといえる。 よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。本件発明5~20は、本件発明1の発明特定事項と同様の発明特定事項を含むものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明5~20についても、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 したがって、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 また、本件発明の詳細な説明の記載及び本件出願時の技術常識を考慮すると、本件発明1、5~20について、発明の詳細な説明が当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。 したがって、本件発明1、5~20について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1、5~20に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立の理由によっては、取り消すことはできない。また、他に本件発明1、5~20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2~4に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除されたので、請求項2~4に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701138

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