特許異議申立
2026-700269
水型又は水中油型化粧料
- 審判番号
- 2026-700269
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-229841
- 登録番号
- 7747427
- 請求日
- 2026年03月30日
- 審決日
- 2026年07月03日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社 資生堂
- 【権利者代理人】内田 直人
- 【権利者代理人】奥原 康司
- 【異議申立人】鈴木 淑子
- 審判長/審判官
- 審判長 冨永 保
- 審判官 常見 優
- 審判官 江間 正起
- 分類
- P1651.113-Y (A61K) / P1651.121-Y (A61K) / P1651.536-Y (A61K) / P1651.537-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7747427号発明「水型又は水中油型化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7747427号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7747427号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成30年12月7日に出願され、令和7年9月22日に特許権の設定登録がされ、同年10月1日に特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1~5に係る発明の特許に対し、令和8年3月30日に、鈴木 淑子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1」等といい、併せて「本件発明」ともいうことがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末を1~5質量%と、
(B)紫外線吸収剤を8~35質量%とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、水型又は水中油型化粧料。
【請求項2】
(A)多孔質球状シリカ粉末が真球状である、請求項1に記載の水型又は水中油型化粧料。
【請求項3】
(B)紫外線吸収剤が水溶性紫外線吸収剤と油溶性紫外線吸収剤をそれぞれ1種以上含む、請求項1又は2に記載の水型又は水中油型化粧料。
【請求項4】
増粘剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水型又は水中油型化粧料。
【請求項5】
(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末を1~5質量%配合することにより、(B)紫外線吸収剤を8~35質量%含み、かつ、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない水型又は水中油型化粧料の紫外線防御力を向上させる方法。」
第3 特許異議申立理由の概要
1 申立理由の概要
申立人は、甲第1~11号証(以下「甲1」などという。)及び参考資料1~3(以下「参1」などという。)を提出し、本件特許は、以下の理由により、取り消されるべきものである旨主張している(特許異議申立書(以下「申立書」という。)の第94~95頁等)。
「(1)特許法29条第1項第3号
本件発明に係る請求項1~5は、甲第1号証に記載されているから、新規性がない。
(2)特許法29条第1項第3号
本件発明に係る請求項1、2、4は、甲第6号証に記載されているから、新規性がない。
(3)特許法第29条第2項
本件発明に係る請求項1~5は;
甲第1号証~甲第5号証に記載の発明に基づき容易想到であるから、進歩性がない。
甲第6号証及び甲第1号証~甲第5号証に記載の発明に基づき容易想到であるから、進歩性がない。
甲第7号証及び甲第1号証~甲第5号証に記載の発明に基づき容易想到であるから、進歩性がない。
甲第8号証及び甲第1号証~甲第5号証に記載の発明に基づき容易想到であるから、進歩性がない。
甲第9号証及び甲第1号証~甲第5号証に記載の発明に基づき容易想到であるから、進歩性がない。
甲第10号証及び甲第1号証~甲第5号証に記載の発明に基づき容易想到であるから、進歩性がない。
(4)特許法第36条第4項第1号
本件特許に係る請求項1~5は、実施可能要件を満たさない(例えば、甲第1号証)。
(5)特許法第36条第6項第1号
本件発明に係る請求項1~5は、サポート要件違反を満たさない。」
上記記載及び申立書の記載全体から、申立理由は、以下のとおりであると認められる(申立理由の番号は、当審合議体が付した。)。
(1)申立理由1(甲1に基づく新規性欠如)
本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~5に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(甲6に基づく新規性欠如)
本件発明1、2、4は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲6に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1、2、4に係る特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)申立理由3(甲1に基づく進歩性欠如)
本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲1に記載された発明及び甲1~5に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(4)申立理由4(甲6に基づく進歩性欠如)
本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲6に記載された発明及び甲1~6に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(5)申立理由5(甲7に基づく進歩性欠如)
本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲7に記載された発明並びに甲1~5及び7に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(6)申立理由6(甲8に基づく進歩性欠如)
本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲8に記載された発明並びに甲1~5及び8に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(7)申立理由7(甲9に基づく進歩性欠如)
本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲9に記載された発明並びに甲1~5及び9に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(8)申立理由8(甲10に基づく進歩性欠如)
本件発明1~5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(9)申立理由9(実施可能要件違反)
本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものではなく、本件請求項1~5に係る特許は、同法第36条第4項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
具体的な理由の要点は、下記のとおりである(申立書第91頁)。
ア 「実施可能要件の趣旨の観点からみると、シリカA~Mがどのような製法であるのか及び商品名であるかが全く1対1で対応できない。つまり、本件の【実施例】の化粧料を得ることができず、再現することができない。」
イ 「本件特許権者は、上述のように、本件明細書の【実施例】で使用するシリカA~シリカMの製法及び商品名の開示を拒否した。さらに、第三者が、シリカA~M(平均粒子径及び吸油量のみ)に対応させた推測物A~Mで検証しても、製法自体不明であり中実・中空すら不明であるので、その精度に疑義が生じ得る可能性があり、善良なる第三者がその数値や数値範囲の真偽について再現できず検証できない状況に陥っている。」
(10)申立理由10(サポート要件違反)
本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものでなく、本件請求項1~5に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
具体的な理由の要点は、下記のとおりである(申立書第89頁)。
「本件明細書の【実施例】におけるシリカ粉末の「球状」は、本件明細書の段落【0016】のシリカ粉体の形状に関する定義、及び、当該【実施例】に各シリカに対応する「製法」も「商品名」もなく、【実施例】における「球状」の説明もないことも踏まえると、シリカ粉末(実施例1~4のシリカA~D)は「粒子径の最小値が最大値の80%未満の粒子」であり、本件明細書の【実施例】において、「真球状」のシリカに関する裏付けは全くされていない。」
2 証拠方法
甲1:国際公開第2018/198737号
甲2:「サンスフェア SUNSPHERE(R) 高機能真球状ファインシリカ」のパンフレット、AGCエスアイテック株式会社、2008年3月(合議体注:(R)は〇囲みのRを表す。以下同様。)
甲3:特開2004-168781号公報
甲4:「Silica Beads Highly Pure Spherical Silica Beads」のパンフレット、MIYOSHI、2021年4月
甲5:「ゴッドボール(真球状多孔質シリカ)&PCボール(機能性粉体内包マイクロカプセル)」のパンフレット、鈴木油脂工業株式会社、2018年10月12日
甲6:特開2016-153375号公報
甲7:特開2006-306841号公報
甲8:特開2007-269678号公報
甲9:特開2004-217534号公報
甲10:特開2018-70556号公報
甲11:特開2008-110905号公報
参1:特表2016-521679号公報
参2:特開2007-77159号公報
参3:「SYLYSIA(R)/サイリシア(R)工業用|合成シリカ専門企業 富士シリシア化学」、[online]、[取得日 2026年4月22日]、取得先<https://www.fuji-silysia.co.jp/products/p390/>
第4 当審合議体の判断
当審合議体は、本件請求項1~5に係る特許は、申立人が申し立てた理由によっては、取り消すことができないと判断する。
理由は、以下のとおりである。
1 甲号証及び参考資料の記載
各甲号証及び参考資料には、次の記載がある(以下「・・・」は摘記の省略を示す。また、下線は当審合議体が付したものである。)。
(1)甲1の記載事項
摘記甲1a:
「[請求項1](A)親油性多孔質粉体
(B)油溶性機能性成分を内包する水中油型乳化粒子
(C)高分子分散剤
(D)水性媒体
を含み、
成分(A)の表面に成分(C)が存在し、
成分(A)及び成分(B)が、成分(D)中にそれぞれ分散していること
を特徴とする化粧料。
・・・
[請求項4](A)親油性多孔質粉体の最大吸油可能量が該粉体に対し100質量%以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の化粧料。
・・・
[請求項8]成分(B)の油溶性機能性成分が紫外線吸収剤であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の化粧料。」
摘記甲1b:
「[0013](A)親油性多孔質粉体
本発明に好適に用いることができる親油性多孔質粉体としては、例えば、架橋型ポリメチルメタクリレート、ナイロン多孔質粉末等が挙げられる。これらの粉末は、数質量%以下の他の成分、例えばシリカ等を含んでいてもよい。また、球状であることが好ましい。球状である場合の平均粒径は、特に限定されないが、0.1~100μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~20μm程度であってよい。
材質そのものが親油性のもの、または、材質が親水性で親油性物質でコーティングされたもののいずれも用いることができるが、コーティングされる場合には孔内まで親油化されていることが好ましい。」
摘記甲1c:
「[0017]
紫外線吸収剤としては、特に限定されることはなく、化粧料に汎用されるものを用いることができる。例えば、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β-ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4-ジアリールブタジエン誘導体等が例示される。以下に具体例及び商品名などを列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[0018]
安息香酸誘導体としては、パラ-アミノ安息香酸(PABA)エチル、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA(例えば「エスカロール507」、ISP社)、グリセリルPABA、PEG-25-PABA(例えば「ユビナールP25」、BASF社)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(例えば「ユビナールAプラス」)などが例示される。
・・・
[0020]
ケイ皮酸誘導体としては、オクチルメトキシシンナメート又はメトキシケイ皮酸エチルヘキシル(例えば「パルソールMCX」、ホフマン-ラ・ロシュ社)、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル(例えば「ネオ・ヘリオパンE1000」、ハーマン・アンド・レイマー社)、シンノキセート、DEAメトキシシンナメート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、グリセリル-エチルヘキサノエート-ジメトキシシンナメート、ジ-(2-エチルヘキシル)-4'-メトキシベンザルマロネートなどが例示される。
・・・
[0026]
トリアジン誘導体としては、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、アニソトリアジン(例えば「チノソーブ(Tinosorb)S」、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社)、エチルヘキシルトリアゾン(例えば「ユビナールT150」、BASF社)、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン(例えば「ユバソーブ(Uvasorb)HEB」、シグマ3V社)、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジンなどが例示される。」
摘記甲1d:
「実施例
[0081] 以下に本発明に係る実施例などを説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の処方中の量は質量%である。
・・・
[0086][試験例1]
下表1の処方の化粧料を前記方法に従って製造し、前記評価項目について評価した結果を表1に示す。なお、定常状態(20℃、1気圧下で1日静置後)において、試験例1と2は1層であったが、試験例3と4は、紫外線吸収剤を内包する水中油型乳化粒子を含む上層、多孔質粉体を含む下層、及びその他の成分からなる中間層の3層に分離していた。そのため、前記官能試験では、試験例3と4の化粧料が入った容器を懸濁して1層状態にしてから、塗布してもらった。
[0087] 表中の化合物としては、以下のものを用いた。
*1:PRESS-AID SP(PRESPERSE社製)
*2:テクポリマー MBP-8HP(球状、積水化成品工業株式会社製)
*3:サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製)
*4:PEMULEN TR-2(BFGoodrich社製)
*5:SIMULGEL NS(SEPPIC社製)
*6:ケルトロール(ケルコ社製)
*7:PPG-1000(三洋化成工業株式会社製)
*8:ザッハトレーベン RC-402P(SACHTLEBEN PIGMENTS OY社製)
[0088]
[表1]
[図:0001438315000001.jpg]
[0089]
表1に示されるように、親油性多孔質粉体として架橋型ポリメチルメタクリレート粉体、高分子分散剤としてアクリル系ポリマーであるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)、及び水性媒体を含み、紫外線吸収剤を含まない試験例1の化粧料では、前記親油性多孔質粉体が水相中に良好に分散し、さらさら感の持続効果と毛穴補正効果に優れていたが、紫外線防御効果は得られなかった。この化粧料に、(油分の組成を少し変えるとともに)紫外線吸収剤を配合した試験例2の化粧料では、紫外線防御効果は少し見られたものの、毛穴補正効果とさらさら感の持続効果が損なわれる結果となった。これは、親油性多孔質粉体が紫外線吸収剤を吸収したことにより、該粉体の屈折率が変化し、さらに、該粉体による皮脂の吸収が妨げられためと考えられる。
[0090]
これに対し、紫外線吸収剤を水中油型乳化粒子に内包される状態で配合した試験例3の化粧料では、当該水中油型乳化粒子及び親油性多孔質粉体がそれぞれ水相中に分散しており、紫外線防御効果、さらさら感持続効果、毛穴補正効果のいずれについても優れていた。しかしながら、試験例3の化粧料の多孔質体を親水性の多孔質シリカに代えた化粧料(試験例4)では、毛穴補正効果が損なわれる結果となった。」
(2)甲2の記載事項
摘記甲2a:
「
[図:0001438315000002.jpg]
[図:0001438315000003.jpg]
」
(3)甲3の記載事項
摘記甲3a:
「【請求項1】
(A)皮膚及び/又は毛髪を紫外線から保護するための少なくとも一の組成物を収容した容器と、(B)前記組成物を加圧下に置くことができる手段とを少なくとも具備する装置において、前記組成物が、化粧品的に許容可能な水性担体中に、少なくとも:
(a)紫外線を遮蔽可能な光保護系と;
(b)多孔質シリカの球状微小粒子と;
を含有してなることを特徴とする装置。
【請求項2】
多孔質シリカの球状微小粒子が、0.5~20μm、特に3~15μmの範囲の平均粒子径を有する、請求項1に記載の装置。
・・・
【請求項5】
多孔質シリカの球状微小粒子が、組成物の全重量に対して0.1~10重量%、特に0.2~5重量%の範囲の濃度で組成物に存在している、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
光保護系が、一又は複数の有機遮蔽剤及び/又は一又は複数の無機(ナノ)顔料からなる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の装置。
・・・
【請求項22】
組成物が単純又は複合エマルションの形態で提供されることを特徴とする、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
組成物が、水中油型又は油中水型エマルションの形態で提供されることを特徴とする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
ノンエアゾールポンプであることを特徴とする、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
エアゾール容器又はエアゾールポンプであることを特徴とする、請求項1ないし23のいずれか1項に記載の装置。」
摘記甲3b:
「【0004】
スプレーの形態で提供される抗日光製品は、使用が容易で化粧品としての心地よさから、使用者にますます求められている。
従来の抗日光ミルク及びクリームとは異なり、高い防御指数を有するスプレー形態の抗日光組成物を得ることは、特に困難である。
【発明の開示】
【0005】
しかしながら、上述した光保護の分野において鋭意研究を行ったところ、本出願人は、驚くべきことに、少なくとも一のUV遮蔽系を含有する組成物を収容する加圧装置に、多孔質シリカの球状微小粒子を使用することで、同じ光保護系単独で得られるよりも高い防御指数を有する抗日光組成物が得られることを見出した。
この発見が本発明の基礎を形成する。」
摘記甲3c:
「【0008】
本発明の多孔質シリカの球状微小粒子(ミクロ粒子)は、0.5~20μm、より詳細には3~15μmの範囲の平均粒子径を有することが好ましい。
それらは、50~1000m2/g、特に150~800m2/gの範囲の比表面積を有することが好ましい。
またそれらは、0.5~5ml/g、特に1~2ml/gの範囲の比細孔容積を有することが好ましい。
多孔質シリカのマイクロビーズの具体例としては、次の市販品:
ミヨシ社(Myoshi)のシリカビーズSB150
旭硝子(Asahi Glass)のサンスフェア(Sunsphere)H-51
サンジン社(Sunjin)のサンシル(Sunsil)130
イケダ・コーポレーション(Ikeda Corporation)のスフェリカ(Spherica)P-1500
フジ・シリシア社(Fuji Silysia)のシロスフェア(Sylosphere)
を使用することができる。
【0009】
本発明の多孔質シリカの球状微小粒子は、組成物の全重量に対して、好ましくは0.1~10重量%、特に0.2~5重量%の範囲の濃度で本発明の組成物に使用される。」
摘記甲3d:
「【実施例】
【0029】
本発明を例証するものであって限定するものではない実施例を以下に記載する。
以下全ての実施例において、量は組成物の全重量に対する重量%で表される。
実施例1
ノンエアゾール又はエアゾールスプレーとして包装可能で、微細粒子の形態で噴霧可能な本発明の抗日光組成物Aを調製した。
【表1】
[図:0001438315000004.jpg]
【0030】
ついで、組成物Aと同じ担体を含有するが、多孔質シリカのマイクロビーズを含有しない、比較抗日光組成物Bを調製した。
ついで、組成物A及びBのそれぞれに対して、それに付随する日光防御指数(SPF)を測定した。これは、B.L. DIFFEYらによりJ. Soc. Cosmet. Chem. 40-127-133(1989)に記載されているインビトロ法を使用して決定した;この方法は、290~400nmの範囲の波長において、単色光防御ファクターを測定し、それから、与えられた数式によって日光防御指数を算出することからなる。測定は、トランスポア(Transpore)(登録商標)ストリップに2mg/cm2の製品を広げ、ラブスフェア社(Labsphere)の装置UV-1000Sを用い、1nmのステップで実施した。
【0031】
結果(5回の試行に対する平均値)を次表(I)にまとめる:
【表2】
[図:0001438315000005.jpg]
これらの結果には、噴霧性の担体中で、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸及びTiO2のナノ顔料からなる光保護系に多孔質シリカの球状微小粒子を添加すると、その日光防御指数を有意に上げることができることが明瞭に示されている。」
(4)甲4の記載事項(訳文で示す。)
摘記甲4a:
「
[図:0001438315000006.jpg]
」
(5)甲5の記載事項
摘記甲5a:
「
[図:0001438315000007.jpg]
」
(6)甲6の記載事項
摘記甲6a:
「【請求項1】
水を含有する化粧料において、メントール及び/又はメントール誘導体と、キシリトールと、特性の異なる2種以上の球状粉体とを含有する化粧料。
【請求項2】
特性の異なる球状粉体が、親油性球状粉体と親水性球状粉体である請求項1記載の化粧料。
・・・
【請求項9】
親水性球状粉体が無水ケイ酸である請求項2~8のいずれかに記載の化粧料。」
摘記甲6b:
「【0010】
<球状粉体(成分C・D)>
・・・
本発明においては、化粧料中に親油性球状粉体を0.5~1質量%、親水性球状粉体を0.2~1質量%含有することが好ましい。親油性、親水性のいずれかの球状粉体の配合量が0.2質量%に満たないと冷涼感の持続効果が得られ難くなる恐れがある。本発明においては、球状粉体の配合量によってメントール及び/又はメントール誘導体の示す冷感の持続効果を増強するが、1質量%を超えて配合しても、冷涼感の持続効果が配合量に応じて強まるわけではない。各球状粉体の配合上限は、用いる剤型、使用対象、使用感等を考慮して適宜設定できる。
親水性球状粉体(成分D)としては、無水ケイ酸(シリカ)を用いることが好ましい。市販品としては、鈴木油脂工業(株)製のゴッドボールE-2C(平均粒子経;1μm)、AGCエスアイテック(株)製のサンスフェアH-51(平均粒子経;5μm)、サンスフェアH-53(平均粒子経;5μm)、サンスフェアH-201(平均粒子経;20μm)が例示できる。」
摘記甲6c:
「【0029】
本発明の化粧料は、化粧水、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め、パック剤などの顔面皮膚用化粧料、ボディローション等の身体用化粧料、頭皮用ローション、頭皮用クリーム等の毛髪用化粧料とすることができる。」
摘記甲6d:
「【実施例】
【0031】
表1、2の組成の実施例、及び比較例の化粧料を調製した。なお、組成表の数字の単位は質量%である。化粧料を皮膚に塗布した直後の冷涼感とその持続性については下記の基準により官能評価を行った。
【0032】
[塗布直後の冷涼感評価]
専門の官能評価員2名により、官能評価を実施した。上腕内側部に試料を0.2g塗布し、塗布時に冷涼感を感じるか評価した。
○;冷涼感を感じる
×;冷涼感を感じない
【0033】
[冷涼感の持続性評価]
専門の官能評価員2名により、官能評価を実施した。上腕内側部に試料を0.2g塗布し、冷涼感を感じるか時間を追って評価した。
◎;4時間以上冷涼感が持続する
○;2時間以上4時間未満冷涼感が持続する
△;11分以上2時間未満冷涼感が持続する
×;10分以内に冷涼感が消失する
・・・
【0037】
<2.メントールの持続効果に及ぼす球状粉体の粒子径の影響確認試験>
球状粉体の粒子径が冷涼感に及ぼす効果を確認した。
【0038】
【表2】
[図:0001438315000008.jpg]
【0039】
表2(実施例3~7)に示すとおり、親油性球状粉体と親水性球状粉体の粒子径を変えて試験したところ、いずれも粒径が小さいもの(2μm)よりも、5μm、20μm、30μmと粒子サイズを大きくしたものの方が、清涼感を持続させる効果が高いことが分かった。特に親油性球状粉体は、この粒子径のサイズ効果が強かった。
また、実施例1と実施例5は、粒子径は同じであるが、親水性粉体としての表面特性が異なる粉体である。両者(サンスフェアH-51、サンスフェアH-53)を比較すると、無水ケイ酸の粒子径が同じ5μmで表面特性(細孔容積、細孔直径)が異なる粉体であるが、清涼感の持続性に違いは認められなかった。
さらにまた、実施例3~7は、いずれも皮膚に対する刺激を感じさせなかった。
【0040】
以上のとおり、本発明の構成をとることで、メントール及び/又はメントール誘導体の配合量を少なくした場合でも、冷涼感が持続した化粧料が得られた。また、従来技術でしばしば配合されるエタノールを含まなくても冷涼感が持続しており、さらにメントールに由来する皮膚刺激も低減された化粧料が提供できた。」
(7)甲7の記載事項
摘記甲7a:
「【請求項1】
次の成分(a)~(e);
(a)リゾリン脂質 0.01~10質量%
(b)油剤 0.01~20質量%
(c)アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001~5質量%
(d)シリカ 0.1~20質量%
(e)水
を配合することを特徴とする二層型化粧料。
・・・
【請求項3】
成分(d)の平均粒径が、0.1~30μmの無孔質粉体あることを特徴とする請求項1又は2記載の二層型化粧料。」
摘記甲7b:
「【0010】
本発明に用いられる成分(a)のリゾリン脂質の配合量は、0.01~10質量%(以下、単に「%」とする)であり、好ましくは0.1~5%である。
・・・
【0016】
本発明に用いられる成分(d)のシリカは、べたつきのない、さらさらとした感触を付与する目的で配合される。本発明に用いられるシリカは、その形状や大きさ、粒子構造等、特に限定はなく、球状、略球状、板状、多孔質、無孔質、何れのものでも用いることができ、具体的には、サンスフェアNP-100(洞海化学工業社製)、ゴッドボールE2-824C(鈴木油脂工業社製)、サイリシア550(富士シリシア化学社製)等の市販品がある。これらのシリカは必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。」
摘記甲7c:
「【0043】
実施例17:日焼け止め料
(成分) (%)
1.大豆由来水素添加リゾリン脂質(注11) 1
2.グリセリン 3
3.1,3-ブチレングリコール 1
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 2
5.パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル 3
6.流動パラフィン 2
7.アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム(注12) 0.5
8.2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム 3
9.無孔質球状シリカ(注13) 1
10.エタノール 10
11.精製水 残量
注11:リゾ化率90% PC純度70%
注12:分子量40万 アセチル置換数3.2
注13:サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g)
【0044】
(製法)
A:成分(1)~(6)を70℃で均一に混合する。
B:成分(11)の一部を70℃に加熱する。
C:AにBを添加し、乳化する。
D:Cを冷却する。
E:Dに成分(11)の一部で溶解させた成分(8)及び成分(9)、(10)を添加し、混合する。
F:Eに成分(11)の残部で膨潤した(7)を添加、混合し日焼け止め料を得た。
【0045】
実施例17の日焼け止め料は、保湿感、エモリエント感、使用後の肌柔軟効果、べたつきのなさといった使用感に優れ、静置時には二層に分離し、使用時の再分散性及び保存安定性が良好な二層型の日焼け止め料であった。」
(8)甲8の記載事項
摘記甲8a:
「【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン
(B)屈折率が1.35~1.50の球状粉体
(C)トリイソステアリン酸ポリグリセリル及び/またはジイソステアリン酸ポリグリセリル
(D)25℃でペースト状の油剤
を配合することを特徴とする凹凸補正用化粧料。」
摘記甲8b:
「【0015】
本発明の凹凸補正用化粧料における成分(A)の配合量は、特に限定されないが、3.5~12質量%(以下、単に「%」と略す)が好ましい。
・・・
【0017】
成分(B)として、屈折率が1.35未満の球状粉体を用いた場合は、凹凸補正効果が十分に得られず、屈折率が1.50を超えた球状粉体を用いると、隠蔽性が高くなり、不自然な仕上がりになり、それぞれ好ましくない。また、成分(B)の粒子径は特に限定されないが、光散乱効果によるツヤを制御する観点より、1~7μmであり、さらに3~5μmであることが補正効果上特に好ましい。」
摘記甲8c:
「【0028】
本発明の凹凸補正化粧料は、凹凸補正用化粧料だけでなく、ファンデーション、白粉、頬紅、コンシーラー、下地料等のメーキャップ化粧料や美容液、デイクリーム、日焼け止め等のスキンケア化粧料等に凹凸補正効果を付与した化粧料等に適用可能である。」
摘記甲8d:
「【0032】
【表1】
[図:0001438315000009.jpg]
・・・
【実施例2】
【0040】
水中油型下地化粧料
(成分) (%)
1.セタノール 2.0
2.ステアリン酸 1.0
3.モノステアリン酸グリセリン 0.5
4.流動パラフィン 5.0
5.パラメトキシケイ皮酸―2-エチルヘキシル(注12) 5.0
6.1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン(注7)
4.0
7.トリイソステアリン酸ジグリセリル(注8) 1.0
8.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル(注意5)
3.0
9.シリカ(注10) 3.0
10.ベンガラ 0.1
11.黄色酸化鉄 0.4
12.黒色酸化鉄 0.05
13.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)(注13)
1.0
14.カルボキシルビニルポリマー 0.1
15.1,3-ブチレングリコール 10.0
16.防腐剤 0.2
17.精製水 残量
18.トリエタノールアミン 0.2
(注意12):ユビナールMC80(BASFジャパン社製)
(注意13):レオドールTW-O120V(花王社製)
【0041】
(製造方法)
A:成分1~8を加熱混合する。
B:Aに9~13を加えて均一に混合する。
C:14~17に18を加えて中和して、Bに添加して乳化し、水中油型下地化粧料を得た。
【0042】
実施例2の水中油型下地化粧料は、「凹凸補正効果(官能評価)、(毛穴の減少率)」、「凹凸補正効果の持続性」の全ての項目に優れた凹凸補正用化粧料であった。」
(9)甲9の記載事項
摘記甲9a:
「【請求項1】
4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン及び二酸化チタンを含有する水中油型乳化化粧料において、油相に4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン及び二酸化チタンを含有し、水相に無水ケイ酸を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料。」
摘記甲9b:
「【0002】
【従来の技術】
紫外線の人体に対する悪影響を防止するために種々の紫外線防御剤が日焼け止め化粧料などに配合されている。
特に波長320~400nmの長波長紫外線(UV-A)は、皮膚内のコラーゲンの機能低下等によるしわの形成や皮膚の弾力性低下を引き起こす要因となるほか、皮膚ガンの原因にもなり得ることから、その防御を目的とした化粧料の重要性は非常に大きい。
UV-A領域の紫外線防御剤としては、酸化亜鉛等の無機化合物以外に、有機化合物であるジベンゾイルメタン系化合物、中でも4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンが機能性や安全性の点から広く用いられている。
・・・
【0026】
本発明の水中油型乳化化粧料には、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン以外の紫外線吸収剤を配合することも可能である。以下に例示する。
・・・
(4)ケイ皮酸系紫外線吸収剤
例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート) 、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメートなど。」
摘記甲9c:
「【0029】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は実施例のみに限定されない。本実施例における配合量は特に断りのない限り質量%である。
・・・
【0036】
【表2】
[図:0001438315000010.jpg]
・・・
実施例1の検討成分:サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製
・・・
【0042】
実施例9 日焼け止め化粧料
配合成分 配合量
1 メチルフェニルポリシロキサン 2.0
2 スクワラン 2.0
3 テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 2.0
4 メトキシケイヒ酸オクチル 10.0
5 脂肪酸処理酸化チタン 5.0
(溶液処理するステアリン酸を15質量%含有)
6 シリコーン処理酸化亜鉛 2.0
7 ベヘニルアルコール 1.0
8 ベヘニン酸 1.0
9 パルミチン酸 1.0
10 モノステアリン酸グリセリン 1.0
11 4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 3.0
12 オクチルトリアゾン 1.5
13 ベントナイト 2.0
14 グリセリン 2.0
15 プロピレングリコール 5.0
16 無水ケイ酸(球状、多孔質) 5.0
17 ポリエチレングリコール 2.0
18 水酸化カリウム水溶液1% 12.0
19 ピロ亜硫酸ナトリウム 0.05
20 パラオキシ安息香酸アルキル 0.3
21 フェノキシエタノール 0.3
22 精製水 残量
〈製造方法〉
1~6を分散機で均一分散したものを70℃に加熱し、7~12を添加して溶解し、油相を調整する。13~22を溶解して70℃に加熱した水相に油相を添加し、攪拌機にて均一分散して冷却することにより、日焼け止め化粧料を得る。」
(10)甲10の記載事項
摘記甲10a:
「【請求項1】
以下の成分(A)~(E);
(A)多孔質無水ケイ酸
(B)有機紫外線吸収剤
(C)揮発性油剤
(D)部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物
(E)有機球状粉体
を含有する日焼け止め化粧料。
・・・
【請求項4】
前記成分(A)の平均粒子径が1~10μmである請求項1~3のいずれか1項に記載の日焼け止め化粧料。」
摘記甲10b:
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、粉体を多く含有することで紫外線吸収剤によるべたつきを抑えることができるが、使用時にきしみが生じてしまい、さらに激しい動きに耐え得る化粧膜の柔軟性に関して満足のいくものが得られなかった。また、特許文献2の技術では、特定の揮発性油剤を含有することで、滑らかに伸びる使用感は得られるものの、塗布後に油っぽさを感じ、サラサラとした使用感、さらに激しい動きに耐え得る化粧膜の柔軟性について満足のいくものではなかった。そのため、従来の技術では高い紫外線防御効果を有しながらも、紫外線吸収剤によるべたつきがなく、滑らかに伸び広がり、塗布後のサラサラとした使用感があり、激しい動きに耐えうる化粧膜の柔軟性に優れる日焼け止め化粧料が得られなかった。そこで本発明は、激しい動きに耐え得る化粧膜の柔軟性を有し、高い紫外線防御効果を有しながらも、紫外線吸収剤によるべたつきがなく、化粧膜の柔軟性に優れ、滑らかに伸び広がり、塗布後のサラサラとした使用感のある日焼け止め化粧料の提供を課題とするものである。
・・・
【0016】
本発明に用いられる成分(A)の多孔質無水ケイ酸は、表面に細孔を有しているものであれば、形状や粒子径は特に限定されないが、吸油量は50~300ml/gであることが好ましい。更に、油感やべたつきを低減するという観点から平均粒子径1~10μmが好ましく、1~7μmであるとより好ましい。
・・・
【0018】
成分(A)の市販品としては、例えば、コスメシリカ CQ4、サイリシア550(何れも、富士シリシア社製)、ゴッドボール E2-824C、D11-796C(何れも、鈴木油脂工業社製)等が挙げられる。本発明の日焼け止め化粧料における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、1~5質量%(以下、単に%と略す)が好ましく、2~4%がより好ましい。成分(A)をこの範囲で含有すると、使用時の伸び広がりや塗布後のサラサラした使用感がより好ましくなる。
【0019】
本発明に用いられる成分(B)の有機紫外線吸収剤は、通常日焼け止め化粧料に用いられるものであれば、特に制限されず使用することができる。具体的としては、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、パラアミノ安息香酸エチル、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-9、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジオクチルブタミドトリアゾン、4-tert-ブチル-4´-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ビス{[4-(2-エチル-ヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、ポリシリコーン-15等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。中でもメトキシケイヒ酸エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、4-tert-ブチル-4´-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ビス{[4-(2-エチル-ヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン、ポリシリコーン-15が好ましく、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス{[4-(2-エチル-ヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジンがより好ましい。
【0020】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、5~15%が好ましく、7~12%がより好ましい。成分(B)をこの範囲で含有すると、べたつきがなく、紫外線防御効果が得られる点でより好ましい。
・・・
【0025】
成分(D)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、単独で含有しても良いが、油剤との混合物として市販されていることが多く、本発明では、この市販された状態のものも使用できる。例えば、部分架橋型メチルポリシロキサンと環状シリコーンとの混合物としてKSG-15(固形分5%)、部分架橋型メチルポリシロキサンとジメチルポリシロキサンとの混合物としてKSG-16(固形分20~30%)、部分架橋型メチルフェニルポリシロキサンとフェニルトリメチコンとの混合物としてKSG-18(固形分10~20%)、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンとジメチルポリシロキサンとの混合物としてKSG-210(固形分20~30%)、部分架橋型アルキル変性シリコーンと油剤との混合物としてKSG-41(固形分25~35%)、KSG-42(固形分20~30%)、KSG-43(固形分25~35%)及びKSG-44(固形分25~35%)、部分架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーンと油剤との混合物としてKSG-310(固形分25~35%)、KSG-320(固形分20~30%)、KSG-330(固形分15~25%)、KSG-340(固形分25~35%)及びKSG-340(固形分25~35%)、部分架橋型フッ素変性シリコーンは、フルオロアルキル基含有環状オルガノポリシロキサン等の環状フッ素含有シリコーンとの混合物としてKSG-51(固形分15~25%)、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンとジメチルポリシロキサンの混合物としてKSG-710(固形分20~25%)(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
・・・
【0038】
本発明の日焼け止め化粧料の形態としては、特に限定されず、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、固形状、エアゾールミスト、エアゾールスプレー等が挙げられる。用途としては、日焼け止めの他に、日中用美容液、ボディークリーム等のスキンケア化粧料、ファンデーション、化粧下地、フェイスカラー、コントロールカラー、コンシーラー、BBクリーム、CCクリーム、リップクリーム、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料、ヘアミスト、ヘアエッセンス等のアウトバス用毛髪化粧料等を例示することができる。特に、本発明の効果を得る点で、日焼け止め、日中用美容液等のスキンケア化粧料、ファンデーション、化粧下地、フェイスカラー、BBクリーム、CCクリーム等のメイクアップ化粧料が好適である。」
摘記甲10c:
「【実施例】
【0039】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例 1~11、比較例 1~6 :油中水型日焼け止め
下記表1~3に示す組成の油中水型日焼け止めを調整し、イ.化粧膜の柔軟性、ロ.塗布後のサラサラとした使用感、ハ.伸び広がりの良さについて、下記評価方法により評価し、その評価結果を表1~3に示す。
【0040】
【表1】
[図:0001438315000011.jpg]
【0041】
【表2】
[図:0001438315000012.jpg]
【0042】
【表3】
[図:0001438315000013.jpg]
【0043】
※1:サンスフェア NP-30(AGCエスアイテック社製)
※2:KSG-51(信越化学工業社製)
※3:KSG-710(信越化学工業社製)
※4:シリコーン KP-543(信越化学工業社製)
※5:KSP-100(信越化学工業社製)
※6:ミペロン PM-200(三井化学社製)
※7:スノーリーフP(オーケン社製)
【0044】
(製造方法)
A.成分(3)~(5)を、約80℃まで加熱し均一に溶解混合する。
B.Aに(1)~(2)、(6)~(20)を加え、均一に混合分散する。
C.(21)~(23)を均一に混合する。
D.BにCを加えて分散し、室温で乳化して油中水型日焼け止めを得た。
【0045】
(評価方法)
下記イ~ニの項目について、各試料について専門パネル10名による使用テストを行った。イについては、表1~3に記載の各サンプルを肘の内側に0.2gを6cm四方の範囲に塗布し、曲げ伸ばしを50回行い、マイクロスコープを用いてシワ5か所を40倍拡大で観察し、前記動きに対する化粧膜のヨレ状態を評価した。ロについては、塗布後にべたつかず、粉体を肌上で転がすようなサラサラとした使用感が得られるかを下記判定基準に従い評価した。ハについては、パネル各人が下記絶対基準にて5段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
【0046】
(評価項目)
イ.化粧膜の柔軟性
判定基準
(判定)
◎ :変化なし
○ :1~2か所のシワにヨレが生じる
△ :3~4か所のシワにヨレが生じる
× :5か所全てのシワにヨレが生じる
【0047】
(評価項目)
ロ.塗布後のサラサラとした使用感
判定基準
(判定)
◎ :塗布後にべたつきを感じず、サラサラとした使用感が得られる
○ :塗布後にべたつきを感じるが、サラサラとした使用感が得られる
△ :塗布後にべたつきを感じ、サラサラとした使用感が得られない
× :塗布後にべたつき、不快感を感じる
【0048】
(評価項目)
ハ.伸び広がりの良さ
【0049】
絶対評価基準
(評点):(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :4点を超える :非常に良好
○ :2.5点を超え4点以下 :良好
△ :1点を超え2.5点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0050】
表1~3の結果より明かなように、実施例の油中水型日焼け止めは、紫外線吸収剤によるべたつきがなく、化粧膜の柔軟性に優れ、滑らかに伸び広がり、塗布後のサラサラとした使用感に優れるものであった。一方、成分(A)を含有しない比較例1は、化粧膜の柔軟性、塗布後のサラサラとした使用感に満足のいくものが得られなかった。成分(A)を無孔質無水ケイ酸に置き換えた比較例2は、塗布後のサラサラとした使用感が得られなかった。また、成分(C)を不揮発性油に置き換えた比較例3は、肌上での不揮発性油剤の割合が多くなるため、揮発性油剤よりも伸び広がりに劣り、塗布後のサラサラとした使用感に満足のいくものが得られなかった。また、成分(D)を含有しない比較例4及び他の皮膜形成剤に置き換えた比較例5は、化粧膜の柔軟性に満足のいくものが得られなかった。成分(E)を板状の有機粉体に置き換えた比較例6は、伸び広がりの良さに満足のいくものが得られなかった。
【0051】
実施例12:水中油型日中用美容液
成分 (%)
(1)多孔質無水ケイ酸 2
(2)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル
0.5
(3)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
(4)イソドデカン 3
(5)ジメチルポリシロキサン 1
(6)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1
(7)ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル※8
0.5
(8)ポリヒドロキシステアリン酸 0.5
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(10)ポリソルベート80 0.5
(11)ステアリン酸グリセリル 0.5
(12)ベヘニルアルコール 1
(13)セトステアリルアルコール 1
(14)(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー※9
0.3
(15)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 5
(16)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー※5
3
(17)窒化ホウ素 1
(18)精製水 20
(19)(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)共重合体分散物※10
1
(20)キサンタンガム 0.5
(21)精製水 残量
(22)エデト酸二ナトリウム 0.1
(23)エタノール 5
(24)メチルパラベン 0.1
(25)ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3
(26)グリセリン 3
(27)1,3-ブチレンブリコール 3
(28)センチフォリアバラ花エキス 0.1
(29)水溶性コラーゲン 0.1
(30)香料 0.1
※8 コスモール168ARNV(日清オイリオ社製)
※9 KSG-43(信越化学工業社製)
※10 SIMULGEL EG(固形分37.5% SEPPIC社製)
【0052】
(製造方法)
A.成分(2)~(3)を、約80℃まで加熱し均一に溶解混合する。
B.Aに成分(4)~(15)を加え、均一に混合分散する。
C.成分(18)~(20)を均一に混合した。
D.成分(21)~(29)を均一に混合し、Cに加えた。
E.DにBを加えて分散乳化した。
F.Eに成分(1)、(16)、(17)、(30)を加え均一に混合し、水中油型日中用美容液を得た。
【0053】
得られた水中油型日中用美容液は、紫外線吸収剤によるべたつきがなく、化粧膜の柔軟性に優れ、滑らかに伸び広がり、塗布後のサラサラとした使用感に優れたものであった。」
(11)甲11の記載事項
摘記甲11a:
「【0030】
実施例1
100mlフラスコに水60g、メタノール20g、1規定水酸化ナトリウム水溶液0.46g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.35gを入れ攪拌した。その水溶液にテトラメトキシシラン0.17gとビストリエトキシシリルエタン0.15gを混合してからゆっくりと加え、5時間攪拌後、12時間熟成させた。得られた白色沈殿物をろ別し、水洗、乾燥の後、1℃/分の速度で500℃まで焼成した。
得られた外殻部がメソ細孔構造を有する中空シリカ粒子の性状を表1に示す。なお、この中空シリカ粒子は、粉末X線回折(XRD)のパターンにおいて、d=2~12nmの範囲に相当する回折角度に1本のピークを有していた。
【0031】
比較例1
100mlフラスコに水60g、メタノール20g、1M水酸化ナトリウム水溶液0.46g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.35gを入れ攪拌した。その水溶液にテトラメトキシシラン0.35gをゆっくりと加え、5時間攪拌後、12時間熟成させた。得られた白色沈殿物を実施例1と同様にして焼成した。結果を表1に示す。
【0032】
比較例2
100mlフラスコに水60g、メタノール20g、1M水酸化ナトリウム水溶液0.46g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.35gを入れ攪拌した。その水溶液にビストリエトキシシリルエタン0.4gをゆっくりと加え、5時間攪拌後、12時間熟成させた。得られた白色沈殿物を実施例1と同様にして焼成した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
[図:0001438315000014.jpg]
」
(12)参1の記載事項
摘記参1a:
「【0136】
{SPF向上剤}
本発明による組成物は、少なくとも1種のSPF向上剤を含む。2種以上のSPF向上剤を使用する場合、それらは同一でも又は異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
【0137】
用語「SPF向上剤」は、紫外線遮蔽剤と共に製剤中に使用したとき、製剤中の紫外線遮蔽剤の量を増やさずに製剤のSPF値を高める化合物又は組成物を意味する。
・・・
【0157】
SPF向上剤の別の例は、微小球、特に球状微小粒子の形態の多孔質シリカである。本発明による多孔質シリカの球状微小粒子は、0.5μm~20μm、より詳細には3μm~15μmの範囲の平均粒径を好ましくは有する。
【0158】
それらは、50 m2/g~1000m2/g、より詳細には150 m2/g~800m2/gの範囲の比表面積を好ましくは有する。
【0159】
それらは、0.5ml/g~5ml/g、より詳細には1ml/g~2ml/gの範囲の比細孔容積を好ましくは有する。
【0160】
多孔質シリカのマイクロビーズの例証としては、以下の市販品:
Myoshi社によるSilica Beads SB150、
Asahi Glass社によるSunsphere H-51、
Sunjin社によるSunsil130、
池田物産株式会社によるSpherica P-1500及び
富士シリシア化学株式会社によるSylosphere
を使用できる。」
(13)参2の記載事項
摘記参2a:
「【0023】
・多孔質シリカ微粒子、例えば平均粒径5μmを持つ、ミヨシ(Miyoshi)社製の、シリカビーズSB150及びSB700;旭硝子(Asahi Glass)から入手できるシリーズ-Hサンスフェアーズ(Sunspheres)、例えばそれぞれ3、5及び5μmなるサイズを持つ、サンスフェアーズH33、H51及びH53;
・ポリテトラフルオロエチレン粉末、例えば平均粒径8μmを持つ、クラリアント(Clariant)社製の、PTFEセリダスト(Ceridust) 9205F;
・シリコーン樹脂粉末、例えば平均粒径4.5μmを持つ、GEシリコーン(Silicone)社製の、シリコーン樹脂トスパール(Tospearl) 145A;
・中空、半球型のシリコーン粒子、例えば特許出願EP 1,530,961に記載されているもの;
・アクリルコポリマー粉末、特にポリメチル(メタ)アクリレート粉末、例えば平均粒径8μmを持つ、ニホンジュンヨーキ(Nihon Junyoki)社製の、PMMAジュリマー(Jurymer) MBI粒子、ワッカー(Wackherr)社によって、コバビード(Covabead) LH85なる名称の下で市販されている、中空PMMA球、及びイクスパンセル(Expancel)なる名称の下で市販されている、塩化ビニリデン/アクリロニトリル/メチレンメタクリレート発泡性微小球;
・ワックス粉末、例えば平均粒径7μmを持つ、マイクロパウダーズ(MicroPowders)社製のパラフィンワックス粒子マイクロイーズ(Microease) 114S;」
(14)参3の記載事項
摘記参3a:
「
[図:0001438315000015.jpg]
・・・
[図:0001438315000016.jpg]
」
2 引用発明
(1)甲1発明
甲1の請求の範囲及び明細書の記載(摘記甲1a~摘記甲1d)からみて、甲1には、「表1」の「試験例4」の記載に基づく、以下の発明が記載されていると認める。
<甲1発明>
「以下の処方の化粧料(数字は質量%)
(油分)
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1
セバシン酸ジイソプロピル 2
イソステアリン酸 0.5
(多孔質粉体)
多孔質シリカ(サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製))
8
(紫外線吸収剤)
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
2
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 3
エチルヘキシルトリアゾン 1
(高分子分散剤)
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
0.03
(活性剤)
POE(20)POP(8)セチルエーテル 1
(その他)
キサンタンガム 0.1
グリセリン 2
1,3-ブチレングリコール 8
ジプロピレングリコール 4.2
ポリプロピレングリコール 1
エチルパラベン 適量
メチルパラベン 適量
フェノキシエタノール 適量
メタリン酸ナトリウム 0.01
酸化チタン 1
トリエタノールアミン 2.8
(水性媒体)
イオン交換水 残余」
(2)甲6発明
甲6の特許請求の範囲及び明細書の記載(摘記甲6a~摘記甲6d)からみて、甲6には、「表2」の「実施例3」の記載に基づく、以下の発明が記載されていると認める。
<甲6発明>
「以下の組成の化粧料(数字は質量%)
メントール 0.05
キシリトール 0.25
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(KSP-100、信越化学工業(株))
0.5
シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株)) 0.2
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン20EO 0.24
モノステアリン酸ソルビタン 0.45
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 5
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
3
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.5
(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル 3
カルボキシビニルポリマー 0.06
キサンタンガム 0.03
SIMULGEL NS(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、SEPPIC S.A.)
1
1,3-ブチレングリコール 2.5
ジプロピレングリコール 2
1,2-ペンタンジオール 1.5
水酸化カリウム 0.016
精製水 残余」
(3)甲7発明
甲7の特許請求の範囲及び明細書の記載(摘記甲7a~摘記甲7c)からみて、甲7には、「実施例17」の記載に基づく、以下の発明が記載されていると認める。
ここで、甲7の【0010】の記載(摘記甲7b)から、「実施例17」の「%」は、「質量%」を意味するものと認める。
<甲7発明>
「以下の成分を含有する日焼け止め料(数字は質量%)
大豆由来水素添加リゾリン脂質 1
グリセリン 3
1,3-ブチレングリコール 1
デカメチルシクロペンタシロキサン 2
パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル 3
流動パラフィン 2
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.5
2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム 3
無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))
1
エタノール 10
精製水 残量」
(4)甲8発明
甲8の特許請求の範囲及び明細書の記載(摘記甲8a~摘記甲8d)からみて、甲8には、「実施例2」の記載に基づく、以下の発明が記載されていると認める。
ここで、甲8の【0015】の記載(摘記甲8b)から、「実施例2」の「%」は、「質量%」を意味するものと認める。
<甲8発明>
「以下の成分を含有する水中油型下地化粧料(数字は質量%)
セタノール 2.0
ステアリン酸 1.0
モノステアリン酸グリセリン 0.5
流動パラフィン 5.0
パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル 5.0
1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン
4.0
トリイソステアリン酸ジグリセリル 1.0
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
3.0
シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製)) 3.0
ベンガラ 0.1
黄色酸化鉄 0.4
黒色酸化鉄 0.05
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.0
カルボキシルビニルポリマー 0.1
1,3-ブチレングリコール 10.0
防腐剤 0.2
精製水 残量
トリエタノールアミン 0.2」
(5)甲9発明
甲9の特許請求の範囲及び明細書の記載(摘記甲9a~摘記甲9c)からみて、甲9には、「実施例9」の記載に基づく、以下の発明が記載されていると認める。
なお、実施例9において用いられている「無水ケイ酸(球状、多孔質)」の具体的な製品名は明記されていないものの、甲9の表2には、実施例1の検討成分について「無水ケイ酸(球状、平均粒径5μm、多孔質)」と記載されており、それが「サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製」であることが記載されていること、実施例には、それ以外に、球状及び多孔質の無水ケイ酸について具体的な記載がないことから、実施例9の「無水ケイ酸(球状、多孔質)」は「サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製」であると認める。
<甲9発明>
「以下の成分を含有する日焼け止め化粧料(数字は質量%)
メチルフェニルポリシロキサン 2.0
スクワラン 2.0
テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 2.0
メトキシケイヒ酸オクチル 10.0
脂肪酸処理酸化チタン(溶液処理するステアリン酸を15質量%含有)
5.0
シリコーン処理酸化亜鉛 2.0
ベヘニルアルコール 1.0
ベヘニン酸 1.0
パルミチン酸 1.0
モノステアリン酸グリセリン 1.0
4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 3.0
オクチルトリアゾン 1.5
ベントナイト 2.0
グリセリン 2.0
プロピレングリコール 5.0
無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)
5.0
ポリエチレングリコール 2.0
水酸化カリウム水溶液1% 12.0
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.05
パラオキシ安息香酸アルキル 0.3
フェノキシエタノール 0.3
精製水 残量」
(6)甲10発明
甲10の特許請求の範囲及び明細書の記載(摘記甲10a~摘記甲10c)からみて、甲10には、「実施例12」、「比較例4」及び「比較例5」の記載に基づく、以下の発明が記載されていると認める。
ここで、甲10の【0018】の記載(摘記甲10b)から、「実施例12」、「比較例4」及び「比較例5」の「%」は、「質量%」を意味するものと認める。
<甲10-1発明>(実施例12)
「以下の成分を含有する水中油型日中用美容液(数字は質量%)
多孔質無水ケイ酸 2
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル
0.5
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
イソドデカン 3
ジメチルポリシロキサン 1
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 1
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
0.5
ポリヒドロキシステアリン酸 0.5
セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
ポリソルベート80 0.5
ステアリン酸グリセリル 0.5
ベヘニルアルコール 1
セトステアリルアルコール 1
(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー(KSG-43(信越化学工業社製))
0.3
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 5
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
3
窒化ホウ素 1
精製水 20
(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)共重合体分散物
1
キサンタンガム 0.5
精製水 残量
エデト酸二ナトリウム 0.1
エタノール 5
メチルパラベン 0.1
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3
グリセリン 3
1,3-ブチレンブリコール 3
センチフォリアバラ花エキス 0.1
水溶性コラーゲン 0.1
香料 0.1」
<甲10-2発明>(比較例4)
「以下の成分を含有する油中水型日焼け止め(数字は質量%)
多孔質無水ケイ酸(平均粒子径3.5μm、吸油量160mL/100g)
3
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
イソドデカン 10
デカメチルシクロペンタシロキサン 15
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(KSP-100(信越化学工業社製))
10
ジカプリン酸PG 残量
酸化亜鉛(平均粒子径25nm) 10
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.5
セチルジメチコン 0.5
フェノキシエタノール 0.5
スクワラン 0.1
精製水 10
加水分解ヒアルロン酸 0.1
エタノール 10」
<甲10-3発明>(比較例5)
「以下の成分を含有する油中水型日焼け止め(数字は質量%)
多孔質無水ケイ酸(平均粒子径3.5μm、吸油量160mL/100g)
3
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
イソドデカン 10
デカメチルシクロペンタシロキサン 15
(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー(シリコーン KP-543(信越化学工業社製))
0.5
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(KSP-100(信越化学工業社製))
10
ジカプリン酸PG 残量
酸化亜鉛(平均粒子径25nm) 10
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.5
セチルジメチコン 0.5
フェノキシエタノール 0.5
スクワラン 0.1
精製水 10
加水分解ヒアルロン酸 0.1
エタノール 10」
3 申立理由1及び3(甲1を主引例とした新規性及び進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)甲1発明の「多孔質シリカ(サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製))」は、その形状が球状であり、甲2の「多孔質Lシリーズ」の表に記載された「L-51」と同じシリーズの製品と認められることから、その平均粒子径が5μmであり、吸油量が150ml/100gであるといえる(摘記甲2a、なお、特開2023-112790号公報の【0088】及び【0089】にも、「サンスフェアL-51S」は、平均粒子径が5μmであり、吸油量が150ml/100gであることが記載されている。)。
したがって、甲1発明の「多孔質シリカ(サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製))」は、本件発明1の「平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」と「吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」である点で共通する。
(イ)甲1発明の「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」、「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」、「フェニルベンズイミダゾールスルホン酸」及び「エチルヘキシルトリアゾン」は、いずれも紫外線吸収剤であり、これらの紫外線吸収剤の含有量の合計は、13質量%(7+2+3+1=13)である。
したがって、甲1発明の「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」、「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」、「フェニルベンズイミダゾールスルホン酸」及び「エチルヘキシルトリアゾン」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当し、その含有量の合計13質量%は、本件発明1の「紫外線吸収剤」の含有量の「8~35質量%」の範囲内である。
(ウ)甲1発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する成分を含有していない。
(エ)甲1発明に含まれる「イオン交換水」の含有量について検討する。
甲1発明の化粧料に含まれる成分のうち「エチルパラベン」、「メチルパラベン」及び「フェノキシエタノール」は、その含有量が「適量」とされていることから、それらの明確な含有量は不明である。このため、まず「イオン交換水」並びに「エチルパラベン」、「メチルパラベン」及び「フェノキシエタノール」以外の成分の含有量を100質量%から除外すると、その残りは、55.36質量%(100-1-2-0.5-8-7-2-3-1-0.03-1-0.1-2-8-4.2-1-0.01-1-2.8=55.36)となる。
そして、「エチルパラベン」、「メチルパラベン」及び「フェノキシエタノール」は、一般的に化粧料に用いられる防腐剤であり、防腐剤を多量に添加することは考えられないから(例えば、甲8の実施例2の化粧料では、防腐剤が0.2質量%の含有量で配合されている(摘記甲8d)。)、甲1発明の「イオン交換水」の含有量は、55.36質量%のうちの大部分を占めるものと認められるので、甲1発明の化粧料は、少なくとも「水型」であるといえる。
したがって、甲1発明の「化粧料」は、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」に相当する。
(オ)そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「(A)吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末と、
(B)紫外線吸収剤を8~35質量%とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、水型又は水中油型化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
「多孔質球状シリカ粉末」の平均粒子径について、本件発明1は、「1~4μm」であるのに対し、甲1発明は、「5μm」である点。
<相違点1-2>
「多孔質球状シリカ粉末」の含有量について、本件発明1は、「1~5質量%」であるのに対し、甲1発明は、「8質量%」である点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点1-1について検討する。
(ア)甲1発明の「多孔質シリカ」は、その平均粒子径が本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の平均粒子径の範囲外のものであるから、相違点1-1は、実質的相違点である。
したがって、相違点1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。
(イ)甲1には、親油性多孔質粉体は、「より好ましくは1~20μm程度であってよい」と記載されているが(摘記甲1b)、甲1の[0090]には、「しかしながら、試験例3の化粧料の多孔質体を親水性の多孔質シリカに代えた化粧料(試験例4)では、毛穴補正効果が損なわれる結果となった。」と記載されている(摘記甲1d)ことから、甲1発明の「多孔質シリカ」は、親水性の多孔質シリカであるといえるので、上記親油性多孔質粉体の平均粒子径に関する記載を、甲1発明の「多孔質シリカ」に関するものとして参酌することはできない。
そして、甲1には、他に「多孔質シリカ」の平均粒子径に関する記載はないから、甲1の記載事項を勘案しても、甲1発明の「多孔質シリカ」の平均粒子径を「1~4μm」にすることが当業者にとって容易に想到し得たことであるとはいえない。
(ウ)甲3には、スプレーの形態で提供される抗日光製品において、「少なくとも一のUV遮蔽系を含有する組成物を収容する加圧装置に、多孔質シリカの球状微小粒子を使用することで、同じ光保護系単独で得られるよりも高い防御指数を有する抗日光組成物が得られること」が記載されており(摘記甲3a、摘記甲3b)、「多孔質シリカの球状微小粒子」は「0.5~20μm、より詳細には3~15μmの範囲の平均粒子径を有することが好ましい」とも記載されている(摘記甲3c)。そして、甲3の実施例には、「多孔質シリカの球状微小粒子」として「多孔質シリカのマイクロビーズ(ミヨシ社のシリカビーズSB150)」(「ミヨシ社のシリカビーズSB150」の平均粒子径は、5μm(摘記甲4a、摘記参2a)。)を用いて抗日光組成物の日光防御指数を向上させたことが記載されている(摘記甲3d)。
しかし、上記甲3の記載事項は、スプレー形態の抗日光製品に関するものであって、甲1発明のような液状形態の化粧料を肌に塗布するものとは製品形態が大きく異なるから、甲1発明の「多孔質シリカ」を他のシリカに代えることを検討するにあたって甲3の記載事項を参酌する動機付けがない。
さらに、甲1発明には、紫外線吸収剤に相当する成分が含有されているものの、甲1には、甲1発明における紫外線吸収剤の紫外線防御効果を向上させることを課題とする旨の記載はないから、この点においても、甲3の記載事項を参酌する動機付けを見いだすことができない。
(エ)そして、甲2や甲5には、平均粒子径が「1~4μm」の範囲内の多孔質球状シリカ粉末が記載されてはいるが(摘記甲2a、摘記甲5a)、これらの文献には、単に様々な平均粒子径の多孔質球状シリカが記載されているのみであり、甲1発明において、平均粒子径が5μmの多孔質シリカに代えて、他の平均粒子径のものを用いようとする動機付けとなる記載はないから、甲2及び甲5の記載事項を勘案しても、甲1発明の「多孔質シリカ」を平均粒子径が「1~4μm」のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(オ)したがって、甲1発明において相違点1-1に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。
(カ)さらに、本件明細書の実施例においては、「多孔質球状シリカ粉末」として、その平均粒子径が「1~4μm」の範囲にない場合には、紫外線防御力の向上効果に劣る結果となることも記載されている(比較例4、5、8及び10)から、本件発明1は、「多孔質球状シリカ粉末」として、その平均粒子径が「1~4μm」のものを用いることを含む技術的事項を採用することにより、甲1~5に記載された事項から予測し得ない格別顕著な効果を奏するものであるといえる。
よって、相違点1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲1~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立人の主張について
甲1発明に基づく新規性欠如の理由について、申立人は、申立書第18~19頁において「甲第1号証における・・・段落【0013】の「本発明に好適に用いることができる親油性多孔質粉体としては、・・・例えばシリカ等・・・球状である場合の平均粒径は、より好ましくは1~20μm程度」・・・から;甲第1号証には、平均粒子径1~20μm・・・である多孔質の球状シリカ粉末(真球状シリカ粉末)・・・(試験例4:5μm・・・)・・・が開示されている。」と主張している。
しかし、上記イ(イ)において述べたとおり、甲1に記載された「1~20μm」という平均粒子径の範囲は、親油性多孔質粉体の平均粒子径の範囲であって、当該親油性多孔質粉体は、甲1発明である試験例4で用いられた「多孔質シリカ」とは別の成分であるから、甲1の【0013】の記載に基づいて甲1発明の「多孔質シリカ」の平均粒子径の範囲を「1~20μm」と認定することはできず、相違点1-1は、実質的相違点である。
よって、申立人の主張は採用できない。
また、甲1発明に基づく進歩性欠如の理由について、申立人は、申立書第58頁において「甲第3発明には、有機系紫外線吸収剤を含む組成物に、球状の多孔質シリカ粉末を配合すると紫外線防御効果が向上することが実験を経て、平均粒子径0.5~20μm、より詳細には3~15μmの範囲との結論に至ったことが開示されている。これらの範囲は、本件発明1の平均粒子径の平均粒子径1~4μmとも重複している。ここで、多孔質の球状シリカ粉末の商品パンフレット(例えば、甲第2発明及び甲第5発明)では、本件出願前から、平均粒子径及び吸油量が並記され、これらがわかりやすいように一覧表化又は図化されているので、水型又は水中油型の日焼け止め化粧料の技術分野における当業者であれば、多孔質の球状シリカ粉末を選択する際に、これら2つの「平均粒子径及び吸油量」の関係に着目する強い動機づけが存在する。」と主張している。
しかし、上記イ(イ)~(エ)において述べたとおりであるから、甲2、甲3及び甲5の記載を勘案しても、甲1発明の「多孔質シリカ」を平均粒子径が「1~4μm」のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
さらに、申立人は、申立書第27頁において「甲第3発明における、有機系紫外線吸収剤を含む水型又は水中油型等の化粧料組成物の紫外線防御効果を、多孔質の球状シリカ粉末にて向上できることは、噴霧性組成物に限定されることなく、幅広い化粧料組成物に利用できることは、当業者のありふれた行為であるか当業者の設計事項であり、例えば、以下の参考資料1にて示されていることからも証明される。」とも主張しているが、参1には、「SPF向上剤」として使用し得る多孔質シリカの平均粒子径の範囲は、「3μm~15μm」と記載されており(摘記参1a)、本件発明の「1~4μm」とごく一部重複する範囲の記載があるにすぎないし、甲1発明の多孔質シリカは、平均粒子径が5μmであって、参1に記載されている3μm~15μmの範囲内であるから、参1の記載を勘案しても、甲1発明の「多孔質シリカ」を平均粒子径が「1~4μm」のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえず、本件発明1の効果が予測し得るものであるともいえない。
よって、申立人の主張は採用できない。
エ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記イと同様の理由により、甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明及び甲1~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
本件発明5は、「(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末を1~5質量%配合することにより、(B)紫外線吸収剤を8~35質量%含み、かつ、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない水型又は水中油型化粧料の紫外線防御力を向上させる方法。」であるが、上記イで述べたのと同様に、少なくとも、甲1に記載された「多孔質シリカ」は、平均粒子径の点で本件発明5の成分(A)と異なるものであり、甲1に記載された多孔質シリカを当該平均粒子径の多孔質球状シリカ粉末とすることは当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえないから、本件発明5は、甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明及び甲1~5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
4 申立理由2及び4(甲6を主引例とした新規性及び進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」は、甲5の「ゴッドボール D&Eシリーズ ~スタンダード・中実タイプ~」の表に記載された「E-2C」と同じ製品と認められるから、その平均粒子径が1.4~3.0μmであり、吸油量が150ml/100gであるといえる(摘記甲5a)。
また、甲5には、「ゴッドボール(真球状多孔質シリカ)」と記載されていること(摘記甲5a)から、甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」は、その形状が球状である多孔質シリカであるといえる。
したがって、甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」は、本件発明1の「平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」に相当する。
(イ)甲6発明の「メトキシケイ皮酸エチルヘキシル」、「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」及び「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」は、いずれも公知の紫外線吸収剤であり(摘記甲1c)、これらの紫外線吸収剤の含有量の合計は、8.5質量%(5+3+0.5=8.5)である。
したがって、甲6発明の「メトキシケイ皮酸エチルヘキシル」、「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」及び「ジエチエルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当し、その含有量の合計8.5質量%は、本件発明1の「紫外線吸収剤」の含有量の「8~35質量%」の範囲内である。
(ウ)甲6発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する成分を含有していない。
(エ)甲6発明に含まれる「精製水」の含有量は、100質量%から他の全ての成分の含有量を除外した量であるから、79.704質量%(100-0.05-0.25-0.5-0.2-0.24-0.45-5-3-0.5-3-0.06-0.03-1-2.5-2-1.5-0.016=79.704)となる。
そうすると、甲6発明の「精製水」は、甲6発明の化粧料の大部分を占めるものと認められるから、甲6発明の化粧料は、少なくとも「水型」であるといえる。
したがって、甲6発明の「化粧料」は、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」に相当する。
(オ)そうすると、本件発明1と甲6発明とは、
「(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末と、
(B)紫外線吸収剤を8~35質量%とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、水型又は水中油型化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点6>
「多孔質球状シリカ粉末」の含有量について、本件発明1は、「1~5質量%」であるのに対し、甲6発明は、「0.2質量%」である点。
イ 判断
相違点6について検討する。
(ア)甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」は、その含有量が本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の含有量の範囲外のものであるから、相違点6は、実質的相違点である。
したがって、本件発明1は、甲6に記載された発明ではない。
(イ)甲6には、「本発明においては、化粧料中に親油性球状粉体を0.5~1質量%、親水性球状粉体を0.2~1質量%含有することが好ましい。親油性、親水性のいずれかの球状粉体の配合量が0.2質量%に満たないと冷涼感の持続効果が得られ難くなる恐れがある。本発明においては、球状粉体の配合量によってメントール及び/又はメントール誘導体の示す冷感の持続効果を増強するが、1質量%を超えて配合しても、冷涼感の持続効果が配合量に応じて強まるわけではない。」との記載があり(摘記甲6b)、当該記載からは、親水性の球状粉体は、0.2質量%の含有量があれば、冷涼感の持続効果も十分期待でき、1質量%を超えて配合しても、冷涼感の持続効果が配合量に応じて強まるわけではないと理解される。
そして、甲6の実施例1及び2を参酌すると、親水性球状粉体の含有量を0.2質量%から1質量%に増やしても塗布直後の冷涼感及び冷涼感の持続性は何ら相違しないから、甲6発明において、親水性球状粉体に相当する「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量に着目して、その含有量を0.2質量%から、1質量%にまで増やそうとする動機付けがあるとはいえない。
したがって、甲6の記載事項を勘案しても、甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量を「1~5質量%」にすることが当業者にとって容易に想到し得たことであるとはいえない。
(ウ)上記3(1)イ(ウ)で述べたとおり、甲3には、スプレーの形態で提供される抗日光製品において、「少なくとも一のUV遮蔽系を含有する組成物を収容する加圧装置に、多孔質シリカの球状微小粒子を使用することで、同じ光保護系単独で得られるよりも高い防御指数を有する抗日光組成物が得られること」が記載されている(摘記甲3a、摘記甲3b)。
また、「多孔質シリカの球状微小粒子」は「組成物の全重量に対して、好ましくは0.1~10重量%、特に0.2~5重量%の範囲の濃度で本発明の組成物に使用される」とも記載されている(摘記甲3c)。そして、甲3の実施例には、「多孔質シリカの球状微小粒子」として「多孔質シリカのマイクロビーズ(ミヨシ社のシリカビーズSB150)」(「ミヨシ社のシリカビーズSB150」の平均粒子径は、5μm(摘記甲4a、摘記参2a)。)を「1重量%」用いて抗日光組成物の日光防御指数を向上させたことが記載されている(摘記甲3d)。
しかし、上記甲3の記載事項は、スプレー形態の抗日光製品に関するものであって、甲6発明のような液状形態の化粧料を肌に塗布するものとは製品形態が大きく異なるから、甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量の調整にあたって甲3の記載事項を参酌する動機付けがない。
さらに、甲6には、甲6記載の化粧料を日焼け止めとし得ると記載されており(摘記甲6c)、甲6発明には、紫外線吸収剤に相当する成分が含有されているものの、甲6記載の発明を日焼け止めとして用いた場合における紫外線吸収剤の紫外線防御効果を向上させることを課題とする旨の記載はないから、この点においても、甲3の記載事項を参酌する動機付けを見いだすことができない。
したがって、甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量の範囲を本件発明1の「1~5質量%」とすることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(エ)そして、甲1には、「多孔質シリカ」を8質量%含有する試験例4が記載されているが(摘記甲1d)、親水性の多孔質粉体である「多孔質シリカ」の含有量をどのような範囲とすることが好ましいかについて記載されている箇所はないし、甲2や甲5には、平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」の範囲内の多孔質球状シリカ粉末が記載されてはいるが(摘記甲2a、摘記甲5a)、これらの文献には、単に様々な平均粒子径や吸油量を有する多孔質球状シリカが記載されているのみであり、甲6発明において、「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量を「1~5質量%」とすることの動機付けとなる記載はないから、甲1、甲2及び甲5の記載事項を勘案しても、甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量の範囲を本件発明1の「1~5質量%」とすることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(オ)したがって、甲6発明において相違点6に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。
(カ)さらに、本件明細書の実施例においては、「多孔質球状シリカ粉末」を含有しない場合には、紫外線防御力の向上効果に劣る結果となることも記載されている(比較例1)から、「多孔質球状シリカ粉末」が紫外線防御力の向上効果を発揮するためには、ある程度の含有量が必要であることが認められ、また、「多孔質球状シリカ粉末」の含有量を「1~5質量%」とすることで、紫外線防御力の向上効果が得られることは甲6に記載された事項から予測し得る事項であるということもできないので、本件発明1は、「多孔質球状シリカ粉末」を「1~5質量%」含有することを含む技術的事項を採用することにより、甲1~6に記載された事項から予測し得ない格別顕著な効果を奏するものであるといえる。
(キ)よって、本件発明1は、甲6に記載された発明及び甲1~6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立人の主張について
甲6発明に基づく新規性欠如の理由について、申立人は、申立書第33頁において「段落【0010】には「化粧料中に・・・親水性球状粉体を0.2~1質量%含有することが好ましい。・・・。各球状粉体の配合上限は、用いる剤型、使用対象、使用感等を考慮して適宜設定できる。」が記載されている。そして、実施例1及び2では、「サンスフェアH-51」の含有量が、0.2質量%、1質量%と設定されている。」、「これらの記載から;甲第6発明(実施例3)には、・・・多孔質の球状シリカ粉末を0.2~1質量%・・・が開示されている。」と主張している。
しかし、甲6発明である実施例3には、「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」は、0.2質量%しか含有されていないから、甲6の他の記載に基いて甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量の範囲を「0.2~1質量%」と認定することはできず、相違点6は、実質的相違点である。
よって、申立人の主張は採用できない。
また、甲6発明に基づく進歩性欠如の理由について、申立人は、申立書第66頁において「甲第1発明には、水型又は水中油型化粧料において、平均粒子径1~20μm、ある程度の吸油量(好ましくは最大級油可能量100ml/100g以上)である多孔質の真球状シリカ粉末を1~20質量%を用いることで、紫外線防御効果の向上が得られることが示唆されている。」、「甲第3発明において、古くから、有機系紫外線吸収剤を含む組成物に、多孔質の球状シリカ粉末を配合すると紫外線防御力が向上できることが示され、実施例に基づき、結論付けされている。この甲第3発明では、多孔質の球状シリカ粉末の含有量が、甲第3発明の実施例1で「1質量%」であって、段落【0009】では、特に0.2~5重量%の範囲とされている。よって、甲第6発明において、甲第3発明に記載の「0.2~5質量%」の範囲を考慮しつつ、含有量「1、2、3、4、5質量%」を検討する程度のことであるので、まさに当業者の設計事項にほかならない。」と主張している。
しかし、上記イ(イ)~(エ)において述べたとおりであるから、甲1及び甲3の記載を勘案しても、甲6発明の「シリカ(ゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))」の含有量の範囲を本件発明1の「1~5質量%」とすることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
よって、申立人の主張は採用できない。
エ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記イと同様の理由により、甲6に記載された発明であるとはいえず、甲6に記載された発明及び甲1~6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
本件発明5については、上記イで述べたのと同様に、成分(A)の含有量が甲6に記載された発明と異なるものであり、当該含有量とすることは当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえないから、本件発明5は、甲6に記載された発明であるとはいえず、甲6に記載された発明及び甲1~6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
5 申立理由5(甲7を主引例とした進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)甲7発明の「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」は、その形状が球状であり、平均粒子径が「3μm」であり、甲2の「無孔質NPシリーズ」の表に記載された「NP-30」と同じ製品と認められるから、吸油量が30ml/100gであるといえる(摘記甲2a)。
したがって、甲7発明の「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」は、本件発明1の「平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」と「平均粒子径1~4μmである球状シリカ粉末」である点で共通する。
そして、甲7発明の日焼け止め料は、「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」を「1質量%」含有するものであり、この含有量の値は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の含有量の範囲である「1~5質量%」の範囲内の値である。
(イ)甲7発明の「パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル」及び「2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム」は、いずれも公知の紫外線吸収剤であり(摘記甲1c、摘記甲1d)、これらの紫外線吸収剤の含有量の合計は、6質量%(3+3=6)である。
したがって、甲7発明の「パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル」及び「2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当する。
(ウ)甲7発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する成分を含有していない。
(エ)甲7発明に含まれる「精製水」の含有量は、100質量%から他の全ての成分の含有量を除外した量であるから、73.5質量%(100-1-3-1-2-3-2-0.5-3-1-10=73.5)となる。
そうすると、甲7発明の「精製水」は、甲7発明の日焼け止め料の大部分を占めるものと認められるから、甲7発明の日焼け止め料は、少なくとも「水型」であるといえる。
したがって、甲7発明の「日焼け止め料」は、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」に相当する。
(オ)そうすると、本件発明1と甲7発明とは、
「(A)平均粒子径1~4μmである球状シリカ粉末を1~5質量%と、
(B)紫外線吸収剤とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、水型又は水中油型化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点7-1>
「球状シリカ粉末」について、本件発明1は、吸油量が「50~160ml/100g」で「多孔質」であるのに対し、甲7発明は、吸油量が「30ml/100g」で「無孔質」である点。
<相違点7-2>
本件発明1の「紫外線吸収剤」は、その含有量が「8~35質量%」であるのに対し、甲7発明の「パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル」及び「2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム」は、その合計含有量が6質量%である点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点7-1について検討する。
(ア)甲7には、「本発明に用いられるシリカは、その形状や大きさ、粒子構造等、特に限定はなく、球状、略球状、板状、多孔質、無孔質、何れのものでも用いることができ、具体的には、サンスフェアNP-100(洞海化学工業社製)、ゴッドボールE2-824C(鈴木油脂工業社製)、サイリシア550(富士シリシア化学社製)等の市販品がある」と記載されている(摘記甲7b)。
ここで、「サンスフェアNP-100(洞海化学工業社製)」は、甲2の「無孔質NPシリーズ」の表に記載された「NP-100」と同じ製品と認められるから、吸油量が35ml/100gであり(摘記甲2a)、「サイリシア550(富士シリシア化学社製)」は、参3の記載から、吸油量が160ml/100gであるといえる(摘記参3a)。
そうすると、甲7には、「サイリシア550(富士シリシア化学社製)」のような吸油量の値が本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の吸油量の範囲内のシリカを用い得ることは記載されているといえるが、甲7発明で用いられている「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」や「サンスフェアNP-100(洞海化学工業社製)」といった吸油量の値が本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の吸油量の範囲外のシリカも同様に用い得るものとして記載されており、それらのうち、特に「サイリシア550(富士シリシア化学社製)」を用いることが好ましいといったことは記載されていないから、甲7の記載事項を勘案しても、甲7発明の「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」を、多孔質かつ吸油量が「50~160ml/100g」の範囲内のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得たことであるとはいえない。
(イ)上記3(1)イ(ウ)で述べたとおり、甲3には、スプレーの形態で提供される抗日光製品において、「少なくとも一のUV遮蔽系を含有する組成物を収容する加圧装置に、多孔質シリカの球状微小粒子を使用することで、同じ光保護系単独で得られるよりも高い防御指数を有する抗日光組成物が得られること」が記載されており(摘記甲3a、摘記甲3b)、甲3の実施例には、「多孔質シリカの球状微小粒子」として「多孔質シリカのマイクロビーズ(ミヨシ社のシリカビーズSB150)」(「ミヨシ社のシリカビーズSB150」の平均粒子径は、5μm(摘記甲4a、摘記参2a)。)を「1重量%」用いて抗日光組成物の日光防御指数を向上させたことが記載されている(摘記甲3d)。
しかし、上記甲3の記載事項は、スプレー形態の抗日光製品に関するものであって、甲7発明のような液状形態の化粧料を肌に塗布するものとは製品形態が大きく異なるから、甲7発明の「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」を他のシリカに代えることがあるとしても、甲3の記載事項を参酌する動機付けがない。
さらに、甲7発明は、日焼け止め料の発明であり、紫外線吸収剤に相当する成分が含有されているものの、甲7には、甲7発明における紫外線吸収剤の紫外線防御効果を向上させることを課題とする旨の記載はないから、この点においても、甲3の記載事項を参酌する動機付けを見いだすことができない。
したがって、甲7発明の「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」を多孔質かつ吸油量が「50~160ml/100g」の範囲内のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得たことであるとはいえない。
(ウ)そして、甲1には、「多孔質シリカ」として「サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製)」(吸油量は、150ml/100gと認められる。)を含有する試験例4が記載されているが(摘記甲1d)、「サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製)」がどのような点で好ましいかについて記載されている箇所はないし、甲2や甲5には、平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」の範囲内の多孔質球状シリカ粉末が記載されてはいるが(摘記甲2a、摘記甲5a)、これらの文献には、単に様々な平均粒子径や吸油量を有する多孔質球状シリカが記載されているのみであり、甲7発明において、「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」を多孔質かつ吸油量が「50~160ml/100g」のものに代えようとする動機付けとなる記載はないから、甲1、甲2及び甲5の記載事項を勘案しても、甲7発明の「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」を多孔質かつ吸油量が「50~160ml/100g」のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(エ)したがって、甲7発明において相違点7-1に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。
(オ)さらに、本件明細書の実施例においては、「多孔質球状シリカ粉末」として、その吸油量が30mL/100gのものを用いた場合には、紫外線防御力の向上効果に劣る結果となることも記載されている(比較例3)から、本件発明1は、「多孔質球状シリカ粉末」として、その吸油量が「50~160ml/100g」のものを用いることを含む技術的事項を採用することにより、甲7及び甲1~5に記載された事項から予測し得ない格別顕著な効果を奏するものであるといえる。
(カ)よって、相違点7-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲7に記載された発明並びに甲1~5及び7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、申立書第70~71頁において「実施例17の無孔質球状シリカ(注13:サンスフェアNP-30;平均粒子径3μm)は、甲第7号証の段落【0016】に、市販品として「サンスフェアNP-100(洞海化学工業社製)、ゴッドボールE2-824C(鈴木油脂工業社製)、サイリシア550(富士シリシア化学社製)」が並列的に記載されているので、これらに極自然に置換できる。」、「甲第1発明及び甲第3発明からは、紫外線防御力向上に関与する吸油量の好ましい範囲として、ある程度(60、75ml/100g)以上、100ml/100g又は150ml/100g以上、300ml/100g以下が示唆されている。」、「甲第7発明において、甲第1発明及び甲第3発明に「多孔質球状シリカ粉末に、紫外線吸収剤を含む組成物の紫外線防御力向上でき、当該多孔質シリカにおける平均粒子径及び吸油量によって、紫外線防御力向上ができる」ことが記載又は示唆されている以上、甲第2発明及び甲第5発明のような、「平均粒子径及び吸油量」がわかりやすく強調されている商品パンフレットにある各商品の効果確認を行っているに過ぎず、当業者の創作行為にすら至っていない。」と主張している。
しかし、上記イ(ア)~(ウ)において述べたとおりであるから、甲1~3及び5の記載を勘案しても、甲7発明の「無孔質球状シリカ(サンスフェアーNP30(洞海化学工業社製 平均粒径3μm 比表面積40m2/g))」を多孔質かつ吸油量が「50~160ml/100g」のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
よって、申立人の主張は採用できない。
エ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記イと同様の理由により、甲7に記載された発明並びに甲1~5及び7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本件発明5については、上記イで述べたのと同様に、少なくとも、成分(A)が多孔質であること、及びその吸油量が甲7に記載された発明と異なり、甲7に記載されたシリカを多孔質とし、所定の吸油量のものとすることは当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、本件発明5は、甲7に記載された発明並びに甲1~5及び7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
6 申立理由6(甲8を主引例とした進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」は、甲5の「ゴッドボール Gシリーズ ~低吸油量タイプ~」の表に記載された「G-6C」と同じ製品と認められるから、その平均粒子径が3.2~5.0μmであり、吸油量が30ml/100gであるといえる(摘記甲5a)。
また、甲5には、「ゴッドボール(真球状多孔質シリカ)」と記載されていること(摘記甲5a)から、甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C、鈴木油脂工業(株))」は、その形状が球状である多孔質シリカであるといえる。
したがって、甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」は、本件発明1の「平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」と「多孔質球状シリカ粉末」である点で共通する。
そして、甲8発明の水中油型下地化粧料は、「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」を「3.0質量%」含有するものであり、この含有量の値は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の含有量の範囲である「1~5質量%」の範囲内の値である。
(イ)甲8発明の「パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル」は、公知の紫外線吸収剤であり(摘記甲1c)、その含有量は、5.0質量%である。
したがって、甲8発明の「パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当する。
(ウ)甲8発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する成分を含有していない。
(エ)甲8発明の「水中油型下地化粧料」は、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」に相当する。
(オ)そうすると、本件発明1と甲8発明とは、
「(A)多孔質球状シリカ粉末を1~5質量%と、
(B)紫外線吸収剤とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、水型又は水中油型化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点8-1>
「多孔質球状シリカ粉末」について、本件発明1は、平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」であるのに対し、甲8発明は、平均粒子径が「3.2~5.0μm」であり、吸油量が「30ml/100g」である点。
<相違点8-2>
「紫外線吸収剤」について、本件発明1は、含有量が「8~35質量%」であるのに対し、甲8発明は、含有量が「5.0質量%」である点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点8-1について検討する。
(ア)甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」について、甲8には、「成分(B)の粒子径は特に限定されないが、光散乱効果によるツヤを制御する観点より、1~7μmであり、さらに3~5μmであることが補正効果上特に好ましい」と記載されているのみであり、吸油量については何ら記載されていない(摘記甲8b)。
そうすると、甲8の記載を勘案しても、甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」を平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」の範囲内のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得たことであるとはいえない。
(イ)上記3(1)イ(ウ)で述べたとおり、甲3には、スプレーの形態で提供される抗日光製品において、「少なくとも一のUV遮蔽系を含有する組成物を収容する加圧装置に、多孔質シリカの球状微小粒子を使用することで、同じ光保護系単独で得られるよりも高い防御指数を有する抗日光組成物が得られること」が記載されており(摘記甲3a、摘記甲3b)、甲3の実施例には、「多孔質シリカの球状微小粒子」として「多孔質シリカのマイクロビーズ(ミヨシ社のシリカビーズSB150)」(「ミヨシ社のシリカビーズSB150」の平均粒子径は、5μm(摘記甲4a、摘記参2a)。)を「1重量%」用いて抗日光組成物の日光防御指数を向上させたことが記載されている(摘記甲3d)。
しかし、上記甲3の記載事項は、スプレー形態の抗日光製品に関するものであって、甲8発明のような液状形態の化粧料を肌に塗布するものとは製品形態が大きく異なるから、甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」を他のシリカに代えることを検討するにあたって甲3の記載事項を参酌する動機付けがない。
さらに、甲8には、甲8発明は「日焼け止め等のスキンケア化粧料等に凹凸補正効果を付与した化粧料等に適用可能である」と記載されており(摘記甲8c)、甲8発明には、紫外線吸収剤に相当する成分が含有されているものの、甲8発明における紫外線吸収剤の紫外線防御効果を向上させることを課題とする旨の記載はないから、この点においても、甲3の記載事項を参酌する動機付けを見いだすことができない。
したがって、甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」に代えて、平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量の範囲が「50~160ml/100g」であるものを用いることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(ウ)そして、甲1には、「多孔質シリカ」として「サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製)」(平均粒子径が5μmであり、吸油量が150ml/100gであると認められる。)を含有する試験例4が記載されているが(摘記甲1d)、「サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製)」がどのような点で好ましいかについて記載されている箇所はないし、甲2や甲5には、平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」の範囲内の多孔質球状シリカ粉末が記載されてはいるが(摘記甲2a、摘記甲5a)、これらの文献には、単に様々な平均粒子径や吸油量を有する多孔質球状シリカが記載されているのみであり、甲8発明において、「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」を平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」のものに代えようとする動機付けとなる記載はないから、甲1、甲2及び甲5の記載事項を勘案しても、甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」を平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(エ)したがって、甲8発明において相違点8-1に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。
(オ)さらに、本件明細書の実施例においては、「多孔質球状シリカ粉末」として、その平均粒子径が4μmを超えるものを用いた場合(比較例4、5、8及び10)や、吸油量が30mL/100gのものを用いた場合(比較例3)には、紫外線防御力の向上効果に劣る結果となることも記載されているから、本件発明1は、「多孔質球状シリカ粉末」として、その平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」のものを用いることを含む技術的事項を採用することにより、甲8及び甲1~5に記載された事項から予測し得ない格別顕著な効果を奏するものであるといえる。
よって、相違点8-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲8に記載された発明並びに甲1~5及び8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、申立書第73~74頁において「甲第8発明は、平均粒子径1~7μm、吸油量30ml/100gである多孔質真球状シリカ粉末1.5~9質量%(実施例2:3.2~5.0μm、吸油量30ml/100g、3.0質量%)・・・が開示されている(実施例2、段落・・・【0017】・・・)。」、「甲第1発明及び甲第3発明に「多孔質球状シリカ粉末に、紫外線吸収剤を含む組成物の紫外線防御力向上でき、当該多孔質シリカにおける平均粒子径及び吸油量によって、紫外線防御力向上ができる」ことが記載又は示唆されている以上、甲第2発明及び甲第5発明のような、「平均粒子径及び吸油量」がわかりやすく強調されている商品パンフレットにある各商品の効果確認を行っているに過ぎず、当業者の創作行為にすら至っていない。」と主張している。
しかし、甲8発明である実施例2において用いられた「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」は、その平均粒子径が3.2~5.0μmであるから、甲8の他の記載に基いて甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」の平均粒子径の範囲を「1~7μm」と認定することはできず、上記相違点8-1は、実質的相違点である。
また、上記イ(ア)~(ウ)において述べたとおりであるから、甲1~3及び5の記載を勘案しても、甲8発明の「シリカ(ゴッドボールG-6C(鈴木油脂工業製))」を平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
よって、申立人の主張は採用できない。
エ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記イと同様の理由により、甲8に記載された発明並びに甲1~5及び8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本件発明5については、上記イで述べたのと同様に、少なくとも、成分(A)の平均粒子径及び吸油量が甲8に記載された発明と異なり、甲8に記載されたシリカを当該平均粒子径及び吸油量のものとすることは当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、本件発明5は、甲8に記載された発明並びに甲1~5及び8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
7 申立理由7(甲9を主引例とした進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」は、甲2の「多孔質Lシリーズ」の表に記載された「L-51」と同じ製品と認められるから、その平均粒子径が5μmであり、吸油量が150ml/100gであるといえる(摘記甲2a)。
したがって、甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」は、本件発明1の「平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」と「吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」である点で共通する。
そして、甲9発明の日焼け止め化粧料は、「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」を「5.0質量%」含有するものであり、この含有量の値は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の含有量の範囲である「1~5質量%」の範囲内の値である。
(イ)甲9発明の「メトキシケイヒ酸オクチル」、「4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン」及び「オクチルトリアゾン」は、公知の紫外線吸収剤であり(摘記甲1c、摘記甲9b)、これらの紫外線吸収剤の含有量の合計は、14.5質量%(10.0+3.0+1.5=14.5)である。
したがって、甲9発明の「メトキシケイヒ酸オクチル」、「4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン」及び「オクチルトリアゾン」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当し、その含有量の合計14.5質量%は、本件発明1の「紫外線吸収剤」の含有量の「8~35質量%」の範囲内である。
(ウ)甲9発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する成分を含有していない。
(エ)甲9発明の「日焼け止め化粧料」は、甲9の特許請求の範囲の請求項1(摘記甲9a)に記載された水中油型乳化化粧料の具体例であるから、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」に相当する。
(オ)そうすると、本件発明1と甲9発明とは、
「(A)吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末を1~5質量%と、
(B)紫外線吸収剤を8~35質量%とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、水型又は水中油型化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点9>
本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」は、その平均粒子径の範囲が「1~4μm」であるのに対し、甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」は、その平均粒子径が「5μm」である点。
イ 判断
(ア)甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」について、甲9には、その平均粒子径については何ら記載されていない。
そうすると、甲9の記載を勘案しても、甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」を平均粒子径が「1~4μm」の範囲内のものに代えることが当業者にとって容易に想到し得たことであるとはいえない。
(イ)上記3(1)イ(ウ)で述べたとおり、甲3には、スプレーの形態で提供される抗日光製品において、「少なくとも一のUV遮蔽系を含有する組成物を収容する加圧装置に、多孔質シリカの球状微小粒子を使用することで、同じ光保護系単独で得られるよりも高い防御指数を有する抗日光組成物が得られること」が記載されており(摘記甲3a、摘記甲3b)、甲3の実施例には、「多孔質シリカの球状微小粒子」として「多孔質シリカのマイクロビーズ(ミヨシ社のシリカビーズSB150)」(「ミヨシ社のシリカビーズSB150」の平均粒子径は、5μm(摘記甲4a、摘記参2a)。)を「1重量%」用いて抗日光組成物の日光防御指数を向上させたことが記載されている(摘記甲3d)。
しかし、上記甲3の記載事項は、スプレー形態の抗日光製品に関するものであって、甲9発明のような液状形態の化粧料を肌に塗布するものとは製品形態が大きく異なるから、甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」を他のシリカに代えることを検討するにあたって甲3の記載事項を参酌する動機付けがない。
さらに、甲9発明は日焼け止め化粧料の発明であり、紫外線吸収剤に相当する成分が含有されているものの、甲9には、甲9発明における紫外線吸収剤の紫外線防御効果を向上させることを課題とする旨の記載はないから、この点においても、甲3の記載事項を参酌する動機付けを見いだすことができない。
したがって、甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」に代えて、平均粒子径が「1~4μm」であるものを用いることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(ウ)そして、甲1には、「多孔質シリカ」として「サンスフェアL-51s(球状、AGC エスアイテック株式会社製)」(平均粒子径が5μmであり、吸油量が150ml/100gであると認められる。)を含有する試験例4が記載され(摘記甲1d)、甲2や甲5には、平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」の範囲内の多孔質球状シリカ粉末が記載されてはいるが(摘記甲2a、摘記甲5a)、これらの文献には、単に様々な平均粒子径や吸油量を有する多孔質球状シリカが記載されているのみであり、甲9発明において、「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」を平均粒子径が「1~4μm」であるものに代えようとする動機付けとなる記載はないから、甲1、甲2及び甲5の記載事項を勘案しても、甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」を平均粒子径が「1~4μm」であるものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
(エ)したがって、甲9発明において相違点9に係る技術的事項を採用することは当業者が容易になし得た事項であるということはできない。
(オ)さらに、本件明細書の実施例においては、「多孔質球状シリカ粉末」として、その平均粒子径が4μmを超えるものを用いた場合には、紫外線防御力の向上効果に劣る結果となることも記載されている(比較例4、5、8及び10)から、本件発明1は、「多孔質球状シリカ粉末」として、その平均粒子径が「1~4μm」のものを用いることを含む技術的事項を採用することにより、甲9及び甲1~5に記載された事項から予測し得ない格別顕著な効果を奏するものであるといえる。
(カ)よって、本件発明1は、甲9に記載された発明並びに甲1~5及び9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、申立書第77頁において「好適な平均粒子径として、甲第1発明には、多孔質球状シリカ粉末の平均粒子径は、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~20μm程度が開示され(段落【0013】等)、甲第3発明には、多孔質球状シリカ粉末の平均粒子径が、好ましくは0.5~20μm、より好ましくは3~15μmが開示されている(段落【0008】等)。そして、甲第9発明において、平均粒子径「5μm」を基準に、紫外線防御効果が向上するために、甲第2発明又は甲第5発明のようなパンフレットに記載されている商品(平均粒子径)を順次選択し、試みてその結果を一覧にすることは当業者の通常の創作行為である。」と主張している。
しかし、上記イ(ア)~(ウ)において述べたとおりであるから、甲1~3及び5の記載を勘案しても、甲9発明の「無水ケイ酸(球状、多孔質)(サンスフェアーL51、旭硝子株式会社製)」を平均粒子径が「1~4μm」であるものに代えることが当業者にとって容易に想到し得るものであったとはいえない。
よって、申立人の主張は採用できない。
エ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記イと同様の理由により、甲9に記載された発明並びに甲1~5及び9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本件発明5については、上記イで述べたのと同様に、成分(A)の平均粒子径が甲9に記載された発明と異なるものであり、甲9に記載された無水ケイ酸を当該平均粒子径のものとすることは当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、甲9に記載された発明並びに甲1~5及び9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
8 申立理由8(甲10を主引例とした進歩性欠如)について
(1)甲10-1発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 甲10-1発明の「多孔質無水ケイ酸」について、「無水ケイ酸」は「シリカ」と同義であり、甲10には、その「平均粒子径」が「1~10μmである」と記載されていることから(摘記甲10a)、「粉末」であるものと認められるので、甲10-1発明の「多孔質無水ケイ酸」は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」と、「多孔質シリカ粉末」である点で共通する。
そして、甲10-1発明の「多孔質無水ケイ酸」の含有量の「2質量%」は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の含有量の「1~5質量%」の範囲内である。
b 甲10-1発明の「2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル」及び「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、いずれも甲10において、紫外線吸収剤として挙げられている成分であり(摘記甲10b)、これらの紫外線吸収剤の含有量の合計は、5.5質量%(0.5+5=5.5)である。
したがって、甲10-1発明の「2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル」及び「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当する。
c 甲10-1発明の「(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー(KSG-43(信越化学工業社製))」は、甲10において、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」として挙げられている成分であるから(摘記甲10b)、本件発明1において含まないものとされている「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する。
d 甲10-1発明の「水中油型日中用美容液」は、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」に相当する。
e そうすると、本件発明1と甲10-1発明とは、
「(A)多孔質シリカ粉末を1~5質量%と、
(B)紫外線吸収剤とを含む、
水型又は水中油型化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点10-1-1>
「多孔質シリカ粉末」について、本件発明1は、形状が「球状」であり、平均粒子径が「1~4μm」であり、吸油量が「50~160ml/100g」であるのに対し、甲10-1発明は、そのような特定がされていない点。
<相違点10-1-2>
「紫外線吸収剤」について、本件発明1は、含有量が「8~35質量%」であるのに対し、甲10-1発明は、「5.5質量%」である点。
<相違点10-1-3>
本件発明1は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない」のに対し、甲10-1発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を含む点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点10-1-3について検討する。
a 甲10には、甲10の請求項1に記載された日焼け止め化粧料の用途として、日中用美容液が記載されているから(摘記甲10b)、甲10-1発明の水中油型日中用美容液は、甲10の請求項1に記載された日焼け止め化粧料の具体例にあたるものであるといえる。そして、甲10の請求項1に記載された日焼け止め化粧料において、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」(成分(D))は、必須の成分である(摘記甲10a)。
b また、甲10には、甲10の請求項1に記載された日焼け止め化粧料は、「激しい動きに耐え得る化粧膜の柔軟性を有し、高い紫外線防御効果を有しながらも、紫外線吸収剤によるべたつきがなく、化粧膜の柔軟性に優れ、滑らかに伸び広がり、塗布後のサラサラとした使用感のある日焼け止め化粧料の提供を課題とするものである」と記載されている(摘記甲10b)。
c さらに、甲10の実施例においては、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を含有しない比較例4及び5を製造し、その性能評価を行ったところ「成分(D)を含有しない比較例4及び他の皮膜形成剤に置き換えた比較例5は、化粧膜の柔軟性に満足のいくものが得られなかった」ことが記載されている(摘記甲10c)。
d そうすると、甲10-1発明において、必須成分である「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を除くことは、その解決しようとする課題の一つである「化粧膜の柔軟性」の低下を引き起こす懸念のある事項であるから、甲10-1発明及び甲10に記載された事項から当業者が容易になしえた事項であるとはいえない。
よって、相違点10-1-1及び10-1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書第83~84頁において「「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を除いたとしても、甲第10発明では「化粧膜の柔軟性、塗布後のサラサラとした使用感、伸び広がりの良さ」が悪くなることはあるものの、実施例12も比較例3及び4も紫外線吸収剤を含むので紫外線防御力を期待する化粧料であることは明らかであり、本件発明の課題である紫外線防御力向上を妨げるといった強い阻害要因があったとまでは認められず、また、本件発明において当該構成を除くことによって有利な効果があるとはいえない。むしろ、当業者であれば、本件発明の課題が紫外線防御力向上である以上(なお、上記「(1)(1-2-1)(1)」で述べたように、みずみずしい使用感触は水を含むことで解決し得ることは本件特許権者が自認している)、「化粧膜の柔軟性、塗布後のサラサラとした使用感、伸び広がりの良さ」が悪くなっても、本件発明の課題解決には何ら支障がないので、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を除くことを試みることに強い動機づけが生じ得、これは当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。」と主張している。
しかし、甲10-1発明は、水中油型日中用美容液の発明であるところ、このような美容液において「化粧膜の柔軟性」の性能が悪化すれば、激しい動きに耐え得るものでなくなるおそれがあることから、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を甲10-1発明から除くことには、その性能を悪化させる懸念があり、甲10-1発明において「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を除くことに動機付けがあったということはできない。
よって、申立人の主張は採用できない。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本件発明5については、上記アで述べたのと同様に、甲10に記載された発明において、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」を除くことは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、上記アと同様の理由により、本件発明5は、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)甲10-2発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 甲10-2発明の「多孔質無水ケイ酸(平均粒子径3.5μm、吸油量160mL/100g)」について、「無水ケイ酸」は「シリカ」と同義であり、その「平均粒子径」が「3.5μm」であることから、「粉末」であるものと認められるので、甲10-2発明の「多孔質無水ケイ酸」は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」と、「多孔質シリカ粉末」である点で共通する。
また、甲10-2発明の「多孔質無水ケイ酸」の平均粒子径の「3.5μm」及び吸油量の「160mL/100g」は、それぞれ本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の平均粒子径の範囲である「1~4μm」及び吸油量の範囲である「50~160ml/100g」の範囲内であるし、甲10-2発明の「多孔質無水ケイ酸」の含有量の「3質量%」は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の含有量の範囲である「1~5質量%」の範囲内である。
b 甲10-2発明の「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」、「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」及び「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、いずれも甲10において、紫外線吸収剤として挙げられている成分であり(摘記甲10b)、これらの紫外線吸収剤の含有量の合計は、11質量%(2+2+7=11)である。
したがって、甲10-2発明の「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」、「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」及び「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当し、その含有量の合計11質量%は、本件発明1の「紫外線吸収剤」の含有量の「8~35質量%」の範囲内である。
c 甲10の実施例には、「成分(D)を含有しない比較例4及び他の皮膜形成剤に置き換えた比較例5は、化粧膜の柔軟性に満足のいくものが得られなかった」と記載されていることから(摘記甲10c)、甲10の比較例4である甲10-2発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する成分を含有していない。
d 甲10-2発明の「油中水型日焼け止め」は、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」と、「化粧料」である点で共通する。
e そうすると、本件発明1と甲10-2発明とは、
「(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質シリカ粉末を1~5質量%と、
(B)紫外線吸収剤を8~35質量%とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点10-2-1>
「多孔質球状シリカ粉末」の形状について、本件発明1は、「球状」であるのに対し、甲10-2発明は、特定されていない点。
<相違点10-2-2>
「化粧料」について、本件発明1は、「水型又は水中油型」であるのに対し、甲10-2発明は、「油中水型」である点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点10-2-2について検討する。
a 甲10-2発明は、甲10において「比較例4」として記載されているものであり、甲10の実施例には、「成分(D)を含有しない比較例4及び他の皮膜形成剤に置き換えた比較例5は、化粧膜の柔軟性に満足のいくものが得られなかった」ことが記載されている(摘記甲10c)。
b そうすると、甲10-2発明は、甲10の特許請求の範囲に記載された日焼け止め化粧料の優れた点を示すための比較対象とされた日焼け止めでしかなく、このような比較対象について、その性能を向上させることを目的として形態を変更する動機があるとはいえないから、甲10-2発明の形態を「油中水型」から「水型又は水中油型」とすることは、甲10-2発明及び甲10に記載された事項から当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
c そして、甲1~5にも、甲10-2発明の形態を「油中水型」から「水型又は水中油型」とすることの動機付けとなるような記載はないから、これらの文献の記載を参酌しても、甲10-2発明の形態を「油中水型」から「水型又は水中油型」とすることが当業者にとって容易になしえた事項であるとはいえない。
よって、相違点10-2-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、申立書第86~87頁において「甲第10号証では、日焼け止め化粧料の発明であって、段落【0036】には、「剤形として、特に限定されず、・・・水中油型・・・が挙げられる。」等)とあり、さらに、実施例12では水中油型日中用美容液が開示されている。つまり、甲第10号証において、油中水型を水中油型に変更できることが開示されている。一方で、本件発明は、上記「I.(1)(2-2-4)乳化安定性」及び「IV.(1)(1-2-1)(1)みずみずしい使用感触」のとおり、本件明細書において、一般的に乳化又は分散化のために用いられる成分、例えば油分、水、界面活性剤、高級アルコール、アルコール類等が必須成分又は準必須成分としては記載されておらず、具体的な成分例示や好適な含有量の記載もなく、単なる任意成分にとどまっている。本件発明は、「みずみずしい使用感触を備えた水型又は水中油型化粧料」を提供できる程度の水と、水型又は水中油型にできる程度の乳化成分又は分散化成分(例えば界面活性剤等)を含む程度のものと理解する。このため、甲第10比較発明において、水をみずみずしい使用感触が得られる程度に増量しこれに伴い油剤などを減量するとともに、水中油型系の界面活性剤等の乳化成分又は分散化成分を配合する程度のことは当業者の技術常識程度の技術であるので、「油中水型」を「水中油型」に変更することに技術的困難性もない。」と主張している。
しかし、上記(イ)a及びbで述べたとおり、甲10-2発明は、甲10において「比較例4」として記載された比較例であるから、その形態を変更しようとする動機付けがなく、甲10の【0036】に甲10の請求項1に記載された発明の取り得る剤形について記載されていたとしても、そもそも比較例の形態を変更しようとする動機がないのであるから、当該記載が甲10-2発明の形態の変更のための参考となるとはいえない。
よって、申立人の主張は採用できない。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本件発明5については、上記アで述べたのと同様に、化粧料の形態が甲10に記載された発明と異なるものであり、化粧料の形態を「水型又は水中油型」とすることは当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、上記アと同様の理由により、本件発明5は、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)甲10-3発明を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 甲10-3発明の「多孔質無水ケイ酸(平均粒子径3.5μm、吸油量160mL/100g)」について、「無水ケイ酸」は「シリカ」と同義であり、その「平均粒子径」が「3.5μm」であることから、「粉末」であるものと認められるので、甲10-3発明の「多孔質無水ケイ酸」は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」と、「多孔質シリカ粉末」である点で共通する。
また、甲10-3発明の「多孔質無水ケイ酸」の平均粒子径の「3.5μm」及び吸油量の「160mL/100g」は、それぞれ本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の平均粒子径の範囲である「1~4μm」及び吸油量の範囲である「50~160ml/100g」の範囲内であるし、甲10-3発明の「多孔質無水ケイ酸」の含有量の「3質量%」は、本件発明1の「多孔質球状シリカ粉末」の含有量の範囲である「1~5質量%」の範囲内である。
b 甲10-3発明の「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」、「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」及び「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、いずれも甲10において、紫外線吸収剤として挙げられている成分であり(摘記甲10b)、これらの紫外線吸収剤の含有量の合計は、11質量%(2+2+7=11)である。
したがって、甲10-3発明の「ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン」、「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」及び「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」は、本件発明1の「紫外線吸収剤」に相当し、その含有量の合計11質量%は、本件発明1の「紫外線吸収剤」の含有量の「8~35質量%」の範囲内である。
c 甲10の実施例には、「成分(D)を含有しない比較例4及び他の皮膜形成剤に置き換えた比較例5は、化粧膜の柔軟性に満足のいくものが得られなかった」と記載されていることから(摘記甲10c)、甲10の比較例5である甲10-3発明は、「部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物」に相当する成分を含有していない。
d 甲10-3発明の「油中水型日焼け止め」は、本件発明1の「水型又は水中油型化粧料」と、「化粧料」である点で共通する。
e そうすると、本件発明1と甲10-3発明とは、
「(A)平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質シリカ粉末を1~5質量%と、
(B)紫外線吸収剤を8~35質量%とを含み、
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含まない、化粧料。」
という点において一致し、以下の点で相違する。
<相違点10-3-1>
「多孔質球状シリカ粉末」の形状について、本件発明1は、「球状」であるのに対し、甲10-3発明は、特定がされていない点。
<相違点10-3-2>
「化粧料」について、本件発明1は、「水型又は水中油型」であるのに対し、甲10-3発明は、「油中水型」である点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点10-3-2について検討する。
相違点10-3-2は、上記(2)ア(ア)で述べた相違点10-2-2と同様である。
したがって、上記(2)ア(イ)において述べた理由と同様の理由から、甲10-3発明の形態を「油中水型」から「水型又は水中油型」とすることは、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項から当業者が容易になしえた事項であるとはいえない。
よって、相違点10-3-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)申立人の主張について
申立人の主張は、上記(2)ア(ウ)において述べたとおりであり、同(2)ア(ウ)において述べた理由と同様の理由から、その主張を採用することはできない。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~4は、本件発明1を引用して更に技術的に限定するもので、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本件発明5については、上記アで述べたのと同様に、化粧料の形態が甲10に記載された発明と異なるものであり、化粧料の形態を「水型又は水中油型」とすることは当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、上記アと同様の理由により、本件発明5は、甲10に記載された発明並びに甲1~5及び10に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
9 申立理由9(実施可能要件違反)について
(1)実施可能要件の判断の前提
物の発明について実施可能要件を充足するためには、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があることを要し、また、方法の発明について実施可能要件を充足するためには、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法の使用をすることができる程度の記載があることを要するものである。
(2)本件発明の実施可能要件について
本件発明の課題は、本件明細書の発明の詳細な説明(特に【0008】)の記載からみて、「みずみずしい使用感触と高い紫外線防御力とを備えた水型又は水中油型化粧料を提供すること」であると認められる。
また、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明の成分(A)である多孔質球状シリカ粉末について記載され(【0013】~【0018】)、成分(B)である紫外線吸収剤について記載され(【0019】~【0023】)、実際に、水中油型化粧料等を製造した例が、実施例として記載されている(【0033】~【0044】)。
そして、当該実施例においては、本件発明の水型又は水中油型化粧料がみずみずしい使用感触と高い紫外線防御力とを備えたものであることが実験的に確認されているから、これら実施例を参考に、一般的な説明も参照すれば、当業者は、過度な試行錯誤なく、本件発明1~4の「水型又は水中油型化粧料」を製造し、使用することができ、また、本件発明5の「水型又は水中油型化粧料の紫外線防御力を向上させる方法」を使用することができるといえる。
したがって、本件明細書の記載は、本件発明1~5について、その属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
(3)申立理由9における指摘
申立人は、上記第3の1(9)で示した理由により、本件発明は実施可能要件を満たさないと主張する。
(4)判断
申立人の主張するとおり、本件明細書の実施例には、実施例1~4及び比較例2~10において用いられた「シリカA」~「シリカM」の具体的な商品名等は記載されていない。
しかし、これら「シリカA」~「シリカM」については、その形状、平均粒子径、吸油量、多孔質/無孔質の別について、表1a及び表1bに記載されているし、その記載によれば、「シリカA」~「シリカM」のうち、表1aに記載された「シリカA」~「シリカD」は、本件発明の成分(A)である「平均粒子径1~4μm、吸油量が50~160ml/100gである多孔質球状シリカ粉末」に該当することは明らかであり、当該実施例の記載から、当業者は、仮にその製造方法が不明であったとしても、本件発明において特定される平均粒子径及び吸油量を有する多孔質球状シリカ粉末を用いることで、本件発明1~4の物を使用することができること、本件発明5の方法を使用することができることを理解できるといえる。
そして、例えば、甲2、甲5及び甲6に記載のとおり、本件発明において特定される平均粒子径及び吸油量を有する多孔質球状シリカ粉末(甲2に記載のH-31、L-31並びに甲5及び甲6に記載のゴッドボールE-2C、鈴木油脂工業(株))は、本件特許の出願時に製品として存在しているから、本件発明において特定される平均粒子径及び吸油量を有する多孔質球状シリカ粉末を用いる本件発明の物を製造することができるといえる。
さらに、特許権者(当時は特許出願人)は、令和7年5月23日受付の意見書の「(5)審尋に対する回答」において、「実施例2のシリカB:ゴッドボールE-6C(鈴木油脂工業株式会社)」、「実施例4のシリカD:ゴッドボールB-6C(鈴木油脂工業株式会社)」と記載しており、本件発明の成分(A)として本件明細書に記載の実施例において用いられている4種類のシリカのうち2種類についてその商品名を開示しているが、これらの商品は、本件明細書の【0017】に記載されているシリカである。
してみると、当業者は、実施例の表1a等の本件明細書の記載及び本件特許の出願時の技術常識から、本件発明で特定されるシリカ粉末を用いた場合に、紫外線防御力の向上効果、使用性及び安定性が得られることを理解することができ、また、本件発明1~4の物を製造し、使用することができ、本件発明5の方法を使用することができるといえる。
なお、申立人は、申立書第90頁において、甲11(摘記甲11a)を引用して、多孔質シリカ粉末には、一般に中空シリカ粒子及び中実シリカ粒子が存在するところ、本件明細書の実施例に示された「シリカA」~「シリカM」は、中空シリカ粒子であるか中実シリカであるかの開示がないことから、「シリカA」~「シリカM」を具体的に特定することが困難である旨も述べているが、本件発明は、「多孔質球状シリカ粉末」を、平均粒子径及び吸油量によって特定したものであって、その範囲内の具体的な「多孔質球状シリカ粒子」として、「シリカA」~「シリカD」が記載されているのであり、それらを用いた実施例1~4の水中油型化粧料についての記載を含む本件明細書の記載及び出願時の技術常識から、当業者は、本件発明を実施することができることを理解することができることは上述のとおりであるから、本件明細書の記載は、本件発明1~5について、その属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。
10 申立理由10(サポート要件違反)について
(1)サポート要件の判断の前提
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、その記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2)課題及び課題を解決するための手段
上記9(2)で述べたとおり、本件発明の課題は、本件明細書の発明の詳細な説明(特に【0008】)の記載からみて、「みずみずしい使用感触と高い紫外線防御力とを備えた水型又は水中油型化粧料を提供すること」であると認められ、本件明細書の発明の詳細な説明の記載には、この課題を解決するための手段が記載されるから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載から、当業者が本件発明の課題を解決できることを認識できるといえ、本件発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されているといえる。
(3)申立理由10における指摘
申立人は、上記第3の1(10)で示した理由により、本件発明はサポート要件を満たさないと主張する。
(4)判断
上記9(4)で述べたとおり、本件明細書の実施例には、実施例1~4及び比較例2~10において用いられた「シリカA」~「シリカM」の具体的な商品名等は記載されていないが、これら「シリカA」~「シリカM」については、その形状が表1a及び表1bに記載されているし、その記載によれば、「シリカA」~「シリカM」のうち、表1aに記載された「シリカA」~「シリカD」は、その形状が「球状」であることは明らかである。
また、甲2及び甲5の記載(摘記甲2a及び摘記甲5a)からみて、本件明細書の【0017】に記載されている、「ゴッドボールE-6C、ゴッドボールB-6C(以上、鈴木油脂工業株式会社)」及び「サンスフェアL-31(AGC エスアイテック株式会社)」は、「真球状」であり、甲2の電子顕微鏡写真を参照すると、「真球状」とは、「粒子径の最小値が最大値の80%未満の粒子」であるといえる。
さらに、特許権者(当時は特許出願人)は、令和7年5月23日受付の意見書の「(5)審尋に対する回答」において、「実施例2のシリカB:ゴッドボールE-6C(鈴木油脂工業株式会社)」、「実施例4のシリカD:ゴッドボールB-6C(鈴木油脂工業株式会社)」と記載しており、当該「ゴッドボールE-6C」及び「ゴッドボールB-6C」は、甲5に記載された「ゴッドボール(真球状多孔質シリカ)」の具体的製品名であるから、これらが「真球状」であることも理解することができる(摘記甲5a)。
そして、本件明細書の【0016】の記載から「真球状」は「球状」の一種であることは明らかであり、本件明細書の実施例において、少なくとも「球状」のシリカA~シリカDを含有する水中油型化粧料は、本件発明の課題を解決できることが示されているといえることから、「真球状」の多孔質球状シリカを用いた場合にも、本件発明の課題を解決することができるといえる。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
第5 まとめ
以上のとおり、申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことができない。
また、ほかに請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700269