特許異議申立
2025-700392
エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物
- 審判番号
- 2025-700392
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-230741
- 登録番号
- 7577290
- 請求日
- 2025年04月07日
- 審決日
- 2026年06月12日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ホーユー株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
- 【異議申立人】森 力
- 【異議申立人代理人】尾崎 隆弘
- 審判長/審判官
- 審判長 亀ヶ谷 明久
- 審判官 宮田 透
- 審判官 齋藤 恵
- 分類
- P1651.536-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K) / P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第4号、特許法第29条、特許法第113条第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7577290号発明「エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7577290号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
特許第7577290号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7577290号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、令和元年12月20日に出願され、令和6年10月25日にその特許権の設定登録がされ、令和6年11月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和7年4月7日に特許異議申立人 森力(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
以後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和7年 6月27日付け 取消理由通知
令和7年 8月29日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
令和8年 3月 9日付け 訂正があった旨の通知
令和8年 4月 2日 意見書の提出(申立人)
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年8月29日提出の訂正請求書による訂正請求(以下「本件訂正」という。)は、「特許第7577290号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正することを求める。」ことを請求の趣旨とするものであって、本件訂正の内容は、以下の訂正事項からなる(以下「本件訂正事項」という。下線は訂正により記載が変更される箇所を示す)。
本件訂正事項
特許請求の範囲の請求項1に
「エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、以下の(A)~(E)成分を含有し、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
(A)カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、
又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下
(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上
(C)酸化剤
(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤、及びHLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤」
と記載されているのを、
「エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、以下の(A)~(E)成分を含有し、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
(A)カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下
(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上
(C)酸化剤
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上、及びHLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤」
に訂正する(請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2~4も同様に訂正する)。
2 訂正の適否の判断
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1~4について、請求項2~4は、請求項1を直接的または間接的に引用し、本件訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに訂正請求をするものである。
(2)訂正の目的について
訂正前の請求項1では、(D)高級アルコールが、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコール及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを含むことは特定されていない。また、(E)成分のうちHLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤の含有量は特定されていない。これに対し、訂正後の請求項1では、(D)高級アルコールが「(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む」こと、及び「HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上」であることを特定するものである。
したがって、本件訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか否かについて
上記(2)から明らかなように、本件訂正事項は、発明特定事項に限定を加えるものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、本件訂正事項は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(4)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0042】には、「(D)成分である高級アルコールは、炭素数6以上の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素に置換基として水酸基を有する化合物である。好ましい高級アルコールとしては、直鎖状高級アルコールである。」「本発明の(D)成分としては、(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコール、(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールが挙げられる。」との記載があり、酸化剤含有組成物における高級アルコールが(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコール、(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールを含むことが記載されている。
そして、酸化剤含有組成物における高級アルコールの配合量について、本件明細書の【0045】には、(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコールの含有量は、例えば、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが記載され、【0048】には、(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールの含有量は例えば、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが記載されている。
また、酸化剤含有組成物におけるHLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤の含有量について、本件明細書の【0054】には、好ましい量として、0.8質量%以上であることが記載されている。
したがって、本件訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(5)独立特許要件について
本件においては、訂正前の全ての請求項1~4について特許異議の申立てがされているので、本件訂正事項に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件特許に係る発明
本件訂正後の請求項1~4に係る発明(以下、請求項の番号によって「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、以下の(A)~(E)成分を含有し、50℃における粘度(V50)と25℃に おける粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
(A)カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下
(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上
(C)酸化剤
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質 量%以下、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上、及びHLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤
【請求項2】
前記(A)成分が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、流動パラフィン、パラフィン、オリーブ油からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量が、6.5質量%以上12.5質量%以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。」
第4 申立の理由及び取消理由通知で通知した理由の概要
1 申立の理由
特許異議申立書において、申立人の主張した申立の理由は、概略以下のとおりである。
(申立理由1)
本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、請求項1~4に係る特許は取り消されるべきである。
(申立理由2)
本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、請求項1~4に係る特許は取り消されるべきである。
(申立理由3)
請求項1~4に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証に、それぞれ記載されている発明である。したがって、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(申立理由4)
請求項1~4に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証に、それぞれ記載されている発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明である。したがって、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
申立人は、以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:特開2017-81886号公報
甲第2号証:特開2017-124980号公報
甲第3号証:特開2019-11292号公報
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1~4に係る特許に対して、特許権者に通知した令和7年6月27日付け取消理由の概要は、次のとおりである。
[理由1](サポート要件)
本件特許の請求項1~4に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
[理由2](実施可能要件)
本件特許の発明の詳細な説明の記載は下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
[理由3](新規性)
本件特許の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記甲1~甲3のそれぞれに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
[理由4](進歩性)
本件特許の請求項1~4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記甲1~3のそれぞれに記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1~4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
甲1:特開2017-81886号公報
甲2:特開2017-124980号公報
甲3:特開2019-11292号公報
(甲1~甲3は、それぞれ、特許異議申立人が提示した甲第1号証~甲第3号証と同じものである。)
第5 取消理由及び申立ての理由についての判断
取消理由通知で通知した取消理由は、それぞれ、理由1は申立理由1、理由2は申立理由2、理由3は申立理由3、理由4は申立理由4と同じものであり、申立ての理由は全て取消理由通知で採用されている。
以下、取消理由通知で通知した取消理由について判断を示す。
1 理由1(サポート要件)について
(1)本件発明の課題
特許法第36条第6項第1号のサポート要件は、出願時の技術常識を踏まえたうえで、請求項に係る発明が、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであるか否かにより判断すべきものである。
本件明細書の【0007】の記載からみて、本件発明の課題は、粘度における温度安定性に優れたエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供することである。
(2)本件明細書の記載
ア 上記本件明細書には、具体的組成物として、以下の実施例が記載されている。
「【0099】
(粘度及び吐出量の温度安定性における(A)イオン性界面活性剤の作用)
【0100】
【表1】
[図:0001439188000001.jpg]
」
「【0103】
(粘度及び吐出量の温度安定性における(B)油性成分の作用)
【0104】
【表2】
[図:0001439188000002.jpg]
」
本件明細書に記載された上記の実施例1、実施例3、実施例4は、いずれも、本件発明における「(A)カチオン性界面活性剤」に該当する塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを0.2質量%、本件発明における「(B)炭化水素油及び/または油脂を含む油性成分」に該当する流動パラフィン及び「(C)酸化剤」に該当する過酸化水素を含有するとともに、本件発明における「(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質 量%以下、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む(D)高級アルコール」に該当するステアリルアルコールとベヘニルアルコールをそれぞれ3.0質量%及び2.0質量%、「(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤」に該当するポリオキシエチレンステアリルエーテルを1.3質量%、「(E)HLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤」に該当するポリオキシエチレンセチルエーテルを含有するエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である。本件発明における(B)成分に該当する成分として、実施例1は流動パラフィンを10.0質量%、実施例3はオリーブ油を10.0量%、実施例4は流動パラフィンを8.0質量%含有し、それらの含有量も、本件発明における(B)成分の含有量の範囲内である。そして、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25が、実施例1は0.82、実施例3は0.95、実施例4は0.86である。
また、本件明細書に記載された上記の実施例2は、本件発明における「(A)カチオン性界面活性剤」に該当するN-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウムを0.2質量%、本件発明における「(B)炭化水素油及び/または油脂を含む油性成分」に該当する流動パラフィン及び「(C)酸化剤」に該当する過酸化水素を含有するとともに、本件発明における「(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質 量%以下、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む(D)高級アルコール」に該当するステアリルアルコールとベヘニルアルコールをそれぞれ3.0質量%及び2.0質量%、「(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤」に該当するポリオキシエチレンステアリルエーテルを1.3質量%、「(E)HLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤」に該当するポリオキシエチレンセチルエーテルを含有するエアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である。そして、実施例2における流動パラフィンの含有量は、10質量%であって、本件発明における(B)成分の含有量の範囲内であり、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25が0.95である。
そうすると、本件明細書に記載された実施例1~4は、本件発明における組成の要件と、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25要件をともに満たすものであり、粘度の温度安定性に優れるものであるから、本件発明の課題を解決できるものであると認められる。
イ 本件明細書には、実施例の記載だけでなく、本件発明における「(A)カチオン性界面活性剤」について、「表2に示すように、実施例1、3、4と比較例2を比較すると、油性成分である(B)成分を含む実施例1~3では、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25が0.82~0.95の範囲であったが、(B)成分を含まない比較例2では1.25であった。」(【0101】)及び「酸化剤含有組成物におけるイオン性界面活性剤である(A)成分の配合は、粘度及び吐出量の温度安定性を向上させることが示された。」(【0102】)との記載がある。
また、本件発明における「(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分」については、「表2に示すように、実施例1、3、4と比較例2を比較すると、油性成分である(B)成分を含む実施例1~3では、25℃での粘度値に対する50℃での粘度値の比V50/V25が0.82~0.95の範囲であったが、(B)成分を含まない比較例2では1.25であった。」(【0105】)、「酸化剤含有組成物における油性成分である(B)成分の配合は、粘度及び吐出量の温度安定性を向上させることが示された。」(【0107】)との記載がある。
本件明細書におけるこれらの記載から、本件発明の組成物においては、カチオン性界面活性剤及び油性成分を配合することにより、粘度の温度安定性を向上させることが理解できる。
(3)サポート要件の判断
ア 上記(2)アのとおり、本件明細書には、粘度の温度安定性に優れ、本件発明の課題を解決できるものであると認められる本件発明の実施態様である実施例が記載されている。そして、上記(2)イで述べたとおり、イオン性界面活性剤であるカチオン性界面活性剤、油性成分は粘度及び吐出量の温度安定性を向上させる成分であり、本件発明は、これら成分を含むことに加えて、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とするものなのであるから、本件発明は発明の詳細な説明に記載されており、発明の詳細な説明の記載から、本件発明が発明の課題を解決可能であると理解できる範囲内のものであるといえる。
したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。
(4)申立人の主張について
ア 申立人は、本件発明1が規定する粘度比は、本件明細書に実施例の具体的組成によって達成され得るに留まり、本件発明1の範囲まで拡張した場合には、達成され得ないから、本件発明1によっては、「粘度における温度安定性に優れたエアザール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物を提供する」という課題を解決できず、出願時の技術常識に照らしても、本件発明1まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないと主張する(特許異議申立書7頁)。
しかし、上記(2)アのとおり、本件明細書には、本件発明の課題を解決可能である具体的実施例が記載されているだけでなく、上記(2)イのとおり、本件明細書の記載から、本件発明の組成物においては、カチオン性界面活性剤、油性成分を配合することが、粘度の温度安定性を向上させることが理解できるうえ、本件発明1は、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とするものに限定されていることからも、発明の課題を解決できると当業者が認識可能な範囲を超えるものではない。
したがって、申立人の主張は採用できない。
イ 申立人は、本件発明1に規定されている含有量の成分(A)~成分(E)を備えることによって、0.80~1.20の粘度比範囲を実現しなければならないところ、本件明細書の比較例4は、流動パラフィンを15質量%含有し、粘度比が0.77であることから、成分(B)の上限値が規定されていない本件発明1は、本件発明の課題を解決できない範囲を含んでいるから、本件発明1についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされた旨を主張する(令和8年4月2日付け意見書6頁(2.2))。
しかしながら、本件発明1は、「50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする」との特定事項を有しており、比較例4は、本件発明1の範囲外のものであるから、申立人の上記主張は採用できない。
ウ 申立人は、令和7年8月29日付けの訂正請求によって、(D-1)成分及び(D-2)成分及び(E)の含有量が限定されたことにより、本件明細書の表1及び表2における検証範囲を超えることになるから、(D-1)成分及び(D-2)成分及び(E)の含有量が限定された本件発明1の範囲にまで一般化することができないという新たな取消理由が生じた旨を主張する(令和8年4月2日付け意見書6頁~7頁(3))。
しかしながら、令和7年8月29日付けの訂正請求は、訂正前の請求項1に係る発明に、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質 量%以下、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む(D)高級アルコール及び(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上を含むものにさらに限定するものであり、本件明細書には、本件発明1の実施態様として、発明の課題を解決可能である実施例が記載されていることは、上記(2)アのとおりである。
したがって、申立人の主張は採用できない。
(5)小括
本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
2 理由2(実施可能要件)について
上記1(2)アのとおり、本件明細書に、本件特許の実施態様である実施例1~4が記載されている。
また、上記(2)イのとおり、本件明細書には、イオン性界面活性剤であるカチオン性界面活性剤、油性成分は粘度及び吐出量の温度安定性を向上させる成分であることが記載されていることに加え、「本発明の酸化剤含有組成物における高級アルコールを除く油性成分の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、5.5質量%以上14.5質量%以下である。・・・(合議体注:・・・は記載の省略を表す。以下同様である。) 酸化剤含有組成物における油性成分の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、粘度について更に優れた温度安定性を発揮することができる。」(【0039】)との記載がある。
また、本件明細書には、(D-1)成分について、「(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコールの具体例としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、デシルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、2-ヘキシルデカノールなどが挙げられる。好ましい(D-1)成分としてはセタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコールである。」(【0044】)、「本発明の酸化剤含有組成物における(D-1)成分である炭素数20未満の高級アルコールの含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.1質量%以上5.0質量%以下である。・・・酸化剤含有組成物における炭素数20以上(合議体注:原文のママ)の高級アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、最適な粘度を有することができる。」(【0045】)との記載がある。また、(D-2)成分について、「(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールの具体例としては、例えば、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、フィトステロール、コレステロールなどが挙げられる。好ましい(D-2)成分としてはアラキルアルコール、ベヘニルアルコールである。」(【0047】)、「本発明の酸化剤含有組成物における(D-2)成分である炭素数20以上の高級アルコールの含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.1質量%以上5.0質量%以下である。・・・ 酸化剤含有組成物における炭素数20以上の高級アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、最適な粘度を有することができる。」(【0048】)との記載がある。
本件明細書には、さらに、(E)成分について、「(E)成分である非イオン性界面活性剤は、水に溶解した際にイオン解離しない親水基を有する界面活性剤である。・・・好ましい非イオン性界面活性剤としては、HLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤、HLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の組み合わせである。」(【0049】)、「非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、エステルエーテル型非イオン性界面活性剤、アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド、レシチン誘導体水素添加大豆レシチンなどが挙げられる。」(【0050】)、「本発明の酸化剤含有組成物におけるHLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.05質量%以上5.0質量%以下である。」(【0054】)、「本発明の酸化剤含有組成物におけるHLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の含有量は、特に制限されるものではなく、例えば、0.05質量%以上5.0質量%以下である。」(【0056】)、「酸化剤含有組成物におけるHLB値が10.0を超える非イオン性界面活性剤の含有量に対するHLB値が10.0以下である非イオン性界面活性剤の含有量の比を上記範囲とすることにより、本発明の酸化剤含有組成物は、粘度における優れた温度安定性を発揮することができる。」(【0057】)などの説明がある。
当業者であれば、これらの記載から、本件明細書に実施例として記載された具体的組成物の他にも、本件発明における各成分の具体的物質とその配合量をどのように調節すればよいかを理解して、本件発明の組成物を製造し、使用することができるといえる。
そうすると、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものではない。
3 理由3(新規性)及び理由4(進歩性)について
(1) 刊行物の記載及び刊行物に記載された発明
ア 甲1の記載及び甲1に記載された発明
甲1には、以下の記載がある。(下線は合議体が付したものである。)
(甲1ア)
「【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を同時に吐出する機構を有する容器に充填した毛髪化粧料であって、第1剤と第2剤の粘度がいずれも25℃において50000mPa・s以下であり、かつ、25℃において同時吐出させた際の第1剤と第2剤の吐出量の質量比(第1剤の吐出量/第2剤の吐出量)が、第1剤と第2剤の初期充填量の質量比(第1剤の初期充填量/第2剤の初期充填量)の0.6倍~1.4倍の範囲内であることを特徴とする毛髪化粧料。」
(甲1イ)
「【0089】
〔第1実施例:吐出比1:1の酸化染毛剤〕
第1剤と第2剤の吐出量の質量比が1:1の設定である2剤式エアゾール型の酸化染毛剤の実施例1~4及び比較例1に係るクリーム状の第1剤の組成を末尾の表1に示し、同様にクリーム状の第2剤の組成を末尾の表2に示す。
・・・
【0091】
・・・また、表1の第1剤及び表2の第2剤の各成分について含有量を示す数値は、第1剤中又は第2剤中における質量%である。
・・・
【0108】
[図:0001439188000003.jpg]
」
甲1は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を同時に吐出する機構を有する容器に充填した毛髪化粧料の発明に関し(甲1ア)、第1実施例として、第1剤と第2剤の吐出量の質量比が1:1の設定である2剤式エアゾール型の酸化染毛剤の実施例1~4が記載され、第2剤の組成が表2に示されている(甲1イ)。甲1の第1実施例の実施例2の第2剤の記載から、甲1には、次の発明が記載されているといえる(以下「甲1発明」という。)。
(甲1発明)
「以下の組成を有する、第1剤と第2剤の吐出量が1:1の設定である2剤式エアゾール型の酸化染毛剤のクリーム状の第2剤。
ステアリルアルコール 5.5質量%
ベヘニルアルコール 1.5質量%
POE(2)セチルエーテル 0.5質量%
POE(40)セチルエーテル 0.8質量%
POE(25)オクチルドデシルエーテル 0.7質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.35質量%
流動パラフィン 10質量%
濃グリセリン 1.6質量%
リン酸 0.02質量%
軟質ラノリン脂肪酸 0.2質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.2質量%
水酸化ナトリウム液 0.2質量%
硫酸オキシキノリン-2 0.04質量%
イソプロパノール 0.2質量%
35%過酸化水素水 16質量%
精製水 残部」
イ 甲2の記載及び甲2に記載された発明
甲2には、以下の記載がある。(下線は合議体が付したものである。)
(甲2ア)
「【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、 前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を含有する後発泡性組成物であって、 前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料」
(甲2イ)
「【0107】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の記述範囲が限定されるものではない。
[第1剤及び第2剤の調製]
毛髪化粧料として二剤式の酸化染毛剤を調製した。第1剤の組成は、表1の1-A~1-D及び表3の1-E~1-Lに示し、第2剤の組成は、表2の2-A~2-D及び表4の2-E~2-Lに示す。各組成において、後発泡剤であるイソペンタン、n-ブタン、n-ペンタンを除く原料を混合し、クリーム状の第1剤及び第2剤を得た。
【0108】
次に、図面を用いて実施例で使用した二剤同時吐出容器について説明する。図1及び図2に示すように、二剤同時吐出容器20は、第1剤を充填する第1のエアゾール容器22a、第2剤を充填する第2のエアゾール容器22b、各エアゾール容器22a、22bを連結固定する連結部材24、吐出ヘッド26からなる。・・・
【0113】
[図:0001439188000004.jpg]
・・・
【0120】
[図:0001439188000005.jpg]
」
甲2は、「アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤を備えた複数剤型の毛髪化粧料において、 前記第1剤及び前記第2剤は、いずれも後発泡剤を含有する後発泡性組成物であって、 前記第1剤と前記第2剤を同時に吐出する機構を備えた複数剤同時吐出容器に充填されていることを特徴とする毛髪化粧料」(甲2ア)の発明に関し、実施例として、第1剤を充填する第1のエアゾール容器と第2剤を充填する第2のエアゾール容器に、それぞれの剤を収納したことが記載され、第2剤の組成は、表2のものであったことが記載されている(甲2イ)。
甲2には、甲2の実施例2の第2剤として、以下の発明が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「以下の組成を有する、二剤式の酸化染毛剤の第2剤であって、二剤同時吐出のエアゾール容器に充填された第2剤。
ステアリルアルコール 5.5質量%
ベヘニルアルコール 1.5質量%
POE(2)セチルエーテル 0.5質量%
POE(40)セチルエーテル 0.8質量%
POE(25)オクチルドデシルエーテル 0.7質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.35質量%
流動パラフィン 10質量%
濃グリセリン 1.6質量%
リン酸 0.02質量%
軟質ラノリン脂肪酸 0.2質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.2質量%
水酸化ナトリウム液 0.2質量%
硫酸オキシキノリン-2 0.04質量%
イソプロパノール 0.2質量%
35%過酸化水素水 16質量%
イソペンタン 2質量%
精製水 残部」
ウ 甲3の記載及び甲3に記載された発明
甲3には、以下の記載がある。(下線は合議体が付したものである。)
(甲3ア)
「【請求項1】
エアゾール容器より泡状の剤として吐出され、アルカリ剤を含有する剤と混合して染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物であって、(A)炭化水素及び(B)酸化剤を含有する酸化剤含有組成物。」
(甲3イ)
「【0065】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
表1~3に示す各成分を含有する、酸化染毛剤の第1剤、酸化剤含有組成物としての第2剤をそれぞれ調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。尚、表中「(A)」~「(C)」の表記は、本願請求項記載の各(A)~(C)成分に対応する化合物を示す。一方、表中「(a)」の表記は、本願請求項記載の成分(A)の対比化合物を示す。化合物名POEの括弧中の数値はE.O.の付加モル数を示す。表1~3に示す酸化染毛剤の第1剤及び第2剤は、それぞれ噴射剤としてLPGを混合したエアゾールタイプとしてエアゾール缶に充填することにより調製した。原液とLPGの質量比は、95:5とした。第1剤と第2剤は、それぞれ泡状組成物として吐出させ、第1剤と第2剤を1:1の質量比で混合して泡状の酸化染毛剤を調製した。
・・・
【0072】
【表1】
[図:0001439188000006.jpg]
」
甲3は、エアゾール容器より泡状の剤として吐出され、アルカリ剤を含有する剤と混合して染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物であって、(A)炭化水素及び(B)酸化剤を含有する酸化剤含有組成物の発明に関し(甲3ア)、酸化染毛剤の第1剤及び第2剤を、それぞれ噴射剤としてLPGを混合したエアゾールタイプとしてエアゾール缶に充填した実施例が記載されているから(甲3イ)、その実施例3の第2剤より、甲3には、以下の発明が記載されているといえる。
(甲3発明)
「以下の組成を有する、エアゾールタイプの酸化染毛剤の第2剤。
流動パラフィン 10質量%
35%過酸化水素水 16.6質量%
プロピレングリコール 0.5質量%
セタノール 1質量%
POE(21)ラウリルエーテル 0.5質量%
POE(2)セチルエーテル 0.5質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸(60質量%) 0.2質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸4ナトリウム(30質量%) 0.2質量%
フェノキシエタノール 0.1質量%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(25質量%) 0.4質量%
精製水 残部」
(2)対比・判断
ア 甲1発明について
(ア)請求項1
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の2剤式エアゾール型の酸化染毛剤のクリーム状の第2剤は、本件発明1の「エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物」に相当する。
甲1発明のステアリルアルコール及びベヘニルアルコールは、それぞれ、本件発明1における「(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコール」及び「(D-2)炭素数20以上の高級アルコール」である「(D)高級アルコール」に相当し、甲1発明におけるステアリルアルコール及びベヘニルアルコールの配合量である5.5質量%及び1.5質量%は、それぞれ、本件発明1における(D-1)成分及び(D-2)成分の含有量である「0.1質量%以上」及び「0.1質量%以上5.0質量%以下」に相当する。
甲1発明のPOE(2)セチルエーテルは、HLB8のノニオン性界面活性剤であるから(https://chemi-navi.nikkolgroup.com/pharmaceuticals/10005を参照。)、本件発明1における「(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤」に相当する。また、甲1発明のPOE(40)セチルエーテル及びPOE(25)オクチルドデシルエーテルは、ノニオン性界面活性剤であって、これらのHLB値は、それぞれ、20、14であるから(POE(40)セチルエーテルについては、https://chemi-navi.nikkolgroup.com/personal-care/10023、POE(25)オクチルドデシルエーテルについては、https://www.nihon-emulsion.co.jp/products/detail/EMALEX%20OD-25を参照。)であるから、本件発明1における「HLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤」に相当する。
また、甲1発明における塩化ステアリルトリメチルアンモニウムは、カチオン性界面活性剤であって、その配合量は、0.35質量%であるから、本件発明1における(A)成分の「カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下」に相当する。甲1発明における流動パラフィンは、本件特許において、油性成分の例として挙げられているものであり、甲1発明が、これを10質量%含むことは、本件発明1における(B)成分の「炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上」に相当する。
甲1発明の過酸化水素水は、本件発明1における(C)成分の「酸化剤」に相当する。
また、本件発明は、その他の成分を必要に応じて含有させてもよいものであり(本件明細書【0061】)、甲1発明が含有する濃グリセリン、リン酸、軟質ラノリン脂肪酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、水酸化ナトリウム液、硫酸オキシキノリン-2、イソプロパノール、精製水を含有するものが排除されているものでもない。
そうすると、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。
(一致点)
エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、以下の(A)~(E)成分を含有する、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
(A)カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下
(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上
(C)酸化剤
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤、及びHLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤
(相違点)
本件発明1は、
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを「5.0質量%以下」、
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を「0.8質量%以上」含有し、
「50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする」ことが特定されているのに対し、
甲1発明は、
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールであるステアリルアルコールの含有量が5.0質量%を超える「5.5質量%」であり、
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤の含有量が0.8質量%に満たない「0.5質量%」であって、
「50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比が、0.80~1.20であることを特徴とする」ことが特定されていない点。
上記相違点につき、判断する。
甲1発明と本件発明1は、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコール及び(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤の含有量において組成が異なるから、上記相違点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。
また、甲1には、甲1発明の組成を、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを5.0質量%以下、(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上含有するように変更した上で、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20となるようにすることについて、記載も示唆もなく、このようにすることに対する技術常識の存在も見当たらない。
したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 請求項2~4について
請求項2~4は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して記載されており、本件発明2~4は、本件発明1をさらに限定した発明である。
そして、上記(ア)のとおり、本件発明1が、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないのであるから、本件発明1がさらに限定された本件発明2~4も、甲1に記載された発明ではなく、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないことは明らかである。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、本件明細書において、訂正後の本件発明1が備える(D-1)成分及び(E)成分の含有量がもたらす技術的効果については検証されておらず、訂正後の本件発明1において、(D-1)成分及び(E)成分の含有量には何ら技術的意義を見いだすことができず、これら含有量の変更は、単なる設計事項の変更にすぎないから、本件発明が甲1に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものである旨を主張する(令和8年4月2日意見書1頁最終段落~2頁6段落)
しかしながら、甲1には、甲1発明の組成を、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを5.0質量%以下、(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上含有するように変更した上で、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20となるようにすることについて、記載も示唆もなく、このようにすることに対する技術常識の存在も見当たらないから、本件発明は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないことは、すでに上記(ア)及び(イ)で述べたとおりである。
したがって、申立人の主張は採用できない。
イ 甲2発明について
(ア)請求項1
本件発明1と甲2発明を対比する。
甲2発明の二剤式の酸化染毛剤の第2剤であって、二剤同時吐出のエアゾール容器に充填された第2剤は、本件発明1の「エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物」に相当する。
甲2発明のステアリルアルコール及びベヘニルアルコールは、それぞれ、本件発明1における「(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコール」及び「(D-2)炭素数20以上の高級アルコール」である「(D)高級アルコール」に相当し、甲2発明におけるステアリルアルコール及びベヘニルアルコールの配合量である5.5質量%及び1.5質量%は、それぞれ、本件発明1における(D-1)成分及び(D-2)成分の含有量である「0.1質量%以上」及び「0.1質量%以上5.0質量%以下」に相当する。
甲2発明のPOE(2)セチルエーテルは、HLB8のノニオン性界面活性剤であるから(https://chemi-navi.nikkolgroup.com/pharmaceuticals/10005を参照。)、本件発明1における「(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤」に相当する。また、甲2発明のPOE(40)セチルエーテル及びPOE(25)オクチルドデシルエーテルは、ノニオン性界面活性剤であって、これらのHLB値は、それぞれ、20、14であるから(POE(40)セチルエーテルについては、https://chemi-navi.nikkolgroup.com/personal-care/10023、POE(25)オクチルドデシルエーテルについては、https://www.nihon-emulsion.co.jp/products/detail/EMALEX%20OD-25を参照。)であるから、本件発明1における「HLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤」に相当する。
また、甲2発明における塩化ステアリルトリメチルアンモニウムは、カチオン性界面活性剤であって、その配合量は、0.35質量%であるから、本件発明1における(A)成分の「カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下」に相当する。
甲2発明における流動パラフィンは、本件特許において、油性成分の例として挙げられているものであり、甲2発明が、これを10質量%含むことは、本件発明1における(B)成分の「炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上」に相当する。
甲2発明の過酸化水素水は、本件発明1における(C)成分の「酸化剤」に相当する。
また、本件発明は、その他の成分を必要に応じて含有させてもよいものであり(本件明細書【0061】)、甲2発明が含有する濃グリセリン、リン酸、軟質ラノリン脂肪酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、水酸化ナトリウム液、硫酸オキシキノリン-2、イソプロパノール、精製水を含有するものが排除されているものでもない。
そうすると、本件発明1と甲2発明の一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。
(一致点)
エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、以下の(A)~(E)成分を含有する、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
(A)カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下
(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上
(C)酸化剤
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤、及びHLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤
(相違点)
本件発明1は、
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを「5.0質量%以下」、
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を「0.8質量%以上」含有し、
「50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする」ことが特定されているのに対し、
甲2発明は、
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールであるステアリルアルコールの含有量が5.0質量%を超える「5.5質量%」であり、
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤の含有量が0.8質量%に満たない「0.5質量%」であって、
「50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比が、0.80~1.20であることを特徴とする」ことが特定されていない点。
上記相違点につき、判断する。
甲2発明と本件発明1は、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコール及び(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤の含有量において組成が異なるから、上記相違点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明ではない。
また、甲2には、甲2発明の組成を、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを5.0質量%以下、(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上含有するように変更した上で、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20となるようにすることについて、記載も示唆もなく、このようにすることに対する技術常識の存在も見当たらない。
したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)請求項2~4について
請求項2~4は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して記載されており、本件発明2~4は、本件発明1をさらに限定した発明である。
そして、上記(ア)のとおり、本件発明1が、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないのであるから、本件発明1がさらに限定された本件発明2~4も、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないことは明らかである。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、本件発明が甲2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである点についても、上記ア(ウ)と同様の主張をしているが、上記(ア)及び(イ)で述べたとおり、甲2には、甲2発明の組成を、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを5.0質量%以下、(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上含有するように変更した上で、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20となるようにすることについて、記載も示唆もなく、このようにすることに対する技術常識の存在も見当たらないのであるから、当該主張も採用できない。
ウ 甲3発明について
(ア)請求項1
本件発明1と甲3発明を対比する。
甲3発明のエアゾールタイプの酸化染毛剤の第2剤は、本件発明1の「エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物」に相当する。
甲3発明のセタノールは、本件発明1における「(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコール」に相当し、甲3発明におけるその配合量である1質量%は、本件発明1における(D-1)成分の含有量である「0.1質量%以上」に相当する。
甲3発明のPOE(21)ラウリルエーテル及びPOE(2)セチルエーテルは、ノニオン性界面活性剤であって、これらのHLB値は、それぞれ、19及び8(例えば、POE(21)ラウリルエーテルについては、https://chemi-navi.nikkolgroup.com/personal-care/10103、POE(2)セチルエーテルについては、https://chemi-navi.nikkolgroup.com/pharmaceuticals/10005を参照。)であるから、甲3発明のPOE(2)セチルエーテルは、本件発明1における(E)成分の「HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤」に相当し、甲3発明のPOE(21)ラウリルエーテルは、HLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤」に相当する。
また、甲3発明における塩化ステアリルトリメチルアンモニウムは、カチオン性界面活性剤であって、その配合量は、0.4質量%であるから、本件発明1における(A)成分の「カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下」に相当する。
甲3発明における流動パラフィンは、本件特許において、油性成分の例として挙げられているものであり、甲3発明が、これを10質量%含むことは、本件発明1における(B)成分の「炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上」に相当する。
甲3発明の35%過酸化水素水は、本件発明1における(C)成分の「酸化剤」に相当する。
また、本件発明は、その他の成分を必要に応じて含有させてもよいものであり(本件明細書【0061】)、甲3発明が含有するその他の成分を含有することが排除されたものでもない。
そうすると、本件発明1と甲3発明の一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。
(一致点)
エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための第2剤である酸化剤含有組成物であって、以下の(A)~(E)成分を含有する、エアゾール型の染毛、脱色・脱染のための酸化剤含有組成物。
(A)カチオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下、又は、アニオン性界面活性剤を0.001質量%以上10.0質量%以下
(B)炭化水素油及び/又は油脂を含む油性成分を5.5質量%以上
(C)酸化剤
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを0.1質量%以上含む(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤、及びHLB値が10を超えるノニオン性界面活性剤
(相違点)
本件発明1は、
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを「5.0質量%以下、及び(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを0.1質量%以上5.0質量%以下含む」(D)高級アルコール
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を「0.8質量%以上」含有し、
「50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20であることを特徴とする」ことが特定されているのに対し、
甲3発明は、
(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールであるステアリルアルコールの含有量が5.0質量%を超える「5.5質量%」であり、(D-2)炭素数20以上の高級アルコールを含んでおらず、
(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤の含有量が0.8質量%に満たない「0.5質量%」であって、
「50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比が、0.80~1.20であることを特徴とする」が特定されていない点。
上記相違点につき、判断する。
甲3発明と本件発明1は、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコール及び(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤の含有量において組成が異なるから、上記相違点は実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、甲3に記載された発明ではない。
また、甲3には、甲3発明の組成を、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを5.0質量%以下、(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上含有するように変更した上で、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20となるようにすることについて、記載も示唆もなく、このようにすることに対する技術常識の存在も見当たらない。
したがって、本件発明1は、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)請求項2~4について
請求項2~4は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して記載されており、本件発明2~4は、本件発明1をさらに限定した発明である。
そして、上記(ア)のとおり、本件発明1が、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないのであるから、本件発明1がさらに限定された本件発明2~4も、甲3に記載された発明ではなく、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないことは明らかである。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、(E)成分の含有量に技術的意義並び臨界的意義が存在せず、また、甲3の段落0032には、高級アルコールとして、ベヘニルアルコールを含む複数の高級アルコールが例示されており、甲3において(D-2)成分を用いることは当業者が適宜採り得る事項に過ぎない旨を主張する(令和8年4月2日意見書3頁4段落)
しかしながら、甲3には、甲3発明の組成を、(D-1)炭素数6以上20未満の高級アルコールを5.0質量%以下、(E)HLB値が10以下であるノニオン性界面活性剤を0.8質量%以上含有するように変更した上で、50℃における粘度(V50)と25℃における粘度(V25)の比(V50/V25)が、0.80~1.20となるようにすることについて、記載も示唆もなく、このようにすることに対する技術常識の存在も見当たらないことは、既に上記(ア)及び(イ)で述べたとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は認められ、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700392