特許異議申立
2022-701065
蜂の駆除装置
- 審判番号
- 2022-701065
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-070369外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7118469
- 請求日
- 2022年10月27日
- 審決日
- 2024年02月26日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】フマキラー株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 【異議申立人】小磯 由美
- 分類
- P1651.121-Z (A01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7118469号発明「蜂の駆除装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7118469号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7118469号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成27年12月10日に出願された特願2019-184581号の一部を、令和3年4月19日に新たな特許出願としたものであって、令和4年8月5日にその特許権の設定登録がされ、同月16日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 4年10月27日 :特許異議申立人 小磯由美(以下「申立人
」という。)による特許異議の申立て
令和 5年 6月 5日付け:取消理由通知書
令和 5年 7月25日 :特許権者による意見書の提出
令和 5年 9月28日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和 5年11月21日 :特許権者による意見書の提出
第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、請求項番号に合わせて「本件発明1」等という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
機体と、互いに間隔をあけて配設された複数の回転翼とを有するマルチコプターと、
上記機体に設けられ、内部に蜂を駆除するための薬剤が収容されたエアゾール容器と、
上記エアゾール容器に接続された配管と、
上記機体に設けられ、上記配管の下流側に接続されるとともに上記エアゾール容器から噴射された薬剤が流通する通路を構成する樹脂製の管からなる筒状部材とを備え、
上記筒状部材における上記配管の下流側が接続された基端部は、平面視で、上記複数の回転翼の回転中心で囲まれた領域内に位置付けられていることを特徴とする蜂の駆除装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蜂の駆除装置において、
上記筒状部材の姿勢を変更する姿勢変更部を備えていることを特徴とする蜂の駆除装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蜂の駆除装置において、
上記姿勢変更部は、上記筒状部材の基端部を支持するとともに、上記機体が有する制御装置から出力される信号によって制御され、上記筒状部材を上記機体の左右方向に延びる水平軸周りに回動させる回動機構を備えていることを特徴とする蜂の駆除装置。」
第3 取消理由(決定の予告)の概要
請求項1ないし3に係る特許に対して、当審が令和5年9月28日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1及び請求項2に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第6号証及び甲第7号証に記載された事項に基づいて、請求項3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証、甲第6号証、甲第7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1ないし請求項3に係る発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<証拠>
甲第1号証:韓国登録特許第10-1536574号公報
甲第2号証:米国特許出願公開第2015/0344136号明細書
甲第6号証:特開2003-200086号公報
甲第7号証:特開2010-222363号公報
以下、「甲第1号証」等を「甲1」等ということがある。
第4 取消理由の判断
1 証拠の記載
(1)甲第2号証
ア 甲2の記載
甲2には以下の事項が記載されている。
下線は、当審で付し、線による囲いは、申立人が付したものである。また、翻訳については、申立書に添付されたものを合議体で若干修正した。以下同様。
(ア)「
[図:0001410184000001.jpg]
」
(翻訳)
「発明の属する技術分野
[0002]実施形態は、一般に、無人航空機およびロボットシステムに関し、より詳細には、無人航空機およびロボットシステム制御システムおよびユーザインタフェースに関する。」
(イ)「
[図:0001410184000002.jpg]
」
(翻訳)
「[0030] 上述したように、タスクは、表面を塗装またはコーティングすることに限定されるべきではない。コーティングを塗布または噴射する能力はまた、泡、絶縁、水、石鹸、洗浄溶液、塗料、他のコーティング、化学薬品、農薬、除草剤、プラスチック、エポキシ、液体金属、樹脂、インク、液状コンクリート、他の液体、空気または推進剤と混合された物質、または空気または推進剤と混合された材料を含むことができる半液体材料を塗布または噴霧することを含む。構造物または物体は、建物、法令、壁、橋梁、船舶、陸上車両、空気車両などのような人工構造物であってもよく、したがって、本明細書に開示される実施形態は、印刷または付加製造システムに開示されたシステムを任意のタイプの構造またはオブジェクトと比較するときに、ノズルが印刷ヘッドである任意のタイプの材料を押し出すために使用され得る。さらに、本明細書に開示される実施形態によって適用される材料は、上述したような非固体材料または要素に限定されることを意味するものではない。」
(ウ)「
[図:0001410184000003.jpg]
」
(翻訳)
「[0033]ここで図1を参照すると、本開示の一態様によれば、様々なタスクを実行するためのツールを収容するためのアームなどの交換可能な構成要素を有する空中ビークルの斜視図が示されている。空中作業システムは、モジュール式であってよく、空中ビークル100を含み、空中ビークル100は、垂直に離陸および着陸、ホバリング(ホバーまたはホバリングモードを有する)、および近くの壁および他の構造(低速移動モードを有する)を正確に操縦することができる。空中ビークル100は、回転翼機または垂直離着陸機、例えばマルチコプター(例えば、クワッドコプタ)であってもよい。空中ビークル100が、車両コマンドおよび制御システム102、例えば、図1のロータアーム116aだけではなく、明瞭にするためにラベル付けされた)ロータアーム116、ベース接続部108、少なくとも1つのセンサ、および電源114を含むが、これらに限定されない。ある実施形態では、空中ビークル100は、図2および図4に示すように、追加の要素を含むことができる(図4に示すタブレット402)。別の実施形態では、部分は、空中ビークル100から省略されてもよく、各ロータアーム116は、(図1中のブーム120a-dとしてラベル付けされた)ブーム120の端部のロータ118を含む。」
(エ)「
[図:0001410184000004.jpg]
」
(翻訳)
「[0035]自律的または半自律的な動作の間、コマンドおよび制御システム102(または図4に示すタブレット402によって制御される)は、所望のタスクを実行するために、センサを利用して空中ビークル100を有利な位置および向きに位置決めすることができる。空中ビークル100が構造物を塗装している非限定的な例として、コマンドおよび制御システム102(図4に示すタブレット402によって制御される)は、本明細書の説明を読んだ後に、噴霧器、ブラシ、または当業者に明らかな他の器具のような、絵画に適合されたアクセサリ104を介して、空中ビークル100を理想的な距離に操縦することができる。非限定的な例として、アクセサリ104は、ペイントを塗布するためのスプレーノズル106を備えることができる。スプレーノズル106は、塗装される表面に垂直に配置されるように構成され、約3-6インチオフセットされたときに塗料を最適に塗布するように構成されてもよい。この例では、コマンドおよび制御システム102(または図4に示すタブレット402によって、制御される)は、センサおよびパイロット空中ビークルを使用して、スプレーノズル106が塗装されている表面から約3-6インチ、表面に垂直である姿勢および位置に表面を検出することができる。3-6インチの距離は、ここでは非限定的な例として使用されるだけである。スプレーノズルの能力に応じて、より一層近い距離が好ましいかもしれない。」
(オ)「
[図:0001410184000005.jpg]
[図:0001410184000006.jpg]
」
(翻訳)
「[0038]アクセサリ104 は、空中ビークル100に取り付けられた、または取り外し可能に取り付けられる1つ以上の付属物または他の部材であり得る。アクセサリ104は、空中ビークル100を特定の用途に適合させるために変更され得る。アクセサリ104は、上述したように、スプレーノズルなどの付属チップ106を備えていてもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、空中ビークル100は、複数のアクセサリ104を備えることができ、いくつかのアクセサリ104は、壁などの位置を正確に識別するのを助けるために、圧力センサなどのセンサを備えることができる。アクセサリ104は、センサ領域110に含まれるセンサと同様のセンサを含むことができ、いくつかのアクセサリ104は、スプレー、ラビング、またはワイピング、切断、把持、切削、研磨、研磨、およびより多くのような動作に影響を及ぼす機能的付属物を含み得る。
[0039]アクセサリ104は、空中ビークル100に堅固に取り付けられてもよく、または移動のために取り付けられてもよい。移動のために取り付けられたアクセサリ104は、コマンド及び制御システム102によって制御可能な1つまたは複数のモータまたはアクチュエータ(図4に示されているタブレット402によって制御される)を含むことができ、例えば、取り付けられたスプレーノズル106の向きを調整するために、このような移動は、クリーニング、塗装、およびアクセサリ104を、そうでなければアクセス不可能な方向に到達するように配向させるために有利である。具体的には、航空機104への移動のために取り付けられた塗装アクセサリは、モータにアクセサリ104の上方に向けることによって上方に傾斜させることができ、車両の一部を上方にピッチングさせることによって空中ビークル100の姿勢を変更し、またはその両方を、内壁の頂部付近で切断するために、上方に傾斜させることができる。このような動作は、天井または他の障害物回避への走行を回避するために必要であり得る。」
(カ)「
[図:0001410184000007.jpg]
」
(翻訳)
「[0042]空中ビークル100は、基地局300(図3に示す)と、ベース接続部分108のような空中ビークルの下側部分、または足または着陸脚210のベースを介してドックするように構成されてもよく、ベース接続部分208は、車載電源114を再充電または他の方法で再充電し、飛行および動作情報を受信または送信するための電力およびデータコネクタを含むことができる。また、ベース接続部108には、塗料、水、洗浄液、薬品、固形物等の物品を収容するための接続部が含まれていてもよい。」
(キ)「
[図:0001410184000008.jpg]
[図:0001410184000009.jpg]
」
(翻訳)
「[0047]ここで図2を参照すると、係留された空中ビークル100を示す空中作業システム200の上面斜視図が示されている。空中ビークル100は、床または傾斜面(ペイントベースボードなど)に沿って着陸および/または走行できるようにするための脚/車輪210を有することができる。このような脚/車輪210はまた、基地局208または他の場所に接続して電力を受信し、車載電源114を補充し、飛行および動作情報を受信または送信するために利用され得る。さらに、脚/車輪/スキッド210は、塗料、水、洗浄液、除氷溶液、化学薬品、殺虫剤、固定物などのような品目を受け取るように構成されてもよい。他の動作では、このような脚/車輪/スキッド210は、地上面を飛行または離脱させることを有する空中ビークル100がなくても、陸上または水を介して目的の目的地に到達するために利用され得る。
[0048]一実施形態では、空中ビークル100は、コンテナ202を備えることができる。コンテナ202は、分散される液体または他の材料を保持することができる。一実施形態では、空中ビークル100は、真空付属品104,シャベルや類似のアクセサリであって、気体、液体、固体、小動物または昆虫、土壌サンプルなどを含む材料を回収/受容するための多数の付属品のいずれかを備えることができ、コンテナ202は、収集された材料を保持するように構成されてもよい。コンテナ202は、3に示すように、基地局300の一部であるユーザまたは基地局300の一部によって、または基地局300の一部によって充填または空にされ得、コンテナ202は、コネクタ204を介してモジュール式で着脱可能であり、それによって、空中ビークル100がコンテナ202から迅速に接続及び切断されることを可能にし、この実施形態では、接続は自立的に実行される。限定を意図するものではないが、コンテナ202は1ガロン、1クォートまたは他の標準サイズの塗料缶、キャニスタ、または容器であってもよい。」
(ク)図1、図2は以下のとおり。
〔図1〕
「
[図:0001410184000010.jpg]
」
〔図2〕
「
[図:0001410184000011.jpg]
」
(ケ)上記(ウ)及び(エ)に「rotor 118」、「accessory 104」、「spray nozzle 106」と記載されていることを踏まえると、上記(ク)の図1から、ロータ118は4つあり、アクセサリ104は、棒状であって、先端にスプレーノズル106を備え、アクセサリ104の後端部は、平面視で、4つのロータ118の回転中心で囲まれた領域内に位置付けられていることが看取できる。
イ 甲2発明
上記アからみて、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認める。
「空中ビークル100を含む空中作業システムであって、
空中ビークル100には、車両コマンド及び制御システム102、ロータアーム116、ベース接続部108、センサ及び電源114を含み、
ロータアーム116は、ブーム120の端部にロータ118を含み、
空中ビークル100は、棒状のアクセサリ104が取り付けられ、アクセサリ104は、先端にペイントを塗布するためのスプレーノズル106を備え、
アクセサリ104の後端部は、平面視で、4つのロータ118の回転中心で囲まれた領域内に位置付けられており、
アクセサリ104は、コマンド及び制御システム102によって制御可能なモータまたはアクチュエータを含むことができ、取り付けられたスプレーノズル106の向きを調整するために有利であり、
空中ビークル100は、脚/車輪210を有し、脚/車輪210は、塗料、水、洗浄液、除氷溶液、化学薬品、殺虫剤、固定物などのような品目を受け取るように構成され、
空中ビークル100は、コンテナ202を備えることができ、コンテナ202は、分散される液体または他の材料を保持することができ、
タスクは、表面を塗装またはコーティングすることに限定されるべきではなく、コーティングを塗布または噴射する能力はまた、泡、絶縁、水、石鹸、洗浄溶液、塗料、他のコーティング、化学薬品、農薬、除草剤、プラスチック、エポキシ、液体金属、樹脂、インク、液状コンクリート、他の液体、空気または推進剤と混合された物質、または空気または推進剤と混合された材料を含むことができる半液体材料を塗布または噴霧することを含むことができる、
空中作業システム。」
(1)甲第1号証
ア 甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている。
(ア)「
[図:0001410184000012.jpg]
」(3頁下から5~3行)
(翻訳)
「技術分野
本発明は建築構造物の表面にクラックが発生したのかを効果的に確認するようになった新しい構造の構造物検査用飛行体に関する。」
(イ)「
[図:0001410184000013.jpg]
」
(翻訳)
「図面の簡単な説明
[0019]図1は一般的な小型無人飛行体を図示した側面図、
図2は一般的な小型無人飛行体を図示した平面図、
図3は本発明による構造物検査用飛行体を図示した側面構成も、
図4は本発明による構造物検査用飛行体を図示した平面構成も、
図5ないし図7は本発明による構造物検査用飛行体を利用した構造物の検査方法
を図示した参考図である。」
(ウ)「
[図:0001410184000014.jpg]
」
(翻訳)
「[0021]図3ないし図7は本発明による構造物検査用飛行体を図示したもので、本体(1)と、前記本体(1)の周囲部に具備された複数個のアーム(2)と、前記アーム(2)に上側を向けるように具備されて駆動モータ(4)によって駆動されるプロペラ(3)と、前記本体(1)の下側に具備されたレッグ部材(5)と、前記本体(1)に具備されて映像を撮影するようになったカメラ(6)が具備されたことは従来の小型無人飛行体と等しい。
[0022]この時、このように構成された構造物検査用飛行体は図示だめなリモコンを利用して調整するように構成されて、前記カメラ(6)は撮影された映像を無線送信することができるように構成されて、前記リモコンには前記カメラ(6)で無線送信された映像を受信してリアルタイムでディスプレイするモニターが具備される。
[0023]そして、本発明によると、前記本体(1)には、図3及び図4に図示したところのように、本体(1)が構造物(7)に固定されて動かないようにする吸着固定手段(10)と、建築物の周囲面でクラックが発生した部位に塗料を噴射して表示する表示手段(20)と、前記吸着固定手段(10)が構造物(7)に堅固に密着されるようにする補助推進プロペラ(30)がさらに具備される。」
(エ)「
[図:0001410184000015.jpg]
」
(翻訳)
「[0029]前記表示手段(20)は前記本体(1)の片側に具備された支持台(la)で前方に延長された延長バー(21)と、前記延長バー(21)の先端部に前方を向けるように具備された噴射ノズル(22)と、前記噴射ノズル(22)に連結されて噴射ノズル(22)に塗料を供給する塗料供給手段(23)で構成される。
[0030]前記延長バー(21)は前記噴射ノズル(22)に連結される供給通路が内部に形成されたパイプ形態で構成されたことで、後端部が前記支持台(la)に上下及び左右方向に方向調節可能に結合される。
[0031]この時、前記支持台(la)の内部には前記延長バー(21)の先端部を上下及び左右方向で回動させて延長バー(21)の方向を調節する方向調節手段(24)が具備される。
[0032]前記方向調節手段(24)は作業者が前記リモコンを操作して入力する制御命令によって作動して、前記延長バー(21)と噴射ノズル(22)の方向を調節することで、多様な方式で構成されることができることで、これ以上詳しい説明は省略する。
[0033]前記噴射ノズル(22)は前記塗料供給手段(23)に供給された塗料を前方で噴射する機能をする。
[0034]前記塗料供給手段(23)は前記延長バー(21)を通して前記噴射ノズル(22)に連絡されて作業者が前記リモコンを操作して制御命令を入力すると作動して、前記供給通路を通じて前記噴射ノズル(22)に塗料を供給する機能をする。」
(オ)図3及び図4は以下のとおりである。
〔図3〕
「
[図:0001410184000016.jpg]
」
〔図4〕
「
[図:0001410184000017.jpg]
」
(3)甲第6号証
ア 甲6の記載
甲6には以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺虫剤や農薬等のエアゾール内容物の噴霧を行うエアゾール噴霧方法及び装置に関する。」
(イ)「【0009】また、有効成分としては、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、忌避剤、芳香剤、消臭剤等を用いることができる。殺虫剤としては安全性の観点からピレスロイド系の化合物を用いることが好ましく、代表的なものを例示すると、次のとおりである。
・・・」
(ウ)「【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本発明の一実施形態であるエアゾールエアゾール装置の正立状態における側面図である。エアゾール装置は、エアゾール容器1にエアゾール装置用噴霧手段10を取り付けた構成になっている。エアゾール装置用噴霧手段10は、エアゾール容器1の図示しないステムを覆うように取り付けられたキャップ11を備えている。キャップ11は、エアゾール容器1に着脱可能であってもよい。エアゾール容器1に元々取り付けられていた押しボタンを取り外して、その押しボタンの代わりにキャップ11をエアゾール容器1に取り付けるようにしてもよい。エアゾール装置用噴霧手段10は、単独で販売されてもよい。」
(エ)「【0021】一端を噴口ユニット19に接続された可撓性チューブ18は、伸縮ロッド17の周りにコイルばね状に巻回されて下方に向かい、その他端を接続ユニット14に接続されている。可撓性チューブ18の、コイルばね状に巻回された部分(伸縮可能部分)は、伸縮ロッド17が引き伸ばされると、軸方向に引き伸ばされた状態になる。ここでは、ロッド保持部15が、伸縮ロッド17がエアゾール容器1の外周側にはみ出さずに上下方向に伸びた状態となるように、伸縮ロッド17の基端部を保持している。図示しないが、前記可撓性チューブ18は、伸縮ロッド17の中空部内にあってもよい。」
(オ)図2は以下のとおり。
「
[図:0001410184000018.jpg]
」
(4)甲第7号証
ア 甲7の記載
甲7には以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、低汚染性の害虫駆除用エアゾールに関する。」
(イ)「【0020】
本発明のエアゾールは、公知のエアゾールと同様の方法で調製することができる。例えば、害虫駆除成分、溶剤、及び所望によりその他の成分を含有する原液を、アクチュエーターを備えた耐圧容器に注入した後、減圧して噴射剤を封入する方法や、害虫駆除成分、溶剤、及び所望によりその他の成分を別々に該容器に注入後、減圧して噴射剤を封入する方法等が挙げられる。
【0021】
本発明において使用されるアクチュエーターを備えた耐圧容器とは、例えば、所定の噴口径を有する公知のアクチュエーターを公知のエアゾール缶に装着させてなるものである。なお、本明細書において、「噴口径」とは、エアゾール内容物が外部に噴射(排出)される際のアクチュエーターの最終部分の内径(アクチュエーターの穴径)をいう。
【0022】
アクチュエーターの噴口径としては、本発明の所望の効果の発現の観点から、0.7~2mm、好ましくは0.8~2mmであり、害虫駆除効力をより高く発揮させる観点から、より好ましくは1~1.8mm、さらに好ましくは1.2~1.6mmである。
【0023】
また、本発明の一態様として、アクチュエーターが噴口径0.4~2mmのロングノズルを有するものである以外は、前記エアゾールと同様の構成を有するエアゾールを提供することができる。かかるエアゾールは、前記エアゾールにおいて、それに使用されるアクチュエーターのかわりに所定の噴口径のロングノズルを有するアクチュエーターを用いることにより調製することができる。
【0024】
ロングノズルを有するアクチュエーターにおいては、エアゾール内容物が外部に噴射(排出)される際のアクチュエーターの最終部分とはロングノズルの外部先端(つまり、アクチュエーター本体とは反対側のノズルの先端)を意味し、該先端の内径(ロングノズルの外部先端の穴径)が噴口径に相当する。例えば、ロングノズルが、ノズル途中でその内径が数段階で変化するものである場合も噴口径とはノズルの外部先端の内径であり、ノズル途中の内径は任意である。本態様のエアゾールにおける噴口径としては、本発明の所望の効果の発現の観点から、0.4~2mmであり、好ましくは0.45~2mm、害虫駆除効力をより高く発揮させる観点から、より好ましくは0.8~1.5mmである。
【0025】
ロングノズルのノズル長としては、特に限定されるものではないが、害虫駆除効力をより高く発揮させる観点から、好ましくは0.5~15cmである。また、ノズル部分の形態も、特に限定されるものではなく、例えば、伸縮可能なものであってもよい。なお、伸縮可能な場合、ノズル長は、伸びた状態のものをいう。ノズルの材質も、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。ノズルの材質としては、成形性、価格の面から、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。」
2 進歩性の検討
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
(ア)甲2発明の「ロータ118」、「空中ビークル100」は、それらの機能及び構造からみて、それぞれ、本件発明1の「回転翼」、「マルチコプター」に相当する。
甲2発明の「空中ビークル100」は、「車両コマンド及び制御システム102、ロータアーム116、ベース接続部108、センサ及び電源114を含」んでいることから、本件発明1の「機体」に相当する構成を備えることは自明である。
してみると、甲2発明のロータ118は4つあり、上記の「機体」についての検討を踏まえると、甲2発明の「ブーム120の端部にロータ118を含」む「ロータアーム116」を含む「空中ビークル100」は、本件発明1の「機体と、互いに間隔をあけて配設された複数の回転翼とを有するマルチコプター」に相当する。
(イ)甲2発明において、「空中ビークル100」は、「スプレーノズル106」及び「コンテナ202」を備え、「スプレーノズル106」は「ペイントを塗布するための」ものであり、「コンテナ202」は、「分散される液体または他の材料を保持することができ」るものである。
そして、「空中ビークル100」は、「表面を塗装またはコーティングすることに限定されるべきではなく、コーティングを塗布または噴射する能力はまた、泡、絶縁、水、石鹸、洗浄溶液、塗料、他のコーティング、化学薬品、農薬、除草剤、プラスチック、エポキシ、液体金属、樹脂、インク、液状コンクリート、他の液体、空気または推進剤と混合された物質、または空気または推進剤と混合された材料を含むことができる半液体材料を塗布または噴霧することを含むことができる」ものでもあって、「脚/車輪210」が受け取るものとして「殺虫剤」が例示されている。
してみると、「空中ビークル100」において、「コンテナ202」は、「殺虫剤」を保持するものといえるから、本件発明1の「上記機体に設けられ、内部に蜂を駆除するための薬剤が収容されたエアゾール容器」と、甲2発明の「空中ビークル100」に「備えることができ、」「分散される液体または他の材料」つまり「殺虫剤」「を保持することができる」「コンテナ202」とは、「上記機体に設けられ、内部に虫を駆除するための薬剤が収容された」「容器」で共通する。
(ウ)甲2発明の「空中ビークル100」は、「アクセサリ104」の「先端にペイントを塗布するためのスプレーノズル106を備え、」るところ、「コーティングを塗布または噴射する能力はまた、」「泡、絶縁、水、石鹸、洗浄溶液、塗料、他のコーティング、化学薬品、農薬、除草剤、プラスチック、エポキシ、液体金属、樹脂、インク、液状コンクリート、他の液体、空気または推進剤と混合された物質、または空気または推進剤と混合された材料を含むことができる半液体材料を塗布または噴霧することを含むことができる」ことから、「分散される液体または他の材料を保持する」「コンテナ202」から、「分散される液体または他の材料」を「アクセサリ104」まで送る「配管」を備えることは自明である。
したがって、本件発明1の「上記エアゾール容器に接続された配管」と、甲2発明の上記「配管」とは、「容器に接続された配管」で共通する。
(エ)甲2発明において、「コンテナ202は、分散される液体または他の材料を保持することができ」、そして、「アクセサリ104は先端にスプレーノズルを備え」ていることから、「分散される液体または他の材料」は、「アクセサリ104」を通って「スプレーノズル106」まで達するといえる。よって、甲2発明において、「液体またはその他の材料」を「容器」から「アクセサリ104」に運ぶ配管を備えることが自明である。
また、上記の検討、及び「アクセサリ104」が「棒状」であることを踏まえると、「アクセサリ104」は、その内部を「液体またはその他の材料」が通過する管状のものといえる。
してみると、本件発明1の「上記機体に設けられ、上記配管の下流側に接続されるとともに上記エアゾール容器から噴射された薬剤が流通する通路を構成する樹脂製の管からなる筒状部材とを備え」ることと、甲2発明の上記の「アクセサリ104」とは、「上記機体に設けられ、上記配管の下流側に接続されるとともに上記」「容器から噴射された薬剤が流通する通路を構成する」「管からなる筒状部材」で共通する。
(オ)上記(エ)の検討を踏まえると、甲2発明の「アクセサリ104の後端部は、平面視で、4つのロータ118の回転中心で囲まれた領域内に位置付けられて」いることは、本件発明1の「上記筒状部材における上記配管の下流側が接続された基端部は、平面視で、上記複数の回転翼の回転中心で囲まれた領域内に位置付けられている」ことに相当する。
(カ)甲2発明において、上記(イ)の検討のとおり、「コンテナ202」に「保持することができる」とされる「液体」は「殺虫剤」を選択することできることからみて、本件発明1の「蜂の駆除装置」と、甲2発明の「空中作業システム」とは、「虫の駆除装置」で共通する。
(キ)上記(ア)ないし(カ)からみて、本件発明1と甲2発明とは、
「機体と、互いに間隔をあけて配設された複数の回転翼とを有するマルチコプターと、
上記機体に設けられ、内部に虫を駆除するための薬剤が収容された容器と、
上記容器に接続された配管と、
上記機体に設けられ、上記配管の下流側に接続されるとともに上記容器から噴射された薬剤が流通する通路を構成する管からなる筒状部材とを備え、
上記筒状部材における上記配管の下流側が接続された基端部は、平面視で、上記複数の回転翼の回転中心で囲まれた領域内に位置付けられている虫の駆除装置。」で一致するものの、以下の点で相違する。
〔相違点1〕駆除する虫及び薬剤を収容する容器について、本件発明1は、蜂であって、薬剤を収容するものはエアゾール容器であるのに対し、甲2発明は、蜂との特定はなく、容器はエアゾール容器ではない点。
〔相違点2〕筒状部材の管について、本件発明1は、樹脂製であるのに対し、甲2発明はそのような特定がない点。
イ 判断
上記相違点1及び2について検討する。
(ア)相違点1
甲2発明は、殺虫剤を受け取るように構成されているところ、駆除すべき虫として、蜂を対象とすることは一般的に行われており、蜂を駆除するための薬剤を収容するものとして、甲6や甲7に記載されたようにエアゾール容器を用いることは、慣用的に行われていることである。
以上のことから、甲2発明の空中ビークル100を蜂の駆除装置とし、内部に蜂を駆除するための薬剤が収容されたエアゾール容器を備えるものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点2
害虫駆除用のエアゾールを噴出するノズルの材質として、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂とすることは、甲7に記載されているように本件特許の出願前に周知の技術であるから、甲2発明において、管を樹脂製とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)特許権者の主張について
a 特許権者は、令和5年11月21日付け意見書において
「甲2発明は、スプレーノズル106によってペイントを塗布する空中ビークル100に関するものである。甲2発明の明細書には、空中ビークル100を用いてペイントを対象物に塗布することしか記載されておらず、蜂を駆除するための薬剤を噴射することについては一切記載されていない。
この点について、令和5年9月28日起案の取消理由通知書には、「脚/車輪210が受け取るものとして殺虫剤が例示されている。」と記載されているが、この記載は、あくまでも脚/車輪210が受け取るものとして殺虫剤が例示されているだけであり、殺虫剤を噴射することを開示する記載ではなく、受け取った殺虫剤をそのまま搬送することも十分に考えられるものである。よって、甲第2号証の開示内容は「脚/車輪210が殺虫剤を受け取る」ということまでであり、脚/車輪210が受け取った殺虫剤を噴射することまで開示ないし示唆するものではないと思料する。
また、甲2発明の殺虫剤が蜂を駆除するための薬剤であるように認定されているが、殺虫剤が蜂を駆除するための薬剤であることは甲2発明に示唆すらされていない。
すなわち、殺虫剤といっても、匍匐害虫を殺虫するための殺虫剤、飛翔害虫を殺虫するための殺虫剤等があり、さらに匍匐害虫、飛翔害虫のそれぞれに多数の種類があるため、各害虫に応じて選定される成分、性状等が異なっている。したがって、単に殺虫剤といっても、当業者は様々な害虫に向けた、様々な成分、性状の殺虫剤が想定されるだけであり、蜂を駆除するための薬剤に直ちに結びつけられるものではない。」(3頁17行~4頁6行)旨主張する。
b しかしながら、甲2発明の「空中ビークル100」は、その「タスク」として、「表面を塗装またはコーティングすることに限定されるべきではなく、コーティングを塗布または噴射する能力はまた、泡、絶縁、水、石鹸、洗浄溶液、塗料、他のコーティング、化学薬品、農薬、除草剤、プラスチック、エポキシ、液体金属、樹脂、インク、液状コンクリート、他の液体、空気または推進剤と混合された物質、または空気または推進剤と混合された材料を含むことができる半液体材料を塗布または噴霧することを含むことができる」ものであるから、特許権者が主張するような「甲2発明の明細書には、空中ビークル100を用いてペイントを対象物に塗布することしか記載されておらず」と、限定的に解釈するものではない。
そして、「脚/車輪210」の機能及び構成は明確ではないが、受け取る品目として「塗料、水、洗浄液、除氷溶液、化学薬品、殺虫剤、固定物」が挙げられ、また、上記の「タスク」においても、「泡、絶縁、水、石鹸、洗浄溶液、塗料、他のコーティング、化学薬品、農薬、除草剤、プラスチック、エポキシ、液体金属、樹脂、インク、液状コンクリート、他の液体、空気または推進剤と混合された物質、または空気または推進剤と混合された材料」が挙げられているところ、両例示は、完全に同一ではないものの、共通した物質や近似した物質が多数存在しており、「脚/車輪210」が受け取る品目も、噴射する物質に関連するものと理解できるから、甲2の記載を総合することにより、「脚/車輪210」が受け取る品目である殺虫剤も、空中ビークル100が噴射する物質として示唆されていると解することが相当である。
よって、本件発明1と甲2発明の一致点として、「虫の駆除装置」と認定したことに誤りはない。
c 殺虫剤において、各種の虫を対象としたものが存在するが、そのうち、蜂を対象としたものも、出願時において一般的に販売されているように広く知られたものであり、また、液体の殺虫剤を噴霧するに際して、特許権者が主張する成分や性状の相違が甲2発明の空中ビークル100の作動に特段の影響を与えるものでもないから、甲2発明の殺虫剤を蜂を対象とすることに格別の困難性はない。そして、上記(ア)で検討したとおり、甲2発明の「空中ビークル100」が、蜂を対象とし、さらにエアゾール容器を採用することにより、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、特許権者の主張は採用できない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明、甲6、7に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明2
甲2発明の「アクセサリ104」において、「取り付けられたスプレーノズル106の向きを調整するために有利であ」る「コマンド及び制御システム102によって制御可能なモータ又はアクチュエータ」は、本件発明2の「筒状部材の姿勢を変更する姿勢変更部」に相当するから、本件発明2で限定した構成は、甲2発明が備えるものである。
したがって、本件発明2は、甲2発明及び甲6、7に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件発明3
本件発明3の「上記姿勢変更部は、上記筒状部材の基端部を支持するとともに、上記機体が有する制御装置から出力される信号によって制御され、上記筒状部材を上記機体の左右方向に延びる水平軸周りに回動させる回動機構を備える」ことと、上記(2)で検討した甲2発明の上記の「モータ又はアクチュエータ」とは、「上記姿勢変更部は、上記筒状部材の基端部を支持するとともに、上記機体が有する制御装置から出力される信号によって制御され、上記筒状部材を」「回動させる回動機構を備える」ことで共通する。
そして、甲1には、「先端部に前方を向けるように具備された噴射ノズル(22)」により構成される「延長バー(21)は」、「後端部が前記支持台(la)に上下」「方向に方向調節可能に結合される」(上記1(2)ア(エ))構成が記載されており、該構成は、本件発明3の「筒状部材を上記機体の左右方向に延びる水平軸周りに回動させること」に相当する。甲1及び甲2は、共に空中ビークル(飛行体)に関するものであるから、甲2発明のスプレーノズル106を上下方向に方向調節可能とすることにより、上記の相違点に係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである
したがって、本件発明3は、甲2発明、甲1、6、7に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本件発明1および2は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第6号証及び甲第7号証に記載された事項に基づいて、本件発明3は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第1号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明1ないし3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701065