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特許異議申立

2026-700149

野菜含有調味料、及び野菜含有調味料の製造方法

審判番号
2026-700149
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-122697
登録番号
7725130
請求日
2026年02月19日
審決日
2026年06月29日
公報発行日
2026年08月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】カゴメ株式会社
  • 【異議申立人】石井 悠太
審判長/審判官
  • 審判長 松田 成正
  • 審判官 宮久保 博幸
  • 審判官 柴田 昌弘
分類
P1651.113-Y (A23L) / P1651.121-Y (A23L) / P1651.536-Y (A23L) / P1651.537-Y (A23L) / P1651.561-Y (A23L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第113条第1号、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7725130号発明「野菜含有調味料、及び野菜含有調味料の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7725130号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7725130号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、令和2年7月17日を出願日とする出願であって、令和7年8月8日にその特許権の設定登録(請求項の数4)がされ、同年同月19日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和8年2月19日に特許異議申立人 石井 悠太(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 野菜含有調味料(ただし、香料を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、 これによって得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度は、0.15ppb以上である。 【請求項2】 野菜含有調味料(ただし、香料を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 搾り:ここで搾られるのは、少なくとも、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、 及びセロリのうち何れか一つ以上であり、 これによって得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度は、0.15ppb以上である。 【請求項3】 野菜含有調味料(ただし、香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、 これによって得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの 濃度は、0.3ppb以上である。 【請求項4】 野菜含有調味料(ただし、香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 搾り:ここで搾られるのは、少なくとも、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、 及びセロリのうち何れか一つ以上であり、 これによって得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの 濃度は、0.3ppb以上である。」 第3 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 令和8年2月19日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要及び証拠方法は次のとおりである。なお、申立理由の番号は、当審にて新たに付した。 1 申立理由1-1(新規事項の追加) 令和7年4月24日付け手続補正書(方式)により補正された、同年同月4日提出の手続補正書による補正(以下「3回目の手続補正」という。)は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対して特許されたものであるから、本件特許は、同法第113条第1項に該当し、取り消すべきものである。 3回目の手続補正前の請求項16において、加熱工程及び水出し工程は、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、又はセロリ含有加工品の製造方法を構成する工程であり、同請求項17において、加熱工程及び搾り工程は、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、又はセロリ含有加工品の製造方法を構成する工程である。 一方、3回目の手続補正後の請求項1ないし4においては、加熱工程及び水出し工程又は加熱工程及び搾り工程は、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品又はセロリ含有加工品の製造方法を構成する工程としてではなく、野菜含有調味料の製造方法を構成する工程として記載されており、調合する前に、野菜加工品が前記加熱工程及び水出し工程、又は前記加熱工程及び搾り工程を経たものであることを要件としていない。 しかし、出願当初の明細書等に記載されている「野菜加工品」は、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品は、少なくとも加熱及び水出し又は加熱及び搾りにより製造されたものであり、これらの工程を経ていないものは、記載されていない。 したがって、3回目の手続補正は、当初明細書に記載されていない新たな技術的事項を導入したものであり、新規事項の追加に該当する。 2 申立理由1-2(新規事項の追加) 令和6年9月5日提出の手続補正書による補正(以下「2回目の手続補正」という。)は、本件特許の願書に最初に添付した当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対して特許されたものであるから、本件特許は、同法第113条第1項に該当し、取り消すべきものである。 この補正により、請求項3及び4に「コリアンダー加工品を含有するものを除く」との否定的限定(いわゆる、「除くクレーム」)が導入された。 しかし、出願当初明細書には、「コリアンダー」あるいは「コリアンダー加工品」との記載はない。そして、令和6年4月25日付け(起案日)拒絶理由通知で引用された引用文献2(特開2014-50382号公報:(甲第3号証))に記載の発明は、「コリアンダーを水蒸気蒸留して得られた蒸留流出物」に関するものであり(例えば、段落【0023】)、「コリアンダー加工品」であればどのようなものでもよいというものではない。したがって、「コリアンダーを水蒸気蒸留して得られた蒸留流出物」以外を含む「コリアンダー加工品」を含有するものを除く前記否定的限定は、引用発明との重なりのみを除く補正ではない。 よって、この補正は、当初明細書等の記載から直接理解できる範囲にある場合には該当せず、また特許庁審査基準「第IV部第2章新規事項を追加する補正3.3.1(4)(i)」に記載の許容される補正に該当しないことから、新規事項追加に該当する。 3 申立理由2(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 本件特許発明の課題は、明細書の段落【0011】等の記載から、「野菜を主原料とした調味料のコクを改善すること」であり、また上記課題を解決するため、野菜を旨味付与野菜加工品とコク付与野菜加工品とに分類し、それらを調合することが記載されている。 一方、本件特許の明細書において、上記課題を解決することが実際に示されているのは、本件特許の実施例のように、旨味付与野菜としては除パルプ脱酸トマト汁を採用し、また、コク付与野菜としてはブロッコリー、タマネギ、セロリ、ニンジンを焙炒した後、抽出・濃縮工程を経て得られた野菜エキスを採用した場合である。実施例では、2,4-Decadienal等のコク寄与成分の上昇が具体的に示されているが、実施例にない多数の別種の野菜加工品の組合せについて、同様に課題が解決されることを裏付ける記載やデータは存在しない。 ここで一般的に、野菜は用いるものの種類や処理等によって、アミノ酸含有量や揮発性成分の含有量、またその種類等が相違するため、コク付与の程度や旨味付与の程度が異なることが技術常識であるから、旨味及びコクを改善する効果が得られるか否かは予測できないものもあるといえるため、所望の効果が得られるか否かはある程度実際に確認されるべきものである。 してみると、本件特許の明細書では、野菜含有調味料自体のグルタミン酸濃度やアスパラギン酸の濃度等も記載されているとはいえ、旨味付与野菜として、除パルプ脱酸トマト汁以外のトマト加工品を用いた場合、並びにアブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つを用いた様々な場合においても、上記課題を解決できるものとして記載されているとはいえない。 したがって、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。 よって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでない。本件特許発明2~4についても同様である。 4 申立理由3(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 本件特許発明は、明細書の開示を超えて過度に一般化されており、当業者が、明細書に記載された所期の作用効果を奏する発明として実施することができない態様を含んでいる。 本件明細書には、加熱温度、加熱時間、油種・油量、野菜の種類・比率、水出し/搾り条件等の、野菜を主原料とした調味料のコクを改善するという発明の効果に影響するパラメータが具体的に開示されていない。このため、請求項1に記載された工程のみで、当業者は過度の試行錯誤なしに、除パルプ脱酸トマト汁以外のトマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つを使用した場合に、発明の効果を奏するように実施することができない。 実施例の段落【0100】~【0103】に記載の試験結果及び段落【0084】~【0087】に記載された実施例の構成は、コクの改善が除パルプ脱酸トマト汁と焙炒野菜エキスという特定の原料と処理条件に依存することを示している。つまり、明細書に記載された実施例では、除パルプ脱酸トマト汁及び焙炒工程を施した野菜エキスを用いた場合にのみ、旨味及びコクが有意に向上している。試験例1~3は、いずれも除パルプ脱酸トマト汁、焙炒野菜エキス、そして場合によってはキノコ抽出物という特定原料を組合せており、これにより表2(段落【0102】)に示されるような、先味の旨味・中味のコク・後味のコク・呈味の複雑さのいずれについても有意な向上が認められている。 また、明細書に記載された有意差のある効果は、トマトペーストのパルプ除去(遠心分離)工程(段落【0085】)、陰イオン交換樹脂による脱酸処理工程(段落【0085】)及び野菜の焙炒工程(140℃)(段落【0084】)の処理工程を経ることで初めて得られている。これに対し、比較例では、除パルプ脱酸トマト汁が使用されていないため、表2に示されるとおり、旨味・コクの値はいずれも低い。このように、パルプ除去と脱酸されたトマト汁を用いること、及び焙炒工程を施した野菜エキスを用いることが、効果の発現に不可欠であることは明らかである。 しかし、請求項1では、トマト加工品は「トマト加工品」であれば種類・処理条件を問わず、アブラナ科野菜等の加工品についても焙炒の有無が規定されておらず、抽出温度、抽出時間、脱酸処理、濃縮条件を一切限定していない。すなわち、実施例において効果の発現に必須であった特定の処理条件(除パルプ・脱酸・焙炒)はいずれも請求項1の構成には含まれていない。 そのため、請求項1に包含される多数の態様では、明細書の実施例のような「コクの改善」の効果が再現できるとはいえず、当業者は請求項1の発明を、所期の作用効果を奏する発明として実施することができない。 5 申立理由4-1(甲第2号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許発明1ないし4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 6 申立理由4-2(甲第1号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許発明1ないし4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 7 申立理由5-1(甲第2号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許発明1ないし4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 8 申立理由5-2(甲第1号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許発明1ないし4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 9 証拠方法 甲第1号証:フォン・ド・レギューム[野菜のフォン]、La TABLE、https://latable.tokyo/fond-de-legumes、令和2年6月4日(更新日) 甲第1の1号証:「La TABLE」記事タイトル、サイト運営者表示部分及びドメイン表示、La TABLE、令和2年6月4日(更新日) 甲第2号証:【シェフ直伝】濃厚トマトソースのレシピ、株式会社三越伊勢丹、https://mi-journey.jp/foodie/51248/、平成30年8月8日(掲載日) 甲第2の1号証:「【シェフ直伝】濃厚トマトソースのレシピ」記事タイトル、サイト運営者表示部分及びドメイン表示、株式会社三越伊勢丹、平成30年8月8日(掲載日) 甲第3号証:特開2014-50382号公報 甲第4号証:令和8年1月13日付け拒絶理由通知書(特願2024-104108) 甲第5号証:国際公開第2018/181630号 甲第6号証:米国特許出願公開第2002/0164413号明細書 甲第7号証:糖度が高い野菜ランキング!Brix値の解説、株式会社マルニシ(青空市場)、https://aozora.marunishi.biz/life-style_health/vegetable-brix/、令和8年1月3日(掲載日) 甲第8号証:日本油化学会誌、日本油化学会、第48巻、第10号、平成11年10月20日、p.1133-1140 なお、証拠の表記については、概ね特許異議申立書の記載にしたがった。以下、順に「甲1」のようにいう。 第4 当審の判断 当審は、申立理由1-1ないし5-2には、以下のとおり理由がないと判断する。 1 申立理由1-1(新規事項)について (1)3回目の手続補正の内容 3回目の手続補正により、請求項1に記載された「野菜加工品」が「前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり」と特定されるとともに、野菜含有調味料の製造方法を構成する工程として「加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、」が追加された。 請求項2ないし4についても、「野菜加工品」について請求項1と同じ内容の特定がされるとともに、野菜含有調味料の製造方法を構成する工程として、請求項3については請求項1と同じ「加熱」及び「水出し」が、請求項2及び4においては請求項1と同じ「加熱」と、「搾り:ここで搾られるのは、少なくとも、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、」が追加された。 (2)当審の判断 3回目の手続補正後の請求項1では、「加熱」工程において加熱された「アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上」が「水出し」工程において水出しされることが特定されているものの、「加熱」工程及び「水出し」工程を経て得られた「アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上」の加工品と、「調合」工程において調合される「アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品」との関係が何ら特定されていない。 しかし、本件特許の明細書の発明の詳細な説明(以下「本件特許の発明の詳細な説明」という。)の【0027】には、「調合」工程において調合されるのは、「少なくとも、旨味付与野菜加工品、及び後述するコク付与野菜加工品である」と記載されており、同【0040】には「コク付与野菜加工品の製造方法を概念的に構成するのは、好ましくは、少なくとも、付香加熱である。付香加熱とは、加熱であって、その目的が香りを付加するものをいう。」と記載され、同【0043】には「焼き又は炒めは、加熱の一態様である」こと及び「コク付与野菜原料を焼き又は炒めすることで付与されるのは、加熱香であり、それにより感じられるのは香味の持続感である」ことが記載され、同【0038】には「コク付与野菜原料とは、野菜原料であって、コク付与野菜加工品を製造するために用いるものである。具体的には、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリ、等が挙げられる」と記載されているので、本件特許の発明の詳細な説明の上記記載をみれば、3回目の手続補正後の請求項1に記載された「加熱」工程が、「コク付与野菜原料」である「アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリ、等」を加熱することにより香りを付加する工程であることが理解できる。 そうすると、3回目の手続補正後の請求項1に明示的な記載がないとしても、本件特許の発明の詳細な説明の記載を参酌すれば、上記請求項1に記載された「加熱」工程及び「水出し」工程を経て得られた「アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上」の加工品が、「調合」工程において調合される「アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品」であることは明らかであるから、当初明細書等に記載された事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるとはいえない。 (3)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は特許異議申立書(20-24頁)において、上記第3 1のように主張しているので、検討する。 3回目の手続補正後の請求項1に記載された「加熱」工程及び「水出し」工程を経て得られた「アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上」の加工品が、「調合」工程において調合される「アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品」であることは、上記(2)で検討したとおり、本件特許の発明の詳細な説明の記載を参酌すれば明らかであるから、調合する前に、野菜加工品が前記加熱工程及び水出し工程、又は前記加熱工程及び搾り工程を経たものであることを要件としていないとする、特許異議申立人の主張は採用することができない。 また、3回目の手続補正前の請求項12に係る発明は、「野菜加工品」であるアブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品を、少なくとも加熱及び水出し又は加熱及び搾りにより製造されたものに限定するものではないから、当初明細書等に記載されているアブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品は、少なくとも加熱及び水出し又は加熱及び搾りにより製造されたものであり、これらの工程を経ていないものは、記載されていないことを前提とする特許異議申立人の主張は、この点からも採用することができない。 (4)申立理由1-1についてのまとめ 以上のとおりであるから、3回目の手続補正は、本件特許の当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対して特許されたものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第113条第1号に該当せず、申立理由1-1によっては取り消すことはできない。 2 申立理由1-2(新規事項)について (1)2回目の手続補正の内容 請求項2及び11に記載された「野菜含有調味料」を、「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く。)」に補正することを含むものである。 (2)当審の判断 本件特許の発明の詳細な説明の【0023】には、「本発明における、野菜含有調味料とは、調味料であって、少なくとも、後述する旨味付与野菜加工品、及びコク付与野菜加工品を含有する調味料である」こと並びに「本発明における、野菜含有調味料は、調味料であって、少なくとも、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、セロリ含有加工品のうち、何れか一つ以上、並びにトマト加工品である。好ましくは、さらに、キノコ加工品を含有することである」ことが記載されている。 2回目の手続補正により、請求項2及び11に記載された「野菜含有調味料」から「香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く」ことが明示されたものの、これによって当初明細書等に記載された本件特許発明2及び11に関する技術的事項に何らかの変更を生じさせているとはいえないから、当初明細書等に開示された技術的事項に新たな技術的事項を付加したものではない。 したがって、2回目の手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 (3)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は特許異議申立書(24-25頁)において、上記第3 2のように主張しているので、検討する。 令和6年4月25日付け拒絶理由通知で引用された引用文献2(特開2014-50382号公報:甲3)には、以下の事項が記載されている。 ・「【請求項5】 デカナール若しくはトランス-2-デセナールのいずれか一方、又はその両者を有効成分とする、飲食品の呈味増強用香味料組成物。」 ・「【技術分野】 【0001】 本発明は、特定の香味料を飲食品に添加することによる当該飲食品の呈味増強方法、及び当該呈味増強方法に用いる呈味増強用香味料組成物に関する。特に、コリアンダーに由来する特定物質を有効成分とする飲食品の呈味増強方法、及び当該特定物質を有効成分として含有する呈味増強用香味料組成物に関する。」 ・「【0039】 以下、本発明について更に詳述する。 本発明は、デカナール若しくはトランス-2-デセナールのいずれか一方、又はその両者を有効成分として添加することを特徴とする飲食品の呈味増強方法、及び当該2物質の一方若しくは両者を有効成分とする飲食品の呈味増強用香味料組成物に関する。 【0040】 有効成分である両物質は、いずれも公知物質である(例えば[非特許文献2])ので、本発明の組成物を調製するにおいては、常法にて合成した又は市販された各物質を必要に応じて精製した後に使用することができる。しかし、食品安全性の観点からは、天然食用植物体からの抽出物、特にコリアンダーの茎葉部を水蒸気蒸留して得られた蒸留物又はこれらから分離されたものを使用することが望ましい。」 上記の記載から、甲3には「コリアンダーに由来する特定物質を有効成分として含有する呈味増強用香味料組成物」が記載されており、上記有効成分である特定物質は「コリアンダーの茎葉部を水蒸気蒸留して得られた蒸留物」を使用することが好ましい旨記載されているものの、天然食用植物体からの抽出物を用いることも記載されているのであるから、甲3に記載された発明が「コリアンダーを水蒸気蒸留して得られた蒸留流出物」に関するものであることを前提とする特許異議申立人の主張は採用することができない。 (4)申立理由1-2についてのまとめ 以上のとおりであるから、2回目の手続補正は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対して特許されたものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第113条第1号に該当せず、申立理由1-2によっては取り消すことはできない。 3 申立理由2(サポート要件) (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)特許請求の範囲の記載 特許請求の範囲の記載は上記第2のとおりである。 (3)本件特許発明が解決しようとする課題 本件特許の明細書の【0011】の記載からみて、本件特許発明1ないし4が解決しようとする課題(以下「本件特許発明の課題」という。)は、野菜原料を主としながらも、コクを改善した野菜含有調味料の製造方法を提供することであると認められる。 (4)サポート要件の判断 本件特許の発明の詳細な説明の【0023】には「本発明における、野菜含有調味料とは、調味料であって、少なくとも、後述する旨味付与野菜加工品、及びコク付与野菜加工品を含有する調味料である」ことが記載され、同【0024】には「旨味付与野菜加工品とは、野菜原料の加工品であって、前記野菜含有調味料において、旨味を付与するものであ」ること、「旨味付与野菜加工品の好ましい態様は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上である」こと、「旨味を呈する原因となる成分は、主にアミノ酸であり、特にグルタミン酸、アスパラギン酸が寄与している」こと及び「アミノ酸は、先味としての旨味を呈することに特徴を有する」ことが記載され、同【0037】には「コク付与野菜加工品とは、野菜原料の加工品であって、前記野菜含有調味料において、コクを付与するものである」こと、「当該コク付与野菜加工品は、その揮発性成分により、野菜含有調味料にコクを付与する」こと及び「当該揮発性成分は、中味において香味の持続性を付与する」ことが記載され、同【0038】には「コク付与野菜原料とは、野菜原料であって、コク付与野菜加工品を製造するために用いるものである」こと及び「具体的には、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリ、等が挙げられる」ことが記載され、同【0040】には「コク付与野菜加工品の製造方法を概念的に構成するのは」、「少なくとも、付香加熱」と「分画」であること、「付香加熱とは、加熱であって、その目的が香りを付加するものをいう」こと及び「分画」により「得られる画分は、少なくとも、うま味成分及び香気成分である」ことが記載され、同【0043】には「焼き又は炒めは、加熱の一態様である」ことが記載され、同【0046】には「コクに寄与する成分として、2,4-Decadienal、及び2-Decenalがあること」、同【0047】には「発明の効果に寄与する上で、本野菜含有調味料のBrixが4.0のとき(Brix4.0換算時)の2,4-Decadienalの含有量は、0.15ppb以上であ」ること、同【0049】には「発明の効果に寄与する上で、本野菜含有調味料のBrixが4.0のとき(Brix4.0換算時)の2-Decenalの含有量は、0.3ppb以上である」ことが記載され、同【0054】には「水出しの目的は、焼き又は炒められた野菜からその含有成分を抽出することである」ことが記載され、同【0058】には「分画を具現化したものは、少なくとも、搾り(S41)である」ことが記載され、同【0084】~【0119】に記載された実施例において、ブロッコリー、タマネギ、セロリ、ニンジンを切断し、140℃で焙炒した後、水で95℃で1時間熱水抽出した野菜エキスと、除パルプ脱酸トマト汁とを含む試験例2及び3の野菜含有調味料が、前記野菜エキスを含み除パルプ脱酸トマト汁を含まない比較例の野菜含有調味料と比して、先味の旨味及び中味のコクを有する調味料を得ることができたことが記載され、ブロッコリー、タマネギ、セロリ、ニンジンを切断し、炒め工程無しで、水で95℃で1時間熱水抽出した野菜エキスと、除パルプ脱酸トマト汁とを含む比較例2の野菜含有調味料を10倍希釈したもの(以下「比較例2の10倍希釈物」という。)に対して、2,4-Decadienalの標品を添加することで、2,4-Decadienalの濃度を0.15ppbとした試験例5の野菜含有調味料及び比較例2の10倍希釈物に対して、2-Decenalの標品を添加することで、2-Decenalの濃度を0.41ppbとした試験例6の野菜含有調味料が、ともに、比較例2の10倍希釈物と比較して有意に中味が増加することが示されている。 そうすると、野菜加工品として、旨味付与野菜加工品であるトマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上を含み、コク付与野菜加工品として、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち、少なくとも何れか一つ以上を加熱し、加熱したものを水出し又は搾りによって分画した、アブラナ科野菜加工品、タマネギ加工品、及びセロリ加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上とを、調合し、得られる野菜含有調味料のBrix4.0換算時の2,4-Decadienalの含有量は、0.15ppb以上であるか、又は、Brix4.0換算時の2-Decenalの含有量は、0.3ppb以上である野菜含有調味料の製造方法であれば、野菜原料を主としながらも、コクを改善した野菜含有調味料を製造できると、当業者は認識する。 そして、本件特許発明1ないし4は、上記事項をすべて満たすものであるから、発明の詳細な説明の記載から当業者が本発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 したがって、本件特許の明細書の上記記載並びに出願時の技術常識を踏まえれば、当業者であれば本件特許発明1ないし4の構成を満たせば本発明の課題が解決できるものと理解する。 よって、本件特許発明1ないし4に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を充足する。 (5)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は特許異議申立書(26~29頁)において、上記第3 3のとおり主張するが、本件特許の発明の詳細な説明に記載された実施例以外の態様では、本件特許発明の課題を解決できないことを示す具体的な証拠を提示するものではなく、コク付与野菜原料であるアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち、少なくとも何れか一つ以上を加熱付香し、水出し又は搾りによって少なくとも、うま味成分及び香気成分を分画したアブラナ科野菜加工品、タマネギ加工品、及びセロリ加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上と、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸の寄与により旨味を付与する、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上とを調合し、さらに、得られる野菜含有調味料のBrix4.0換算時の2,4-Decadienalの含有量は、0.15ppb以上であるか、又は、Brix4.0換算時の2-Decenalの含有量は、0.3ppb以上であることによって、野菜原料を主としながらも、コクを改善した野菜含有調味料を製造できることは、上記(4)に記載したとおりであるから、特許異議申立人の主張は採用することができない。 (6)申立理由2についてのまとめ 上記(4)及び(5)に記載したとおり、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由2によって取り消すことはできない。 4 申立理由3(実施可能要件) (1)実施可能要件の判断基準 本件特許発明1ないし4は物を生産する方法の発明であるところ、物を生産する方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産する方法を使用し、その物を生産する方法により生産した物の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 (2)実施可能要件の判断 本件特許の発明の詳細な説明には、本願発明1ないし4の製造方法を構成する、調合工程(【0027】)、加熱工程(【0043】~【0045】、【0053】)、水出し工程(【0054】)、搾り工程(【0059】)について記載されており、本件特許発明1ないし4の発明特定事項を満たす具体的な実施例が示されており(【0084】~【0119】)、【表1】ないし【表4】に示された評価結果から、野菜原料を主としながらも、コクを改善した野菜含有調味料を製造できることが示されている。 したがって、本件特許の発明の詳細な説明に、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1ないし4の野菜含有調味料を製造する方法を使用することができ、その方法により生産した物を使用することができる程度の記載があるといえ、本件特許発明1ないし4に関して、発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を充足する。 (3)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は特許異議申立書(29~32頁)において、上記第3 4のとおり主張するが、本件特許の発明の詳細な説明に記載された実施例に記載された態様において、本件特許発明1ないし4を実施できることは特許異議申立人も認めるところであり、他の態様において実施するために当業者が過度の試行錯誤を要することを示す具体的な証拠を提示するものでもないので、特許異議申立人の主張は、上記(2)の判断を左右するものではない。 (4)申立理由3についてのまとめ 上記(3)及び(4)に記載したとおり、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由3によって取り消すことはできない。 5 申立理由4-1(甲第2号証を主たる証拠とする新規性)及び申立理由5-1(甲第2号証を主たる証拠とする進歩性)について (1)甲2に記載された事項等 ア 甲2に記載された事項 甲2には「【シェフ直伝】パスタの人気1位「濃厚トマトソース」のレシピ。」に関して、次の記載がある。枠線は特許異議申立人が付したものである。他の証拠についても同様である。 ・「 [図:0001438307000001.jpg] 」(2頁左下部欄) ・「 [図:0001438307000002.jpg] 」(3頁上部欄) ・「 [図:0001438307000003.jpg] 」(3頁下部欄) ・「 [図:0001438307000004.jpg] [図:0001438307000005.jpg] 」(3頁最下行から4頁上部) ・「 [図:0001438307000006.jpg] 」(4頁下部) ・「 [図:0001438307000007.jpg] [図:0001438307000008.jpg] 」(4頁最下行から5頁上部) ・「 [図:0001438307000009.jpg] 」(5頁下部) ・「 [図:0001438307000010.jpg] [図:0001438307000011.jpg] 」(5頁最下行から6頁上部) ・「 [図:0001438307000012.jpg] 」(6頁下部) ・「 [図:0001438307000013.jpg] [図:0001438307000014.jpg] 」(6頁最下行から7頁上部) イ 甲2に記載された発明 甲2に記載された事項を、特に「濃厚トマトソース」のレシピについて整理すると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 <甲2発明> 「濃厚トマトソースのレシピであって、オリーブオイルとにんにく(半分に割って芯を除く)を入れて弱火にかけた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて中火で炒め、握りつぶしたトマトと水を加えて中火でソースを煮立たせ、その後弱火で煮詰め、裏ごし機で裏ごす。」 (2)本件特許発明1について ア 対比 甲2発明の「濃厚トマトソース」は、本件特許発明1の「野菜含有調味料」に相当し、甲2発明の「レシピ」は、本件特許発明1の「製造方法」に相当し、甲2発明の「握りつぶしたトマト」は、本件特許発明1の「トマト加工品」に相当し、甲2発明の「半分に割って芯を除」いた「にんにく」は、本件特許発明1の「ニンニク加工品」に相当し、甲2発明の「カットした玉ねぎ」は、本件特許発明1の「タマネギ加工品」に相当し、甲2発明の「カットしたセロリ」は、本件特許発明1の「セロリ加工品」に相当する。 そして、甲2発明は「オリーブオイルとにんにく(半分に割って芯を除く)を入れて弱火にかけた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて中火で炒め、握りつぶしたトマトと水を加えて中火でソースを煮立たせ」ているので、本件特許発明1の「調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり」という発明特定事項を満たし、甲2発明は「オリーブオイルとにんにく(半分に割って芯を除く)を入れて弱火にかけた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて中火で炒め」ているので、本件特許発明1の「加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり」という発明特定事項を満たし、甲2発明は「オリーブオイルとにんにく(半分に割って芯を除く)を入れて弱火にかけた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて中火で炒め、握りつぶしたトマトと水を加えて中火でソースを煮立たせ」ているので、本件特許発明1の「水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり」という発明特定事項を満たす。 さらに、甲2発明の野菜含有調味料は、食品添加物である「香料」は一切添加されていないので、本件特許発明1の「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するものを除く。)」という発明特定事項を満たす。 そうすると、両者は以下の点で一致する。 <一致点> 「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上である。」 そして、両者は、以下の点で相違する。 <相違点2-1> 本件特許発明1は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度は、0.15ppb以上である」と特定するのに対し、甲2発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 イ 当審の判断 上記相違点2-1について検討する。 甲2には、甲2発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が0.15ppb以上であることは記載されていないし、甲2及び他の証拠をみても、甲2発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が0.15ppb以上である蓋然性が高いと判断する理由もない。 したがって、上記相違点2-1は実質的な相違点である。 そして、甲2及び他の証拠をみても、甲2発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度に着目して、これを0.15ppb以上とする動機付けがない。 よって、甲2発明において、相違点2-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 特許異議申立人の主張について (ア)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は特許異議申立書(34-35頁)において、相違点2-1について以下の主張をしている。 甲6の表1は、にんにく・玉ねぎを加熱せずにオリーブ(又はオリーブオイル)と混合・破砕(マラクセーション)したものが、2,4-Decadienal異性体2300μg/kg(=2300ppb=2.3ppm:100%オリーブオイル)以上含有していることを示す。 甲2発明におけるオリーブオイルの使用量(24g(大さじ2、大さじ1=12g換算))において、甲6の測定値2300μg/kgに基づいて、2,4-Decadienalの総量を求めると、55.2μg(2300μg/kg×0.024kg)となる。甲2発明の調理前(加熱前)の全体量は2337gであるから、2,4-Decadienalの濃度は55.2μg×1000g/2337g=23.6μg/kg(=23.6ppb)であり、0.15ppbを大きく上回る。さらに、水分蒸発が進行すれば全体量が減少するため、2,4-Decadienalの濃度は23.6ppb以上となる。 次に、甲2発明に含まれる各野菜のBrix値は、甲7(糖度が高い野菜ランキング!甘さの指標『Brix値』の正体と美味しい種類を解説)に基くと、下記表の通りである。 [図:0001438307000015.jpg] 甲2発明により得られる濃厚トマトソースのBrixは、3.34%(78.13/2337×100)であるから、Brix4.0換算時の2,4-Decadienal濃度も23.6ppb以上である。 なお、加熱による蒸発を考慮し、例えば調理前の質量の50%が蒸発した場合でも、甲2発明により得られる濃厚トマトソースのBrixは、6.69%(78.13/1168.5×100)であり、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度(23.6/[6.69/4]=14.1ppb)は、構成要件[e]を満たしている。 さらに、2,4-Decadienalの濃度は、油を加熱することで増加すると考えられる(本件特許の明細書の段落[0046])。加熱により2,4-Decadienalの濃度が増加することは、甲8 (遠藤泰志:総説「食用油脂の周期成分」)において解説されている。 したがって、甲2発明は構成要件[e]を満たし、本件特許発明1と甲2発明は構成要件[e]において一致すると判断するのが相当である。 (イ)特許異議申立人の主張に対する当審の判断 甲6には、オリーブオイルに香り付けする方法の発明が記載されており([0001])、特許異議申立人が主張の根拠とする表1は、実施例1、2においてオリーブに14重量%のタマネギ又は10重量%のニンニクを加え、金槌で潰して得られたペーストを室温で30分間混合・破砕(マラクセーション)したものから、遠心分離して得られたオイルが含む香気化合物を示すものである。 一方、甲2発明で用いるオリーブオイルは、どのような製造方法で得られたものであるか不明であり、甲6に記載された方法により得られたものであると解する理由もないので、甲2発明で用いるオリーブオイルが、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルと同じ香気成分を同じ割合で含むと解することはできない。そして、甲2発明により得られる野菜含有調味料は、「オリーブオイルとにんにく(半分に割って芯を除く)を入れて弱火にかけた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて中火で炒め、握りつぶしたトマトと水を加えて中火でソースを煮立たせ、その後弱火で煮詰め、裏ごし機で裏ご」ししたものであるから、少なくとも、タマネギ又はニンニク以外の野菜とともに調理されている点及び加熱工程を経ている点で甲6記載の製造方法により得られるオリーブオイルとその製造方法が異なるから、甲2発明により得られる野菜含有調味料が、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルと同じ香気成分を同じ割合で含むと解することもできない。 以上のとおりであるから、甲2発明で用いるオリーブオイルが、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルと同じ香気成分を同じ割合で含むことを前提とした特許異議申立人の主張は失当であり、採用することができない。 エ 本件特許発明1についてのまとめ したがって、本件特許発明1は、甲2発明ではなく、甲2発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明2について 本件特許発明2と甲2発明とを対比すると、両者の間には本件特許発明1と甲2発明の間と同様の相当関係があるといえるから、両者は少なくとも以下の点において相違する。 <相違点2-2> 本件特許発明2は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度は、0.15ppb以上である」と特定するのに対し、甲2発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 上記相違点2-2について検討する。 上記相違点2-2は、上記相違点2-1と実質的に同じ内容であるから、同様に判断される。すなわち、上記相違点2-2は実質的な相違点であり、甲2及び他の証拠をみても、甲2発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度に着目して、これを0.15ppb以上とする動機付けがない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲2発明ではなく、甲2発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件特許発明3について ア 対比 本件特許発明3と甲2発明とを対比すると、上記(2)アと同様の相当関係があるといえる。そして、甲2発明は、材料にコリアンダー加工品を含むものではないから、本件特許発明3の「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く)」という発明特定事項を満たすといえる。 そうすると、本件特許発明3と甲2発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上である。」 そして、両者は、以下の点で相違する。 <相違点2-3> 本件特許発明3は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度は、0.3ppb以上である」と特定するのに対し、甲2発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 イ 当審の判断 上記相違点2-3について検討する。 甲2には、甲2発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が0.3ppb以上であることは記載されていないし、甲2及び他の証拠をみても、甲2発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が0.3ppb以上である蓋然性が高いと判断する理由もない。 したがって、上記相違点2-3は実質的な相違点である。 そして、甲2及び他の証拠をみても、甲2発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度に着目して、これを0.3ppb以上とする動機付けがない。 よって、甲2発明において、相違点2-3に係る本件特許発明3の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 特許異議申立人の主張について (ア)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は特許異議申立書(38-39頁)において、相違点2-3について以下の主張をしている。 甲6の表1は、にんにく・玉ねぎを加熱せずにオリーブ(又はオリーブオイル)と混合・破砕(マラクセーション)したものが、2-Decenalを744μg/kg(=744ppb=0.744ppm:100%オリーブオイル)以上含有していることを示す。 甲2発明におけるオリーブオイルの使用量(24g(大さじ2、大さじ1=12g換算))において、甲6の測定値744μg/kgに基づいて、2-Decenalの総量を求めると、17.856μg(744μg/kg×0.024kg)となる。甲2発明の調理前(加熱前)の全体量は2337gであるから、2-Decenalの濃度は17.856μg×1000g/2337g=7.64μg/kg(=7.64ppb)であり、0.3ppbを大きく上回る。さらに、水分蒸発が進行すれば全体量が減少するため、2-Decenalの濃度は7.64ppb以上となる。 次に、甲2発明により得られる濃厚トマトソースのBrixは、上記(2)ウ(ア)に記載のとおり、3.34%であるから、Brix4.0換算時の2-Decenal濃度も7.64以上である。 なお、加熱による蒸発を考慮し、例えば調理前の質量の50%が蒸発した場合でも、甲2発明により得られる濃厚トマトソースのBrixは、6.69%であり、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度(7.64/[6.69/4]=4.57ppb)は、構成要件[e’]を満たしている。 さらに、2-Decenalの濃度は、油を加熱することで増加すると考えられる(本件特許の明細書の段落[0046])。加熱により2-Decenalの濃度が増加することは、甲8において解説されている。 したがって、甲2発明は構成要件[e’]を満たし、本件特許発明1と甲2発明は構成要件[e’]において一致すると判断するのが相当である。 (イ)特許異議申立人の主張に対する当審の判断 甲2発明で用いるオリーブオイルが、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルと同じ香気成分を同じ割合で含むと解することはできないことは、上記(2)ウ(イ)で指摘したとおりであるから、甲2発明で用いるオリーブオイルが、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルと同じ香気成分を同じ割合で含むことを前提とした特許異議申立人の主張は失当であり、採用することができない。 エ 本件特許発明3についてのまとめ したがって、本件特許発明3は、甲2発明ではなく、甲2発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明4について 本件特許発明4と甲2発明とを対比すると、両者の間には本件特許発明3と甲2発明の間と同様の相当関係があるといえるから、両者は少なくとも以下の点において相違する。 <相違点2-4> 本件特許発明4は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度は、0.3ppb以上である」と特定するのに対し、甲2発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 上記相違点2-4について検討する。 上記相違点2-4は、上記相違点2-3と実質的に同じ内容であるから、同様に判断される。すなわち、上記相違点2-4は実質的な相違点であり、甲2及び他の証拠をみても、甲2発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度に着目して、これを0.3ppb以上とする動機付けがない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、甲2発明ではなく、甲2発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6)申立理由4-1及び申立理由5-1についてのまとめ したがって、本件特許発明1ないし4は、特許法第29条第1項3号に該当するとはいえず、また、本件特許発明1ないし4は、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由4-1及び申立理由5-1によっては取り消すことはできない。 2 申立理由4-2(甲1を主たる証拠とする新規性)及び申立理由5-2(甲1を主たる証拠とする進歩性)について (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には、「フォン・ド・レギューム[野菜のフォン]」に関して、次の記載がある。 ・「今回はお野菜のフォン、「フォン・ド・レギューム」をご紹介します。 フォンはフランス料理のベースとなるだし汁のことで、牛骨や牛すじから作る「フォン・ド・ヴォー」や鶏ガラから作る「フォン・ド・ヴォライユ」のように、動物系のフォンが多いのですが、今回ご紹介するのは野菜だけを使ったフォンとなっています。」(2頁1-3行) ・「 [図:0001438307000016.jpg] 」(2頁中部) ・「 [図:0001438307000017.jpg] [図:0001438307000018.jpg] 」(2頁下部から3頁上部) ・「 [図:0001438307000019.jpg] 」(3頁下部) ・「 [図:0001438307000020.jpg] 」(4頁上部) ・「 [図:0001438307000021.jpg] [図:0001438307000022.jpg] 」(4頁下部から5頁上部) ・「 [図:0001438307000023.jpg] 」(5頁中部) ・「 [図:0001438307000024.jpg] 」(5頁下部) イ 甲1に記載された発明 甲1に記載された事項を、特に「フォン・ド・レギューム[野菜のフォン]」について整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「フォン・ド・レギューム(野菜のフォン)の作り方であって、潰したニンニクをオリーブオイルで弱火で炒めた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて弱火で炒め、水を加えて強火にし、弱火で4時間ほど煮出した後にザルの中の野菜はギューツと押して旨味を含んだ水分を絞り出すことにより漉す。」 (2)本件特許発明1について ア 対比 甲1発明の「フォン・ド・レギューム(野菜のフォン)」は、本件特許発明1の「野菜含有調味料」に相当し、甲1発明の「作り方」は、本件特許発明1の「製造方法」に相当し、甲1発明の「潰したニンニク」は、本件特許発明1の「ニンニク加工品」に相当し、甲1発明の「カットした玉ねぎ」は、本件特許発明1のタマネギ加工品」に相当し、甲1発明のカットしたセロリは、本件特許発明1の「セロリ加工品」に相当する。 そして、甲1発明は「潰したニンニクをオリーブオイルで弱火で炒めた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて弱火で炒め」ているので、本件特許発明1の「調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり」という発明特定事項を満たし、甲1発明は「潰したニンニクをオリーブオイルで弱火で炒めた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて弱火で炒め」ているので、本件特許発明1の「加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり」という発明特定事項を満たし、甲1発明は「カットした玉ねぎ及びセロリを加えて弱火で炒め、水を加えて強火にし、弱火で4時間ほど煮出し」ているので、本件特許発明1の「水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり」という発明特定事項を満たす。 さらに、甲1発明の野菜含有調味料は、食品添加物である「香料」は一切添加されていないので、本件特許発明1の「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するものを除く。)」という発明特定事項を満たす。 そうすると、両者は以下の点で一致する。 <一致点> 「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上である。」 そして、両者は、以下の点で相違する。 <相違点1-1> 本件特許発明1は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度は、0.15ppb以上である」と特定するのに対し、甲1発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 イ 当審の判断 上記相違点1-1について検討する。 甲1には、甲1発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が0.15ppb以上であることは記載されていないし、甲1及び他の証拠をみても、甲1発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が0.15ppb以上である蓋然性が高いと判断する理由もない。 したがって、上記相違点1-1は実質的な相違点である。 そして、甲1及び他の証拠をみても、甲1発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度に着目して、これを0.15ppb以上とする動機付けがない。 よって、甲1発明において、相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 特許異議申立人の主張について (ア)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は特許異議申立書(42-43頁)において、相違点1-1について以下の主張をしている。 甲6の表1は、にんにく・玉ねぎを加熱せずにオリーブ(又はオリーブオイル)と混合・破砕(マラクセーション)したものが、2,4-Decadienal異性体2300μg/kg(=2300ppb=2.3ppm:100%オリーブオイル)以上含有していることを示す。 甲1発明においては、ニンニク・玉ねぎをオリーブオイルとともに加熱し、さらに長時間の煮だし工程を含む。2,4-Decadienalの濃度は、油で加熱することで増加すると考えられる(本件特許の明細書の段落[0046])。加熱により2,4-Decadienalの濃度が増加することは、甲8において解説されている。 甲1発明では油を除去するものの、2,4-Decadienalの一定量は、水相(最終スープ)側へ移行する。したがって、甲1の最終スープ相にも一定量の2,4-Decadienalが残存する。また、構成要件[e]で規定する2,4-Decadienalの濃度は0.15ppb以上と極めて低い濃度であってもよいことから、非加熱条件でのオリーブオイル中の濃度が2.3ppmであることを踏まえると、甲1発明において油を取り除いた後であっても構成要件[e]を満たしていると考える。 以上により、甲1発明は、構成要件[e]を満たし、構成要件[e]に関して甲1発明と本件特許発明1は一致する。 (イ)特許異議申立人の主張に対する当審の判断 甲6には、オリーブオイルに香り付けする方法の発明が記載されており([0001])、特許異議申立人が主張の根拠とする表1は、実施例1、2においてオリーブに14重量%のタマネギ又は10重量%のニンニクを加え、金槌で潰して得られたペーストを室温で30分間混合・破砕(マラクセーション)したものから、遠心分離して得られたオイルが含む香気化合物を示すものである。 一方、甲1発明により得られる野菜含有調味料は、「潰したニンニクをオリーブオイルで弱火で炒めた鍋に、カットした玉ねぎ及びセロリを加えて弱火で炒め、水を加えて強火にし、弱火で4時間ほど煮出した」ものであるから、少なくとも、タマネギ又はニンニク以外の野菜とともに調理されている点及び加熱工程を経ている点で甲6記載の製造方法により得られるオリーブオイルとその製造方法が異なるから、甲1発明により得られる野菜含有調味料が、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルと同じ香気成分を同じ割合で含むと解することはできない。そして、甲1発明により得られる野菜含有調味料における香気成分と、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルにおける香気成分との関係が不明である以上、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルにおける2,4-Decadienalの濃度を根拠として、甲1発明により得られる野菜含有調味料における2,4-Decadienalの濃度を推定することはできない。 以上のとおりであるから、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルに含まれる2,4-Decadienalの濃度を根拠として、甲1発明により得られる野菜含有調味料における2,4-Decadienalの濃度を推定する特許異議申立人の主張は失当であり、採用することができない。 エ 本件特許発明1についてのまとめ したがって、本件特許発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明2について 本件特許発明2と甲1発明とを対比すると、両者の間には本件特許発明1と甲1発明の間と同様の相当関係があるといえるから、両者は少なくとも以下の点において相違する。 <相違点1-2> 本件特許発明2は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度は、0.15ppb以上である」と特定するのに対し、甲2発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 上記相違点1-2について検討する。 上記相違点1-2は、上記相違点1-1と実質的に同じ内容であるから、同様に判断される。すなわち、上記相違点1-2は実質的な相違点であり、甲1及び他の証拠をみても、甲1発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2,4-Decadienalの濃度に着目して、これを0.15ppb以上とする動機付けがない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲1発明ではなく、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件特許発明3について ア 対比 本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、上記(2)アと同様の相当関係があるといえる。そして、甲1発明は、材料にコリアンダー加工品を含むものではないから、本件特許発明3の「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く)」という発明特定事項を満たす。 そうすると、本件特許発明3と甲1発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「野菜含有調味料(ただし、香料を含有するもの、及びコリアンダー加工品を含有するものを除く。)の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である: 調合:ここで調合されるのは、少なくとも、野菜加工品であり、 前記野菜加工品は、トマト加工品、ブロッコリー加工品、ニンニク加工品、ホウレンソウ加工品、及びアスパラガス加工品、のうち、少なくとも何れか一つ以上、並びに、アブラナ科野菜含有加工品、タマネギ含有加工品、及びセロリ含有加工品のうち、少なくとも何れか一つ以上であり、 加熱:ここで加熱されるのは、アブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上であり、かつ、 水出し:ここで水出しされるのは、前記加熱されたアブラナ科野菜、タマネギ、及びセロリのうち何れか一つ以上である。」 そして、両者は、以下の点で相違する。 <相違点1-3> 本件特許発明3は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度は、0.3ppb以上である」と特定するのに対し、甲1発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 イ 当審の判断 上記相違点1-3について検討する。 甲1には、甲1発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が0.3ppb以上であることは記載されていないし、甲1及び他の証拠をみても、甲1発明により得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が0.3ppb以上である蓋然性が高いと判断する理由もない。 したがって、上記相違点1-3は実質的な相違点である。 そして、甲1及び他の証拠をみても、甲1発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度に着目して、これを0.3ppb以上とする動機付けがない。 よって、甲1発明において、相違点1-3に係る本件特許発明3の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 特許異議申立人の主張について (ア)特許異議申立人の主張 特許異議申立人は特許異議申立書(46頁)において、相違点1-3について以下の主張をしている。 甲6の表1は、にんにく・玉ねぎを加熱せずにオリーブ(又はオリーブオイル)と混合・破砕(マラクセーション)したものが、2-Decenalを744μg/kg(=744ppb=0.744ppm:100%オリーブオイル)以上含有していることを示す。 甲1発明においては、ニンニク・玉ねぎをオリーブオイルとともに加熱し、さらに長時間の煮だし工程を含む。2-Decenalの濃度は、油を加熱することで増加すると考えられる(本件特許の明細書の段落[0046])。加熱により2-Decenalの濃度が増加することは、甲8において解説されている。 甲1発明では油を除去するものの、2-Decenalの一定量は、水相(最終スープ)側へ移行する。したがって、甲1の最終スープ相にも一定量の2-Decenalが残存する。また、構成要件[e’]で規定する2-Decenalの濃度は0.3ppb以上と極めて低い濃度であってもよいことから、非加熱条件でのオリーブオイル中の濃度が2.3ppmであることを踏まえると、甲1発明において油を取り除いた後であっても構成要件[e’]を満たしていると考える。 以上により、甲1発明は構成要件[e’]を満たし、構成要件[e’]に関して甲1発明と本件特許発明3は一致する。 (イ)特許異議申立人の主張に対する当審の判断 甲6の実施例1で得られたオリーブオイルにおける2-Decenalの濃度を根拠として、甲1発明により得られる野菜含有調味料における2-Decenalの濃度を推定することができないことは、上記(2)ウ(イ)で指摘したとおりであるから、甲6の実施例1で得られたオリーブオイルに含まれる2-Decenalの濃度を根拠として、甲1発明により得られる野菜含有調味料における2-Decenalの濃度を推定する特許異議申立人の主張は失当であり、採用することができない。 エ 本件特許発明3についてのまとめ したがって、本件特許発明3は、甲1発明ではなく、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明4について 本件特許発明4と甲1発明とを対比すると、両者の間には本件特許発明3と甲1発明の間と同様の相当関係があるといえるから、両者は少なくとも以下の点において相違する。 <相違点1-4> 本件特許発明4は「得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度は、0.3ppb以上である」と特定するのに対し、甲2発明は、得られる野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度が、含むか否かも含め、不明である点。 上記相違点1-4について検討する。 上記相違点1-4は、上記相違点1-3と実質的に同じ内容であるから、同様に判断される。すなわち、上記相違点1-4は実質的な相違点であり、甲1及び他の証拠をみても、甲1発明において、得られた野菜含有調味料の、Brix4.0換算時の2-Decenalの濃度に着目して、これを0.3ppb以上とする動機付けがない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、甲1発明ではなく、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6)申立理由4-2及び申立理由5-2についてのまとめ したがって、本件特許発明1ないし4は、特許法第29条第1項3号に該当するとはいえず、また、本件特許発明1ないし4は、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、申立理由4-2及び申立理由5-2によっては取り消すことはできない。 第5 結語 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては、本件特許の請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700149

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