特許異議申立
2022-700207
掃除機据置台
- 審判番号
- 2022-700207
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-099956外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6934984
- 請求日
- 2022年03月08日
- 審決日
- 2023年03月20日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
- 【権利者代理人】堅田 健史
- 【異議申立人】前田 正夫
- 分類
- P1651.537-YAA(A47L) / P1651.121-YAA(A47L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6934984号発明「掃除機据置台」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6934984号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
特許第6934984号の請求項1~9、11~15に係る特許を維持する。
特許第6934984号の請求項10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6934984号(以下「本件特許」という。)の請求項1~15に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)4月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年5月9日韓国(KR)、2016年8月25日韓国(KR))を国際出願日とする特願2018-558233号の一部を令和2年6月9日に新たな特許出願としたものであって、令和3年8月26日にその特許権の設定登録がされ、同年9月15日に特許掲載公報が発行された。本件特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年 3月 8日 特許異議申立人前田正夫(以下「申立人」と
いう。)による請求項1~15に係る特許に
対する特許異議の申立て
令和4年 6月20日付け 取消理由通知書
令和4年 9月21日 特許権者による意見書、訂正請求書の提出
令和4年10月17日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知)
令和4年11月 8日 申立人による意見書の提出
令和4年12月 9日付け 取消理由通知書
令和5年 3月15日受付 特許権者による意見書、訂正請求書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
特許権者が令和5年3月15日にした訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1-1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記支持台の少なくとも一部分を囲む内部ベースが備えられ、」と記載されているものを、「前記支持台の少なくとも一部分を囲む内部ベースと、前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記内部ベース及び前記支持台の外周面の少なくとも一部分を囲む上部カバーと、前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、ネック部を備え、前記ネック部が前記支持台の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支持台の開口の内周面と接触する下部カバーと、が備えられ、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~15も同様に訂正する。)。
(2) 訂正事項1-2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「底面に支持されて」と記載されているものを、「床面に支持されて」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~15も同様に訂正する。)。
(3) 訂正事項1-3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記ベース側に位置する、」と記載されているものを、「前記ベースの内部に位置する、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~15も同様に訂正する。)。
(4) 訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10を削除する。
(5) 訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11に「請求項10に記載の掃除機据置台。」と記載されているものを、「請求項1に記載の掃除機据置台。」に訂正する。
(6) 訂正事項4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項12に「請求項10に記載の掃除機据置台。」と記載されているものを、「請求項1に記載の掃除機据置台。」に訂正する(請求項12の記載を引用する請求項13~15も同様に訂正する。)。
(7) 訂正事項5
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7に「前記ネック部」と記載されているものを、「前記内部ベースの前記ネック部」に訂正する。
(8) 訂正事項6
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に「前記ネック部」と記載されているものを、「前記内部ベースの前記ネック部」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。)。
(9) 訂正事項7
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9に「前記ネック部」と記載されているものを、「前記内部ベースの前記ネック部」に訂正する。
2 訂正の対象となる請求項(一群の請求項)
本件訂正前の請求項2~15は、本件訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用しており、訂正事項1-1~1-3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正は、一群の請求項〔1~15〕について請求されたものである。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1-1
ア 訂正の目的
訂正事項1-1は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「ベース」について、「前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記内部ベース及び前記支持台の外周面の少なくとも一部分を囲む上部カバーと、前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、ネック部を備え、前記ネック部が前記支持台の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支持台の開口の内周面と接触する下部カバーと」が備えられることを限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項
(ア) 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同様。)。
a 「【請求項10】
前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記支持台の外周面を支持する上部カバーと、
前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、前記支持台の内周面を支持する下部カバーとを更に備えてなる、請求項1に記載の掃除機据置台。」
b 「【0079】
前記ベース400には、前記支持台220が挿入される第1ネック部412が備えられ得る。前記第1ネック部412は、前記支持台220を囲むように形成され得る。具体的には、前記第1ネック部412の上端部が内側に緩曲して前記支持台220の下端部の外周面を囲むように形成され得る。」
c 「【0082】
図12ないし図14を参照すると、前記ベース400は、上部カバー410と、下部カバー420および内部ベース430とを含む。前記下部カバー420は、前記上部カバー410の下側に備えられ、前記内部ベース430は、前記上部カバー410と前記下部カバー420との間に備えられる。
【0083】
前記上部カバー410は、上面部411と側面部413を含むことができる。前記上面部411は、前記ベース400の上面を形成し、前記側面部413は、前記上面部411の端部から下方に延びて形成され得る。」
d 「【0085】
前記上部カバー410の上面部411には、前記第1ネック部412が備えられる。前記第1ネック部412は、前記上面部411から上側に突出して形成され得る。前記第1ネック部412の上端部は、前記支持台220の外周面を囲むように形成され得る。」
e 「【0101】
前記下部カバー420は、前記支持台220と結合するための第3ネック部427をさらに含むことができる。前記第3ネック部427は、前記下部カバー420から上方に延びて形成され、前記支持台220と結合することができる。前記下部カバー420の底面で前記第3ネック部427の鉛直下方と重なる部分は、上側に陥没することがある。」
f 「【0109】
前記支持台220の下端部には、前記第3ネック部427が挿入される開口が形成され得る。前記第3ネック部427が前記支持台220の開口に挿入されると、前記第3ネック部427の外周面が前記支持台220の開口の内周面と接触することができる。これに伴い、前記下部カバー420は、支持台220と結合し、前記支持台220を支持することができる。」
g 本件特許明細書等の図12~14には、以下の図が示されている。
[図:0001398241000001.jpg]
(イ) 前記(ア)a及びcの記載から、本件特許明細書等には、ベースが「前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記支持台の外周面を支持する上部カバーと、前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、前記支持台の内周面を支持する下部カバーと、」を備えることが記載されているといえる。
また、前記(ア)b及びdの記載から、上部カバー410の第1ネック部412の上端部が、支持台220の下端部の外周面を囲むことが理解でき、前記(ア)c及びgの記載から、上部カバー410の側面部413が内部ベース430を上方及び側方から囲むことが理解できるから、本件特許明細書等には、上部カバー410が「内部ベース430及び支持台220の外周面の少なくとも一部分を囲む」ことが記載されているといえる。
さらに、前記(ア)e及びfの記載から、本件特許明細書等には、下部カバー420が、「第3ネック部427」を備え、「前記第3ネック部427が前記支持台220の開口に挿入され」、「前記第3ネック部427の外周面が前記支持台220の開口の内周面と接触する」ことが記載されているといえる。
そうすると、本件特許明細書等には、ベースに「前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記内部ベース及び前記支持台の外周面の少なくとも一部分を囲む上部カバーと、前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、ネック部を備え、前記ネック部が前記支持台の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支持台の開口の内周面と接触する下部カバーと、」が備えられることが記載されているといえる。
(ウ) よって、訂正事項1-1は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更
前記アのとおり、訂正事項1-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項1-2
ア 訂正の目的
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1には、「底面に支持されて前記支持台と連結されたベース」と記載されているが、同請求項1には他に「底面」との記載はなく、当該記載に誤記が存在することは明らかである。
他方、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)には、段落【0009】に「・・・床面に支持され、前記支持台と連結されるベース・・・」と記載され、段落【0078】に「・・・床面に支持されて前記支持台220の下部に結合されるベース400・・・」と記載されており、これらの記載は、本件特許明細書における段落【0082】の「・・・前記ベース400は、上部カバー410と、下部カバー420および内部ベース430とを含む。・・・」や、段落【0088】の「前記下部カバー420の底面部421には、床面との所定の摩擦力を維持するための摩擦部422備えられ得る。・・・」といった他の記載とも整合するものであるから、前記段落【0009】及び【0078】の記載が正しい記載であることは明らかである。
そうすると、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「底面に支持されて前記支持台と連結されたベース」との記載は、本件特許明細書の記載との関係で誤りであることが明らかであり、かつ、本件特許明細書等全体の記載から、「床面に支持されて前記支持台と連結されたベース」という正しい記載が自明な事項として定まる。
よって、訂正事項1-2は、誤記の訂正を目的とするものである。
イ 新規事項
前記アのとおり、訂正事項1-2は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に存在した誤記について、本件特許明細書等全体の記載から定まる正しい記載にする訂正であるが、本件特許明細書等の記載内容は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許当初明細書等」という。)の記載と同内容である。
よって、訂正事項1-2は、本件特許当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更
前記アのとおり、訂正事項1-2は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に存在した誤記について、本件特許明細書等全体の記載から定まる正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3) 訂正事項1-3
ア 訂正の目的
訂正事項1-3は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「掃除機据置台の重心が前記ベース側に位置する」との記載について、掃除機据置台の重心がどこに位置するのかが判然とせず、掃除機据置台の重心についてどのような事項を特定しようとしているのかが明瞭でなかったため、当該記載を「掃除機据置台の重心が前記ベースの内部に位置する」として明瞭にする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項
(ア) 本件特許明細書には、以下の記載がある。
a 「【0031】
また、補助ベースを利用して、掃除機据置台の重心を床面に近く形成することによって、掃除機据置台の安定性を向上させることができる。」
b 「【0078】
図11を参照すると、本発明の他の実施例に係る掃除機据置台20は、掃除機を充電するための充電台本体110と、前記充電台本体110と連結されてこれを支持するための支持台220および床面に支持されて前記支持台220の下部に結合されるベース400を含む。」
c 「【0082】
図12ないし図14を参照すると、前記ベース400は、上部カバー410と、下部カバー420および内部ベース430とを含む。前記下部カバー420は、前記上部カバー410の下側に備えられ、前記内部ベース430は、前記上部カバー410と前記下部カバー420との間に備えられる。」
d 「【0095】
前記内部ベース430は、前記本体部431に結合される補助ベース435をさらに含むことができる。前記補助ベース435は、前記本体部431の前方に結合され得る。
【0096】
前記補助ベース435は、掃除機据置台20の他の構成要素に比べて密度が大きい材質からなることがあり、前記内部ベース430の重心は、前記補助ベース435側に形成され得る。・・・
【0097】
・・・前記掃除機300は、図4に示されたように、前記掃除機据置台20の上部に結合されるので、掃除機据置台20(余分のバッテリーを含むことができる)と、前記掃除機300の結合体の重心が上側前方に傾いて安定性が低下することがあるが、前記補助ベース435により掃除機据置台20と、前記掃除機300の結合体の重心が床面と隣接するように位置することがあるので、掃除機据置台20と、前記掃除機300の結合体の安定性が向上し得る。」
(イ) 前記(ア)b及びdの【0097】の記載から、掃除機据置台20が、上下方向でみて上から充電台本体110、支持台220、ベース400の順に配置されて連結・結合されたものであり、最上部に位置する充電台本体110に掃除機が結合され、最下部に位置するベース400が床面に支持されることが理解でき、前記(ア)a、c及びdの記載から、ベース400が、掃除機据置台20の他の構成要素に比べて密度が大きい材質からなる補助ベース435を内部に備え、この補助ベース435を利用して、掃除機据置台20の重心を床面に近く形成することや、掃除機据置台20の最上部に位置する充電台本体110に掃除機300を結合した状態でも結合体の重心が床面と隣接するように位置することが理解できる。
そして、掃除機据置台20では、床面に支持されるベース400の内部に、全ての構成要素に比べて密度が大きい材質からなる補助ベース435を備え、この補助ベース435を利用して、掃除機据置台20のみの状態だけでなく、掃除機据置台20の最上部の充電台本体110に重量物である掃除機300を結合した状態でも全体の重心が床面と隣接するのであるから、掃除機据置台20の重心がベース400の内部に位置することは明らかである。
(ウ) よって、訂正事項1-3は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更
前記アのとおり、訂正事項1-3は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における明瞭でない記載を、本件特許明細書等の記載に基づいて明瞭にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4) 訂正事項2
訂正事項2は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5) 訂正事項3及び4
訂正事項3及び4は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10が本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1のみを引用するものであったものを、訂正事項2により本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10が削除されることに伴い、請求項11及び12が引用する請求項を、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1に変更する訂正である。
ここで、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1と、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10を対照すると、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10に記載されていた「上部カバー」が「前記支持台の外周面を支持する」との事項、及び「下部カバー」が「前記支持台の内周面を支持する」との事項について、本件特許明細書等の記載に基づき、さらに構成が限定されたものとなっている。
よって、訂正事項3及び4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6) 訂正事項5~7
訂正事項5~7は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7~9における「前記ネック部」との記載について、「前記内部ベースの前記ネック部」と訂正することで、当該記載が、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1における「下部カバー」の「ネック部」ではなく、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6における「内部ベース」の「ネック部」を指すことを明らかにする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~9、11~15に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明15」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~9、11~15に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
掃除機据置台であって、
掃除機のバッテリーを充電するための充電端子が備えられる充電台本体と、
前記充電台本体と連結される支持台と、
前記支持台の少なくとも一部分を囲む内部ベースと、前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記内部ベース及び前記支持台の外周面の少なくとも一部分を囲む上部カバーと、前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、ネック部を備え、前記ネック部が前記支持台の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支持台の開口の内周面と接触する下部カバーと、が備えられ、床面に支持されて前記支持台と連結されたベースと、を備えてなり、
前記内部ベースは、前記支持台と結合する本体部と、前記本体部の前方部に結合される補助ベースとを備え、
掃除機据置台の重心が前記ベースの内部に位置する、掃除機据置台。
【請求項2】
前記ベースの重心が前記補助ベース側に位置する、請求項1に記載の掃除機据置台。
【請求項3】
前記補助ベースは、前記本体部より密度が大きい材質で形成される、請求項2に記載の掃除機据置台。
【請求項4】
前記補助ベースは、金属材質で形成され、
前記支持台と前記本体部は、プラスチック材質で形成される、請求項3に記載の掃除機据置台。
【請求項5】
前記ベースの重心は、前記ベースの前後の長さを二等分する線の前方に位置する、請求項1に記載の掃除機据置台。
【請求項6】
前記内部ベースは、前記本体部から上側に延長されて前記支持台の下端部の少なくとも一部分を囲むネック部を備えてなる、請求項1に記載の掃除機据置台。
【請求項7】
前記内部ベースの前記ネック部の内周面は、前記支持台の外周面と少なくとも一部分において面接触することを特徴とする、請求項6に記載の掃除機据置台。
【請求項8】
前記支持台には、前記内部ベースの前記ネック部と結合するための締結ユニットが備えられる、請求項6に記載の掃除機据置台。
【請求項9】
前記締結ユニットは、突起を備えてなり、
前記突起には、前記支持台の内側に選択的に出入りできるようにする弾性部材が連結され、
前記内部ベースの前記ネック部には、前記突起が挿入されるための結合部が備えられる、請求項8に記載の掃除機据置台。」
「【請求項11】
前記上部カバーと前記下部カバーは、プラスチックで形成される、請求項1に記載の掃除機据置台。
【請求項12】
前記内部ベースには、結合孔が形成され、
前記上部カバーには、前記結合孔に挿入される上部結合部材が備えられ、
前記下部カバーには、前記結合孔に挿入される下部結合部材が形成される、請求項1に記載の掃除機据置台。
【請求項13】
前記本体部には、前記補助ベースに挿入される結合突起が備えられる、請求項12に記載の掃除機据置台。
【請求項14】
前記結合突起には、前記結合孔が備えられる、請求項13に記載の掃除機据置台。
【請求項15】
前記補助ベースに前記結合孔が備えられる、請求項12に記載の掃除機据置台。」
第4 取消理由の概要
1 令和4年6月20日付け取消理由通知書に記載した取消理由について
本件特許の請求項1~15に係る特許に対して、当審が令和4年6月20日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1) 取消理由1(明確性)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものである。
ア 請求項1における「前記支持台の少なくとも一部分を囲む内部ベースが備えられ、底面に支持されて前記支持台と連結されたベース」との記載について、「底面」が何の底面を指すのかが明らかでなく、当該記載により特定される「支持台」の構成が不明確となっている。
イ 請求項1における「掃除機据置台の重心が前記ベース側に位置する」との記載は、掃除機据置台の重心のどのような位置配置(上下方向位置、前後方向位置、三次元の位置等)を特定しようとしているのかが不明であり、請求項1には、充電台本体、支持台及びベースの配置に関して何らの特定もないことと相俟って、著しく不明確である。
(2) 取消理由2(進歩性)
請求項1~12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証及び甲第4号証に示される周知技術に基いて、本件特許に係る出願の優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2015-134131号公報
甲第2号証:実願昭60-48401号(実開昭61-164894号)のマイクロフィルム
甲第3号証:実願昭52-62854号(実開昭53-157568号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実願昭54-74479号(実開昭55-174850号)のマイクロフィルム
(以下、各甲号証を「甲1」等と略して記載する。)
2 令和4年12月9日付け取消理由通知書に記載した取消理由について
令和4年11月8日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の本件訂正前の請求項1~9、11~15に係る特許に対して、当審が令和4年12月9日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
・取消理由(明確性)
本件発明1~9、11~15に係る特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
請求項1には、「前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、前記支持台の内周面を向けて突出形成され、前記内周面に少なくとも一部が挿入される下部カバー」と記載されているが、「支持台の内周面を向けて突出形成され、前記内周面に少なくとも一部が挿入される」との表現により、下部カバーについてどのような構造を備えることを特定しようとしているのかが明確でない。
第5 甲号証の記載
1 甲1
(1) 甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0027】
電気掃除機本体1は、スティック本体2と、スティック本体2の下部に位置しスティック本体2に対し着脱自在である吸口体3と、スティック本体2の中央部にスティック本体2に対し着脱自在であるハンディ本体5と、電源ボタンA7を有しスティック本体2の上部に位置しスティック本体2に対し折りたたみ自在なスティックハンドル4とを備える。・・・
【0028】
・・・
【0029】
ハンディ本体5には電動送風機17と蓄電池18が内包され、使用者が電源ボタンA7を操作すると、電動送風機17が作動して吸引力を発生する。吸口体3から吸込まれた塵埃を含む空気は、スティック本体2の流路20を通過し、ハンディ本体入口管21からハンディ本体5に流入し、後述するダストケース12により塵埃が捕集されたのち、排気口106から排気される。スティック本体2の後面には、スティック端子A19を備え、充電台6から蓄電池18に電気を供給することができる。」
イ 「【0035】
充電台6は、ベース部25、スタンド部26から構成され、スタンド部26はベース部25に対し着脱自在となっている。なお、ベース部25とスタンド部26は着脱自在でなくてもよいが、収納性・梱包性を高めるため、着脱自在であることが望ましい。
【0036】
ベース部25は、後面には電源コード27を備え、内部には充電基板33を有する。スタンド部26前面には充電台端子28を2つ備え、スティック本体2の後面に備えたスティック端子A19と導通し、後述するハンディ本体5の端子と導通することにより、蓄電池18へ充電ができる。
【0037】
スタンド部26には接続ピン35、ベース部25には接続ピン35を受ける接続端子36を備え、ベース部25とスタンド部26を接続した際に導通する。
【0038】
スタンド部26前面には本体固定突起29を備え、充電台端子25とスティック端子A9が導通した状態で固定できる。充電台6は、電源コード27を接続せず、蓄電池18の充電を行わない場合でも、電気掃除機本体1を収納する際のスタンドとして使用することができる。ベース部25内部にはおもり34を備え、本体を固定した際倒れにくいという効果を奏する。
【0039】
・・・
【0040】
また、スタンド部26の後面には壁固定用ボス31を備え、ネジを使用して充電台6を壁に固定することができる。これにより、電気掃除機を床置き状態で収納するのではなく、壁固定状態で収納することが可能となる。」
ウ 甲1には、下に示す【図3】(上側の2つの図)及び【図4】(下側の図)が記載されている。
[図:0001398241000002.jpg]
[図:0001398241000003.jpg]
(2) 甲1の記載から理解できる事項
エ 前記ウの【図3】及び【図4】の図示内容から、充電台6のスタンド部26は、幅広形状の「スタンド部26の上側部分」と、その下方に連なって設けられた「スタンド部26の下側部分」からなることが看取でき、前記アの【0027】、【0029】、前記イの【0035】~【0036】の記載、及び前記ウの【図3】の図示内容から、「スタンド部26の上側部分」には、電気掃除機本体1の蓄電池18を充電するための充電台端子28が備えられることが理解できる。
オ 前記イの【0038】及び【0040】の記載から、ベース部25は、床に置かれることが理解でき、前記ウの【0035】の記載とともに、【図3】の充電台6の外観斜視図及び後方斜視図と、【図4】の充電台6の分解図とをあわせ見れば、ベース部25には、接続端子36等を有する「凹陥部分が設けられた部位」が備えられ、この「凹陥部分が設けられた部位」が、「スタンド部26の下側部分」の下端を取り囲むようにして「スタンド部26の下側部分」の下端と着脱自在に接続されることが理解できる。
カ 前記ウの【図4】の図示内容から、おもり34が「凹陥部分が設けられた部位」から所定距離隔てた前方に配置されていることが看取できる。
キ 前記ウの【図3】及び【図4】の図示内容から、ベース部25が、上面、底面及び側面が全て外壁で覆われ、内部に充電基板33やおもり34を収容する空間が形成された構造であることが看取される。
(3) 甲1に記載された発明
上記ア~キの事項を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「充電台6であって、
電気掃除機本体1の蓄電池18を充電するための充電台端子28が備えられるスタンド部26の上側部分と、
前記スタンド部26の上側部分に連なって設けられたスタンド部26の下側部分と、
前記スタンド部26の下側部分の下端を取り囲むようにして前記スタンド部26の下側部分の下端と接続される凹陥部分が設けられた部位とおもり34が備えられ、床に置かれ、前記スタンド部26の下側部分と着脱自在に接続されるベース部25と、を備えてなり、
前記凹陥部分が設けられた部位が前記スタンド部26の下側部分と着脱自在に接続され、前記おもり34が前記凹陥部分が設けられた部位から所定距離隔てた前方に配置され、
前記ベース部25が、上面、底面及び側面が全て外壁で覆われ、内部に充電基板33やおもり34を収容する空間が形成された構造である、充電台6」
2 甲2
(1) 甲2の記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
ア 「(イ) 産業上の利用分野
本考案は、扇風機、電気スタンド等の機器のスタンドに関する。」(明細書第1頁第17~19行)
イ 「(ハ) 考案が解決しようとする問題点
本考案はスタンドを構成する基台と支柱と装飾体との連結を簡単な構造でもってガタツキのない構造とするものである。」(明細書第2頁第10~13行)
ウ 「前記スタンド(2)は前記電動機部(5)の速度制御を行う押ボタンスイッチ(8)と時間制御を行うタイマ(9)とを内装した基台(10)と、該基台(10)に突設する別体の支柱(11)と、前記基台(10)の前記押ボタンスイッチ(8)とタイマ(9)の操作部(12)の周囲上面を被う合成樹脂製装着体(13)(当審注:「装飾体(13)」の誤記と認める。)とよりなる。前記基台(10)は合成樹脂製上ケース(14)と合成樹脂製下ケース(15)とよりなる。前記支柱(11)は合成樹脂製筒体(16)と該筒体(16)内に支持される金属枠体(17)と前記ネックピース(3)を枢支する二叉部(18)を形成した合成樹脂製連結保持体(19)とよりなる。」(明細書第3頁第15行~第4頁第5行)
エ 「前記上ケース(14)の中央には前記支柱(11)の下部が挿入される凹部(20)を形成している。・・・」(明細書第4頁第14~15行)
オ 「前記装飾体(13)の前記凹部(20)に対応する部分には前記支柱(11)の外形寸法に略一致する挿通穴(29)と、前記凹部(20)内面に沿って垂下される垂下体(30)を形成している。・・・」(明細書第5頁第12~15行)
カ 「・・・前記下ケース(15)には前記凹部(20)の下部を支持する凹所状支持部(42)を形成している。該支持部(42)には前記支柱(11)に捩じ込まれる螺子(43)の挿通孔(44)を形成している。・・・」(明細書第7頁第3~6行)
キ 「・・・前記上ケース(14)の凹部(20)底壁の前記挿通孔(44)に対する部分には前記螺子(43)が挿通するボス(49)を突設している。」(明細書第7頁第13~15行)
ク 「前記支柱(11)の金属枠体(11)は板金をコ字型に折曲し、端縁に各端縁より端部を塞ぐ如く折曲片(50)を折り重ねる。該折り重ねた折曲片(50)の最内側折曲片(50)には螺子穴(51)を形成し、他の折曲片(50)には螺子挿通孔(52)を形成する。前記金属枠体(17)の下端には前記ボス(49)が当接し、前記螺子(43)を前記螺子穴(51)に捩じ込んで、前記金属枠体(17)を前記基台(10)に固定する。・・・」(明細書第7頁第16行~第8頁第3行)
ケ 「・・・前記垂下体(30)を凹部(20)に垂下し、前記支柱(11)を挿入すると、該支柱(11)の押し込みにより前記垂下体(30)は拡がり前記凹部(20)内面に密着する。・・・」(明細書第10頁第8~10行)
コ 甲2には、第3図~第5図として、下図が記載されている。
[図:0001398241000004.jpg]
(2) 甲2に記載された技術的事項
上記ア~コの事項を総合すると、甲2には、次の技術的事項(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
(甲2技術)
「扇風機、電気スタンド等の機器のスタンド(2)であって、
上ケース(14)と下ケース(15)とよりなる基台(10)と、筒体(16)と該筒体(16)内に支持される金属枠体(17)を有する支柱(11)と、装飾体(13)とからなり、
上ケース(14)には、凹部(20)を形成するとともに、該凹部(20)底壁には螺子(43)が挿通するボス(49)を突設してなり、
下ケース(15)には、上ケース(14)の凹部(20)の下部を支持する凹所状支持部(42)を形成するとともに、該支持部(42)に支柱(11)に捩じ込まれる螺子(43)の挿通孔(44)を形成してなり、
装飾体(13)には、支柱(11)の外形寸法に略一致する挿通穴(29)と、上ケース(14)の凹部(20)内面に沿って垂下される垂下体(30)を形成してなる、スタンド(2)において、
装飾体(13)の垂下体(30)を上ケース(14)の凹部(20)に垂下し、支柱(11)を挿入すると、該支柱(11)の押し込みにより装飾体(13)の垂下体(30)は拡がり上ケース(14)の凹部(20)内面に密着し、支柱(11)の金属枠体(17)の下端には上ケース(14)のボス(49)が当接し、螺子(43)を下ケース(15)の挿通孔(44)から支柱(11)の螺子穴(51)に捩じ込んで、支柱(11)の金属枠体(17)を基台(10)に固定すること」
第6 当審の判断
1 令和4年6月20日付け取消理由通知書に記載した取消理由について
(1) 取消理由1(明確性)について
訂正事項1-2により、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「底面に支持されて」との記載が、「床面に支持されて」と訂正されたことで、請求項1に係る発明において、「ベース」が「底面」に支持されることが明確となった。
また、訂正事項1-3により、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記ベース側に位置する、」との記載が、「前記ベースの内部に位置する、」と訂正されたことで、請求項1に係る発明において、「掃除機据置台の重心」が「ベースの内部」に位置することが明確となった。
よって、取消理由1(明確性)は解消した。
(2) 取消理由2(進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア) 対比
a 本件発明1と甲1発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1発明における「充電台6」は本件発明1における「掃除機据置台」に相当し、以下同様に、「電気掃除機本体1の蓄電池18」は「掃除機のバッテリー」に、「充電台端子28」は「充電端子」に、「スタンド部26の上側部分」は「充電台本体」に、「スタンド部26の上側部分に連なって設けられた」は「充電台本体と連結される」に、「スタンド部26の下側部分」は「支持台」に、それぞれ相当する。
b 甲1発明における「スタンド部26の下側部分の下端を取り囲むようにして前記スタンド部26の下側部分の下端と接続される」は本件発明1における「支持台の少なくとも一部分を囲む」に相当し、以下同様に、「凹陥部分が設けられた部位」と「おもり34」を合わせたものは「内部ベース」に、「床に置かれ」は「床面に支持されて」に、「着脱自在に接続される」は「連結された」あるいは「結合する」に、「ベース部25」は「ベース」に、「凹陥部分が設けられた部位」は「本体部」に、「おもり34」は「補助ベース」に、それぞれ相当する。
c 甲1発明における「凹陥部分が設けられた部位」と「おもり34」とが、何らかの手段により少なくとも間接的に結合されてベース部材25として一体化されていることは、技術常識から明らかであるから、甲1発明における「おもり34が前記凹陥部分が設けられた部位から所定距離隔てた前方に配置され」は、本件発明1の「前記本体部の前方部に結合される補助ベース」に相当する。
d 前記bのとおり、甲1発明における「凹陥部分が設けられた部位」と「おもり34」を合わせたものが本件発明1における「内部ベース」に相当することを踏まえると、甲1発明における「前記凹陥部分が設けられた部位が前記スタンド部26の下側部分と着脱自在に接続され、前記おもり34が前記凹陥部分が設けられた部位から所定距離隔てた前方に配置され」との事項は、本件発明1における「前記内部ベースは、前記支持台と結合する本体部と、前記本体部の前方部に結合される補助ベースとを備え」との事項に相当する。
以上の対比を総合すると、本件発明1と甲1発明とは、
「掃除機据置台であって、
掃除機のバッテリーを充電するための充電端子が備えられる充電台本体と、
前記充電台本体と連結される支持台と、
前記支持台の少なくとも一部分を囲む内部ベースが備えられ、床面に支持されて前記支持台と連結されたベースと、を備えてなり、
前記内部ベースは、前記支持台と結合する本体部と、前記本体部の前方部に結合される補助ベースとを備える、掃除機据置台。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本件発明1では、ベースが「前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記内部ベース及び前記支持台の外周面の少なくとも一部分を囲む上部カバーと、前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、ネック部を備え、前記ネック部が前記支持台の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支持台の開口の内周面と接触する下部カバーと」を備えるのに対して、甲1発明では、ベース部25が「上面、底面及び側面が全て外壁で覆われ、内部に充電基板33やおもり34を収容する空間が形成された構造」である点。
(相違点2)
本件発明1では、「掃除機据置台の重心が前記ベースの内部に位置する」のに対して、甲1発明では、充電台6の重心の位置が不明である点。
(イ) 判断
相違点1について検討する。
甲1発明では、ベース部25が「上面、底面及び側面が全て外壁で覆われ、内部に充電基板33やおもり34を収容する空間が形成された構造」であり、このような内部空間を備えた外壁構造は複数の部材を組合せて作製されることは技術常識でもあるものの、甲1の記載全体をみても、ベース部25を「スタンド部26の下側部分(支持台)の少なくとも一部分を囲む内部ベースと、前記内部ベースの上側で前記内部ベースと結合され、前記内部ベース及び前記スタンド部26の下側部分(支持台)の外周面の少なくとも一部分を囲む上部カバーと、前記内部ベースの下側で前記内部ベースと結合され、ネック部を備え、前記ネック部が前記スタンド部26の下側部分(支持台)の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記スタンド部26の下側部分(支持台)の開口の内周面と接触する下部カバーと」を備える構成とする動機付けとなり得る記載も示唆も見あたらない。
甲2には、前記「第5」2(2)で認定したとおりの甲2技術が記載されているが、甲2技術は、扇風機、電気スタンド等の機器のスタンドに関する技術であり、電気掃除機の充電台に係る発明である甲1発明とは、技術分野、前提となる構成及び解決しようとする課題が大きく異なるから、甲1発明に甲2技術を適用する動機付けはない。
また、仮に甲1発明に、甲2技術が適用できたとしても、甲2技術においては、下ケース(本件発明1における「下部カバー」に相当する部材)と支柱(本件発明1における「支持台」に相当する部材)との接続を、螺子の螺子穴への捩じ込みで行っており、甲2には、下ケースが「ネック部を備え、前記ネック部が支柱の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支柱の開口の内周面と接触する」ことは記載されていないから、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項のうち、下部カバーが「ネック部を備え、前記ネック部が前記支持台の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支持台の開口の内周面と接触する」との構成には至らない。
さらに、甲3及び甲4にも、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項についての開示や示唆はない。
そして、本件発明1は、「前記支持台の少なくとも一部分を囲む内部ベース」と、「前記内部ベース及び前記支持台の外周面の少なくとも一部分を囲む上部カバー」と、「ネック部を備え、前記ネック部が前記支持台の開口に挿入され、前記ネック部の外周面が前記支持台の開口の内周面と接触する下部カバー」という、複数の支持構造を備えることによって、「前記支持台220の安定性が向上し、前記支持台220と前記ベース400の連結部が損傷することを防止することができる。これに伴い、掃除機据置台20は、前記掃除機300をより安定的に据え置くことができる。」(本件特許明細書等の段落【0117】)という効果を奏するものである。
してみれば、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は、当業者といえども、甲1発明に基づき、さらには甲2~4に記載された事項を考慮しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~9、11~15について
本件発明2~9、11~15は、本件発明1の全ての構成を含み、かつ、さらに限定を加えたものであるから、前記ア(イ)と同じ理由により、本件発明2~9、11~15は、甲1発明、及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3) まとめ
したがって、本件発明1~9、11~15に係る特許は、特許法第29条第2項及び同法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものではないから、令和4年6月20日付け取消理由通知書に記載した取消理由によって取り消すことはできない。
2 令和4年12月9日付け取消理由通知書に記載した取消理由について
本件訂正後の請求項1には、「前記支持台の内周面を向けて突出形成され、前記内周面に少なくとも一部が挿入される下部カバー」との記載はないため、当該記載に起因する明確性の取消理由は解消した。
また、本件訂正後の請求項1には、他に不明確な記載はない。
したがって、本件発明1~9、11~15に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものではないから、令和4年12月9日付け取消理由通知書に記載した取消理由によって取り消すことはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由によっては、請求項1~9、11~15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~9、11~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項10は、本件訂正により削除され、これにより、請求項10に係る特許に対する申立人による特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-700207