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特許異議申立

2025-700464

吸込具及び電気掃除機

審判番号
2025-700464
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-196234
登録番号
7593686
請求日
2025年04月24日
審決日
2026年01月30日
公報発行日
2026年04月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】アイリスオーヤマ株式会社
  • 【権利者代理人】原田 淳司
  • 【権利者代理人】奥山 裕治
  • 【異議申立人】▲徳▼田 久子
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 窪田 治彦
  • 審判官 長馬 望
分類
P1651.113-YAA(A47L) / P1651.121-YAA(A47L) / P1651.537-YAA(A47L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
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特許第7593686号発明「吸込具及び電気掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7593686号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 特許第7593686号の請求項1~3、5に係る特許を維持する。 特許第7593686号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概略 特許第7593686号の請求項1~5に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は、概ね、次のとおりである。 令和 5年11月17日 出願 令和 6年11月25日 特許権の設定登録 令和 6年12月 3日 特許掲載公報 令和 7年 4月24日 特許異議申立人▲徳▼田久子による特許 異議の申立て 令和 7年 8月27日付け 取消理由通知書 令和 7年10月28日 特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出 令和 7年12月 5日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知) 令和 8年 1月 5日 特許異議申立人による意見書の提出 以下、令和7年10月28日付け訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は、特許第7593686号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「清掃体を有する回転清掃体と、 前記回転清掃体を回転させるための駆動源である駆動部と、 前記回転清掃体が回転可能に配される回転清掃体室を有する吸込具本体と を備える電気掃除機の吸込具において、 前記吸込具本体は、 底側に配された吸込口と、 前記回転清掃体の軸線方向における中央側に位置するとともに、前記軸線方向と直交する方向において前記回転清掃体の軸線より後側に位置する連通口と、 前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記清掃体と接触する突出体とを有し、 前記突出体は、その延伸方向と前記軸線方向とが交差するよう延びているとともに、前記軸線方向について前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって、前後方向における後側の端よりも前側の端の方が前側に存在し、 前記後側の端は、前記軸線方向について、前記連通口よりも一方側であって、前記回転清掃体室の前記中央と比べて前記一端の近くに位置し、 前記前側の端は、前記一端と比べて、前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前記前後方向に延伸する仮想線の近くに位置し、 前記突出体は、前記後側の端から前記前側の端まで連続して延びている、 吸込具。」 と記載されているのを、 「清掃体を有する回転清掃体と、 前記回転清掃体を回転させるための駆動源である駆動部と、 前記回転清掃体が回転可能に配される回転清掃体室を有する吸込具本体と を備える電気掃除機の吸込具において、 前記吸込具本体は、 底側に配された吸込口と、 前記回転清掃体の軸線方向における中央側に位置するとともに、前記軸線方向と直交する方向において前記回転清掃体の軸線より後側に位置する連通口と、 前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記回転清掃体と接触する突出体とを有し、 前記突出体は、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう延伸方向が前記軸線方向と交差し、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び、 前記一端側にある前記突出体の後端は、前記軸線方向について、前記連通口よりも一方側であって、前記回転清掃体室の前記中央と比べて前記一端の近くに位置し、 前記中央側にある前記突出体の前端は、前記一端と比べて、前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線の近くに位置し、 前記突出体は、前記後端から前記前端まで連続して延びており、 前記突出体は、前記軸線方向において、前記連通口の端より中央側に位置する第1部分と、前記軸線方向において、前記連通口より端側に位置する第2部分とを有し、 前記第1部分よりも前記第2部分の方が長い、 吸込具。」 に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2、3、5も同様に訂正する。)。 なお、訂正事項1のうち、 ・「前記吸込具本体は、 底側に配された吸込口と、 前記回転清掃体の軸線方向における中央側に位置するとともに、前記軸線方向と直交する方向において前記回転清掃体の軸線より後側に位置する連通口と、 前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記回転清掃体と接触する突出体とを有し」 との訂正事項を、訂正事項1-1といい、 ・「前記突出体は、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう延伸方向が前記軸線方向と交差し、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び、 前記一端側にある前記突出体の後端は、前記軸線方向について、前記連通口よりも一方側であって、前記回転清掃体室の前記中央と比べて前記一端の近くに位置し、 前記中央側にある前記突出体の前端は、前記一端と比べて、前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線の近くに位置し」 との訂正事項を、訂正事項1-2といい、 ・「前記突出体は、前記後端から前記前端まで連続して延びており、 前記突出体は、前記軸線方向において、前記連通口の端より中央側に位置する第1部分と、前記軸線方向において、前記連通口より端側に位置する第2部分とを有し、 前記第1部分よりも前記第2部分の方が長い、」 との訂正事項を、訂正事項1-3という。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に、 「前記回転清掃体の回転軸を通り且つ重力方向と平行な仮想平面に前記突出体が交差するよう延びている 請求項1に記載の吸込具。」 と記載されているのを、 「前記回転清掃体の回転軸を通り且つ重力方向と平行な仮想平面に前記突出体が交差するよう延びている、 請求項1に記載の吸込具。」 に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に、 「請求項1~4の何れか1項に記載の吸込具を備えることを特徴とする、 電気掃除機。」 と記載されているのを、 「請求項1~3の何れか1項に記載の吸込具を備えることを特徴とする、 電気掃除機。」 に訂正する。 (5) 訂正前の請求項1~5は、請求項2~5が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあり、訂正前の請求項3、5は、請求項5が、訂正の請求の対象である請求項3の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、訂正前の請求項〔1~5〕という一群の請求項ごとに請求されたものである。 2 本件訂正の適否について (1) 訂正事項1について ア 訂正事項1-1について (ア) 訂正の目的 訂正事項1-1に係る本件訂正は、「突出体」が「回転清掃体」と接触するものであることを明確に特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 新規事項の追加の有無 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、 ・「吸込具本体6は、回転清掃体室6bの壁から突出して回転清掃体4(清掃体42)と接触する突出体6dを有する。」(【0017】) と記載(下線は、当審で付与した。以下同様。)されているから、訂正事項1-1に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 (ウ) 訂正事項1-1に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された事項を明確にするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 イ 訂正事項1-2について (ア) 訂正の目的 訂正事項1-2に係る本件訂正は、明確性要件違反に係る取消理由を解消するために、「突出体」の形状、構造を明確に特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 新規事項の追加の有無 本件特許明細書等には、次の記載がある。 ・「突出体6dは、図5の(a),(b)に示すように、上壁6j(回転清掃体室6bの内壁)から下方又は回転清掃体4に向かってリブ状に突出する。具体的には、突出体6dは、回転清掃体4の軸線方向について一端側から中央側に向かうにしたがって、前後方向における後側の端6d2よりも前側の端6d1の方が前側に存在するよう延びており、その延伸方向と回転清掃体4の軸線方向とが交差している。なお、後側の端を後端とし、前側の端を前端とする。 異なる表現をすれば、突出体6dは、回転清掃体4の軸線方向において一端側から中央側に向かうにつれて、連通口6cの開口縁を含む仮想平面P(図2、図3参照)に対して前側に遠ざかるよう傾斜して延伸している。」(【0017】) ・「突出体6dは、図5の(a),(b)に示すように、左右方向において、その端側から中央側に向かうにつれて、前後方向において連通口6cから遠ざかるよう延伸している。つまり、図5の(a)に示すように下方側(吸込口6a側)から見た場合、回転清掃体4の軸線L5に対して傾斜し、突出体6dにおける左右方向の端(後端6d2)が、左右方向の中央側の端(前端6d1)よりも後側にある。これにより、突出体6dがない場合に生じていた、回転清掃体4の軸線方向の端側において、塵埃が回転清掃体4の回転によりその場所で回転し続けて連通口6c側に移動しない(溜まる)ようなことを軽減することができる。 突出体6dは、下方から見ると、直線状に延伸している。ここでの「直線状」とは、平面視で1以上の凸と1以上の凹みとの両方を有しないことを意味する。換言すると、極値を持たないことをいい、突出体6dの接線の傾きが正から負に逆転する極大値や、負から正に逆転する極小値を有しないことをいう。これにより、スムーズに塵埃を前側に移動させることができる。」(【0019】) ・「各突出体2006dは、回転清掃体4の軸線方向の端側から中央側に向かうにつれて前後方向を連通口2006cから遠ざかるよう(前後方向を前側に移るよう)傾斜して延伸している。」(【0032】) ・「 [図:0001434163000001.jpg] 」(図5) これらの記載を総合すると、訂正事項1-2に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 (ウ) 訂正事項1-2に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された事項を明確にするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項1-3について (ア) 訂正の目的 訂正事項1-3に係る本件訂正は、「突出体」の長さを特定するとともに、「前端」、「後端」に関し、訂正事項1-2の訂正内容と整合させるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ) 新規事項の追加の有無 本件特許明細書等には、 ・「前記突出体は、前記軸線方向において、前記連通口の端より中央側に位置する第1部分と、前記軸線方向において、前記連通口より端側に位置する第2部分とを有し、 前記第1部分よりも前記第2部分の方が長い 請求項1に記載の吸込具。」(【請求項4】) ・「1つの突出体6dは、左右方向において、上下方向(ここでは下方である)から見たときに、連通口6c(連通口6cの左右方向の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線L4)よりも中央側に位置する第1部分6d3と、連通口6cよりも端側に位置する第2部分6d4とを有している。ここでは、第2部分6d4の方が第1部分6d3よりも長い。」(【0020】) と記載されているから、訂正事項1-3に係る本件訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 (ウ) 訂正事項1-3に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された事項を減縮するとともに、明確にするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2に係る本件訂正は、引用する請求項1との関係の記載の仕方について、他の請求項との整合を図り、より明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項2に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項3に記載された事項をより明確にするものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (3) 訂正事項3について 訂正事項3に係る本件訂正は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3に係る本件訂正は、請求項4を削除するものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (4) 訂正事項4について 訂正事項4に係る本件訂正は、請求項5において引用する請求項のうち請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4に係る本件訂正は、引用する請求項を削除するものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (5) まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであって、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。 そして、請求項1~3、5に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~3、5に記載された事項により特定されるとおりのものである。以下、請求項1~3、5に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などという。 「【請求項1】 清掃体を有する回転清掃体と、 前記回転清掃体を回転させるための駆動源である駆動部と、 前記回転清掃体が回転可能に配される回転清掃体室を有する吸込具本体と を備える電気掃除機の吸込具において、 前記吸込具本体は、 底側に配された吸込口と、 前記回転清掃体の軸線方向における中央側に位置するとともに、前記軸線方向と直交する方向において前記回転清掃体の軸線より後側に位置する連通口と、 前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記回転清掃体と接触する突出体とを有し、 前記突出体は、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう延伸方向が前記軸線方向と交差し、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び、 前記一端側にある前記突出体の後端は、前記軸線方向について、前記連通口よりも一方側であって、前記回転清掃体室の前記中央と比べて前記一端の近くに位置し、 前記中央側にある前記突出体の前端は、前記一端と比べて、前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線の近くに位置し、 前記突出体は、前記後端から前記前端まで連続して延びており、 前記突出体は、前記軸線方向において、前記連通口の端より中央側に位置する第1部分と、前記軸線方向において、前記連通口より端側に位置する第2部分とを有し、 前記第1部分よりも前記第2部分の方が長い、 吸込具。 【請求項2】 前記突出体は、前記回転清掃体の回転方向に沿って湾曲した湾曲形状部を有する、 請求項1に記載の吸込具。 【請求項3】 前記回転清掃体の回転軸を通り且つ重力方向と平行な仮想平面に前記突出体が交差するよう延びている、 請求項1に記載の吸込具。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 請求項1~3の何れか1項に記載の吸込具を備えることを特徴とする、 電気掃除機。」 第4 取消理由の概要 1 本件訂正前の本件特許に対し通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。 (1) 取消理由1(明確性) 本件特許は,特許請求の範囲の記載が次の点で不備のため、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。 すなわち、請求項1に、「前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記清掃体と接触する突出体とを有し」、「前記突出体は、その延伸方向と前記軸線方向とが交差するよう延びているとともに、前記軸線方向について前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって、前後方向における後側の端よりも前側の端の方が前側に存在し」と記載されているが、その意味するところが不明であるから、「突出体」の形状、構造を明確に特定することができない。 (2) 取消理由2(サポート要件) 本件特許は,特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。 すなわち、本件発明1~5において、「突出体」として、極値があるような曲線を有するものも含まれるものと認められ、課題を解決することができないものを含んでいると認められるから、出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは認められない。 (3) 取消理由3(新規性) 本件発明1~3、5は,本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証(下記2)に記載された発明であって,特許法29条1項3号に該当するから、請求項1~3、5に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 (4) 取消理由4(進歩性) 本件発明1~3、5は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証~甲第3号証(下記2)に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3、5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 2 証拠方法 特許異議申立人が提出した証拠方法は以下のとおりである。なお、以下、証拠番号に従い、「甲1」などという。 甲1:特開2022-21731号公報 甲2:特開2010-246848号公報 甲3:特表2022-505409号公報 甲4:特開2017-18413号公報 第5 取消理由1(明確性)について 1 請求項1の記載は前記第3のとおりであるところ、「突出体」に関し、「前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記回転清掃体と接触する突出体とを有し」、「前記突出体は、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう延伸方向が前記軸線方向と交差し、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び、」と記載されている。 このような記載により、まず、「突出体」は「…延び」るものであるから、「突出体」が延びる方向である「延伸方向」が、「前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう」ものであることが分かる。 そして、「突出体」が「前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び」るものであることが分かる。すなわち、本件特許明細書等の記載(【0017】、【0019】、【0034】、図5等)も考慮すると、突出体は、回転清掃体室の一端側に位置する部分よりも、当該一端側に位置する部分よりも中央側に位置する部分の方が、常に、前側に位置する、ように延びるものであることが分かる。 このように、請求項1の記載により、突出体の延伸方向や、突出体が回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがってどのように延伸しているかについて、明確に特定することができないとは認められない。 また、他に、請求項1~3、5に係る発明が明確でないとする理由もない。 2 請求項1の当該記載に関し、特許異議申立人は、 ・実際の突出体は軸線方向に直交する厚み方向の寸法をもつ断面を有するが、当該断面のどの部分が延びる方向が「延伸方向」に相当するのか不明である、曲線状、複数の線分からなる折れ線状の場合、「延伸方向」を一義的に特定することができない、 ・突出体のどの部分がどの位置から前側に遠ざかるのか不明である、遠ざかる起点となる位置が特定されていない、厚み方向のどの部分が、遠ざかるように延びるのかも不明である、 などと主張している(意見書1~4頁)。 しかしながら、実際の突出体が厚みを有するとしても、全体として、延びるものであるといえるような形状、構造である突出体に関し、その「延伸方向」とは、厚み方向の寸法も考慮して突出体全体を見たときに、突出体が、回転清掃室の一端側から中央側に向かって延びる方向と、技術常識的に認識することができる方向をいうこと、その方向が回転清掃体の軸線方向と交差するものであることは明らかであって、請求項の記載が第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとは認められない。 また、突出体が、そのような延伸方向をもつことを前提に、回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延びるものであること、すなわち、回転清掃体室の一端側に位置する部分よりも、当該一端側に位置する部分よりも中央側に位置する部分の方が、常に、前側に位置する、ように延びるものであることは、その記載から理解することができる。 なお、特許異議申立人は、「前記中央側にある前記突出体の前端」(本件訂正前の「前記前側の端」)について、前端から、「前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線」までの軸線方向距離が、一端から当該「仮想線」までの軸線方向距離よりも小さいことが特定されているのみであることを理由に、「前端」の位置が正確に特定されていない旨主張しているが(特許異議申立書9~11頁)、請求項1の記載により、「突出体」の「前端」の位置が明確でないとは認められないから、特許異議申立人の主張は採用することができない。 3 以上のとおりであるから、本件発明1~3、5は明確でないとは認められない。 第6 取消理由2(サポート要件)について 1 本件特許明細書の発明の詳細な説明によれば、本件発明1~3、5は、「回転ブラシが配される前側空間と、連通口が存在する後側空間とを区画する区画壁から回転ブラシ(回転清掃体)に向かって張り出して回転ブラシに接触する張出部とを有した吸込具」では、「回転ブラシの軸線方向において、中央側から端へ離れるほど、連通口への塵埃の取り込みが難しくなるという問題がある。」「つまり、回転ブラシの軸線方向の端側の塵埃が連通口に到達し難く、端側に残りやすい傾向にある。」との問題を踏まえなされた発明で、「軸線方向の端側の塵埃を集塵し易い吸込具及び電気掃除機を実現すること」(【0002】~【0004】)を解決しようとする課題とするものと認められる。 本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載(【0017】、【0019】、【0038】)によれば、本件発明1~3、5において、「突出体」として曲線を有するものも想定されているものと認められるが、本件発明1~3、5は、「突出体」が、「前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう延伸方向が前記軸線方向と交差し、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び」るものであるから、突出体は、回転清掃体室の一端側に位置する部分よりも、当該一端側に位置する部分よりも中央側に位置する部分の方が、常に、前側に位置する、ように延びることになり、突出体が曲線状をしている場合であっても、極値を含まない曲線状となることが分かる。 このように、突出体は極値を含まないものであるから、当該課題を解決することができないものは含まれていないものと認められる。 また、他に、本件発明1~3、5は、発明の詳細な説明に記載されたものでないとする理由は認められない。 2 特許異議申立人は、本件発明1~3、5は、突出体の形状が明確に特定されていないから、課題を解決し得ない態様を明確に除外していない、課題を解決できないような、連通口の中央を跨がるように延びる態様が除外されていない、などと主張している(意見書4~6頁)。 しかしながら、既に述べたとおり(前記第5)、本件発明1~3、5は不明確であるとはいえず、突出体が曲線状をしている場合であっても、極値を含まないから、当該課題を解決することができないものは含まれていないものと認められる。仮に、突出体が、連通口の中央を跨がるように延びる態様であるとしても、突出体を備えないものに比し、所定の作用、効果を奏するものと認められるから、当然に課題を解決することができないとは認められない。 3 以上のとおりであるから、本件発明1~3、5は、発明の詳細な説明に記載されたものでないとは認められない。 第7 取消理由3(新規性)及び取消理由4(進歩性)について 1 甲1に記載された発明 (1) 甲1には、電気掃除機に用いられる吸引ノズル装置が記載されているところ、回転清掃体収納室26の後上部壁71には、第一リブ群72と第二リブ群73が設けられ、第一リブ群72を構成する複数の第一リブ74、第二リブ群73を構成する複数の第二リブ75は、回転清掃体3の回転方向Rの前側から後側に向かうに従って、即ち、回転清掃体収納室26の後方から前方に向かうに従って、回転清掃体収納室26の中央に向かうように傾斜するものである(【0018】、【0019】)。 そして、図3、6において、第一リブ群72の第一リブ74について、次の点が見て取れる。 ア 複数の第一リブ74は、回転清掃体収納室26の後方から前方に向かうに従って、回転清掃体収納室26の中央に向かうように傾斜し、前側に遠ざかるように延びている。 イ 複数の第一リブ74のうち、回転清掃体収納室26の中央から2番目の第一リブ74の後端は、回転軸X方向について、吸込口29よりも回転清掃体収納室26の一端側であって、回転清掃体収納室26の中央と比べて回転清掃体収納室26の一端の近くに位置している。 ウ 当該中央から2番目の第一リブ74の前端は、回転清掃体収納室26の一端と比べて、吸込口29のうち回転軸X方向における回転清掃体収納室26の一端側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線の近くに位置する。 エ 当該中央から2番目の第一リブ74は、後側の端から前側の端まで連続して延びている。 (参考図(特許異議申立書21頁)) [図:0001434163000002.jpg] (2) そうすると、甲1に記載された事項から(特に、【0013】~【0030】、図1~8参照。)、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 (甲1発明) 「ブラシ部33を有する回転清掃体3と、 前記回転清掃体3を回転させるための駆動源と、 前記回転清掃体3が回転可能に取り付けられる回転清掃体収納室26を有するノズル本体2と を備える電気掃除機の吸引ノズル装置1において、 前記ノズル本体2は、 下部前側に形成された吸込開口21と、 前記回転清掃体3の回転軸X方向における中央側に位置するとともに、前記回転軸X方向と直交する方向において前記回転清掃体3の回転軸Xより後側に位置する吸込口29と、 前記回転清掃体収納室26の後上部壁71から突出し且つ前記ブラシ部33と接触する複数の第一リブ74とを有し、 前記第一リブ74のうち回転清掃体収納室26の中央から2番目の第一リブ74は、前記回転清掃体収納室26の一端側から中央側に向かって傾斜して延びる方向が前記回転軸X方向と交差し、前記回転清掃体収納室26の後方から前方に向かうに従って、前記回転清掃体収納室26の中央に向かうように傾斜し、前側に遠ざかるように延び、 前記一端側にある前記中央から2番目の第一リブ74の後端は、前記回転軸X方向について、前記吸込口29よりも前記回転清掃体収納室26の一端側であって、前記回転清掃体収納室26の前記中央と比べて前記回転清掃体収納室26の一端の近くに位置し、 前記中央側にある前記中央から2番目の第一リブ74の前端は、前記回転清掃体収納室26の一端と比べて、前記吸込口29のうち前記回転軸X方向における前記回転清掃体収納室26の一端側の端を通り且つ前記前後方向に延伸する仮想線の近くに位置し、 前記中央から2番目の第一リブ74は、前記後側の端から前記前側の端まで連続して延びている、 吸引ノズル装置1。」 2 対比及び判断 (1) 本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明とを、その有する機能に照らして対比する。 (ア) 甲1発明の「ブラシ部33」は、本件発明1の「清掃体」に相当し、以下同様に、「回転清掃体3」、「駆動源」、「回転清掃体収納室26」、「ノズル本体2」、「吸引ノズル装置1」は、それぞれ、本件発明1の「回転清掃体」、「駆動源である駆動部」、「回転清掃体室」、「吸込具本体」、「吸込具」に相当する。 (イ) 甲1発明の「下部前側に形成された吸込開口21」、「回転清掃体3の回転軸X方向」、「回転清掃体3の回転軸X」、「吸込口29」、「回転清掃体収納室26の後上部壁71」は、それぞれ、本件発明1の「底側に配された吸込口」、「回転清掃体の軸線方向」、「回転清掃体の軸線」、「連通口」、「回転清掃体室の内壁」に相当する。 甲1発明の「第一リブ74」は「前記回転清掃体収納室26の後上部壁71から突出し且つ前記ブラシ部33と接触する」ものであるが、甲1発明の「回転清掃体3」が「ブラシ部33」を有することからすると、「第一リブ74」は「回転清掃体3」と接触するといえるから、甲1発明の「第一リブ74」は、本件発明1の「前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記回転清掃体と接触する突出体」に相当する。 (ウ) 甲1発明の「前記第一リブ74のうち回転清掃体収納室26の中央から2番目の第一リブ74」は、「前記回転清掃体収納室26の一端側から中央側に向かって傾斜して延びる方向が前記回転軸X方向と交差し、前記回転清掃体収納室26の後方から前方に向かうに従って、前記回転清掃体収納室26の中央に向かうように傾斜し、前側に遠ざかるように延び」るところ、甲1発明の「中央側から2番目の第一リブ74」の「傾斜して延びる方向」は、本件発明の「突出体」の「延伸方向」に相当し、甲1発明の「中央側から2番目の第一リブ74」は、本件発明1の「突出体」と、「前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう延伸方向が前記軸線方向とが交差し、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び」ている点で一致する。 (エ) 甲1発明の「前記一端側にある前記中央から2番目の第一リブ74の後端」、「前記吸込口29よりも前記回転清掃体収納室26の一端側」、「前記回転清掃体収納室26の一端」は、それぞれ、本件発明1の「前記一端側にある前記突出体の後端」、「前記連通口よりも一方側」、「前記回転清掃体室」の「一端」に相当するから、甲1発明は、本件発明1と、「前記一端側にある前記突出体の後端は、前記軸線方向について、前記連通口よりも一方側であって、前記回転清掃体室の前記中央と比べて前記一端の近くに位置し」ている点で一致する。 (オ) 甲1発明の「前記中央側にある前記中央から2番目の第一リブ74の前端」、「吸込口29のうち前記回転軸X方向における前記回転清掃体収納室26の一端側の端を通り且つ前記前後方向に延伸する仮想線」は、それぞれ、本件発明1の「前記中央側にある前記突出体の前端」、「前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線」に相当するから、甲1発明は、本件発明1と、「前記中央側にある前記突出体の前端は、前記一端と比べて、前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線の近くに位置し」ている点で一致する。 (カ) 甲1発明の「前記中央から2番目の第一リブ74」は、本件発明1の「前記突出体」と同様に、「前記後端から前記前端まで連続して延びている」ものである。 (キ) そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点) 「清掃体を有する回転清掃体と、 前記回転清掃体を回転させるための駆動源である駆動部と、 前記回転清掃体が回転可能に配される回転清掃体室を有する吸込具本体と を備える電気掃除機の吸込具において、 前記吸込具本体は、 底側に配された吸込口と、 前記回転清掃体の軸線方向における中央側に位置するとともに、前記軸線方向と直交する方向において前記回転清掃体の軸線より後側に位置する連通口と、 前記回転清掃体室の内壁から突出し且つ前記回転清掃体と接触する突出体とを有し、 前記突出体は、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かう延伸方向が前記軸線方向と交差し、前記回転清掃体室の一端側から中央側に向かうにしたがって前側に遠ざかるように延び、 前記一端側にある前記突出体の後端は、前記軸線方向について、前記連通口よりも一方側であって、前記回転清掃体室の前記中央と比べて前記一端の近くに位置し、 前記中央側にある前記突出体の前端は、前記一端と比べて、前記連通口のうち前記軸線方向における前記一方側の端を通り且つ前後方向に延伸する仮想線の近くに位置し、 前記突出体は、前記後端から前記前端まで連続して延びている、 吸込具。」 (相違点) 本件発明1は、「前記突出体は、前記軸線方向において、前記連通口の端より中央側に位置する第1部分と、前記軸線方向において、前記連通口より端側に位置する第2部分とを有し」、「前記第1部分よりも前記第2部分の方が長い」のに対し、甲1発明は、「中央側から2番目の第一リブ74」がそのように構成されていない点。 イ(ア) このように、甲1発明は、本件発明1と相違し、この点は実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとは認められない。 (イ) 次に、前記相違点についてみるに、甲1発明は、当該第一リブ74の中央側に更に別の「第一リブ74」を有することからして、当該第一リブ74を吸込口29の端より延伸させることはない。そのような変更は、後端の位置も含め、複数の第一リブ74に関して大幅な変更を伴うこととなり、その結果、当然に前記相違点に係る構成になるとも解されないから、甲1発明において、前記相違点に係る構成とする動機付けは特段認められない。 また、甲2には、電気掃除機1の第1の吸込具10に関し、吸込口100の内面に取り付けられた薄板120の内面に、回転清掃体140の回転方向下流側となる部位125aが回転方向上流側となる部位125bよりも吸込通路101側に向かって傾斜する状態に、複数のリブ125を配置する点が記載されている(特に、【0020】、図3、5)。 そして、甲3には、掃除機10のクリーニングヘッド12に関し、攪拌器チャンバ22に配置された毛髪移動システム49が複数のリブ116を含み、少なくとも1つのリブ116は、繊維質の破片が攪拌器18の周りで絡み合うようになると、繊維質の破片がリブ116と係合(例えば、接触)し、攪拌器18に沿って所定の位置に向かって付勢されるように、攪拌器18の長手方向軸Lに対して横方向(例えば、非垂直角度で)に延在し得る点(特に、【0014】、図1)、攪拌器チャンバ80の攪拌器200と係合(例えば、接触)する複数のリブ300の各々が、攪拌器200の長手方向軸204に対して非垂直角度で横方向に延在し、攪拌器200のフラップ202の少なくとも一部分と係合(例えば、接触)するように構成される点(特に、【0051】、図10)、クリーニングヘッド700の攪拌器カバー702が複数のリブ704を含み、複数のリブ704はそれぞれ、互いに対して平行に延在し、攪拌器カバー702の長手方向軸800に対して横断(例えば、非垂直角度で)し、リブ704は、一般に、攪拌器の単一の遠位端に向かって繊維質の破片を付勢するように配向される点(特に、【0067】、図15、16)が記載されている。 このように、甲2、3をみても、前記相違点に係る構成も含め、本件発明1の突出体に係る構成が明示されているとは解されない。 さらに、甲4についてみても、甲1発明において、前記相違点に係る構成とする動機付けは認められない。 前記相違点に係る構成は、本件訂正前の請求項4に記載された事項であるところ、特許異議申立人は、甲1に記載されているに等しい事項である、甲1発明に、甲4に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に想到することができた事項である旨主張している(特許異議申立書42~43頁)。 しかしながら、甲1には、当該第一リブ74について、吸込口29の端より中央側に位置する部分、端側に位置する部分を有するようなものとすること、中央側に位置する部分よりも端側に位置する部分の方が長いものとすることについて、特段記載も、示唆もない。 甲4には、下カバー63の回転ブラシ66の後方となる位置に、V字形状となる拭き部材67を設ける点が記載されているが(請求項4、【0025】、図5、6、8、9)、この「拭き部材67」は、甲1発明の「第一リブ74」とは役割が異なる部材であるから、これによって、甲1発明において、前記相違点に係る構成とすることが動機付けられるものとは認められない。 よって、甲1発明において、前記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものとは認められない。 そして、本件発明1は、前記相違点に係る構成を備えることで、「軸線方向の端側の塵埃を集塵し易くできる。」(本件特許明細書【0053】)といった、所定の効果を奏するものである。 ウ 以上のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとは認められず、甲1発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。 (2) 本件発明2、3、5について ア 本件発明2、3について 本件発明2、3は、本件発明1を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明2、3は、本件発明1と同様の理由により、甲1に記載された発明であるとは認められず、甲1発明1及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。 イ 本件発明5について 甲1には、甲1発明に係る吸引ノズル装置1を備える電気掃除機が記載されていると認められる。 しかしながら、本件発明5の「吸込具」は、本件発明1を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明5は、本件発明1と同様の理由により、甲1に記載された発明であるとは認められず、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1~3、5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項1~3、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件特許の請求項4は、本件訂正により削除され、これにより、請求項4に係る特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700464

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