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特許異議申立

2025-700032

電気掃除機

審判番号
2025-700032
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-095078
登録番号
7510387
請求日
2024年12月25日
審決日
2026年02月06日
公報発行日
2026年05月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】シャープ株式会社
  • 【権利者代理人】井上 知哉
  • 【異議申立人】榛葉 貴宏
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 関口 哲生
  • 審判官 芝井 隆
分類
P1651.537-YAA(A47L) / P1651.55 -YAA(A47L) / P1651.536-YAA(A47L) / P1651.121-YAA(A47L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7510387号発明「電気掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7510387号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第7510387号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7510387号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成28年11月9日に出願された特願2016-219078号の一部を、令和3年6月7日に分割して新たな特許出願とし、令和6年6月25日にその特許権の設定登録がされ、令和6年7月3日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、概ね、次のとおりである。 令和6年12月25日 :特許異議申立人榛葉貴宏(以下、「申立人」という。)による請求項1に係る特許に対する特許異議の申立て 令和7年 3月 5日付け:取消理由通知書 令和7年 4月21日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和7年 5月12日付け:訂正請求があった旨の通知書(特許法第120条の5第5項) 令和7年 6月11日 :申立人による意見書の提出 令和7年 7月16日付け:訂正拒絶理由通知書 令和7年 8月21日 :特許権者による意見書の提出 令和7年 9月17日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和7年11月17日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 以下、令和7年11月17日付け訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和7年5月12日付け訂正請求書に係る訂正の請求は取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項) 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを求めるものであって、その訂正内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (訂正事項1) 特許請求の範囲の請求項1において、 「前記ハンドルは、前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、 前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、」と記載されているのを、 「前記ハンドルは、前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、 前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、 前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」との記載に訂正する。 2 本件訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)本件訂正の適否について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に記載された「ハンドル」に関し、「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」という限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)新規事項追加の有無について ア 本件特許の願書に添付した明細書又は図面(以下、「本件特許明細書」又は「本件特許図面」等といい、総称して、「本件特許明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。 (ア)「【0013】 [駆動装置] 図2と図4、図5に示すように、駆動装置11は、電動送風機11amを内蔵する本体部11aと、本体部11aに連設されたバッテリー装着部11bと、本体部11aとバッテリー装着部11bとに連設された両端部を有するハンドル11cと、本体部11aとハンドル11cとの接合部に連設されてハンドル11cとは反対側へ突出する吸込筒部11dとを有する。 以下、駆動装置11における吸込筒部11d側を前方、ハンドル11c側を後方、バッテリー装着部11b側を下方、バッテリー装着部11bと反対側を上方、ハンドル11cを手前に向けた状態での左側および右側を左方向および右方向として説明する。」 (イ)「【0026】 第3部材11zは、前記中間リブ構造部11y2および内側ハンドル構成部11y3を覆う部材であり、中間部部分には前記操作部11eのパッド部11e2が設けられている。 また、バッテリー装着部11bの後部には、第2および第3部材11y、11zの後端部と連結する連結部11b1が設けられている。この連結部11b1は、固定突出部11b11と、固定突出部11b11に揺動可能に設けられた押え部11b12とを有してなる。押え部11b12は、バッテリー13を取り外すときに操作する。」 (ウ)「【図4】 [図:0001435173000001.jpg] 【図5】 [図:0001435173000002.jpg] 」 イ このように、本件特許明細書等には、「ハンドル」の構成として、段落0013(上記ア(ア))に、「ハンドル11cは、電動送風機11amを内蔵する本体部11aと前記本体部11aに連設されたバッテリー装着部11bとに連設された両端部を有」すること、また、段落0026(上記ア(イ))に「ハンドルの後端部がバッテリー装着部11bの後部に設けられた前記連結部に連結され」ることが記載されており、更に、段落0013、0026及び図4、5(上記ア)には、「ハンドル11cの後端部と逆側の端部が、本体部11aとハンドル11cとの接合部であって、ハンドル11cと反対側へ突出する吸込筒部11dが連設される接合部に接合され」ることが示されている。 ウ そうすると、本件特許明細書等には、訂正後の請求項1の「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」との事項が記載されているといえる。 エ 以上によれば、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 3 独立特許要件について 訂正事項1により訂正された請求項1は特許異議の申立てがなされているので、訂正後における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件は課されない。 4 まとめ 上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 なお、本件において、本件訂正の請求に係る請求項1は、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項1について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記「第2」のとおり、本件訂正は認められた。 したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)は、次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 前端部に前方開口部を有する吸込筒部と、塵埃を集塵する円筒形の集塵容器を有するダストカップユニットと、電動送風機を内蔵する駆動装置と、前記駆動装置に着脱可能に装着されるバッテリーと、を有する掃除機本体と、 前記吸込筒部に一端が接続される延長管と、 前記延長管の他端に接続される吸込口体と、を備え、 前記ダストカップユニットは、前記掃除機本体における前側であって前記吸込筒部の下方に前記集塵容器の長手方向が前記吸込筒部と略平行に配置され、 前記駆動装置において、前記ダストカップユニットの後側に設けられた手を通すための開口部によりハンドルが形成され、 前記ハンドルは、前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、 前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、 前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、 前記電動送風機の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記中心線に対して、下方に前記バッテリーが配置され、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置されることを特徴とする電気掃除機。」 第4 取消理由の概要 本件の請求項1に係る特許に対して、当審が令和7年9月17日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 取消理由(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第5 当審の判断(取消理由(サポート要件)について) 1 サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 2 本件特許明細書等の記載 本件特許明細書等には、次の記載がある。 (1)「【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2015-144785号公報 【0005】 特許文献1に記載のようなハンディタイプとスティックタイプに変更可能な電気掃除機は、使用時に掃除機本体およびバッテリーの重量が直接ユーザーの手元にかかるため、軽量化が望まれている。」 (2)「【0013】 [駆動装置] 図2と図4、図5に示すように、駆動装置11は、電動送風機11amを内蔵する本体部11aと、本体部11aに連設されたバッテリー装着部11bと、本体部11aとバッテリー装着部11bとに連設された両端部を有するハンドル11cと、本体部11aとハンドル11cとの接合部に連設されてハンドル11cとは反対側へ突出する吸込筒部11dとを有する。 以下、駆動装置11における吸込筒部11d側を前方、ハンドル11c側を後方、バッテリー装着部11b側を下方、バッテリー装着部11bと反対側を上方、ハンドル11cを手前に向けた状態での左側および右側を左方向および右方向として説明する。」 (3)「【0025】 第2部材11yは、前記前方開口部11d1と前記流出口11y11とを連通させる前方筒部11y1と、前方筒部11y1と連設された中間リブ構造部11y2と、中間リブ構造部11y2と連設されてハンドル11cの内側部分を構成する内側ハンドル構成部11y3とを有する。また、前方筒部11y1の下面側前端部には、本体部11aから引き出された図示しない一対のリード線と電気的に接続される一対の雌型端子部11y12が設けられると共に、内側ハンドル構成部11y3の湾曲した中間部には前記操作部11eのスイッチユニット11e3が収納されている。」 (4)「【0026】 第3部材11zは、前記中間リブ構造部11y2および内側ハンドル構成部11y3を覆う部材であり、中間部部分には前記操作部11eのパッド部11e2が設けられている。 また、バッテリー装着部11bの後部には、第2および第3部材11y、11zの後端部と連結する連結部11b1が設けられている。この連結部11b1は、固定突出部11b11と、固定突出部11b11に揺動可能に設けられた押え部11b12とを有してなる。押え部11b12は、バッテリー13を取り外すときに操作する。」 (5)「【0027】 第1~第3部材11x、11y、11zを組み立てる一例を説明すると、先ず、第1部材11xの嵌合孔部11x3を本体部11aの嵌合凸部11axに嵌め込む。 次に、本体部11aから引き出した図示しない一対のリード線を第2部材11yの一対の雌型端子部11y12に電気的に接続し、その一対の雌型端子部11y12を第2部材11yの前端部に取り付けた後、第2部材11yを第1部材11xに重ね合わせる。これにより、第1部材11xの接続口11x4に第2部材11yの流出口11y11が接続されると共に、第2部材11yの後端部が連結部11b1の固定突出部11b11に当接する。」 (6)「【0030】 この掃除機本体10には、図6(A)に示すように、掃除を中断して電気掃除機1を床面F上に置くことができるように、掃除機本体10を支持する支持部材11fがバッテリー装着部11bの前端部に設けられている。支持部材11fの材質としては、例えば、硬質ゴムが用いられる。 この支持部材11fは、側面側から視て、下端部が前方へ少し突き出る湾曲形状に形成されると共に、正面側から視て、下端面が円弧状に形成されている。」 (7)「【0101】 (3)前記駆動装置はハンドルを有し、 前記ハンドルは、前記第2部材と連設されて前記ハンドルの内側を構成する内側ハンドル構成部と、前記内側ハンドル構成部に取り付けられて前記ハンドルの外側を構成する第3部材とを有してなるのもよい。 このようにすれば、内側ハンドル構成部を吸込筒部の第2部材の一部として一体化させることができるため、構造が簡素化し部品点数の削減および組み立ての効率化を図ることができる。」 (8)「【図1】 [図:0001435173000003.jpg] 」 (9)「【図4】 [図:0001435173000004.jpg] 」 (10)「【図5】 [図:0001435173000005.jpg] 」 (11)「【図6】 [図:0001435173000006.jpg] 」 3 本件発明の課題 上記2(1)の「特許文献1に記載のようなハンディタイプとスティックタイプに変更可能な電気掃除機は、使用時に掃除機本体およびバッテリーの重量が直接ユーザーの手元にかかるため、軽量化が望まれている。」との記載より、本件発明が「使用時に掃除機本体およびバッテリーの重量が直接ユーザーの手元にかかること」に伴うユーザーの手元の負担を課題(以下、「本件課題」という。)としていること、そして、課題解決手段の1つとして軽量化が挙げられていることが把握できる。 4 発明の詳細な説明に開示された課題解決手段 (1)上記2(1)に記載された課題解決手段である「軽量化」を実現する構成は、例えば、段落0101(上記2(7))の「内側ハンドル構成部を吸込筒部の第2部材の一部として一体化させることができるため、構造が簡素化し部品点数の削減および組み立ての効率化を図ることができる。」等の記載によると、「内側ハンドル構成部を吸込筒部の第2部材の一部として一体化させること」で部品点数を減らすことであるものの、本件発明では特定されていない。 そこで、当業者の技術常識を踏まえて、上記3で示した本件課題を解決するための手段(以下、「課題解決手段」という。)を把握する。 ここで、電気掃除機の重心バランス及びハンドルの形状が、ユーザーの手首や肘等への負担に影響することは、出願時の当業者の技術常識である(例えば、上記2(1)で先行技術として示された特開2015-144785号公報の段落0005、0006、0047~0057、図10~11の記載等参照。)。 そうすると、発明の詳細な説明の記載において、上記技術常識を踏まえて、電気掃除機の重心バランス及びハンドルの形状に着目すると、本件図面の図示内容を参照することにより、以下のア~ウの事項が把握できる。 ア 上記2(6)、(9)及び(11)の記載から、電気掃除機1を床面F上に置く際には、吸込口体40及び支持部材11fで電気掃除機1を支持する点、そしてその際、バッテリー13が接地していない点が示されていると理解できる。 イ 上記2(8)及び(9)の記載から、前後方向に沿った集塵容器12aの中心線に対して、下方にバッテリー13が配置され、上方に延長管20、及び吸込口体40が配置される構成が示されていると理解できる。また、吸込筒部11dの下方に集塵容器12aの長手方向が吸込筒部11dと略平行に配置される点、集塵容器12aは、前後方向に沿って電動送風機11amの前方に位置している点が示されていると理解できる。 ウ 上記2(2)、(3)、(4)、(9)及び(10)の記載から、ハンドル11cは本体部11aとバッテリー装着部11bとに連設された両端部を有し、ハンドル11cの後端部がバッテリー装着部11bの後部に設けられた連結部11b1に連結され、ハンドル11cの前記後端部と逆側の端部が、ハンドル11cと反対側へ突出する吸込筒部11dが連設される接合部に接合され、ハンドル11cが電動送風機11amの後部を覆う部分と間隔をあけて対向する部分を有する構成が示されていると理解できる。 (2)ここで、上記(1)アについて、バッテリー13が接地していないこと、そして、技術常識である梃子の原理から、電動送風機やバッテリーから離れて位置する吸込口体及び延長管が重量バランスに影響を及ぼす部材であることは、当業者であれば把握できる事項である。また、上記(1)イについて、電動送風機を構成するモータや、バッテリーが他の部材と比して重い部材であることは技術常識である。 してみると、発明の詳細な説明の記載から、上下方向の中心に配置された集塵容器12a及び電動送風機11amに対して、「吸込口体40、延長管20、及び吸込筒部11d」を上方に配置し、「バッテリー13」を下側に配置することで、重量バランスを調整していることが把握でき、発明の詳細な説明には、課題解決手段として、「上方に吸込口体40、延長管20、及び吸込筒部11dが配置され、吸込筒部11dの下方に集塵容器12aの長手方向が吸込筒部11dと略平行に配置され、集塵容器12aは前後方向に沿って電動送風機11amの前方に位置し、電動送風機11amの下側にバッテリー13が配置されている」構成(以下、「課題解決手段(ア)」という。)が必要であることが開示されているといえる。 さらに、上記技術常識を踏まえてハンドルの形状を確認すると、上記(1)ウより、「ハンドル11cは本体部11aとバッテリー装着部11bとに連設された両端部を有する」ことで、ハンドル11cがそのような両端部を有しない場合と比べてバランス良く把持できること、「ハンドル11cの後端部がバッテリー装着部11bの後部に設けられた連結部11b1に連結され、ハンドル11cの前記後端部と逆側の端部が、ハンドル11cと反対側へ突出する吸込筒部11dが連設される接合部に接合され、ハンドル11cが電動送風機11amの後部を覆う部分と間隔をあけて対向する部分を有する」ことで、電気掃除機の使用状態によってハンドルの握る位置を変えることで最適な重心バランスを保てる構成であることが把握できる。 してみると、発明の詳細な説明から、「ハンドル11cは本体部11aとバッテリー装着部11bとに連設された両端部を有し、ハンドル11cの後端部がバッテリー装着部11bの後部に設けられた連結部11b1に連結され、ハンドル11cの前記後端部と逆側の端部が、ハンドル11cと反対側へ突出する吸込筒部11dが連設される接合部に接合され、ハンドル11cが電動送風機11amの後部を覆う部分と間隔をあけて対向する部分を有する」構成も課題解決手段(以下、「課題解決手段(イ)」という。)として必要であるといえる。 (3)以上によれば、本件課題を解決する手段は、上記(2)に示した「課題解決手段(ア)」及び「課題解決手段(イ)」である。そして、「課題解決手段(ア)」及び「課題解決手段(イ)」が本件発明に反映されている必要があるといえる。 5 判断 (1)本件発明に、上記4(2)で示した「課題解決手段(ア)」及び「課題解決手段(イ)」が反映されているか否か検討する。 ア 「課題解決手段(ア)」について 「課題解決手段(ア)」は、上記4(2)で示したように、 「上方に吸込口体40、延長管20、及び吸込筒部11dが配置され、吸込筒部11dの下方に集塵容器12aの長手方向が吸込筒部11dと略平行に配置され、集塵容器12aは前後方向に沿って電動送風機11amの前方に位置し、電動送風機11amの下側にバッテリー13が配置されている」構成である。 以下、本件発明にこれら構成が反映されているか否か検討する。 (ア)「課題解決手段(ア)」の「吸込筒部11dの下方に集塵容器12aの長手方向が吸込筒部11dと略平行に配置され」る構成は、本件発明の「前記ダストカップユニットは、前記掃除機本体における前側であって前記吸込筒部の下方に前記集塵容器の長手方向が前記吸込筒部と略平行に配置され」との記載によって、本件発明に反映されている。 (イ)「課題解決手段(ア)」の「上方に吸込口体40、延長管20、及び吸込筒部11dが配置され」ている構成は、本件発明の「前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線」との記載及び「前記電動送風機の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記中心線に対して、下方に前記バッテリーが配置され、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置される」との記載によって、本件発明に反映されている。 (ウ)「課題解決手段(ア)」の「集塵容器12aは前後方向に沿って電動送風機11amの前方に位置」する構成は、本件発明の「前記ハンドルは、前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、」との記載によって、本件発明に反映されている。 (エ)「課題解決手段(ア)」の「電動送風機11amの下側にバッテリー13が配置されている」構成は、本件発明の「前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち」との記載によって、本件発明に反映されている。 (オ)してみると、本件発明に、「課題解決手段(ア)」は反映されているといえる。 イ 「課題解決手段(イ)」について 「課題解決手段(イ)」は、上記4(2)で示したように、 「ハンドル11cは本体部11aとバッテリー装着部11bとに連設された両端部を有し、ハンドル11cの後端部がバッテリー装着部11bの後部に設けられた連結部11b1に連結され、ハンドル11cの前記後端部と逆側の端部が、ハンドル11cと反対側へ突出する吸込筒部11dが連設される接合部に接合され、ハンドル11cが電動送風機11amの後部を覆う部分と間隔をあけて対向する部分を有する」構成である。 以下、本件発明にこれら構成が反映されているか検討する。 (ア)「課題解決手段(イ)」の「ハンドル11cの後端部がバッテリー装着部11bの後部に設けられた連結部11b1に連結され」る構成及び「ハンドル11cが電動送風機11amの後部を覆う部分と間隔をあけて対向する部分を有する」構成は、本件発明の「前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、」との記載、及び、「前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、」との記載によって、本件発明に反映されている。 (イ)「課題解決手段(イ)」の「ハンドル11cが本体部11aと連設された両端部を有し」た構成及び「ハンドル11cの前記後端部と逆側の端部が、ハンドル11cと反対側へ突出する吸込筒部11dが連設される接合部に接合され」た構成は、本件発明の「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、」との記載及び、「前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」との記載によって、本件発明に反映されている。 (ウ)してみると、本件発明に、「課題解決手段(イ)」は反映されているといえる。 ウ 以上によれば、当業者は、発明の詳細な説明の記載に基づき、請求項1に記載のとおり、「課題解決手段(ア)」及び「課題解決手段(イ)」を備えることによって、本件発明の課題を解決できると認識することができる。 そうすると、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載によりに 当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということができ、本件発明についてサポート要件の違反はない。 (2)以上によれば、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、同法第113条第4号により取り消すことができない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由について 1 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由は、概ね、次のとおりである。 (1)申立理由1(新規事項) 令和6年1月26日付け手続補正書でした請求項1についての補正は、以下の点で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定した要件を満たしていない。(特許異議申立書の2頁の「3(1)イ」及び18~23頁の「3(5)」を参照) ・上記補正により追加された、請求項1の「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分」という事項における「筐体」に関して、当初明細書等には、バッテリー13をスライド可能に支持する凹溝を有するバッテリー装着部用筐体11bc1、11bc2が記載されるのみであり、当初明細書等に記載された事項以外の「バッテリー用の凹溝を有しない筐体」も含む上記事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。 (2)申立理由2(サポート要件違反) 本件発明の出願は、以下の点で、特許請求の範囲が発明の詳細な説明に記載したものでないため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。(特許異議申立書の2~3頁の「3(1)ウ」及び23~28頁の「3(6)」を参照) ・本件発明では、「前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部」としか特定されていないため、グリップ部及びバッテリー装着部の後側が、下方側から上方側までに亘って水平又は垂直である形状(形態3)や、下方側から上方側に向かうにつれて後側に向かって傾斜する形状(形態4)等の形態も含むことになり、本件発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。 ・本件発明では、「前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体」としか特定されていないため、「バッテリーを覆う」点に関して、明細書の実施形態に示される、バッテリー13が外部に露出する状態でバッテリー13の上面がバッテリー装着部11bの下端側壁部に装着され覆われる形態(形態5)以外にも、バッテリー13の全部が収容される状態でバッテリー13の外周面が覆われる形態(形態6)や、バッテリー13の一部が収容され、その一部が露出する状態でバッテリー13の外周面の一部が覆われる形態(形態7)も含むことになり、本件発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できない。 (3)申立理由3(委任省令違反) 本件発明の出願は、以下の点で、発明の詳細な説明に発明が解決しようとする課題について記載がないため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。(特許異議申立書の3~4頁の「3(1)エ」及び28~32頁の「3(7)」を参照) ・スティックタイプの掃除機の使用において、吸込口体を持ち上げる使用は、本件特許明細書又は図面に記載又は示唆がされておらず、本件特許明細書等では考慮されていない例外的な使用であるから、「電気掃除機の吸込口体を床面から上方に向けて持ち上げて使用した際の重量バランス」という課題を、本件発明の課題として理解することは、当業者であっても困難である。 また、本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落0005に「軽量化が望まれている」(上記第5の2(1)参照)と記載されているところ、この「軽量化が望まれている」ことが、本件発明の課題であるとの明記がなく、発明の課題であるか否か不明である。 以上によれば、本件特許明細書等に、発明が解決しようとする課題の記載がない。 (4)申立理由4(分割要件違反を前提とした新規性、進歩性欠如) 本件発明は、甲第1号証(以下、証拠番号に従って、「甲1」などという。)に記載された発明と同一であるか、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号か同法同条第2項の規定により、特許を受けることができない。(特許異議申立書の4~5頁の「3(1)ウ 特許法第29条第1項第3号及び第2項(根拠4)」及び32~33頁の「3(8)」を参照) ア 本件発明には、上記(2)で示したとおり、サポート要件を満たしていない、形態3、4及び形態6、7が含まれ、すなわち、明細書及び図面並びに原出願の出願時の明細書及び図面に記載されていない、形態3、4及び形態6、7が含まれる。 イ また、本件発明の課題は、上記(3)で示したとおり、明細書に記載されておらず、また、従来技術、発明の有利な効果等についての説明を含む明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、当業者が発明が解決しようとする課題を理解することができない。 ウ 以上のことから、本件発明の分割出願は、分割要件を満たしておらず、本件特許の出願日は、現実の出願日である、令和3年(2021年)6月7日である。 エ 甲1は、本件特許の親出願に係る公開公報(公開日:平成30年5月17日)であり、甲1には本件発明に相当する実施形態が記載されている。 (5)申立理由5(甲2を主引用例とした進歩性欠如) 本件発明は、甲2に記載された発明及び甲3に記載された発明に基いて、甲2に記載された発明、甲3に記載された公知技術及び技術常識に基いて、又は、甲2に記載された発明及び甲3~7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 (6)申立理由6(甲4を主引用例とした進歩性欠如) 本件発明は、甲4に記載された発明及び甲2、3、5~7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 <証拠方法> 申立人が提出した証拠方法(甲1~7)は以下のとおりである。 甲1:特開2018-75189号公報 甲2:特開2002-85297号公報 甲3:実願昭57-54685号(実開昭58-157445号)のマイクロフィルム 甲4:特開2016-15992号公報 甲5:米国特許出願公開第2003/0106858号明細書 甲6:米国特許出願公開第2005/0050675号明細書 甲7:欧州特許第2612582号明細書 2 申立理由1(新規事項)について 当初明細書の段落0015に「バッテリー装着部11bは、下方および後方に開口しかつ奥部にバッテリー13の端子部と電気的に接続可能な端子部が設けられた凹部を有し、その凹部内に後方からバッテリー13を挿入して装着し、バッテリー13を後方へ引き出して凹部から取り外せるように構成されている。」と、また、段落0033に「駆動装置11のバッテリー装着部11bは、本体部11aの下部に図示しないネジにて連結される左右一対のバッテリー装着部用筐体11bc1 、11bc2を備える。右側のバッテリー装着部用筐体11bc2の側面には前記排気口11bxが形成されると共に、各バッテリー装着部用筐体11bc1、11bc2の前端部および後端部には、前記支持部材11fの心材となる一対の半割部11bc3および前記固定突出部11b11の一対の半割部11bc4が一体形成されている。」と記載されており、これら記載によれば、当初明細書等には、「バッテリーを覆う筐体」が開示されているといえる。 また、当初明細書の段落0034に「各バッテリー装着部用筐体11bc1、11bc2は、それらの前端部から後端部に亘って仕切り板11bc5が連設されると共に、それらの側壁下端部にはバッテリー13の左右側面の凸部13bを前後方向スライド可能に支持する凹溝を形成する下端側壁部11bc6が連設されている。」と記載され、筐体の具体的構造として、バッテリー用の凹溝を有する筐体が示されているものの、筐体からバッテリーを着脱する上で、凹溝は必須の要素とはいえず、また、「筐体」の「凹溝」は、上記「第5の3」で示した本件発明の課題の解決には関係がなく、任意の付加的な事項であることは明らかである。 したがって、補正により追加された、請求項1の「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分」という事項により新たな技術上の意義は追加されない。 よって、「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分」という事項が、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないとはいえない。 以上によれば、申立人の「申立理由1」に係る主張は採用することができず、本件発明に係る特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をしたものに対してされたものとはいえない。 3 申立理由2(サポート要件違反)について 上記「第5」において検討したとおり、本件発明についてサポート要件の違反はないから、申立人の「申立理由2」に係る主張は採用することができず、本件発明に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえない。 4 申立理由3(委任省令要件違反)について 上記「第5」で示したとおり、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、本件発明が解決しようとする課題は、「使用時に掃除機本体およびバッテリーの重量が直接ユーザーの手元にかかること」に伴うユーザーの手元の負担であることを把握することができる。 そうすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、発明が解決しようとする課題とその解決手段が記載されており、その記載は委任省令要件を満たすといえる。 以上によれば、申立人の「申立理由3」に係る主張は採用することができず、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に適合する。 5 申立理由4(分割要件違反を前提とした新規性、進歩性欠如)について 上記3及び4で示したように、申立人が主張する「申立理由2」及び「申立理由3」に理由はないから、本件発明の分割出願において、「申立理由2」及び「申立理由3」があることを前提とした分割要件違反はない。 したがって、本件発明の分割出願に分割要件違反はないから、本件特許の出願日は、平成28年(2016年)11月9日である。そうすると、甲1は、特許法第29条第1項第3号でいう、特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものではない。 以上によれば、申立人の「申立理由4」に係る主張は採用することができない。 6 申立理由5(甲2を主引用例とした進歩性欠如)について (1)甲2について ア 甲2には、以下の事項が開示されている。 (ア)段落0018~0020及び図1の開示内容から、吸い込み部26の前端部に開口部を有することが、また、段落0003、0014、0018~0019及び図1、3、5、6の開示内容から、塵埃を集塵する略有底円筒形状の集塵ケース32を有する集塵部と、電動送風機21を内蔵する本体20とで、電気掃除機の掃除機本体部分が形成されていることが、更に、段落0027の開示内容から、2次電池を有しても良いことが示されているといえる。 (イ)段落0018~0021及び図1~3の開示内容から、吸い込み部26に導電延長管23の挿入部24が、また、導電延長管23の受け部38に吸込口体44が、接続されることが示されているといえる。 (ウ)図1の開示内容から、集塵部は、掃除機本体部分における前側であって吸い込み部26の下方に集塵ケース32の長手方向が前記吸い込み部26と略平行に配置されていることが示されているといえる。 (エ)図1の開示内容から、本体20において、集塵部の後側に設けられた手を通すための開口により把手部30が形成されること、また、把手部30は、電動送風機21の後側、かつ前後方向に沿った電動送風機21の前方に位置する集塵ケース32の中心線と交差する位置を含んで形成されることが示されているといえる。 (オ)図1、4の開示内容から、把手部30は、清掃中にユーザーに握られ、かつ電動送風機21の後部を覆う本体20の筐体のうち、電動送風機21の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向する、把手部30において専ら手で握られる箇所であるグリップ部と、グリップ部より短く、かつ、グリップ部から曲がって形成され、グリップ部と本体20の筐体の後端から後方に突出する突出部とを連結する後端部分とを含むこと、また、把手部30は、電動送風機21を内蔵する本体20と連設された前端部分及び後端部分を有し、把手部30の後端部分が突出部に連結されること、更に、把手部30の前端部分が、本体20と把手部30の接合部分であって、把手部30と反対側へ突出する吸い込み部26が連設される前記接合部分に接合されること、が示されているといえる。 (カ)図1、3の開示内容から、電動送風機21の後方にグリップ部が位置すると共に、集塵ケース32の中心線に対して、上方に導電延長管23及び吸込口体44が配置されていることが示されているといえる。 イ 甲2に記載された発明 前記「ア」の開示内容を総合して、本件発明の表現に倣って整理すると甲2には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲2発明) 「前端部に開口部を有する吸い込み部26と、塵埃を集塵する略有底円筒形状の集塵ケース32を有する集塵部と、電動送風機21を内蔵する本体20と、2次電池と、を有する掃除機本体部分と、 前記吸い込み部26に挿入部24が接続される導電延長管23と、 前記導電延長管23の受け部38に接続される吸込口体44と、を備え、 前記集塵部は、前記掃除機本体部分における前側であって前記吸い込み部26の下方に前記集塵ケース32の長手方向が前記吸い込み部26と略平行に配置され、 前記本体20において、前記集塵部の後側に設けられた手を通すための開口により把手部30が形成され、 前記把手部30は、前記電動送風機21の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機21の前方に位置する前記集塵ケース32の中心線と交差する位置を含んで形成され、 前記把手部30は、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機21の後部を覆う本体20の筐体のうち、前記電動送風機21の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部より短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記本体20の筐体の後端から後方に突出する突出部とを連結する後端部分とを含み、 前記把手部30は、前記電動送風機21を内蔵する本体20と連設された前端部分及び後端部分を有し、 前記把手部30の前記後端部分が前記突出部に連結され、 前記把手部30の前記前端部分が、前記本体20と前記把手部30の接合部分であって、前記把手部30と反対側へ突出する前記吸い込み部26が連設される前記接合部分に接合され、 前記電動送風機21の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記中心線に対して、上方に前記導電延長管23、及び前記吸込口体44が配置される電気掃除機。」 (2)対比及び判断 ア 対比 本件発明と甲2発明とを、その有する機能に照らして対比する。 (ア)甲2発明の「開口部」は本件発明の「前方開口部」に相当し、同様に、「吸い込み部26」は「吸込筒部」に、「略有底円筒形状」は「円筒形」に、「集塵ケース32」は「集塵容器」に、「集塵部」は「ダストカップユニット」に、「電動送風機21」は「電動送風機」に、「本体20」は「駆動装置」に、「2次電池」は「バッテリー」に、「掃除機本体部分」は「掃除機本体」に、それぞれ相当する。 そして、甲2発明の「前端部に開口部を有する吸い込み部26と、塵埃を集塵する略有底円筒形状の集塵ケース32を有する集塵部と、電動送風機21を内蔵する本体20と、2次電池と、を有する掃除機本体部分と、」と本件発明の「前端部に前方開口部を有する吸込筒部と、塵埃を集塵する円筒形の集塵容器を有するダストカップユニットと、電動送風機を内蔵する駆動装置と、前記駆動装置に着脱可能に装着されるバッテリーと、を有する掃除機本体と、」とは、「前端部に前方開口部を有する吸込筒部と、塵埃を集塵する円筒形の集塵容器を有するダストカップユニットと、電動送風機を内蔵する駆動装置と、バッテリーと、を有する掃除機本体と、」の点で共通する。 (イ)甲2発明の「挿入部24」は本件発明の「一端」に相当し、同様に、「導電延長管23」は「延長管」に、「受け部38」は「他端」に、「吸込口体44」は「吸込口体」に、それぞれ相当する。 そうすると、甲2発明の「前記吸い込み部26に挿入部24が接続される導電延長管23と、前記導電延長管23の受け部38に接続される吸込口体44と、を備え、」は、本件発明の「前記吸込筒部に一端が接続される延長管と、前記延長管の他端に接続される吸込口体と、を備え、」に相当する。 (ウ)甲2発明の「前記集塵部は、前記掃除機本体部分における前側であって前記吸い込み部26の下方に前記集塵ケース32の長手方向が前記吸い込み部26と略平行に配置され、」は、本件発明の「前記ダストカップユニットは、前記掃除機本体における前側であって前記吸込筒部の下方に前記集塵容器の長手方向が前記吸込筒部と略平行に配置され、」に相当する。 (エ)甲2発明の「開口」は本件発明の「開口部」に相当し、同様に、「把手部30」は「ハンドル」に相当する。 そうすると、甲2発明の「前記本体20において、前記集塵部の後側に設けられた手を通すための開口により把手部30が形成され、前記把手部30は、前記電動送風機21の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機21の前方に位置する前記集塵ケース32の中心線と交差する位置を含んで形成され、」は、本件発明の「前記駆動装置において、前記ダストカップユニットの後側に設けられた手を通すための開口部によりハンドルが形成され、前記ハンドルは、前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、」に相当する。 (オ)甲2発明の「連結する後端部分」は本件発明の「連結する部分」に相当し、同様に、「本体20」は「本体部」に、「前端部分及び後端部分」は「両端部」に、「後端部分」は「後端部」に、「前端部分」は「後端部と逆側の端部」に、「接合部分」は「接合部」に、それぞれ相当する。 また、甲2発明の「前記電動送風機21の後部を覆う本体20の筐体」と、本件発明の「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体」とは、「前記電動送風機の後部を覆う筐体」の点で共通する。 そして、甲2発明の「前記本体20の筐体の後端から後方に突出する突出部」と、本件発明の「前記筐体の後端から後方に突出する連結部」とは、「前記電動送風機の後部を覆う筐体の後端から後方に突出する連結部」の点で共通する。 さらに、本件発明の「バッテリー装着部」は「本体部」と連設されるものであることに鑑みると、本件発明の「ハンドル」の「バッテリー装着部」に連設される端部は、本体部に連設されたものであるともいえる。以上によれば、甲2発明の「前記把手部30は、前記電動送風機21を内蔵する本体20と連設された前端部分及び後端部分を有し、」と、本件発明の「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、」とは、「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部に連設された両端部を有し、」の点で共通する。 加えて、甲2発明の「前記把手部30の前記後端部分が前記突出部に連結され、」と、本件発明の「前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、」とは、「前記ハンドルの後端部が前記連結部に連結され、」の点で共通する。 そうすると、甲2発明の 「前記把手部30は、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機21の後部を覆う本体20の筐体のうち、前記電動送風機21の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部より短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記本体20の筐体の後端から後方に突出する突出部とを連結する後端部分とを含み、 前記把手部30は、前記電動送風機21を内蔵する本体20と連設された前端部分及び後端部分を有し、 前記把手部30の前記後端部分が前記突出部に連結され、 前記把手部30の前記前端部分が、前記本体20と前記把手部30の接合部分であって、前記把手部30と反対側へ突出する前記吸い込み部26が連設される前記接合部分に接合され、」と、 本件発明の 「前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、 前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」とは、 「前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記電動送風機の後部を覆う筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、 前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部に連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」の点で共通する。 (カ)甲2発明の「前記電動送風機21の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記中心線に対して、上方に前記導電延長管23、及び前記吸込口体44が配置される」と、本件発明の「前記電動送風機の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記中心線に対して、下方に前記バッテリーが配置され、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置される」とは、「前記電動送風機の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記中心線に対して、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置される」の点で共通する。 (キ)そうすると、本件発明と甲2発明とは、以下の「一致点1」で一致し、「相違点1」~「相違点2」で相違する。 (一致点1) 「前端部に前方開口部を有する吸込筒部と、塵埃を集塵する円筒形の集塵容器を有するダストカップユニットと、電動送風機を内蔵する駆動装置と、バッテリーと、を有する掃除機本体と、 前記吸込筒部に一端が接続される延長管と、 前記延長管の他端に接続される吸込口体と、を備え、 前記ダストカップユニットは、前記掃除機本体における前側であって前記吸込筒部の下方に前記集塵容器の長手方向が前記吸込筒部と略平行に配置され、 前記駆動装置において、前記ダストカップユニットの後側に設けられた手を通すための開口部によりハンドルが形成され、 前記ハンドルは、前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、 前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記電動送風機の後部を覆う筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、 前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部に連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、 前記電動送風機の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記中心線に対して、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置される電気掃除機。」 (相違点1) 本件発明は、バッテリーが「駆動装置に着脱可能に装着される」のに対し、 甲2発明は、2次電池がどこに装着されるのか装着箇所が不明であり、また、2次電池が着脱可能に装着されるかも不明である点。 (相違点2) 本件発明は、ハンドルは、「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分」と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部から曲がって形成され、「前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部」とを連結する部分とを含み、 また、ハンドルは、「前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、」「後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され」、 更に、集塵容器の中心線に対して、「下方に前記バッテリーが配置され、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置される」であるのに対し、 甲2発明は、把手部30のグリップ部と略平行となるような間隔を空けて対向する部分が、電動送風機21の後部を覆うと共に電動送風機21の下側においてバッテリーを覆う筐体ではなく、前記グリップ部と連結する部分が、そのような筐体の後端から後方に突出する連結部ではなく、 また、バッテリー装着部を有したものではないため、把手部30の後端部分は、バッテリー装着部と連設されるものではなく、突出部はバッテリー装着部の後部に設けられたものではなく、 更に、集塵ケース32の中心線に対して、下方に2次電池が配置されたものではない点。 イ 判断 (ア)事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 上記第5の3で示したとおり、本件発明の解決しようとする課題は、スティックタイプの電気掃除機において、「使用時に掃除機本体およびバッテリーの重量が直接ユーザーの手元にかかること」に伴うユーザーの手元の負担であるところ、本件発明は、延長管、吸込口体及びバッテリーを有することを前提としたスティックタイプの電気掃除機に関するものである。そして、本件発明は、スティックタイプの電気掃除機のハンドル及びバッテリーの配置を総合的にレイアウトしたことで、上記課題を解決するに至ったものである。 したがって、ハンドル及びバッテリーの配置に関係する本件発明の上記相違点2に係る構成は、単なる設計事項とはいえない。 (イ)また、甲3、甲5~7には、ハンディタイプの掃除機が開示されているところ、ハンディタイプの掃除機は、延長管を備えることを前提としたものではないから、スティックタイプの電気掃除機において生じ得た、特に延長管をも考慮した本件発明の上記課題は生じ得ず、また、スティックタイプの電気掃除機において、ハンドル及びバッテリーの配置を総合的にレイアウトすることで、本件発明の上記課題を解決するといった技術思想も、生じ得ない。 そうすると、スティックタイプの電気掃除機である甲2発明において、ハンドルやバッテリー等の配置について、ハンディタイプの電気掃除機である、甲3、甲5~7に記載された事項を適用する動機はない。 (ウ)さらに、本件発明の相違点2に係る構成が、「重いものと重いものとの間に持ち手を形成することで、持ち手が下側にくるように構造物を持ち上げたときに、持ち手にかかる重量を持ち手の両側に分散させて重量バランスを整えることができる」といった技術常識(特許異議申立書の92頁参照)に基づいた構成であったとしても、甲2発明において、該技術常識を採用しなければならない理由はなく、また、甲2発明において、該技術常識を採用し得たとしても、本件発明の相違点2に係る具体的な構成には至らない。 (エ)加えて、甲4には、後述するように、甲4発明が記載されている(後述の「7(1)イ」を参照)ところ、甲4の段落0006の「この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、外観意匠性を損なうことなく且つ吸引性能低下及び騒音増大を抑制することが可能な充電式の縦型電気掃除機を提供することを目的とする。」との記載や段落0008の「この発明によれば、集塵器の側面と通風管の円弧面とによって挟まれて形成される隙間に給電部が配置されるので、外観意匠性を損なうことなく且つ吸引性能低下及び騒音増大を抑制することができる。」との記載によれば、甲4発明においてハンドルやバッテリー等の配置は、外観意匠性も考慮してレイアウトされたものであるといえるから、甲2発明において、甲4発明を採用し得たとしても、甲4発明におけるハンドル及びバッテリーの配置について部分的に抽出して採用できる理由はない。 また、甲4発明においても、「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体」、「前記本体部に連設されたバッテリー装着部」及び「バッテリー装着部の後部に設けられた連結部」といった事項については、何ら示されておらず、また、これら事項は、従来周知の技術事項とも、設計事項ともいえないから、仮に、甲2発明において、甲4発明を適用し得たとしても、本件発明の相違点2に係る構成には至らない。 (オ)そうすると、甲2発明において、甲3~7に示される事項及び技術常識を勘案しても、本件発明の相違点2に係る構成とすることはできない。 (カ)以上によれば、相違点1について検討するまでもなく、本件発明は、当業者であっても、甲2に記載された発明及び甲3に記載された発明に基いて、甲2に記載された発明、甲3に記載された公知技術及び技術常識に基いて、又は、甲2に記載された発明及び甲3~7に記載された発明に基いて、容易に発明することができたものではない。 7 申立理由6(甲4を主引用例とした進歩性欠如)について (1)甲4について ア 甲4には、以下の事項が開示されている。 (ア)段落0012及び図2、4、6の開示内容から、接続管5の前端部に開口部を有することが、また、段落0013の開示内容及び技術常識から、円柱形状の集塵器4が、塵埃を捕集する円筒形の集塵容器を有することが、示されているといえる。 また、段落0012の開示内容から、本体ケース3に、電動送風機8及び電池9が収納されることが示されているところ、電動送風機8等を収納した本体ケース3は、駆動部を形成するものといえる。 さらに、段落0012及び図2の開示内容から、駆動部と集塵器4とで、掃除機本体2の掃除機本体部分が形成されていることが示されているといえる。 (イ)段落0012及び図2の開示内容から、接続管5に一端が接続される延長管6、延長管6の他端に接続される床面吸込具7、が示されているといえる。 (ウ)図2、4の開示内容から、集塵器4は、掃除機本体部分における前側であって接続管5の下方に集塵容器の長手方向が接続管5と略平行に配置されていることが示されているといえる。 (エ)段落0012、0015及び図2、4の開示内容から、駆動部において、集塵器4の後側に設けられた手を通すための開口により取っ手10が形成されること、また、取っ手10は、電動送風機8の後側に形成されること、が示されているといえる。 (オ)段落0012、0015及び図2、4の開示内容から、取っ手10は、清掃中に使用者に握られ、かつ電動送風機8の後部を覆うと共に電動送風機8の後側において電池9を覆う本体ケース3の上面と略平行となるように間隔をあけて対向する、取っ手部10において、専ら手で握られる箇所であるグリップ部と、グリップ部よりも短く、かつ、グリップ部から曲がって形成され、グリップ部と本体ケース3の後端から上方に突出する突出部とを連結する後端部分と、を含むことが示されているといえる。 (カ)段落0012、0015及び図2、4の開示内容から、取っ手10は、電動送風機8を収納する本体ケース3に連設された前端部分と後端部分を有し、取っ手10の後端部分が本体ケース3の後部に設けられた突出部に連結されること、また、取っ手10の前端部分が、本体ケース3と取っ手10との接合部分であって、取っ手10と反対側へ突出する接続管5が連設される接合部分に接合されること、が示されているといえる。 (キ)段落0012及び図2、4の開示内容から、掃除機本体2において、電動送風機8の後方にグリップ部が位置すると共に、集塵容器の中心線に対して、下方に電池9が配置され、上方に延長管6、及び床用吸込具7が配置されていることが示されているといえる。 イ 甲4に記載された発明 前記「ア」の開示内容を総合して、本件発明の表現に倣って整理すると甲4には、以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲4発明) 「前端部に開口部を有する接続管5と、塵埃を捕集する円筒形の集塵容器を有する集塵器4と、電動送風機8を収納する駆動部と、前記駆動部の本体ケース3に収納される電池9と、を有する掃除機本体部分と、 前記接続管5に一端が接続される延長管6と、 前記延長管6の他端に接続される床面吸込具7と、を備え、 前記集塵器4は、前記掃除機本体部分における前側であって前記接続管5の下方に前記集塵容器の長手方向が前記接続管5と略平行に配置され、 前記駆動部において、前記集塵器4の後側に設けられた手を通すための開口により取っ手10が形成され、 前記取っ手10は、前記電動送風機8の後側に形成され、 前記取っ手10は、清掃中に使用者に握られ、かつ前記電動送風機8の後部を覆うと共に前記電動送風機8の後側において前記電池9を覆う本体ケース3の上面と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記本体ケース3の後端から上方に突出する突出部とを連結する後端部分と、を含み、 前記取っ手10は、前記電動送風機8を収納する本体ケース3に連設された前端部分と後端部分を有し、 前記取っ手10の後端部分が本体ケース3の後部に設けられた突出部に連結され、 前記取っ手10の前端部分が、前記本体ケース3と前記取っ手10との接合部分であって、前記取っ手10と反対側へ突出する前記接続管5が連設される接合部分に接合され、 前記電動送風機8の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記集塵容器の中心線に対して、下方に前記電池9が配置され、上方に前記延長管6、及び前記床用吸込具7が配置される掃除機本体2。」 (2)対比及び判断 ア 対比 本件発明と甲4発明とを、その有する機能に照らして対比する。 (ア)甲4発明の「開口部」は本件発明の「前方開口部」に相当し、同様に、「接続管5」は「吸込筒部」に、「捕集する」は「集塵する」に、「集塵器4」は「ダストカップユニット」に、「電動送風機8」は「電動送風機」に、「収納する」は「内蔵する」に、「駆動部」は「駆動装置」に、「電池9」は「バッテリー」に、「掃除機本体部分」は「掃除機本体」に、それぞれ相当する。 また、甲4発明の「前記駆動部の本体ケース3に収納される電池9」と、本件発明の「前記駆動装置に着脱可能に装着されるバッテリー」は、「前記駆動装置に装着されるバッテリー」の点で共通する。 そして、甲4発明の「前端部に開口部を有する接続管5と、塵埃を捕集する円筒形の集塵容器を有する集塵器4と、電動送風機8を収納する駆動部と、前記駆動部の本体ケース3に収納される電池9と、を有する掃除機本体部分」と本件発明の「前端部に前方開口部を有する吸込筒部と、塵埃を集塵する円筒形の集塵容器を有するダストカップユニットと、電動送風機を内蔵する駆動装置と、前記駆動装置に着脱可能に装着されるバッテリーと、を有する掃除機本体」とは、「前端部に前方開口部を有する吸込筒部と、塵埃を集塵する円筒形の集塵容器を有するダストカップユニットと、電動送風機を内蔵する駆動装置と、前記駆動装置に装着されるバッテリーと、を有する掃除機本体」の点で共通する。 (イ)甲4発明の「延長管6」は本件発明の「延長管」に相当し、同様に、「床面吸込具7」は「吸込口体」に、それぞれ相当する。 そうすると、甲4発明の「前記接続管5に一端が接続される延長管6と、前記延長管6の他端に接続される床面吸込具7と、を備え」は、本件発明の「前記吸込筒部に一端が接続される延長管と、前記延長管の他端に接続される吸込口体と、を備え」に相当する。 (ウ)甲4発明の「前記集塵器4は、前記掃除機本体部分における前側であって前記接続管5の下方に前記集塵容器の長手方向が前記接続管5と略平行に配置され、」は、本件発明の「前記ダストカップユニットは、前記掃除機本体における前側であって前記吸込筒部の下方に前記集塵容器の長手方向が前記吸込筒部と略平行に配置され、」に相当する。 (エ)甲4発明の「開口」は本件発明の「開口部」に相当し、同様に、「取っ手10」は「ハンドル」に相当する。 そうすると、甲4発明の「前記駆動部において、前記集塵器4の後側に設けられた手を通すための開口により取っ手10が形成され、」は、本件発明の「前記駆動装置において、前記ダストカップユニットの後側に設けられた手を通すための開口部によりハンドルが形成され、」に相当する。 また、甲4発明の「前記取っ手10は、前記電動送風機8の後側に形成され、」と、本件発明の「前記ハンドルは、前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、」とは、「前記ハンドルは、前記電動送風機の後側に形成され、」の点で共通する。 (オ)甲4発明の「使用者」は本件発明の「ユーザー」に相当し、同様に、「連結する後端部分」は「連結する部分」に相当する。 また、甲4発明の「前記電動送風機8の後部を覆うと共に前記電動送風機8の後側において前記電池9を覆う本体ケース3」と、本件発明の「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体」とは、「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記バッテリーを覆う筐体」の点で共通する。 さらに、甲4発明の「前記本体ケース3の後端から上方に突出する突出部」と、本件発明の「前記筐体の後端から後方に突出する連結部」とは、「前記筐体の後端から突出する連結部」の点で共通する。 そうすると、甲4発明の 「前記取っ手10は、清掃中に使用者に握られ、かつ前記電動送風機8の後部を覆うと共に前記電動送風機8の後側において前記電池9を覆う本体ケース3の上面と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記本体ケース3の後端から上方に突出する突出部とを連結する後端部分と、を含み、」と、 本件発明の 「前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、」とは、 「前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記バッテリーを覆う筐体に間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から突出する連結部とを連結する部分と、を含み、」の点で共通する。 (カ)甲4発明の「本体ケース3」は本件発明の「本体部」に相当し、同様に、「前端部分及び後端部分」は「両端部」に、「後端部分」は「後端部」に、「前端部分」は「後端部と逆側の端部」に、「接合部分」は「接合部」に、それぞれ相当する。 また、本件発明の「バッテリー装着部」は「本体部」と連設されるものであることに鑑みると、本件発明の「ハンドル」の「バッテリー装着部」に連設される端部は、本体部に連設されたものであるともいえる。以上によれば、甲4発明の「前記取っ手10は、前記電動送風機8を収納する本体ケース3に連設された前端部分と後端部分を有し、」と、本件発明の「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、」とは、「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部に連設された両端部を有し、」の点で共通する。 さらに、甲4発明の「前記取っ手10の後端部分が本体ケース3の後部に設けられた突出部に連結され、」と、本件発明の「前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、」とは、「前記ハンドルの後端部が前記連結部に連結され、」の点で共通する。 そうすると、甲4発明の 「前記取っ手10は、前記電動送風機8を収納する本体ケース3に連設された前端部分と後端部分を有し、 前記取っ手10の後端部分が本体ケース3の後部に設けられた突出部に連結され、 前記取っ手10の前端部分が、前記本体ケース3と前記取っ手10との接合部分であって、前記取っ手10と反対側へ突出する前記接続管5が連設される接合部分に接合され、」と、 本件発明の 「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」とは、 「前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部に連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、」の点で共通する。 (キ)甲4発明の「掃除機本体2」は本件発明の「電気掃除機」に相当する。 また、本件発明の「前記中心線」とは、前述された「前記集塵容器の中心線」であることが明らかであるから、甲4発明の「前記電動送風機8の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記集塵容器の中心線に対して、下方に前記電池9が配置され、上方に前記延長管6、及び前記床用吸込具7が配置される」は、本件発明の「前記電動送風機の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記(集塵容器の)中心線に対して、下方に前記バッテリーが配置され、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置される」に相当する。 (ク)そうすると、本件発明と甲4発明とは、以下の「一致点2」で一致し、「相違点3」~「相違点4」で相違する。 (一致点2) 「前端部に前方開口部を有する吸込筒部と、塵埃を集塵する円筒形の集塵容器を有するダストカップユニットと、電動送風機を内蔵する駆動装置と、前記駆動装置に装着されるバッテリーと、を有する掃除機本体と、 前記吸込筒部に一端が接続される延長管と、 前記延長管の他端に接続される吸込口体と、を備え、 前記ダストカップユニットは、前記掃除機本体における前側であって前記吸込筒部の下方に前記集塵容器の長手方向が前記吸込筒部と略平行に配置され、 前記駆動装置において、前記ダストカップユニットの後側に設けられた手を通すための開口部によりハンドルが形成され、 前記ハンドルは、前記電動送風機の後側に形成され、 前記ハンドルは、清掃中にユーザーに握られ、かつ前記電動送風機の後部を覆うと共に前記バッテリーを覆う筐体に間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から突出する連結部とを連結する部分と、を含み、 前記ハンドルは、前記電動送風機を内蔵する本体部に連設された両端部を有し、 前記ハンドルの後端部が前記連結部に連結され、 前記ハンドルの前記後端部と逆側の端部が、前記本体部と前記ハンドルとの接合部であって、前記ハンドルと反対側へ突出する前記吸込筒部が連設される前記接合部に接合され、 前記電動送風機の後方に前記グリップ部が位置すると共に、前記集塵容器の中心線に対して、下方に前記バッテリーが配置され、上方に前記延長管、及び前記吸込口体が配置される電気掃除機。」 (相違点3) 本件発明は、バッテリーが「駆動装置に着脱可能に装着される」のに対し、 甲4発明は、電池9が駆動部の本体ケース3に着脱可能に装着されるものか明らかでない点。 (相違点4) ハンドルに関して、本件発明は、 「前記電動送風機の後側、かつ前後方向に沿った前記電動送風機の前方に位置する前記集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成され、」 また、「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向するグリップ部と、前記グリップ部よりも短く、かつ、前記グリップ部から曲がって形成され、前記グリップ部と前記筐体の後端から後方に突出する連結部とを連結する部分と、を含み、」 更に、「前記電動送風機を内蔵する本体部と前記本体部に連設されたバッテリー装着部とに連設された両端部を有し、前記ハンドルの後端部が前記バッテリー装着部の後部に設けられた前記連結部に連結され」たものであるのに対し、 甲4発明は、取っ手10がそのような構成を有したものではない点、すなわち、 取っ手10は電動送風機8の後側に形成されたものではあるものの、前後方向に沿った電動送風機8の前方に位置する集塵容器の中心線と交差する位置を含んで形成されたものではなく、 また、取っ手10のグリップ部は「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体のうち、前記電動送風機の後部を覆う部分と略平行となるように間隔をあけて対向する」ものではなく、取っ手10の後端部分と連結する突出部は、「前記筐体の後端から後方に突出する」ものではなく、 更に、本体ケース3に連設されたバッテリー装着部を有したものでないため、取っ手10の後端部分はバッテリー装着部と連結されたものではない点。 イ 判断 (ア)事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。 上記第5の3で示したとおり、本件発明の解決しようとする課題は、スティックタイプの電気掃除機において、「使用時に掃除機本体およびバッテリーの重量が直接ユーザーの手元にかかること」に伴うユーザーの手元の負担であるところ、本件発明は、延長管、吸込口体及びバッテリーを有することを前提としたスティックタイプの電気掃除機に関するものである。そして、本件発明は、スティックタイプの電気掃除機のハンドル及びバッテリーの配置を総合的にレイアウトしたことで、上記課題を解決するに至ったものである。 したがって、ハンドル及びバッテリーの配置に関係する本件発明の上記相違点4に係る構成は、単なる設計事項とはいえない。 (イ)また、甲3、甲5~7には、ハンディタイプの掃除機が開示されているところ、ハンディタイプの掃除機は、延長管を備えることを前提としたものではないから、スティックタイプの電気掃除機において生じ得た、特に延長管をも考慮した本件発明の上記課題は生じ得ず、また、スティックタイプの電気掃除機において、ハンドル及びバッテリーの配置を総合的にレイアウトすることで、本件発明の上記課題を解決するといった技術思想も、生じ得ない。 また、甲4の段落0006の「この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、外観意匠性を損なうことなく且つ吸引性能低下及び騒音増大を抑制することが可能な充電式の縦型電気掃除機を提供することを目的とする。」との記載や段落0008の「この発明によれば、集塵器の側面と通風管の円弧面とによって挟まれて形成される隙間に給電部が配置されるので、外観意匠性を損なうことなく且つ吸引性能低下及び騒音増大を抑制することができる。」との記載によれば、甲4発明においてハンドルやバッテリー等の配置は、外観意匠性も考慮してレイアウトされたものであるといえる。 そうすると、スティックタイプの電気掃除機である甲4発明において、ハンドルやバッテリー等の配置について、ハンディタイプの電気掃除機である、甲3、甲5~7に記載された事項を適用する動機はないといえるところ、上述した、甲4に開示される電気掃除機の目的や効果を勘案しても、甲4発明において、甲3、甲5~7に記載された事項を適用し、外観意匠性を変更するような構成とする動機はない。 (ウ)さらに、甲2には、前述したように、スティックタイプの電気掃除機である、甲2発明が記載されている(上記「6(1)イ」を参照)。 しかし、上記(イ)でも示したように、甲4の段落0006や0008に記載されるように、甲4発明におけるハンドルやバッテリー等の配置は、外観意匠性も考慮してレイアウトされたものであるといえるから、甲4発明において、甲2発明におけるハンドル及びバッテリーの配置について部分的に抽出した任意の構成を採用して、レイアウト変更をする動機はない。 また、甲2発明においても、「前記電動送風機の後部を覆うと共に前記電動送風機の下側において前記バッテリーを覆う筐体」、「前記本体部に連設されたバッテリー装着部」及び「バッテリー装着部の後部に設けられた連結部」といった事項については、何ら示されておらず、また、これら事項は、従来周知の技術事項とも、設計事項ともいえないから、仮に、甲4発明において、甲2発明を適用し得たとしても、本件発明の相違点4に係る構成には至らない。 (エ)そうすると、甲4発明において、甲2、3、5~7に示される事項を勘案しても、本件発明の相違点4に係る構成とすることはできない。 (オ)以上によれば、相違点3について検討するまでもなく、本件発明は、当業者であっても、甲4に記載された発明及び甲2、3、5~7に記載された発明に基いて、容易に発明することができたものではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700032

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