特許異議申立
2024-700922
ダストユニットと掃除機
- 審判番号
- 2024-700922
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-553314
- 登録番号
- 7456673
- 請求日
- 2024年09月24日
- 審決日
- 2025年05月26日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】バルミューダ株式会社
- 【権利者代理人】西村 啓一
- 【異議申立人】上岡 功
- 審判長/審判官
- 審判長 北村 英隆
- 審判官 関口 哲生
- 審判官 柿崎 拓
- 分類
- P1652.537-YAA(A47L) / P1652.113-YAA(A47L) / P1652.121-YAA(A47L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7456673号発明「ダストユニットと掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7456673号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、〔4、8〕、〔5、6〕、7、9、10について訂正することを認める。
特許第7456673号の請求項5~7、9、10 に係る特許を維持する。
特許第7456673号の請求項1~3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7456673号の請求項1~10に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)9月30日を国際出願日とする出願であって、令和6年3月18日にその特許権の設定登録がされ、令和6年3月27日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 6年 9月24日 : 特許異議申立人上岡 功(以下「特許異議申立人」という。)による請求項1~3、5~7、9、10に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 6年12月25日付け: 取消理由通知書
令和 7年 2月25日 : 特許権者バルミューダ株式会社(以下「特許権者」という。)による意見書及び訂正請求書の提出
なお、以下の第2に示すように、令和7年2月25日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)により、特許請求の範囲を訂正することが認められるため、特許異議の申立ての対象である請求項1~3は削除され、同じく特許異議の申立ての対象である請求項5~7、9、10に係る発明は、特許異議の申立ての対象となっていない請求項4及び8に係る発明が備える「前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であ」るという発明特定事項を備えることとなった。このような事情は、特許法第120条の5第5項の「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」に該当すると認められるから、特許異議申立人に対し、訂正請求書等を送付し、意見書を提出する機会を与えていない。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年2月25日にされた訂正請求の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるというものである。
本件訂正請求で請求された訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4に「前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置である、請求項3記載のダストユニット。」と記載されているのを、
「塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、を有してなり、前記分離ユニットは、前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、を備え、前記ダストケースは、前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、前記壁の内部に配置される内周壁と、を備え、前記壁は、内周面、を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、前記ダストケースは、筒状の形状を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置である、ことを特徴とするダストユニット。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項8も同様に訂正する)。
(5)訂正事項5
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5に「前記分離ユニットは、前記排出部の周囲に周壁、を備え、前記周壁は、前記壁と共に、前記排出部から排出された前記空気が旋回する旋回路を構成する、請求項1記載のダストユニット。」と記載されているのを、
「塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、を有してなり、前記分離ユニットは、前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、を備え、前記ダストケースは、前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、前記壁の内部に配置される内周壁と、を備え、前記壁は、内周面、を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、前記ダストケースは、筒状の形状を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であり、前記分離ユニットは、前記排出部の周囲に周壁、を備え、前記周壁は、前記壁と共に、前記排出部から排出された前記空気が旋回する旋回路を構成する、ことを特徴とするダストユニット。」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する)。
(6)訂正事項6
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7に「ダストユニットを有してなる掃除機であって、前記ダストユニットは、請求項1記載のダストユニットである、ことを特徴とする掃除機。」と記載されているのを、
「ダストユニットを有してなる掃除機であって、前記ダストユニットは、塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、を有してなり、前記分離ユニットは、前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、を備え、前記ダストケースは、前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、前記壁の内部に配置される内周壁と、を備え、前記壁は、内周面、を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、前記ダストケースは、筒状の形状を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置である、ダストユニットである、ことを特徴とする掃除機。」に訂正する。
(7)訂正事項7
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9に「前記ダストケースは、前記塵埃が集塵される底部、を備え、前記底部は、前記壁と前記内周壁と一体に成形され、前記内周壁は、前記底部から突設する、請求項1記載のダストユニット。」と記載されているのを、
「塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、を有してなり、前記分離ユニットは、前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、を備え、前記ダストケースは、前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、前記壁の内部に配置される内周壁と、を備え、前記壁は、内周面、を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、前記ダストケースは、筒状の形状を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であり、前記ダストケースは、前記塵埃が集塵される底部、を備え、前記底部は、前記壁と前記内周壁と一体に成形され、前記内周壁は、前記底部から突設する、ことを特徴とするダストユニット。」に訂正する。
(8)訂正事項8
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10に「前記内周壁の前記内部空間は、前記吸気管の内部空間と連通し、前記吸気路は、前記内周壁の前記内部空間と、前記吸気管の前記内部空間と、で構成される、請求項1記載のダストユニット。」と記載されているのを、
「塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、を有してなり、前記分離ユニットは、前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、を備え、前記ダストケースは、前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、前記壁の内部に配置される内周壁と、を備え、前記壁は、内周面、を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、前記ダストケースは、筒状の形状を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であり、前記内周壁の前記内部空間は、前記吸気管の内部空間と連通し、前記吸気路は、前記内周壁の前記内部空間と、前記吸気管の前記内部空間と、で構成される、ことを特徴とするダストユニット。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
さらに、訂正事項1は、特許異議の申立てがされている本件訂正前の請求項1についてのものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2が、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
さらに、訂正事項2は、特許異議の申立てがされている本件訂正前の請求項2についてのものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、本件訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3が、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
さらに、訂正事項3は、特許異議の申立てがされている本件訂正前の請求項3についてのものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、本件訂正前の請求項3の記載を引用する請求項4の記載を、請求項3の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げられる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項4が、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
さらに、訂正事項4は、特許異議の申立てがされていない本件訂正前の請求項4及び8についてのものであるが、前記したように特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げられる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、同法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項5は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する請求項5の記載を、請求項1の記載を引用しないものとするとともに、本件訂正前の請求項1に記載されたダストケースについて、筒状の形状を備えるという限定を付加し、同じく本件訂正前の請求項1に記載された吸気路について、ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、吸気路の中心は、ダストケースの中心に対して、排出口とは反対側にオフセットした位置であるという限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮、及び同第4号に掲げられる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 新規事項の有無
本件特許の特許明細書等には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下、同様である。)。
(ア)「【請求項1】
塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、
前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、
を有してなり、
前記分離ユニットは、
前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、
前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、
を備え、
前記ダストケースは、
前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、
前記壁の内部に配置される内周壁と、
を備え、
前記壁は、内周面、
を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、
前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、
前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、
前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、
前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成する、
ことを特徴とするダストユニット。
【請求項2】
前記ダストケースは、筒状の形状を備える、
請求項1記載のダストユニット。
【請求項3】
前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備える、
請求項2記載のダストユニット。
【請求項4】
前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置である、
請求項3記載のダストユニット。
【請求項5】
前記分離ユニットは、
前記排出部の周囲に周壁、
を備え、
前記周壁は、前記壁と共に、前記排出部から排出された前記空気が旋回する旋回路を構成する、
請求項1記載のダストユニット。
【請求項6】
前記周壁は、
前記旋回路を旋回する前記空気に含まれる前記塵埃を捕集するフィルタ、
を備え、
前記フィルタを通過した前記空気に含まれる前記塵埃を捕集する第2フィルタを備えるフィルタユニット、
を有してなり、
前記フィルタを通過した前記空気は、前記周壁と前記吸気管とで構成される第2吸気路を介して前記第2フィルタを通過し、
前記第2フィルタを通過した前記空気は、前記ダストユニットの外部に排出される、
請求項5記載のダストユニット。
【請求項7】
ダストユニットを有してなる掃除機であって、
前記ダストユニットは、請求項1記載のダストユニットである、
ことを特徴とする掃除機。
【請求項8】
前記吸気路の中心から前記排出部の先端を通る前記壁の前記内周面までの距離は、前記ダストケースの中心から前記排出部の先端を通る前記壁の前記内周面までの距離よりも長い、
請求項4記載のダストユニット。
【請求項9】
前記ダストケースは、
前記塵埃が集塵される底部、
を備え、
前記底部は、前記壁と前記内周壁と一体に成形され、
前記内周壁は、前記底部から突設する、
請求項1記載のダストユニット。
【請求項10】
前記内周壁の前記内部空間は、前記吸気管の内部空間と連通し、
前記吸気路は、前記内周 壁の前記内部空間と、前記吸気管の前記内部空間と、で構成される、
請求項1記載のダストユニット。」
(イ)「【0063】
ダストユニット500は、吸引口110(図2参照)を通過したゴミを含む空気から、ゴミを分離する。ダストユニット500は、ダストケース510と、分離ユニット520と、フィルタユニット530と、を備える。
【0064】
ダストケース510は、分離ユニット520を内部に収容する。ダストケース510の上部(図8における紙面上方)には、フィルタユニット530が配置される。ダストケース510は、吸引された空気から分離されたゴミを集塵する。ダストケース510は、例えば、透明または半透明のプラスチックで構成される。ダストボックス32が本体部31に収容されているとき、ダストケース510は、本体部31の外部から視認可能である。すなわち、ダストケース510の内部に集塵されたゴミは、掃除機用本体30の外部から視認可能である。ダストケース510は、外周壁511と、内周壁512と、底部513と、足部514と、を備える。ダストケース510は、上部が開口する有底の略中空円筒状である。
【0065】
外周壁511は、ダストケース510の外枠で、分離ユニット520から排出された空気を旋回させる壁である。外周壁511は、円筒状である。外周壁511の上部には、フィルタユニット530が配置される。
【0066】
内周壁512は、外周壁511の内側に、外周壁511と略平行に配置される。内周壁512は、底部513から上方に向けて突設する。内周壁512の内周面で囲まれた内部の空間(以下「内周壁512の内部空間」という。)は、分離ユニット520の後述される吸気管521と共に、第1吸気路P1を構成する。すなわち、内周壁512の内部空間は、第1吸気路P1の一部である。内周壁512は、外周壁511と底部513と共に、集塵空間DSを構成する。内周壁512の底部513からの高さは、外周壁511の底部513からの高さの略半分である。内周壁512の上部は、分離ユニット520に接続される。第1吸気路P1と集塵空間DSとの詳細は、後述される。
【0067】
底部513は、ダストケース510の底である。底部513には、ダストケース510の内部で分離されたゴミが集塵(蓄積)される。底部513は、ダストケース510の正面側(図10における紙面右側)から背面側(図10における紙面左側)に掛けて、上方に傾斜するテーパ面である。すなわち、底部513のうち、背面側の底部513の高さ位置(図10における紙面上下方向の位置)は、正面側の底部513の高さ位置よりも高い。
【0068】
足部514は、ダストケース510を水平に維持する。足部514は、底部513の下面に配置される。足部514は、図10に示されるように、ダストケース510の正面側(図10における紙面右側)から背面側(図10における紙面左側)に掛けて延びる板状の部材である。また、足部514は、図8に示されるように、底部513の左右に配置される。
【0069】
ダストケース510を構成する外周壁511と、内周壁512と、底部513とは、一体に成形される。ダストケース510の上端は、図10に示されるように、側面断面視において、水平である。すなわち、テーパ面である底部513の傾きにより、背面側の外周壁511における底部513からダストケース510の上端までの長さは、正面側の外周壁511における底部513からダストケース510の上端までの長さよりも短い。
【0070】
図10に示される2つの一点鎖線のうち紙面右側の一点鎖線、および、図11に示される2つの黒丸のうち紙面下側の黒丸は、ダストケース510の内径(外周壁511の内径)の中心軸(中心軸線)Xである。
【0071】
分離ユニット520は、ダストケース510と共に、ゴミを含む空気の旋回流を形成する(生成する)。分離ユニット520は、吸気管521と、排出部522と、周壁523と、傘部524と、を備える。
【0072】
図12は、分離ユニット520の側面図である。
分離ユニット520に関する以下の説明は、図8-図11も合わせて参照される。
【0073】
吸気管521は、内部に空間を備える。吸気管521の内部空間は、ダストケース510の内周壁512の内部空間と連通する。吸気管521の内部空間は、図11に示されるように、断面視で円形である。前述のとおり、吸気管521の内部空間は、内周壁512の内部空間と共に、第1吸気路P1を構成する。すなわち、吸気管521の内部空間は、第1吸気路P1の一部である。
【0074】
第1吸気路P1は、吸引口110を通過したゴミを含む空気が通過する流路である。第1吸気路P1は、内周壁512の内部空間と、吸気管521の内部空間と、で構成される。第1吸気路P1は、本発明における吸気路の例である。第1吸気路P1は、断面視で円形の流路である。
【0075】
図10に示される2つの一点鎖線のうち紙面左側の一点鎖線、および、図11に示される2つの黒丸のうち紙面上側の黒丸は、第1吸気路P1の内径の中心軸(中心軸線)Yである。
【0076】
図10に示されるように、中心軸Yは、中心軸Xに重ならない。また、図10に示されるように、中心軸Yの軸方向は、中心軸Xの軸方向に平行である。すなわち、第1吸気路P1は、ダストケース510の内径(外周壁511の内径)の中心から外周壁511側にオフセットされた位置に配置される。つまり、ダストケース510内に配置された第1吸気路P1は、ダストケース510の外周壁511と同軸に配置されていない。
【0077】
図13は、第1吸気路P1の中心(中心軸Y)と、ダストケース510の外周壁511との距離を示す模式図である。
図14は、ダストケース510の中心(中心軸X)と、ダストケース510の外周壁511との距離を示す模式図である。
【0078】
図13、図14に示されるように、第1吸気路P1の中心(中心軸Y)から、排出部522の先端を通るダストケース510の外周壁511の内周面までの距離L1は、ダストケース510の中心(中心軸X)から、排出部522の先端を通るダストケース510の外周壁511の内周面までの距離L2よりも長い。すなわち、第1吸気路P1がダストケース510の内径(外周壁511の内径)の中心からオフセットされる方向は、排出口5221とは反対側の外周壁511の方向である。
【0079】
図8-図12に戻る。
排出部522は、吸気管521の一部であり、吸気管521の第1吸気路P1を構成する部分から外周壁511側に突出する。排出部522は、第1吸気路P1からのゴミを含む空気を排出する部分である。排出部522は、排出口5221を備える。排出部522は、排出口5221を介して、第1吸気路P1からのゴミを含む空気を外周壁511に向けて排出する。排出部522から排出された空気は、外周壁511の内周面に沿って旋回する。
【0080】
周壁523は、排出部522の周囲、かつ、吸気管521の外周側に配置される。周壁523の外周面は、外周壁511の内周面と共に、旋回路SPを構成する。周壁523の内周面は、吸気管521の外周面と共に、第2吸気路P2を構成する。旋回路SPと第2吸気路P2との詳細は、後述される。周壁523は、フィルタ取付枠5231と第1フィルタF1を備える。
【0081】
旋回路SPは、排出部522(排出口5221)から排出されたゴミを含む空気が旋回する流路である。旋回路SPを旋回するゴミを含む空気は、旋回流の遠心力により、綿ゴミや髪の毛などの大きいゴミと、塵埃を含む空気と、に遠心分離される。すなわち、旋回路SPは、サイクロン空間である。旋回路SPを旋回して、遠心分離された大きいゴミは、外周壁511の内周面に押し付けられる。外周壁511の内周面に押し付けられたゴミへの旋回流からの旋回力は、弱まる。その結果、ゴミは、外周壁511の内周面から落下して、集塵空間DSに集塵(蓄積)される。一方、旋回路SPを旋回して、大きいゴミが遠心分離された後の塵埃を含む空気は、第1フィルタF1に向かう。」
前記(イ)の段落【0071】、【0080】、【0081】によると、分離ユニット520が、排出部522の周囲に周壁523を備え、周壁523の外周面は、外周壁511の内周面と共に、排出部522から排出されたゴミを含む空気が旋回する流路である旋回路SPを構成することが把握でき、前記(イ)の段落【0064】、【0070】、【0075】、【0076】、【0078】によると、ダストケース510が略中空円筒状であり、第1吸気路P1の内径の中心軸Yの軸方向が、ダストケース510の内径の中心軸Xの軸方向に平行であり、第1吸気路P1は、ダストケース510の内径の中心から、排出口5221とは反対側の外周壁511の方向にオフセットされた位置に配置されていることが把握できる。
すると、特許明細書等には、前記(ア)の請求項5に記載された事項と、前記(ア)の請求項2~4に記載された事項とをともに備えたダストユニットが開示されているといえるから、訂正事項5は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、前記アに示したように、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 独立特許要件
訂正事項5は、特許異議の申立てがされている本件訂正前の請求項5及び6についてのものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項6は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する請求項7の記載を、請求項1の記載を引用しないものとするとともに、本件訂正前の請求項1に記載されたダストケースについて、筒状の形状を備えるという限定を付加し、同じく本件訂正前の請求項1に記載された吸気路について、ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、吸気路の中心は、ダストケースの中心に対して、排出口とは反対側にオフセットした位置であるという限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮、及び同第4号に掲げられる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 新規事項の有無
本件特許の特許明細書等には、前記(5)イ(ア)及び(イ)に加えて、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0013】
掃除機1は、清掃面上の塵埃などのゴミを吸い取る。掃除機1は、掃除機用ヘッド10と、自在継手部20と、掃除機用本体30と、ハンドル40と、を有してなる。
・・・(中略)・・・
【0041】
掃除機用本体30は、本体部31と、ダストボックス32と、を備える。掃除機用本体30は、ハンドル40(図1参照)と着脱可能である。掃除機用本体30の一端(図4における紙面下端)は、自在継手部20(図1参照)に接続される。掃除機用本体30の他端(図4における紙面上端)は、ハンドル40に接続される。掃除機用本体30は、略筒状である。本体部31は、ハンドル着脱部33と、ハンドル取外部34と、排気口35と、吸引モータ(不図示)と、バッテリ(不図示)と、を備える。
・・・(中略)・・・
【0062】
ダストボックス32は、ダストユニット500とカバーユニット500Cとを有してなる。」
前記(ア)によると、ダストユニット500を有してなるダストボックス32を備えた掃除機用本体30を有する掃除機1が把握でき、前記(5)イ(イ)の段落【0064】、【0070】、【0075】、【0076】、【0078】によると、ダストユニット500のダストケース510が略中空円筒状であり、第1吸気路P1の内径の中心軸Yの軸方向が、ダストケース510の内径の中心軸Xの軸方向に平行であり、第1吸気路P1は、ダストケース510の内径の中心から、排出口5221とは反対側の外周壁511の方向にオフセットされた位置に配置されていることが把握できる。
すると、特許明細書等には、前記(5)イ(ア)の請求項7に記載された掃除機のダストユニットが、前記(5)イ(ア)の請求項2~4に記載された事項をも備えていることが開示されているといえるから、訂正事項6は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、前記アに示したように、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 独立特許要件
訂正事項6は、特許異議の申立てがされている本件訂正前の請求項7についてのものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する請求項9の記載を、請求項1の記載を引用しないものとするとともに、本件訂正前の請求項1に記載されたダストケースについて、筒状の形状を備えるという限定を付加し、同じく本件訂正前の請求項1に記載された吸気路について、ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、吸気路の中心は、ダストケースの中心に対して、排出口とは反対側にオフセットした位置であるという限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮、及び同第4号に掲げられる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 新規事項の有無
前記(5)イ(イ)の段落【0064】、【0066】、【0067】、【0069】によると、ダストケース510が、ゴミが集塵される底部513を備え、底部513は、ダストケース510を構成する外周壁511と内周壁512と一体に成形され、内周壁512は、底部513から上方に向けて突設することが把握でき、前記(5)イ(イ)の段落【0064】、【0070】、【0075】、【0076】、【0078】によると、ダストケース510が略中空円筒状であり、第1吸気路P1の内径の中心軸Yの軸方向が、ダストケース510の内径の中心軸Xの軸方向に平行であり、第1吸気路P1は、ダストケース510の内径の中心から、排出口5221とは反対側の外周壁511の方向にオフセットされた位置に配置されていることが把握できる。
すると、特許明細書等には、前記(5)イ(ア)の請求項9に記載された事項と、前記(5)イ(ア)の請求項2~4に記載された事項とをともに備えたダストユニットが開示されているといえるから、訂正事項7は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、前記アに示したように、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 独立特許要件
訂正事項7は、特許異議の申立てがされている本件訂正前の請求項9についてのものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項8は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する請求項10の記載を、請求項1の記載を引用しないものとするとともに、本件訂正前の請求項1に記載されたダストケースについて、筒状の形状を備えるという限定を付加し、同じく本件訂正前の請求項1に記載された吸気路について、ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、吸気路の中心は、ダストケースの中心に対して、排出口とは反対側にオフセットした位置であるという限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられる特許請求の範囲の減縮、及び同第4号に掲げられる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 新規事項の有無
前記(5)イ(イ)の段落【0073】によると、ダストケース510の内周壁512の内部空間が、吸気管521の内部空間と連通し、第1吸気路P1が、内周壁512の内部空間と、吸気管521の内部空間とで構成されることが把握でき、前記(5)イ(イ)の段落【0064】、【0070】、【0075】、【0076】、【0078】によると、ダストケース510が略中空円筒状であり、第1吸気路P1の内径の中心軸Yの軸方向が、ダストケース510の内径の中心軸Xの軸方向に平行であり、第1吸気路P1は、ダストケース510の内径の中心から、排出口5221とは反対側の外周壁511の方向にオフセットされた位置に配置されていることが把握できる。
すると、特許明細書等には、前記(5)イ(ア)の請求項10に記載された事項と、前記(5)イ(ア)の請求項2~4に記載された事項とをともに備えたダストユニットが開示されているといえるから、訂正事項8は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8は、前記アに示したように、特許請求の範囲の減縮、及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 独立特許要件
訂正事項8は、特許異議の申立てがされている本件訂正前の請求項10についてのものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~10について、請求項2~10は、直接的又は間接的に請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1~10は、一群の請求項を構成している。
そして、本件訂正請求は、訂正事項1~8により、本件訂正前の請求項1~10について訂正しようとするものであり、一群の請求項1~10に対して請求されているから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
なお、本件訂正後の請求項4及び8、請求項5及び6、請求項7、請求項9並びに請求項10に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められる場合には、請求項4及び8、請求項5及び6、請求項7、請求項9並びに請求項10に係る訂正が、一群の請求項の他の請求項に係る訂正とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
4 まとめ
前記のとおり、訂正事項1~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~3〕、〔4、8〕、〔5、6〕、7、9、10について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~10に係る発明(以下、請求項順に「本件特許発明1」~「本件特許発明10」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、
前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、
を有してなり、
前記分離ユニットは、
前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、
前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、
を備え、
前記ダストケースは、
前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、
前記壁の内部に配置される内周壁と、
を備え、
前記壁は、内周面、
を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、
前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、
前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、
前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、
前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、
前記ダストケースは、筒状の形状を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、
前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置である、
ことを特徴とするダストユニット。
【請求項5】
塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、
前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、
を有してなり、
前記分離ユニットは、
前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、
前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、
を備え、
前記ダストケースは、
前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、
前記壁の内部に配置される内周壁と、
を備え、
前記壁は、内周面、
を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、
前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、
前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、
前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、
前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、
前記ダストケースは、筒状の形状を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、
前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であり、
前記分離ユニットは、
前記排出部の周囲に周壁、
を備え、
前記周壁は、前記壁と共に、前記排出部から排出された前記空気が旋回する旋回路を構成する、
ことを特徴とするダストユニット。
【請求項6】
前記周壁は、
前記旋回路を旋回する前記空気に含まれる前記塵埃を捕集するフィルタ、
を備え、
前記フィルタを通過した前記空気に含まれる前記塵埃を捕集する第2フィルタを備えるフィルタユニット、
を有してなり、
前記フィルタを通過した前記空気は、前記周壁と前記吸気管とで構成される第2吸気路を介して前記第2フィルタを通過し、
前記第2フィルタを通過した前記空気は、前記ダストユニットの外部に排出される、
請求項5記載のダストユニット。
【請求項7】
ダストユニットを有してなる掃除機であって、
前記ダストユニットは、
塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、
前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、
を有してなり、
前記分離ユニットは、
前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、
前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、
を備え、
前記ダストケースは、
前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、
前記壁の内部に配置される内周壁と、
を備え、
前記壁は、内周面、
を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、
前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、
前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、
前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、
前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、
前記ダストケースは、筒状の形状を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、
前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置である、ダストユニットである、
ことを特徴とする掃除機。
【請求項8】
前記吸気路の中心から前記排出部の先端を通る前記壁の前記内周面までの距離は、前記ダストケースの中心から前記排出部の先端を通る前記壁の前記内周面までの距離よりも長い、
請求項4記載のダストユニット。
【請求項9】
塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、
前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、
を有してなり、
前記分離ユニットは、
前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、
前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、
を備え、
前記ダストケースは、
前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、
前記壁の内部に配置される内周壁と、
を備え、
前記壁は、内周面、
を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、
前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、
前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、
前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、
前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、
前記ダストケースは、筒状の形状を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、
前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であり、
前記ダストケースは、
前記塵埃が集塵される底部、
を備え、
前記底部は、前記壁と前記内周壁と一体に成形され、
前記内周壁は、前記底部から突設する、
ことを特徴とするダストユニット。
【請求項10】
塵埃を含む空気の旋回流を形成する分離ユニットと、
前記分離ユニットを内部に収容するダストケースと、
を有してなり、
前記分離ユニットは、
前記空気が通過する吸気路を構成する吸気管と、
前記吸気路からの前記空気を排出する排出口を備える排出部と、
を備え、
前記ダストケースは、
前記排出部から排出された前記空気を旋回させる外枠の壁と、
前記壁の内部に配置される内周壁と、
を備え、
前記壁は、内周面、
を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され、
前記吸気路からの前記空気は、前記排出部から前記壁の前記内周面に向けて排出され、
前記排出部から排出された前記空気は、前記壁の前記内周面に沿って旋回して、
前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、
前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して、
前記ダストケースは、筒状の形状を備え、
前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、
前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であり、
前記内周壁の前記内部空間は、前記吸気管の内部空間と連通し、
前記吸気路は、前記内周壁の前記内部空間と、前記吸気管の前記内部空間と、で構成される、
ことを特徴とするダストユニット。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~3、5~7、9、10に係る特許に対して、当審が令和6年12月25日付けで特許権者に通知した取消理由の概略は、次のとおりである。
(サポート要件)請求項1~3、5~7、9、10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 当審の判断
(1)特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明において当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えるものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えるものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。
(2)そこで、この点について検討すると、まず、本件特許発明5~7、9、10に係る特許請求の範囲の記載は、前記「第3 本件特許発明」に示すとおりであり、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、次の事項が記載されている。
ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、一般的に、吸気路の中心から吸気路の出口までの距離が長いと、ダストユニットの内部で空気を旋回させる旋回力は、高まる。旋回力が高まると、ダストユニットにおけるゴミと空気との分離機能は、高まる。そのため、ゴミと空気との分離機能を高めるためには、ダストユニットの径を大きくすることが考えられる。しかしダストユニットの径を大きくすると、掃除機全体が大型化する。
【0007】
本発明は、ダストユニットの径を大きくすることなく、ゴミと空気との分離機能を高めることができるダストユニットを実現することを目的とする。」
イ 「【0064】
ダストケース510は、分離ユニット520を内部に収容する。ダストケース510の上部(図8における紙面上方)には、フィルタユニット530が配置される。ダストケース510は、吸引された空気から分離されたゴミを集塵する。ダストケース510は、例えば、透明または半透明のプラスチックで構成される。ダストボックス32が本体部31に収容されているとき、ダストケース510は、本体部31の外部から視認可能である。すなわち、ダストケース510の内部に集塵されたゴミは、掃除機用本体30の外部から視認可能である。ダストケース510は、外周壁511と、内周壁512と、底部513と、足部514と、を備える。ダストケース510は、上部が開口する有底の略中空円筒状である。
・・・(中略)・・・
【0070】
図10に示される2つの一点鎖線のうち紙面右側の一点鎖線、および、図11に示される2つの黒丸のうち紙面下側の黒丸は、ダストケース510の内径(外周壁511の内径)の中心軸(中心軸線)Xである。
・・・(中略)・・・
【0075】
図10に示される2つの一点鎖線のうち紙面左側の一点鎖線、および、図11に示される2つの黒丸のうち紙面上側の黒丸は、第1吸気路P1の内径の中心軸(中心軸線)Yである。
【0076】
図10に示されるように、中心軸Yは、中心軸Xに重ならない。また、図10に示されるように、中心軸Yの軸方向は、中心軸Xの軸方向に平行である。すなわち、第1吸気路P1は、ダストケース510の内径(外周壁511の内径)の中心から外周壁511側にオフセットされた位置に配置される。つまり、ダストケース510内に配置された第1吸気路P1は、ダストケース510の外周壁511と同軸に配置されていない。
【0077】
図13は、第1吸気路P1の中心(中心軸Y)と、ダストケース510の外周壁511との距離を示す模式図である。
図14は、ダストケース510の中心(中心軸X)と、ダストケース510の外周壁511との距離を示す模式図である。
【0078】
図13、図14に示されるように、第1吸気路P1の中心(中心軸Y)から、排出部522の先端を通るダストケース510の外周壁511の内周面までの距離L1は、ダストケース510の中心(中心軸X)から、排出部522の先端を通るダストケース510の外周壁511の内周面までの距離L2よりも長い。すなわち、第1吸気路P1がダストケース510の内径(外周壁511の内径)の中心からオフセットされる方向は、排出口5221とは反対側の外周壁511の方向である。」
ウ 「【0096】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、ダストユニット500は、分離ユニット520と、分離ユニット520を収容するダストケース510と、を有してなる。分離ユニット520は、塵埃(ゴミ)を含む空気の旋回流を形成する。分離ユニット520は、空気が通過する吸気路(第1吸気路)P1を構成する吸気管521と、吸気路P1からの空気を排出する排出口5221と、を備える。ダストケース510は、排出部522から排出された空気を旋回させる壁(外周壁)511を備える。吸気路P1は、ダストケース510の中心から壁511側にオフセットされた位置に配置される。この構成によれば、吸気路P1の中心から壁511までの距離は、吸気路P1がオフセットして配置されている分だけ長くなる。そのため、吸気路P1を出てから壁511に当たって旋回流が形成されるまでの空気の移動距離は、吸気路がオフセットされていない場合に比べて、長くなる。その結果、ダストユニット500は、吸気路P1を出て旋回流が形成されるまでの空気の旋回角度を大きくできる。つまり、ダストユニット500は、吸気路P1を出て旋回流が形成されるまでの空気の圧損を抑制できる。これにより、ダストユニット500は、吸気路P1を出て旋回流が形成されるまでの空気の旋回角度を大きくするためにダストケース510の径を大きくする必要がない。さらに、ダストユニット500は、吸気路P1を出て旋回流が形成されるまでの空気の圧損を抑制できるので、吸気路P1から出た空気からのゴミの分離機能を高める。
【0097】
また、以上説明した実施の形態によれば、吸気路P1は、吸気路P1の中心軸Yがダストケース510の中心軸Xに対して排出口5221とは反対側にオフセットされた位置に配置される。この構成によれば、前述のとおり、吸気路P1の中心から壁511までの距離は、排出口5221とは反対側に吸気路P1がオフセットされている分だけ長くなる。そのため、吸気路P1を出て旋回流が形成されるまでの空気の移動距離は、吸気路P1がオフセットされていない場合に比べて、長くなる。その結果、ダストユニット500は、ダストケースの小型化を実現しつつ、ゴミの分離機能を高める。」
(3)前記(2)アの記載によると、吸気路の中心から吸気路の出口までの距離が長いと、ダストユニットの内部で空気を旋回させる旋回力が高まり、ゴミと空気との分離機能が高まるが、ダストユニットの径を大きくすると、掃除機全体が大型化するという前提のもと、ダストユニットの径を大きくすることなく、ゴミと空気との分離機能を高めることを、発明が解決しようとする課題としていることが把握できる。
(4)そして、前記(2)ウによると、ダストユニット500が、ダストケースの小型化を実現しつつ、ゴミの分離機能を高めるために、第1吸気路P1を出て旋回流が形成されるまでの空気の移動距離が長くなるように、第1吸気路P1の中心から壁511までの距離を長くすべく、第1吸気路P1を、ダストケース510の中心から、排出口5221とは反対側にオフセットされた位置に配置することが把握できる。
また、前記(2)イによると、この第1吸気路P1を、ダストケース510の中心から、排出口5221とは反対側にオフセットされた位置に配置することの前提として、ダストケース510が、略中空円筒状であり、該ダストケース510の中心軸Xの軸方向と、第1吸気路P1の中心軸Yの軸方向が平行になっていることが理解できる。
以上によると、発明の詳細な説明において、当業者は、ダストケース510が、略中空円筒状であり、該ダストケース510の中心軸Xの軸方向と、第1吸気路P1の中心軸Yの軸方向が平行になっているものにおいて、第1吸気路P1が、ダストケース510の中心から、排出口5221とは反対側にオフセットされた位置に配置される構成により、前記(3)に示した課題を解決できると認識できる。
(5)そして、本件特許発明5~7、9、10は、いずれも「前記ダストケースは、筒状の形状を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であ」るという発明特定事項を備えるものであり、これは、前記(4)に示した、発明の詳細な説明において、当業者が前記課題を解決できると認識できる構成に対応するものである。ここで、本件特許発明5~7、9、10は、ダストケースの形状について、「筒状」と特定されているのみであり、「略中空円筒状」とは特定されていないが、ダストケースの形状は、前記(3)に示した課題を解決する上で、第1吸気路P1の中心軸Yの軸方向に平行な、中心軸Xの軸方向を特定できれば十分といえる。そして、ダストケースの形状について、「筒状」と特定されていれば、中心軸Xの軸方向を特定できるから、本件特許発明5~7、9、10は、前記(3)に示した課題を解決できると認識できる構成を備えているといえる。
(6)そうすると、本件特許発明5~7、9、10は、発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明において、当業者が前記課題を解決できると認識できる範囲のものである。
したがって、特許請求の範囲の請求項5~7、9、10の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)に適合するものである。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の概要
特許異議申立書において、特許異議申立人が申立てた、特許異議申立理由のうち、令和6年12月25日付けの取消理由通知で採用しなかった理由の概要は、次のとおりである。
(根拠1)特許法第29条第1項第3号又は第2項
請求項1~3、5~7、10に係る発明は、甲第1号証(以下「甲1」という。甲第2号証等についても、同様に「甲2」等という。)に記載された発明であるか、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(根拠2)特許法第29条第2項
請求項1~3、5~7、10に係る発明は、甲2に記載された発明、並びに甲1、甲4及び甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(根拠3)特許法第29条第2項
請求項1~3、5~7に係る発明は、甲3に記載された発明、及び甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(根拠4)特許法第29条第2項
請求項1~3、5~7に係る発明は、甲3に記載された発明、並びに甲1、甲4及び甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
甲1:中国実用新案第203724037号明細書
甲2:特開2017-56207号公報
甲3:中国実用新案第204722978号明細書
甲4:中国実用新案第208942000号明細書
甲5:米国特許出願公開第2005/0081321号明細書
2 根拠1について
(1)甲1について
甲1の段落[0035]~[0038]、[0042]、図1~図3等によると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「空気と塵粒に第1の集塵チャンバ42内で円周遠心運動を行わせる塵埃分離器40と、
前記塵埃分離器40を内部に設けるハウジング30と、
を有してなり、
前記塵埃分離器40は、
外部から塵埃を運ぶ空気が吸い込まれる第1のインレットパイプ41と、
前記第1のインレットパイプ41によって吸い込まれた空気を第1の螺旋風路43に沿って後方から前方へ螺旋状に吹き出す、傾斜した第1の通気口432と、
を備え、
前記ハウジング30は、
前記第1のインレットパイプ41の外壁との間で前記第1の集塵チャンバ42を形成する部分と、
前記第1のインレットパイプ41の先端部が接続される空気入り口31と、
を備え、
前記第1のインレットパイプ41は、前記第1の螺旋風路43に向かって傾斜しており、
前記ハウジング30は、中空の弾丸形状を呈しており、
前記塵埃分離器40は、
複数の小孔441によって前記第1の集塵チャンバ42と連通する第2のインレットパイプ44、
を備える、
集塵部200。」
(2)本件特許発明5について
ア 対比
本件特許発明5と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点1-1>
本件特許発明5は、ダストケースが「前記壁の内部に配置される内周壁」を備え、「前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して」いるのに対し、甲1発明は、塵埃分離器40が第1のインレットパイプ41を備え、その先端部がハウジング30の空気入り口31に接続されるものの、ハウジング30が前記のような内周壁を備えていない点。
<相違点1-2>
本件特許発明5は、「前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され」、「前記ダストケースは、筒状の形状を備え、前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であ」るのに対し、甲1発明は、第1のインレットパイプ41は、第1の螺旋風路43に向かって傾斜しており、また、ハウジング30は、中空の弾丸形状を呈しているものであるから、ハウジング30が筒状の形状を備えているとはいえず、第1のインレットパイプ41内の塵埃を運ぶ空気の経路や、該経路の中心が、前記のようにオフセットされているとはいえない点。
イ 判断
以下、事案に鑑みて、相違点1-2から検討する。
まず、本件特許発明5は、前記相違点1-2に係る発明特定事項を備えることにより、吸気路の中心から壁までの距離が長くなり、吸気路を出て旋回流が形成されるまでの空気の移動距離が長くなるため、ダストケースの小型化を実現しつつ、ゴミの分離機能を高めるという作用効果を奏するものである(前記第4 2(2)ウ参照。)。一方、甲1発明は、このような作用効果を奏するとはいえないから、本件特許発明5の前記相違点1-2に係る発明特定事項は、単なる設計事項とはいえず、該相違点1-2は、実質的な相違点である。
次に、甲1発明において、本件特許発明5の相違点1-2に係る発明特定事項を備えることが、当業者が容易に想到し得るものであるか否かを検討する。
甲1には、第1のインレットパイプ41の中心を、ハウジング30の中心に対して、第1の通気口432とは反対側にオフセットした位置とすることについて、何ら記載も示唆もされていない。また、甲1には、塵粒や塵埃等の分離機能を高めるべく、第1のインレットパイプ41の中心から、空気等がハウジング30に当たるまでの距離を長くすることについても、何ら記載も示唆もされていないから、第1のインレットパイプ41の中心を、ハウジング30の中心に対して、第1の通気口432とは反対側にオフセットさせる動機付けもないといえる。したがって、甲1発明において、本件特許発明5の相違点1-2に係る発明特定事項を備えることは、当業者といえども、容易に想到し得たものではない。
なお、本件特許発明5の相違点1-2に係る発明特定事項は、本件訂正前の請求項4に記載された事項に対応するものであって、前記した合議体の判断は、請求項4に係る特許に特許異議の申立てがされていないことと整合するものである。
ウ まとめ
以上によると、相違点1-1について、検討するまでもなく、本件特許発明5は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件特許発明6、7、10について
本件特許発明6、7、10についても、本件特許発明5の相違点1-2に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(2)に示した本件特許発明5についての理由と同様の理由により、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 根拠2について
(1)甲2について
甲2の段落【0024】、【0025】、【0027】、【0029】、【0030】、図1、図2等によると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「分離器本体22の端部壁26から通じている第1の部分と、サイクロン式分離チャンバ28の内部における回転流れが促進されるように、ラジアル方向成分及び周方向成分の両方を有する方向に延在している第2の部分とを有する中央ダクト30と、
前記中央ダクト30を囲んでいる前記サイクロン式分離チャンバ28を形成する円筒状の外壁24を有している分離器本体22と、
を有してなり、
前記中央ダクト30は、
前記端部壁26から前記サイクロン式分離チャンバ28の入口32に至るまで延在している部分と、
前記サイクロン式分離チャンバ28の入口32と、
を備え、
前記分離器本体22は、
前記サイクロン式分離チャンバ28を形成する円筒状の外壁24と、
ピボット40を介して、前記外壁24に接続される前記端部壁26と、
を有し、
前記中央ダクト30は、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xと同軸に延在しており、
前記サイクロン式分離チャンバ28の内部の中央に配置されており、前記サイクロン式分離チャンバ28の軸線と同軸に延在している円筒状のシュラウド45、
を備える、
サイクロン式分離ユニット8。」
(2)本件特許発明5について
ア 対比
本件特許発明5と甲2発明とを対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点2-1>
本件特許発明5は、ダストケースが「前記壁の内部に配置される内周壁」を備え、「前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して」いるのに対し、甲2発明は、中央ダクト30が、分離器本体22の端部壁26からサイクロン式分離チャンバ28の入口32に至るまで延在している部分を備えるものの、分離器本体22が前記のような内周壁を備えていない点。
<相違点2-2>
本件特許発明5は、「前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され」、「前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であ」るのに対し、甲2発明は、中央ダクト30がサイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xと同軸に延在しているから、中央ダクト30内の吸気路や、吸気路の中心が、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xに対して、前記のようにオフセットされているとはいえない点。
イ 判断
以下、事案に鑑みて、相違点2-2から検討する。
甲2の段落【0041】には、「代替的な構成では、入口ダクトが、サイクロン式分離ユニット8の軸線から離隔している。・・・(中略)・・・。例えば、入口ダクトは、サイクロン式分離ユニットの軸線に沿って見た場合に、ダクトがサイクロン式分離ユニットの輪郭の内側に延在しているように、サイクロン式分離ユニットの側面に窪んで形成されている場合がある。」と記載されており、該記載によると、甲2発明の「前記中央ダクト30は、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xと同軸に延在して」いるという事項は必須のものではないと把握でき、中央ダクト30が、サイクロン式分離ユニット8の中心からオフセットされた位置に配置されることが示唆されている。同様に、甲2の図2の図示内容を踏まえると、中央ダクト30が、円筒状の外壁24を有する分離器本体22の中心からオフセットされた位置に配置されることも示唆されている。しかしながら、甲2には、塵埃等の分離機能を高めるべく、中央ダクト30の中心から、空気等が分離器本体22の外壁24に当たるまでの距離を長くすることについて、何ら記載も示唆もされていないから、中央ダクト30のオフセットする方向を、分離器本体22の中心に対して、サイクロン式分離チャンバ28の入口32とは反対側とする動機付けはない。
また、甲1、甲4および甲5のいずれにも、「前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であ」ることに対応する事項は、何ら記載も示唆もされておらず、前記の事項は、この出願の出願前から周知の技術であるともいえない。したがって、甲2発明において、甲1、甲4及び甲5に記載された事項を適用したとしても、本件特許発明5の相違点2-2に係る発明特定事項とはならない。
以上によると、甲2発明において、甲1、甲4及び甲5に記載された事項を考慮しても、本件特許発明5の相違点2-2に係る発明特定事項を備えることは、当業者といえども、容易に想到し得たものではない。
なお、本件特許発明5の相違点2-2に係る発明特定事項は、本件訂正前の請求項4に記載された事項に対応するものであって、前記した合議体の判断は、請求項4に係る特許に特許異議の申立てがされていないことと整合するものである。
ウ まとめ
以上によると、相違点2-1について、検討するまでもなく、本件特許発明5は、甲2発明、並びに甲1、甲4及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件特許発明6、7、10について
本件特許発明6、7、10についても、本件特許発明5の相違点2-2に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(2)に示した本件特許発明5についての理由と同様の理由により、甲2発明、並びに甲1、甲4及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 根拠3及び根拠4について
(1)甲3について
甲3の段落[0026]~[0028]、[0030]、[0035]、[0036]、[0042]、図1、図2、図4等によると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「塵埃含有空気流出口105から排出される空気流を接線または隣接接線に沿って流れるようにし、螺旋方向に沿うように回転させるサイクロンコーン12と、
前記サイクロンコーン12の少なくとも一部を内部に配置するダストカップ111と、
を含み、
前記サイクロンコーン12は、
下端が、塵埃を含んだ空気流が入る前記ダストカップ111の空気入口101に接続される空気入口パイプ121と、
前記空気入口パイプ121の上端に配置され、前記塵埃含有空気流出口105を形成する塵埃分離部品122と、
を含み、
前記ダストカップ111は、
集塵チャンバ103を画定し、前記空気流が内部で螺旋方向に沿うように回転し、
底部に前記空気入口101が設けられ、
上端が開口した円筒状であり、
前記サイクロンコーン12は、
前記塵埃分離部品122に集塵孔106の側壁、
を備え、
前記側壁に設けられたフィルタ孔109を介して、前記集塵孔106は前記集塵チャンバ103に接続される、
集塵装置1。」
(2)本件特許発明5について
ア 対比
本件特許発明5と甲3発明とを対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。
<相違点3-1>
本件特許発明5は、ダストケースが「前記壁の内部に配置される内周壁」を備え、「前記内周壁は、前記分離ユニットと接続され、前記内周壁の内部空間は、前記吸気路の一部を構成して」いるのに対し、甲3発明は、サイクロンコーン12に、ダストカップ111の空気入口101に接続される空気入口パイプ121を含むものの、ダストカップ111が前記のような内周壁を備えていない点。
<相違点3-2>
本件特許発明5は、「前記吸気路は、前記ダストケースの中心から前記壁側にオフセットされた位置に配置され」、「前記吸気路は、前記ダストケースの中心軸方向と平行な中心軸方向を備え、前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であ」るのに対し、甲3発明は、空気入口パイプ121内の塵埃を含んだ空気流の中心軸方向と、円筒状のダストカップ111の中心軸方向が平行であるか明らかでなく、また、空気入口パイプ121内の塵埃を含んだ空気流や、該空気流の中心が、前記のようにオフセットされているかも明らかでない点。
イ 判断
以下、事案に鑑みて、相違点3-2から検討する。
甲3には、空気入口パイプ121の中心を、ダストカップ111の中心に対して、塵埃含有空気流出口105とは反対側にオフセットした位置とすることについて、何ら記載も示唆もされていない。また、甲3には、塵埃等の分離機能を高めるべく、空気入口パイプ121の中心から、空気等がダストカップ111に当たるまでの距離を長くすることについても、何ら記載も示唆もされていないから、空気入口パイプ121の中心を、ダストカップ111の中心に対して、塵埃含有空気流出口105とは反対側にオフセットさせる動機付けもないといえる。
さらに、甲1、甲4および甲5のいずれにも、「前記吸気路の中心は、前記ダストケースの中心に対して、前記排出口とは反対側にオフセットした位置であ」ることに対応する事項は、何ら記載も示唆もされておらず、前記の事項は、この出願の出願前から周知の技術であるともいえない。したがって、甲3発明において、甲1、甲4及び甲5に記載された事項を適用したとしても、本件特許発明5の相違点3-2に係る発明特定事項とはならない。
以上によると、甲3発明において、甲1、甲4及び甲5に記載された事項を考慮しても、本件特許発明5の相違点3-2に係る発明特定事項を備えることは、当業者といえども、容易に想到し得たものではない。
なお、本件特許発明5の相違点3-2に係る発明特定事項は、本件訂正前の請求項4に記載された事項に対応するものであって、前記した合議体の判断は、請求項4に係る特許に特許異議の申立てがされていないことと整合するものである。
ウ まとめ
以上によると、相違点3-1について、検討するまでもなく、本件特許発明5は、甲3発明、並びに甲1、甲4及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件特許発明6、7について
本件特許発明6、7についても、本件特許発明5の相違点3-2に係る発明特定事項と同様の発明特定事項を備えるものであるから、前記(2)に示した本件特許発明5についての理由と同様の理由により、甲3発明、並びに甲1、甲4及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件の請求項5~7、9、10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項5~7、9、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、前記第2に示すとおり、本件訂正により請求項1~3が削除され、請求項1~3に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、請求項1~3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700922