2021-700332
植物由来ポリエチレンを用いた包装材用シーラントフィルム、包装材用積層フィルム、および包装袋
- 審判番号
- 2021-700332
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-021264外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6766974
- 請求日
- 2021年04月08日
- 審決日
- 2022年10月11日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 分類
- P1651.537-YAA(B65D) / P1651.121-YAA(B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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特許第6766974号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願は、令和2年9月23日にその特許権の設定登録がされ、同年10月14日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
・ 令和3年4月8日 :特許異議申立人土田裕介(以下、「申立人」という。)による特許異議の申立て
・ 同年8月10日付け :取消理由通知書
・ 同年10月11日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
・ 同年12月17日 :申立人による意見書の提出
・ 令和4年3月30日付け:取消理由通知書(決定の予告)
・ 同年6月10日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 (以下、この訂正請求書による請求を「本件訂正請求」といい、この請求による訂正を「本件訂正」という。)
・ 同年7月27日 :申立人による意見書の提出
なお、特許権者が令和3年10月11日に提出した訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求は、特許第6766974号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11について訂正することを求める、というものであって、その内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
(1-1)訂正事項1-1
訂正前の請求項1に
「植物由来エチレンと石油由来α-オレフィンとが共重合された植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層構成のフィルムからなり、」
と記載されているのを、
「植物由来エチレンと石油由来α-オレフィンとが共重合された植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層構成のフィルム(但し、フィルム中に下記の(ア)のエチレン・α-オレフィン共重合体組成物を含むものを除く)からなり、」
に訂正し、合わせて、
「(ア)(a)密度が0.910ないし0.940g/cm3であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(A)95ないし40重量部、及び(b)密度が0.870ないし0.905g/cm3であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(B)5ないし60重量部とからなるエチレン・α-オレフィン共重合体組成物」との記載を付加する。
(1-2)訂正事項1-2について
訂正前の請求項1に「前記植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層は、植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を5重量%以上90重量%以下含む」と記載されているのを、「前記植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層は、植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を50重量%以上90重量%以下含む」に訂正する。
請求項1を引用する請求項3~11も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
訂正前の請求項3に「請求項1または2に記載の」と記載されているのを、「請求項1に記載の」に訂正する。
(4)訂正事項4
訂正前の請求項4に「請求項1ないし3のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1または3に記載の」に訂正する。
(5)訂正事項5
訂正前の請求項10に「請求項1ないし3のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1または3に記載の」に訂正する。
(6)訂正事項6
訂正前の請求項11に「請求項1ないし3のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項1または3に記載の」に訂正する。
(7)一群の請求項について
訂正前の請求項3~11は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件訂正請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。
2 判断
(1)訂正事項1について
(1-1)訂正事項1-1について
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1に係る発明の「植物由来エチレンと石油由来α-オレフィンとが共重合された植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層構成のフィルム」から、特定の「エチレン・α-オレフィン共重合体組成物を含むもの」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1-1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするのものであり、また、発明のカテゴリー、対象、目的を変更するものではないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(1-2)訂正事項1-2について
訂正事項1-2は、訂正前の請求項1に係る発明の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層に含まれる植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の含有量が「5重量%以上90重量%以下」であったものを「50重量%以上90重量%以下」にするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許明細書の段落【0053】に実施例2として「サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(樹脂組成物1)であるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)を50重量%」とした樹脂組成物を用いることが記載されており、訂正事項1-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
さらに、訂正事項1-2は、発明のカテゴリー、対象、目的を変更するものではないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(3)訂正事項3~6について
訂正事項3~6は、訂正事項2によって請求項2が削除されることに伴い、各請求項において引用する請求項から請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項3~6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の請求項1、3~11に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」等という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、3~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】植物由来エチレンと石油由来α-オレフィンとが共重合された植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層構成のフィルム(但し、フィルム中に下記の(ア)のエチレン・α-オレフィン共重合体組成物を含むものを除く)からなり、該植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度が80~100%未満のエチレン-α-オレフィン共重合体であって、密度が0.910~0.925g/cm3、メルトフローレートが0.7~3.5g/10分の物性を有し、前記植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層は、植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を50重量%以上90重量%以下含むことを特徴とする包装材用ヒートシール性フィルム。(ア)(a)密度が0.910ないし0.940g/cm3であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(A)95ないし40重量部、及び(b)密度が0.870ないし0.905g/cm3であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(B)5ないし60重量部とからなるエチレン・α-オレフィン共重合体組成物」
「【請求項3】前記α-オレフィンが、ブテン-1またはヘキセン-1またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の包装材用ヒートシール性フィルム。【請求項4】少なくとも、基材フィルムと、請求項1または3に記載の包装材用ヒートシール性フィルムとからなり、続きを表示(全19行)前記基材フィルムが、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかである包装材用積層フィルム。【請求項5】請求項4に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする容器。【請求項6】請求項4に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする包装袋。【請求項7】請求項4に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とする蓋材。【請求項8】請求項4に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とするラベル。【請求項9】請求項4に記載の包装材用積層フィルムを用いてなることを特徴とするラミネートチューブ。【請求項10】請求項1または3に記載の包装材用ヒートシール性フィルムを用いてなることを特徴とする容器。【請求項11】請求項1または3に記載の包装材用ヒートシール性フィルムを用いてなることを特徴とする包装袋。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~12(すなわち、令和3年10月11日に提出した訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~12)に係る特許に対して、当審が令和4年3月30日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
・ (明確性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、否定的表現で記載された事項に範囲を曖昧にする表現がある結果、その表現を含む発明特定事項の範囲を当業者が理解できず、請求項に係る発明の範囲が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない。
・ (進歩性)本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許に係る出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
第5 取消理由についての当審の判断
1 明確性について
(1)本件訂正後の本件発明1において「除く」とされた発明特定事項(ア)について、「エチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体」という事項に特に不明瞭な点はなく、また、それについてさらに密度のみで特定したことでも特に不明瞭な点は生じていない。
したがって、本件訂正後の本件発明1及び本件発明3~11は、明確である。
(2)また、本件訂正により特許請求の範囲の請求項2が削除されたので、本件訂正前の請求項2及び4~11に対する理由は、解消している。
(3)したがって、本件発明1及び本件発明3~11に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
2 進歩性について
(1)引用文献8に記載された事項及び引用発明1
引用文献8には、以下の事項が記載されている。
ア「【請求項1】
高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物を横一軸延伸したフィルム。
【請求項2】
樹脂組成物が、高密度ポリエチレン100質量部に対して直鎖状低密度ポリエチレンを10~60質量部を含む請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
ヒートシールが可能である請求項1又は請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
請求項3に記載したフィルムを用いた袋。」
イ「【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン系の横一軸延伸したフィルムとその用途に関する。尚、本発明の配合組成を示す「部」の単位は、特に断らない限り質量基準で表示する。」
ウ「【0007】
本発明のフィルムは、高密度ポリエチレン(以下「HDPE」と略記する)に直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE」と略記する)を混合したポリエチレン系樹脂組成物からなる。HDPEを単独で用いると、後述する横延伸フィルムにしたときに、ヒートシール性が著しく困難となる。一方で、LLDPEを単独で用いると、横延伸してもヒートシール性は良好であるが、横延伸方向への引き裂き性が著しく劣る。」
エ「【0010】
本発明で用いるLLDPEは、エチレンとブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等との共重合体であり、融点がDSC法の測定で115~125℃であって、密度が0.90~0.95g/cm3の範囲でメルトフローレート(MFR)が、JISK6922-2に規定される温度190℃、荷重2.16kgの測定条件下において、好ましくは0.05~10.0(g/10分)であり、さらに好ましくは0.05~5.0である。MFRが0.1未満では、加熱溶融しても殆ど流動性を示さなくなるため成膜性が悪くなることがあり、逆にMFRが5.0を超えると流動性が大きすぎて成膜が困難になる場合がある。
【0011】
HDPEとLLDPEの配合比としては、HDPE100質量部に対して、LLDPEを10~60質量部含有することが好ましく、更に好ましくは20~40質量部である。LLDPEが10質量部未満では、十分なヒートシール性が得られない恐れがあり、60質量%を越えると、十分な引き裂き性が得られない場合がある。」
オ「【0017】
本発明のフィルムは、前記のようにヒートシールすることによって袋として用いられる。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールなどの公知の方法で行うことができるが、インパルスシールではフィルムの収縮等が小さく、特に優れたヒートシール性が得られる。本発明のフィルムは、は横延伸された包装用の袋として用いる場合、ヒートシール強度が15N/15mm以上であることが好ましい。」
カ「【0020】
【表1】
[図:0001393050000001.jpg]
【0021】
表1において「可能ヒートシール温度」とは、横一軸延伸したフィルムを、ヒートシールテスター(テスター産業社製 TP-701)を用いて、シール圧力0.2MPa、シール幅10mm、シール時間0.5秒で各温度についてヒートシールし、試験片幅15mmのフィルムを引張速度300mm/minで引張ったときのフィルムの破壊状態を温度毎に、以下の基準で評価した。
○ フィルムが材料破壊を起こし、シール部の最大強度が15N/15mm以上のもの。
△ 材料破壊が不十分だったもの。
× 材料破壊せずにヒートシール部分から剥がれたもの。
【0022】
表1において、「引裂き性」とは、フィルムを幅方向に手で引裂き、以下の基準で目視評価した。
○ フィルムが指先のひねりで容易に直線状に切れたもの。
△ 指先の爪をたてることによって切れたもの。
× 指先の爪を立ててもフィルムが伸びて切れず切り傷を入れることによって切れるようになるもの。
【0023】
(実施例1)高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製 ノバテックHD HF313)100質量部に、直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製 ノバテックLL UF421)10質量部をドライブレンドしたものを押出機に供給し、溶融し、フィルムダイを通して押し出し、成形機で冷却することにより、厚みが約200ミクロンの未延伸フィルムを成形した。この未延伸フィルムを120℃のテンター内で10倍に横延伸し、20ミクロンの横一軸延伸フィルムを得た。
【0024】
(実施例2)前記高密度ポリエチレン100質量部に、前記直鎖状低密度ポリエチレン20質量部をドライブレンドしたものを用いた以外、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
【0025】
(実施例3)記(当審注:「前記」の誤記である。)高密度ポリエチレン100質量部に、前記直鎖状低密度ポリエチレン40質量部をドライブレンドしたものを用いた以外、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
【0026】
(実施例4)前記高密度ポリエチレン100質量部に、前記直鎖状低密度ポリエチレン60質量部をドライブレンドしたものを用いた以外、実施例1と同様にしてフィルムを得た。」
キ「【0029】
本発明の横一軸延伸したフィルムは、インパルスシール又はヒートシールが可能であり、又、引き裂き性に優れており、例えば、医薬品、ジュース類、ゼリー状飲料、栄養ドリンク剤、飲料水、お茶、コーヒー飲料、まんじゅう、どら焼き、ケーキ等の洋菓子、スナック菓子、おにぎり、カップ麺、調味料等の袋に好ましく使用することができる。」
以上の記載からみて、特に請求項1、2及び3を引用する請求項4に着目して総合すると、引用文献8には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
(引用発明1)
「高密度ポリエチレンに直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物を横一軸延伸したフィルムであって、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンとブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等との共重合体であり、融点がDSC法の測定で115~125℃であって、密度が0.90~0.95g/cm3の範囲でメルトフローレート(MFR)が、JISK6922-2に規定される温度190℃、荷重2.16kgの測定条件下において、好ましくは0.05~5.0(g/10分)であり、樹脂組成物が、高密度ポリエチレン100質量部に対して直鎖状低密度ポリエチレンを10~60質量部を含み、ヒートシールすることによって袋として用いられるフィルム。」
(2)引用文献9に記載された事項及び引用発明2
引用文献9には、以下の事項が記載されている。
ア「【請求項1】
共押出多層インフレーション法にて製膜化した外層、中間層、および、内層の3層積層構造からなり、更に、上記の外層が、外側外層と内側外層との2層積層構造からなり、また、上記の内層が、外側内層と内側内層との2層積層構造からなることを特徴とするヒートシール性多層積層樹脂フィルム。
・・・
【請求項4】
中間層が、メルトフローレイト0.5~3.5g/10min、密度0.915~0.930g/cm3からなる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂85~95重量%と、ガラス転移点60~80℃、メルトフローレイト25~35g/10minからなる環状オレフィンコポリマー5~15重量%とを含む樹脂組成物による樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1~3のいずれか1項に記載するヒートシール性多層積層樹脂フィルム。
・・・
【請求項14】
共押出多層インフレーション法にて製膜化した外層、中間層、および、内層の3層積層構造からなり、更に、上記の外層が、外側外層と内側外層との2層積層構造からなり、また、上記の内層が、外側内層と内側内層との2層積層構造からなるヒートシール性多層積層樹脂フィルムを使用し、その外側を構成する外側外層の面に、少なくとも、基材フィルムを積層することを特徴とする積層材。」
イ「【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシール性多層積層樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関し、更に詳しくは、腰があり、透明性、滑り性、耐衝撃性等に優れ、更に、縦、横両方向の易引き裂き性にも優れ、また、高速製膜化が可能であり、かつ、製膜安定性に優れてコストダウン適性に富み、かつ、ヒートシール特性、ラミネート特性等に優れて内容物の充填包装適性を有するヒートシール性多層積層樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。」
ウ「【0011】
次に、本発明において、本発明にかかる多層積層樹脂フィルム、それを使用した積層材、および、包装用容器等を構成する材料、その製造法等について説明すると、まず、本発明において、本発明にかかる多層積層樹脂フィルムを構成する外層、および、中間層等を形成する直鎖状低密度ポリエチレンとしては、例えば、遷移金属触媒を用いて、エチレンと、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、その他等のα・オレフィンとを低温、低圧で共重合を行い、長鎖分岐を含んでいないが短鎖分岐を含んでいる直鎖状の共重合体を使用することができる。
而して、本発明において、上記の直鎖状低密度ポリエチレンとしては、メルトフローレイト(MFR)が、0.5~3.5g/10minの範囲内のもの、また、密度が、0.915~0.930g/cm3の範囲内のものを使用することができる。
【0012】
上記において、メルトフローレイト(MFR)が、0.5g/10min未満であると、本発明にかかる多層積層樹脂フィルムにおいて、そのフィルム表面の肌アレ(メルトフラクチャー)が発生しやすく、また、中間層を構成する環状オレフィンコポリマーとの相溶性が悪くなるということから好ましくなく、また、メルトフローレイト(MFR)が、3.5g/10minを越えると、インフレーション成形時のバブルの安定性が悪くなり、また、強度が低下することから好ましくないものである。
また、上記において、密度が、0.915g/cm3未満であると、腰、強度等が低下し、また、易引き裂き性も低下することから好ましくなく、また、密度が、0.930g/cm3を越えると、耐衝撃強度が低下することから好ましくないものである。
上記において、メルトフローレイト(MFR)は、キャピタリーレオメーター(ASTM) D1238 190℃ 2.16kgにて測定した値であり、また、密度は、密度こうばい管(ASTM) D1505にて測定した値である。
【0013】
ところで、本発明において、上記のようなメルトフローレイト0.5~3.5g/10min、密度0.915~0.930g/cm3からなる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を主成分とし、これに、必要ならば、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を添加し、十分に混練して、外層を構成する外側外層を形成する樹脂組成物を調製することができる。
また、本発明においては、上記のようなメルトフローレイト0.5~3.5g/10min、密度0.915~0.930g/cm3からなる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用し、上記と同様にして、外層を構成する内側外層を形成する樹脂組成物を調製することができる。」
エ「【0032】
而して、本発明において、本発明にかかる多層積層樹脂フィルムと積層する他の基材としてのプラスチック基材としては、これが包装用容器を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。・・・」
オ「【0041】
而して、本発明において、上記のように本発明にかかる多層積層樹脂フィルムに他の基材を任意に積層して製造した積層材を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層材を使用し、その内層のヒートシール性樹脂層としての本発明にかかる多層積層樹脂フィルムの内層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒートシールしてシール部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層材を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチューブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。」
カ「【実施例1】
【0044】
(1).まず、下記の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、および、(ホ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).外層を構成する外側外層を形成する樹脂組成物
直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(ロ).外層を構成する内側外層を形成する樹脂組成物
直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(ハ).中間層を構成する樹脂組成物
直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)90重量部と、環状オレフィンコポリマー(ガラス転移点78℃、メルトフローレイト、MFR=30g/10min)10重量部とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ニ).内層を構成する内側内層を形成する樹脂組成物
メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体(密度=0.910g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)85重量部と、高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.923g/cm3、メルトフローレイト、MFR=0.6g/10min)15重量部とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ホ).内層を構成する外側内層を形成する樹脂組成物
メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体(密度=0.910g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)85重量部と、高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.923g/cm3、メルトフローレイト、MFR=0.6g/10min)15重量部と、その混合物に対し、平均粒子径3.5μmのアンチブロッキング剤0.3重量部とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、・・・本発明にかかる多層積層樹脂フィルムを製造した。
(3).次に、上記で製造した多層積層樹脂フィルムを使用し、・・・本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、その多層積層樹脂フィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、液体洗剤を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成して、包装製品を製造した。・・・」
キ「【実施例2】
【0045】
(1).まず、下記の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、および、(ホ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).外層を構成する外側外層を形成する樹脂組成物
直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(ロ).外層を構成する内側外層を形成する樹脂組成物
直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)100重量部からなる樹脂組成物を調製した。
(ハ).中間層を構成する樹脂組成物
直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)89重量部と、環状オレフィンコポリマー(ガラス転移点78℃、メルトフローレイト、MFR=30g/10min)10重量部と、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有率7.5%)1重量部とを十分に混錬して樹脂組成物を調製した。
(ニ).内層を構成する内側内層を形成する樹脂組成物
メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体(密度=0.910g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)85重量部と、高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.923g/cm3、メルトフローレイト、MFR=0.6g/10min)15重量部とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。
(ホ).内層を構成する外側内層を形成する樹脂組成物
メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体(密度=0.910g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)85重量部と、高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.923g/cm3、メルトフローレイト、MFR=0.6g/10min)15重量部と、その混合物に対し、平均粒子径3.5μmのアンチブロッキング剤0.3重量部とを十分に混練して樹脂組成物を調製した。
(2).次に、上記で調製した樹脂組成物を使用し、・・・本発明にかかる多層積層樹脂フィルムを製造した。
(3).次に、上記で製造した多層積層樹脂フィルムを使用し、・・・本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、その多層積層樹脂フィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、液体洗剤を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成して、包装製品を製造した。・・・」
以上から、特に実施例1又は2に着目すると、引用文献9には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
(引用発明2)
「外層と、中間層と、内層とを有する多層積層樹脂フィルムであって、中間層を構成する樹脂組成物は、直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.920g/cm3、メルトフローレイト、MFR=2.0g/10min)89又は90重量部を含み、外層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含み、内層は、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体及び高圧法低密度ポリエチレンを含み、当該中間層を含む多層積層樹脂フィルムを使用して製造した積層材を2枚用意し、その多層積層樹脂フィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シール型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成する、多層積層樹脂フィルム。」
(3)引用文献10に記載された事項
引用文献10には、以下の事項が記載されている。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの再生可能な天然原料の残渣から1つ又は複数のオレフィンを生成する方法に関する。有利には、本発明は、主に処理済みの再生可能な農業天然原料の残渣から、プロピレン並びに任意選択でエチレン及びブチレンを生成するための、再生可能な農業天然原料の処理方法と一体化される方法に関する。オレフィン(複数可)は、原材料の残渣に含まれるリグノセルロース材料及び/又は他の有機生成物のガス化反応、次いでメタノールの形成、及びその後のジメチルエーテル中間物からプロピレンへの直接的又は間接的な変換によって得られ、この経路はさらに、副産物としてエチレン及び/又はブチレンを生産することができる。」
イ「【0008】
一方、再生可能な供給源由来の有機生成物への世界的な関心は、近年、特にプラスチックにおいて非常に高まっている。原料の化石供給源から得られる生成物よりも好ましい、天然産物から得られる生成物の使用は、増大しつつある大気中の二酸化炭素濃度を低減し、それによって温室効果の増大に効果的に対抗する実行可能な形態を構成するものとして、次第に広く受け入れられてきている。天然材料から得られる生成物は、技術標準ASTMD6866-06、「放射性炭素及び同位体比質量分析を使用して天然範囲の材料のバイオ系含有物を決定するための標準試験法(Standard Test Methodsfor Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis)」に記載の方法論に従って、それらの再生可能な炭素含有量に関して認証することができる。」
ウ「【0043】
本発明による1つ又は複数のオレフィンの生成法で好ましく使用される再生可能な農業天然原料の残渣は、例えば、サトウキビバガス、サトウキビ藁、トウモロコシ藁、トウモロコシの穂軸及びソルガム藁などのサトウキビ、トウモロコシ又はソルガムから生じる。任意選択で、中でもビート、マニオク、小麦又は米藁、ピーナッツの殻又はココナツの殻、木軸、木片又はおがくず、木炭、ヤシろう[Carnauba]の葉、ババスヤシ[Babacu]の残渣、様々な種類の草、大豆植物の葉及び枝、大豆、ヒマシ油植物及び他の油性植物の油の製造から得られる濾過ケーキなどの植物油の製造過程での残渣、使用済み植物油、動物性脂肪、藻類、再生紙及び板紙、リグニン、及びユーカリ及びパインなどの作物から生じる紙及びパルプ産業の他の残渣、生ごみ、発酵に由来するバイオガス、グリセロール又はグリセロールを含有する残渣、貝殻又は鳥の羽毛などの他の農作物の残渣、都市生活上又は産業上の残渣、並びに漁業、動物育種又は採掘活動から生じる残渣を使用することができる。
【0044】
本発明で有利に使用される再生可能な天然原材料は、サトウキビ、トウモロコシ又はソルガムなど、デンプン及び/又は糖、並びにリグノセルロース材料の両方を同時に豊富に含む農作物から生じる任意の原材料である。」
エ「【0084】
本発明による方法によって生成したプロピレン、エチレン及びブチレンは、それらの公知の誘導体を得るために、好ましくはポリプロピレン及びそのコポリマー並びにポリエチレン及びそのコポリマーを生成するために使用することができ、再生可能な天然源からの原料及び残渣のみを使用する本発明の最も好ましい実施形態が適用される場合、その組成が、ASTM D6866-06標準による試験法で決定して、再生可能な天然源からの炭素を100%含むポリマーが得られる。他の補完的な一代替は、中でも、例えばナフサ、天然ガス、石炭、再生プラスチック及び熱電力発生設備からの燃焼ガスなどの合成ガス生成のための非天然(化石)由来の他の原料を使用することにあり、但しASTM D6866-06標準による試験法で決定して、最終生成物(オレフィン及びそれらの公知の誘導体、並びにポリエチレン及びそのコポリマー、ポリプロピレン及びそのコポリマー、並びにPVCなどのポリマー)が、再生可能な天然源からの炭素を少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%含む。」
以上の記載から、引用文献10には、次の記載事項(以下、「引用文献10記載事項」という。)が記載されている。
「少なくとも1つの再生可能な天然原料の残渣からエチレンが生成可能であり、再生可能な天然原料とは、サトウキビ、トウモロコシ又はソルガムなどの植物由来のものであって、生成したエチレンは、ポリエチレンを生成するために使用することができ、ASTM D6866-06標準による試験法で決定される再生可能な天然源からの炭素を100%含むポリマーを得ることも、ナフサ等の非天然(化石)由来の他の原料を使用することで、再生可能な天然源からの炭素を少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%含むものとすることもできること。」
(4)本件特許に係る出願前に周知の課題
本件の令和4年3月30日付けの取消理由通知に記載した引用文献4の「私たち人類はあらゆる利便性を追求した結果、社会は豊かになった。しかしその半面、大量消費→大量廃棄した結果、○1(数字を〇で囲んだものは、以下「〇1」等と代用記載する。)資源、エネルギーの不足、〇2CO2(炭酸ガス)の増加による地球温暖化等の問題が明確になってきた。・・・ポリエチレン原料を従来の石油系原料から再生可能なサトウキビ(バイオマス系)に置き換えることは、植物の生育時のCO2吸収と燃焼時の排出が同一(カーボンニュートラル)になり、地球上のCO2を増やさないので地球環境にもやさしく、また石油資源利用の節約にも貢献する。」(第63ページ左欄第2行~第32行)との記載、同引用文献5の「これまでは、プラスチックの原料や製造に関わるCO2排出量について大きな関心は払わなかったが,近年の地球温暖化問題がクローズアップされるようになって,カーボンフットプリントで代表されるように,その認識は高まってきた。・・・サトウキビ由来ポリエチレンの商業生産は,まだ少し先のことであり,また,価格は石油系と比べて高価であるにもかかわらず,欧米・日本・韓国などのグローバル企業や業界トップ企業の関心は非常に高く,商業生産前に取引契約を進める企業が多い。日本では既に(株)資生堂が採用を公表しており,環境省が進める「エコファースト制度」の認定においても当ポリエチレンへの切り替えをコミットしている。」(第28ページ左欄第13行~右欄第4行)との記載からみて、次の事項は、本件特許に係る出願前に周知の課題(以下、「周知の課題」という。)と認められる。
「プラスチックの原料や製造に関わるCO2排出量の削減を目的として、ポリエチレンの原材料に植物由来のものを採用すること。」
(5)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「ヒートシールすることによって袋として用いられるフィルム」は、本件発明1の「包装材用ヒートシール性フィルム」に相当する。
引用発明1の「エチレンとブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等との共重合体であ」る「直鎖状低密度ポリエチレン」は、“エチレンとα-オレフィンとが共重合された直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂”の限りにおいて、本件発明1の「植物由来エチレンと石油由来α-オレフィンとが共重合された植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂」と一致する。
そうすると、本件発明1と引用発明1は、以下の点で一致し、かつ、相違する。
<一致点1>
「エチレンとα-オレフィンとが共重合された直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層構成のフィルムからなる、
包装材用ヒートシール性フィルム。
<相違点1>
“エチレンとα-オレフィンとが共重合された直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂”について、本件発明1は、エチレンが「植物由来エチレン」であり、α-オレフィンが「石油由来α-オレフィン」であるのに対して、引用発明1では、エチレン及びα-オレフィンの由来が明らかではない点。
<相違点2>
本件発明1では、「該植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するバイオマス度が80~100%未満のエチレン-α-オレフィン共重合体であ」るのに対して、引用発明1ではそのように特定されたものではない点。
<相違点3>
本件発明1の「直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂」は、「密度が0.910~0.925g/cm3、メルトフローレートが0.7~3.5g/10分の物性を有」するのに対して、引用発明1の「直鎖状低密度ポリエチレン」は、「密度が0.90~0.95g/cm3の範囲でメルトフローレート(MFR)が、JISK6922-2に規定される温度190℃、荷重2.16kgの測定条件下において、好ましくは0.05~5.0(g/10分)」である点。
<相違点4>
「直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層」について、本件発明1では「植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を50重量%以上90重量%以下含む」のに対して、引用発明1では「高密度ポリエチレン100質量部に対して直鎖状低密度ポリエチレンを10~60質量部を含」む点。
<相違点5>
本件発明1の「エチレンとα-オレフィンとが共重合された直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層構成のフィルム」は、「(但し、フィルム中に下記の(ア)のエチレン・α-オレフィン共重合体組成物を含むものを除く)」「(ア)(a)密度が0.910ないし0.940g/cm3であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(A)95ないし40重量部、及び(b)密度が0.870ないし0.905g/cm3であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(B)5ないし60重量部とからなるエチレン・α-オレフィン共重合体組成物」ものであるのに対し、引用発明1の「樹脂組成物を横一軸延伸したフィルム」は、そのような「除く」構成を備えたものではない点。
イ 判断
まず相違点4から検討する。
引用発明1を開示する引用文献8には、相違点4に係る引用発明1の発明特定事項に関し段落【0011】(上記(2)の摘記事項「エ」参照)に説明があるが、これによれば、HDPE100質量部に対して、LLDPEが10質量部未満では十分なヒートシール性が得られない恐れがあり、60質量%を越えると十分な引き裂き性が得られない場合がある、とされている。
このことからすると、引用発明1においてLLDPE、すなわち直鎖状低密度ポリエチレンのHDPEに対する重量割合を60質量%(これは単層中で37.5質量%を占めることに相当する)を越える構成とするには、十分な理由、動機が必要というべきである。
申立人は、令和4年7月27日付け意見書において、引用文献8の解釈に関して多面的に指摘するが、引用発明1における直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を含む単層における直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を引用文献8の上記記載にかかわらず50重量%以上にまで高めることが当業者にとって容易であったことを説明するには十分とはいえない。
したがって、引用発明1において、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。
そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明し得たものとはいえない。
(6)本件発明3~11について
ア 本件発明3~11は、いずれも、本件発明1の発明特定事項を全て含んだものであるから、これらを本件発明1と対比すれば、本件発明1と引用発明1を対比した際の上記相違点1~5が存在し、それら相違点についての判断は既に述べたとおりである。
したがって、本件発明3~11も、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明し得たものとはいえない。
なお、本件発明3~11は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明し得たものでもない。
(7)小括
以上のとおりであるから、本件発明1、3~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号に該当しない。
第6 令和4年3月30日付け取消理由通知書で採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1、3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、また、請求項2、4~11に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、それぞれ、当業者が容易に発明し得たものである旨主張しているので、これについての合議体の見解を以下に記す。なお、以下、各甲号証を「甲1」のようにいう。
1 甲1に基づくもの
(1)甲1(特開昭61-241340号公報)に記載された事項.証拠方法
ア 甲1には、以下の記載がある。
(ア) 「〔問題点を解決するための手段〕すなわち本発明は、(a) メルトフローレート(ASTM D 1238,E)が0.01ないし50g/10min、密度が0.910 ないし0.940g/cm3、結晶化度が40ないし70%、示差走査熱量計(DSC)による最高融点が115ないし130℃であるエチレンと少割合の炭素数4ないし10のα-オレフインとの共重合体(A)95ないし40重量部、及び(b) メルトフローレート(ASTM D 1238,E)が0.01ないし50g/10min、密度が0.870ないし0.905g/cm3、組成分布パラメータ(U)が40以下{但しU=100×(重量平均分岐度/数平均分岐度 -1)}、(当審注:原文は「重量平均分岐度」と「数平均分岐度」を水平線の上下に配置したもの)メチレン基の平均連鎖長比が2.0以下、示差走査熱量計(DSC)による最高融点が105ないし125℃であるエチレンと少割合の炭素数4ないし10のα-オレフインとの共重合体5ないし60重量部とからなることを特徴とする透明性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐屈曲性、耐ブロッキング性、スリツプ性に優れた包装用フイルムを得るに好適な成形性に優れたエチレン・α-オレフイン共重合体組成物を提供するものである。」(第2頁左下欄第11~右下欄第15行)
(イ) 「本発明の組成物はフイルムとしてそれ自体、透明性、耐屈曲性、耐衝撃性に優れているので単独でも食品包装用ラップフイルム、ストレッチフイルム、シュリンクフイルム、一般包装用フイルムなどの包装用フイルム、農業用フイルム、保護フイルムとして使用できるが、低温ヒートシール性を活かして各種の基材と貼り合わせることにより各種用途に適した包装用フイルムが得られる。これら基材としては、フイルム形成能を有する任意の重合体あるいは紙、アルミニウム箔、セロハン等を使用することができる。このような重合体としては、例えば、・・・、ポリプロピレン、・・・等のオレフイン系重合体、・・・、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6101ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、・・・等を挙げることができる。」(第5頁右下欄第2行~第6頁左上欄第8行)
(ウ) 「実 施 例 1・・・<重 合>内容積200lの連続重合反応器を用い、脱水精製したヘキサンを100l/hr、エチルアルミニウムセスキクロライド15ミリモル/hr、上記で得られた触媒(B-1)をTiに換算して1.0ミリモル/hrの割合で連続的に供給し、重合器内において同時に、エチレン10kg/hr、1-ブテン33kg/hr、水素を20l/hrの割合で連続的に供給し、重合温度150℃、全圧30kg/cm2、滞留時間1時間、溶媒ヘキサンに対する共重合体濃度を100g/lとなる条件下で共重合を行った。・・・得られたエチレン・1-ブテン共重合体(EBC-1)の物性はMFR:2.2g/10min、密度0.889g/cm3、U:23、メチレン基の平均連鎖長比:1.26、最高融点:118、2℃(他に72.0℃、103.5℃にピーク有り)、結晶化度:18.4%及び1-ブテン含有率:9.7モル%であった。<フイルムの成形>前記EBC-1:20重量部とMFR:2.3g/10min、密度:0.921g/cm2、結晶化度:51.0%、最高融点:123.2℃(他に104.0℃、118.7℃にピーク有り)及び4-メチル-1-ペンテン含有率:2.4モル%のエチレン・4-メチレン-1-ペンテン共重合体(EMC-1):80重量部とをヘンシエルミキサーで混合後、市販のポリオレフイン用チユーブラーフイルム成形機で幅230mm、厚み30μのフイルムを成形した。」(第6頁左下欄第1行~第7頁左上欄第16行)
(エ)上記記載事項アとウを総合すると、実施例1に記載された「フイルム」のうち、「エチレン・4-メチレン-1-ペンテン共重合体(EMC-1)」は、エチレンのメルトフローレート、密度、結晶化度及び最高融点、αオレフィンの炭素数」からみて、「(a)で規定された共重合体(A)」といえ、「エチレン・1-ブテン共重合体(EBC-1)」は、エチレンのメルトフローレート、密度、結晶化度及び最高融点、αオレフィンの炭素数」からみて、「(b)で規定された共重合体」といえるから、実施例1に記載されたEMC-1:80重量部及びEBC-1:20重量部が混合されて成形されたフイルムは、「透明性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐屈曲性、耐ブロッキング性、スリツプ性に優れた包装用フイルムを得るに好適な成形性に優れたエチレン・α-オレフイン共重合体組成物」と認められる。
イ 以上の記載事項ア~ウ及び認定事項エを総合すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「エチレン・α-オレフイン共重合体組成物を成形したフイルムであって、当該フイルムは、MFR:2.2g/10min、密度0.889g/cm3、U:23、メチレン基の平均連鎖長比:1.26、最高融点:118、2℃(他に72.0℃、103.5℃にピーク有り)、結晶化度:18.4%及び1-ブテン含有率:9.7モル%であるエチレン・1-ブテン共重合体(EBC-1)20重量部と、MFR:2.3g/10min、密度:0.921g/cm3、結晶化度:51.0%、最高融点:123.2℃(他に104.0℃、118.7℃にピーク有り)及び4-メチル-1-ペンテン含有率:2.4モル%のエチレン・4-メチレン-1-ペンテン共重合体(EMC-1):80重量部とをヘンシエルミキサーで混合後、市販のポリオレフイン用チユーブラーフイルム成形機で幅230mm、厚み30μに成形されてなり、透明性、耐衝撃性、低温ヒートシール性、耐屈曲性、耐ブロッキング性、スリツプ性に優れた包装用フイルムを得るに好適なフイルム。」
(2)対比・判断
本件発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1のフィルムが「(a)密度が0.910ないし0.940g/cm2であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(A)95ないし40重量部、及び(b)密度が0.870ないし0.905g/cm2であるエチレンと炭素数4ないし10のα-オレフィンとの共重合体(B)5ないし60重量部とからなるエチレン・α-オレフィン共重合体組成物」を含むものが除かれたものであるのに対して、甲1発明のフィルムには、本件発明1で除くとされたエチレン・α-オレフィン共重合体組成物に含まれるエチレン・α-オレフィン共重合体組成物が含まれる点で相違する。
甲1発明において、エチレン・α-オレフイン共重合体組成物を本件発明1で除くとされたもの以外の構成に変更する動機は見いだせないから、甲1発明において、この相違点に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。
さらに、本件発明3~11は、本件発明1の発明特定事項を全て含んだものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。
2 甲2に基づくもの
(1)甲2(特開平9-150489号公報)に記載された事項.証拠方法
ア 甲2には、以下の記載がある。
(ア) 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、例えば液体食品包装などに用いられる多層シーラントフィルムに関し、より詳しくは、従来のシーラントフィルムと同じ厚味、同じ積層構成で、充分な耐衝撃性を有するシーラントフィルムに関し、さらに、このシーラントフィルムを用いて得られる複合包装材料に関する。」
(イ) 「【0017】請求項1記載の多層シーラントフィルムにおいて、基材層の原料樹脂は、コモノマーとしての炭素数6未満のα-オレフィンとエチレンとの共重合体でありかつ密度0.910~0.930g/cm3を有するLLDPEであればよく、従来一般に用いられているLLDPEが使用でき、また、複数の種類のLLDPEを混合して用いてもよい。」
(ウ) 「【0028】請求項3記載の発明では、請求項1または2記載の多層シーラントフィルムの非シール面、すなわちシール面とは異なる面に、補強層が積層されて、複合包装材料が得られる。請求項1または2記載の多層シーラントフィルムが、基材層とその片面に積層されたシール層とからなる場合、補強層は基材層におけるシール層の反対面に設けられる。・・・補強層としては、シール層のフィルムとは別種のプラスチックフィルム例えばポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムの他、金属箔、紙等が用いられる。本発明による多層シーラントは、DSC測定によるフィルム融点より低融点および高融点の成分が極めて少ないLLDPEをシール層の原料樹脂に用いるため、優れた耐衝撃性を有する。」
(エ) 【0032】実施例1
単一活性点触媒を用いた重合により得られたLLDPE(密度=0.902g/cm3、メルトインデックス(MI)=1g/10分、DSC測定による融点=103℃、結晶融解温度幅=17℃、MW /MN =2.4)をシール層用樹脂に、重合活性点が複数ある触媒を用いた重合によって得られ、炭素数8のα-オレフィンとエチレンとの共重合体であるLLDPE(密度=0.920g/cm3、MI=2g/10分、DSC測定による融点=110℃および123℃、結晶融解温度幅=26℃)を基材層用樹脂にそれぞれ用い、インフレーション成形機を用いて共押出法によって成膜をし、シール層と基材層からなるシーラントフィルムを得た。層厚比はシール層/基材層=1/1とした。【0033】ついで、このフィルムの基材層の表面にコロナ放電処理を施して濡れ張力を45dyn/cmとした後、この処理面に15μm厚の2軸延伸ポリアミド系フィルムをドライラミネーションにより貼合した。【0034】こうして、シール層と基材層と補強層とからなる複合包装フィルムを製作した。」
(オ) 「【0036】実施例3基材層用樹脂として、炭素数4のα-オレフィンとエチレンとの共重合体であるLLDPE(密度=0.920g/cm3、MI=1g/10分、DSC測定による融点=108℃および120℃、結晶融解温度幅=24℃)を用いた点を除いて、実施例1と同様にしてシール層と基材層と補強層とからなる複合包装フィルムを製作した。」
イ 以上の記載事項ア~オを総合すると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
(甲2発明)
「単一活性点触媒を用いた重合により得られたLLDPE(密度=0.902g/cm3 、メルトインデックス(MI)=1g/10分、DSC測定による融点=103℃、結晶融解温度幅=17℃、MW /MN =2.4)をシール層用樹脂に、重合活性点が複数ある触媒を用いた重合によって得られ、炭素数8のα-オレフィンとエチレンとの共重合体であるLLDPE(密度=0.920g/cm3、MI=2g/10分、DSC測定による融点=110℃および123℃、結晶融解温度幅=26℃)又は、炭素数4のα-オレフィンとエチレンとの共重合体であるLLDPE(密度=0.920g/cm3、MI=1g/10分、DSC測定による融点=108℃および120℃、結晶融解温度幅=24℃)を基材層用樹脂にそれぞれ用い、インフレーション成形機を用いて共押出法によって成膜をし、シール層と基材層からなるシーラントフィルム、及び、当該シーラントフィルムの基材層の表面に補強層として、15μm厚の2軸延伸ポリアミド系フィルムをドライラミネーションにより貼合したシール層と基材層と補強層とからなる複合包装フィルム。」
(2)対比・判断
本件発明1と甲2発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1のフィルムが単層構成であるのに対して、甲2発明のフィルムがシール層と基材層と補強層とからなる点で相違する。
甲2発明において、フィルムを単層構成に変えることは、当業者にとって容易に想到し得たことではない。
したがって、本件発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。
さらに、本件発明3~11は、本件発明1の発明特定事項を全て含んだものであるから、本件発明1と同様に、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。
3 以上から、本件発明1、3~11は、甲1発明又は甲2発明に基づいて、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではなく、それらに係る特許が特許法第113条第2号に該当するものではない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によって、請求項1、3~11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項2に係る特許についての特許異議の申立ては、当該請求項2が本件訂正により削除されたことによりその対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700332