特許異議申立
2021-700884
半導体製造用処理液、半導体製造用処理液が収容された収容容器、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法
- 審判番号
- 2021-700884
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-509011
- 登録番号
- 6845222
- 請求日
- 2021年09月15日
- 審決日
- 2023年07月19日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】富士フイルム株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 【権利者代理人】蔵田 昌俊
- 【権利者代理人】野河 信久
- 【権利者代理人】河野 直樹
- 【権利者代理人】井上 正
- 【権利者代理人】鵜飼 健
- 【権利者代理人】飯野 茂
- 【異議申立人】星 正美
- 【異議申立人】山▲崎▼ 浩一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 恩田 春香
- 審判官 瀧内 健夫
- 審判官 松永 稔
- 分類
- P1651.113-YAA(B65D) / P1651.121-YAA(B65D) / P1651.537-YAA(B65D) / P1651.538-YAA(B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6845222号発明「半導体製造用処理液、半導体製造用処理液が収容された収容容器、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6845222号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8、10、11、16~19〕、〔9、21~31〕、〔12~14〕、15、20について訂正することを認める。
特許第6845222号の請求項1~12、15~17、19~31に係る特許を維持する。
特許第6845222号の請求項13、14、18に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6845222号の請求項1~20に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)3月16日(優先権主張 平成28年3月31日、平成29年3月10日)を国際出願日とする出願であって、令和3年3月1日にその特許権の設定登録がされ、令和3年3月17日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年 9月15日 特許異議申立人 星 正美(以下、「異議申
立人1」という。)による請求項1~20に
係る特許に対する特許異議の申立て
令和3年 9月16日 特許異議申立人 山▲崎▼ 浩一郎(以下、
「異議申立人2」という。なお、▲崎▼は異
字体である。)による請求項1~20に係る
特許に対する特許異議の申立て
令和4年 2月21日付け 取消理由通知書
令和4年 4月25日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年 7月15日 異議申立人1による意見書(以下、「意見書
1-1」という。)の提出
令和4年 7月15日 異議申立人2による意見書(以下、「意見書
2-1」という。)の提出
令和4年11月10日付け 取消理由通知書(決定の予告)(この取消理
由通知書を、以下、「取消理由通知書(決定
の予告)」という。)
令和5年 1月16日 特許権者による意見書及び訂正請求書(この
訂正請求書及びこの訂正請求書による訂正を
、それぞれ「訂正請求書」及び「本件訂正」
という。)の提出(なお、本件訂正により、
令和4年4月25日提出の訂正請求書によ
る訂正は、取り下げられたものとみなす。)
令和5年 3月17日 異議申立人1による意見書(以下、「意見書
1-2」)という。
令和5年 3月17日 異議申立人2による意見書(以下、「意見書
2-2」)という。
令和5年 4月 4日 異議申立人2による上申書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)一群の請求項1~11、16~19に係る訂正
ア 訂正事項1
(訂正事項1-1)
特許請求の範囲の請求項1に「Cu、Fe及びZnから選択される1種又は2種以上の金属原子を含有し、前記金属原子の少なくとも1種を含む粒子性メタルの合計の含有率が」と記載されているのを、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が」に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項4~8、10、11、16、17、19についても同様に訂正する。
(訂正事項1-2)
特許請求の範囲の請求項1に「半導体製造用処理液は、・・・であり」と記載されているのを、「半導体製造用処理液は、・・・であるアルカリ現像液であり」に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項4~8、10、11、16、17、19についても同様に訂正する。
(訂正事項1-3)
特許請求の範囲の請求項1に「0.01~100質量ppt」と記載されているのを、「0.01~0.43質量ppt」に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項4~8、10、11、16、17、19についても同様に訂正する。
イ 訂正事項2
(訂正事項2-1)
特許請求の範囲の請求項2に訂正事項1-1と同様の訂正をする。
請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3~8、10、11、16、17、19についても同様に訂正する。
(訂正事項2-2)
特許請求の範囲の請求項2に「0.01~100質量ppt」と記載されているのを、「0.01~10質量ppt」に訂正する。
請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3~8、10、11、16、17、19についても同様に訂正する。
ウ 訂正事項3
(訂正事項3-1)
特許請求の範囲の請求項7に「現像液又はリンス液である」と記載されているのを、「現像液である」に訂正する。
請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、10、11、16、17、19についても同様に訂正する。
(訂正事項3-2)
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項2~6のいずれか1項」に訂正する。
請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、10、11、16、17、19についても同様に訂正する。
エ 訂正事項4
(訂正事項4-1)
特許請求の範囲の請求項9に「前記半導体製造用処理液が、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改める。
請求項9の記載を直接又は間接的に引用する請求項23~31についても同様に訂正する。
(訂正事項4-2)
独立形式に改めた請求項9について、訂正事項1-1と同様の訂正をする。
請求項9の記載を直接又は間接的に引用する請求項23~31についても同様に訂正する。
(訂正事項4-3)
独立形式に改め請求項9について、「半導体製造用処理液は、・・・であり」と記載されているのを、「半導体製造用処理液は、・・・である現像液又はリンス液であり」に訂正する。
請求項9の記載を直接又は間接的に引用する請求項23~31についても同様に訂正する。
オ 訂正事項5
(訂正事項5-1)
特許請求の範囲の請求項10に「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器の製造方法であって」と記載されているのを、「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器の製造方法であって」に訂正する。
請求項10の記載を引用する請求項11についても同様に訂正する。
(訂正事項5-2)
特許請求の範囲の請求項10に「前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁を」と記載されているのを、「前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の前記内壁を」に訂正する。
請求項10の記載を引用する請求項11についても同様に訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」と記載されているのを、「請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」に訂正する。
請求項16の記載を直接又は間接的に引用する請求項17、19についても同様に訂正する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項18を削除する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項19に「請求項16~18のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。」と記載されているのを、「請求項16又は17に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。」に訂正する。
ケ 訂正事項9
(訂正事項9-1)
特許請求の範囲の請求項9に「前記半導体製造用処理液が、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改めて新たな請求項(請求項21)とする。
請求項21の記載を直接又は間接的に引用する請求項22~31についても同様に訂正する。
(訂正事項9-2)
独立形式に改めた請求項21について、訂正事項1-1と同様の訂正をする。
請求項21の記載を直接又は間接的に引用する請求項22~31についても同様に訂正する。
(訂正事項9-3)
独立形式に改めた請求項21について、「半導体製造用処理液は、・・・であり」と記載されているのを、「半導体製造用処理液は、・・・である現像液又はリンス液であり」に訂正する。
請求項21の記載を直接又は間接的に引用する請求項22~31についても同様に訂正する。
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、訂正事項9で加えた請求項21を引用する新たな請求項(請求項22)とする。
請求項22の記載を直接又は間接的に引用する請求項23~31についても同様に訂正する。
サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器。」とあるうち、請求項4を引用するものについて、訂正後の請求項9、訂正事項9で加えた請求項21、及び訂正事項10で加えた請求項22を引用する新たな請求項(請求項23)とする。
請求項23の記載を直接又は間接的に引用する請求項24~31についても同様に訂正する。
シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器。」とあるうち、請求項5を引用するものについて、訂正後の請求項9、訂正事項9で加えた請求項21、訂正事項10で加えた請求項22、及び訂正事項11で加えた請求項23を引用する新たな請求項(請求項24)とする。
請求項24の記載を直接又は間接的に引用する請求項25~31についても同様に訂正する。
ス 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器。」とあるうち、請求項6を引用するものについて、訂正後の請求項9、訂正事項9で加えた請求項21、訂正事項10で加えた請求項22、訂正事項11で加えた請求項23、及び訂正事項12で加えた請求項24を引用する新たな請求項(請求項25)とする。
請求項25の記載を直接又は間接的に引用する請求項26~31についても同様に訂正する。
セ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項10に「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器の製造方法」とあるうち、請求項9を引用するものについて、訂正後の請求項9、訂正事項9で加えた請求項21、訂正事項10で加えた請求項22、訂正事項11で加えた請求項23、訂正事項12で加えた請求項24、及び訂正事項13で加えた請求項25を引用する新たな請求項(請求項26)とする。
請求項26の記載を引用する請求項27についても同様に訂正する。
ソ 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項10に「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器の製造方法」と記載され、請求項11に「請求項10に記載の収容容器の製造方法」とあるうち、請求項9を引用する請求項10を更に引用するものについて、訂正事項14で加えた請求項26を引用する新たな請求項(請求項27)とする。
タ 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」とあるうち、請求項9を引用するものについて、訂正後の請求項9、訂正事項9で加えた請求項21、訂正事項10で加えた請求項22、訂正事項11で加えた請求項23、訂正事項12で加えた請求項24、及び訂正事項13で加えた請求項25を引用する新たな請求項(請求項28)とする。
請求項28の記載を直接又は間接的に引用する請求項29~31についても同様に訂正する。
チ 訂正事項17
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」と記載され、請求項17に「請求項16に記載のパターン形成方法」とあるうち、請求項9を引用する請求項16をさらに引用する請求項17について、訂正事項16で加えた請求項28を引用する新たな請求項(請求項29)とする。
請求項29の記載を直接又は間接的に引用する請求項30、31についても同様に訂正する。
ツ 訂正事項18
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」と記載され、請求項18に「請求項16に記載のパターン形成方法」とあるうち、請求項9を引用する請求項16をさらに引用する請求項18について、訂正事項16で加えた請求項28を引用する新たな請求項(請求項30)とする。
請求項30の記載を引用する請求項31についても同様に訂正する。
テ 訂正事項19
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1~9のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」と記載され、請求項17及び18の各々に「請求項16に記載のパターン形成方法」と記載され、請求項19に「請求項16~18のいずれか1項に記載のパターン形成方法」とあるうち、請求項9を引用する請求項16をさらに引用する請求項19、請求項9を引用する請求項16をさらに引用する請求項17を引用する請求項19、及び請求項9を引用する請求項16をさらに引用する請求項18を引用する請求項19について、訂正事項16で加えた請求項28、訂正事項17で加えた請求項29、及び訂正事項18で加えた請求項30を引用する新たな請求項(請求項31)とする。
ト 訂正事項1~19は、一群の請求項〔1~11、16~19〕に対して請求されたものである。
ナ なお、訂正後の請求項9及び21~31に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときに一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
(2)一群の請求項12~15に係る訂正
ア 訂正事項20
(訂正事項20-1)
特許請求の範囲の請求項12に訂正事項1-1と同様の訂正をする。
請求項12の記載を直接又は間接的に引用する請求項13~15についても同様に訂正する。
(訂正事項20-2)
特許請求の範囲の請求項12に「である半導体製造用処理液」と記載されているのを、「であり、且つ、有機溶剤を含有する現像液であり、前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である半導体製造用処理液」に訂正する。
イ 訂正事項21
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
ウ 訂正事項22
特許請求の範囲の請求項14を削除する。
エ 訂正事項23
(訂正事項23-1)
特許請求の範囲の請求項15に「酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の半導体製造用処理液」とあるうち、請求項12を引用するものについて、独立形式に改める。
(訂正事項23-2)
独立形式に改めた請求項15について、訂正事項1-1と同様の訂正をする。
(訂正事項23-3)
独立形式に改めた請求項15について、「17~100質量pptである半導体製造用処理液」を、「17~100質量pptである現像液又はリンス液である半導体製造用処理液」に訂正する。
オ 訂正事項20~23は、一群の請求項〔12~15〕に対して請求されたものである。
カ なお、訂正後の請求項15に係る訂正について、特許権者は、当該訂正が認められるときに一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
(3)請求項20に係る訂正
ア 訂正事項24
(訂正事項24-1)
特許請求の範囲の請求項20に「前記半導体製造用処理液は」と記載されているのを、「前記半導体製造用処理液は現像液であり」に訂正する。
(訂正事項24-2)
特許請求の範囲の請求項20に「Cu、Fe及びZnから選択される1種又は2種以上の金属原子を含有し、前記金属原子の少なくとも1種を含む粒子性メタルの合計の含有率が」と記載されているのを、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であり、且つ、前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が」に訂正する。
(訂正事項24-3)
特許請求の範囲の請求項20について、「但し、前記半導体製造用処理液から、Fe(OH)2粒子を含むテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液であって、前記粒子に含まれるFeの含有率が、前記水溶液の全質量を基準として34.0~39.2質量pptである前記水溶液を除く。」を加え、「除くクレーム」とする訂正をする。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)一群の請求項1~11、16~19に係る訂正
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項1-1について
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1における「Cu、Fe及びZnから選択される1種又は2種以上の金属原子を含有し、前記金属原子の少なくとも1種を含む粒子性メタルの合計の含有率が」との記載を、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が」に訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正前の上記記載は、「Cu、Fe及びZnから選択される」のように「選択される」という用語が使用されているために、選択されなかった金属原子を含む粒子性メタルの含有率が特定されておらず、発明として不明確であった。
上記訂正では、これを「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」とすることにより、その発明を明確にするものである。
したがって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
b 訂正事項1-2について
訂正事項1-2は、請求項1に記載の「半導体製造用処理液」について、「アルカリ現像液」に減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
c 訂正事項1-3について
訂正事項1-3は、請求項1に記載の「粒子性メタルの合計の含有率」について、訂正前の請求項1が「0.01~100質量ppt」であったのを、「0.01~0.43質量ppt」とその上限を下げるものである。
したがって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項1-1について
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に
「【0463】【表1-4】
[図:0001402725000001.jpg]
【0464】【表1-5】
[図:0001402725000002.jpg]
」
と記載されているように、「実施例1」~「実施例48」として記載された処理液の「粒子性メタル量合計」は、処理液に含有されるFe、Cu及びZnの全ての粒子性メタルの合計の含有率(質量ppt)となっており、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」である。
したがって、訂正事項1-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項1-2について
本件明細書等に
「【0045】
本発明の処理液が現像液として用いられる場合、現像液は、アルカリ現像液であってもよく、有機溶剤を含む現像液であってもよい。
【0046】
本発明の処理液がアルカリ現像液として用いられる場合、本発明の処理液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に代表される4級アンモニウム塩を含有する水溶液であることが好ましい。これ以外にも、無機アルカリ、1~3級アミン、アルコールアミン又は環状アミン等を含有するアルカリ水溶液であってもよい。
【0047】
具体的には、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミンなどの第一アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミンなどの第二アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジンなどの環状アミン類;等のアルカリ性水溶液を挙げることができる。これらの中でもテトラメチルアンモニウムヒドロキシド又はテトラエチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液であることが好ましい。」
と記載されているように、本件発明の「半導体製造用処理液」が「アルカリ現像液」として用いられることが示されており、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
c 訂正事項1-3について
上記bで示したように、本件明細書等の段落【0046】には、本件発明の処理液を「アルカリ現像液」として用いた場合、「テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に代表される4級アンモニウム塩を含有する水溶液であることが好ましい」ことが記載されている。そして、上記aで示したように、本件明細書等の段落【0463】【表1-4】に、実施例22~25として、「処理液」を「TMAH」とした場合に、「粒子性メタル量合計」が、それぞれ「0.19」質量ppt、「0.43」質量ppt、「0.06」質量ppt、「0.04」質量pptであることが示されているから、本件発明の処理液を「アルカリ現像液」とした場合の「金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」の上限を「0.43質量ppt」とすることは、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1-3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項1-1について
訂正事項1-1は、上記(イ)aのとおり、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項1-2について
訂正事項1-2は、上記(イ)bのとおり、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
c 訂正事項1-3について
訂正事項1-3は、上記(イ)cのとおり、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項2-1について
訂正事項2-1は、訂正前の請求項2における「Cu、Fe及びZnから選択される1種又は2種以上の金属原子を含有し、前記金属原子の少なくとも1種を含む粒子性メタルの合計の含有率が」との記載を、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が」に訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
したがって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
b 訂正事項2-2について
訂正事項2-2は、請求項2に記載の「粒子性メタルの合計の含有率」について、訂正前の請求項2が「0.01~100質量ppt」であったのを、「0.01~10質量ppt」とし、その上限を下げるものである。
したがって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項2-1について
本件明細書等の【表1-4】及び【表1-5】に記載されているように、処理液の「粒子性メタル量合計」は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」である。
したがって、訂正事項2-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項2-2について
本件明細書等に
「【0042】
本発明の処理液における粒子性メタルの含有率は、0.01~50質量pptであることが好ましく、0.01~10質量pptであることがより好ましい。」
と記載されているように、本件発明の処理液の「金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」の上限を「10質量ppt」とすることは本件明細書等に記載されており、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項2-1について
訂正事項2-1は、上記(イ)aのとおり、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項2-2について
訂正事項2-2は、上記(イ)bのとおり、本件明細書等に記載されたものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項3-1について
訂正事項3-1は、請求項7に「現像液又はリンス液である」との記載を、「現像液である」と減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
b 訂正事項3-2について
訂正事項3-2は、訂正前の請求項7が「請求項1~6のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項1に対する引用関係を解消し、訂正後の請求項7において、「請求項2~6いずれか1項」の記載を引用するものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項3-1について
訂正事項3-1は、上記(ア)aのとおり、請求項7記載の「半導体製造用処理液」について、その用途が「現像液又はリンス液」であったのを、「現像液」に減縮するものである。
したがって、訂正事項3-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項3-2について
訂正事項3-2は、上記(ア)bのとおり、請求項7が引用する請求項1を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項3-1について
訂正事項3-1は、上記(ア)aのとおり、請求項7記載の「半導体製造用処理液」について、その用途を「現像液」に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項3-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項3-2について
訂正事項3-2は、上記(ア)bのとおり、請求項7が引用する請求項1を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項3-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
エ 訂正事項4
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項4-1について
訂正事項4-1は、訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか1項」を引用する記載であるところ、訂正前の請求項2~8に対する引用関係を解消し、訂正後の請求項9において、請求項1の記載を引用するものを独立形式に変更するものである。
したがって、訂正事項4-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
b 訂正事項4-2について
訂正事項4-2は、独立形式に改めた上記請求項9について、訂正事項1-1と同様の訂正をするものであり、その発明を明確にするものである。
したがって、訂正事項4-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
c 訂正事項4-3について
訂正事項4-3は、独立形式に改めた上記請求項9に記載の「半導体製造用処理液」について、その用途を「現像液又はリンス液」に減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項4-1について
訂正事項4-1は、上記(ア)aのとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項4-2について
訂正事項4-2は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
c 訂正事項4-3について
本件明細書等に
「【0035】
<半導体製造用処理液>
本発明において「半導体製造用処理液」は、上述の通り、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程を含む半導体デバイスの製造工程において、各工程の終了後、あるいは次の工程に移る前に、有機物を処理するために使用される処理液であり、例えば、現像液、リンス液、プリウェット液、エッチング液、洗浄液、剥離液等として用いられる処理液である。」
と記載されているように、本件発明の「半導体製造用処理液」が「現像液又はリンス液」として用いられることが示されており、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項4-3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項4-1について
訂正事項4-1は、上記(ア)aのとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項4-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項4-2について
訂正事項4-2は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項4-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
c 訂正事項4-3について
訂正事項4-3は、上記(イ)cのとおり、本件明細書等の記載に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項4-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ 訂正事項5
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項5-1について
訂正事項5-1は、訂正前の請求項10が「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項9に対する引用関係を解消し、訂正後の請求項10において、「請求項1~8のいずれか1項」の記載を引用するものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
b 訂正事項5-2について
訂正事項5-2は、訂正前の請求項10の「前記収容部内部の内壁」が、請求項1~8に記載された「内壁」を指すのか不明確であったのを、「前記収容部内部の前記内壁」と訂正することで明確にするものである。
したがって、訂正事項5-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項5-1について
訂正事項5-1は、上記(ア)aのとおり、請求項10が引用する請求項9を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項5-2について
訂正事項5-2は、上記(ア)bのとおり、訂正前の請求項10の「前記収容部内部の内壁」が、請求項1~8に記載された「内壁」を指すことを明確にするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項5-1について
訂正事項5-1は、上記(ア)aのとおり、請求項10が引用する請求項9を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項5-2について
訂正事項5-2は、上記(ア)bのとおり、訂正前の請求項10の「前記収容部内部の内壁」が、請求項1~8に記載された「内壁」を指すことを明確にするものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項5-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
カ 訂正事項6
(ア)訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項16が「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項9に対する引用関係を解消し、訂正後の請求項16において、「請求項1~8のいずれか1項」の記載を引用するものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項6は、上記(ア)のとおり、請求項16が引用する請求項9を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項6は、上記(ア)のとおり、請求項16が引用する請求項9を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
キ 訂正事項7
(ア)訂正の目的について
訂正事項7は、請求項18を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項7は、上記(ア)のとおり、請求項18を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項7は、上記(ア)のとおり、請求項18を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ク 訂正事項8
(ア)訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の請求項19が「請求項16~18のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項18に対する引用関係を解消し、訂正後の請求項19において、「請求項16又は17」の記載を引用するものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項8は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項18に対する引用関係を解消するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項8は、上記(ア)のとおり、訂正前の請求項18に対する引用関係を解消するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ケ 訂正事項9
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項9-1について
訂正事項9-1は、訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項1、3~8に対する引用関係を解消し、請求項2を引用する請求項9を独立形式に改めて、新たな請求項(請求項21)とするものである。
したがって、訂正事項9-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
b 訂正事項9-2について
訂正事項9-2は、独立形式に改めた上記請求項21について、訂正事項1-1と同様の訂正をするものであり、その発明を明確にするものである。
したがって、訂正事項9-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
c 訂正事項9-3について
訂正事項9-3は、独立形式に改めた上記請求項21に記載の「半導体製造用処理液」について、その用途を「現像液又はリンス液」に減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項9-1について
訂正事項9-1は、上記(ア)aのとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項9-2について
訂正事項9-2は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
c 訂正事項9-3について
本件明細書等の段落【0035】には、本件発明の「半導体製造用処理液」が「現像液又はリンス液」として用いられることが記載されており、訂正事項9-3は、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項9-3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項9-1について
訂正事項9-1は、特許請求の範囲の減縮をするとともに、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項9-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項9-2について
訂正事項9-2は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項9-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
c 訂正事項9-3について
訂正事項9-3は、上記(ア)cのとおり、請求項21記載の「半導体製造用処理液」について、その用途を「現像液又はリンス液」に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項9-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
コ 訂正事項10
(ア)訂正の目的について
訂正事項10は、訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか1項」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項3が「請求項2」の記載を引用する記載であるところ、訂正事項9で、請求項1、3~8に対する引用関係を解消し、請求項2を引用する請求項9を独立形式とし、新たな請求項21とする訂正をしたことに伴って、訂正前の請求項2を引用する請求項3をさらに引用する請求項9について、訂正後の請求項22おいて、請求項21を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項10は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項10は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
サ 訂正事項11
(ア)訂正の目的について
訂正事項11は、訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか1項」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項4が「請求項1~3いずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項9の請求項1~3、5~8に対する引用関係を解消し、請求項4を引用するものについて、訂正事項4で、請求項1を引用する請求項9を独立形式とし、訂正事項9で、請求項2を引用する請求項9を独立形式とし新たな請求項21とする訂正をし、訂正事項10で、請求項2を引用する請求項3をさらに引用する請求項9を、請求項21を引用する新たな請求項22とする訂正をしたことに伴って、訂正後の請求項23において、請求項9、21及び22のいずれか1項を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項11は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項11は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項11に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
シ 訂正事項12
(ア)訂正の目的について
訂正事項12は、訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか1項」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項5が「請求項1~4のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項9の請求項1~4、6~8に対する引用関係を解消し、請求項5を引用するものについて、訂正事項4で、請求項1を引用する請求項9を独立形式とし、訂正事項9で、請求項2を引用する請求項9を独立形式とし新たな請求項21とする訂正をし、訂正事項10で、請求項3を引用する請求項9を、請求項21を引用する新たな請求項22とする訂正をし、訂正事項11で、請求項4を引用する請求項9を、請求項9、21及び22を引用する新たな請求項23とする訂正をしたことに伴って、訂正後の請求項24において、請求項9及び21~23のいずれか1項を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項12は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項12は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項12に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ス 訂正事項13
(ア)訂正の目的について
訂正事項13は、訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか1項」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項6が「請求項1~5のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項9の請求項1~5、7、8に対する引用関係を解消し、請求項6を引用するものについて、訂正事項4で、請求項1を引用する請求項9を独立形式とし、訂正事項9で、請求項2を引用する請求項9を独立形式とし新たな請求項21とする訂正をし、訂正事項10で、請求項3を引用する請求項9を、請求項21を引用する新たな請求項22とする訂正をし、訂正事項11で、請求項4を引用する請求項9を、請求項9、21及び22を引用する新たな請求項23とする訂正をし、訂正事項12で、請求項5を引用する請求項9を、請求項9及び21~23を引用する新たな請求項24とする訂正をしたことに伴って、訂正後の請求項25において、請求項9及び21~24のいずれか1項を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項13は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項13は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項13は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項13に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
セ 訂正事項14
(ア)訂正の目的について
訂正事項14は、訂正前の請求項10が「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項10の請求項1~8に対する引用関係を解消し、請求項9を引用するものについて、訂正事項4で、請求項1を引用する請求項9を独立形式とし、訂正事項9で、請求項2を引用する請求項9を独立形式とし新たな請求項21とする訂正をし、訂正事項10で、請求項3を引用する請求項9を、請求項21を引用する新たな請求項22とする訂正をし、訂正事項11で、請求項4を引用する請求項9を、請求項9、21及び22を引用する新たな請求項23とする訂正をし、訂正事項12で、請求項5を引用する請求項9を、請求項9及び21~23を引用する新たな請求項24とする訂正をし、訂正事項13で、請求項6を引用する請求項9を、請求項9及び21~24を引用する新たな請求項25とする訂正をしたことに伴って、訂正後の請求項26において、新たな請求項9及び21~25のいずれか1項を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項14は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項14は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項14は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項14は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項14に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ソ 訂正事項15
(ア)訂正の目的について
訂正事項15は、訂正前の請求項10が「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項11が「請求項10」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項10の請求項1~8に対する引用関係を解消し、請求項9を引用するものについて、訂正事項14で、請求項9を引用する請求項10を、請求項9及び21~25を引用する新たな請求項26とする訂正をしたことに伴って、請求項9を引用する請求項10を更に引用する請求項11について、訂正後の請求項27において、請求項26を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項15は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項15は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項15は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項15は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項15に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
タ 訂正事項16
(ア)訂正の目的について
訂正事項16は、訂正前の請求項16が「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正前の請求項16の請求項1~8に対する引用関係を解消し、請求項9を引用するものについて、訂正事項4で、請求項1を引用する請求項9を独立形式とし、訂正事項9で、請求項2を引用する請求項9を独立形式とし新たな請求項21とする訂正をし、訂正事項10で、請求項3を引用する請求項9を、請求項21を引用する新たな請求項22とする訂正をし、訂正事項11で、請求項4を引用する請求項9を、請求項9、21及び22を引用する新たな請求項23とする訂正をし、訂正事項12で、請求項5を引用する請求項9を、請求項9及び21~23を引用する新たな請求項24とする訂正をし、訂正事項13で、請求項6を引用する請求項9を、請求項9及び21~24を引用する新たな請求項25とする訂正をしたことに伴って、訂正後の請求項28において、新たな請求項9及び21~25のいずれか1項を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項16は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項16は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項16は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項16は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項16に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
チ 訂正事項17
(ア)訂正の目的について
訂正事項17は、訂正前の請求項17が「請求項16」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項16が「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であるところ、訂正事項16で、訂正前の請求項16の請求項1~8に対する引用関係を解消し、請求項9を引用するものについて、新たな請求項28とする訂正をしたことに伴って、請求項9を引用する請求項16をさらに引用する請求項17について、訂正後の請求項29において、新たな請求項28を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項17は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項17は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項17は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項17は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項17に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ツ 訂正事項18
(ア)訂正の目的について
訂正事項18は、訂正前の請求項16が「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項18が「請求項16」の記載を引用するものであるところ、訂正事項16で、訂正前の請求項16の請求項1~8に対する引用関係を解消し、請求項9を引用するものについて、新たな請求項28とする訂正をしたことに伴って、請求項9を引用する請求項16をさらに引用する請求項18について、訂正後の請求項30において、新たな請求項28を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項18は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項18は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項18は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項18は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項18に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
テ 訂正事項19
(ア)訂正の目的について
訂正事項19は、訂正前の請求項19が「請求項16~18のいずれか1項」の記載を引用するものであり、訂正前の請求項16は「請求項1~9のいずれか1項」の記載を引用する記載であり、訂正前の請求項17及び18が「請求項16」の記載を引用するものであるところ、訂正事項16~18で、訂正前の請求項16の請求項1~8に対する引用関係を解消し、請求項9を引用するものについて、請求項16~18を、それぞれ新たな請求項28~30とする訂正をしたことに伴って、訂正後の請求項31において、新たな請求項28~30のいずれか1項を引用するものとする訂正である。
したがって、訂正事項19は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正、及び、同法第120条の5第2項3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項19は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項19は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項15は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項19に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ト 一群の請求項について
訂正前の請求項1~11、16~19について、請求項3~11、16~19は、請求項1又は2を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1又は2によって記載が訂正される請求項1又は2に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~11、16~19に対応する訂正後の請求項1~11、16~19、21~31は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)一群の請求項12~15に係る訂正
ア 訂正事項20
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項20-1について
訂正事項20-1は、請求項12について、訂正事項1-1と同様の訂正をするものであり、その発明を明確にするものである。
したがって、訂正事項20-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
b 訂正事項20-2について
訂正事項20-2は、請求項12に記載の「半導体製造用処理液」について、「有機溶剤を含有する現像液であり、前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である半導体製造用処理液」に減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項20-1について
訂正事項20-1は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項20-2について
本件明細書等に
「【0051】
本発明の処理液が有機溶剤を含む現像液(以下、「有機系現像液」ともいう。)として用いられる場合、有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。本発明に用いられる溶剤は、硫酸イオン、塩化物イオン、又は硝酸イオンなどの無機イオン、及び対象金属であるFe、Cu及びZnが低減されたグレードのものを用いるか、さらに精製して用いることが好ましい。
・・・ 中 略 ・・・
【0058】
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
【0059】
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。」
と記載されているように、本件発明の「半導体製造用処理液」が「有機溶剤を含有する現像液」であり、「現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である」ことが示されており、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項20-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項20-1について
訂正事項20-1は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項20-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項20-2について
訂正事項20-2は、上記(ア)bのとおり、請求項12記載の「半導体製造用処理液」について、「有機溶剤を含有する現像液であり、前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である半導体製造用処理液」に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項20-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項20に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
イ 訂正事項21
(ア)訂正の目的について
訂正事項21は、請求項13を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項21は、請求項13を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項21は、請求項13を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項21は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項21に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ウ 訂正事項22
(ア)訂正の目的について
訂正事項22は、請求項14を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項22は、請求項14を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項22は、請求項14を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項22は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項22に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
エ 訂正事項23
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項23-1について
訂正事項23-1は、訂正前の請求項15が「請求項12~14のいずれか1項」を引用する記載であるところ、訂正前の請求項13、14に対する引用関係を解消し、訂正後の請求項15において、請求項12の記載を引用するものを独立形式に変更するものである。
したがって、訂正事項23-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び、同項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
b 訂正事項23-2について
訂正事項23-2は、独立形式に改めた上記請求項15について、訂正事項1-1と同様の訂正をするものであり、その発明を明確にするものである。
したがって、訂正事項23-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
c 訂正事項23-3について
訂正事項23-3は、独立形式に改めた上記請求項15に記載の「半導体製造用処理液」について、その用途を「現像液又はリンス液」に減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項23-1について
訂正事項23-1は、上記(ア)aのとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項23-2について
訂正事項23-2は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
c 訂正事項23-3について
本件明細書等の段落【0035】に、本件発明の「半導体製造用処理液」が「現像液又はリンス液」として用いられることが記載されており、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項23-3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項23-1について
訂正事項23-1は、上記(ア)aのとおり、特許請求の範囲の減縮をするとともに、請求項間の引用関係を解消して独立形式に改めるものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項23-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項23-2について
訂正事項23-2は、訂正事項1-1で検討したように、本件明細書等に記載の実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項23-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
c 訂正事項23-3について
訂正事項23-3は、上記(イ)cのとおり、本件明細書等の記載に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項23-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項23に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ 一群の請求項について
訂正前の請求項12~15について、請求項13~15は、請求項12を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項20によって記載が訂正される請求項12に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項12~15に対応する訂正後の請求項12~15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(3)請求項20に係る訂正
ア 訂正事項24
(ア)訂正の目的について
a 訂正事項24-1について
訂正事項24-1は、請求項20に記載の「半導体製造用処理液」について、「現像液」に減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
b 訂正事項24-2について
訂正事項24-2は、訂正前の請求項20における「Cu、Fe及びZnから選択される1種又は2種以上の金属原子を含有し、前記金属原子の少なくとも1種を含む粒子性メタルの合計の含有率が」の記載を、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であり、且つ、前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が」に訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正前の上記記載は、「Cu、Fe及びZnから選択される」のように「選択される」という用語が使用されているために、選択されなかった金属原子が特定されておらず、発明として不明確であった。
上記訂正では、これを「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子」とすることにより、その発明を明確にするものである。
加えて、「前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の合計の含有率」について「前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であ」るとの減縮を加えるものである。
そうすると、訂正事項24-2は、特許法第120条の5第2項だだし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
c 訂正事項24-3について
訂正事項24-3は、請求項20に記載の「半導体製造用処理液」について、「但し、前記半導体製造用処理液から、Fe(OH)2粒子を含むテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液であって、前記粒子に含まれるFeの含有率が、前記水溶液の全質量を基準として34.0~39.2質量pptである前記水溶液を除く」ものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
(イ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
a 訂正事項24-1について
本件明細書等の段落【0045】に、本件発明の「半導体製造用処理液」が「現像液」として用いられることが記載されており、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項24-1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
b 訂正事項24-2について
(a)本件明細書等の段落【0463】【0464】に記載されているように、「実施例1」~「実施例48」として記載された処理液の「総メタル量合計」、「粒子性メタル量合計」は、処理液に含有されるFe、Cu及びZnの全てのメタルの合計の含有率(質量ppt)、及び、処理液に含有されるFe、Cu及びZnの全ての粒子性メタルの合計の含有率(質量ppt)となっており、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の合計の含有率」及び「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」である。
そして、本件明細書等の段落【0463】【表1-4】に、実施例6~9、11、12、14及び16として、「総メタル量合計」が220質量ppt以上であり、且つ、「粒子性メタル量合計」が17~100質量pptの範囲内にある処理液が記載されている。
したがって、訂正事項24-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(b)なお、異議申立人2は、意見書2-2で、
i 本件明細書には、半導体製造用処理液における総メタル量の範囲について言及する記載は一切存在せず、単に表1-4において当該含有率の測定結果が示されているに過ぎず、本件明細書の記載全体みても、半導体製造用処理液における総メタル量の範囲について言及があるとは認められない。
ii 訂正事項24-2では、当該メタル量の下限として220質量pptが規定されるだけであり、上限が規定されおらず、無限大であってもよいこととなるが、このような規定の根拠となる記載も本件明細書には一切存在しない。
iii したがって、訂正事項24-2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に違反してなされたものである。
旨主張する。(意見書2-2の第22~23頁)
(c)しかしながら、上記(a)で述べたように、本件明細書の段落【0463】【表1-4】に、実施例6~9、11、12、14及び16として、「総メタル量合計」が220質量ppt以上であり、且つ、「粒子性メタル量合計」が17~100質量pptの範囲内にある処理液が記載されているから、訂正事項24-2は、明細書等の記載に基づくものである。
また、訂正事項24-2では、「総メタル量合計」が無限大も含むとの主張は、あり得ない値(無限大)に基づく主張である。
そうすると、異議申立人2の上記(b)の主張は採用できない。
c 訂正事項24-3について
(a)訂正事項24-3は、取消理由通知書(決定の予告)に記載された理由2(新規性)及び理由3(進歩性)で先行文献として引用されたChady Stephan, "Analysis of Iron Nanoparticles in Organic Solvents Used in the Semiconductor Industry Using Single Particle ICP-MS in Reaction Mode"、APPLICATION NOTE、[online]、2015(平成27年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://labsense.fi/uploads/7/1/9/5/71957143/analysis_of_iron_nanoparticles_in_organic_solvents_used_in_the_semiconductor_industry_application_note.pdf>(以下、「引用文献1」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第13号証。異議申立人2による特許異議申立書に添付の甲第1号証。)に記載された事項のみを除外することを目的とするものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項24-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(b)なお、異議申立人2は、意見書2-2で、
引用文献1には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)有機溶媒に存在するFe(OH)2粒子の濃度から計算したFeの濃度は「34.0質量ppt、37.1質量ppt、39.2質量ppt」であり、訂正項24-3は、引用文献1に明示的に記載されていない、34.0質量pptを超え、37.1質量ppt未満のもの、37.1質量pptを超え、39.2質量ppt未満のものを除くことになり、「除くクレーム」として許容される範囲を逸脱しているから、訂正事項24-3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に違反してなされたものである旨主張する。(異議申立書2-2の第23~24頁)
(c)しかしながら、引用文献1には、TMAHに存在するFe(OH)2粒子の濃度から計算したFeの濃度は「34.0質量ppt、37.1質量ppt、39.2質量ppt」であり、この値は、同一のサンプルについて3回の繰り返し分析をしたものである。
そうすると、Fe(OH)2粒子の濃度から計算したFeの濃度は、34.0~39.2質量pptであり、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
a 訂正事項24-1について
訂正事項24-1は、上記(イ)aのとおり、本件明細書等の記載に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項24-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
b 訂正事項24-2について
訂正事項24-2は、上記(イ)bのとおり、本件明細書等の記載に実施例に適合したものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項24-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
c 訂正事項24-3について
訂正事項24-3は、上記(イ)cのとおり、引用文献1に記載された事項のみを除外する訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項24-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
本特許異議申立事件において、全ての請求項について特許異議申立ての対象とされているため、訂正事項24に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(4)小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号、及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第126条第5項及び第6項の規定に適合するので本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8、10、11、16~19〕、〔9、21~31〕、〔12~14〕、15、20について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された請求項1~31に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明31」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~31に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、
前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~0.43質量pptであるアルカリ現像液であり、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。
【請求項2】
半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、
前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~10質量pptであり、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。
【請求項3】
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されており、前記内壁の最表面からの深さが1nmの部位における、Cr/Feで表される質量比が1~3である、請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記半導体製造用処理液が収容された前記収容部に占める空隙部の割合が50~0.01体積%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項5】
前記半導体製造用処理液が収容された前記収容部の空隙部は、直径0.5μm以上のパーティクル数が10個/リットル以下の気体が充填されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項6】
前記半導体製造用処理液が収容された前記収容部の空隙部は、不活性ガスが充填されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項7】
前記半導体製造用処理液は、現像液である、請求項2~6のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項8】
前記半導体製造用処理液が、4級アンモニウム塩を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項9】
半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、
前記半導体製造用処理液は、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、且つ、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptである現像液又はリンス液であり、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。
【請求項10】
半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器の製造方法であって、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の前記内壁を、前記半導体製造用処理液を充填する前に、前記内壁に対する接触角が10度以上120度以下の洗浄液を用いて洗浄すること、及び、
前記半導体製造用処理液を洗浄後の前記収容部に充填すること
を含む収容容器の製造方法。
【請求項11】
前記洗浄液は、超純水、又は、前記半導体製造用処理液に含有される成分のうち少なくとも1種を含む液体である、請求項10に記載の収容容器の製造方法。
【請求項12】
半導体製造用処理液であって、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであり、且つ、有機溶剤を含有する現像液であり、前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である半導体製造用処理液。
【請求項13】(削除)
【請求項14】(削除)
【請求項15】
半導体製造用処理液であって、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、且つ、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し17~100質量pptである現像液又はリンス液である半導体製造用処理液。
【請求項16】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板に塗布して感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
前記感活性光線性又は感放射線性膜を露光する工程、及び
前記基板又は前記感活性光線性又は感放射線性膜を、請求項1~8のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程、
を含むパターン形成方法。
【請求項17】
前記基板又は前記感活性光線性又は感放射線性膜を、前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程として、少なくとも、前記感活性光線性又は感放射線性膜を、前記半導体製造用処理液を現像液として用いて現像する工程を含む、請求項16に記載のパターン形成方法。
【請求項18】(削除)
【請求項19】
請求項16又は17に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項20】
半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、前記半導体製造用処理液は現像液であり、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であり、且つ、前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として17~100質量pptである収容容器。但し、前記半導体製造用処理液から、Fe(OH)2粒子を含むテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液であって、前記粒子に含まれるFeの含有率が、前記水溶液の全質量を基準として34.0~39.2質量pptである前記水溶液を除く。
【請求項21】
半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、
前記半導体製造用処理液は、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、且つ、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptであるリンス液であり、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。
【請求項22】
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されており、前記内壁の最表面からの深さが1nmの部位における、Cr/Feで表される質量比が1~3である、請求項21に記載の収容容器。
【請求項23】
前記半導体製造用処理液が収容された前記収容部に占める空隙部の割合が50~0.01体積%である、請求項9、21及び22のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項24】
前記半導体製造用処理液が収容された前記収容部の空隙部は、直径0.5μm以上のパーティクル数が10個/リットル以下の気体が充填されている、請求項9及び21~23のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項25】
前記半導体製造用処理液が収容された前記収容部の空隙部は、不活性ガスが充填されている、請求項9及び21~24のいずれか1項に記載の収容容器。
【請求項26】
半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する請求項9及び21~25のいずれか1項に記載の収容容器の製造方法であって、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁を、前記半導体製造用処理液を充填する前に、前記内壁に対する接触角が10度以上120度以下の洗浄液を用いて洗浄すること、及び、
前記半導体製造用処理液を洗浄後の前記収容部に充填すること
を含む収容容器の製造方法。
【請求項27】
前記洗浄液は、超純水、又は、前記半導体製造用処理液に含有される成分のうち少なくとも1種を含む液体である、請求項26に記載の収容容器の製造方法。
【請求項28】
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を基板に塗布して感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
前記感活性光線性又は感放射線性膜を露光する工程、及び
前記基板又は前記感活性光線性又は感放射線性膜を、請求項9及び21~25のいずれか1項に記載の収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程、
を含むパターン形成方法。
【請求項29】
前記基板又は前記感活性光線性又は感放射線性膜を、前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程として、少なくとも、前記感活性光線性又は感放射線性膜を、前記半導体製造用処理液を現像液として用いて現像する工程を含む、請求項28に記載のパターン形成方法。
【請求項30】
前記基板又は前記感活性光線性又は感放射線性膜を、前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程として、少なくとも、前記感活性光線性又は感放射線性膜を、前記半導体製造用処理液をリンス液として用いて洗浄する工程を含む、請求項28に記載のパターン形成方法。
【請求項31】
請求項28~30のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。」
第4 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由について
請求項1~20に対して、当審が、令和4年11月10日付けで、特許権者に通知した取消理由通知書(決定の予告)の取消理由(以下、単に「取消理由」という。)の要旨は、次のとおりである。
1 取消理由1:本件特許の請求項12~14に係る発明は、Kenneth Ong, "Determination of Impurities in Semiconductor-Grade TMAH with the NexION 300S/350S ICP-MS"、APPLICATION NOTE、[online]、2014年(平成26年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://resources.perkinelmer.com/corporate/cmsresources/images/46-135839app_010283_01nexion300s-impuritiessemicontmah.pdf>(以下、「引用文献6」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第7号証。異議申立人2による意見書2-1に添付の甲第11号証。)に記載された発明であり、本件特許の請求項12、14に係る発明は、特開2005-260213号公報(以下、「引用文献7」という。異議申立人2による意見書2-1に添付の甲第13号証。)に記載された発明であり、本件特許の請求項12、15に係る発明は、Kenneth Org,"Determination of Impurities in Organic Solvents used in the Semiconductor Industry with the NexION 300S/350S ICP-MS"、APPLICATION NOTE、[online]、2014年(平成26年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://resources.perkinelmer.com/lab-solutions/resources/docs/app_010279_01nexion300s-impuritiessemiconipapgmea.pdf>(以下、「引用文献8」という。異議申立人1による意見書1-1に添付の甲第15号証。異議申立人2による意見書2-1に添付の甲第15号証。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項12~15に係る特許は、同条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
2 取消理由2:本件特許の請求項1~17、19~25、27~29、31、32、35に係る発明は、引用文献1、6、7、8及び、特開平11-80257号公報(以下、「引用文献2」という。異議申立人2による特許異議申立書に添付の甲第3号証。)、特開平10-436号公報(以下、「引用文献3」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第5号証。異議申立人2による意見書2-1に添付の甲第12号証。)、特開平7-11421号公報(以下、「引用文献4」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第9号証。)、特開2015-64494号公報(以下、「引用文献5」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第12号証。異議申立人2による特許異議申立書に添付の甲第9号証。)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~17、19~25、27~29、31、32、35に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
3 取消理由3:本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~35の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
1 引用文献の記載と引用発明等
(1)引用文献1について(下線は当審で付した。以下、同じ。)
引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、引用文献1の記載事項は、当審の訳文で示す。
「はじめに
半導体製品の金属汚染は、デバイスの性能に悪影響を及ぼす。チップの線幅が小さくなると、金属汚染の許容値も小さくなる。金属汚染で最も多いのは、遷移金属とアルカリ元素である。遷移金属は、半導体材料中を拡散し、表面にさまざまな酸化物として凝縮する。遷移金属の中では、鉄(Fe)の混入が圧倒的に多くなっている。単一粒子ICM-MS(SP-ICP-MS)は、使用する導入システムにもよるが、100~1000粒/mLという非常に低い粒子濃度で個々の粒子を検出、カウント、サイズ決定することができるため、ナノ粒子の分析によく使われる技術であることがわかっている。SP-ICP-MSでは、微粒子の情報に加えて、事前に分離することなく溶存濃度を知ることができる。SP-ICP-MSは、化学的機械的平坦化スラリーを含む様々なマトリックス中のナノ粒子を測定し、特性を明らかにする能力があることが多くの文献で示されている。」(第1頁)
「本研究では、反応モードのSP-ICP-MSを用いて、半導体溶媒中の鉄ナノ粒子と酸化鉄の測定および特性評価ができることを実証する。」(第2頁左列7行~9行)
「サンプルは、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)と90%シクロヘキサン/10%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合物を含む。」(第2頁左列27行~29行)
「機器の条件
すべての分析は、PerkinElmer NextION(R) 350S ICP MSで、SyngistixTM Nano Application Software Module(Version 1.1)を用いて行った。装置の条件をTable 1に示す。サンプル導入条件は分析する溶媒によって若干異なり、コーンへのカーボン付着を防ぐためにスプレーチャンバーの後に酸素を加えた。その他のコンポーネントとパラメーターはすべて一定とした。」(第2頁左列30行~37行)(当審注:「(R)」は「○」の中に「R」が記された文字を示す。以下同じ。)
「次に、脱イオン水で10倍に希釈したTMAHを分析し、その結果を図5と表6に示す。図5aは左に粒度分布を、図5bは1つのFeナノ粒子からの信号を示している。(図5bのx軸は単一のピークを示すために大幅に拡大されている)。シクロヘキサンの場合と同様、3回の繰り返し分析において、粒子径と濃度の両方で一貫した結果が得られた。表6は、このサンプルの3回の分析結果を示している。粒子径と濃度の両方において、方法論が一貫していることを示しています。表6は、サンプルの3回の分析結果を示している。これらのナノ粒子がステンレススチールに由来するものかどうかを判断するために、サンプルを再度分析した。サンプルを再度分析し、今度はクロム(Cr)を測定した。図6のリアルタイムトレースが示すように、粒子は存在しなかった。つまり、このFe含有ナノ粒子はステンレス鋼ではないということである。TMAHの化学的性質から、これらはFe(OH)2粒子ではないかと考えられる。」(第4頁左列1行~16行)
「Fe(OH)2粒子がTMAHに存在すると仮定すると、測定される総鉄濃度は、Fe(OH)2の密度(3.4g/cm3)、Feの質量分率(70%)、粒子サイス、および粒子濃度に基づいて計算できる。表7は、TMAHの3回の繰り返し分析のデータを示している。これは、鉄の総濃度(粒子濃度から変換され、粒子がFe(OH)2のクラスターであると仮定)が非常に正確に検出されていることを示している。表7は、TMAHの3回の繰り返し分析のデータを示し、粒子濃度から変換した後、粒子がFe(OH)2のクラスターであると仮定して検出された鉄の総濃度を示している。」(第4頁右列1行~12行)
「結論
本研究は、反応モードでのSP-ICP-MSが有機溶媒中のFe含有ナノ粒子を検出する能力を実証した。NexION 350の反応モードでアンモニアを使用することにより、Feの主要同位体(m/z 56)でのArO+干渉が完全に排除され、Fe含有ナノ粒子のサイズと濃度を正確に決定できる。衝突モードの代わりに反応モードを使用した。衝突モードでは、鉄の感度が大幅に低下することなくArO+干渉を排除できず、Fe含有ナノ粒子が見られなくなるためである。反応モードでは、13nmのFeナノ粒子の検出限度が確立され、有機溶媒中の3000粒子/mLという低い濃度で粒子が正確にカウントおよびサイズ決定できた。今後の研究は、反応モードの恩恵を受ける他のナノ粒子に焦点を当てる。」(第5頁左列1行~15行)
「
[図:0001402725000003.jpg]
」
上記Table7には、3回の分析により、脱イオン水で10倍に希釈したテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)有機溶媒に存在するFe(OH)2粒子の濃度から計算したFeの濃度は、3.92質量ppt、3.71質量ppt、3.40質量pptであることが示されている。このことから、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に存在するFeの濃度は、34.0~39.2質量pptであることがわかる。
そうすると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)と90%シクロヘキサン/10%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合物を含み、
Fe(OH)2粒子を含むテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)有機溶媒であって、Fe(OH)2粒子の濃度から計算したFeの濃度が、34.0~39.2質量pptであるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)有機溶媒。」
(2)引用文献2について
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置産業分野、精密工業部品分野及び医薬品等に使用される高純度薬品用容器の製造に好適で、高純度薬品を充填した場合に、薬品への微粒子の発生および金属溶出の極めて少ないポリエチレン容器用樹脂及び高純度薬品容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子工業分野の著しい発達に伴って、高純度薬品の需要が高まっている。高純度薬品は、例えば、大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造に不可欠の薬品として使用されている。具体的には、ウエハー洗浄・エッチング用、配線・絶縁膜エッチング用、治具洗浄用、現像液、レジスト希釈液、レジスト剥離液、乾燥用等の用途として、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、過酸化水素水、イソプロピルアルコール、キシレン、TMAH、メタノール、酢酸、リン酸、アンモニア水、PGMEA、DMSO、NMP、ECA、乳酸エチル等が用いられている。従来、これらの高純度薬品用容器材料として、耐薬品性、耐衝撃性、価格等の点から、ポリエチレン樹脂が使用されている。しかしながら、従来のポリエチレン樹脂製の容器では、薬品による該樹脂の溶出物や劣化物等の汚染物質による内容物への汚染問題があり、高純度薬品容器用として限界があった。すなわち、超LSIの微細化に伴い、従来では金属不純物濃度が1PPBであったものが、現在では0.1PPB以下が要求されている。また、従来、0.5μm以上の微粒子が問題であったものが、0.2μm以上の微粒子が100個/ml以下と厳しい品質が要求されるようになり、さらに、最近では0.1μmレベルの微粒子が問題となり0.1μm以上の微粒子が100個/ml以下とより厳しい品質が要求されている。そのため、金属不純物濃度と微粒子レベルを満足するよりクリーンな高純度薬品容器用のポリエチレン樹脂の出現が待たれている。」
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高純度薬品容器用ポリエチレン樹脂であって、該ポリエチレン樹脂を高純度薬品容器として使用した場合に、薬品による該樹脂の溶出物や劣化物等の汚染物質の溶出を極力抑え、樹脂の変色が少なく長期間の使用が可能な高純度薬品容器用ポリエチレン樹脂及びそれよりなる高純度薬品容器の提供を目的とするものである。」
「【0019】本発明の高純度薬品容器用ポリエチレン樹脂はブロー成形、射出成形、押出成形、回転成形、押出成形等既知の成形方法により容器状に成型することにより高純度薬品容器となる。特に、クリーンルーム内に設置したブロー成形機を使用し、フィルターで微粒子を取り除いたエアーをブローエアーに用いたブロー成形方法はクリーンな容器を製造するのに好ましい。容器形状および容器の容量は特定しないが、内容物のバリアー性や容器の強度を補強するために、該樹脂を内層に使用し、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、およびポリアミド樹脂等を中間層に使用したり、FRP等を外層にして補強容器にしてもかまわない。」
上記記載から、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造に不可欠な高純度薬品を充填する高純度薬品容器であって、金属不純物濃度と微粒子レベルを満足するよりクリーンな高純度薬品容器用ポリエチレン樹脂を、高純度薬品容器の内層に使用した高純度薬品用容器。」
(3)引用文献3について
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】直径が0.3μm以上の微粒子により汚染された容器を、該直径が0.3μm以上の微粒子の存在が20個/mL以下であり比抵抗値が10MΩ・cm以上である超純水により洗浄し、次いで、該直径が0.3μm以上の微粒子の存在が10個/mL以下であり含水量が50ppm以下の高純度イソプロピルアルコールで洗浄することを特徴とする容器の洗浄方法。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器の洗浄方法、詳しくは微粒子により汚染された高純度イソプロピルアルコール等の充填用容器において該微粒子を良好に除去できる洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の高密度、高集積度化が進むにつれ、ウエハー表面への微粒子の付着による汚染が製品の歩留まりや信頼性に大きな影響をおよぼすようになってきた。そのため、ウエハーの洗浄工程等で使用される有機溶剤は、このような微粒子を可能な限り含まない高純度のものを使用することが望まれる。
【0003】例えば、上記ウエハーの洗浄工程では、水と任意の割合で混合し除電効果もあることからイソプロピルアルコールが用いられウェット洗浄や蒸気乾燥法に供されているが、このイソプロピルアルコールも前記要求から、外部環境から遮断された状態で高度な精製工程を経て製造されたものが一般に使用されている。」
「【0017】本発明において容器の形状は特に制限されるものではないが、上記高純度イソプロピルアルコール等の高純度有機溶剤の充填用容器である場合には、汎用されているキャニスター缶の形状であるのが一般的である。材質は、ガラス製等でも良いが、ガラスは充填されたイソプロピルアルコール中にNaイオンが溶出してくるおそれもあるので、SUS製などの不純物が溶出し難いものが好ましい。これらSUS製充填用容器の内面は、フッ硝酸等の強酸化性溶液に浸すことで不動態化処理したり、電解研磨して平滑化したものが好ましい。本発明において容器は、内面の表面粗さが3.0μmRmax以下、好適には2.0~0.1μmRmaxにある平滑性に優れたもののとき、本発明の洗浄の効果と相乗しあって微粒子の付着が極めて少ないものが得られ、充填する高純度イソプロピルアルコールなどの汚染防止に最も効果的である。さらに、容器は、十分に洗浄した部品を用いてクリーンルーム中で製作されたり、予め十分な洗浄が施された後に保存されていた清浄度の高いものを使用するのが望ましい。」
「【0022】実施例1
電解研磨され内面の表面粗さが1.0μmRmaxのSUS製のキャニスター缶を、開口部が下になるよう逆さまに立てた状態で該開口部から噴射ノズルを挿入し、まず、直径が0.3μm以上の微粒子の存在が8個/mLであり比抵抗値が17MΩ・cmである超純水を噴射させて上記キャニスター缶の内面を洗浄した。使用量は、容器の内面積に対し1mL/cm2とし、噴射圧は3kg/cm2とし、液温は17℃とした。また、この超純水は、直径が0.2μm以上の微粒子の存在が40個/mLであった。
【0023】次に、この超純水による洗浄後、上記噴射ノズルから直径が0.3μm以上の微粒子の存在が1個/mLであり含水量が25ppm以下の高純度イソプロピルアルコールを噴射させて該キャニスター缶の内面を洗浄した。また、高純度イソプロピルアルコールは、イソプロピルアルコールの含量が99.99%以上であり、アルミニウムの含有量が0.1ppb以下であり、カルシウムの含有量が0.2ppb以下であり、クロムの含有量が0.1ppb以下であり、鉄の含有量が0.3ppb以下であり、ナトリウムの含有量が0.2ppb以下であり、亜鉛の含有量が0.1ppb以下のものであった。また、比抵抗値が2000MΩ・cm以上であった。さらに、直径が0.2μm以上の微粒子の存在が4個/mLであった。使用量は、容器の内面積に対し1.0mL/cm2とし、噴射圧は2kg/cm2とし、液温は20℃とした。
【0024】以上の洗浄操作後、かかるキャニスター缶に、上記と同じ純度の高純度イソプロピルアルコールを充填した。なお、これらの洗浄、充填操作は、雰囲気のクリーン度がクラス100であるクリーンベンチ中で実施した。充填後、中のイソプロピルアルコールをサンプリングし、パーティクルカウンターで、0.3μm以上の微粒子の存在量を測定したところ58個/mLであった。直径が0.2μm以上の微粒子の存在は145個/mLであった。また、このサンプリングしたイソプロピルアルコールの含水量をカールフィッシャー法水分計により測定したところ30ppmであった。」
上記記載から、引用文献3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。
「ウエハーの洗浄工程等で使用される有機溶剤である高純度イソプロピルアルコール中に不純物が溶出し難いSUS製の充填用容器において、
超純水を噴射させて上記キャニスター缶の内面を洗浄し、
次に、高純度イソプロピルアルコールを噴射させて該キャニスター缶の内面を洗浄し、
洗浄操作後、高純度イソプロピルアルコールを充填する、
充填用容器。」
(4)引用文献4について
引用文献4には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体製造装置用ガス供給系配管部品として用いられるステンレス鋼部材に関し、耐食性、耐水分放出性に優れた高品質な製品を得る上で必要なステンレス鋼部材に関するものである。」
「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、硝酸浸漬後に行われる加熱処理を極めて酸素の低い雰囲気で行えば、その後形成される不動態皮膜をCrに富むものとすることができることを知見した。本発明はこの知見に基づきなされたものであり、ステンレス鋼からなる母材表面に不働態皮膜が形成された半導体製造装置用ステンレス鋼部材において、前記不動態皮膜におけるCr2O3がCr2O3/(Fe2O3+Cr2O3)≧0.65を満たすことを特徴とする。
【0008】
【作用】前述のように本発明は、ステンレス鋼部材表面に形成される皮膜にCrをより多く存在させることにより耐食性を向上した点に特徴がある。すなわち、ステンレス鋼を硝酸水溶液中に浸漬してCrを主体とする皮膜を形成し、その後行う加熱処理を酸素量が極めて低い雰囲気で行うことで皮膜中のFe存在量の増大を抑制して最終的に形成される不動態皮膜をCrに富むものとするのである。」
「【0019】前記特開平1-31956号と同様に酸素中で加熱処理を行ったNo.4~No.6は酸素中加熱処理であるためFe系の酸化膜が形成されたため4%NaCl水溶液中での耐食性が不十分であった。なお、表1中のCr/Feとは、不動態皮膜におけるCr2O3/(Fe2O3+Cr2O3)を示している。この値は、表面分析装置であるESCA(X線光電子分光分析装置、英国VG社製310D)を用い、X線源としてMg-Kα線を試料に照射して得られた不動態皮膜のCr2O3およびFe2O3のピーク面積を測定し、その強度の和に対するCr2O3のピーク面積比である。なお、本発明におけるCr2O3/(Fe2O3+Cr2O3)とは、この条件に基づき定義される。本発明でCr2O3が多くなるのは、硝酸浸漬によりFeが選択的に溶け出し、表面の不動態皮膜中に占めるCr2O3が多くなり、さらに前述の加熱処理によりその不動態皮膜が破壊されることなく水分除去が可能なためである。」
上記記載から、引用文献4には、次の事項(以下、「引用文献4記載事項」という。」)が記載されている。
「半導体製造装置用ステンレス鋼部材において、不動態皮膜をCrに富むものとすることにより、耐食性を得る上で必要なステンレス鋼部材を得ること。」
(5)引用文献5について
引用文献5には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、電子デバイス、及び、化合物に関する。より詳細には、本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、並びにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程に好適なパターン形成方法、それに用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、化合物に関する。また、本発明は、上記パターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法及び該方法により製造された電子デバイスにも関する。」
「【背景技術】
【0002】
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うべく、化学増幅を利用したパターン形成方法が用いられている。例えば、ポジ型のパターン形成方法では、まず、露光部において、光酸発生剤が分解して酸を発生する。次に、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)過程等において、発生した酸の触媒作用により、樹脂に含まれるアルカリ不溶性の基がアルカリ可溶性の基に変化する。その後、アルカリ溶液を用いて、現像を行う。これにより、露光部を除去して、所望のパターンを得る。アルカリ現像液としては、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)の水系アルカリ現像液が汎用的に用いられている。また、近年は、有機溶剤を含む現像液の使用についても検討が行われている。」
「【0320】
〔8〕パターン形成方法
次に、本発明に係るパターン形成方法について説明する。
本発明のパターン形成方法は、以下の工程を少なくとも有する。
(ア)本発明の組成物を含む膜(組成物膜、レジスト膜)を基板上に形成する工程、
(イ)該膜に活性光線又は放射線を照射(露光)する工程(露光工程)、及び
(ウ)現像液を用いて上記活性光線又は放射線を照射した膜を現像する工程(現像工程)、
を少なくとも含む。」
「【0334】
本発明の組成物を用いて形成された感活性光線性または感放射線性組成物膜を現像する工程において使用する現像液は特に限定しないが、例えば、アルカリ現像液または有機溶剤を含有する現像液(以下、有機系現像液とも言う)を用いることが出来る。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10.0~15.0である。アルカリ現像液のアルカリ濃度及びpHは、適宜調製して用いることができる。アルカリ現像液は、界面活性剤や有機溶剤を添加して用いてもよい。
アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0335】
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
【0336】
有機系現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
【0337】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
【0338】
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
【0339】
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。」
上記記載から、引用文献5には、次の事項(以下、「引用文献5記載事項1」という。)が記載されている。
「2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)をアルカリ現像液として使うこと。」
また、上記記載から、引用文献5には、次の事項(以下、「引用文献5記載事項2」という。)が記載されている。
「IC等の半導体製造工程のリソグラフィー工程に好適なパターン形成方法であって、
(ア)組成物を含む膜(組成物膜、レジスト膜)を基板上に形成する工程、
(イ)該膜に活性光線又は放射線を照射(露光)する工程(露光工程)、及び
(ウ)現像液を用いて上記活性光線又は放射線を照射した膜を現像する工程(現像工程)、
を少なくとも含む、
パターン形成方法。」
(6)引用文献6について
引用文献6には、以下の事項が記載されている。なお、引用文献6の記載事項は、当審の訳文で示す。
「はじめに
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)は、半導体フォトリソグラフィ工程あるいは液晶ディスプレイの製造において、酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として広く使用されている。これらの要望される用途に広く使用されているため、TMAH中の不純物の分析がますます重要になっている。SEMI Standard C46-03061では、25%のTMAHについて、各元素のコンタミネーション限界を10ppb以下と規定している。しかし、TMAHは濃縮された状態では一般に使用されず、実際、ほとんどの用途では、濃度は1~3%程度である。
誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)は、様々なプロセス化学物質中の超微量(ng/Lまたはparts-per-trillion)レベルの分析対象物を迅速に測定することができるため、品質管理に欠かせない分析ツールとなっている。しかし、炭素含有量によるマトリックス由来の多原子干渉やマトリックスサプレッション効果が大きいため、その対策が非常に重要になる。これらの問題は、有機溶媒を直接分析する場合に特に顕著となる。クールプラズマは、アルゴンベースの干渉を低減するのに効果的であるが、ホットプラズマよりもマトリックスサプレッションが発生しやすくなる。さらに、プラズマエネルギーが低いため、ホットプラズマ条件では見られない他の多原子干渉が優先的に形成される可能性がある。多原子干渉の低減には、多極子と非反応性ガスを用いたコリジョンセルが有効であることがわかっている。しかし、運動エネルギーによる判別では、感度が低下してしまうため、ng/Lレベルの分析を行う場合には問題となる。反応モードは、NH3などの反応性ガスを用いて多原子干渉物と選択的に反応させ、四重極マスフィルターでダイナミックバンドパスを形成して望ましくない副生成物イオンの生成を防ぐことで、分析対象物の信号を抑制することなく多原子干渉物を効果的に除去するもう一つの手法である。
このアプリケーションノートでは、PerkinElmerのNexION(R)300S ICP-MSが干渉を除去できることを示し、1回の分析ですべての分析対象物のホットプラズマ条件を使用して、TMAHの微量レベルの不純物を簡単に測定できることを示している。
実験条件
TMAH(Tamapure-AA、多摩化学工業、東京、日本)の濃度は約25%であり、サンプルの調整は純水で5倍に希釈し、5%(W/W)の溶液とした。標準液は、10mg/Lの多元素標準液(PerkinElmer Pure、PerkinElmer、Shelton、CT USA)から作成した。この実験に使用した装置は、Nexion 300S ICP-MS(PerkinElmer、Shelton、CT USA)である。装置のパラメータとサンプル導入部を表1に示す。」(第1頁1行~第2頁右欄7行)
「Table2
[図:0001402725000004.jpg]
5%TMAH中の全分析物の検出限界(DL)、バックグラウンド相当濃度(BEC)、20ng/Lスパイク回収率(単位:ng/L)」
上記「水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)は、半導体フォトリソグラフィ工程あるいは液晶ディスプレイの製造において、酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として広く使用されている。」の記載から、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)は、酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液であることがわかる。
上記Table2には5%TMAH中の金属濃度に相当する、全分析物のバックグラウンド相当濃度(BEC)が示されており、Fe、Cu、Znがそれぞれ33ppt、5ppt、27.3pptであることが示されている。
上記記載から、引用文献6には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。
「酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液である、25%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を純水で5%に希釈した溶液には、バックグラウンド相当濃度(BEC)として、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が65.3pptであり、この溶液を1~3%程度に希釈して半導体製造時に使用する、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の溶液。」
(7)引用文献7について
引用文献7には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス用基板及びその洗浄方法に係り、特に、金属配線や低誘電率(Low-k)絶縁膜などを表面の一部あるいは全面に有する半導体デバイス用基板に付着した微粒子(パーティクル)や有機汚染、金属汚染を、金属配線を腐食することなく短時間で除去する洗浄液と、この洗浄液を用いた洗浄方法に関するものである。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体デバイスの更なる高速化、高集積化のために、Cuなどの低抵抗金属配線材料や低誘電率材料といった新材料の導入が近年急速に進んでいる。これらを用いた半導体デバイス製造工程における基板洗浄の諸問題を解決するために、前記の様な洗浄法が提案されているが、疎水性の低誘電率絶縁膜や腐食しやすいCu膜の表面上の様々な汚染を短時間で充分に除去できる技術はなく、その確立が求められていた。
【0006】
疎水性の低誘電率絶縁膜表面の汚染を効果的に洗浄するためには、界面活性剤を活用して疎水面のぬれ性を向上することが重要である。しかしながら従来技術では、この界面活性剤が超純水を用いたリンス工程で除去されにくい(特にCu表面において)ため、長時間のリンスが必要になり、洗浄の短時間化の妨げとなる問題があった。
【0007】
本発明は上記問題を解決する為になされたものであり、基板表面を腐食することなくパーティクル汚染、有機物汚染及び金属汚染を同時に除去することができ、しかも水リンス性も良好で、短時間で基板表面を高清浄化することができる半導体デバイス用基板及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、有機酸、有機アルカリ成分及び界面活性剤を含む特定pH値の洗浄液は、基板表面を腐食することなくパーティクル汚染、有機物汚染及び金属汚染の同時除去のみならず、水リンス性を向上し、短時間で基板表面を高清浄化することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の半導体デバイス用基板洗浄液は、半導体デバイス用基板の洗浄液において、以下の成分(a)、(b)、(c)、及び(d)を含み、かつpHが1.5以上6.5未満であることを特徴とする。
成分(a):有機酸
成分(b):有機アルカリ成分
成分(c):界面活性剤
成分(d):水
【0010】
この半導体デバイス用基板洗浄液は、表面に金属配線や、低誘電率絶縁膜を有する半導体デバイス用基板の洗浄に特に好適である。
【0011】
本発明において、成分(a)としては、カルボキシル基を1以上有する炭素数1~10の有機化合物が好ましい。より好ましくは炭素数1~8であり、さらに好ましくは炭素数1~6である。カルボン酸としてはカルボキシル基を1以上有するものであればよく、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等を適宜用いうる。ただし通常、カルボキシル基は5以下である。特に好ましくは酢酸、プロピオン酸、蓚酸、コハク酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸及びリンゴ酸よりなる群から選ばれる少なくとも一つの有機酸であることが好ましい。
【0012】
また、成分(b)としては、以下の一般式(I)で表される有機アルカリ、特に、炭素数1~4のアルキル基及び/又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を有する水酸化第4級アンモニウムが好ましい。
(R1)4N+OH-…(I)
(但し、R1は水素原子、或いは水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよいアルキル基を示し、4個のR1は全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。但し、全て同時に水素原子である場合を除く。)
【0013】
また、成分(c)としては、アニオン系界面活性剤、特に、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、アルキルメチルタウリン酸及びその塩、アルキル硫酸エステル及びその塩、アルキルエーテル硫酸エステル及びその塩並びにスルホコハク酸ジエステル及びその塩よりなる群より選ばれる少なくとも一つのアニオン系界面活性剤が好ましい。
【0014】
また、成分(a)の含有量は0.05~10重量%、成分(b)の含有量は0.01~10重量%、成分(c)の含有量は0.0003~0.1重量%であることが好ましく、成分(a)と(b)との重量比率[成分(a)/成分(b)]は0.8以上5以下、成分(c)と(b)との重量比率[成分(c)/成分(b)]は0.01以上0.2以下であることが好ましい。」
「【0019】
本発明の洗浄液は、成分(a)として有機酸、成分(b)として有機アルカリ成分、成分(c)として界面活性剤、成分(d)として水を含み、かつpHが1.5以上6.5未満のものである。」
「【0022】
本発明の洗浄液中における成分(a)の含有量は、汚染の除去を充分に行うためには、洗浄液に対して通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上とする。ただし、基板表面を腐食させないことや経済的であることを重視すれば、成分(a)の含有量は通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下とする。成分(a)の濃度が高すぎてもそれ以上の効果は得られない。」
「【0026】
成分(b)として好ましくは一般式(I)で表される水酸化第4級アンモニウムが挙げられ、この水酸化第4級アンモニウムとしては具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド(通称:コリン)、トリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0027】
上述の有機アルカリ成分の中でも洗浄効果、金属残留が少ないこと、経済性、洗浄液の安定性などの理由から、有機アルカリ成分としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド(通称:コリン)などが特に好ましい。これらの有機アルカリ成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で併用してもよい。」
「【0029】
本発明の洗浄液中における成分(b)の含有量は、水リンス性を充分良好にするためには、洗浄液に対して通常0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上とする。ただし、汚染除去効果が高いことや経済的であることを重視すれば、成分(b)の含有量は、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下とする。成分(b)の濃度が高すぎると逆に汚染除去効果が低下する場合がある。」
「【0031】
本発明の洗浄液中における成分(c)の含有量は、パーティクル汚染除去性能を充分得るためには、洗浄液に対して通常0.0001重量%以上、好ましくは0.0003重量%以上、さらに好ましくは0.001重量%以上とする。ただし、過度の泡立ちを抑えることや廃液処理の負荷を軽減することを重視すれば、成分(c)の含有量は通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下とする。成分(c)の濃度が高すぎてもそれ以上の効果は得られない。」
「【0037】
このような成分(a)~(d)を含む本発明の洗浄液は、洗浄液中の金属不純物のうち、少なくともNa,Mg、Al、K、Ca、Fe、Cu、Pb、Znの各々の含有量が20ppb以下、中でも5ppb以下、特に0.1ppb以下であることが、洗浄による半導体デバイス用基板の金属汚染を防止する上で好ましい。特には、これら金属不純物の合計含有量が20ppb以下であることが好ましく、中でも5ppb以下、特に0.1ppb以下であることが好ましい。」
「【0048】
本発明の洗浄液はまた、その性能を損なわない範囲において、その他の成分を任意の割合で含有していてもよい。他の成分としては、含硫黄有機化合物(2-メルカプトチアゾリン、2-メルカプトイミダゾリン、2-メルカプトエタノール、チオグリセロール等)、含窒素有機化合物(ベンゾトリアゾール、3-アミノトリアゾール、N(R2)3(R2は互いに同一であっても異なっていても良い炭素数1~4のアルキル基及び/又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基)、ウレア、チオウレア等)、水溶性ポリマー(ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等)、アルキルアルコール系化合物(R3OH(R3は炭素数1~4のアルキル基))等の防食剤、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸などの酸、ヒドラジン等の還元剤、水素、アルゴン、窒素などの溶存ガス、フッ酸、フッ化アンモニウム、BHF(バッファードフッ酸)等のドライエッチング後に強固に付着したポリマー等の除去効果が期待できるエッチング促進剤などが挙げられる。
【0049】
本発明の洗浄液に含有させる他の成分として過酸化水素、オゾン、酸素などの酸化剤も挙げられる。半導体デバイス用基板の洗浄工程において、酸化膜のないシリコン(ベアシリコン)基板表面を洗浄する際には、酸化剤の配合により、基板表面へのエッチングによる表面荒れを抑える事ができるので好ましい。本発明の洗浄液に過酸化水素等を含有させる場合には、洗浄液中の過酸化水素濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上で、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下とされる。」
上記記載から、引用文献7には、以下の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されている。
「水リンス性を向上させる半導体デバイス用基板洗浄液において、
成分(a)として有機酸、成分(b)として有機アルカリ成分、成分(c)として界面活性剤、成分(d)として水を含み、
成分(b)として、有機アルカリ成分としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)と、アルキルアルコール系化合物(R3OH(R3は炭素数1~4のアルキル基))等の防食剤を含み、
成分(a)の含有量は通常30重量%以下、成分(b)の含有量は、通常30重量%以下、成分(c)の含有量は通常1重量%以下とし、
洗浄液中の金属不純物のうち、少なくともNa,Mg、Al、K、Ca、Fe、Cu、Pb、Znの各々の含有量が0.1ppb以下であることが洗浄による半導体デバイス用基板の金属汚染を防止する上で好ましく、これらの金属不純物の合計含有量が0.1ppb以下であることが好ましく、
半導体デバイス用基板洗浄液。」
(8)引用文献8について
引用文献8には、以下の事項が記載されている。なお、引用文献8の記載事項は、当審の訳文で示す。
「はじめに
半導体産業で最も一般的に使用される有機溶剤は、イソプロピルアルコール(IPA)とプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)の2種類である。IPAがシリコンウェハーの洗浄に頻繁に使用されるのに対し、PGMEAはフォトレジストの希釈液や剥離剤として使われる。メモリデバイスの信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある微量金属汚染については、両者とも分析する必要がある。SEMI規格C41-0705では、高純度IPAグレード4について、各元素の汚染限界を100ppt以下と規定している。」(第1頁1行~11行)
「実験条件
電子工業用イソプロピルアルコールとプロピレングリコールメチルエーテルアセテートは、シンガポールの顧客である半導体メーカーから提供されたものである。サンプルは前処理や希釈を行わず直接注入した。標準溶液は10mg/Lの多元素標準試料(PerkinElmer Pure、PerkinElmer、Shlton、CT USA)から作成した。この実験に使用した装置は、NexION 300S ICP-MS(PerkinElmer、Shlton、CT USA)である。装置のパラメータと試料導入部材を表1に示す。」(第2頁左欄14行~右列6行)
「Table2
[図:0001402725000005.jpg]
IPA中の全分析物の検出限界(DL)、バックグラウンド相当濃度(BEC)、および20ng/Lスパイク回収率(単位:ng/L)」
「IPAとPGMEAの結果をそれぞれ表2、表3にまとめた。検出限界(DL)とバックグラウンド等価濃度(BEC)は、IPAとPGMEAの感度を考慮しつつ、IPAとPGMEAの両方で決定した。DLは標準偏差を3倍することで算出し、BECはシグナル強度を測定することで決定した。回収率は、IPAで20ng/L、PGMEAで50ng/Lのスパイクから測定した。」(第3頁右下欄)
「まとめ
NexION300S ICP-MSを最適なサンプリング条件で使用することにより、有機マトリクスを吸引する際に質量分析計に流入する望ましくない炭素系化学種の量を最小限に抑えることができることが実証された。また、ユニバーサルセルの反応モードを使用することにより、アルゴンおよび炭素ベースの多原子スペクトル干渉を大幅に低減し、従来問題とされていた多くの元素を良好なスパイク回収率と精度で定量できることが示されている。純NH3を反応ガスとして用い、1組の反応条件により、IPAとPGMEAの分析で実証されたように、業界で使用される多くの有機化合物から半導体元素の全種類を決定することができる。さらに、ホットプラズマ条件での分析により、複雑な有機マトリックスであっても、マトリックス抑制を最小限に抑えながら、イオン化ポテンシャルの高い元素と低い元素の両方を多元素分析で測定することができる。この結果は、NexION300S ICP-MSのルーチン分析における堅牢性を示している。」(第5頁)
上記Table2にはIPA中の金属濃度に相当する、全分析物のバックグラウンド相当濃度(BEC)が示されており、Fe、Cu、Znがそれぞれ31ppt、3.6ppt、2pptであり、合計36.6pptであることが示されている。
上記記載から、引用文献8には、以下の発明(以下、「引用発明6」という。)が記載されている。
「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)であって、全分析物のバックグラウンド相当濃度(BEC)として、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が36.6ppt含まれている、IPA。」
(9)特開平5-243144号公報について
特開平5-243144号公報(以下、「引用文献9」という。異議申立人2による意見書2-2に添付の甲第19号証。)には、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板1上に被着されたレジスト(3)を露光して現像する際に,現像液として貧溶媒を用いて途中まで現像して未露光部のレジストを厚さ方向に一部溶解除去し,次いで,プラズマエッチングにより残余の未露光部のレジストを除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】 前記現像液としてメチルイソブチルケトン(MIBK)および/またはイソプロピルアルコール(IPA)を用いることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。」
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造方法に係り,特にリソグラフィ工程におけるレジストパターンの形成方法に関する。
【0002】半導体装置の製造工程で使用されるレチクルやフォトマスクの作製時のマスク基板上やあるいは半導体基板上に放射線重合型レジストを使用した微細パターンを形成する際に,現像時に発生するレジストの膨潤によるパターンのくずれが問題になっている。」
「【0015】
【実施例】図1を用いて本発明の実施例を説明する。以下に工程ごとの材料説明とプロセス条件の一例を示す。
・・・
【0018】図1(C):現像工程
現像液(貧溶媒)は
MIBK(メチルイソブチルケトン): IPA(イソプロピルアルコール)=1:1を用い,スプレーで30秒間行った。
【0019】(従来, 通常の現像では極性が強くレジスト溶解速度の大きい良溶媒のメチルエチルケトンやエチルセルソルブが用いられる。)
リンスはIPA (100%)を用い, スプレーで30秒間行った。」
上記記載から、引用文献9には、「実施例」として以下の事項(以下、「引用文献9記載事項」という。)が記載されている。
「半導体基板上に放射線重合型レジストを使用した微細パターンを形成する際に、
現像液(貧溶媒)として、レジスト溶解速度の大きい両溶媒のMIBK(メチルイソブチルケトン)とIPA(イソプロピルアルコール)を1:1で用いること。」
(10)森永均著、「先端LSI技術大系、第2章、第7節、洗浄と汚染低減」、2012年、グローバルネット株式会社出版、p.175-183、インターネット<https://www.ircms.jp/irexport/fujimiinc/file/a58565726016665.pdf>(以下、「引用文献10」という。異議申立人2による意見書2-2に添付の甲第17号証。)について
引用文献10には、以下の事項が記載されている。
「金属を溶解するための重要パラメータは、溶液のpH、酸化還元電位、錯化剤の有無であり、中でも基本となるのがpHと酸化還元電位である。酸化還元電位は溶液化学の分野で、液の酸化性、還元性を示す指標として広く用いられている。液中における水素イオンの酸化還元反応の電位を0Vとして基準とし、それよりも酸化力(電子を奪う力)の強いものを正電位、還元力(電子を与える力)の強いものを負電位で表している。単位は通常、V vs. NHE(水素イオンの電位を基準とした電位という意味)で表される。pHと酸化還元電位のマトリックスにおいて、熱力学的平衡状態にあるときの金属の状態(原子、イオン、水酸化物、酸化物等)を示した、いわゆるpH-電位図(Potential-pH Diagram、あるいは考案者のPourbaixにちなんでPourbaix Diagram5)とも呼ばれる)は液中における金属の溶解を議論する際に有効である。図2に代表的な金属のpH-電位図を示す。金属-水溶液の2相系の場合、図の溶解域(斜線の領域)になるように溶液のpHと電位をコントロールすれば金属は溶解する。金属汚染の洗浄に多用されるHPM(HCl/ H2O2 /H2O)洗浄やSPM(H2SO4/H2O2/H2O)洗浄は、低pH(<1)と高電位(1.5Vvs.NHE以上)を有しており、様々な金属汚染を容易に溶解することができる。但し、金属汚染は液中では溶解していても、基板表面と化学反応を起こして再付着する場合があるので注意を要する(表1)。希フッ酸(DHF)中でのCu付着、APM(NH4OH/H2O2 /H2O)洗浄やアンモニア洗浄などのアルカリ液中でのAlやFe、Znの付着は有名である。Cu2+などの貴金属イオンは、シリコンとの酸化還元反応によってシリコン表面に吸着する。アルカリ液中ではFe2+、Al 3+など様々な金属が水酸化物となり、これがSiO2表面のSi-OH基と脱水縮合反応を起こして吸着する。これらの付着は、その原動力となっている化学反応を妨げることで防止できる1)3)4)。」(第176頁右欄1行~第177頁左欄10行)
「図2
[図:0001402725000006.jpg]
」(第176頁)
上記記載から、引用文献10には以下の事項(以下、「引用文献10記載事項」という。)が記載されている。
「アルカリ液中ではFe2+、Al 3+など様々な金属が水酸化物となり、これがSiO2表面のSi-OH基と脱水縮合反応を起こして吸着すること。」
(11)「高感度ICP-MSによる半導体グレードのイソプロピルアルコール中の不純物分析」、2013年、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社、インターネット<https://tools.thermofisher.com/content/sfs/brochures/EL13007-JA.pdf>(以下、「引用文献11」という。異議申立人1による意見書1-2に添付の甲第16号証。)について
引用文献11には、以下の事項が記載されている。
「目的
半導体グレードのイソプロピルアルコール中の超微量金属濃度を測定しました。コールドプラズマを使用してバックグラウンド相当濃度(BEC)と検出限界(DL)を下げ、超微量(ppt)測定の再現性を確保しました。また、サンプルスループットを最大限まで引き上げるために、一回の測定でホットプラズマとコールドプラズマを安定して切り替えできることを実証しました。
はじめに
半導体業界では、製造段階でイソプロピルアルコール(IPA)を使用してウェハーを洗浄します。このとき、IPAがウェハー表面に直接接触するため、微量金属の濃度を管理する必要があります。ICP-MSは、元素分析感度の高さが評価され、半導体業界で使用される材料の品質管理分析に広く使用されています。IPAをICP-MSに直接導入する分析手法は、IPA中の超微量(ppt)レベルまでを容易に管理でき、サンプル調製による汚染を回避できます。」(第1頁左欄)
「試料と標準溶液の調製
すべてのブランク、標準溶液、サンプルの調製には、事前洗浄したPFAボトルを使用しました。ボトルは超純水(18.2 MΩ)ですすぎ、使用前に層流クリーンフードで乾燥しました。重量測定で適切な量の多元素ストック溶液(単一元素標準から調製)をIPAサンプルに直接添加して、20、50、100、200 pptの濃度の標準溶液を調製しました。リンス溶液とブランク溶液に半導体グレードのIPAを使用しました。IPAマトリックスでの回収率を評価するために、IPAサンプルに対象元素を100ppt添加し、無添加のサンプルと比較しました。」
「表2
[図:0001402725000007.jpg]
」(第4頁左欄)
上記表2にはIPA中の金属濃度に相当する、BECが示されており、Fe、Cu、Znがそれぞれ3.7ppt、5.0ppt、6.5pptであり、合計15.2pptであることが示されている。
上記記載から、引用文献11には、以下の発明(以下、「引用発明7」という。)が記載されている。
「製造段階でウエハー洗浄に使用されるイソプロピルアルコール(IPA)であって、全分析物のバックグラウンド相当濃度(BEC)として、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が36.6ppt含まれている、IPA。」
(12)特開平11-236660号公報について
特開平11-236660号公報(以下、「引用文献12」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第6号証。)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属不純物の混入を極端に嫌う、半導体製造、液晶製造等の電子産業用に使用される高純度のイソプロピルアルコール(IPA)を収納保持する収納容器に関する。詳しくは、長期保存した場合における、高純度IPAに対する全金属溶出量を10pg/ml(ppt)以下に抑えることが可能な収納容器である。」
「【0003】ところで、電子産業、特に半導体産業では形式パターン寸法の微細化、基板の大口径化の急激な技術革新に伴って、使用する薬品の量が増大するのみでなく益々高純度の品質が要求され、IPAも例外ではない。電子産業ではIPAは各種基板の洗浄、乾燥用途に高純度のものが大量に使用されている。ここでは、通常ステンレス鋼に代表される金属容器に充填され、供給され、容器から適宜導出されて使用される。従って、極めて純度の高いIPAを長期に亘って金属不純物の溶出のない状態で維持収納できる容器が望まれている。」
「【0008】以上の様に、従来の収納容器では、金属の溶出を高度に抑えるためには今一歩改良の余地があり、その解決が望まれていた。」
「【0035】実施例1
SUS304ステンレス鋼製の缶径250mm、長さ650mm、底部及び開口部の曲率125mmのIPA収納容器を製作し、電解研磨、ストライクニッケル処理後、硫酸ニッケルを主成分とするメッキ浴中で電解電流密度4A/dm2の条件で電解メッキし、厚みが20μmのメッキ層が表面に形成されたIPA収納容器を得た。尚、電解解研磨は燐酸-硫酸の混酸中で電流密度5A/dm2の条件で行った。ストライクニッケル処理は、塩化ニッケルと塩酸液中で電流密度10A/dm2の条件で行った。得られた高純度IPAIPA収納容器の内表面であるメッキ層を分析すると、ニッケル純度99.99%以上、鉄、クローム、銅の含有量は100ppm以下であった。次に大気中で400℃3時間加熱酸化処理を行い厚みが300オングストロームのニッケル酸化層を得た。ついで、抵抗率18MΩ・cm以上の超純水で精密洗浄、次に、抵抗率1000MΩ・cm以上の高純度IPAで精密洗浄を行った。ついで、このIPA収納容器に高純度IPA(純度99.99%以上)を満たし、温度50℃で6ヶ月間保持した後、IPA収納容器内のIPAに溶出した金属イオンを分析した。結果を表1に示した。」
「【0039】
【表1】
[図:0001402725000008.jpg]
」
上記記載から、引用文献12には、以下の発明(以下、「引用発明8」という。)が記載されている。
「半導体製造、液晶製造等の電子産業用に使用される高純度のイソプロピルアルコール(IPA)を収納保持する収納容器において、
SUS304ステンレス鋼製のPA収納容器を製作し、電解研磨、ストライクニッケル処理後、硫酸ニッケルを主成分とする電解メッキし、厚みが20μmのメッキ層が表面に形成されたIPA収納容器を得て、
次に加熱酸化処理を行い厚みが300オングストロームのニッケル酸化層を得て、
超純水で精密洗浄、高純度IPAで精密洗浄を行い、
IPA収納容器に高純度IPA(純度99.99%以上)を満たし、温度50℃で6ヶ月間保持した後のIPA収納容器内のIPAに溶出した金属イオンは、
Fe、Cr、Ni、Cuが、それぞれ4ppt、2ppt、1ppt、1pptであり、全溶出量が8pptである、
IPAを収容する収容容器。」
(13)特開2002-5799号公報について
特開2002-5799号公報(以下、「引用文献13」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第8号証。)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸発性の溶液試料、または易熱分解性化合物を溶媒に溶解した試料中の微量金属不純物を分析するための新規な方法に関する。詳しくは、上記試料中の微量金属不純物を迅速に且つ精度良く分析することが可能な分析方法である。」
「【0004】このように、試料中の主成分を加熱により除去して、残った微量金属不純物を分析する方法は前記硫酸以外にも、易熱分解性化合物の溶液の如き試料中の、微量金属不純物の分析に応用することができる。この例として集積回路パターン形成用フォトレジストの現像液として使われる水酸化テトラメチルアンモニウム(以下TMAHと略記する)の水溶液を、耐熱性のある容器に入れ、220℃以上、500℃以下の温度で数時間加熱して水と主成分を蒸発、分解して除去し、残渣を硝酸に溶かして金属不純物を測定する方法が提案されている。(特開平10-38873号公報)この方法によれば、溶質である主成分の化合物を完全に除去して主成分による金属不純物検出の妨害を排除するとともに、金属不純物を高度に濃縮することができることから、希釈法と比べて分析の精度と感度を著しく改善することができる。」
「【0035】実施例1
100mlのPFA製容器(L/D=2.5)よりなる縦長容器に20重量%のTMAH水溶液を25ml入れ、図2に示す様に、キャリアガス配管の側部に接続したガス排出用配管を有した蓋をして加熱装置にセットした。キャリアガスとして、ろ過した窒素ガスを10L/分の流量で流しながら、波長は2450MHz、強さ500Wで30分間マイクロ波を照射しTMAH水溶液を蒸発、熱分解した。
【0036】続いて、TMAHが完全に分解するよう、設定温度170℃で20分間熱風加熱を行った後、パージガス用配管5を通じて窒素ガスを縦長容器内に導入し容器内のガスを完全にパージした。このときのTMAHの分解率は100%であり、完全に分解されていた。尚、分解率は重量法で求めた。
【0037】以上の操作終了後、容器を取り出して0.1M硝酸水溶液10mlで残渣を溶かし、これを誘導結合プラズマ質量分析法で測定した。
【0038】分析結果を表1に示した。尚、これらの操作はすべてクリーンルーム内で実施した。」
「【0045】
【表1】
[図:0001402725000009.jpg]
」
上記表1から20重量%のTMAH溶液中に、Fe、Znがそれぞれ0.07ng/g、0.06ng/g溶けており、Cuは、0.01ng/gの定量下限未満であることがわかる。そして、0.07ng/g及び0.06ng/gはそれぞれ70ppt及び60pptであるから、引用文献13記載の20重量%のTMAH溶液中には、Fe、Zn、Cuが、少なくとも130ppt含まれていることがわかる。
上記記載から、引用文献13には、以下の発明(以下、「引用発明9」という。)が記載されている。
「集積回路パターン形成用フォトレジストの現像液として使われる水酸化テトラメチルアンモニウム(以下TMAHと略記する)の水溶液において、
少なくとも、Fe、Cu、Znが130ppt含まれている、
TMAH水溶液。」
(14)特開平10-324368号公報について
特開平10-324368号公報(以下、「引用文献14」という。異議申立人1による特許異議申立書に添付の甲第11号証。)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属不純物の混入を極端に嫌う、半導体製造、液晶製造等の電子産業用に使用される高純度イソプロピルアルコール(IPA)収納容器に関する。詳しくは、長期保存した場合における、高純度IPAに対する全金属溶出量を10pg/ml(ppt)以下に抑えることが可能な高純度IPA収納容器である。」
「【0030】実施例1
SUS304ステンレス鋼製で、缶径250mm、長さ650mm、底部及び開口部の曲率125mmの金属容器を製作し、その内面を硫酸ニッケルを主成分とするメッキ浴中で電解電流密度4A/dm2の条件で電解メッキし、厚みが20μmのメッキ層が表面に形成された高純度IPA収納容器を得た。上記ニッケルメッキ層を分析すると、ニッケル純度99.99%以上、鉄、クローム、銅の含有量は100ppm以下であった。ついで、抵抗率18MΩ・cm以上の超純水で精密洗浄、次に、抵抗率1000MΩ・cm以上の高純度IPAで精密洗浄を行った。ついで、この高純度IPA収納容器に高純度IPA(純度99.99%以上)を満たし、室温で6ヶ月間保持した後、IPA収納容器内のIPAに溶出した金属イオンを分析した。結果を表1に示した。」
「【0037】
【表1】
[図:0001402725000010.jpg]
」
上記記載から、引用文献14には、以下の発明(以下、「引用発明10」という。)が記載されている。
「半導体製造、液晶製造等の電子産業用に使用される高純度のイソプロピルアルコール(IPA)を収納保持する収納容器において、
SUS304ステンレス鋼製で金属容器を製作し、その内面を硫酸ニッケルを主成分とする電解メッキし、厚みが20μmのメッキ層が表面に形成された高純度IPA収納容器を得て、
ついで、超純水で精密洗浄、次に、高純度IPAで精密洗浄を行い、
IPA収納容器に高純度IPA(純度99.99%以上)を満たし、室温で6ヶ月間保持した後、IPA収納容器内のIPAに溶出した金属イオンは、
Fe、Cr、Ni、Cuが、それぞれ3ppt、1ppt、1ppt、1pptであり、全溶出量が6pptである、
IPAを収容する収容容器。」
(15)国際公開第2012/043496号について
国際公開第2012/043496号(以下、「引用文献15」という。異議申立人2による特許異議申立書に添付の甲第5号証。)には、以下の事項が記載されている。
「技術分野
[0001] 本発明は、半導体基板の製造時や半導体基板を用いた半導体デバイス等の製造時等において、種々の目的で半導体基板を処理するために用いられるアルカリ性処理液の精製方法及び精製装置に係り、より具体的には、これら半導体基板を処理する際に用いられる各種のアルカリ性処理液中に極僅かに含まれ、半導体基板の表面を汚染し、また、半導体基板から製造されるデバイス等に有害な金属不純物、特に鉄(Fe)を、必要によりppq(pptの千分の1)領域まで低減させることができる半導体基板用アルカリ性処理液の精製方法、及びこの精製方法を実施するための精製装置に関する。
背景技術
[0002] 例えば、半導体デバイスの製造時にシリコンウェーハ(Siウェーハ)等の半導体基板を処理するために用いられる代表的なアルカリ性処理液としては、従来より、Siウェーハを汚染したパーティクルに対する最も強力な洗浄剤である過酸化水素含有アンモニア水溶液(RCA社のSC1等)や、ポジレジスト膜現像用に用いられる有機強塩基水溶液が用いられており、また、上記有機強塩基水溶液の有機強塩基としては、水酸化テトラアルキルアンモニウムが代表的であって、一般的には水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)が用いられていた。しかし、当初の市販品は、金属不純物としてNa,Fe,Zn,Ca,Mg,Ni,Cr,Al,Cu等の金属不純物を数ppm程度の濃度で含み、また、Kについては遥かに多い濃度で含まれていて、デバイスの電気的特性の劣化やパターン欠陥等の問題を引き起こす原因になっていた。
[0003] 当初のTMAH水溶液は、塩化テトラメチルアンモニウムのアルコール溶液を水酸化物と反応させ、生じた沈殿を濾過して除き、続いてアルコール溶剤を除去する方法で製造されていた(例えば、特許文献1参照)ので、その製造原料、製造装置、保存容器等からFe、Al、Ni、Na等の金属不純物が溶出し、金属汚染を受け易かった。そこで、このTMAH水溶液に含まれるこれらの金属不純物を除去するために、例えばポリアクリルゲル系弱酸性イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂の利用が提案され(特許文献2参照)、5wt%-TMAH水溶液の場合でFeを10ppbまで精製することが可能になった。しかしながら、このようにして精製されたTMAH水溶液においても、高腐食性の塩化物が残存し、貯蔵容器からの汚染を完全に防止することは困難であり、特にFeは、当時この種の有機アルカリ性処理液を用いて処理された処理面で検出される最も汚染の多い重金属であった。
[0004] そこで、陽イオン交換膜を隔膜とした電解槽を用い、炭酸テトラメチルアンモニウムのような第四アンモニウムの無機酸塩を電解してTMAH水溶液を製造することにより、金属やハロゲン元素の不純物が混入するのを可及的に防止した超高純度化法が提案され(特許文献3参照)、10wt%-TMAH水溶液の場合でFe5ppbまでの低減化が達成された。その後、関係諸材料の高純度化や製造環境の清浄化により、公開されている原液の25w%-TMAH水溶液の場合で、金属不純物の分析例は総ての金属元素において1ppb以下まで達成され、特に分析用に高純度化された25w%-TMAH水溶液のFeの分析例は測定限界の0.1ppb以下であるとされている(非特許文献1参照)。しかしながら、製造現場に供給される約2.4wt%-TMAH現像液では不純物のFeが100ppt前後の濃度で存在する。
[0005] また、他に半導体デバイス製造用の現像液として実用化されている有機強塩基水溶液として、水酸化トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)の水溶液(コリン水溶液)がある。原料のトリメチルアミン水溶液とエチレンオキシド水溶液とを特定の手段で混合反応させ、特定濃度の微量副反応生成物を共存させる製造法(特許文献4参照)により製造され、現像速度の制御された現像液が得られる。原料から製造まで汚染管理が容易なので高純度化し易く、公開されている5w%-コリン水溶液の金属不純物の分析例では、Feは標準的分析手段の検出限界の0.3ppb以下であるとされている(非特許文献1参照)。この5w%-コリン水溶液において、通常は不純物のFeが100ppt前後の濃度で存在する。」
「[0014] アルカリ性処理液中の金属不純物で最も有害とされるのは鉄(Fe)である。鉄(Fe)は、Fe(OH)3の溶解度積が1×10-38と極めて小さいにも係わらず、低濃度領域では易溶性の錯イオンを形成していない限り、通常は大部分がFe酸化物の水和物が縮合した水酸化鉄コロイドとなって分散している。しかし、Fe濃度が減じて略10ppt以下となると、後述のように正コロイドとしての作用が強くなって、シリコン面より負のゼータ電位がやや高い酸化膜へ吸着し易くなる(即ち、Fe汚染が多くなる)ので、デバイスへの影響が現れる。この問題に対する第一の対策は、アルカリ性処理液中のFe量を先ず十分に低減することであり、電気的特性からの洗浄への要求にも応えられる。また、SC1を用いたSiウェーハの洗浄処理においては、その装置や環境が1×108/cm2まで洗浄できる状況にあっても、図5に示すCv-Cs両対数関係図の太直線の下方への延長太点線から推測して、その洗浄処理前にSC1液のFe濃度を50ppq以下にまで精製しておくことが必要である。
[0015] 従って、本発明の目的は、種々の目的で半導体基板を処理するために市販の高純度薬品で作られる高純度のアルカリ性処理液を更に精製し、このアルカリ性洗浄液中のFe濃度をppq領域にまで低減することができる半導体基板用アルカリ性処理液の精製手段を提供することにある。」
「[0017] 従って、本発明の他の目的は、エッチングを受け難い(即ち、化学的耐性が強く)、また、機械的強度が強く、かつ、半導体基板用のアルカリ性処理液中の水酸化鉄コロイド等を強力に吸着してこのアルカリ性処理液を超高純度に精製し得る半導体基板用のアルカリ性処理液の精製手段を提供することにある。」
「[0023] そして、精製対象のアルカリ性処理液において、特に使用量の多いものとしては、先ず、半導体デバイス製造時のポジレジスト膜現像工程で使用されるポジレジスト現像液用の有機強塩基水溶液を挙げることができ、具体的には、例えばTMAHに代表される水酸化テトラアルキルアンモニウムの水溶液や、コリンに代表される水酸化トリメチルヒドロキシアルキルアンモニウム水溶液がある。また、VMOS用等のSiウェーハにおける異方性ウエットエッチングに使う強塩基の水溶液やエチレンジアミンのような弱塩基の水溶液も本発明の対象となる。更に、本発明の精製対象であって半導体基板や半導体デバイス等の製造時の洗浄工程等で用いられ、特にFe濃度についてppq領域のなるべく低いところまで高度の精製が望まれるものとして、半導体用クラスの高純度であって特にキレート作用を持つ分解阻止用有機不純物までも除去されている高純度過酸化水素水と、所謂半導体用クラス以上の清浄度を有する高純度アンモニア水とで調製された洗浄液(SC1)がある。更にまた、SC1とほぼ同じ工程で使われるが製造環境上の理由で用いられ、半導体用クラスの高純度で特にキレート作用のある分解阻止用有機不純物までも除去されている高純度過酸化水素水と、有機強塩基水溶液からなる洗浄液がある。また、太陽電池をSi単結晶ウェーハで製造する場合、表面反射率を下げるため、必ず微細ピラミット状のテクスチャを形成させるが、そのエッチングのために用いられる無機強塩基水溶液のKOH(約5%)等も対象になり得る。pn接合形成の際、処理液に鉄汚染対策があればライフタイムが低下する可能性がある。」
「[0027] 本発明における最大の技術的特徴は、アルカリ性処理液中において正電荷を持つ金属水酸化物コロイド不純物に対して極めて強力な吸着精製能を有する炭化ケイ素結晶面を、このアルカリ性処理液中の金属不純物を除去する際の吸着精製手段として利用することにある。本発明が提示する炭化ケイ素結晶表面は、シリコン結晶において吸着性能の高い(100)面よりも、遥かに強力な吸着性能を有しており、例えば、図7に示すシリコン(100)結晶面(A)と炭化ケイ素(0001)結晶面(B)の59Fe水酸化物コロイドに対するRIトレーサ法におけるラジオルミノグラフィ画像(RLG画像)の吸着濃度計測結果は、炭化ケイ素(0001)結晶面(B)が4675PSL/mm2であつて、シリコン(100)結晶面(A)が1214PSL/mm2であり、炭化ケイ素(0001)結晶面はシリコン(100)結晶面の約4倍の吸着があると判断される。更に、CVD多結晶炭化ケイ素基板の中には、表裏両面を合わせての比較で該単結晶基板の更に2倍近い59Fe吸着を示すものもある。」
「[0030] 本発明によれば、半導体デバイス製造時に用いられるポジレジスト現像用の現像液のような有機強塩基水溶液等の強アルカリ性処理液の高純度品中に残存する代表的有害金属元素Feを、その使用現場でその使用直前に、効果的に除去することができるので、現像液等の超高純度化処理の実施や管理が容易になり、薬品メーカー側の希釈前高濃度超高純度品の貯蔵や輸送容器に関しも、その汚染管理に余裕が生じる。」
「[0053] 5.アルカリ性処理液中の金属不純物の吸着挙動の機構について
アルカリ性液中では、炭化ケイ素面でもSi面もSiO2面もゼータ電位が負であり、SiO2面のその値がSi面よりやや大きいことはよく知られている。これで説明される現象の一例を以下で取り上げるが、その結果から推論して炭化ケイ素の負のゼータ電位は更に大きいといえる。既述のように、アルカリ性液に分散している水酸化鉄は、正コロイドであるから、シリコン面よりも石英ガラス面や酸化膜面に対してより吸着し易い。しかし、EDTPOを添加すると、このコロイドは陰イオン化し、コロイドの吸着を阻止することができる。」
「[0072] ここで、以下の実施例で使用されたアルカリ性処理液を調製するために使用された高純度原料としては、Fe濃度1~0.3ppb以下の25wt%-TMHA水溶液、Fe濃度0.3~0.05ppb以下の4wt%-コリン水溶液、Fe濃度0.1~0.05ppbの29wt%-アンモニア水、Fe濃度0.1~0.03ppbの30wt%-過酸化水素水を用いた。また、実施例で用いられた容器、配管、弁、ポンプ、フィルター等のアルカリ性処理液に接触する部材については、いずれもフッ素樹脂(主としてPTFE)製とし、予め界面活性剤添加のTMAH処理液を用いた超音波加熱洗浄と硝フッ酸洗浄とを複数回繰り返し実施し、金属汚染を除いた。」
「[0089] 〔実施例3〕
単結晶原料の粒径0.2~1.2mmの高純度炭化ケイ素粒(太平洋ランダム社製GNF-CVD)を吸着精製剤として使うため、コリン原液と硝酸の夫々数日の浸漬予備洗浄の後、内径20mm長さ約120mmのフッ素樹脂製カラムに60gを充填(見かけ容積約30mL)して、吸着剤充填カラムを構成した。カラムは先ず7wt%-硝酸水溶液から、超純水、2wt%-フッ酸・1wt%-過酸化水素水溶液、超純水の順に夫々500mLを通液させた後、試験液の精製実験に入った。
[0090] また、アルカリ性処理液(被精製液)として4wt%-コリン水溶液(コリン原液)を用い、この被精製液500mLを前記吸着剤充填カラムに20mL/分の速度で通液し、カラム通液前、300mL通液後、400mL通液後、及び500mL通液後に夫々サンプリングし、各サンプルについて誘導結合プラズマ質量分析(ICPMS: Inductively Coupled Plasma Mass)により金属不純物濃度を分析した。
結果を表3(単位ppt)に示す。
[0091]
[表3]
[図:0001402725000011.jpg]
[0092] 表3に示す結果から明らかなように、水酸化物正コロイドになり易いFeやCaは夫々残存率16%、23%程度にまで除去できるが、強塩基水溶液中でヒドロキソ錯イオンを形成するAl、Cr、及びNi等については除去できないことが判明した。
[0093]〔実施例4〕
アルカリ性処理液としてCOPO中に500pptのアルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、及びクロム(Cr)と120pptの鉄(Fe)とを添加して被精製液を調製した以外は、上記実施例3と同様にして吸着剤充填カラムによる吸着精製を行い、カラム通液前後の金属不純物をICP質量分析で分析した。
結果を表4(単位ppt)に示す。
[0094]
[表4]
[図:0001402725000012.jpg]
[0095] 表4に示す結果から明らかなように、Alに対する吸着性能の低下は早いが、精製作用は十分に見られ、また、Caに対しては極めてその精製効果が高く、一方、Crに対しては殆ど精製効果が認められない。CrはSiウェーハのアルカリ過酸化水素洗浄で洗浄面にも吸着し難く、従ってこの結果は問題ない。Feについては、4wt%-コリン水溶液の場合よりやや悪く、残存率が27%程度であったが、本発明の目的には十分な精製効果である。Feのこの結果は、吸着剤としてシリコンを用いた場合とほぼ同じである。炭化ケイ素粒のK値を0.2とすると式4からS/V=25となる。この結果は、使用した炭化ケイ素粒の粒度分布が広く、大きい粒の間隙を微小粒が埋めて、Vが意外に小さいためと推定された。900mLの通液を終えた後、8.5%-希硝酸を通液して分析を行なったところ、粒子に吸着していた金属の約90%を除去できることが分かった。汚染した炭化ケイ素粒面の洗浄には酸化性の希酸も大いに有効であった。」
上記表3から、実施例3のコリン水溶液を吸着剤充填カラムに通液後、Fe、Cuの濃度が、それぞれ80~76ppt、37~40pptであり、合わせて116~118pptとなることが見て取れる。
上記記載から、引用文献15には実施例13として、以下の発明(以下、「引用発明11」という。)が記載されている。
「半導体デバイス製造用の現像液として実用化されている有機強塩基水溶液である、水酸化トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)の水溶液(コリン水溶液)について、
吸着剤充填カラムを用いて、Fe、Cuの濃度を合わせて116~118pptとする、
コリン水溶液。」
(16)特開昭61-170588号公報について
特開昭61-170588号公報(以下、「引用文献16」という。異議申立人2による特許異議申立書に添付の甲第6号証。)には、以下の事項が記載されている。
「〔発明の技術分野〕
本発明は水酸化第四アンモニウムの製造方法に関し、特に半導体装置の製造工程におけるウェハの洗浄やレジスト膜の現像等の処理剤として使用される水酸化第四アンモニウムの製造方法に係わる。
〔発明の技術的背景とその問題点〕
ICやLSIの製造工程においては、半導体基板(ウェハ)の表面の洗浄、食刻、レジストの現像等のために処理剤が使用されている。こうした処理剤のうち、Na等の金属イオンを含まない有機アルカリとして水酸化第四アンモニウムが知られている。特に、最近の半導体装置の高集積化に伴い、より高純度で貯蔵安定性の優れた水酸化第四アンモニウムが要求されている。」(第1頁右下欄6~20行)
「更に、実施例A及び比較例Aにより製造された水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を夫々ステンレス製容器に温度60℃下で30日間貯蔵した後でのFe濃度を調べた。その結果、実施例Aの場合には、Fe濃度が10ppbと貯蔵初期とほとんど変化がなかったのに対し、比較例Aの場合にはFe濃度が100ppbと貯蔵初期に比べて著しく高濃度となった。」(第5頁右上欄9~16行)
上記記載から、引用文献16には以下の発明(以下、「引用発明12」という。)が記載されている。
「Fe濃度が10ppbである、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液。」
(17)特開平11-236660号公報について
特開平11-236660号公報(以下、「引用文献17」という。異議申立人2による特許異議申立書に添付の甲第10号証。)には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属不純物の混入を極端に嫌う、半導体製造、液晶製造等の電子産業用に使用される高純度のイソプロピルアルコール(IPA)を収納保持する収納容器に関する。詳しくは、長期保存した場合における、高純度IPAに対する全金属溶出量を10pg/ml(ppt)以下に抑えることが可能な収納容器である。」
「【0035】実施例1
SUS304ステンレス鋼製の缶径250mm、長さ650mm、底部及び開口部の曲率125mmのIPA収納容器を製作し、電解研磨、ストライクニッケル処理後、硫酸ニッケルを主成分とするメッキ浴中で電解電流密度4A/dm2の条件で電解メッキし、厚みが20μmのメッキ層が表面に形成されたIPA収納容器を得た。尚、電解解研磨は燐酸-硫酸の混酸中で電流密度5A/dm2の条件で行った。ストライクニッケル処理は、塩化ニッケルと塩酸液中で電流密度10A/dm2の条件で行った。得られた高純度IPAIPA収納容器の内表面であるメッキ層を分析すると、ニッケル純度99.99%以上、鉄、クローム、銅の含有量は100ppm以下であった。次に大気中で400℃3時間加熱酸化処理を行い厚みが300オングストロームのニッケル酸化層を得た。ついで、抵抗率18MΩ・cm以上の超純水で精密洗浄、次に、抵抗率1000MΩ・cm以上の高純度IPAで精密洗浄を行った。ついで、このIPA収納容器に高純度IPA(純度99.99%以上)を満たし、温度50℃で6ヶ月間保持した後、IPA収納容器内のIPAに溶出した金属イオンを分析した。結果を表1に示した。」
「表1
[図:0001402725000013.jpg]
」
上記記載から、引用文献17には、以下の発明(以下、「引用発明13」という。)が記載されている。
「半導体製造、液晶製造等の電子産業用に使用される高純度のイソプロピルアルコール(IPA)を収納保持する収納容器において、
SUS304ステンレス鋼製収納容器を製作し、電解研磨、ストライクニッケル処理後、硫酸ニッケルを主成分とする電解メッキし、厚みが20μmのメッキ層が表面に形成されたIPA収納容器を得て、
ついで、超純水で精密洗浄、次に、高純度IPAで精密洗浄を行い、
IPA収納容器に高純度IPA(純度99.99%以上)を満たし、温度50℃で6ヶ月間保持した後、IPA収納容器内のIPAに溶出した金属イオンは、
Fe、Cr、Ni、Cuが、それぞれ4ppt、2ppt、1ppt、1pptであり、全溶出量が8pptである、
IPAを収容する収容容器。」
2 当審の判断
(1)取消理由1、2(特許法第29条第1項第3号、及び、同条第2項)について
ア 引用文献6を主たる文献とした取消理由について
(ア)本件発明12について
本件発明12と引用発明4とを対比する。
a 引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」は、本件発明12の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」である、「25%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を純水で5%に希釈した溶液には、バックグラウンド相当濃度(BEC)として、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が65.3pptであり」、この「65.3ppt」は、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子」に由来するイオン及び粒子性メタルに対応する値であるから、引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」では、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子」に由来する粒子性メタルは、「65.3ppt」以下となる。
そうすると、引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」が、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子」に由来する粒子性メタルは「65.3ppt」以下となることと、本件発明12の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」ることとは、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下であ」る点で共通する。
c 引用発明4の「酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液」は、現像液であるということができる。
そうすると、引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」と、本件発明12の「半導体製造用処理液」が「有機溶剤を含有する現像液であ」ることとは、「現像液」である点で共通する。
d 上記a~cから、本件発明12と引用発明4との一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液であって、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下であり、且つ、現像液である半導体製造用処理液。」
[相違点1]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptである」のに対して、引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下であ」るとはいえるものの、17質量ppt以上であるとの特定がされていない点。
[相違点2]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「有機溶剤を含有する現像液であ」るのに対して、引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」は、「現像液」であるとはいえるものの、「有機溶剤を含有する」との特定がされていない点。
[相違点3]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である」のに対して、引用発明4の「半導体製造時に使用される溶液」は、「25%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を純水で5%に希釈した溶液」であり、「前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である」とはいえない点。
e 上記相違点についての検討
引用発明4は、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が65.3pptであ」るが、このことをもって、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17」質量ppt以上であるということはできない。
加えて、25%のTMAHを純水で5%に希釈した溶液をさらに1~3%に希釈した溶液の、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、TMAHに含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17質量ppt以上であることは、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明12は、相違点1に係る本件発明12の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明4であるとはいえない。
また、上記のとおり、本件発明12は、相違点1に係る本件発明12の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明4から、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
イ 引用文献7を主たる文献とした取消理由について
(ア)本件発明12について
本件発明12と引用発明5とを対比する。
a 引用発明5の「半導体デバイス用基板洗浄液」は、本件発明12の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明5の「半導体デバイス用基板洗浄液」は、「洗浄液中の金属不純物のうち、少なくともNa、Mg、Al、K、Ca、Fe、Cu、Pb、Znの合計含有量が0.1ppb以下であることが好ましい」から、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率」は、多くとも0.1ppb(=100ppt)以下となる。
そして、この100pptの値は、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子」に由来するイオン及び粒子性メタルに対応する値であるから、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」は、100ppt以下となることも明らかである。
そうすると、引用発明5の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」が100ppt以下となることと、本件発明12の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptである」ことは、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下である」点で共通する。
c 上記a、bから、本件発明12と引用発明5との一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液であって、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以上である半導体製造用処理液。」
[相違点4]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」るのに対して、引用発明5は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下であ」るとはいえるものの、17質量ppt以上であるとの特定がされていない点。
[相違点5]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「有機溶剤を含有する現像液であ」るのに対して、引用発明5は、「水リンス性を向上させる半導体デバイス用基板洗浄液」である点。
[相違点6]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である」のに対して、引用発明5は「成分(d)として水を含」むとの特定はされているものの、全質量に対する含水率が不明である点。
d 上記相違点についての検討
引用発明5は、「洗浄液中の金属不純物のうち、少なくともNa、Mg、Al、K、Ca、Fe、Cu、Pb、Znの合計含有量が0.1ppb以下である」が、このことをもって、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17」質量ppt以上であるということはできない。
加えて、引用発明5の「半導体デバイス用基板洗浄液」について、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記アルカリ性溶媒に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記アルカリ性溶媒の全質量に対し、17質量ppt以上であることは、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明12は、相違点4に係る本件発明12の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明5であるとはいえない。
また、上記のとおり、本件発明12は、相違点4に係る本件発明12の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明5から、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
(イ)本件発明15について
本件発明15と引用発明5とを対比する。
a 引用発明5の「半導体デバイス用基板洗浄液」は、本件発明15の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明5の「半導体デバイス用基板洗浄液」は、「洗浄液中の金属不純物のうち、少なくともNa、Mg、Al、K、Ca、Fe、Cu、Pb、Znの合計含有量が0.1ppb以下であることが好ましい」から、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率」は、多くとも0.1ppb(=100ppt)以下となる。
そして、この100pptの値は、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子」に由来するイオン及び粒子性メタルに対応する値であるから、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」は、100ppt以下となることも明らかである。
そうすると、引用発明5の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」が100ppt以下となることと、本件発明15の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し17~100質量pptである」ことは、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下である」点で共通する。
c 上記a、bから、本件発明15と引用発明5との一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液であって、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し100質量ppt以下である現像液又はリンス液である半導体製造用処理液。」
[相違点7]
本件発明15の「半導体製造用処理液」は、「酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含」むのに対して、引用発明5は、対応する特定がされていない点。
[相違点8]
本件発明15の「半導体製造用処理液」は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」るのに対して、引用発明5は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下であ」るとはいえるものの、17質量ppt以上であるとの特定がされていない点。
[相違点9]
本件発明15の「半導体製造用処理液」は、「現像液又はリンス液」あるのに対して、引用発明5は、「水リンス性を向上させる半導体デバイス用基板洗浄液」である点。
d 上記相違点についての検討
引用文献7には、引用発明5の「水リンス性を向上させる半導体デバイス用基板洗浄液」を「現像液又はリンス液」として利用することは記載されていない。
加えて、引用発明5の「水リンス性を向上させる半導体デバイス用基板洗浄液」を「現像液又はリンス液」として利用することは、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明15は、相違点9に係る本件発明15の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明5であるとはいえない。
また、上記のとおり、本件発明15は、相違点9に係る本件発明15の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明5から、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
e 特許異議申立人の主張について
(a)異議申立人1の主張
(a-1)異議申立人1は、上記相違点9に関し意見書1-2で、特許明細書等の段落【0035】、【0084】、【0088】、【0155】等の記載から、本件特許でいう「洗浄液」とは、収容器を洗浄するための液である。一方、本件特許の「リンス液」とは半導体ウエハ(基板)を洗浄するための液であり、引用発明5の薬液は、半導体デバイス用基板の洗浄に使われると記載されているから、本件特許でいうところの「リンス液」である旨主張する。(意見書1-2の第17頁)
(a-2)特許明細書等には以下の記載がある。
「【0035】
<半導体製造用処理液>
本発明において「半導体製造用処理液」は、上述の通り、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程を含む半導体デバイスの製造工程において、各工程の終了後、あるいは次の工程に移る前に、有機物を処理するために使用される処理液であり、例えば、現像液、リンス液、プリウェット液、エッチング液、洗浄液、剥離液等として用いられる処理液である。」
「【0084】
本発明の収容容器は、収容部における少なくとも本発明の処理液が接触する内壁が、本発明の処理液が充填される前に、洗浄液を用いて洗浄されることが好ましい。
本発明の処理液を充填する前の洗浄工程で使用し得る洗浄液としては、例えば、上記内壁に対する接触角が10度以上120度以下の洗浄液を用いることが好ましい。」
「【0088】
洗浄液の具体例としては、例えば、超純水、イソプロピルアルコール等が挙げられる。本発明の洗浄液に用いられる超純水、イソプロピルアルコールは、硫酸イオン、塩化物イオン、又は硝酸イオンなどの無機イオン、及び対象金属であるFe、Cu及びZnが低減されたグレードのものを用いるか、さらに精製して用いることが好ましい。精製方法は特に限定されないが、ろ過膜やイオン交換膜を用いた精製や、蒸留による精製が好ましい。」
「【0155】
<リンス工程>
リンス工程は、上記現像工程の後にリンス液によって洗浄(リンス)する工程である。
リンス工程においては、現像を行ったウエハを上記のリンス液を用いて洗浄処理する。」
(a-3)上記記載にあるように、特許明細書等では、「リンス液」と「洗浄液」は、明確に区別されているから、異議申立人1の上記主張は採用できない。
(b)異議申立人2の主張
(b-1)異議申立人2は、上記相違点9に関し意見書2-2で、引用発明5の「半導体デバイス用基板洗浄液」は、本件発明15の「半導体製造用処理液」の「リンス液」に相当する旨主張する。(意見書2-2の第19~20頁)
(b-2)しかしながら、引用文献7には、「半導体デバイス用基板洗浄液」について、この液が「リンス液」であるとの記載はない。
また、上記(a)で検討したように、特許明細書等では、「リンス液」と「洗浄液」は、明確に区別されているから、異議申立人2の上記主張は採用できない。
ウ 引用文献8を主たる文献とした取消理由について
(ア)本件発明12について
本件発明12と引用発明6とを対比する。
a 引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」は、本件発明12の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明6の「IPA」は、「全分析物のバックグラウンド相当濃度(BEC)として、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が36.6ppt含まれて」おり、この36.6pptは、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子」に由来するイオン及び粒子性メタルに対応する値であるから、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」は、36.6ppt以下となることは明らかである。
そうすると、引用発明6の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」が36.6ppt以下であることと、本件発明12の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptである」こととは、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下である」点で共通する。
c 上記a、bから、本件発明12と引用発明6との一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液であって、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下である半導体製造用処理液。」
[相違点10]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」るのに対して、引用発明6は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下であ」るとはいえるものの、17質量ppt以上であるとの特定がされていない点。
[相違点11]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「有機溶剤を含有する現像液であ」るのに対して、引用発明6は、「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」である点。
[相違点12]
本件発明12の「半導体製造用処理液」は、「前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である」のに対して、引用発明6は「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」に含まれる水の量について特定されていない点。
d 上記相違点についての検討
引用文献8には、引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」を「有機溶剤を含有する現像液」として利用することは記載されていない。
加えて、引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」を「有機溶剤を含有する現像液」として利用することは、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明12は、相違点11に係る本件発明12の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明6であるとはいえない。
また、上記のとおり、本件発明12は、相違点11に係る本件発明12の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明6から、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
e 特許異議申立人の主張について
(a)異議申立人2は、上記相違点11に関し意見書2-2で、引用文献9を提出し、
引用文献9には、半導体装置の製造方法に関する発明が記載されており、放射線重合型レジストの現像液としてメチルイソブチルケトン(MIBK)および/またはイソプロピルアルコール(IPA)のような貧溶媒(有機溶媒)を用いることが記載されており、また、イソプロピルアルコール(IPA)をレジスト膜のリンス液として用いることが記載されており、イソプロピルアルコール(IPA)は、リンス液としてだけでなく、現像液として用いること本件特許の優先日前に知られていたことであり、引用発明6のイソプロピルアルコール(IPA)を現像液として用いることに何ら困難性がない旨主張する。(意見書2-2の第18~19頁)
(b)しかしながら、引用文献9記載事項にあるように、引用文献9には実施例として、「半導体基板上に放射線重合型レジストを使用した微細パターンを形成する際に、現像液(貧溶媒)として、レジスト溶解速度の大きい両溶媒のMIBK(メチルイソブチルケトン)とIPA(イソプロピルアルコール)を1:1で用いること」が記載されているものの、イソプロピルアルコール(IPA)のみを使って、これを現像液として利用することは記載されていない。
そうすると、引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」を、引用文献9記載事項に示された「現像液」とすることはできない。
したがって、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(イ)本件発明15について
本件発明15と引用発明6とを対比する。
a 引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」は、本件発明15の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明6の「イソプロピルアルコール(IPA)」は、本件発明15の「イソプロパノール」に相当する。
そうすると、引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」は、本件発明15の「酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含」むことと同様の構成を備えている。
c 引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」は、「全分析物のバックグラウンド相当濃度(BEC)として、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が36.6ppt含まれている」から、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率」は、多くとも36.6ppt以下となる。
そして、この36.6pptの値は、「Fe、Cu、Znの3種類の金属原子」に由来するイオン及び粒子性メタルに対応する値であるから、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」は、36.6ppt以下となることも明らかである。
そうすると、引用発明6の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」が36.6ppt以下となることと、本件発明15の「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し17~100質量pptである」ことは、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下である」点で共通する。
d 上記a~cから、本件発明15と引用発明6との一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液であって、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、且つ、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し100質量ppt以下である現像液又はリンス液である半導体製造用処理液。」
[相違点13]
本件発明15の「半導体製造用処理液」は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」るのに対して、引用発明6は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、100質量ppt以下であ」るとはいえるものの、17質量ppt以上であるとの特定がされていない点。
[相違点14]
本件発明15の「半導体製造用処理液」は、「現像液又はリンス液」あるのに対して、引用発明6は、「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」である点。
e 上記相違点についての検討
引用発明6は、「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」であるから、「現像液又はリンス液」であるとはいえない。
加えて、引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」を「現像液又はリンス液」として利用することは、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明15は、相違点14に係る本件発明15の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明6であるとはいえない。
また、上記のとおり、本件発明15は、相違点14に係る本件発明15の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明6から、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
f 特許異議申立人の主張について
(a)異議申立人2は、上記相違点14に関して意見書2-2で、「引用発明6は溶媒として「イソプロピルアルコール(IPA)」を用いる洗浄液(リンス液)である。」と主張する。(意見書2-2の第20~21頁)
(b)しかしながら、異議申立人2は、意見書2-2において、どうして引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」が、本件発明15の「リンス液」に相当するのか、その理由を説明していない。
加えて、引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」が、「リンス液」であるとの記載はないから、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(2)取消理由2(特許法第29条第2項)について
ア 引用文献1を主たる文献とした取消理由について
(ア)本件発明12について
本件発明12と引用発明1とを対比する。
a 引用発明1の「テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)」は、引用発明6に示されているように、「酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液」であることは、周知の技術であるから、引用発明1の「水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)と90%シクロヘキサン/10%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合物を含」む「テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)有機溶媒」は、本件発明12の「半導体製造用処理液」に対応する。
また、引用発明1の「プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)」が有機溶剤であることも周知の事項であるから、引用発明1の「水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)と90%シクロヘキサン/10%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合物を含」む「テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)有機溶媒」は、本件発明12の「有機溶剤を含有する現像液」に相当する。
b そうすると、本件発明12と引用発明1との、一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液であって、有機溶剤を含有する現像液である半導体製造用処理液。」
[相違点15]
本件発明12は、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」るのに対して、引用発明1は「Fe(OH)2粒子の濃度から計算したFeの濃度が、34.0~39.2質量pptである」ことはわかるものの、「Cu及びZn」の半導体製造用処理液に含有される粒子性メタルの含有率が特定されていない点。
[相違点16]
本件発明12は、「前記現像液の全質量に対する含水率が10質量%未満である」のに対して、引用発明1は、対応する特定がない点。
c 上記相違点についての検討
引用発明1の「水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)と90%シクロヘキサン/10%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合物を含」む「テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)有機溶媒」について、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量ppt以上」とすることは、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明12は、相違点15に係る本件発明12の構成を備えているから、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明1から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 引用文献2を主たる文献とした取消理由について
(ア)本件発明1について
本件発明1と引用発明2とを対比する。
a 引用発明2における「高純度薬品」は、「大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造」に使用される薬品であるから、本件発明1の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明2の「高純度薬品容器」は、上記「高純度薬品」を充填する容器であるから、「高純度薬品」が充填されたときに、本件発明1の「半導体製造用処理液が収容された収容部」と同様の収容部を有することは明らかである。
c 引用発明2の「高純度薬品容器」は、「内層」に「高純度薬品容器用ポリエチレン樹脂」を使用しているから、このことは、本件発明1の「前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている」ことに相当する。
d 引用発明2の「高純度薬品容器」は、本件発明1の「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器」に対応する。
e 上記a~dから、本件発明1と引用発明2との、一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。」
[相違点17]
本件発明1は、「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~0.43質量pptであるアルカリ現像液であ」るのに対して、引用発明2は、「高純度薬品」について対応する特定がされていない点。
f 上記相違点についての検討
相違点17に係る本件発明1の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
すなわち、異議申立人1及び2が提示した文献では、半導体製造用処理液に含有される金属原子の量について、上記引用文献1(引用発明1)、引用文献6(引用発明4)、引用文献7(引用発明5)、引用文献8(引用発明6)、引用文献11(引用発明7)~引用文献17(引用発明13)に記載されているが、いずれの文献も、相違点17に係る本件発明1の構成について記載されていない。
加えて、相違点17に係る本件発明1の構成は周知の構成であるともいえないので、本件発明1は、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
g 特許異議申立人の主張について
(a)異議申立人2は、上記相違点17に関し意見書2-2で、
(a-1)引用発明4には、5%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液に、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が65.3ppt含まれて、この溶液を1~3%程度に希釈して半導体製造時に使用することが記載されており、このTMAH溶液を1%に希釈した場合、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率は約13.1pptとなる。当該金属原子の合計の含有率はイオン性メタルと粒子性メタルの合計の含有率であるから、粒子性メタルの合計の含有率は約13.1ppt未満となることは明らかであり、粒子性メタルの合計含有率が本件発明1で規定される範囲に含まれる蓋然性を否定できない。
(a-2)また、引用文献2の段落0002には、「すなわち、超LSIの微細化に伴い、従来では金属不純物濃度が1PPBであったものが、現在では0.1PPB以下が要求されている。」との記載があり、金属不純物の含有率をできるだけ低くしようとする十分な動機付けがある。
(a-3)加えて、液中の金属の存在形態はプールベ図を基に推測可能であり、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液のようなアルカリ溶液中ではFeやZnは水酸化物として存在することが、引用文献10記載事項にあるように知られており、アルカリ溶液中に存在するFe、Znは粒子性メタルとして存在する蓋然性が高い。
(a-4)さらに、引用発明4は、「酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液」、すなわち「アルカリ現像液」であるから、引用発明2の「大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造に不可欠な高純度薬品」として、採用することに困難性はない。
旨主張する。(意見書2-2の第4~6頁)
(b)しかしながら、
(b-1)引用発明4は、「酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液である、25%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を純水で5%に希釈した溶液には、バックグラウンド相当濃度(BEC)として、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計の含有率が65.3pptであり、この溶液を1~3%程度に希釈して半導体製造時に使用する、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の溶液」であるところ、例えば、1%程度に希釈した場合、粒子性メタルの合計の含有率は13.1ppt以下となることは明らかであるものの、このことをもって、「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~0.43質量pptである」ということはできない。
(b-2)また、引用文献2の段落0002の記載から、金属不純物の含有率をできるだけ低くしようとする動機付けがあるとしても、0.1ppb=100pptであるから、この記載から、引用発明4の「酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液である、25%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を純水で5%に希釈した溶液」を、相違点17に係る本件発明1と同様の構成とすることはできない。
(b-3)加えて、水中における金属の存在形態をプールベ図で表すことが可能であるが、「水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の溶液」中の、Fe、Cu、Znの粒子性メタルの合計の含有率が、半導体製造用処理液の全質量を基準としてどのような割合であるかは、各金属のプールベ図から特定することはできない。
すなわち、引用発明4のTMAHは、「Teble2」に示されるようにFe、Cu、Zn以外にも多くのメタル(Li、Be...Al...)を含んでいる。そして、例えば、引用文献10の図2に例示されているように、粒子性メタルが、安定な存在形態をとるためには、それぞれの粒子性メタルは、水酸化物として存在するためにはOH-を必要とし、酸化物として存在するためにはO2-を必要としているから、同一のpH-電位を有する半導体製造用処理液であっても、その溶液内に存在する粒子性メタルの種類及び各粒子性メタルの量によって、Fe、Cu、Znの粒子性メタルの個別の量は異なるものとなり、その合計含有量も異なるものとなる。
そうすると、特許明細書等に記載された処理液と同様の電位とpHを有し、Fe、Cu、Znの総メタル濃度も同様の範囲にあることにおいて、プールベ図に表されるように、Fe、Cu、Znが同一の存在形態を満たすとはいえるものの、異なる種類及び量のメタルを含有する半導体製造用処理液において、Fe、Cu、Znの粒子性メタルの合計の含有量を、Fe、Cu、Znの総メタルの量から特定できるとはいえない。
(b-4)また、引用発明4の「酸性フォトレジストの現像におけるアルカリ性溶媒として半導体製造時に使用される溶液」について、「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~0.43質量pptである」との特定はされていないから、引用発明2の「大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造に不可欠な高純度薬品」として採用しても、相違点17に係る本件発明1と同様の構成とすることはできない。
したがって、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(イ)本件発明4~8について
本件発明4~8は、本件発明1を直接又は間接的に引用する発明であり、相違点17に係る本件発明1の構成を備えているから、本件発明1と同じ理由により、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)本件発明9について
本件発明9と引用発明2とを対比する。
a 引用発明2における「高純度薬品」は、「大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造」に使用される薬品であるから、本件発明9の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明2の「高純度薬品容器」は、上記「高純度薬品」を充填する容器であるから、「高純度薬品」が充填されたときに、本件発明9の「半導体製造用処理液が収容された収容部」と同様の収容部を有することは明らかである。
c 引用発明2の「高純度薬品容器」は、「内層」に「高純度薬品容器用ポリエチレン樹脂」を使用しているから、このことは、本件発明9の「前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている」ことに相当する。
d 引用発明2の「高純度薬品容器」は、本件発明9の「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器」に対応する。
e 上記a~dから、本件発明9と引用発明2との、一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。」
[相違点18]
本件発明9は、「前記半導体製造用処理液が、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、且つ、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptである現像液又はリンス液であ」るのに対して、引用発明2は、「高純度薬品」について対応する特定がされていない点。
f 上記相違点についての検討
相違点18に係る本件発明9の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
すなわち、異議申立人1及び2が提示した文献では、半導体製造用処理液に含有される金属原子の量について、上記引用文献1(引用発明1)、引用文献6(引用発明4)、引用文献7(引用発明5)、引用文献8(引用発明6)、引用文献11(引用発明7)~引用文献17(引用発明13)に記載されているが、いずれの文献も、相違点18に係る本件発明9の構成について記載されていない。
加えて、相違点18に係る本件発明9の構成は周知の構成であるともいえないので、本件発明9は、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
g 特許異議申立人の主張について
(a)異議申立人1の主張
(a-1)異議申立人1は、意見書1-2で、
本件発明9は、容器に関する発明であり、容器に収容される半導体製造用処理液の用途を現像液又はリンス液と特定しても、何ら容器を限定していないから、取消理由は解消されていない旨主張している。(意見書1-2の第10~13頁)
(a-2)異議申立人1は、上記相違点18に関して意見書1-2で、上記(1)イ(イ)e(a)(a-1)と同様の主張をしている。(意見書1-2の第13~14頁)
上記異議申立人1の主張について
(a-3)本件発明9は、「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であ」り、「半導体製造用処理液」は、本件発明9の発明特定事項である。
そうすると、異議申立人1の上記(a-1)の主張は採用できない。
(a-4)上記(1)イ(イ)e(a)(a-2)、(a-3)で検討したように、特許明細書等では、「リンス液」と「洗浄液」は、明確に区別されているから、異議申立人1の上記(a-2)の主張は採用できない。
(b)異議申立人2の主張
(b-1)異議申立人2は、上記相違点18に関して意見書2-2で、
引用発明2の「高純度薬品」として、引用発明5及び6の半導体デバイス用の洗浄液を採用し、相違点18に係る本件発明9の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである旨主張する。(意見書2-2の第14~16頁)
(b-2)しかしながら、上記fで検討したように、引用発明5の「水リンス性を向上させる半導体デバイス用基板洗浄液」及び引用発明6の「シリコンウェハーの洗浄によく使われるイソプロピルアルコール(IPA)」は、ともに上記相違点18に係る本件発明9の構成を備えていない。
そうすると、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(エ)本件発明10、11について
本件発明10及び11は、本件発明1を直接又は間接的に引用する「製造方法」の発明であり、相違点17に係る本件発明1の構成を備える「収容容器」を製造する方法であるから、本件発明1と同じ理由により、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、異議申立人2は、本件発明10、11について、種々の主張をしている(意見書2-2の第16~17頁)。
しかしながら、本件発明10、11は、相違点17に係る本件発明1の構成を備えており、上記(ア)fで検討したように、相違点17に係る本件発明1の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(オ)本件発明16、17、19について
本件発明16及び17は、本件発明1を直接又は間接的に引用する「パターン形成方法」の発明であり、本件発明19は、「請求項16又は17に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法」の発明である。
そうすると、本件発明16、17、19は、相違点17に係る本件発明1の構成を備える「収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」若しくは「収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を現像液として用いて現像する工程」を含む発明であるから、本件発明1と同じ理由により、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、異議申立人2は、本件発明16、17、19について、種々の主張をしている(意見書2-2の第21~22頁)。
しかしながら、本件発明16、17、19は、相違点17に係る本件発明1の構成を備えており、上記(ア)fで検討したように、相違点17に係る本件発明1の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(カ)本件発明20について
本件発明20と引用発明2とを対比する。
a 引用発明2における「高純度薬品」は、「大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造」に使用される薬品であるから、本件発明20の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明2の「高純度薬品容器」は、上記「高純度薬品」を充填する容器であるから、「高純度薬品」が充填されたときに、本件発明20の「半導体製造用処理液が収容された収容部」と同様の収容部を有することは明らかである。
c 引用発明2の「高純度薬品容器」は、本件発明20の「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器」に対応する。
d 上記a~cから、本件発明20と引用発明2との、一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器。」
[相違点19]
本件発明20は、「前記半導体製造用処理液は現像液であり、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であり、且つ、前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として17~100質量pptであ」るのに対して、引用発明2は、「高純度薬品」について対応する特定がされていない点。
[相違点20]
本件発明20は、「前記半導体製造用処理液から、Fe(OH)2粒子を含むテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液であって、前記粒子に含まれるFeの含有率が、前記水溶液の全質量を基準として34.0~39.2質量pptである前記水溶液を除く」のに対して、引用発明2は、「高純度薬品」について対応する特定がされていない点。
e 上記相違点についての検討
相違点19に係る本件発明20の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
すなわち、異議申立人1及び2が提示した文献では、半導体製造用処理液に含有される金属原子の量について、上記引用文献1(引用発明1)、引用文献6(引用発明4)、引用文献7(引用発明5)、引用文献8(引用発明6)、引用文献11(引用発明7)~引用文献17(引用発明13)に記載されているが、いずれの文献も、相違点19に係る本件発明20の構成について記載されていない。
加えて、相違点19に係る本件発明20の構成は周知の構成であるともいえないので、本件発明20は、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
f 特許異議申立人の主張について
(a)異議申立人2は、上記相違点19に関して意見書2-2で、訂正事項24-2及び訂正事項24-3が特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に違反してなされたものであり、訂正要件に適合するものではないから、訂正事項24-2及び訂正事項24-3に係る訂正事項がないことを前提として、本件発明20は、引用発明2及び引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(意見書2-2の第24~26頁)
(b)また、異議申立人2は、上記相違点19に関して意見書2-2で、仮に訂正事項24-2及び訂正事項24-3が許容された場合でも、本件発明20は、総メタル量が無限大ある場合を含むから、相違点19に係る本件発明20の構成は、単なる設計事項であり、本件発明20は、引用発明2及び引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(意見書2-2の第26~27頁)
旨主張する。
(c)しかしながら、訂正事項24-2及び訂正事項24-3は、上記第2の2(3)ア(イ)b、cで検討したように、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであるから、異議申立人2の上記(a)の主張は採用できない。
(d)また、総メタル量が無限大である場合を前提とする異議申立人2の主張は、技術常識に反する主張であり採用できない。
つまり、本件発明20に係る「半導体製造用処理液」の金属原子の合計の含有率が無限大とは、「半導体製造用処理液」が金属原子からなる金属であることを表しており、そのような「半導体製造用処理液」は、存在しない。
また、本件発明20に係る「半導体製造用処理液」は、「前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として17~100質量pptである」から、この発明特定事項により、「金属原子の合計の含有率」は、その上限が限定されるものである。
そうすると、相違点19に係る本件発明20の構成は、設計事項ということはできないから、異議申立人2の上記(b)の主張は採用できない。
(キ)本件発明23~25について
本件発明23~25は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明であり、相違点18に係る本件発明9の構成を備えているから、本件発明9と同じ理由により、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ク)本件発明26、27について
本件発明26及び27は、本件発明9を直接又は間接的に引用する「製造方法」の発明であり、相違点18に係る本件発明9の構成を備える「収容容器」を製造する方法であるから、本件発明9と同じ理由により、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない
(ケ)本件発明28~31について
本件発明28~30は、本件発明9を直接又は間接的に引用する「パターン形成方法」の発明であり、本件発明31は、「請求項28~30のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法」の発明である。
そうすると、本件発明28~31は、相違点18に係る本件発明9の構成を備える「収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」を含む発明であるから、本件発明9と同じ理由により、引用発明2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 引用文献3を主たる文献とした取消理由について
(ア)本件発明2について
本件発明2と引用発明3とを対比する。
a 引用発明3における「高純度イソプロピルアルコール」は、「ウエハーの洗浄工程等で使用される有機溶剤である」から、本件発明2の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明3の「充填用容器」は、上記「高純度イソプロピルアルコール」を充填する容器であるから、「高純度イソプロピルアルコール」が充填されたときに、本件発明2の「半導体製造用処理液が収容された収容部」と同様の収容部を有することは明らかである。
c 引用発明3の「充填用容器」は、「高純度イソプロピルアルコール中に不純物が溶出し難」くするために「SUS製」としているから、「充填用容器」の内壁にSUS(ステンレス)を使用していることは明らかである。
そして、このことは、本件発明2の「前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている」ことに相当する。
d 引用発明3の「充填用容器」は、本件発明2の「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器」に対応する。
e 上記a~dから、本件発明2と引用発明3との、一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。」
[相違点21]
本件発明2は、「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~10質量pptであ」るのに対して、引用発明3は、「高純度イソプロピルアルコール」について対応する特定がされていない点。
f 上記相違点についての検討
相違点21に係る本件発明2の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
すなわち、異議申立人1及び2が提示した文献では、半導体製造用処理液に含有される金属原子の量について、上記引用文献1(引用発明1)、引用文献6(引用発明4)、引用文献7(引用発明5)、引用文献8(引用発明6)、引用文献11(引用発明7)~引用文献17(引用発明13)に記載されているが、いずれの文献も、相違点21に係る本件発明2の構成について記載されていない。
加えて、相違点21に係る本件発明2の構成は周知の構成であるともいえないので、本件発明2は、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
g 特許異議申立人の主張について
(a)異議申立人1の主張
(a-1)異議申立人1は、上記相違点21に関して意見書1-2で、
引用発明6のIPAは、本件発明で規定するFe、Cu、Znの3種類の粒子性メタルの合計含有量を満足する蓋然性が極めて高い。
そして、特許明細書等の表1-4~表1-6には、総メタル量の概ね10~20%程度が粒子性メタルとなる記載があり、引用発明6のIPAは、本件発明の処理液と同様の電位とpHを有し、総メタル濃度も、本件特許の処理液と同様の範囲にあるから、プールベ図に表されるように、本件特許の処理液と、引用発明6のIPAとは、同一の金属の存在形態を満たすはずであるから、引用発明6のIPAは、本件特許の処理液と同様に、総メタル量の概ね10~20%程度が粒子性メタルとなる。
そうすると、引用発明6のIPAにおける、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子の合計含有量が36.6pptであるから、Fe、Cu、Znの粒子性メタルの合計量は、3.66~7.32質量pptとなる。
以上のように、相違点21に係る本件発明2の半導体製造用処理液は、引用発明6のIPAと同一であり、半導体製造用処理液を収容容器に収容することは当然に行うことであるから、引用発明3に収容する「高純度イソプロピルアルコール」として、引用発明6のIPAを選択することは、当業者が容易に想到することである
旨主張する。(意見書1-2の第2~5頁)
(a-2)異議申立人1は、上記相違点21に関して意見書1-2で、引用文献11を提出し、
引用発明7(引用文献11)として示されるように、Fe、Cu、Znの総メタル量がさらに少ないIPAは公知であるとし、引用発明3に収容する「高純度イソプロピルアルコール」として、引用発明7のイソプロピルアルコール(IPA)を選択することは、当業者が容易に想到することである
旨主張する。(意見書1-2の第5~7頁)
(a-3)上記イ(ア)g(b)(b-3)で検討したように、水中における金属の存在形態をプールベ図で表すことが可能であるが、イソプロピルアルコール(IPA)中での、Fe、Cu、Znの粒子性メタルの合計の含有率が、半導体製造用処理液の全質量を基準としてどのような割合であるのかは、各金属のプールベ図から特定することはできない。
そうすると、相違点21に係る本件発明2の構成は、引用発明6及び7から想到することはできない。
したがって、異議申立人1の上記(a-1)、(a-2)の主張は採用できない。
(b)異議申立人2の主張
(b-1)異議申立人2は、上記相違点21に関して意見書2-2で、
引用発明6には、Fe、Cu、Znの3種類の粒子性メタルの含有率、36.6ppt未満であるイソプロピルアルコール(IPA)が示されている。
特許明細書等の表1-4~表1-6の記載では、Fe、Cu、Znの3種類の金属原子について、粒子性メタルは、総メタル量に対し、概ね10%程度であり、多くとも20%程度であることが示されているから、引用発明6のイソプロピルアルコール(IPA)のFe、Cu、Znの3種類の粒子性メタルの含有率は、相違点21に係る本件発明2の含有率の範囲を満たす蓋然性が高い。
また、そうでなかったとしても、引用文献3や引用文献8の記載では、IPAにおける金属不純物の低減が課題となっているから、相違点21に係る本件発明2の構成を備えることに何らの困難性はない
旨主張する。(意見書2-2の第6~9頁)
(b-2)しかしながら、上記a(a-3)で検討したように、含有されるメタルの種類及びその各メタルの量が、本件明細書等の表1-4~表1-6に記載された半導体製造用処理液と同じであるとはいえない、引用発明6のIPAが、相違点21に係る本件発明2の構成を備えるということはできない。
加えて、引用文献3や引用文献8に、相違点21に係る本件発明2の構成について記載されていない以上、その記載から、当業者が、相違点21に係る本件発明2の構成を容易に想到できるとはいえない。
したがって、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(イ)本件発明3~6、10、11について
本件発明3~6、10、11は、本件発明2を直接又は間接的に引用する発明であり、相違点21に係る本件発明2の構成を備えるものであるから、本件発明2と同じ理由により、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、異議申立人1及び2は、本件発明3~6、10、11について、種々の主張をしている(意見書1-2の第7~9頁、意見書2-2の第11~12、16~17頁)。
しかしながら、本件発明3~6、10、11は、相違点21に係る本件発明2の構成を備えており、上記(ア)fで検討したように、相違点21に係る本件発明2の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、異議申立人1及び2の上記主張は採用できない。
(ウ)本件発明16、19について
本件発明16は、本件発明2を直接又は間接的に引用する「パターン形成方法」の発明であり、本件発明19は、請求項16に記載された「パターン形成方法」を引用する「電子デバイスの製造方法」の発明である。
そうすると、本件発明16、19は、相違点21に係る本件発明2の構成を備える「収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」を含む発明であるから、本件発明2と同じ理由により、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、異議申立人1及び2は、本件発明16、19について、種々の主張をしている(意見書1-2の第10頁、意見書2-2の第21~22頁)。
しかしながら、本件発明16、19は、相違点21に係る本件発明2の構成を備えており、上記(ア)fで検討したように、相違点21に係る本件発明2の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、異議申立人1及び2の上記主張は採用できない。
(エ)本件発明20について
本件発明20と引用発明3とを対比する。
a 引用発明3における「高純度イソプロピルアルコール」は、「ウエハーの洗浄工程等で使用される有機溶剤である」から、本件発明20の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明3の「充填用容器」は、上記「高純度イソプロピルアルコール」を充填する容器であるから、「高純度イソプロピルアルコール」が充填されたときに、本件発明20の「半導体製造用処理液が収容された収容部」と同様の収容部を有することは明らかである。
c 引用発明3の「充填用容器」は、本件発明20の「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器」に対応する。
d 上記a~cからと、本件発明20と引用発明3との、一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器。」
[相違点22]
本件発明20は、「前記半導体製造用処理液は現像液であり、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であり、且つ、前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として17~100質量pptであ」るのに対して、引用発明3は、「高純度イソプロピルアルコール」について対応する特定がされていない点。
[相違点23]
本件発明20は、「前記半導体製造用処理液から、Fe(OH)2粒子を含むテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液であって、前記粒子に含まれるFeの含有率が、前記水溶液の全質量を基準として34.0~39.2質量pptである前記水溶液を除く」のに対して、引用発明3は、「高純度イソプロピルアルコール」について対応する特定がされていない点。
e 上記相違点についての検討
相違点22に係る本件発明20の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
すなわち、異議申立人1及び2が提示した文献では、半導体製造用処理液に含有される金属原子の量について、上記引用文献1(引用発明1)、引用文献6(引用発明4)、引用文献7(引用発明5)、引用文献8(引用発明6)、引用文献11(引用発明7)~引用文献17(引用発明13)に記載されているが、いずれの文献も、相違点22に係る本件発明20の構成について記載されていない。
加えて、相違点22に係る本件発明20の構成は周知の構成であるともいえないので、本件発明20は、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(オ)本件発明21について
本件発明21と引用発明3とを対比する。
a 引用発明3における「高純度イソプロピルアルコール」は、「ウエハーの洗浄工程等で使用される有機溶剤である」から、本件発明21の「半導体製造用処理液」に相当する。
b 引用発明3の「充填用容器」は、上記「高純度イソプロピルアルコール」を充填する容器であるから、「高純度イソプロピルアルコール」が充填されたときに、本件発明21の「半導体製造用処理液が収容された収容部」と同様の収容部を有することは明らかである。
c 引用発明3の「充填用容器」は、「高純度イソプロピルアルコール中に不純物が溶出し難」くするために「SUS製」としているから、「充填用容器」の内壁にSUS(ステンレス)を使用していることは明らかである。
そして、このことは、本件発明21の「前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている」ことに相当する。
d 引用発明3の「高純度イソプロピルアルコール」は、イソプロパノールであるといえるから、このことは、本件発明21の「前記半導体製造用処理液は、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含」むことに相当する。
e 引用発明3の「充填用容器」は、本件発明21の「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器」に対応する。
f 上記a~eから、本件発明21と引用発明3との、一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であって、前記半導体製造用処理液は、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、
前記半導体製造用処理液に接触する前記収容部の内壁の少なくとも一部が、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネルから選択される少なくとも1種を含有する材料から形成されている収容容器。」
[相違点24]
本件発明21は「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptであるリンス液であ」るのに対して、引用発明3は、「高純度イソプロピルアルコール」について対応する特定がされていない点。
g 上記相違点についての検討
相違点24に係る本件発明21の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
すなわち、異議申立人1及び2が提示した文献では、半導体製造用処理液に含有される金属原子の量について、上記引用文献1(引用発明1)、引用文献6(引用発明4)、引用文献7(引用発明5)、引用文献8(引用発明6)、引用文献11(引用発明7)~引用文献17(引用発明13)に記載されているが、いずれの文献も、相違点24に係る本件発明21の構成について記載されていない。
加えて、相違点24に係る本件発明21の構成は周知の構成であるともいえないので、本件発明21は、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
h 特許異議申立人の主張について
(a) 異議申立人1の主張
(a-1)異議申立人1は、本件発明21について意見書1-2で、上記イ(ウ)g(a)(a-1)と同様の主張をしている。(意見書1-2の第19~20頁)
(a-2)異議申立人1は、上記相違点24に関し意見書1-2で、上記イ(ウ)g(a)(a-2)と同様の主張をしている。(意見書1-2の第17~20頁)
上記異議申立人1の主張について
(a-3)本件発明21は、「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器であ」り、「半導体製造用処理液」は、本件発明21の発明特定事項である。
そうすると、異議申立人1の上記(a-1)の主張は採用できない。
(a-4)上記イ(ウ)g(a)(a-4)で検討したように、特許明細書等では、「リンス液」と「洗浄液」は、明確に区別されているから、異議申立人1の上記(a-2)の主張は採用できない。
(b)異議申立人2の主張
(b-1)異議申立人2は、上記相違点24に関し意見書2-2で、
引用発明3の「高純度イソプロピルアルコール」は、「ウエハーの洗浄工程等で使用される有機溶剤である」から、本件発明21の「リンス液」に相当すると主張した上で、引用発明6にあるように「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptであ」る、イソプロピルアルコール(iPA)は、公知のイソプロピルアルコール(IPA)であるから、引用発明3に収容する「高純度イソプロピルアルコール」を選択することは、当業者が容易に想到することである
旨主張する。(意見書2-2の第27~29頁)
(b-2)しかしながら、引用発明3の「高純度イソプロピルアルコール」が「リンス液」であるとの特定はされていないから、引用発明3についての異議申立人2の上記主張は根拠がない。
加えて、引用発明6の「イソプロピルアルコール(iPA)」は、相違点24に係る本件発明21の構成を備えていないから、引用発明3に収容する「高純度イソプロピルアルコール」として、引用発明6の「イソプロピルアルコール(iPA)」を選択しても、収容された「半導体製造用処理液」は、上記相違点24に係る本件発明21の構成とはならない。
そうすると、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(カ)本件発明22~25について
本件発明22~25は、本件発明21を直接又は間接的に引用する発明であり、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、本件発明21と同じ理由により、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、異議申立人1は意見書1-2で、本件発明22~25に係る特許は、本件発明3~6と同様の理由で取り消されるべきものである旨主張する。(意見書1-2の第20~21頁)
しかしながら、本件発明22~25は、相違点24に係る本件発明21の構成を備えており、上記(オ)gで検討したように、相違点24に係る本件発明21の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、異議申立人1の上記主張は採用できない。
また、異議申立人2は意見書2-2で、本件発明22~25は、引用発明3、6及び引用文献4記載事項から、当業者が容易に発明できたものである旨主張する。(意見書2-2の第32~33頁)
しかしながら、本件発明22~25は、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、上記(オ)h(b)で検討したのと同じ理由により、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(キ)本件発明26、27について
本件発明26及び27は、本件発明21を直接又は間接的に引用する「製造方法」の発明であり、相違点24に係る本件発明21の構成を備える「収容容器」を製造する方法であるから、本件発明21と同じ理由により、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、異議申立人1は意見書1-2で、本件発明26、27に係る特許は、本件発明10、11と同様の理由で取り消されるべきものである旨主張する。(意見書1-2の第21頁)
しかしながら、本件発明26、27は、相違点24に係る本件発明21の構成を備えており、上記(オ)gで検討したように、相違点24に係る本件発明21の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、異議申立人1の上記主張は採用できない。
また、異議申立人2は意見書2-2で、本件発明26、27は、引用発明3、6及び引用文献4記載事項から、当業者が容易に発明できたものである旨主張する。(意見書2-2の第33~34頁)
しかしながら、本件発明26、27は、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、上記(オ)h(b)(b-2)で検討したのと同じ理由により、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(ク)本件発明28、31について
本件発明28は、本件発明21を直接又は間接的に引用する「パターン形成方法」の発明であり、本件発明31は、本件発明28を引用する「電子デバイスの製造方法」の発明である。
そうすると、本件発明28は、相違点24に係る本件発明21の構成を備える「収容容器に収容された前記半導体製造用処理液を用いて処理する工程」の発明であり、本件発明31は、相違点24に係る本件発明21の構成を備える「電子デバイスの製造方法」の発明であるから、本件発明21と同じ理由により、引用発明3から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
なお、異議申立人1は意見書1-2で、本件発明28、31に係る特許は、本件発明16、19と同様の理由で取り消されるべきものである旨主張する。(意見書1-2の第21頁)
しかしながら、本件発明28、31は、相違点24に係る本件発明21の構成を備えており、上記(オ)gで検討したように、相違点24に係る本件発明21の構成は、異議申立人1及び2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、異議申立人1の上記主張は採用できない。
また、異議申立人2は意見書2-2で、本件発明28、31は、引用発明3、6及び引用文献5記載事項2から、当業者が容易に発明できたものである旨主張する。(意見書2-2の第34~35頁)
しかしながら、本件発明28、31は、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えており、上記(オ)h(b)(b-2)で検討したのと同じ理由により、異議申立人2の上記主張は採用できない。
(3)取消理由3(特許法第36条第6項第2号)について
ア 当審では、取消理由において、特許請求の範囲に記載された、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」をどのようにして、測定されたものであるのか不明であるために、特許請求の範囲に記載された発明が明瞭であるとはいえず、本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものである旨通知した。
イ それに対して、特許権者は、令和5年1月16日に提出された意見書において、
(ア)SP-ICP-MS法により半導体製造用処理液中の粒子性メタルの含有量を求めるためには、粒子性メタルの存在形態の仮定が必要であるところ、特許明細書等にはこの条件について記載がないとした上で、
(イ)半導体製造用処理液のような純度が高い薬液に含有される粒子性メタルの含有量を、SP-ICP-MS法により測定する場合に仮定される粒子性メタルの存在形態は、金属の存在形態を表すプールベ図(Pourbaix Diagram)に基づいて決定し得るとし、
(ウ)プールベ図から読み取った存在形態を、SP-ICP-MS法で測定する際の粒子性メタルの存在形態として仮定して、粒子性メタルの合計の含有率を測定することは一定の技術的合理性があり、当業者が一義的になし得る事項である、
旨主張する。
ウ Cu、Fe、Znの粒子性メタルの存在形態は、水中における化学種(特に金属)の存在領域を電極電位とpHの2次元座標上に図示したものであるプールベ図から読み取ることが可能であることは技術常識である。
そして、この技術常識に基づいて、半導体製造用処理液に含有するCu、Fe、Znの粒子性メタルの存在形態を特定し、この特定されたCu、Fe、Znの粒子性メタルの存在形態から、SP-ICP-MS法を用いて、「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率」を測定することは、当業者が適宜なし得ることであるから、本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるとの取消理由は解消した。
エ 特許異議申立人の主張について
(ア)異議申立人1は、意見書1-2で、
a プールべ図は、ある特定の条件下における水溶液中の理論的な金属形態を示すもので、有機溶剤系に適用されるものはないとしたうえで(意見書1-2の第22頁下から1行~第23頁1行)、請求項9、15、21、では、水の含有量に関する記載はなく、請求項12では、水の含有率が10質量%未満として規定しているから、水を含むことを許容しており、特許権者が令和5年1月16日に提出した意見書の「水の含有量が少なく、金属を酸化又は還元し得る成分も少ないことから、プールベ図においてpHが7付近の中性であり、かつ、酸化還元電位も0に近い位置における金属の形態をとっているとの推測が成り立つことは、当業者が容易に理解できるものといえる。」との主張は誤りであり、プールベ図に基づく存在形態の推定も成り立たず(意見書1-2の第23頁2~15行)、加えて、本件特許明細書等の実施例では、半導体製造用の処理液の含水率について、何ら評価されておらず、水分量が少ないため、金属の水中での存在形態を記述したプールベ図が適用できるというものであるが、僅かな水含有量しか含まない半導体製造用処理液に対し、水溶液系のプールベ図が適用できる理由はない(意見書1-2の第23頁16~23行)、旨主張する。
b 半導体製造用処理液のFeの存在形態について、プールベ図において、酸化鉄として考慮するのか、水酸化鉄として考慮するのか、その基準が不明である(意見書1-2の第23頁24~第24頁8行)とし、Cu、Znについても、如何なる基準で、どのような存在形態を選択するのか、何ら明らかでない(意見書1-2の第24頁9~11行)、旨主張する。
c 複数の金属種が含まれると、合金、金属間化合物などの形で存在する可能性もあり、プールベ図の知見が無条件に適用できるはずがない(意見書1-2の第24頁12~25行)、旨主張する。
d プールベ図が対象とする濃度範囲と、本件発明が対象とする濃度範囲は全く異なり、本件発明が規定するような、「ppt」オーダーの微小量の存在形態は何ら示しておらず、金属含有量がpptオーダーの超希薄溶液における金属の存在形態がプールベ図に基づいて一義的に仮定可能などとは到底言えない(意見書1-2の第24頁26~第29頁2行)、旨主張する。
(イ)しかしながら、
a 本件明細書等に
「【0046】
本発明の処理液がアルカリ現像液として用いられる場合、本発明の処理液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に代表される4級アンモニウム塩を含有する水溶液であることが好ましい。これ以外にも、無機アルカリ、1~3級アミン、アルコールアミン又は環状アミン等を含有するアルカリ水溶液であってもよい。」
「【0066】
有機溶剤を含有するリンス液(以下、「有機系リンス液」という。)に対する有機溶剤の使用量は、リンス液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
・・・
【0069】
中でも、有機系リンス液としての本発明の処理液は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、イソプロパノール(IPA)、エタノール及び4-メチル-2-ペンタノール(MIBC)から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0070】
有機系リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。」
と記載されているように、本件明細書等に記載された「半導体製造用処理液」は、水を含むことを前提としており、又、プールベ図は、水の多寡により、金属の存在形態が異なるというものではないから、水溶液中の理論的な金属形態を示すプールベ図に基づいてその存在形態を推定することに問題はない。
b 半導体製造用処理液のFeの存在形態について、プールベ図を考慮すれば、SP-ICP-MSで測定される粒子性メタルの存在形態を推定できるのであるから、その存在形態が酸化鉄として考慮するのか、水酸化鉄として考慮するのかは、対象とする「半導体製造用処理液」の状態で判断できる。
また、Cu、Znについても同様である。
c 本件明細書等に
「【0040】
本発明者は、SP-ICP-MS(Single-Particle ICP-MS)測定により識別して定量することが可能となった処理液中に含有される金属原子由来のイオン性メタルと粒子性メタル(非イオン性メタル)の各々が欠陥に及ぼす影響について鋭意研究した。その結果、欠陥発生には粒子性(非イオン性)メタル量の影響が極めて大きく、粒子性(非イオン性)メタル量と欠陥発生との間には相関関係があることを見出した。
【0041】
本発明は、この知見に基づき完成されたものであり、本発明の処理液は、対象金属であるCu、Fe及びZnから選択される1種又は2種以上の金属原子の少なくとも1種を含む粒子性メタルの質量の合計の含有率が、処理液の全質量に対し、0.01~100質量pptであることを第一の特徴とする。以下において、この含有率を「粒子性メタルの含有率」などともいう。」
と記載されているように、本件発明は、欠陥発生には粒子性メタルの影響が大きいとの知見に基づいて、Fe、Cu,Znの粒子性メタル含有率を特定しているものであるから、他の存在形態、すなわち、合金、金属間化合物等が存在しても、それらの存在形態について考慮する必要はない。
d 「ppt」オーダーの微小量の存在形態において、プールベ図で示される存在形態以外の存在形態で、粒子性メタルが存在するとの技術常識は存在しない。
そして、プールベ図により粒子性メタルの存在形態を推定し、その推定した存在形態に基づいて、SP-ICP-MSで測定するのであるから、この測定方法に問題はない。
(ウ) したがって、異議申立人1の上記主張は採用できない。
第6 特許異議申立理由について
1 証拠方法
(1)異議申立人1は証拠方法として以下の文献を提出した。
甲第1号証:特開2010-242077号公報
甲第2号証:特開2008-179774号公報
甲第3号証:特開平11-80449号公報
甲第4号証:特開平10-77094号公報
甲第5号証:特開平10-436号公報(引用文献3)
甲第6号証:特開平11-236660号公報(引用文献12)
甲第7号証:Kenneth Ong, "Determination of Impurities in Semiconductor-Grade TMAH with the NexION 300S/350S ICP-MS"、APPLICATION NOTE、[online]、2014年(平成26年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://resources.perkinelmer.com/corporate/cmsresources/images/46-135839app_010283_01nexion300s-impuritiessemicontmah.pdf>(引用文献6)
甲第8号証:特開2002-5799号公報(引用文献13)
甲第9号証:特開平7-11421号公報(引用文献4)
甲第10号証:近藤郁 他3名、「半導体材料ガス中に浮遊する微粒子の光錯乱法による検出」、粉体工学会誌、2002年、Vol.39、No.11、p.806-812
甲第11号証:特開平10-324368号公報(引用文献14)
甲第12号証:特開2015-64494号公報(引用文献5)
甲第13号証:Chady Stephan, "Analysis of Iron Nanoparticles in Organic Solvents Used in the Semiconductor Industry Using Single Particle ICP-MS in Reaction Mode"、APPLICATION NOTE、[online]、2015(平成27年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://labsense.fi/uploads/7/1/9/5/71957143/analysis_of_iron_nanoparticles_in_orga
nic_solvents_used_in_the_semiconductor_industry_application_note.pdf>(引用文献1)
甲第14号証:”
[図:0001402725000014.jpg]
”、
[図:0001402725000015.jpg]
、2006年、Vol.19、No.4、p.18~35
甲第15号証:Kenneth Org,"Determination of Impurities in Organic Solvents used in the Semiconductor Industry with the NexION 300S/350S ICP-MS"、APPLICATION NOTE、[online]、2014年(平成26年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://resources.perkinelmer.com/lab-solutions/resources/docs/app_010279_01nexion300s-impuritiessemiconipapgmea.pdf>(引用文献8)
甲第16号証:「高感度ICP-MSによる半導体グレードのイソプロピルアルコール中の不純物分析」、2013年、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社、インターネット<https://tools.thermofisher.com/content/sfs/brochures/EL13007-JA.pdf>(引用文献11)
参考資料1:腐食、防食ハンドブック、2001年9月、(社)腐食防食協会、p.1-1-5~1-1-6
以下、上記「甲第1号証」~「甲第16号証」をそれぞれ、「甲1-1」~「甲1-16」という。
(2)異議申立人2は証拠方法として以下の文献を提出した。
甲第1号証:Chady Stephan, "Analysis of Iron Nanoparticles in Organic Solvents Used in the Semiconductor Industry Using Single Particle ICP-MS in Reaction Mode"、APPLICATION NOTE、[online]、2015(平成27年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://labsense.fi/uploads/7/1/9/5/71957143/analysis_of_iron_nanoparticles_in_orga
nic_solvents_used_in_the_semiconductor_industry_application_note.pdf>(引用文献1)
甲第2号証:甲第1号証についてのGoogle検索についてのウェブページのプリントアウト
甲第3号証:特開平11-80257号公報(引用文献2)
甲第4号証:特開平11-314678号公報
甲第5号証:国際公開第2012/043496号(引用文献15)
甲第6号証:特開昭61-170588号公報(引用文献16)
甲第7号証:”
[図:0001402725000016.jpg]
”、[online]、2009年8月7日、インターネット<URL:https://m.blog.naver.com/PostView.nhn?blogId=dohyuni1018&logNo=80085683276&proxyReferer=https:%2F%2Fwww.google.com%2F>
甲第8号証:近藤郁 他3名、「半導体材料ガス中に浮遊する微粒子の光散乱法による検出」、2014年、粉体工学会誌、p806-812(甲1-10)
甲第9号証:特開2015-64494号公報(引用文献5)
甲第10号証:特開平11-236660号公報(引用文献17)
甲第11号証:Kenneth Ong, "Determination of Impurities in Semiconductor-Grade TMAH with the NexION 300S/350S ICP-MS"、APPLICATION NOTE、[online]、2014年(平成26年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://resources.perkinelmer.com/corporate/cmsresources/images/46-135839app_010283_01nexion300s-impuritiessemicontmah.pdf>(引用文献6)
甲第12号証:特開平10-436号公報(引用文献3)
甲第13号証:特開2005-260213号公報(引用文献7)
甲第14号証:特開平7-11421号公報(引用文献4)
甲第15号証:Kenneth Org,"Determination of Impurities in Organic Solvents used in the Semiconductor Industry with the NexION 300S/350S ICP-MS"、APPLICATION NOTE、[online]、2014年(平成26年)、PerkinElmer,Inc.、インターネット<URL:https://resources.perkinelmer.com/lab-solutions/resources/docs/app_010279_01nexion300s-impuritiessemiconipapgmea.pdf>(引用文献8)
甲第17号証:森永均著、「先端LSI技術大系、第2章、第7節、洗浄と汚染低減」、2012年、グローバルネット株式会社出版、p.175-183、インターネット<https://www.ircms.jp/irexport/fujimiinc/file/a58565726016665.pdf>(引用文献10)
甲第18号証:甲第17号証についてのGoogle検索についてのウェブページのプリントアウト
甲第19号証:特開平5-243144号公報(引用文献9)
以下、上記「甲第1号証」~「甲第19号証」をそれぞれ、「甲2-1」~「甲2-19」という。なお、甲第16号証に対応する文献は、異議申立人2から提出されていない。
2 特許異議申立書における特許異議申立人の主張の概要
(なお、この項においては、訂正前の請求項1~20を「請求項1」~「請求項20」と標記する。)
(1)異議申立人1の主張の概要
請求項1~20に係る特許に対する、異議申立人1の主張は以下のとおりである。
ア 特許法第29条第2項について
(ア)請求項1に係る発明は、甲1-1~甲1-4、甲1-6~甲1-8に記載された発明及び甲1-13、甲1-14に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第25~33頁)
(イ)請求項2に係る発明は、甲1-4~甲1-8に記載された発明及び甲1-13、甲1-14に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第33~36頁)
(ウ)請求項3に係る発明は、甲1-4~甲1-9に記載された発明及び甲1-13、甲1-14に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第36~37頁)
(エ)請求項4~9に係る発明は、甲1-4~甲1-9に記載された発明及び甲1-10、甲1-13、甲1-14に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第37~41頁)
(オ)請求項10、11に係る発明は、甲1-4~甲1-9、甲1-11に記載された発明及び甲1-10、甲1-13、甲1-14に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項10、11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第41~42頁)
(カ)請求項12、13に係る発明は、甲1-7、甲1-8、甲1-11に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項12、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第42~44頁)
(キ)請求項14に係る発明は、甲1-7、甲1-8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第45頁)
(ク)請求項15に係る発明は、甲1-11に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第45頁)
(ケ)請求項16、17に係る発明は、甲1-6~甲1-8、甲1-12に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項16、17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第45~47頁)
(コ)請求項18に係る発明は、甲1-6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第47頁)
(サ)請求項19に係る発明は、甲1-6~甲1-8、甲1-12に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第47頁)
(シ)請求項20に係る発明は、甲1-7、甲1-8、甲1-11に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人1による特許異議申立書第48頁)
イ 特許法第36条第6項第2号について
(ア)請求項1~11、16~20の記載について
液体等を収容することは容器が本来有する機能であり、特定の「半導体製造用処理液」が収容された「容器」との記載は、特定の半導体製造用処理液が収容されているというにすぎず、容器が本来有する機能のほかに、容器と処理液との関連を何ら規定するものではない。
そして、請求項1、2、20に記載された発明の「半導体製造用処理液」に関連する記載は、「容器」に関する発明の発明特定事項としての意味をなさない(あるいは何を意味しているのか不明である)ために、請求項1、2、20の記載は不明確である。また、これらの請求項1、2、20を直接又は間接的に引用する請求項3~11、16~19の記載も同様に不明確である。
本件特許は、上記のとおり、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(異議申立人1による特許異議申立書第48~49頁)
(イ)請求項4~9、10、11、16~19の記載について
請求項4の「収容部に占める空隙部の割合」、請求項5の収容部の空隙部に充填される気体のパーティクル数、請求項6の収容部の空隙部に充填される気体の種類、請求項7の収容されている半導体製造用処理液の用途、請求項8、9の収容されている半導体製造用処理液の種類に関する特定は、いずれも「容器」を特定するものではなく、「容器」との関係も不明確であるために、請求項4~9の記載は不明確である。また、これらの請求項4~9を直接又は間接的に引用する請求項10、11、16~19の記載も同様に不明確である。
本件特許は、上記のとおり、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(異議申立人1による特許異議申立書第49~50頁)
ウ 特許法第36条第4項第1号について
特許明細書等に記載された実施例および比較例を精査しても、容器に収容される処理液の「Fe、Cu、Znの含有率」を所定範囲に制御するための具体的手段が不明と言わざるを得ない。
したがって、特許明細書等の記載は、当業者が当該発明を実施するための十分な事項が記載されていないため、実施可能要件を満たすものではない。
本件特許は、上記のとおり、特許明細書等の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(異議申立人1による特許異議申立書第50~51頁)
(2)異議申立人2の主張の概要
請求項1~20に係る特許に対する、異議申立人2の主張は以下のとおりである。
ア 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項について
(ア)請求項1に係る発明は、甲2-1、甲2-3、甲2-4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第14~27頁)
(イ)請求項1に係る発明は、甲2-5、甲2-3、甲2-4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第27~39頁)
なお、第27頁の「ウ 甲第5号証、甲第3号証及び甲第4号証の説明、並びに、本件特許発明1と甲第5号証、甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証との対比」の記載は、「ウ 甲第5号証、甲第3号証及び甲第4号証の説明、並びに、本件特許発明1と甲第5号証、甲第3号証及び甲第4号証との対比」の誤記である。
(ウ)請求項2に係る発明は、甲2-1、甲2-6、甲2-7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第40~43頁)
(エ)請求項2に係る発明は、甲2-5、甲2-6、甲2-7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第43~46頁)
(オ)請求項3に係る発明は、甲2-1、甲2-5、甲2-7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第46~48頁)
(カ)請求項4に係る発明は、甲2-1、甲2-4、甲2-5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第48~49頁)
(キ)請求項5に係る発明は、甲2-1、甲2-3~甲2-8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第50頁)
(ク)請求項6に係る発明は、甲2-1、甲2-4~甲2-6、甲2-8に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第51~52頁)
(ケ)請求項7に係る発明は、甲2-3~甲2-7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第52~54頁)
(コ)請求項8に係る発明は、甲2-1、甲2-3~甲2-7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第54~55頁)
(サ)請求項9に係る発明は、甲2-1、甲2-3~甲2-7、甲2-9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第55~59頁)
(シ)請求項10に係る発明は、甲2-1、甲2-3、甲2-5、甲2-10に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第60~61頁)
(ス)請求項11に係る発明は、甲2-1、甲2-3、甲2-5、甲2-10に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第62~63頁)
(セ)請求項12に係る発明は、甲2-1、甲2-5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同上第1項の規定に違反してされたものである。また、請求項12係る発明は、甲2-5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第63~64頁)
(ソ)請求項13に係る発明は、甲2-5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同上第1項の規定に違反してされたものである。また、請求項13に係る発明は、甲2-1、甲2-5、甲2-9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第65頁)
(タ)請求項14に係る発明は、甲2-1、甲2-5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同上第1項の規定に違反してされたものである。また、請求項14に係る発明は、甲2-5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第66頁)
(チ)請求項15に係る発明は、甲2-1、甲2-5、甲2-9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第67~68頁)
(ツ)請求項16に係る発明は、甲1-1、甲2-3~甲2-7、甲2-9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第69頁)
(テ)請求項17に係る発明は、甲2-1、甲2-3~甲2-7、甲2-9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第70~71頁)
(ト)請求項18に係る発明は、甲2-3~甲2-7、甲2-9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第71~72頁)
(ナ)請求項19に係る発明は、甲2-1、甲2-3~甲2-7、甲2-9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第72頁)
(ニ)請求項20に係る発明は、甲2-1、甲2-3~甲2-7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。(異議申立人2による特許異議申立書第73~74頁)
3 甲号証の記載について
(1)甲1-1(特開2010-242077号公報)について
甲1-1には、以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度薬品用容器等に適用し得るポリエチレン、その製造方法、及び高純度薬品容器、さらに詳しくは燃料電池用アルコール容器に関する。」
「【0004】
近年、電子工業分野の著しい発達に伴って、高純度薬品の需要が高まっている。高純度薬品は、例えば、大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造に不可欠な薬品として使用されている。具体的には、ウエハー洗浄・エッチング用、配線・絶縁膜エッチング用、治具洗浄用、現像液、乾燥用等の用途として、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、過酸化水素水、イソプロピルアルコール、キシレン、メタノール、エタノール、酢酸、リン酸、アンモニア水、乳酸エチル等が用いられている。従来、これらの高純度薬品用容器材料として、耐薬品性、耐衝撃性、価格等の点から、ポリエチレン樹脂が使用されている。さらに薬品による該樹脂の溶出物や劣化物等の汚染物質による内容物への汚染を低減した高純度薬品用容器が求められている。
・・・」
「【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ポリエチレン樹脂からの溶出物やその劣化物等の汚染物質の高純度薬品への溶出を極力抑え、表面光沢が良好な高純度薬品容器、さらに詳しくは燃料電池用アルコール容器を提供することである。」
「【0143】
・・・
この高純度薬品容器は、ウエハー洗浄・エッチング用、配線・絶縁膜エッチング用、治具洗浄用、現像液、乾燥用等の用途として、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、過酸化水素水、イソプロピルアルコール、キシレン、メタノール、エアタノール、酢酸、リン酸、アンモニア水、乳酸エチル等の高純度薬品用容器として利用される。
・・・」
(2)甲1-2(特開2008-179774号公報)について
甲1-2には、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)、(B)及び(C)の要件を満足する、クリーン容器包装用ポリエチレン樹脂組成物。
(A)密度(JIS K7112-1999)が890kg/m3以上975kg/m3以下である。
(B)メルトフローレート(JIS K7210-1999、コードD)が0.01g/10分以上30g/10分以下である。
(C)添加剤として、実質的に塩基点を有する無機固体のみを含み、該添加剤量がポリエチレン樹脂1kgに対し5重量ppm以上500重量ppm以下である。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子や溶出成分が少なく、成形機等の金属の腐食を抑え、かつ成形した容器、フィルムの変色を抑え、更に容器に充填あるいはフィルムで包装した内容物の腐食や変色を抑えたポリエチレン樹脂組成物に関するものである。また、本発明のポリエチレン樹脂組成物はクリーン性を要求される容器包装用の樹脂材料として好適である。」
「【0003】
高純度薬品の例としては、ウエハー洗浄・エッチング用、配線・絶縁膜エッチング用、治具洗浄用、現像液、レジスト希釈液、レジスト剥離液、乾燥用等の用途として、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、過酸化水素水、2-プロパノール、キシレン、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、メタノール、酢酸、リン酸、アンモニア水、PGMEA(酢酸プロピレングリコールメチルエーテル)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N-メチルピロリジノン)、ECA(シアノアクリル酸エチル)、乳酸エチル等が用いられている。」
「【0010】
・・・
また、本明細書において「クリーン」とは、容器包装に液体を収容したとき、容器包装の構成成分が液体中に微粒子として混入したり溶出したりすることが少ないことを意味する用語として用いる。」
「【0057】
・・・
本発明の樹脂組成物は容器包装より内容物へのパーティクルの溶出が少ないことから、クリーン性を要求される用途に適している。例えば電子工業分野の高純度薬品用容器、医療用容器、食品用容器、半導体・ハードディスク等の包装に適したものである。
【0058】
本発明の樹脂組成物を容器等に成形加工する際の成形方法としては、成形品が汚染されないような施策を講じれば一般的に知られている方法を用いることができ、そのような成形方法としては、例えば水冷式または空冷式インフレーション成形、ブロー成形、押出パイプ成形、回転成形、射出成形、射出成形品の溶着成形、射出(2軸延伸)ブロー成形、押出シート成形及び真空成形、等の成形法が用いられる。また、これらの成形法を用いて、単層容器包装、多層容器包装としてもよい。多層容器包装とする際には、本発明の樹脂組成物を内容物に接する最内層に好適に用いることができるが、着色や装置類の腐食等に関しては他層に用いても良い。本発明の樹脂組成物以外の層にはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の熱可塑性樹脂を用いることができる。」
(3)甲1-3(特開平11-80449号公報)について
甲1-3には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置産業分野、精密工業部品分野及び医薬品等に使用される大型高純度薬品用容器の製造に好適で、高純度薬品を充填した場合に、薬品への微粒子の発生および金属溶出の極めて少なく、かつ、落下強度の優れたポリエチレン樹脂及び容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子工業分野の著しい発達に伴って、高純度薬品の需要が高まっている。高純度薬品は、例えば、大規模化、集積化されたLSI等の電子回路の製造に不可欠の薬品として使用されている。具体的には、ウエハー洗浄・エッチング用、配線・絶縁膜エッチング用、治具洗浄用、現像液、レジスト希釈液、レジスト剥離液、乾燥用等の用途として、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、過酸化水素水、イソプロピルアルコール、キシレン、TMAH、メタノール、酢酸、リン酸、アンモニア水、PGMEA、DMSO、NMP、ECA、乳酸エチル等が用いられている。従来、これらの高純度薬品用容器用材料として、耐薬品性、耐衝撃性、価格等の点から、ポリエチレン樹脂が使用されている。しかしながら、従来のポリエチレン樹脂製の容器では、薬品による該樹脂の溶出物や劣化物等の汚染物質による内容物への汚染問題があり、高純度薬品容器用として限界があった。すなわち、超LSIの微細化に伴い、従来では金属不純物濃度が1PPBであったものが、現在では0.1PPB以下が要求されている。また、従来、0.5μm以上の微粒子が問題であったものが、0.2μm以上の微粒子が100個/ml以下と厳しい品質が要求されるようになり、より厳しい品質が要求されている。さらに、小型容器では高純度薬品の充填が煩雑であり、また、小型容器は一回の薬品充填のみの使用であるため、繰り返し使用できる大型容器用のポリエチレン樹脂の開発が待たれている。」
(4)甲1-4(特開平10-77094号公報)について
甲1-4には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度液体の充填方法に関するものである。更に詳しくは、高純度液体運搬用容器に高純度液体を再充填するに際し、カプラーにパイプを脱着する際の該カプラーの磨耗による汚染を効果的に防止した高純度液体の充填方法である。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の高密度化、高集積度化が進むに連れ、ウエハー表面への微粒子の付着による汚染が製品の歩留まりや信頼性に大きな影響を及ぼすようになってきた。そのため、ウエハーの洗浄工程等で使用される高純度液体は、このような微粒子を可能な限り含まない高純度のものを使用することが望まれる。」
「【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、運搬用容器に充填後に、微粒子の混入が極めて少ない、高純度液体の充填方法の開発が望まれていた。」
「【0013】本発明における高純度液体の運搬用容器の材質は、高純度液体の種類によって異なり、その性質により腐食等が発生しない材質が適宜選定される。詳しくは、イソプロピルアルコールの場合には、SUS製などのように、不純物が溶出し難いものが好ましい。これらのSUS製運搬用容器の内面は、フッ硝酸等の強酸化性溶液に浸すことで不動態化処理したり、電解研磨して平滑化したものが更に好ましい。また、硫酸やテトラメチルアンモニウムハライド水溶液のような強酸性又は強アルカリ性の場合には樹脂製、好適には高密度ポリエチレン製で不純物が溶出し難いものが好ましい。」
(5)甲1-5(引用文献3)について
甲1-5には、上記第5の1(3)で示す事項が記載されている。
(6)甲1-6(引用文献12)について
甲1-6には、上記第5の1(12)で示す事項が記載されている。
(7)甲1-7(引用文献6)について
甲1-7には、上記第5の1(6)で示す事項が記載されている。
(8)甲第1-8(引用文献13)について
甲1-8には、上記第5の1(13)で示す事項が記載されている。
(9)甲1-9(引用文献4)について
甲1-9には、上記第5の1(4)で示す事項が記載されている。
(10)甲1-10(近藤郁 他3名、「半導体材料ガス中に浮遊する微粒子の光錯乱法による検出」、粉体工学会誌、2002年、Vol.39、No.11、p.806-812)について
甲1-10には、以下の事項が記載されている。
「1. 緒 言
半導体製品の集積度向上に伴って,ドライプロセスでの粒子汚染管理の重要性が高まっている。」(第806頁左欄1~3行)
「本研究では,(1)始めに半導体製造用材料ガス中のパーティクルカウンタの特性を示し,(2)次に材料ガスの供給系や充填系においてin-lineで粒子測定を行い,材料ガス中の粒子を直接測定することの有用性を示す。」(第807頁左欄3~7行)
「Table 1に測定結果を示す。材料ガスを供給する前に,実験系にN2ガスを供給して露点温度を測定し,配管内の残留水分量が約5ppm(露点温度:-65℃)であることを確認した。また,同時にN2ガス中の粒子を測定し,各フィルタを通した系,通さない系でもN2ガス中に0.2μm以上の粒子が含まれていないことを確認した。SiH4ガスを流したときは,フィルタを通さずに直接パーティクルカウンタに導入したときに比較して,フィルタを通した系で多くの粒子が測定された。これは,配管系の残留水分などと反応して粒子状副生成物を生成するため,フィルタとしての効力を発揮できず,むしろフィルタが粒子の生成源となってしまう可能性を示している。また,フッ素樹脂製フィルタを通したSiH4ガス中の粒子数が,SUS316L製フィルタを通した場合より多く測定された。一般に樹脂は金属に比べて,表面での吸着エネルギーは小さいが,ガス置換の応答性では金属製フィルタのほうが樹脂製フィルタより優れていることが報告されている8)。これは,樹脂製フィルタは固体内への水分拡散や,濾材構造の複雑さによって,実際上フィルタとして吸蔵される水分量が金属製フィルタより多いことなどによると考えられ,本測定結果も同様の原因によると推察される。N2ガス中の粒子に対するフィルタの除去性能だけによって,そのガス供給系が反応性のあるガスを流して良い状態にあるという判断ができないことを示している。」(第809頁右欄23行~第810頁左欄20行)
「Table1
[図:0001402725000017.jpg]
」
(11)甲1-11(引用文献14)について
甲1-11には、上記第5の1(14)で示す事項が記載されている。
(12)甲1-12(引用文献5)について
甲1-12には、上記第5の1(5)で示す事項が記載されている。
(13)甲1-13(引用文献1)について
甲1-13には、上記第5の1(1)で示す事項が記載されている。
(14)甲1-14について
甲1-14には、以下の事項が記載されている。なお、甲1-14の記載事項は、当審の訳文で示す。
「回路線幅が微細化されてゲート酸化膜厚が薄くなり、クリーン化技術は、困難に直面することになる。もちろん、微粒子は微細加工技術で必ず制御するべき対象であるが、微粒子よりも小さな化学的イオン成分と分子状不純物(重金属、非金属イオンなど。以下、「化学的不純物」と称する。)の影響が、素子の電気的特性、ドライエッチング、化学蒸着(CVD、Chemical Vapor Deposition)の選択性および多層膜の接着性などに問題を引き起こすので、その重要性が高まった。」(第18頁左欄9~18行)
「8.ウエハの評価
半導体工程を産業の総合芸術と言う。最近では3D業種とも言われているが、繊細で高難易度の技術力と強い熱意が融合して一つの半導体が誕生するという意味が込められているのだろう。また分析技術も、全産業で求められているレベルを全て満たさなければ、目的とする半導体デバイスの不良は改善できないため、非常に難しい分野と言える。半導体分野で化学分析法を用いた分析技術は、筆者のこれまでの経験から見て、人の指先の技術が90%以上を占め、分析装置は残りの10%に過ぎないと感じている。したがって、汚染分析技術は、ほとんどが人の力によって左右されると言っても過言ではない。ここからは、ウエハの分析方法にはどのようなものがあるか述べる。シリコンウエハ(Fig.6)の化学的不純物の評価項目としては、
●表面は金属不純物、陰イオン・陽イオン、有機物などである。
●基板とバルク(Bulk)は、金属不純物、ドーパント濃度などがメインであるが、分析技術によっては陰イオン・陽イオンの分析も可能である。
●膜質組成比としては、BPSG、PSG、Al-Si-Cuなど、多数ある。
●膜質不純物は、主に金属不純物および脱離されるガスの有機物、水分などが挙がられる。
ウエハの分析方法のうち金属不純物の評価法は、主に3つの方法(Fig.7)を用いる。
8.1 一つ目は、VPD(Vapor Phase Depocomposition)法(Fig.8)で、ウエハの製造および加工業者のほとんどが金属不純物の評価法としてよく用いる方法である。この方法は、一定の大きさの箱に分析しようとするウエハを入れ、フッ素蒸気(HF Fume)を使ってシリコンウエハ表面に存在する自然酸化膜(Native Oxide)および金属成分を溶かしてからHF/H2O2/DIWを一定の比率で混合した溶液で回収(gathering)し、分析装置(ICP-MSまたはAAS)を用いて金属不純物の含有量を分析する方法である。ここで、ほとんどの金属不純物は回収に問題ないが、筆者の経験から回収率(Recovery)を評価したところ、Cuの回収率は50~70%程度で、あまり良くないことを確認した。その理由は、Cuの場合、Siより強い酸化還元電位によってSiの電子を奪い、自身が還元してシリコン基板に付着されるからである。」(第25頁左欄16行~第26頁左欄6行)
(15)甲1-15(引用文献8)について
甲1-15には、上記第5の1(8)で示す事項が記載されている。
(16)甲1-16(引用文献11)について
甲1-15には、上記第5の1(11)で示す事項が記載されている。
(17)参考資料1(腐食、防食ハンドブック、2001年9月、(社)腐食防食協会、p.1-1-5~1-1-6)について
参考資料1には、以下の事項が記載されている。
「1.4 電位-pH図の作図原理
水環境にある金属の化学平衡を状態図として表現するには電極電位とpHを軸とする座標を用いるのが最も合理的であり,この種の状態図は“電位-pH図”または“プルベー図”とよばれる1,2).電位-pH図の具体例として Fe-H2O系図を図1.4に示す.ここでは Fe-H2O というシステムで,鉄化合物としてはFe,Fe2+,Fe3+,Fe2O3,Fe3O4,HFeO2-が関与する物質であるとする.水の電気化学反応であるということから,H2O,H+,e-がさらに加えられる.電位-pH図の作図では通常,希薄溶液を前提としており,次の水の解離平衡が成立し,OH-はこれに束縛され生成する物質として扱うため,反応式の取り扱いでは独立物質とは見なさない.」(第1-1-5頁)
「線4は Fe2+の活量 aFe 2+に依存するため,本来,E とpH以外に軸が必要となるが,電位-pH平面上では表現するときには aFe 2+(通常log aFe 2+)をパラメータとして複数の平行線を引いて表現する.腐食の分野で電位-pH図を利用する場合には,溶解金属イオン濃度の総和,すなわち分析濃度(CMで表す)として10-6mol kg-1とすることが多い.図中では log CMに対応する数値でもって区別する.すなわち図1.4に書き込まれた-2,-4,-6なる数値は平行線がそれぞれ CM=10-2,10-4,10-6 mol kg-1に対応する線であることを示している.
金属イオンの分析濃度 CM が10-6 mol kg-1と仮定して描いた線図において,金属状態が優勢となる領域は不感域と定義される.事実上この領域で腐食は起こらない.逆に CM≧10-6 mol kg-1で金属イオンが優勢となる領域を腐食域,また酸化物や水酸化物など固体塩が安定な領域が不動態域と定義される.このような単純な割り切りでもって不感域,腐食域および不動態域の3域に区分して図示した電位-pH図の簡略形式を,特に腐食図と呼ぶことがある.これらの3域はあくまで熱力学計算により得られた電位-pH図に基づくPourbaixによる定義であり,詳細においては現実とかけ離れたものである場合もあることに注意する必要がある.各種金属に対する電位-pH図の集大成としてはPourbaixのAtlasが有名である1).図1.5はAtlasに示された電位-pH図の要約ともいうべき腐食図の一覧である2).」(第1-1-6頁)(なお、上記「線4」の4は○に4の数字が書かれたものである。)
(18)甲2-1(引用文献1)について
甲2-1には、上記第5の1(1)で示す事項が記載されている。
(19)甲2-2について
甲2-2には、甲2-1の検索についてのウェブページが記載されている。
(20)甲2-3(引用文献2)について
甲2-3には、上記第5の1(2)で示す事項が記載されている。
(21)甲2-4(特開平11-314678号公報)について
甲2-4には、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリオレフィン系高純度樹脂で成形された柔軟性の内容器と、その内容器を収納する気密性で自立の外容器とが、両者の間の空間を外界に対して密閉開放自在に連結され、内容器は逆止弁を途中に連結した液排出管が底部まで挿入されて密閉され、外容器には加圧源に連結されるコネクタが取り付けられていることを特徴とする高純度薬品液用容器。
【請求項2】 内容器の口に該液排出管を保持する気密保持具が外容器の口に螺合し、その螺合の開閉により外容器の内部が外界に前記密閉開放自在であることを特徴とする請求項1に記載の高純度薬品液用容器。
【請求項3】 該液排出管が逆止弁を途中に連結した上部分、および内容器に挿入される下部分に分離されており、その上部分だけを保持する前記該気密保持具と交換的に外容器の口に螺合して外容器の内部および内容器の内部が外界に対し密閉開放する開閉蓋を有することを特徴とする請求項2に記載の高純度薬品液用容器。
【請求項4】 該液排出管および該気密保持具および/または該開閉蓋が内容器と同質のポリオレフィン系高純度樹脂で成形されていることを特徴とする請求項2または3に記載の高純度薬品液用容器。
【請求項5】 該ポリオレフィン系高純度樹脂が、エチレン、プロピレン、ブテン-1、4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、またはオクテン-1のオレフインの重合体、およびエチレンとそれ以外のオレフインの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項1または4に記載の高純度薬品液用容器。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体および液晶分野で使用される高純度薬品液の貯蔵および排出に用いられる容器に関するものである。」
「【0026】本発明の高純度薬品液用容器には、半導体プロセスや液晶ディスプレイ用に使用されるフォトレジスト液や希釈溶剤をはじめ、その他の高純度薬品が貯蔵できる。半導体プロセス用フォトレジストの例としては、クレゾール-ホルムアルデヒドノボラック樹脂およびポリ(ビニルフェノール)等のアルカリ可溶性樹脂と、べンゾキノンジアジドスルホン酸エステル、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、べンゾキノンジアジドスルホン酸アミドおよびナフトキノンジアジドスルホン酸アミド等のキノンジアジド系感光剤とを必須成分として含有するポジ型フォトレジストである。液晶ディスプレイ用カラーレジストとしては、アクリル酸エステルモノマー、トリハロメチルトリアジン系光重合開始剤とアクリル酸/アクリル酸エステルの共重合体からなるフォトポリマーに有機顔料を分散させたものが挙げられる。」
「【0042】(実施例1)内容器2の原料樹脂には、密度が0.935g/cm3、メルトインデックスが0.20g/10min.で、重量平均分子量1×103以下の重合体を2.57重量%含有し、中和剤、酸化防剤および耐光安定剤を含まない高密度ポリエチレンペレットを用いた。この樹脂をインフレーション成形機を使用して、押出機(スクリュー直径:50m/m、L/D=26(D:スクリュー直径、L:スクリュー有効長))の中で200℃に溶融し、環状ダイス(ダイ口径50m/m、ダイ・ギャップ2.0m/m)から押出、ブローアップレシオ3.5で成形し、厚さ60μm、折径280mmの筒状のフィルムを得た。この筒状のフィルムを二つ重ね、所定の長さに切断し、そのうちの片方のフィルムの所定の部位に穴を開け、その穴に内容器の口20を有するチューブホルダー29を通してヒートシールして固着した。その後両方のフィルムを重ねて四方をヒートシールして、内容器Aを試作した。
【0043】先ず、試作した内容器Aのクリーン度を測定した。これをステンレス製の外容器(内容量:4リットル)内に設置した。この容器に超純水製造装置(商品名:トレピュアLV-10T(東レ株式会社製))により製造した超純水2リットルを入れ、スクリューキャップを取り付けて密閉して15秒間振とうし、24時間静置後に5ml採取し、その中に浸出した0.2μm以上の微粒子の数をパーティクルカウンター(タイプ:KL-22(リオン株式会社製))で測定した。水中の微粒子数(個/ml)を式(1)と同様の次式(4)で計算し、超純水によるクリーン度とした。その結果を表1に示した。」
「【0047】次に、クレゾール-ホルムアルデヒドノボラック樹脂およびナフトキノンジアジドスルホン酸エステル系感光剤を含む固形分と、溶剤がエチルセロソルブアセテートからなるポジ型フォトレジスト(レジストA)を2リットルを入れ、上記と同様に(5)式により、クリーン度を求めた。その結果を表1に示した。」
「【0049】さらにこの容器を再びキャップで密閉し、常温で1ヶ月間放置した。1ヶ月間経過した容器を、気泡を発生させないように3回転させて、容器内のフォトレジスト液を振とうし、5ml採取して上記と同様にしてフォトレジスト液中の微粒子数(個/ml)を計算し、1ヶ月後のクリーン度とした。その結果を表1に示した。」
「【0053】さらに、エチルセロソルブアセテート4リットルを入れ、キャップにより完全に密閉した状態で23℃の恒温室へ保管、6ヶ月後のエチルセロソルブアセテート中のメタルイオン濃度をICP-MS(HP-4500:横河アナリテイカルシステムズ製)により測定した。その結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
[図:0001402725000018.jpg]
」
「【0079】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明の高純度薬品液用容器は、高純度薬品液の保存および輸送中に微粒子や金属イオンの浸出がなく、高純度薬品液の品質を維持できる。さらに、内容器は破損しにくく、柔軟性があるので使用後に外容器から容易に取り出すことができる。送液ユニットを密閉蓋と交換することにより、高純度薬品液の貯蔵と排出を容易かつ安全に行うことができる。」
(22)甲2-5(引用文献15)について
甲2-5には、上記第5の1(15)で示す事項が記載されている。
(23)甲2-6(引用文献16)について
甲2-6には、上記第5の1(16)で示す事項が記載されている。
(24)甲2-7について
甲2-7には、以下の事項が記載されている。なお、甲2-7の記載事項は、当審の訳文で示す。
「電解研磨の利点
耐食性が向上する。
電解研磨時に鉄成分が多く離れ、表面にクロム成分が多くなり腐食に強くなる。stainless steel 316Lを例にすると、次の表のとおりである。
不動態化の形成
電解研磨後に不動態(金属酸化皮膜)処理を行うことで、超高純度の薬品貯蔵タンクなどとして使用する場合に、タンクの金属成分が薬品によって溶ける量を大幅に減らすことができる。」(第1頁)
「取り扱い品目
1)真空チャンバ類
2)フィルターハウジング
3)各種貯蔵タンク類
4)半導体工業用機器類
5)医療工業および実験用機器類
6)各種SUS配管類
7)その他 stainless steel 一体」(第2頁)
(25)甲2-8について
甲2-8には、上記(10)で示す事項が記載されている。
(26)甲2-9(引用文献5)について
甲2-9には、上記第5の1(5)で示す事項が記載されている。
(27)甲2-10(引用文献17)について
甲2-10には、上記第5の1(17)で示す事項が記載されている。
(28)甲2-11(引用文献6)について
甲2-11には、上記第5の1(6)で示す事項が記載されている。
(29)甲2-12(引用文献3)について
甲2-12には、上記第5の1(3)で示す事項が記載されている。
(30)甲2-13(引用文献7)について
甲2-13には、上記第5の1(7)で示す事項が記載されている。
(31)甲2-14(引用文献4)について
甲2-14には、上記第5の1(4)で示す事項が記載されている。
(32)甲2-15(引用文献8)について
甲2-15には、上記第5の1(8)で示す事項が記載されている。
(33)甲2-17(引用文献10)について
甲2-17には、上記第5の1(10)で示す事項が記載されている。
(34)甲2-18について
甲2-18には、甲2-17の検索についてのウェブページが記載されている。
(35)甲2-19(引用文献9)について
甲2-19には、上記第5の1(9)で示す事項が記載されている。
4 特許異議申立理由について
(1)異議申立人1の主張について
ア 特許法第29条第2項について
(ア)本件発明1について
本件発明1は、上記相違点17に係る「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~0.43質量pptであるアルカリ現像液であ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点17に係る本件発明1の構成は、異議申立人1が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明1は、相違点17に係る本件発明1の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)本件発明2について
本件発明2は、上記相違点21に係る「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~10質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点21に係る本件発明2の構成は、異議申立人1が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明2は、相違点21に係る本件発明2の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)本件発明3について
本件発明3は、本件発明2を引用する発明であり、上記相違点21に係る本件発明2の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ)本件発明4~8、10、11、16、17、19について
本件発明4~8、10、11、16、17、19は、本件発明1を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明2を直接又は間接的に引用する発明であり、上記相違点17に係る本件発明1の構成、若しくは、上記相違点21に係る本件発明2の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(オ)本件発明9は、上記相違点18に係る「前記半導体製造用処理液が、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、且つ、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptである現像液又はリンス液であ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点18に係る本件発明9の構成は、異議申立人1が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明9は、相違点18に係る本件発明9の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(カ)本件発明12は、上記相違点1に係る「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptである」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点1に係る本件発明12の構成は、異議申立人1が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明12は、相違点1に係る本件発明12の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(キ)本件発明15は、上記相違点8に係る「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点8に係る本件発明15の構成は、異議申立人1が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明15は、相違点8に係る本件発明15の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ク)本件発明20は、上記相違点19に係る「前記半導体製造用処理液は現像液であり、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であり、且つ、前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として17~100質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点19に係る本件発明20の構成は、異議申立人1が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明20は、相違点19に係る本件発明20の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ケ)本件発明21は、上記相違点24に係る「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点24に係る本件発明21の構成は、異議申立人1が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明21は、相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(コ)本件発明22は、本件発明21を引用する発明であり、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(サ)本件発明23~25は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(シ)本件発明26、27は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する「収容容器の製造方法」の発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ス)本件発明28~30は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する「パターン形成方法」の発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(セ)本件発明21は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する「電子デバイスの製造方法」の発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲1-1~甲1-16に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ソ)上記(ア)~(セ)から、異議申立人1の特許異議申立の上記理由は採用できない。
イ 特許法第36条第6項第2号について
(ア)請求項1~11、16、17、19~31の記載について
特許請求の範囲の請求項1、2、9、20、21に、「半導体製造用処理液が収容された収容部を具備する収容容器」と記載されているように、請求項1~11、16、17、19~31に記載された発明は、その発明特定事項として「半導体製造用処理液」を備えているから、異議申立人1の特許異議申立の上記理由は採用できない。
(イ)請求項4~8、10、11、16、17、19の記載について
請求項4~8、10、11、16、17、19は、請求項1若しくは2に記載された発明を直接又は間接的に引用しており、請求項22は、請求項21に記載された発明を引用しており、請求項23~31に記載された発明は、請求項9若しくは請求項21に記載された発明を直接または間接的に引用している。
そして、上記(ア)で検討したように、請求項1、2、9、21は、「半導体製造用処理液が収容された収容部」を備えている。
そうすると、異議申立人1の主張する、請求項4の「収容部に占める空隙部の割合」、請求項5の収容部の空隙部に充填される気体のパーティクル数、請求項6の収容部の空隙部に充填される気体の種類、請求項7の収容されている半導体製造用処理液の用途、請求項8、9の収容されている半導体製造用処理液の種類に関する特定は、「半導体製造用処理液が収容された収容部」又は「収容部」に収容された「半導体製造用処理液」を限定しているから、異議申立人1の特許異議申立の上記理由は採用できない。
ウ 特許法第36条第4項第1号について
本件明細書等に
「【0072】
[金属含有率の調整方法]
本発明の処理液は、Na、Ca、Al、Cr、Co、Pb、Li、Mg、Mn、Ni、K、Agなどのイオン濃度がいずれも1ppm(parts per million)以下であることが好ましく、1ppb以下であることがより好ましい。特に、pptオーダー(上記濃度はいずれも質量基準)であることが更に好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
【0073】
本発明の処理液における金属含有率の調整は、例えば、処理液を製造する際に使用する原材料の段階、及び、処理液を調製した後の段階、の少なくとも一方の段階において、蒸留やフィルターろ過、イオン交換樹脂を用いたろ過、吸着精製などを繰り返し、十分に精製することにより行ってもよい。
【0074】
ここで、金属含有率の調整方法(以下、「メタル濃度の低減方法」ともいう。)としては、特に限定されないが、国際公開第WO12/043496号公報に記載されている、炭化ケイ素を用いた吸着精製などが挙げられ、さらに、蒸留やフィルターろ過、イオン交換樹脂を用いたろ過を組み合わせ、十分に精製する例が好ましい形態として挙げられる。
【0075】
金属含有率を調整する方法は本発明の効果を得る観点から、処理液を製造する際に使用する原材料の段階で行われることが特に好ましい。また、原材料は特定の金属原子、若しくは硫酸イオン、塩化物イオン、又は硝酸イオンなどの無機イオン、及び特定の金属イオンが低減されたグレードのものを用いることが好ましい。
【0076】
メタル濃度の低減方法に関するその他の方法としては、処理液の製造に使用する原材料を収容する「容器」として、後述する本発明の処理液を収容する収容容器に関して説明するような、不純物の溶出が少ない容器を用いることが挙げられる。また、処理液の調製時の「配管」などからメタル分が溶出しないように、配管内壁にフッ素系樹脂のライニングを施すなどの方法も挙げられる。」
「【0086】
本発明の収容容器を本発明の処理液を充填する前に洗浄する。
本発明の処理液を収容部に充填する前の洗浄工程において、その内壁に対する接触角が10度以上で、濡れ性が良すぎない洗浄液で内壁を洗浄することにより、洗浄液が容器に残留し、洗浄後に充填される本発明の処理液中に洗浄液や洗浄液に含まれる汚染物が混入することを抑制することが可能となる。また、その内壁に対する接触角が120度以下で、濡れ性が悪すぎない洗浄液で内壁を洗浄することにより、収容部の微細な隙間などに残留する汚染物の除去率を高めることが可能となる。」
と記載されているから、容器に収容される処理液の「Fe、Cu、Znの含有率」を所定範囲に制御するための具体的手段が不明ということはできない。
したがって、異議申立人1の特許異議申立の上記理由は採用できない。
(2)異議申立人2の主張について
ア 特許法第29条第1項第3号、同条第2項について
(ア)本件発明1について
本件発明1は、上記相違点17に係る「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~0.43質量pptであるアルカリ現像液であ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点17に係る本件発明1の構成は、異議申立人2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明1は、相違点17に係る本件発明1の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)本件発明2について
本件発明2は、上記相違点21に係る「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~10質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点21に係る本件発明2の構成は、異議申立人2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明2は、相違点21に係る本件発明2の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ウ)本件発明3について
本件発明3は、本件発明2を引用する発明であり、上記相違点21に係る本件発明2の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(エ)本件発明4~8、10、11、16、17、19について
本件発明4~8、10、11、16、17、19は、本件発明1を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明2を直接又は間接的に引用する発明であり、上記相違点17に係る本件発明1の構成、若しくは、上記相違点21に係る本件発明2の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(オ)本件発明9は、上記相違点18に係る「前記半導体製造用処理液が、酢酸ブチル、N-メチル-2-ピロリドン、イソプロパノール、エタノール、及び、メチルイソブチルカルビノールから選択される少なくとも1種を含み、且つ、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptである現像液又はリンス液であ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点18に係る本件発明9の構成は、異議申立人2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明9は、相違点18に係る本件発明9の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(カ)本件発明12は、上記相違点1に係る「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptである」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点1に係る本件発明12の構成は、甲2-1、甲2-5に記載されていないから、本件発明12は、甲2-1、甲2-5に記載された発明であるとはいえない。
加えて、相違点1に係る本件発明12の構成は、異議申立人2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえないから、本件発明12は、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(キ)本件発明15は、上記相違点8に係る「Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量に対し、17~100質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点8に係る本件発明15の構成は、異議申立人2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明12は、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ク)本件発明20は、上記相違点19に係る「前記半導体製造用処理液は現像液であり、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として220質量ppt以上であり、且つ、前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として17~100質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点19に係る本件発明20の構成は、異議申立人2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明20は、相違点19に係る本件発明20の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ケ)本件発明21は、上記相違点24に係る「前記半導体製造用処理液は、Cu、Fe及びZnからなる群に属する金属原子の中で、前記半導体製造用処理液に含有されるすべての前記金属原子の粒子性メタルの合計の含有率が、前記半導体製造用処理液の全質量を基準として、0.01~100質量pptであ」るとの発明特定事項を備えている。
そして、相違点24に係る本件発明21の構成は、異議申立人2が提示したいずれの文献にも記載されておらず、また周知の技術であるともいえない。
そうすると、本件発明21は、相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(コ)本件発明22は、本件発明21を引用する発明であり、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(サ)本件発明23~25は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(シ)本件発明26、27は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する「収容容器の製造方法」の発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ス)本件発明28~30は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する「パターン形成方法」の発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(セ)本件発明21は、本件発明9を直接又は間接的に引用する発明、若しくは、本件発明21を直接又は間接的に引用する「電子デバイスの製造方法」の発明であり、上記相違点18に係る本件発明9の構成、若しくは、上記相違点24に係る本件発明21の構成を備えているから、甲2-1~甲2-19に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(ソ)上記(ア)~(セ)から、異議申立人2の特許異議申立の上記理由は採用できない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書(決定の予告)に記載した理由並びに異議申立人1及び2による特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~12、15~17、19~31に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~12、15~17、19~31に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
なお、請求項13、14、18に係る特許は、上記のとおり本件訂正により削除された。これにより、異議申立人1及び2による特許異議申立てについて、請求項13、14、18に係る申立ては、申立ての対象が存在しないこととなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700884