特許異議申立
2025-700867
包装体および梱包箱
- 審判番号
- 2025-700867
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-059127
- 登録番号
- 7640490
- 請求日
- 2025年09月04日
- 審決日
- 2026年01月13日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社合同資源
- 【権利者代理人】速水 進治
- 【権利者代理人】水長 雄大
- 【権利者代理人】執行 敬宏
- 【異議申立人】前田 直子
- 審判長/審判官
- 審判長 神山 茂樹
- 審判官 藤井 眞吾
- 審判官 長清 吉範
- 分類
- P1651.537-Y (B65D) / P1651.536-Y (B65D) / P1651.121-Y (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7640490号発明「包装体および梱包箱」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7640490号の請求項1~13に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7640490号(以下「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、令和4年3月31日を出願日とするものであって、令和7年2月25日にその特許権の設定登録(特許掲載公報令和7年3月5日発行)がされ、その後、その特許について、令和7年9月4日に特許異議申立人前田直子により、特許異議の申立てがされたものである。
2 本件特許発明
本件特許の請求項1~13に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明13」といい、総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
アルミラミネートフィルムで構成された袋と、
前記袋の内部に封入されている、金属ヨウ化物粉粒体と、を備え、
前記金属ヨウ化物粉粒体に含まれる金属ヨウ化物の含有量が全体の90質量%以上であり、
目開き1000μmの篩で篩分けしたときの前記金属ヨウ化物粉粒体の篩通過分が、全体の80重量%以上であり、
下記の手順Aに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の安息角が、30.8°以下であり、
下記の手順Dに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の含水率が、30ppm以下である、
包装体。
(手順A)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体を、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
パウダーテスターに設置した水平板から、高さ7.5cmの位置に出口内径:8mmの漏斗を取付ける。
漏斗を介して、得られたサンプル粉末を、垂直方向から水平板の表面上に供給しつづけ、一定の形状を保つ円錐状の堆積物を形成する。
円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを安息角(°)とする。
続いて、水平板に、パウダーテスターにより3回の衝撃を与える。その後、円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを崩潰角(°)とする。
(手順D)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体について、カールフィッシャー水分計を用いて、含水率を測定する。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体であって、
前記金属ヨウ化物粉粒体が、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム、およびヨウ化アルミニウムからなる群から選ばれるいずれかを含む、包装体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装体であって、
上記の手順Aに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の崩潰角が、20.0°以下である、包装体。
【請求項4】
請求項1~ 3のいずれか一項に記載の包装体であって、
下記の手順Bに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体のかため嵩密度をD1、ゆるめ嵩密度をD2としたとき、
((D1-D2)/D2)×100に基づいて求められる圧縮度が、11.0%以下である、包装体。
(手順B)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体を、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
得られたサンプル粉末を、高さ7cmから自然落下させ、100cm 3の測定用カップの内部に投入し、カップから溢れ出るまで続けて、山盛りカップを準備する。
続いて、山盛りカップについて、タッピングせずに、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、ゆるめ嵩密度(g/cm3)を算出する。
一方、山盛りカップについて、上下方向に180回の条件(ストローク長1.8cm、1秒/回)でタッピングした後で、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、かため嵩密度(g/cm3)を算出する。
【請求項5】
請求項4に記載の包装体であって、
上記の手順Bに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の前記かため嵩密度が、1.40g/cm3以上1.90g/cm3以下である、包装体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の包装体であって、
下記の手順Cに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体における、
目開き710μmの篩上の篩残分量が、0.5質量%以上14質量%以下、
目開き355μmの篩上の篩残分量が、8質量%以上13質量%以下、
目開き250μmの篩上の篩残分量が、25質量%以上50質量%以下、および
目開き250μmの篩の通過分量が、30質量%以上55質量%以下、である、包装体。
(手順C)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体の所定量を、目開き710μm篩、目開き355μm篩、および目開き250μm篩を用いて、この順で篩分を行い、各篩上に残存した前記金属ヨウ化物粉粒体の残存量、全ての篩を通過した通過量を測定し、前記所定量に対する前記残存量または前記通過量の割合(質量%)を篩残分量または通過分量として算出する。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記袋の内部に封入される前記金属ヨウ化物粉粒体の重量が、15Kg以上50Kg以下である、包装体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記アルミラミネートフィルムが、少なくとも樹脂層およびアルミニウム層が、前記袋の内側からこの順番で積層した積層構造を備える、包装体。
【請求項9】
請求項8に記載の包装体であって、
前記樹脂層が、固結防止剤を含む、包装体。
【請求項10】
請求項8または9に記載の包装体であって、
前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、塩化ポリエチレン樹脂(SPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、およびナイロン(NY)からなる群から選ばれる一又は二以上を含む、包装体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記袋の厚みが、20μm以上500μm以下である、包装体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の包装体であって、
封入される前記金属ヨウ化物粉粒体の体積をV1とし、前記袋の内部空間の体積をV2としたとき、V1/V2が、0.4以上1.0未満である、包装体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の包装体と、前記包装体を収容する包装容器を備える、梱包箱。」
3 申立理由の概要
申立人が主張する申立理由は、次のとおりである。
(1) 申立理由1(実施可能要件)
本件特許は明細書の記載が下記ア、イの点で不備があり、請求項1~13に係る特許は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、請求項1~13に係る特許を取り消すべきものである。
ア 本件特許明細書は、ヨウ化カリウム以外の金属ヨウ化物粉粒体において、当業者が本件発明1~13を実施できるように十分かつ明確に記載されていない。
(特許異議申立書36~38ページの「a.ヨウ化カリウム粉末以外の金属ヨウ化物粉粒体」の項)
イ 本件特許明細書は、「製造直後のヨウ化カリウム粉末を除湿空気を導入した容器内で一時的に保管した後、・・・封入した」という課題の解決手段が反映されていない発明を実施できるように十分かつ明確に記載されたものでないから、本件特許明細書の記載は、実施可能要件が欠如している。
(特許異議申立書38~40ページの「b.除湿空気を導入した容器内で一時的における保管」の項)
(2) 申立理由2(サポート要件)
本件特許は特許請求の範囲の記載が下記ア、イの点で不備があり、請求項1~13に係る特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、請求項1~13に係る特許を取り消すべきものである。
ア 本件特許明細書は、当業者がヨウ化カリウム以外の金属ヨウ化物粉粒体において、当業者が本件発明1~13を実施できるように十分かつ明確に記載されていないのであるから、ヨウ化カリウム以外の金属ヨウ化物粉粒体を含む範囲にまで、本件特許発明の範囲を拡張ないし一般化できるものでない。
(特許異議申立書36~38ページの「a.ヨウ化カリウム粉末以外の金属ヨウ化物粉粒体」の項)
イ 本件発明1~13には、「製造直後のヨウ化カリウム粉末を除湿空気を導入した容器内で一時的に保管した後、・・・封入した」という課題の解決手段が反映されていない。すなわち、本件特許発明の課題が解決できない範囲を含む本件発明1~13は、サポート要件が欠如している。
(特許異議申立書38~40ページの「b.除湿空気を導入した容器内で一時的における保管」の項)
(3) 申立理由3(進歩性)
本件発明1~13は、甲第1号証~甲第13号証(以下「甲1」~「甲13」という。)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項1~13に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~13に係る特許を取り消すべきものである。
(4) 証拠方法
甲1:特開2005-47764号公報
甲2:特開平9-156920号公報
甲3:「2020年版 17120の化学商品」、化学工業日報社、2020年1月28日、163、164、169ページ
甲4:近沢正敏、外2名、「ハロゲン化アルカリの吸湿過程のX線回折による検討」、日本化学会誌、社団法人日本化学会、昭和47年5月10日、No.5、874~879ページ
甲5:金沢孝文、「粉体の固結と防結(上)」、石膏と石灰、石膏石灰学会、昭和45年5月、No.106、29~34ページ
甲6:金沢孝文、「粉体の固結と防結(下)」、石膏と石灰、石膏石灰学会、昭和45年9月、No.108、57~61ページ
甲7:松岡敬一郎、「ヨウ素綜説」、霞ヶ関出版株式会社、昭和49年2月14日、74~81、102ページ
甲8:特開平5-345610号公報
甲9:住本充弘、「基礎編(5)包装技法」、日皮協ジャーナル、日本産業皮膚衛生協会、2018年8月1日、No.80、1~25ページ
甲10:特開平10-291584号公報
甲11:特開2004-210392号公報
甲12:特開2021-181318号公報
甲13:特開2004-217467号公報
4 当審の判断
(1) 本件特許明細書の記載
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のポリエチレン包装材に保管された後の金属ヨウ化物粉末において、取扱性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はさらに検討したところ、金属ヨウ化物粉粒体をアルミラミネートフィルムで構成された袋中で保管することにより、ポリエチレン袋と比べて、保管後の金属ヨウ化物粉粒体における取扱性が低下することを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。」
「【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
【0011】
本実施形態の包装体について説明する。
【0012】
本実施形態の包装体は、金属ヨウ化物粉粒体と、アルミラミネートフィルムで構成された袋と、を備え、金属ヨウ化物粉粒体が、袋の内部に封入されるように構成される。
【0013】
本実施形態の包装体で保管することにより、金属ヨウ化物粉粒体の取扱性の低下を抑制できる。このような包装体中の金属ヨウ化物粉粒体は、所定保管を経て開封した時においても流動性に優れるため、これを使用した製造プロセスにおける生産性を向上できる。
また、このような包装体は、比較的高温や高湿環境下における長期保管に優れており、また、赤道近傍が経路とする海外輸送にも好適である。
【0014】
<金属ヨウ化物粉粒体>
金属ヨウ化物粉粒体中の金属ヨウ化物は、例えば、アルカリ金属ヨウ化物および/またはアルカリ土類金属ヨウ化物を含み、具体的には、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム、およびヨウ化アルミニウムからなる群から選ばれるいずれかを含む。この中でも、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。
・・・
【0016】
金属ヨウ化物粉粒体の粉粒体とは、JISK0069、化学製品のふるい分け試験方法に準拠して測定される粒子径が1000μm以下の粉体(粉末)でもよく、粒子径が1000μm超えの粒体でもよい。
すなわち、金属ヨウ化物粉粒体は、粉体および/または粒体で構成されており、その一部または全部が粉体で構成されてもよい。具体的には、金属ヨウ化物粉粒体は、目開き1000μmの篩で篩分けしたときの篩通過分が、例えば、全体の80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上の粉体で構成される。
【0017】
金属ヨウ化物の粉体の製造方法の一例として、ヨウ化カリウム水溶液等の金属ヨウ化物水溶液を晶析缶の中で濃縮させ、金属ヨウ化物の結晶を析出させ、その後、その金属ヨウ化物の結晶を溶液から分離し、分離した金属ヨウ化物を乾燥する方法が挙げられる。
また、流動乾燥法を用いて金属ヨウ化物の粉体を得る方法も挙げられる。具体的には、噴霧流動造粒乾燥機を用いて金属ヨウ化物水溶液を乾燥造粒する噴霧流動造粒乾燥法が用いられる。噴霧流動造粒乾燥機中では、通常、金属ヨウ化物水溶液を適宜の方法で噴霧させ、熱風により水溶液中の水分を蒸発、排気させ、析出した金属ヨウ化物が粉粒状に造粒される。
熱風温度は、金属ヨウ化物水溶液に含まれる水などの溶媒の沸点以上であることが望ましく、例えば、100~280℃程度であればよく、望ましくは130~180℃である。
その後、必要に応じて、篩分けなどの分級、解砕・粉砕などを施してもよい。
以上により、粒子径が1000μm以下の金属ヨウ化物の粉体が得られる。
【0018】
金属ヨウ化物粉粒体は、粉粒体100質量%中、例えば、金属ヨウ化物の含有量が90質量%以上でもよく、好ましくは95質量%以上でもよく、99質量%以上でもよい。金属ヨウ化物粉粒体は、固結防止剤などの一般的な添加剤を含んでもよく、製造過程で混入する不可避の微量不純物を許容し得る。
【0019】
また、金属ヨウ化物の粉体を用いて、用途や溶解速度などに応じて、圧縮造粒方法、押出し造粒方法、転動造粒方法、及び攪拌造粒などの一般的な造粒方法を用いて、粒子径が1000μm超えの金属ヨウ化物の粒体を製造できる。
【0020】
包装体中に保管された金属ヨウ化物粉粒体の粉粒体特性について説明する。
【0021】
下記の手順Aに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体の安息角の上限は、例えば、31°以下、好ましくは30.8以下、より好ましくは30.5以下である。これにより、取扱性を向上できる。
なお、上記の金属ヨウ化物粉粒体の安息角の下限は、とくに限定されないが、例えば、25°以上、好ましくは25.5°以上、より好ましくは26°以上としてもよい。
【0022】
下記の手順Aに従って測定される、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体の崩潰角の上限は、例えば、20.0°以下、好ましくは19.5°以下、より好ましくは19°以下である。これにより、粉粒体の流動性を向上できる。
なお、上記の金属ヨウ化物粉粒体の崩潰角の下限は、とくに限定されないが、例えば、14°以上、好ましくは14.5以上、より好ましくは15°以上としてもよい。
・・・
【0031】
本実施形態では、たとえば包装体中の袋の構成や、袋中への金属ヨウ化物粉粒体の封入方法等を適切に選択することにより、上記金属ヨウ化物粉粒体の安息角、崩潰角、かため嵩密度、圧縮度、篩残分量、および含水率を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、封入前の金属ヨウ化物粉粒体を除湿環境中で保管すること、封入時の室内湿度を金属ヨウ化物種に応じて適切な値となるように低く調整すること、水蒸気透過率が比較的低いアルミラミネートフィルム製の袋を使用すること、また金属ヨウ化物粉粒体の粗大粒子をカットすること等が、上記金属ヨウ化物粉粒体の安息角、崩潰角、かため嵩密度、圧縮度、篩残分量、および含水率を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
とくに粒径5mm以上の粗大粒子を除外・分級することにより、金属ヨウ化物粉粒体の粒径バラツキを抑制でき、粉粒体特性などの品質を安定的に実現できる。
【0032】
本発明者の知見によれば、ヨウ化カリウムは、臨界相対湿度60%を超えると急激に吸湿性が増大することが判明した。このような知見から、封入時の室内湿度を、金属ヨウ化物の種類に応じて適切な臨界相対湿度以下に制御することに加え、水バリア性の高い袋を使用して、袋内部への水分の透過を抑制することによって、包装体中に保管された金属ヨウ化物粉粒体の粉粒体特性を所望の数値範囲とすることが可能になると、推察される。
【0033】
<袋>
図1は、本実施形態の包装体の構成の一例を示す模式図である。図1(a)は側面図、図1(b)は図1(a)のA-A矢視における断面図である。
包装体10は、金属ヨウ化物粉粒体2を内部に密閉収容する袋1を有する。袋1は、アルミラミネートフィルムで構成されるアルミ袋である。
【0034】
アルミラミネートフィルムは、アルミニウム層と樹脂層とが積層されたラミネートフィルムであり、少なくとも樹脂層およびアルミニウム層が、袋1の内側からこの順番で積層した積層構造を備えてもよい。なお、袋1は、アルミニウムや樹脂以外にも、ガスバリア性を高め、水蒸気透過率を低くする目的で、他の材料を含んでもよい。
【0035】
アルミラミネートフィルムのアルミニウム層としては、アルミニウムが含まれた層であればとくに限定されないが、例えば、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着層が用いられる。アルミニウム材としては、アルミニウムを含むものであればよく、例えば、純アルミニウムの他に、Al-Mn系、Al-Mg系、Al-Fe系のアルミニウム合金を用いることができる。
【0036】
アルミラミネートフィルムの樹脂層としては、ナイロン(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ポリエチレン樹脂(SPE)等の樹脂フィルムが挙げられる。これにより袋1のガスバリア性を向上できる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。袋1の最内層には、ヒートシール層として、熱溶融性に優れた樹脂層が設けられていることが好ましい。
【0037】
袋1は、アルミニウム層と樹脂層とが複数積層されていてもよい。袋1は、アルミニウム層の両面側に1層または2層以上の樹脂層が積層されるように構成され得る。袋1の積層数は、例えば、3層以上10層以下としてもよい。
【0038】
アルミニウム層と樹脂層とは、互いに公知の手法で接着され得るが、例えば、熱圧着または接着剤を用いて接着されていてもよい。接着剤としては、加熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤が用いられる。
【0039】
袋1中、アルミニウム層の内側および外側の樹脂層の少なくとも一方が、吸湿防止剤を含んでもよい。これにより、袋1に保管中の金属ヨウ化物粉粒体における粉粒体特性の低下を抑制できる。
吸湿防止剤として、公知のものを使用できるが、例えば、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カリウム、十酸化四リン、ゼオライト、シリカゲルなどが挙げられる。この中でも、酸化カルシウム、シリカゲルなどが好ましい。
【0040】
袋1の厚みは、特に限定されないが、20μm以上500μm以下であり、より好ましくは30μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは40μm以上200μm以下である。
上記下限値以上とすることで、袋1の機械的強度やガスバリア性を向上できる。上記上限値以下とすることで、袋1を箱に梱包しやすくなる。」
「【実施例】
・・・
【0050】
<金属ヨウ化物粉粒体を含む包装体の製造>
1.金属ヨウ化物粉粒体の製造
噴霧流動造粒乾燥機を用いて、ヨウ化カリウム水溶液を造粒乾燥して、ヨウ化カリウムの粉末を得た。噴霧流動造粒乾燥機から取り出した粉末を、4meshの篩を用いて粒径5mm以上の粗大粒子を除外するように分級し、金属ヨウ化物粉粒体であるヨウ化カリウム粉末を製造した。
なお、噴霧流動造粒乾燥機には、管理温度を130℃~175℃に設定した乾燥熱風を供給し、種晶としてのヨウ化カリウム微粉末を仕込まなかった。
以上により得られた分級後のヨウ化カリウム粉末の粒子径は、JISK0069、化学製品のふるい分け試験方法に準拠して測定したところ、1000μm以下であることが確認された。
【0051】
2.金属ヨウ化物粉粒体を袋に封入
(実施例1)
製造直後のヨウ化カリウム粉末を、除湿空気を導入した容器内で一時的に保管した後、室内温度22℃、室内湿度55%RH下、下記のアルミ袋(3方シール袋)に1kg入れ、袋内の空気を脱気しつつ、袋口をヒートシールして、封入した。これにより、実施例1の包装体を得た。
(実施例2)
湿度を30%RHとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の包装体を得た。
(実施例3)
温度を26℃、湿度を30%RHとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の包装体を得た
【0052】
(比較例1~3)
製造直後のヨウ化カリウム粉末を大気下で保管したこと、アルミ袋を下記のPET袋に変更した以外は、実施例1~3のそれぞれと同様にして、比較例1~3の包装体を得た。
【0053】
上記で使用した袋の詳細を、以下に示す。
・アルミ袋:3方シール袋、(PET(12μm)/Al(7μm)/LLDPE(70μm))、水蒸気透過率:0.05g/m2・day以下
・PET袋:3方シール袋、(PET(12μm)/ONY(15μm)/LLDPE(70μm))、水蒸気透過率:0.3g/m2・day
PETはポリエチレンテレフタラート、Alはアルミ箔、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、ONYは二軸延伸ナイロンの略称。
PET(ベース層)、Al(バリア層)、LLDPE(シーラント層)をこの順で積層したフィルムシートを準備し、2枚のフィルムシートを両者のシーラント層が内側となるように重ねた後、3方(横、底部)をドライラミネートおよびエージング処理を施して、上記のアルミ袋を得た。上記のPET袋も、アルミ袋と同様にして製造した。
なお、水蒸気透過率は、JIS K7129B(温度40℃、相対湿度90%RH)に準拠して測定した。
【0054】
【表1】
[図:0001432093000001.jpg]
・・・
【0056】
<保管>
各実施例および各比較例の包装体を、それぞれ、40℃、60%RHの恒温恒湿槽(エスペック社製、PR-2J)中で48時間保管した。
【0057】
<安息角、崩潰角>
上記の保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体を、室温(25℃)で、振幅1.5mm、動作時間170秒の条件で、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いた。
パウダーテスター(ホソカワミクロン社製、PT-X)を用いて、パウダーテスターに設置した水平板から、高さ7.5cmの位置に出口内径:8mmの漏斗を取付けた。
漏斗を介して、得られたサンプル粉末を、垂直方向から水平板の表面上に供給しつづけ、一定の形状を保つ円錐状の堆積物を形成した。円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを安息角(°)とした。
続いて、水平板に、パウダーテスターにより3回の衝撃を与えた。その後、円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを崩潰角(°)とした。
【0058】
<ゆるめ嵩密度、かため嵩密度、圧縮度>
上記の保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体を、室温(25℃)で、振幅1.5mm、動作時間30秒の条件で、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
得られたサンプル粉末を、高さ7cmから自然落下させ、100cm3の測定用カップの内部に投入し、カップから溢れ出るまで続けて、山盛りカップを準備した。
続いて、山盛りカップについて、タッピングせずに、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、ゆるめ嵩密度(g/cm3)を算出した。
一方、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製、PT-X)を用いて、山盛りカップについて、上下方向に180回の条件(ストローク長1.8cm、1秒/回)でタッピングした後で、カップの上面に溢れた分をすり切った後、カップに充填されたサンプル粉末の質量(g)を測定し、かため嵩密度(g/cm3)を算出した。
上記で求められたかため嵩密度(D1)、ゆるめ嵩密度(D2)を用いて、((D1-D2)/D2)×100に基づいて圧縮度を算出した。
【0059】
<粒度分布(篩残分量)>
上記の保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体の所定量(10g)を、室温(25℃)で、振幅1.5mm、動作時間600秒の条件で、目開き710μm篩、目開き355μm篩、および目開き250μm篩を用いて、室温(25℃)で、この順で篩分を行った。
各篩上に残存した金属ヨウ化物粉粒体の残存量(g)、全ての篩を通過した通過量(g)を測定し、所定量(初期値)に対する残存量や通過量の割合(質量%)を、篩残分量や通過分量として算出した。
【0060】
<含水率>
保管後の包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体について、カールフィッシャー水分計(平沼産業社製、KF水分計 AQV-2200AS)を用いて、含水率(ppm)を 測定した。
【0061】
<取扱性>
上記の保管直後における金属ヨウ化物粉粒体について、下記の評価規準に基づいて、取扱性を評価した。
〇:観察者が、袋を開封しない状態で、袋の外側から、袋内部にある金属ヨウ化物粉粒体の全体を手により触診した時、全体的に粉粒体の塊の存在を確認できなかった。
△:上記の触診時において、粉粒体の50体積%程度までが塊状となることを確認できた。
×:上記の触診時において、粉粒体の90~100体積%程度までが塊状となることを確認できた。
【0062】
<長期保管性>
封入するヨウ化カリウム粉末の重量を1kgから25kgに変更した以外、実施例1~3、比較例1~3と同様にして、実施例4~6、比較例4~6の包装体を製造した。
実施例4~6および比較例4~6の包装体を、ぞれぞれ、大気下で、封入後から3ヶ月長期保管した。
長期保管後の包装体から取り出したヨウ化カリウム粉末について評価した。その結果、実施例4~6では、粉末の流動性が高く、サラサラした状態であることを確認できたが、一方の比較例4~6では、1ヶ月半の時点から粉末が固結してしまい、3ヶ月時点で粉末の流動性が全く見られなかった。」
(2) 上記3(1)の申立理由1及び上記3(2)の申立理由2について
ア 上記3(1)申立理由1のア及び上記3(2)申立理由2のアについて
(ア) 本件特許明細書には、ヨウ化カリウムを含む金属ヨウ化物(【0014】)について、金属ヨウ化物の粉粒体の製造方法(【0017】~【0019】)、粉粒体を封入する袋(【0033】~【0040】)、袋への粉粒体の封入方法(【0031】~【0032】)が記載され、さらに、安息角や含水率等を測定する装置と方法(【0057】~【0060】)も記載されている。
そして、ヨウ化カリウムの場合を具体例として、粉粒体の製造(【0050】)、袋への封入(【0051】~【0053】)を行い、取扱性と長期保管性を評価(【0061】~【0062】)している。
当業者であれば、ヨウ化カリウム以外の金属ヨウ化物についても、ヨウ化カリウムに係る具体例を基点に、本件特許明細書の、金属ヨウ化物の粉粒体の製造方法、粉粒体を封入する袋、及び、袋への粉粒体の封入方法についての各記載を参考に包装体を製造することができ、測定装置と測定方法に基づき、本件発明の包装体に相当するものか確認できるから、本件発明を実施できるものといえる。
(イ) 申立人は、甲7を提出し、金属ヨウ化物粉粒体によっては、潮解性(LiI、SrI2)や風解性(NaI)を示すもの、空気中で発煙するもの(AlI3)があり、金属ヨウ化物粉粒体の空気中の水分(湿気)に対する化学的性質が異なるにもかかわらず、本件特許明細書には、ヨウ化カリウム以外の金属ヨウ化物粉粒体について、「手順Aに従って測定された安息角を30.8°以下にする」ための具体的記載はなく、実施ができない旨主張する。
しかし、本件特許明細書のヨウ化カリウムの具体例では、製造直後の粉粒体を、除湿空気を導入した容器内で保管した後、ヨウ化カリウムの臨界相対湿度(60%)以下である55%RHの下で、アルミ袋に空気を脱気しつつ封入した旨記載されており(【0051】)、同様の方法により包装体に封入した金属ヨウ化物粉粒体は、潮解や風解、あるいは発煙等を引き起こすまでの水分(湿気)を含有しないはずである。当業者であれば、「手順Aに従って測定された安息角を30.8°以下にする」ことが可能であり、申立人の上記主張は採用できない。
(ウ) そして、上記(ア)で述べたように、本件特許明細書の記載によりヨウ化カリウム以外の金属ヨウ化物について本件発明を実施することができるものであるから、ヨウ化カリウム以外の金属ヨウ化物粉粒体を含む本件発明の範囲まで拡張ないし一般化できるといえる。
(エ) 以上より、上記3(1)申立理由1のア及び上記3(2)申立理由2のアはいずれも理由がない。
イ 上記3(1)申立理由1のイ及び上記3(2)申立理由2のイについて
(ア) 本件発明の解決しようとする課題は、包装体に封入されて保管された後の金属ヨウ化物粉末について、取扱性を改善すること(本件特許明細書の【0004】)である。
(イ) 本件特許明細書には、本件発明1の構成を備える実施例1~3の包装体について、「40℃、60%RHの恒温恒湿槽(エスペック社製、PR-2J)中で48時間保管した」(【0056】)後に、包装体から取り出した金属ヨウ化物粉粒体が、「〇:観察者が、袋を開封しない状態で、袋の外側から、袋内部にある金属ヨウ化物粉粒体の全体を手により触診した時、全体的に粉粒体の塊の存在を確認できなかった。」(【0061】)との取扱性の評価が得られること、また、本件発明1の構成を備える包装体を「大気下で、封入後から3ヶ月長期保管した」場合であっても、「粉末の流動性が高く、サラサラした状態である」(【0062】)との長期保管性の評価が得られることが、それぞれ記載されている。
他方、「アルミラミネートフィルムで構成された袋」に封入されておらず、「手順Aに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の安息角が、30.8°以下」を満たさない比較例1~3は、上記取扱性について「×:上記の触診時において、粉粒体の90~100体積%程度までが塊状となることを確認できた。」との評価であり、上記長期保管性について「1ヶ月半の時点から粉末が固結してしまい、3ヶ月時点で粉末の流動性が全く見られなかった。」との評価であることからみて、当業者は、「アルミラミネートフィルムで構成された袋」とすること、「手順Aに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の安息角が、30.8°以下」の金属ヨウ化物粉粒体が袋の内部に封入された包装袋であることが、上記(ア)の課題を解決する手段であると認識するといえる。
そして、本件発明1は、上記(ア)の課題を解決する手段を更に限定したものであるから、発明の詳細な説明の記載により当業者が本件課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。
(ウ) 申立人は、本件発明に、「製造直後のヨウ化カリウム粉末を「除湿空気を導入した容器内で一時的に保管した後、・・・封入した」という課題の解決手段が反映されていない旨主張する。
しかし、上記(イ)で述べたとおり、「金属ヨウ化物粉粒体の安息角が、30.8°以下」を満たすものが、本件発明の課題を解決すると認識できるところ、本件特許明細書には、「金属ヨウ化物粉粒体の安息角、崩潰角、かため嵩密度、圧縮度、篩残分量、および含水率を制御する」手法として、「たとえば、封入前の金属ヨウ化物粉粒体を除湿環境中で保管すること、封入時の室内湿度を金属ヨウ化物種に応じて適切な値となるように低く調整すること、水蒸気透過率が比較的低いアルミラミネートフィルム製の袋を使用すること、また金属ヨウ化物粉粒体の粗大粒子をカットすること等」(【0031】)が挙げられており、本件発明1は「除湿空気を導入した容器内で一時的に保管した後、・・・封入した」ものであるか否かに関わらない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
(エ) そして、上記(ウ)で述べたように、本件特許明細書には、「金属ヨウ化物粉粒体の安息角が、30.8°以下」を満たすものとするため、「金属ヨウ化物粉粒体の安息角、崩潰角、かため嵩密度、圧縮度、篩残分量、および含水率を制御する」手法が記載されているから、本件特許明細書は、「除湿空気を導入した容器内で一時的に保管した後、・・・封入した」ものでない発明についても当該発明を実施できるように十分かつ明確に記載されたものであるといえる。
(オ) 以上より、上記3(1)申立理由1のイ及び上記3(2)申立理由2のイはいずれも理由がない。
ウ 小括
上記ア及びイから、上記3(1)の申立理由1及び上記3(2)の申立理由2はいずれも理由がない。
(3) 上記3(3)の申立理由3について
ア 甲1には、流動層噴霧造粒乾燥機で金属ヨウ化物の水溶液から造粒して粒状金属ヨウ化物を製造すること、分級後の製品グレードを空気輸送し、φ1mm篩を通過したものを製品グレードとして、これを製品工程で袋詰したこと(【0084】~【0085】)が記載され、粒状金属ヨウ化カリウムを製造した場合、流動層噴霧造粒乾燥機から得られた粒状金属ヨウ化カリウムは、水分0.2質量%以下、粒径250~1,000μmのものであり、安息角43.5°であること(【0089】~【0090】)が記載されている。
すると、甲1には、次の「甲1発明」が記載されているといえる。
「流動層噴霧造粒乾燥機で金属ヨウ化物の水溶液から造粒した粒状金属ヨウ化物について、分級後の製品グレードを空気輸送し、φ1mm篩を通過したものを製品グレードとして、これを製品工程で袋詰したものであって、
粒状金属ヨウ化カリウムを製造した場合、流動層噴霧造粒乾燥機で造粒して得られた粒状金属ヨウ化カリウムは、水分0.2質量%以下、粒径250~1,000μmのものであり、安息角43.5°である、袋詰。」
イ 本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「粒状金属ヨウ化物」は本件発明1の「金属ヨウ化物粉粒体」に相当し、甲1発明の「粒状金属ヨウ化物」が「流動層噴霧造粒乾燥機で金属ヨウ化物の水溶液から造粒した」ものであることは、本件発明1の「金属ヨウ化物粉粒体に含まれる金属ヨウ化物の含有量が全体の90質量%以上であ」ることに相当する。
また、甲1発明の「流動層噴霧造粒乾燥機で金属ヨウ化物の水溶液から造粒した粒状金属ヨウ化物について、分級後の製品グレードを空気輸送し、φ1mm篩を通過したもの」は、本件発明1の「目開き1000μmの篩で篩分けしたときの前記金属ヨウ化物粉粒体の篩通過分が、全体の80重量%以上であ」ることに相当し、甲1発明の「袋詰」は本件発明1の「包装体」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
「袋と、前記袋の内部に封入されている、金属ヨウ化物粉粒体と、を備え、
前記金属ヨウ化物粉粒体に含まれる金属ヨウ化物の含有量が全体の90質量%以上であり、
目開き1000μmの篩で篩分けしたときの前記金属ヨウ化物粉粒体の篩通過分が、全体の80重量%以上である、包装体。」で一致し、次の相違点で相違する。
<相違点1>
本件発明1の袋が「アルミラミネートフィルムで構成され」ているのに対し、甲1発明の袋は、そうであるか特定されていない点。
<相違点2>
本件発明1が、「下記の手順Aに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の安息角が、30.8°以下であり、
下記の手順Dに従って測定される、前記金属ヨウ化物粉粒体の含水率が、30ppm以下である、
包装体。
(手順A)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体を、目開き710μmの篩に掛け、通過分をサンプル粉末として用いる。
パウダーテスターに設置した水平板から、高さ7.5cmの位置に出口内径:8mmの漏斗を取付ける。
漏斗を介して、得られたサンプル粉末を、垂直方向から水平板の表面上に供給しつづけ、一定の形状を保つ円錐状の堆積物を形成する。
円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを安息角(°)とする。
続いて、水平板に、パウダーテスターにより3回の衝撃を与える。その後、円錐状の堆積物の側面と水平板の表面とがなす仰角を求め、これを崩潰角(°)とする。
(手順D)
当該包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管する。
保管後の包装体から取り出した前記金属ヨウ化物粉粒体について、カールフィッシャー水分計を用いて、含水率を測定する。」のに対し、
甲1発明は、「流動層噴霧造粒乾燥機で造粒して得られた粒状金属ヨウ化カリウム」について、水分0.2質量%以下、安息角43.5°である点。
ウ 事案に鑑み、上記相違点2から検討する。
本件発明1の「(手順A)」と「(手順D)」は、いずれも、包装体を、40℃、60%RHの恒温恒湿槽中で48時間保管した後、安息角と含水率を測定するもので、「比較的高温や高湿環境下における長期保管」、「赤道近傍が経路とする海外輸送」(本件特許明細書の【0013】)を想定したものと理解される。
一方、甲1発明は、水分と安息角を測定するものであるものの、「流動層噴霧造粒乾燥機で造粒して得られた粒状金属ヨウ化カリウム」についてであり、袋詰めされ、本件発明1の「(手順A)」と「(手順D)」のように、高温高湿度下で保管した後に、安息角と含水率を測定するものではない。
通常、流動層噴霧造粒乾燥機で造粒された直後の粒状金属ヨウ化カリウムの安息角よりも、高温高湿度下で保管した後、袋から取り出した粒状金属ヨウ化カリウムの安息角は増加するはずであるところ、甲1発明の「流動層噴霧造粒乾燥機で造粒して得られた粒状金属ヨウ化カリウム」の安息角は「43.5°」であり、高温高湿度下で保管する「(手順A)」を経た後、「30.8°以下」を満たさないことは明らかである。
甲1において、高温高湿度下で保管した後の安息角を「30.8°以下」とする動機付けがなく、甲2~甲13にも、その動機付けについて記載も示唆もされていない。
そのため、本件発明1の相違点2に係る構成は、甲1発明及び甲2~甲13に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
エ よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲13に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ 本件発明2~13について
本件発明2~13は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるところ、上記エで述べたように、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲13に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2~13も、甲1発明及び甲2~甲13に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
カ 進歩性についてのまとめ
以上より、上記3(3)の申立理由3には理由がない。
5 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700867