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特許異議申立

2023-701392

容器

審判番号
2023-701392
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-115547
登録番号
7305853
請求日
2023年12月27日
審決日
2026年03月26日
公報発行日
2026年06月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社マーナ
  • 【権利者代理人】藤本 英介
  • 【権利者代理人】神田 正義
  • 【権利者代理人】宮尾 明茂
  • 【権利者代理人】馬場 信幸
  • 【異議申立人】黒田 泰
審判長/審判官
  • 審判長 神山 茂樹
  • 審判官 田口 傑
  • 審判官 大野 明良
分類
P1651.121-YAA(B65D) / P1651.537-YAA(B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7305853号発明「容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7305853号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第7305853号の請求項1、2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7305853号(以下「本件特許」という。)の請求項1、2に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)9月18日(優先権主張 令和元年9月18日)を国際出願日とする特願2021-546982号の一部を、令和4年2月8日に新たな特許出願(特願2022-18122号)とし、その一部を令和4年7月20日に新たな特許出願としたものであって、令和5年6月30日に特許権の設定登録がされ、令和5年7月10日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 5年12月27日 :特許異議申立人黒田泰(以下「申立人」という。)による請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 6年 3月26日付け:取消理由通知書 令和 6年 5月28日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 6年 7月 5日 :申立人による意見書の提出 令和 7年 4月 1日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和 7年 6月 6日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 7年 7月25日 :申立人による意見書の提出 なお、令和6年5月28日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 令和7年6月6日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである。なお、下線部は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「調味料を収納可能であって平面視で基端側及び先端側を短辺とする略長方形状の容器本体」とあるのを、「調味料を収納可能であって平面視で基端側及び先端側を短辺とする略長方形状であり、側面視で上端が平坦な容器本体」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、「前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、押し下げ部が前記把手の上方に位置し、閉蓋状態で前記押し下げ部を下方に操作すると、前記蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋するレバーと、を備えたことを特徴とする容器。」とあるのを、「前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、前記把手の上方に位置する押し下げ部、及び、前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有するレバーと、を備え、 前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されており、 閉蓋状態で前記レバーの押し下げ部を下方に操作すると、前記レバーの押し上げ部が前記蓋体の基端側を押し上げることにより前記閉蓋状態が解除され、前記弾性片の弾発力により、前記蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋することを特徴とする容器。」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。) (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に、「前記容器本体及び蓋体の枢着部分に設置されて閉蓋状態で弾性変形する弾性片と、」とあるのを、「前記容器本体及び蓋体の枢着部分に設置されて、閉蓋状態で弾性変形する弾性片と、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。) (4)一群の請求項 本件訂正前の請求項2は請求項1を引用するものであるから、訂正後の請求項〔1、2〕は、一群の請求項である。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1の「容器本体」について、上端の形状について「側面視で上端が平坦な」ものと限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0029】の「図3~図4に示すように、密閉容器において、食品や砂糖、塩などの粉粒状の調味料を収納する合成樹脂製の容器本体10は、筒壁12の下端に底壁13を連設した有底筒形状で、平面視では基端側及び先端側を短辺とする略長方形状となっている。」との記載、段落【0032】の「図1~図4に示すように、合成樹脂製の蓋体20は容器本体10の上端に乗載する平板形状」との記載、及び、【図1】~【図4】に図示される密閉容器の容器本体10の上端が、側面視で平坦な態様を呈することから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてするものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項1の「レバー」について、「前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有する」ものと限定し、「前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されており」と限定するとともに、 請求項1の「レバー」の動作について、「閉蓋状態で前記押し下げ部を下方に操作すると、蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋する」という動作であったのを、「閉蓋状態で前記レバーの押し下げ部を下方に操作すると、前記レバーの押し上げ部が前記蓋体の基端側を押し上げることにより前記閉蓋状態が解除され、前記弾性片の弾発力により、前記蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋する」という動作に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0037】~【0040】の記載に基づくとともに、【図1】~【図5】に図示される密閉容器が、把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、把手の上方に位置する押し下げ部、及び、前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有するレバーと、を備え、レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されている態様を呈することから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてするものである。 また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、請求項1の「弾性片」を特定する「設置されて」と「弾性変形する」の両者を読点で分けることによって、「弾性片」の態様を明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項3は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3.本件訂正請求についてのまとめ したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。よって、本件訂正後の請求項〔1、2〕について訂正を認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1、2に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 調味料を収納可能であって平面視で基端側及び先端側を短辺とする略長方形状であり、側面視で上端が平坦な容器本体と、 前記容器本体の先端に、前記容器本体の上部開口を開閉自在に枢着される蓋体と、 前記蓋体に設けられ、閉蓋状態で前記容器本体に密接する弾性部材と、 前記容器本体及び蓋体の枢着部分に設置されて、閉蓋状態で弾性変形する弾性片と、 前記容器本体の基端側側面に上部が一体設され、下部が前記容器本体と離隔しかつ前記容器本体の底壁と同様位置まで延びた把手と、 前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、前記把手の上方に位置する押し下げ部、及び、前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有するレバーと、を備え、 前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されており、 閉蓋状態で前記レバーの押し下げ部を下方に操作すると、前記レバーの押し上げ部が前記蓋体の基端側を押し上げることにより前記閉蓋状態が解除され、前記弾性片の弾発力により、前記蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋することを特徴とする容器。 【請求項2】 前記レバーの押し下げ部を下方に操作して開蓋させる際に、前記弾性片が屈曲形状から弾性復帰する弾発力により前記蓋体の開蓋動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の容器。」 第4 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由について (進歩性)本件特許の請求項1、2に係る発明は、本願の出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <証拠一覧> 甲第1号証:特開2013-74963号公報 甲第2号証:特開2004-244111号公報 甲第6号証:意匠登録第1307611号公報 甲第7号証:意匠登録第1553051号公報 甲第8号証:意匠登録第1300845号公報 以下、甲第1号証を甲1という。他の証拠についても同様である。 第5 当審の判断 当審合議体は、上記取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由によっては、本件発明1、2に係る特許は取り消されるべきものではないと判断する。 1.証拠の記載等 (1)甲1 ア 甲1には次の事項が記載されている(下線は当審で付した。「・・・」は省略を示す。以下同様。)。 (ア)特許請求の範囲 「【請求項1】 冷蔵庫内に収納可能な収納容器において、第一収容容器と当該第一収容容器の開口を密閉可能な蓋部材とを備え、 当該蓋部材は、前記第一収容容器を封止せず、かつ当該蓋部材の開口部を上向きにした状態で、第二収容容器として使用可能であり、 前記第一収容容器の開口部分の開口面積および前記蓋部材の開口部の開口面積よりも、第二収容容器の底面積を小さくしたことを特徴とする収納容器。」 「【請求項4】 請求項1に記載の収納容器において、 前記蓋部材と、前記第一収容容器の短手方向側面にヒンジ部を有することを特徴とする収納容器。」 「【請求項6】 請求項1に記載の収納容器において、 前記第一収容容器の短手方向側面に取っ手部を有し、 当該取っ手上部に前記蓋部材を開放させるための回転ヒンジ部を備えることを特徴とする収納容器。」 (イ)発明の詳細な説明 a「【技術分野】 【0001】 本発明は、冷蔵庫内において種々の食品や調味料容器等を効率的に収納するための蓋付き収納容器に関する。 【背景技術】 【0002】 容器本体と、その開口を密閉する蓋とからなる収納容器は、食品等の乾燥を防止したり、雑菌の混入や臭いの出入を防止したりすることができる。このことから、近年では多くの家庭で蓋付きの収納容器が用いられている。 このような蓋付き収納容器に関しては、使い勝手等を考慮した様々な検討がなされている。」 b「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 従来の蓋付き収納容器においては、上述の通り、容器の開口を封止する目的で蓋部が用いられていた。 しかしながら、乾燥を防ぐ必要のない食品やボトル等に収容された調味料等を収納する場合には、収納容器を厳重に密閉する必要はない。また、食品の種類により乾燥を嫌う程度が異なる。 このような場合においても一律に容器を密閉して収納することは、利便性や収納効率の面であまり好ましくない。また乾燥を防ぐことが不要な場合に、蓋を異なる場所に保管してしまうことで、蓋を紛失してしまう可能性もある。 【0006】 そこで本願発明の目的とするところは、食品の性質や利用者の収納目的に応じた使い勝手の良い蓋付き収納容器を提供することにある。」 c「【0010】 以下、本実施形態に係る収納容器について、図1ないし図10を参照して説明する。 (第1実施形態) 第1の実施形態に係る収納容器について、図1、2を参照して以下説明する。 【0011】 図1(a)~(f)は本実施例における蓋付き収納容器外観および断面を示すものであり、それぞれ、(a)本実施例の実施形態例である収納容器左側面図、(b)本実施例の実施形態例である収納容器上面図、(c)本実施例の実施形態例である収納容器背面図、(d)本実施例の実施形態例である収納容器底面図、(e)本実施例の実施形態例である収納容器正面図、(f)本実施例の実施形態例である収納容器A-A断面図である。ここで右側面は図1(a)と同様のため、省略している。 ・・・ 【0013】 図1(a)に示すように、第1実施形態に係る収納容器は、食材などを収容できる下容器102と、当該下容器102の開口部を密閉する蓋部材101より構成されている。 この下容器102や蓋部材101はポリスチレンの様なプラスチック素材などの内容物が可視化できるような透視部材より形成されている。 【0014】 この下容器102は矩形形状であり、奥行き寸法(短手方向)よりも高さ寸法が大きく、この高さ寸法よりも横幅寸法(長手方向)の方が大きく形成されている。 当該収納容器の高さは、ドレッシングボトルや350ml缶などが収納できる高さであり、一般的な冷蔵庫の棚に収納可能な高さである。しかしながら、収納容器の高さは、例えばペットボトルが収納できる高さであっても良いし、それ以上もしくはそれ以下の高さであっても良いことは云うまでも無い。 【0015】 下容器の短手方向側面には、冷蔵庫内への収納容器の収容、取り出しが容易となるように取っ手105が形成されている。 蓋部材101は下容器102の開口部を覆う様に嵌合するよう構成され、下容器102の取っ手105と干渉しないように、凹部106が形成されている。 蓋部材101の開口部面積は、下容器102の開口部面積よりも大きく構成され、下容器102の開口部を覆う様に嵌合する嵌合部107を有している。このように構成することで、下容器101を密閉することが可能となる。」 d「【0025】 ・・・ (第3実施形態) 図4は第3の実施形態に係る収納容器の外観及び断面を示す図であり、・・・(i)蓋部材を開放させる際の拡大部分Qの詳細を示す図。である。 ・・・ ここで第1および第2の実施形態と同一の説明、符号の説明等は省略する。 【0026】 本実施例における収納容器の特徴は、この収納容器が、蓋部材101の開放機構を有する点である。 この開放機構について説明する。下容器102の取っ手105側の短手側面とは反対側の短手側面にヒンジ部404が設けられており、当該ヒンジ部404にはバネ403が設けられている。 当該バネ403が蓋部材101の保持部に接続されており、このバネ力によりヒンジ部404を支点として、蓋部材101が回転することで下容器102から蓋部材101が開放されることになる。 ・・・ 【0027】 しかし、これに限らず、図4(i)Q部拡大図において示す様に、開放スイッチの押下による反動で持ち上げられた蓋部材がバネ力により開放する様に構成しても良い。この際、蓋の自重により蓋を閉じる様に構成するために、蓋を開放するためのバネ力を、蓋を閉じるための自重による力よりも小さくする必要がある。 【0028】 この開放スイッチ401を取っ手105に設けることで、取っ手105を利用者が把持した状態で蓋部材101の開放が出来るため、使い勝手か良好となる。」 e「【図1a-e】 [図:0001436130000001.jpg] 【図1f】 [図:0001436130000002.jpg] 」 f「【図4h】 [図:0001436130000003.jpg] 【図4i】 [図:0001436130000004.jpg] 」 イ 甲1の上記記載事項から、次のことが理解できる。 収納容器は、食材などを収容できる下容器102と、当該下容器102の開口部を密閉する蓋部材101より構成されていること。(【0013】) 下容器102は矩形形状であり、下容器の短手方向側面には、冷蔵庫内への収納容器の収容、取り出しが容易となるように取っ手105が形成されていること。(【0014】、【0015】) 蓋部材101は、下容器102の開口部を覆う様に嵌合する嵌合部107を有し、下容器102を密閉することが可能であること。(【0015】) 収納容器は、蓋部材101の開放機構を有し、この開放機構は、下容器102の取っ手105側の短手側面とは反対側の短手側面にヒンジ部404が設けられており、当該ヒンジ部404にはバネ403が設けられていること。(【0026】) 当該バネ403のバネ力によりヒンジ部404を支点として、蓋部材101が回転することで下容器102から蓋部材101が開放されること。(【0026】) 開放スイッチ401を取っ手105に設け、開放スイッチ401の押下による反動で持ち上げられた蓋部材がバネ力により開放することにより、取っ手105を利用者が把持した状態で蓋部材101の開放が出来、使い勝手が良好となること。(【0027】、【0028】) ウ 以上より、甲1には次の「甲1発明」が記載されていると認められる。 「食材などを収容できる下容器と、当該下容器の開口部を密閉する蓋部材より構成される収納容器であって、 下容器は矩形形状であり、下容器の短手方向側面には、冷蔵庫内への収納容器の収容、取り出しが容易となるように取っ手が形成され、 蓋部材は、下容器の開口部を覆う様に嵌合する嵌合部を有し、下容器を密閉することが可能であり、 収納容器は、蓋部材の開放機構を有し、この開放機構は、下容器の取っ手側の短手側面とは反対側の短手側面にヒンジ部が設けられており、当該ヒンジ部にはバネが設けられ、当該バネのバネ力によりヒンジ部を支点として、蓋部材が回転することで下容器から蓋部材が開放され、 開放スイッチが取っ手に設けられ、開放スイッチの押下による反動で持ち上げられた蓋部材がバネ力により開放することにより、取っ手を利用者が把持した状態で蓋部材の開放が出来、使い勝手が良好である、収納容器。」 (2)甲2 ア 甲2には次の事項が記載されている。 「【請求項1】 容器であって、 容器本体と、 該容器本体の蓋を有し、前記本体はリムを備え、該リムは前記本体の内部に開口した口を構成し、 前記蓋を、前記口の上に位置し、これを閉鎖する閉鎖位置と、前記口から遠ざかるように外方に回動された開放位置との間で回動させることができるように、前記本体及び前記蓋に且つこれらの間に係合する回動手段とを有し、 前記蓋は、底面、及び、前記蓋と前記本体との間に位置決めされたエラストマー部材を有し、該エラストマー部材は全体的に平らなシール部分を有し、該シール部分は、前記蓋の底面に取り付けられ、前記閉鎖位置においては、前記リムと同延であり、該リムに係合し、前記エラストマー部材は、前記シール部分と一体であり、前記シール部分の外方に延びるばね部分を更に有し、前記ばね部分は、前記シール部分から遠くにあり、前記回動手段に隣接して前記容器本体に係合された外側部分を有し、前記ばね部分は、前記蓋の前記閉鎖位置において、圧縮され、前記蓋を前記開放位置に付勢する付勢力を及ぼし、 前記蓋と前記容器本体との間に係合された、前記ばね部分の付勢力に抗して前記蓋を前記閉鎖位置に解放自在に保持するラッチ手段を有する、 容器。」 「【0016】 容器本体12上での蓋14のその閉鎖位置への保持は、ラッチ組立体によって行われ、このラッチ組立体は、前壁16の中央で本体フランジ44に設けられた保持スロット又はキーパ50及び蓋14と一体のばね押しの手動で解除可能なラッチ52を有している。ラッチ52は、互いに反対側の突出ピン54により蓋スカート40と一体であり、本体のキーパ開口部50の各側部に整列するよう蓋スカート40から僅かに横方向内方に延びる対向した壁セグメント56に回動自在に取り付けられた押しボタンの形態をしている。ラッチ及びキーパ組立体に対応するため、本体の周辺フランジ44は、側壁に沿ってフランジ44の延長部よりも長い長さにわたり本体前壁の前方に延びることは注目されよう。これと同様に、蓋の前方部分及びこれに設けられたスカートも又、本体リム22の前方でラッチ組立体を受け入れるよう前方に延びている。 【0017】 ラッチ52は、ピボットピン54の軸線と全体として整列した細長い垂下したラッチステム58を有し、このラッチステム58は、前方又は外方に向いたフック下端部を含み、このフック下端部は、蓋の閉鎖ラッチ止め位置では、キーパ開口部50のすぐ前の本体フランジ44の前方に突き出た部分の下面によって構成されている後方に向いた肩60の下に係合する。1対の案内パネル58′は、案内ガセット46と協働して蓋14を位置決めし、かくしてカバーの変形を最小限に抑えるようになっている。ラッチステムは、ラッチステムの前方に設けられていて、ラッチステム58の前方に設けられた横方向当接部64と係合する一体のばねバー62によって弾性的に付勢されてこの位置に保持される。ばねバー62は、固有の程度の撓みレジリエンスを有し、ラッチ52のボタンのように前方に向いた外部を内方に押すと、ばねバーは、撓んでラッチの内方運動に順応してラッチステムをキーパ肩60との引っ掛け状態の係合から自由にするようになっている。この運動及びばねバー62の撓みに対応するため、ばねバー62とラッチ52の圧力受止め外側シェルとの間に僅かな空間66が設けられている。ラッチ52の実際の運動は、ピボットピン54を中心とする揺動又は回動運動であることは注目されよう。ラッチ52の再係合は、蓋14を閉じると自動的に行われ、ラッチステム58の下方フック部分のカム作用面68は、キーパ開口部52の前方縁部に乗っかる。最後に、一体のシールド70がキーパ開口部50の前方に本体フランジ44から垂下していて、ラッチステムのフック部分を隠すと共にその偶発的な解除を阻止するようその各側まで延びている。 【0018】 適当なエラストマー材料、例えばシリコーンで作られた単一又は一体シート又はパネル部材80を特徴的に利用するシールと蓋開放ばねの組合せが提供されている。この部材80は、特に図7及び図8を参照すると、実質的に平らであり、2つの部分、即ちシール又はシール部分82及びばね又はばね部分84で形成されている。シール82は、容器本体リム22の形状に一致していて、内周縁部86及び外周縁部88を含む全体として平らなループストリップの性状をしている。シールストリップは、本体リム22よりも比較的幅が広く、このシールストリップは、その外周部88に向かって、下方にオフセットしたシール受座90を有し、このシール受座90は、部材80を取り付け、蓋を閉鎖すると、リム22によるシール受座90の圧縮及び容器本体の口の確実な密封が得られるようリム22上でこれと直接整列する。シール受座90の下方オフセットにより形成されたシール82の反対側の表面の僅かな窪み92が、完全且つ確実な密封作用を保証するよう受座の可撓性を高める。加うるに、シールの周りの連続した窪み92は、シール受座90の圧縮時、蓋の下面へのシールのより確実な着座を可能にすることになる。 【0019】 エラストマー部材80のばね又はばね部分84は、容器本体の後壁に対応するシール82の部分の全体として同一平面上に位置する延長部である。・・・ 【0020】 エラストマー部材80は、ばね84よりも幅が狭く、ばね84と整列した状態でシールの内周縁部86から延びる一体の取付け又は繋留舌部98によって完全なものとされる。・・・繋留舌部98には複数の、好ましくは3つの受け口100が設けられており、この受け口は、下方にオフセットしたシール受座90から部材80の反対側の側部に向かって開口している。 【0021】 エラストマー部材80を蓋14上に位置決めするため、蓋の底面は、位置決めリブ102と保持突出部104の両方を備えている。・・・ 【0022】 ・・・一連の繋留スタブ108が、リブ106に隣接して間隔を置いた関係をなし、且つ繋留舌部の受け口100に受入れ可能に数が受け口100に一致した状態で形成されている。」 「【0025】 ・・・蓋14を、容器本体のリム22がシール受座90と密着するそのラッチ止め位置に閉じると、ばね84は、仕切られたポケット26の上方に且つ蓋スカート40とリム22の真下の本体の壁との間に構成された室42内にぴったりと折り畳み状態で納まる。この作用により、ばねの更に且つ相当大きな弾性圧縮が生じ、これにより、ラッチ機構によってのみ保持される相当大きな付勢力が得られる。かくして、ラッチ機構を解除すると、蓋は、非常に圧縮された状態のばねの作用により、迅速にその完全開放位置に動き、そしてエラストマー部材の当初の取付けにより得られる依然として圧縮状態のばねの残りの付勢力によってこの中に保持されることになる。・・・」 「【図4】、【図5】 [図:0001436130000005.jpg] 」 「【図6】、【図7】 [図:0001436130000006.jpg] 」 イ 甲2の上記記載事項から、次のことが理解できる。 容器本体12上での蓋14のその閉鎖位置への保持は、ラッチ組立体によって行われ、このラッチ組立体は、前壁16の中央で本体フランジ44に設けられた保持スロット又はキーパ50及び蓋14と一体のばね押しの手動で解除可能なラッチ52を有していること。(【0016】) ウ 以上より、甲2には次の「甲2記載事項3」が記載されていると認められる。 「ラッチ52は蓋に設けられていること。」 (3)周知技術 ア 甲6には、「調味料入れ」(【意匠に係る物品】)に関し、次の図面が記載されている。 「【参考斜視図】 [図:0001436130000007.jpg] ・・・ 【A-A断面図】 [図:0001436130000008.jpg] 【蓋を開けた状態を示す参考図】 [図:0001436130000009.jpg] 」 イ 甲7には、「調味料用容器」(【意匠に係る物品】)に関し、次の図面が記載されている。 「【斜視図】 [図:0001436130000010.jpg] ・・・ 【B-B線断面図】 [図:0001436130000011.jpg] ・・・ 【開蓋状態を示す参考斜視図】 [図:0001436130000012.jpg] 」 ウ 甲8には、「調味料用容器」(【意匠に係る物品】)に関し、次の図面が記載されている。 「【A-A断面図】 [図:0001436130000013.jpg] 【D-D断面図】 [図:0001436130000014.jpg] 」 エ 上記ア~ウの記載事項に加え技術常識を考慮すると、以下の事項は、本件特許の出願(優先日)前に周知の技術(以下「調味料用容器の周知技術」という。)であると認められる。 「調味料を収納可能な容器において、容器本体の側面に把手の上部を一体に設けること。」 「把手の下部は、容器本体から離れ、かつ容器本体の底壁と同様位置まで延びること。」 「把手を手で把持しながら蓋を開けられること。」 2.本件発明1について (1)対比 ア 本件発明1と甲1発明を対比する。 甲1発明の「収納容器」、「下容器」、「蓋部材」、「取っ手」、「矩形形状」、「ヒンジ部」は、それぞれ、本件発明1の「容器」、「容器本体」、「蓋体」、「把手」、「略長方形状」、「枢着部分」に相当する。 甲1発明の「取っ手側の短手側面」、「反対側の短手側面」は、本件発明1が「前記容器本体の基端側側面に上部が一体設され、下部が前記容器本体と離隔しかつ前記容器本体の底壁と同様位置まで延びた把手」とあり、把手が設けられている側が「基端側」とされることから、本件発明1の「平面視で基端側」、「平面視」で「先端側」に、それぞれ相当する。 甲1発明の「食材などを収容できる」ことと、本件発明1の「調味料を収納可能であ」ることとは、「食品を収納可能であ」る限りで一致する。 甲1発明の「下容器の取っ手側の短手側面とは反対側の短手側面にヒンジ部が設けられ」ていることは、本件発明1の「前記容器本体の先端に、前記容器本体の上部開口を開閉自在に枢着される」ことに相当する。 甲1発明の「バネ」は、ヒンジ部に設けられており、「バネのバネ力によりヒンジ部を支点として、蓋部材が回転することで下容器から蓋部材が開放される」ことから、閉蓋状態で弾性変形していることが技術常識から明らかであり、本件発明1の「前記容器本体及び蓋体の枢着部分に設置されて、閉蓋状態で弾性変形する」「弾性片」に相当する。 甲1発明の「取っ手」が「下容器の短手方向側面」に形成されていることと、本件発明1の「把手」が「前記容器本体の基端側側面に上部が一体設され、下部が前記容器本体と離隔しかつ前記容器本体の底壁と同様位置まで延び」ていることとは、「容器本体の基端側側面に設けられ」ている限りで一致する。 甲1発明の「開放スイッチ」は、本件発明1の「レバー」に相当する。そして、甲1発明の「開放スイッチ」は、「取っ手に設けられ、開放スイッチの押下による反動で持ち上げられた蓋部材がバネ力により開放することにより、取っ手を利用者が把持した状態で蓋部材の開放が出来」るものであるから、甲1発明の「開放スイッチ」における「押下」する部分が本件発明1の「レバーの押し下げ部」に相当し、甲1発明の「開放スイッチ」における「蓋部材」を「持ち上げ」る部分が本件発明1の「レバーの押し上げ部」に相当するとともに、甲1発明の「開放スイッチ」が「蓋部材の開放」をする動作は、本件発明1の「閉蓋状態で前記レバーの押し下げ部を下方に操作すると、前記レバーの押し上げ部が前記蓋体の基端側を押し上げることにより前記閉蓋状態が解除され、前記弾性片の弾発力により、前記蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋する」動作に相当する。 イ そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「食品を収納可能であって平面視で基端側及び先端側を短辺とする略長方形状の容器本体と、 前記容器本体の先端に、前記容器本体の上部開口を開閉自在に枢着される蓋体と、 前記容器本体及び蓋体の枢着部分に設置されて、閉蓋状態で弾性変形する弾性片と、 前記容器本体の基端側側面に設けられた把手と、 レバーと、を備え、 閉蓋状態で前記レバーの押し下げ部を下方に操作すると、前記レバーの押し上げ部が前記蓋体の基端側を押し上げることにより前記閉蓋状態が解除され、前記弾性片の弾発力により、前記蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋する、容器。」で一致し、以下の相違点で相違する。 《相違点1》 食品を収容可能であることについて、本件発明1が「調味料を収納可能」であるのに対して、甲1発明は「食材などを収容できる」ものである点。 《相違点2》 本件発明1の容器本体が「側面視で上端が平坦」であるのに対し、甲1発明の下容器の上端はそうであるか、特定されていない点。 《相違点3》 本件発明1が、「前記蓋体に設けられ、閉蓋状態で前記容器本体に密接する弾性部材」を備えているのに対して、甲1発明は、その点不明である点。 《相違点4》 容器本体の基端側側面に設けられた把手について、本件発明1が、前記容器本体の基端側側面に「上部が一体設され、下部が前記容器本体と離隔しかつ前記容器本体の底壁と同様位置まで延び」ているのに対して、甲1発明の取っ手の下端は、そのような構造ではない点。 《相違点5》 レバーについて、本件発明1が「前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、前記把手の上方に位置する押し下げ部、及び、前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有する」とともに、「前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されて」いるのに対して、甲1発明の「開放スイッチ」は、「取っ手に設けられ、開放スイッチの押下による反動で持ち上げられた蓋部材がバネ力により開放する」ものではあるが、蓋部材を持ち上げる部分が、「前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され」るものか不明であるとともに、「前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されて」いるとは特定されていない点。 (2)判断 ア 事案に鑑み、相違点5について検討する。 甲1において、「開放スイッチ」についてその上面と蓋部材の上面との関係については記載されていないところ、【図4h】、【図4i】を参照すると、開放スイッチ401を押し下げる部分は、どの部分についても蓋部材の上面よりも低い位置にあることが看て取れる。また、本件発明1で「前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成」される点において、「上面」と記載されているとおり、「レバーの押し下げ部」において一定の面積を有する「面」があり、それが「蓋体」の上面と同一高さに形成されているものと理解できる。 ここで、甲1発明の開放スイッチとして【図4h】、【図4i】を参照すると、「開放スイッチ」における「押下」する部分は図において符号401が指し示している部分であって、図では左上を向いている「面」であると認められる。開放スイッチの形状をそのままに、この面が、蓋部材の上面と同じ高さになるようにするためには、開放スイッチの位置を上に移動させて蓋部材の上面と同じ高さ位置にするだけではなく、開放スイッチを「押下」する部分、すなわち、図では左上を向いている「面」を真上に向くように押し下げて、蓋部材の上面と同じ高さにすることとなる。そうすると、「開放スイッチ」における「蓋部材」を「持ち上げ」る部分は、上に動いて斜めになり、蓋部材の上面よりも高い位置になってしまい、この状態から蓋部材を持ち上げることはできなくなる。つまり、蓋部材を押し上げる部分は、蓋部材の下に位置させる必要があり、そのためには、「前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有する」構成のようにする必要もあることが理解できる。 以上を踏まえれば、「開放スイッチ」の高さ位置は単純に変更できるというものではなく、甲1発明において「前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成」することは、当業者が適宜なし得る設計的事項ということまではできない。 また、「前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、前記把手の上方に位置する押し下げ部、及び、前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有する」とともに、「前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されて」いることを満たすレバーについては、申立人が提出する他の証拠にも記載されておらず、示唆もない。 してみると、甲1発明において、相違点5に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 イ よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 申立人の主張について ア 相違点5に関する点について、申立人は令和7年7月25日提出の意見書において、「レバーの押し下げ部と蓋体の上面の具体的な高さは、設計的事項であって、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないものです。例えば、甲第1号証の図4hの開放スイッチ(レバー)の押し下げ部と蓋部材(蓋体)の上面を以下の図Bのように設計変更する(同一高さとする)ことは、当業者が適宜行うことができます。」(意見書第7~8ページ)と主張している。 しかし、上記(2)アで述べたように、本件発明1では、「レバーの押し下げ部」において一定の面積を有する「面」があり、それが蓋体の上面と同一高さに形成されているものと理解できるところ、申立人が図Bで蓋体の上面と同一高さであると示したのは、開放スイッチ(レバー)の押し下げ部の端部であって「面」といえる部分ではない。そして、同じく上記(2)アで述べたように、甲1の開放スイッチにおいて、一定の面積を有する「面」といえる部分を蓋の上面と同一高さとする場合には、同時に「前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有する」ようにして、その状態から、「閉蓋状態で前記レバーの押し下げ部を下方に操作すると、前記レバーの押し上げ部が前記蓋体の基端側を押し上げることにより前記閉蓋状態が解除され」るようにする必要がある。 そうすると、「レバーの押し下げ部と蓋体の上面の具体的な高さ」をどのような関係とするかを単に設計的事項ということはできず、申立人の上記主張を採用することはできない。 イ また、申立人は同意見書において、「甲第2号証の容器も、押し下げ部の上面と蓋体の上面とが同一高さに形成されている」(意見書第8ページ)と主張しているが、1.(2)ウに示した甲2記載事項3のとおり、甲2に記載された容器におけるラッチ52は蓋に設けられたものであって、取っ手に設けられたものではなく、直ちに甲1発明に適用できるものではないから、この主張も採用することはできない。 ウ さらに、申立人は同意見書において、押し下げ部の上面と蓋体の上面とが同一高さに形成された点について、甲8にも記載されている旨(意見書第9ページ)を主張しているが、甲8に記載された容器は、蓋の開け方が根本的に異なっており、「閉蓋状態で前記レバーの押し下げ部を下方に操作すると、前記レバーの押し上げ部が前記蓋体の基端側を押し上げることにより前記閉蓋状態が解除され、前記弾性片の弾発力により、前記蓋体の基端部が基端側から先端側へ移動して開蓋する」ようなものではなく、直ちに甲1発明に適用できるものではないから、この主張も採用することはできない。 (4) 小括 したがって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むから、上記2(2)における検討のとおり、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要 (1) 申立理由1(甲2を主引例とする進歩性) 本件特許の請求項1、2に係る発明は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 申立理由2(サポート要件) 「弾性部材」と「弾性片」が別体の構成は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。 したがって、請求項1、2に係る本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (3) 申立理由3(明確性要件) 本件発明1における「前記容器本体の基端側側面に上部が一体設され、下部が前記容器本体と離隔しかつ前記容器本体の底壁と同様位置まで延びた把手」について、「前記容器本体の底壁と同様位置」がどの程度の範囲を指すのかが明らかでない。 したがって、請求項1、2に係る本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 当審の判断 (1) 申立理由1(甲2を主引例とする進歩性)について ア 甲2発明について 甲2には、特に【0009】~【0012】、【0016】~【0019】、【0021】、【0023】、【0025】、【0027】、【図1】~【図3】を参照すると、次の「甲2発明」が記載されていると認められる。 「例えば平面視で全体として長円形状であるが、これに限定されない形状の容器本体12と、(【0011】) 容器本体12の先端に、容器本体12の上部開口を開閉自在に枢着される蓋14と、(【0012】、【図1】~【図3】) 蓋14に設けられ、閉蓋状態で容器本体12に密着するエラストマー部材80のシール部分82と、(【0018】、【0021】、【0023】) 容器本体12及び蓋14の枢着部分に設置されて閉蓋状態で弾性変形する、エラストマー部材80のばね部分84と、(【0009】、【0010】、【0018】、【0019】、【0025】) 容器本体12の基端側側面に取外し可能に取付けられ、下部が容器本体12の底壁と同様位置まで延びたループ状の取っ手110と、(【0027】、【図3】) 取っ手110よりも上方で蓋14に軸支されて回動可能に設けられ、押し下げ部が取っ手の上方に位置し、閉蓋状態で押し下げ部を下方に操作すると、蓋14の基端部が基端側から先端側に移動して開蓋するラッチ52と、(【0016】、【0017】) を備えた容器。」 イ 対比 本件発明1と甲2発明を対比すると、少なくとも以下の相違点で相違する。 《相違点A》 本件発明1は、「把手」が「前記容器本体の基端側側面に上部が一体設され」るとともに、「レバー」が「前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、前記把手の上方に位置する押し下げ部、及び、前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有する」ものであるのに対して、 甲2発明は、「取っ手110」が「容器本体12の基端側側面に取外し可能に取付けられ」ており、「ラッチ52」が「取っ手110よりも上方で蓋14に軸支されて回動可能に設けられ」るものであって、「ラッチ52」が「押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部」は有していない点。 ウ 判断 相違点Aについて検討する。 甲2の【0005】には、課題を解決するための手段として、「そのようにする際、本発明の容器は、一般に求められているシール効果を高め、実用的であり且つ非常に効率的なばね作用を蓋に提供し、容器の取扱い易さと特定のユーザの要望に従って容器の蓋の操作を可能にすることの両方に関し特に容器に採用されるリバーシブルの(どちらの側にも使える)取っ手を提供するようになっている。本発明の目的の全ては達成されるが、それと同時に、特に簡単ではあるが、蓋と容器本体の両方に容易に適合し、これと関連して最終使用者によって容易に交換可能な単一の実質的に平らな部材又はパネルとして特徴的に形成されるシールとばねに関し、製造及び組立てにおいて特に経済性をもたらす。」と記載されており、取っ手を容器のどちらの側にも使えるようにするために「容器本体12の基端側側面に取外し可能に取付け」ることは甲2発明において必須の構成であることが分かる。 つまり、本件発明1のように、「把手」が「前記容器本体の基端側側面に上部が一体設され」るようにすることには阻害要因があるといえる。 また、甲2発明において「取っ手110よりも上方で蓋14に軸支されて回動可能に設けられ」ている「ラッチ52」を、蓋ではなく取っ手の方に設けるようにしたとすると、取っ手は取外し可能で容器のどちらの側にも使えるのであるから、取っ手を容器の先端側に取付けた場合はラッチ52によって蓋を開ける操作ができなくなることとなる。 つまり、本件発明1のように、「レバー」が「前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ」るようにすることにも阻害要因があるといえる。 加えて、「前記把手の上端で軸支されて回動可能に設けられ、前記把手の上方に位置する押し下げ部、及び、前記押し下げ部の先端に段差を介して連設され、前記蓋体の基端側に下方から当接して押し上げる押し上げ部を有する」とともに、「前記レバーの押し下げ部の上面と前記蓋体の上面とが同一高さに形成されて」いることを満たすレバーについては、申立人が提出する他の証拠にも記載されておらず、示唆もない。 してみると、甲2発明において、相違点Aに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 したがって、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むから、上記ウにおける検討のとおり、甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2) 申立理由2(サポート要件)について 申立人は、弾性材製枠体と弾発舌片が一体設されていることで部品を少なくすることができ取り扱いが便利で経済的であることについて本件明細書中で言及している(段落【0015】、【0021】)ことから、弾性材製枠体と弾発舌片とが一体に設けられていることは本件特許発明に不可欠の構成要件である旨(特許異議申立書33ページ)主張する。 しかし、「密閉性が確保でき、構造が簡単で開閉操作が容易であり、収納物の取出し操作がやり易い密閉容器を提供すること」(本件明細書の段落【0008】)が本件発明の解決しようとする主たる課題と認められ、部品を少なくすることや取り扱いを便利にすることは当該課題の解決にある程度は寄与するとしても、必須の要件とまではいえないから、上記課題解決のために、弾性材製枠体と弾発舌片が一体設されている必要まではないものと理解できる。 したがって、申立人の上記主張は採用できず、請求項1、2に係る本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 (3) 申立理由3(明確性要件)について 申立人は、本件発明1における「前記容器本体の基端側側面に上部が一体設され、下部が前記容器本体と離隔しかつ前記容器本体の底壁と同様位置まで延びた把手」について、「前記容器本体の底壁と同様位置」がどの程度の範囲を指すのかが明らかでない旨(特許異議申立書34ページ)主張する。 確かに、「同様位置」との表現は正確に位置を決定するものではないが、「図1、図4に示すように、筒壁12の短辺に相当する手前側である基端面には把手14が連設される」(本件明細書の段落【0030】)と記載され、【図1】、【図4】を参照すれば、把手の下部が容器本体の底壁と同程度の高さ位置にあることが看て取れる。また、上記第5 1.(3)で示したように、把手の下部が容器本体の底壁と同様位置まで延びることが周知であることも併せて考慮すれば、当業者であれば、「前記容器本体の底壁と同様位置」が「容器本体の底壁と同程度の高さ位置」を意味していることは十分に理解できる。 そうすると、「前記容器本体の底壁と同様位置」との記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとまではいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できず、請求項1、2に係る本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701392

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  • 2025-700929異議申立 / 2025-12-23 / 維持チューブ容器
    共通の審決分類: 121・B65D、537・B65D
  • 2025-700367異議申立 / 2025-12-23 / 訂正認容易開封性包装材及び包装袋
    共通の審決分類: 121・B65D、537・B65D
  • 2025-700465異議申立 / 2025-12-11 / 訂正認容ポリエステル容器及びポリエステルプリフォーム
    共通の審決分類: 121・B65D、537・B65D

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