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特許拒絶査定不服審判

2021-001643

光走査型の対象物検出装置

審判番号
2021-001643
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-545158外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月05日
審決日
2021年10月04日
公報発行日
2022年07月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-545158号「光走査型の対象物検出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年4月20日国際公開、WO2017/065048号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2016年(平成28年)10月4日(優先権主張 2015年(平成27年)10月16日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 1月17日 :翻訳文提出
令和 元年12月27日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 5月 8日 :意見書の提出
令和 2年10月29日付け:拒絶査定(謄本送達 同年11月6日)
令和 3年 2月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和3年2月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年2月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「【請求項1】
回転軸と交差する方向に傾斜し所定の角度で向き合う第1ミラー面と第2ミラー面とが形成されたミラーユニットと、光源と、受光素子と、を有し、
前記光源から出射された光束は、前記第1ミラー面で反射した後、前記第2ミラー面で反射されると共に前記ミラーユニットの回転により走査投光され、
前記走査投光された光束のうち対象物で散乱された光束の一部が、前記第2ミラー面で反射した後、前記第1ミラー面で反射されて前記受光素子で受光されるよう構成された光走査型の対象物検出装置において、
前記ミラーユニットは、前記回転軸に直交する方向の前記回転軸から所定の距離を越える第1ミラー面及び第2ミラー面が切断されており、
前記第1ミラー面における側辺の延長線の交点と、前記交点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第1点との前記回転軸方向の距離をH、前記受光素子が受光する受光光束を前記第1ミラー面に正対し光軸直交方向から見たときの領域面積を円形に換算したときの半径をr、前記第1点と前記受光光束の前記第1ミラー面に正対し光軸直交方向から見たときの領域の重心との前記回転軸方向の距離をh、前記第1点と、前記第1点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第2点との前記回転軸方向の距離をH’ 、前記受光光束が前記第1ミラー面に正対する位置を前記ミラーユニットの回転角度0°としたとき、
前記受光光束のミラー利用効率を前記回転角度30°で少なくとも0.35とするために、
r<0.4Hのとき、0.1<h/H≦(H’-r)/H (1)
r≧0.4Hのとき、0.2<h/H≦(H’-r)/H (2)
を満たす光走査型の対象物検出装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、平成31年1月17日に提出された翻訳文の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
回転軸と交差する方向に傾斜し所定の角度で向き合う第1ミラー面と第2ミラー面とが形成されたミラーユニットと、光源と、受光素子と、を有し、
前記光源から出射された光束は、前記第1ミラー面で反射した後、前記第2ミラー面で反射されると共に前記ミラーユニットの回転により走査投光され、
前記走査投光された光束のうち対象物で散乱された光束の一部が、前記第2ミラー面で反射した後、前記第1ミラー面で反射されて前記受光素子で受光されるよう構成された光走査型の対象物検出装置において、
前記ミラーユニットは、前記回転軸に直交する方向の前記回転軸から所定の距離を越える第1ミラー面及び第2ミラー面が切断されており、
前記第1ミラー面における側辺の延長線の交点と、前記交点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第1点との前記回転軸方向の距離をH、前記受光素子が受光する受光光束を前記第1ミラー面に正対し光軸直交方向から見たときの領域面積を円形に換算したときの半径をr、前記第1点と前記受光光束の前記第1ミラー面に正対し光軸直交方向から見たときの領域の重心との前記回転軸方向の距離をh、前記第1点と、前記第1点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第2点との前記回転軸方向の距離をH’としたとき、
r<0.4Hのとき、0.1<h/H≦(H’-r)/H (1)
r≧0.4Hのとき、0.2<h/H≦(H’-r)/H (2)
を満たす光走査型の対象物検出装置。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である

「r<0.4Hのとき、0.1<h/H≦(H’-r)/H (1)
r≧0.4Hのとき、0.2<h/H≦(H’-r)/H (2)」

の式に関して、

「前記第1点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第2点との前記回転軸方向の距離をH’としたとき」とあったものを、「前記第1点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第2点との前記回転軸方向の距離をH’ 、前記受光光束が前記第1ミラー面に正対する位置を前記ミラーユニットの回転角度0°としたとき、前記受光光束のミラー利用効率を前記回転角度30°で少なくとも0.35とするために」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

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ア 引用文献1

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2014/168137号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

a 「技術分野
[0001] 本発明は、レーザ光等を照射して物体を検出するレーダーに用いると好適な走査光学系及びレーダーに関する。」
b 「[0027] 以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図16は、本実施形態にかかるレーザレーダーを車両に搭載した状態を示す概略図である。本実施形態のレーザレーダーLRは、車両1のフロントウィンドウ1aの背後、もしくはフロントグリル1bの背後に設けられている。
[0028] 図17は、本実施形態にかかるレーザレーダーLRの概略構成図であり、水平方向からみた図であるが、構成要素の形状や長さ等、実際と異なる場合がある。レーザレーダーLRは、例えば、レーザ光束を出射するパルス式の半導体レーザLDと、半導体レーザLDからの発散光を平行光に変換するコリメートレンズCLと、コリメートレンズCLで平行とされたレーザ光を、回転する反射面により対象物OBJ側(図16)に向かって走査投光すると共に、走査投光された対象物OBJからの反射光を反射させるミラーユニットMUと、ミラーユニットMUで反射された対象物OBJからの反射光を集光するレンズLSと、レンズLSにより集光された光を受光するフォトダイオードPDとを有する。
[0029] 半導体レーザLDと、コリメートレンズCLとで投光系LPSを構成し、レンズLSと、フォトダイオードPDとで受光系RPSを構成する。投光系LPSから出射された光束は、対象物の測定範囲で走査角方向よりも副走査角方向に長くなっている(図1(a)参照)。
[0030] 略四角筒状のミラーユニットMUは、軸線である回転軸RO回りに回転可能に保持されており、下部外周に、4枚の台形状の第1ミラー面M1を配置しており、それに対向して、上部外周に、4枚の台形状の第2ミラー面M2を配置している。それぞれ上下に対になった第1ミラー面M1と第2ミラー面M2との交差角は,異なっている。又、下記条件式を満足する。
続きを表示(全15行)
|θ1-90|×|α|≦225・・・(1)
但し、
θ1:第1ミラー面M1と第2ミラー面M2との交差角(°)
α:回転角(°)
[0031] 投光系LPS、受光系RPSの光軸は、ミラーユニットMUの回転軸ROに対して直交しており、投光系LPSは受光系RPSよりも回転軸RO方向に遠く配置されている。
[0032] 次に、レーザレーダーLRの測距動作について説明する。半導体レーザLDからパルス状に間欠的に出射された発散光は、コリメートレンズCLで平行光束に変換され、回転するミラーユニットMUの第1ミラー面M1の点P1に入射し、ここで反射され、第2ミラー面M2へ向かって進行し、更に第2ミラー面M2の点P2で反射して対象物OBJ側に走査投光される。
[0033] 図18は、ミラーユニットMUの回転に応じて、出射するレーザスポット光SB(ハッチングで示す)で、レーザレーダーLRの検出範囲である画面G上を走査する状態を示す図である。ミラーユニットMUの第1ミラー面M1と第2ミラー面M2の組み合わせにおいて、それぞれ交差角が異なっている。レーザ光は、回転移動する第1ミラー面M1と第2ミラー面M2にて、順次反射してゆくが、まず1番対の第1ミラー面M1と第2ミラー面M2にて反射したレーザ光は、ミラーユニットMUの回転に応じて、画面Gの一番上の領域Ln1を水平方向に左から右へと走査される。次に、2番対の第1ミラー面M1と第2ミラー面M2で反射したレーザ光は、ミラーユニットMUの回転に応じて、画面Gの上から二番目の領域Ln2を水平方向に左から右へと走査される。次に、3番対の第1ミラー面M1と第2ミラー面M2で反射したレーザ光は、ミラーユニットMUの回転に応じて、画面Gの上から三番目の領域Ln3を水平方向に左から右へと走査される。次に、4番対の第1ミラー面M1と第2ミラー面で反射したレーザ光は、ミラーユニットMUの回転に応じて、画面Gの最も下の領域Ln4を水平方向に左から右へと走査される。これにより1画面の走査が完了する。そして、ミラーユニットMUが1回転した後、1番対の第1ミラー面M1と第2ミラー面M2が戻ってくれば、再び画面Gの一番上からの走査を繰り返す。尚、各対における交差角が90度以外であってそれぞれ異なっている場合、交差角が90度から離れた対に対して投光する際のレーザ光の発光タイミングを、それよりも交差角が90度に近い対に対して投光する際のレーザ光の発光タイミングより遅くすると好ましい。
[0034] 図17において、走査投光された光束のうち対象物OBJに当たって反射したレーザ光は、再びミラーユニットMUの第2ミラー面M2の点P3に入射し、ここで反射され、回転軸ROに沿って進行し、更に第1ミラー面M1の点P4で反射して、レンズLSにより集光され、それぞれフォトダイオードPDの受光面で検知されることとなる。これにより画面G上の全範囲で、対象物OBJの検出を行える。
[0035] 図19は、本実施形態による変形例にかかるレーダーの構成を示す図である。図20の変形例では、略5角筒状のミラーユニットMUが、下部外周に、5枚の台形状の第1ミラー面M1を配置しており、それに対向して、上部外周に、5枚の台形状の第2ミラー面M2を配置している。又、受光系RPSは1つだが、投光系LPSは水平方向に2つ並行して設けている。本変形例では、特に受光系RPSがミラーユニットMUの稜線に対向する位置で、2つの投光系LPSが投光した2方向のレーザ光の反射光を受光することができるので、走査範囲を広く確保できる。それ以外の構成は上述した実施形態と同様である。
[0036] 図28は、本実施形態による別の変形例にかかるレーダーの構成を示す図である。図28の変形例では、受光系RPSをレンズLSと受光センサRSとで構成する。受光センサRSは、回転軸ROと平行に配置され図の縦方向に並べられた複数の受光素子RS1~RS3から構成される。このように受光センサRSが3画素分の受光素子RS1~RS3を有することで、受光視野が大きくなるとともに、図の実線で示す主光線が中心の受光素子RS1に入射し、また、破線で示す主光線が隣接の受光素子RS2に入射し、同じく破線で示す主光線が別の隣接の受光素子RS3に入射するので、図の縦方向(垂直方向)に視野を分割でき、分解能が向上する。それ以外の構成は上述した実施形態と同様である。
[0037] 以下、上述した実施形態に好適な実施例について説明する。また、走査角中心を基準に左右対称なため、グラフは片側のみ記載する。以下の実施例では全て、投光系から出射された光束が、測定範囲で走査角方向よりも副走査角方向に長くなっている。実施例1は、4対の第1ミラー面と第2ミラー面(以下、ミラー対という)を有する樹脂製のミラーユニットを用いたレーダーである。従って、走査線の数は4である。表1に、実施例1のレーダーの仕様を示す。尚、ミラー面の角度は、図15を参照して、回転軸に直交する面に対して投光系に近づく側を-、遠い側を+として示している(以下、同じ)。図20は、実施例1のレーダーにおける走査角と縦歪曲との関係を示すグラフであり、図21は、実施例1のレーダーにおける走査角とスポット回転角(絶対値)との関係を示すグラフである。実施例1で、第1ミラー面と第2ミラー面との交差角をθ1とし、回転角をαとすると、最大値としての|θ1-90|×|α|=225である。又、入射角βは0°である。実施例1より、交差角が大きいほど、同じ回転角でも走査角が小さくなることがわかる。」

c 上記bにおいて言及される図15ないし図17は次のものである。

[図15]

[図:0001385702000001.jpg]

[図16]

[図:0001385702000002.jpg]

[図17]

[図:0001385702000003.jpg]

(イ)上記(ア)によれば、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 引用文献1に記載された「レーザレーダーLR」([0028])は、回転軸ROと交差する方向に傾斜し所定の角度で向き合う第1の反射面M1と第2の反射面M2とが形成されたミラーユニットMUと、半導体レーザLDと、フォトダイオードPDとを有するものであること([0028]、図15、17)。

b 引用文献1に記載された「レーザレーダーLR」([0032])において、半導体レーザLDから出射された光束は、第1の反射面M1で反射した後、第2の反射面M2で反射されると共にミラーユニットMUの回転により走査投光されること([0032]、図15、17)。

c 引用文献1に記載された「レーザレーダーLR」([0032])において、走査投光された光束のうち対象物OBJで散乱された光束の一部が、第2の反射面M2で反射した後、第1の反射面M1で反射されてフォトダイオードPDで受光されるよう構成されていること([0032]、図15~17)。

d 引用文献1に記載された「レーザレーダーLR」([0032])は、走査投光された光束を用いて、対象物OBJの検出を行う装置であること([0034]、図16)。

(ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「半導体レーザLDと、コリメートレンズCLとで投光系LPSを構成し、レンズLSと、フォトダイオードPDとで受光系RPSを構成し([0029])、
回転軸ROと交差する方向に傾斜し所定の角度で向き合う第1の反射面M1と第2の反射面M2とが形成されたミラーユニットMUと、半導体レーザLDと、フォトダイオードPDと、を有し、(上記(イ)a)
前記半導体レーザLDから出射された光束は、前記第1の反射面M1で反射した後、前記第2の反射面M2で反射されると共に前記ミラーユニットMUの回転により走査投光され、(上記(イ)b)
前記走査投光された光束のうち対象物OBJで散乱された光束の一部が、前記第2の反射面M2で反射した後、前記第1の反射面M1で反射されて前記フォトダイオードPDで受光されるよう構成された、
走査投光された光束を用いて、対象物OBJの検出を行う装置。」

イ 引用文献2

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、独国特許出願公開第102004050682号明細書(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある(なお、Umlautはそれぞれ、「ae」、「oe」、「ue」、Eszettは「ss」とそれぞれ表記した。仮訳は当審が付した。)。

a 「[0001] Die Erfindung bezieht sich auf eine Einrichtung zur Aufnahme eines Objektraumes mit einem opto-elektronischen Entfernungsmesser nach einem Signal-Laufzeitverfahren mit einer Sendeeinrichtung zum Aussenden von optischen, insbes. von Laser-Signalen und einer Empfangseinrichtung zum Empfangen von optischen Signalen, insbes. von Laserstrahlung, die von im Zielraum befindlichen Objekten reflektiert wird. Die Einrichtung umfasst ferner eine Scan-Einrichtung zur Ablenkung der optischen Achsen von Sende- und Empfangseinrichtung, wobei die optischen Achsen von Sende- und Empfangseinrichtung im wesentlichen parallel verlaufen und die Scan-Einrichtung ein rotierendes Polygon-Spiegelrad aufweist. Des weiteren ist eine Auswerteeinrichtung vorgesehen, die aus der Laufzeit bzw. der Phasenlage des ausgesandten optischen Signals Entfernungswerte ermittelt und aus den Entfernungswerten und den gleichzeitig erfassten Winkelwerten der Scan-Einrichtung die Raumkoordinaten der einzelnen Datenelemente bildet.」

(仮訳:[0001] 本発明は、光学の、特にレーザ信号を送信するための送信装置と、光学信号、特に目標空間にある物体から反射したレーザ信号を受信するための受信装置とを備えた信号飛行時間法(Time of Flight)に従って光電距離測定器で物体空間を記録するための装置に関する。本装置はさらに送信装置と受信装置の光軸を方向転換ためのスキャン装置を含み、送信装置と受信装置の軸は基本的には平行に伸び、スキャン装置は回転するポリゴンミラーを有する。さらに、送信された光学信号の飛行時間または位相差から距離値を検出し、距離値および同時に検出したスキャン装置の角度値から個々のデータ要素の空間座標を形成する評価装置が提供される。)

b 「[0023] Die beiden Entfernungsmess-Systeme koennen voellig getrennt aufgebaut sein, es ist aber auch moeglich, dass beide Systeme verschiedene Komponenten gemeinsam nutzen. Die Fig. 5 und Fig. 6 veranschaulichen Beispiele f?r eine solche Nutzung von Synergieeffekten. In Fig. 5 bezeichnet 30 einen Lasertransmitter, der Laserpulse 31 aussendet. In einem Teilungsprisma 32, dessen Reflexionsflaeche 33 teilverspiegelt ist wird 50% der Laserstrahlung durchgelassen, waehrend 50% reflektiert wird. Der gerade durchtretende Strahl 31a wird durch ein schematisch angedeutetes, rotierendes vierseitiges Polygonspiegelrad 34 periodisch abgelenkt (Kanal 1- K1). Der im Teilungsprisma 32 reflektierte Strahl 31b wird durch einen ortsfesten Spiegel 35 umgelenkt. Ein rotierendes vierseitiges Polygonspiegelrad 36 lenkt den Mess-Strahl 31b periodisch so ab, dass er das Messfeld faecherartig abtastet (Kanal 2-K2). Die beiden Spiegelraeder 34 und 36 sind so winkelmaessig gegeneinander versetzt, dass jeweils in der Abtastluecke des einen Systems das andere das Objektfeld abtastet.
[0024] Die im Messfeld reflektierte Strahlung wird von den rotierenden Spiegelraedern 37 (Kanal 1-K1) bzw. 38 (Kanal 2-K2) abgelenkt und einem Spiegelprisma 39 zugefuehrt. Das aus diesen beiden Teilen resultierende Strahlenbuendel 40 wird durch eine Optik 41 auf einem Sensor in der Empfangsstufe 42 konzentriert. Vom Lasertransmitter 30 wird ein optisches oder elektrisches Signal abgeleitet und ueber einen Lichtleiter bzw. einen elektrischen Leiter 43 der Emp fangsstufe 42 zugefuehrt. Die vom Lasertransmitter 30 abgeleiteten Signale dienen als Startimpulse f?r die Laufzeitmessung, durch die reflektierten Impulse wird die Zeitmessung beendet. Die Zeitmessung und die entsprechende Auswertung zu Entfernungswerten und die Verknuepfung mit den Ablenkwinkeln, den geographischen Koordinaten, den Ausrichtwinkeln der Plattform und die Aufzeichnung aller dieser Datensaetze erfolgt in der Auswertestufe 44 .
[0025] Die Spiegelraeder 34, 36 bis 38 laufen synchron um, wobei die Spiegelraeder 34 und 37 bzw. 36 und 38 auch phasengleich rotieren. Bevorzugt sind die Spiegelraeder 34 und 37 sowie die Spiegelraeder 36 und 38 auf je einer gemeinsamen Welle angeordnet. Wird auf eine relative Phasenverstellung zwischen den beiden Messkanaelen 1 und 2 verzichtet, so koennen saemtliche vier Spiegelraeder, ein entsprechender Winkelversatz vorausgesetzt, auf einer gemeinsamen Welle montiert sein.」

(仮訳:[0023] 2つの距離測定システムは、完全に分けて構成することができるだけでなく、2つのシステムがそれぞれのコンポーネントを共通して使用することも可能である。Fig.5及びFig.6はそのような相乗効果の利用例を詳しく説明している。Fig.5において30は、レーザパルス31を送信するレーザ送信器を示している。反射面33が部分的にミラーとなっている分割プリズム32において、レーザ光線の50%が通過する一方、50%は反射する。真っ直ぐ入射した光線31aは、概略的に示され、回転する4面ポリゴンミラーホイール34により周期的に方向転換される(チャネル1-K1)。分割プリズム32で反射した光線31bは、固定されたミラー35により方向転換される。回転する4面ポリゴンミラーホイール36は測定光線31bが測定場所を扇形状でスキャンするように周期的に方向転換する(チャネル2-K2)。2つのミラーホイール34と36は角度に関して、それぞれ一方のスキャン隙間において他方が物体のある場をスキャンするように相互に移動する。

[0024] 測定する場で反射した光線は、回転するミラーホイール37(チャネル1-K1)または38(チャネル2-K2)により方向転換され、ミラープリズム39に入る。これら2つの部分から発生したビーム40は光学系41により受信段階42にあるセンサにおいて集中する。光学信号または電気信号はレーザ送信器30から発せられ、光ファイバまたは電気ケーブル43により受信段階42に送信される。レーザ送信器30から発せられた信号は、開始パルスとして飛行時間測定に有効であり、反射したパルスにより時間測定は終了する。距離の値に対する時間測定と対応する評価、および方向転換角度、地理的座標、プラットフォームの配置角度の関連性、ならびにこれらすべてのデータセットの記録は、分析段階44で行われる。

[0025]ミラーホイール34、36-38は同期して回転し、ミラーホイール34および37、または36および38も同じ位相で回転する。特にミラーホイール34と37、ミラーホイール36と38は、共通シャフト上に配置されている。2つの測定チャネル1と2との間の相対的な位相調整を行わないので、4つのミラーホイール全体は、対応する角度変位を前提としており、共通のシャフト上に取り付けられている。)

c 「[0028] In der Fig. 8 ist schematisch der Aufbau eines flugzeuggestuetzten Laser-Scanners gemaess der Erfindung dargestellt. Kernstueck der Anlage ist der Zentralrechner 56, der die einzelnen Komponenten derselben ansteuert und die Messdaten der Entfernungsmesser auswertet, mit den Scan-Winkeln, den geographischen Koordinaten und den Ausrichtwinkel der Messplattform verknuepft und diese Datensaetze aufzeichnet. Die Ausgabe der Dateien kann ueber einen Datentraeger (in der Zeichnung ist beispielhaft eine DVD (Pos. 57 ) als Speichermedium dargestellt). Der Zentralrechner 56 steuert einen Lasertransmitter 30 an. Die Laserstrahlung desselben wird durch zwei Glasfaserkabel 58 und 59 je einer Optik 60 bzw. 61 zugefuehrt, durch welche Optiken die Laserstrahlen aufgeweitet werden. Diese Optiken 60 und 61 liegen je einem Polygon-Spiegelrad 62, 63 gegenueber. Die Spiegelraeder 62, 63 sind als vierseitige Pyramiden ausgefuehrt, die an ihrer Basis miteinander verbunden sind. Die beiden Spiegelpyramidem sind um 45° gegeneinander versetzt, so dass das eine System in der Abtastluecke des anderen aktiv ist. Angetrieben werden die Spiegelraeder durch einen Motor 64, der durch den Rechner 56 gesteuert wird. Durch einen auf der Motorwelle angeordneten Winkeldekoder 65 wird die Momentanstellung der Spiegelraeder 62, 63 an den Rechner zurueckgemeldet.」

(仮訳:[0028] Fig.8には本発明に従う飛行機用のレーザスキャナの構造が模式的に示されている。システムの主要部分はホスト処理装置56であり、個々のコンポーネントを制御し、距離測定器の測定データを分析し、スキャン角度、地理的座標および測定プラットフォームの配列角度を結び付け、これらのデータセットを記録する。ファイルの出力はデータ媒体(図では例えばDVD(番号57)が記憶媒体として示されている)により行ってよい。ホスト処理装置56はレーザ送信器30を制御する。レーザ光線は2本の光ファイバケーブル58と59により光学系60または61に供給され、その光学系によりレーザ光線は広げられる。これらの光学系60と61はポリゴンミラーホイール62、63に関して対向して配置されている。ミラーホイール62、63は、それらのベースが互いに結合している4面ピラミッドとして形成されている。2つのミラーピラミッドは45°で互いにずれているので、一方のシステムは他方のスキャン隙間において有効である。ミラーホイールは、処理装置56により制御されているモータ64により駆動する。モータシャフトに配置されている角度デコーダ65により、ミラーホイール62、63の瞬間的な位置を処理装置に送信する。)

d 「[0031] Die Fig. 9 zeigt einzelne Komponenten einer Variante der oben beschriebenen Einrichtung. In dieser Ausfuehrungsform sind die beiden Spiegelraeder 73, 74 als dreiseitige Pyramiden ausgebildet und weisen separate Antriebsmotore 75, 76 und Winkeldekoder 77, 78 auf. Die mit dem Gegenstand der Fig. 8 uebereinstimmenden Teile sind mit den gleichen Bezugszeichen bezeichnet. Der Vorteil der Ausfuehrung nach der Fig. 9 ist die grosse Flexibilitaet im Betrieb der Anlage. Die beiden Spiegelraeder 73, 74 werden wohl synchron angetrieben, der Phasenwinkel zwischen den Spiegelraedern kann aber beliebig eingestellt werden. Es ist auch moeglich, die beiden Spiegelraeder 73, 74 mit unterschiedlichem Drehsinn zu betreiben.
[0032] Eine weitere Variante der Erfindung ist in den Fig. 10a und Fig. 10b dargestellt. Das Polygonspiegelrad 79 ist als dreiseitige Pyramide ausgebildet. Dem Spiegelrad liegen die Optiken 60, 68 und 61, 69 um 180° gegeneinander versetzt gegenueber. Durch Spiegel 80 bzw. 81 werden die Sende- bzw. Empfangsstrahlen um 90° abgelenkt, so dass sie im wesentlichen achsial aus- bzw. eintreten. Die mit anderen Ausfuehrungen uebereinstimmende Teile sind in der Zeichnung mit den gleichen Bezugszeichen versehen.」

(仮訳:[0031] Fig.9は上記装置のバリエーションの個々のコンポーネントを示す。この実施形態において、2つのミラーホイール73、74が3面ピラミッドとして形成され、別の駆動モータ75、76と角度検出器77、78を有する。Fig.8のシステムと一致している部分は、同じ参照番号で示されている。Fig.9に従う実施形態の利点は、システムで動作する場合の大きさの柔軟性である。2つのミラーホイール73、74は同期して動作し、ミラーホイール間の位相角は任意に設定することができる。さらに、2つのミラーホイール73、74はそれぞれの回転モードで作動することもできる。

[0032] 本発明の別のバリエーションはFig.10aおよびFig.10bに示されている。ポリゴンミラーホイール79は3面ピラミッドとして形成されている。ミラーホイールに対して光学系60、68および61、69は180°互いにずれて配置されている。ミラー80または81により、送信光線または受信光線は90°方向転換されるので、基本的に軸対称で反射または入射する。別の実施形態と一致する部分は、図において同じ参照番号で示されている。)

e 上記bにおいて言及されるFig.8ないしFig.10は次のものである。

[図:0001385702000004.jpg]

[図:0001385702000005.jpg]

[図:0001385702000006.jpg]

(イ)上記(ア)によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 引用文献1に記載された「レーザ信号を送信するための送信装置と、光学信号、特に目標空間にある物体から反射したレーザ信号を受信するための受信装置とを備えた信号飛行時間法に従って光電距離測定器で物体空間を記録するための装置」の「スキャン装置」が有する「回転するポリゴンミラー」([0001])である「ミラーホイール62、63」は、「それらのベースが互いに結合している4面ピラミッドとして形成され」、「2つのミラーピラミッドは45°で互いにずれている」([0028])点。

b 上記aの「ミラーホイール62、63」は、Fig8~10を参酌すると、回転軸に直交する方向の回転軸から所定の距離を越える4面ピラミッドの各ミラーの面が切断されていることが見てとれる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。

「レーザ信号を送信するための送信装置と、光学信号、特に目標空間にある物体から反射したレーザ信号を受信するための受信装置とを備えた信号飛行時間法に従って光電距離測定器で物体空間を記録するための装置のスキャン装置が有する回転するポリゴンミラーは、それらのベースが互いに結合している4面ピラミッドとして形成され、2つのミラーピラミッドは45°で互いにずれていて、回転軸に直交する方向の回転軸から所定の距離を越える4面ピラミッドの各ミラーの面が切断されていること。」

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「回転軸RO」、「第1の反射面M1」、「第2の反射面M2」、「ミラーユニットMU」、「半導体レーザLD」、「フォトダイオードPD」、「対象物OBJ」及び「走査投光された光束を用いて、対象物OBJの検出を行う装置」は、本件補正発明の「回転軸」、「第1ミラー面」、「第2ミラー面」、「ミラーユニット」、「光源」、「受光素子」、「対象物」及び「光走査型の対象物検出装置」にそれぞれ相当する。

(イ)上記(ア)をふまえると、

a 引用発明の「回転軸ROと交差する方向に傾斜し所定の角度で向き合う第1の反射面M1と第2の反射面M2とが形成されたミラーユニットMUと、半導体レーザLDと、フォトダイオードPDと、を有し」ていることは、本件補正発明の「回転軸と交差する方向に傾斜し所定の角度で向き合う第1ミラー面と第2ミラー面とが形成されたミラーユニットと、光源と、受光素子と、を有し」ていることに相当し、

b 引用発明の「前記半導体レーザLDから出射された光束は、前記第1の反射面M1で反射した後、前記第2の反射面M2で反射されると共に前記ミラーユニットMUの回転により走査投光され」ることは、本件補正発明の「前記光源から出射された光束は、前記第1ミラー面で反射した後、前記第2ミラー面で反射されると共に前記ミラーユニットの回転により走査投光され」ることに相当し、

c 引用発明の「前記走査投光された光束のうち対象物OBJで散乱された光束の一部が、前記第2の反射面M2で反射した後、前記第1の反射面M1で反射されて前記フォトダイオードPDで受光されるよう構成された」ことは、本件補正発明の「前記走査投光された光束のうち対象物で散乱された光束の一部が、前記第2ミラー面で反射した後、前記第1ミラー面で反射されて前記受光素子で受光されるよう構成された」ことに相当し、

d 引用発明の「走査投光された光束を用いて、対象物OBJの検出を行う装置」は、本件補正発明の「光走査型の対象物検出装置」に相当する。

イ 上記アによれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

「回転軸と交差する方向に傾斜し所定の角度で向き合う第1ミラー面と第2ミラー面とが形成されたミラーユニットと、光源と、受光素子と、を有し、
前記光源から出射された光束は、前記第1ミラー面で反射した後、前記第2ミラー面で反射されると共に前記ミラーユニットの回転により走査投光され、
前記走査投光された光束のうち対象物で散乱された光束の一部が、前記第2ミラー面で反射した後、前記第1ミラー面で反射されて前記受光素子で受光されるよう構成された光走査型の対象物検出装置。」

【相違点1】

ミラーユニットが、本件補正発明は、「前記回転軸に直交する方向の前記回転軸から所定の距離を越える第1ミラー面及び第2ミラー面が切断されて」いるのに対して、引用発明はこのような構成を備えていない点。

【相違点2】

本件補正発明は、ミラーユニットに関して、

「前記第1ミラー面における側辺の延長線の交点と、前記交点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第1点との前記回転軸方向の距離をH、
前記受光素子が受光する受光光束を前記第1ミラー面に正対し光軸直交方向から見たときの領域面積を円形に換算したときの半径をr、
前記第1点と前記受光光束の前記第1ミラー面に正対し光軸直交方向から見たときの領域の重心との前記回転軸方向の距離をh、
前記第1点と、前記第1点から前記回転軸方向に最も離れた前記第1ミラー面上の第2点との前記回転軸方向の距離をH’、
前記受光光束が前記第1ミラー面に正対する位置を前記ミラーユニットの回転角度0°(以下「特定事項A」という。)」

としたとき、

「前記受光光束のミラー利用効率を前記回転角度30°で少なくとも0.35とするために、
r<0.4Hのとき、0.1<h/H≦(H’-r)/H (1)
r≧0.4Hのとき、0.2<h/H≦(H’-r)/H (2)
(以下「特定事項B」という。)を満たす」と特定されるのに対して、引用発明は「特定事項A」のとおりに、H、r、h、H’及び「受光光束が第1の反射面M1に正対する位置」を定めても、上記特定事項Bを満たすとは特定されない点。

(4)判断

以下、相違点について検討する。

ア 相違点1について

引用文献1には、「前記ミラーユニットは樹脂製であることが好ましい。本発明にかかるミラーユニットは、前記第1ミラー面と前記第2ミラー面を組み合わせているため、回転軸方向に大型化する傾向がある。そのため、公知例で知られるような、ミラーやポリゴンミラーに比べ重量が大きくなることが多い。また、モータなどの動力源よりも離れた位置に重心があると、軸ぶれが起きやすくなる。軸ぶれが起きると、走査評価する角度と副走査角との間にずれが生じるため、例えば対象物のある方を前方として、前後に回転軸が傾いたとき、走査角の周辺に行くほど縦歪曲が出てしまうことになる。そこで、前記ミラーユニットを樹脂製とすることで軽量化すれば、軸ぶれが起きにくいミラーユニットとできる。」([0053])と記載されているように、ミラーユニットが大型化したり重量が大きくなると、軸ぶれが起きやすくなるため、ミラーユニットを軽量化する必要性が課題とされていた。

これに対して、引用文献2には、ミラーユニットに関して、「回転軸に直交する方向の回転軸から所定の距離を越える4面ピラミッドの各ミラーの面が切断されている」構成(引用文献2に記載された事項)が記載されている。

そうすると、引用発明において、引用文献2に記載された、「回転軸に直交する方向の回転軸から所定の距離を越える4面ピラミッドの各ミラーの面が切断されている」構成を適用してミラーユニットを軽量化することは当業者が容易に想到し得ることである。

よって、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用して、上記相違点1に係る本件補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について

(ア)特定事項Bにおける

r<0.4Hのとき、0.1<h/H≦(H’-r)/H (1)

r≧0.4Hのとき、0.2<h/H≦(H’-r)/H (2)

との式(1)及び(2)の、それぞれの右側の式、h/H≦(H’-r)/Hは、h≦H’-r、つまり、h+r≦H’であることを意味している。

すなわち、実体的には、図7でいうところの受光光束RBが第1ミラー面において、受光光束RBの大きさにかかわらず、P3を含む上辺からはみ出さないことを特定しているといえる(後記参考図1参照。なお、参考図1、2は、本願の図7を元にして当審が説明のために作成した。)。

[図:0001385702000007.jpg]

(イ)特定事項Bにおける式(1)及び(2)それぞれの左側の式は、r<0.4Hのとき、0.1H<h、及び、r≧0.4Hのとき、0.2H<hであること、つまり、受光光束RBが十分小さい場合(r<0.4H)は、受光光束RBの位置は第1ミラーの底辺近くでもよい(0.1H<h)が、受光光束RBがある程度大きい場合(r≧0.4H)は、受光光束RBの位置は第1ミラーの底辺より少し上側に位置する(0.2H<h)ことを特定しているといえる。

したがって、実体的には、受光光束RBの大きさにかかわらず、受光光束RBの位置は第1ミラーの底辺から大きくはみ出さないことを特定しているといえる(後記参考図2参照)。

[図:0001385702000008.jpg]

(ウ)引用発明においては、例えば、引用文献1の図15や図17のように投光系LPS及び受光系RPSを配置することになるが、当該投光系LPS及び受光系RPSを配置するに際しては、フォトダイオードが受光する受光光束を有効活用するために、当該フォトダイオードが受光する受光光束が第1の反射面の上下方向からはみ出ないように、また、はみ出る量を最小化するように配慮することは、当然に配慮すべき事項であるといえる。

(エ)そうすると、引用発明において、フォトダイオードPDが受光する光束が第1の反射面M1の上下方向の上側からはみ出ないように、また、はみ出る量を最小化するように、第1の反射面M1の上下方向の上側の辺と受光する光束の配置を考慮した場合は、引用発明においても、本件補正発明における特定事項Aのように、H、r、h、H’及び「受光する光束が第1の反射面M1に正対する位置」を定義すると、本件補正発明における特定事項Bにおける式(1)及び(2)の右側の式に自ずと含まれることになるといえる。

また、仮にそこまでは言えないとしても、引用発明において、本件補正発明における特定事項Bにおける式(1)及び(2)の右側の式を満足することは、当業者が容易になし得たことである。

(オ)同様に、相違点1に係る本件補正発明の構成を採用した引用発明において、フォトダイオードPDが受光する光束が第1の反射面M1の上下方向の下側からはみ出ないように、また、はみ出る量を最小化するように、第1の反射面M1の上下方向の下側の辺と受光する光束の配置を考慮した場合は、相違点1に係る本件補正発明の構成を採用した引用発明においても、本件補正発明における特定事項Aのように、H、r、h、H’及び「受光する光束が第1の反射面M1に正対する位置」を定義すると、本件補正発明における特定事項Bにおける式(1)及び(2)の左側の式に自ずと含まれることになるといえる。

また、仮にそこまでは言えないとしても、相違点1に係る本件補正発明の構成を採用した引用発明において、特定事項Bにおける式(1)及び(2)の左側の式を満足することは、当業者が容易になし得たことである。

(カ)上記(エ)及び(オ)は、第1の反射面M1の回転軸RO方向の受光する光束のはみ出しを考慮したものであるが、第1の反射面M1が回転するものである以上、第1の反射面M1の回転軸ROに直交する方向も当然に考慮すべきところ、上記引用発明において、適宜の回転位置においても、フォトダイオードが受光する光束が第1の反射面M1からはみ出ないように、また、はみ出る量を最小化するようにすることも、考慮すべき事項であるといえる。

そうすると、引用発明において、第1の反射面M1の回転軸ROに直交する方向を考慮して、適宜の回転位置においても、フォトダイオードが受光する光束が第1の反射面M1からはみ出ないように、また、はみ出る量を最小化するように配置したものは、受光する光束が第1ミラー面M1に正対する位置をミラーユニットMUの回転角度0°としたとき、前記受光光束のミラー利用効率が、1.0であるものが、ミラーユニットMUの所定の回転角度においても、はみ出る量を最小化する範囲の前記受光光束のミラー利用効率となっているといえる。

そして、受光光束のミラー利用効率を具体的なミラーユニットMUの回転角度において、具体的なミラー利用効率とすることは当業者が発明を実施するに際して適宜定める設計的事項にすぎないところ、これを、例えば引用発明のようなミラー面が4面のミラーユニットMU(上記(2)ア(ア)cの図17参照)の回転角度30°において、ミラー利用効率を少なくとも0.35と定め、このように受光する光束を配置して発明を実施することに格別の技術的困難性は認められない。

(キ)以上(ア)ないし(カ)の検討によれば、引用発明においては、フォトダイオードが受光する光束が第1の反射面M1の上下から、あるいは回転時にはみ出ないように、また、はみ出る量を最小化するように考慮することは当然のことであるから、上記相違点2における特定事項Aのように適宜長さを取り決めた上で、上記相違点2における特定事項Bを満たす構成となして、上記相違点2に係る本件補正発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和3年2月5日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成31年1月17日に提出された翻訳文の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1及び2に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:国際公開第2014/168137号
引用文献2:独国特許出願公開第102004050682号明細書

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2とその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記受光光束が前記第1ミラー面に正対する位置を前記ミラーユニットの回転角度0°」及び「前記受光光束のミラー利用効率を前記回転角度30°で少なくとも0.35とするために」との限定事項を除いたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)及び(4)で述べたとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであると認められる。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-001643

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