特許拒絶査定不服審判
2025-013876
医用画像表示装置、医用画像表示方法および医用画像表示プログラム
- 審判番号
- 2025-013876
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-193072
- 請求日
- 2025年09月02日
- 審決日
- 2026年05月19日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 浩
- 審判官 松本 隆彦
- 審判官 遠藤 直恵
- 分類
- P18 .121-WZ (A61B) / P18 .561-WZ (A61B) / P18 .575-WZ (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第159条、特許法第17条の2第6項、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-193072「医用画像表示装置、医用画像表示方法および医用画像表示プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 6月 8日出願公開、特開2023- 79559〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和 3年11月29日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 7年 2月25日付け 拒絶理由通知書
同年 5月 7日 意見書・手続補正書の提出
同年 6月10日付け 拒絶査定
同年 9月 2日 審判請求書・手続補正書の提出
以下では、令和 7年 6月10日付け拒絶査定を「原査定」という。
第2 令和 7年 9月 2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 7年 9月 2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する補正事項を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所を示す。)
「【請求項1】
計測対象の計測に関連する計測関連情報を含む医用画像を表示する表示部と、
前記医用画像上においてユーザーのタッチ操作を検出するタッチパネルと、
所定の機能を動作させるための操作ボタンと前記計測関連情報とを前記医用画像上において視認可能に表示するように、前記表示部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記医用画像上において前記操作ボタンと前記計測関連情報との両者が相互に重なって表示される表示態様を回避する操作がされ、かつ、前記両者が相互に重なって表示される場合、前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御することにより、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる、
医用画像表示装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和 7年 5月 7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
計測対象の計測に関連する計測関連情報を含む医用画像を表示する表示部と、
前記医用画像上においてユーザーのタッチ操作を検出するタッチパネルと、
所定の機能を動作させるための操作ボタンと前記計測関連情報とを前記医用画像上において視認可能に表示するように、前記表示部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記医用画像上において前記操作ボタンと前記計測関連情報との両者が相互に重なって表示される表示態様を回避する操作がされ、かつ、前記両者が相互に重なって表示される場合、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる、
医用画像表示装置。」
2 補正の適否
(1)補正の目的について
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」ことについて、「前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御することにより、」することと限定するものである。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)新規事項
本件補正について、新規事項の追加に該当するか否かについて検討する。
本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下
「当初明細書等」という。)のうち、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)に関連する記載は、以下のとおりである(下線は当合議体で付した。)。
ア 明細書における記載
(ア)「【0029】
図3は操作ボタン30の表示態様の一例を示す図である。具体的は、制御部17は、操作ボタン30が計測対象40Bから所定長さ離れることにより、操作ボタン30と計測対象40Bとのそれぞれが相互に重ならないで表示されるように表示部16aを制御する。
(イ)「【0030】
図4は操作ボタン30の表示態様の他の例を示す図である。図4に計測結果40Dを示す。制御部17は、操作ボタン30と計測結果40Dとのそれぞれが相互に重なって表示される場合、操作ボタン30を計測結果40Dから離すことで、操作ボタン30と計測結果40Dとのそれぞれが相互に重ならないで表示されるように表示部16aを制御する。」
(ウ)図3
「
[図:0001437278000001.jpg]
」
(エ)図4
「
[図:0001437278000002.jpg]
」
(オ)「【0041】
<変形例2>
次に、変形例2について図8Aおよび図8Bを参照して説明する。
図8Aは、比較例における操作ボタン30の表示態様の一例を示す図である。図8Aに「四角マーク」で表示された操作ボタン30を示す。図8Aに示すように、操作ボタン30によるタッチ操作時に指などで計測対象40Bが隠れると、計測対象40Bの視認性が低下する結果、操作性が損なわれる場合がある。」
(カ)「【0042】
図8Bは、変形例2における操作ボタン30の表示態様の一例を示す図である。図8Bに「指マーク」で表示された操作ボタン30を示す。制御部17は、操作ボタン30と計測対象40Bとのそれぞれが相互に重なって表示画面に表示される場合(図8Aを参照)、操作ボタン30が形状変更して、かつ、透過して表示されるように表示部16aを制御する(図8Bを参照)。これにより、操作ボタン30が形状変更して表示されることで、操作ボタン30で計測対象40Bの隠れていた部位が現れる場合、計測対象40Bが視認可能となる。操作ボタン30の形状を「指マーク」に変更することで、操作ボタン30の操作性が上がる。また、操作ボタン30が透過して表示されることで、計測対象40Bが視認可能となるため、視認性の低下を抑えることができる。」
(キ)図8A
「
[図:0001437278000003.jpg]
」
(ク)図8B
「
[図:0001437278000004.jpg]
」
イ 新規事項の追加についての検討
(ア)本件補正発明には、「前記両者が相互に重なって表示される場合、前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御することにより、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」と記載されている。
(イ)上記アによれば、【0041】~【0042】に記載される<変形例2>では、「操作ボタン」が「形状変更」してかつ「透過して表示」することが記載されているが、「操作ボタン」が「計測対象」と「重ならないように」「表示」することの記載はない。
また【0029】~【0030】に記載される実施の形態では、「操作ボタン」と「計測対象」を重ならないよう表示させることが記載にとどまり、「形状変更」や「透過して表示」させることの記載はない。
これに対して本件補正発明は、本件補正によって「操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御」され、「両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」との特定を含むこととなった。
しかしながら、当初明細書等には「操作ボタン」が「形状変更」してかつ「透過して表示」され、さらに「重ならないよう表示」することの記載も示唆もなく、出願時の技術常識に照らして当初明細書等に記載されているのと同然であると理解できるものでもない。
すなわち、上記<変形例2>には、「形状変更」と「透過して表示」することによって、「重ならないように」「表示」させることを説明するものではない。また、「形状変更」と「透過して表示」は、表示位置を変更するものではないから、これらと、「重ならないように」「表示」することは技術的な因果関係がないものである。そうすると、変形例2に記載された「形状変更」と「透過して表示」することによって、「重ならないように」「表示」することになるとは当業者が認識できるものではない。
(ウ)そうしてみると、本件補正発明における「前記両者が相互に重なって表示される場合、前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御することにより、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」との特定事項は、本願の当初明細書等に記載されていない事項を含むものであって、新規事項を追加するものであると判断される。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
(3)本件補正発明の独立特許要件
上記(2)で述べたとおり、本件補正は特許法第159条1項で読み替えて準用する同法第53条1項の規定により却下されるべきものであるが、本件補正が、新規事項の追加にあたるものではないものとして検討を進める。
本件補正発明が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
ア 明確性要件について
(ア)本件補正発明には、「前記両者が相互に重なって表示される場合、前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御することにより、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」と記載されている。
(イ)上記(ア)の記載に関連して、当初明細書等には、上記(2)アで述べたとおりの記載がある。
(ウ)上記【0041】~【0042】に記載の<変形例2>によれば、「操作ボタン30と計測対象40Bとのそれぞれが相互に重なって表示画面に表示される場合」、「操作ボタン30が形状変更して、かつ、透過して表示されるように表示部16aを制御」することにより、「操作ボタン30が透過して表示されることで、計測対象40Bが視認可能となるため、視認性の低下を抑えることができる。」という効果を奏することができると解される。
すなわち、「操作ボタン30」と「計測対象40B」は重なったままで(特に図8B参照)あるが、「操作ボタン30が透過して表示」することで、「計測対象40B」を視認可能とすることが記載されていると認められる。
しかしながら、本件補正発明の「・・・制御することにより、・・・重ならないように・・・表示させる」(下線は、強調のために当審が付与。)という記載は、「形状変更」と「透過して表示」によって、「重ならないように」「表示」させることを特定するものである。このような態様は、(イ)で摘記した発明の詳細な説明の「変形例2」と「形状変更」と「透過して表示」については対応するものの、「変形例2」では、重ならないように表示させるものではないので、「形状変更」と「透過して表示」によって、「重ならないように」「表示」させることを説明するものではない。また、「形状変更」と「透過して表示」は、表示位置を変更するものではないから、これらと、「重ならないように」「表示」することは技術的な因果関係がないものである。そうすると、変形例2に記載された「形状変更」と「透過して表示」することによって、「重ならないように」「表示」することになるとは当業者が認識できるものではない。
また、発明の詳細な説明の【0029】~【0030】に記載される実施の形態では、「形状変更」や「透過して表示」させるのではなく、「操作ボタン」と「計測対象」を重ならないよう表示させることが記載されており、【0039】~【0040】に記載される「変形例1」は、操作ボタン点滅表示させることにより、視認性の低下を抑えることが記載されるにとどまる。
そうすると、発明の詳細な説明全体を参酌しても、本件補正発明の「前記両者が相互に重なって表示される場合、前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御することにより、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」という特定事項の「前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御すること」と「前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」ことという態様を当業者が明確に把握することができない。
(エ)以上によれば、本件補正発明の「前記両者が相互に重なって表示される場合、前記操作ボタンが形状変更して、かつ、透過して表示されるように前記表示部を制御することにより、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」との事項は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。
よって、本件補正発明は、明確でない。
(オ)以上より、本件補正発明は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たさないため、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 補正の却下の決定についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項又は第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~11に係る発明は、令和 7年 5月 7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に示した請求項1の記載により特定されるとおりのものである。
後の便宜のために、本願発明を次のとおり符号A~Eを付して分説し、「構成A」等のように参照する。
「【請求項1】
A 計測対象の計測に関連する計測関連情報を含む医用画像を表示する表示部と、
B 前記医用画像上においてユーザーのタッチ操作を検出するタッチパネルと、
C 所定の機能を動作させるための操作ボタンと前記計測関連情報とを前記医用画像上において視認可能に表示するように、前記表示部を制御する制御部と、
を備え、
D 前記制御部は、前記医用画像上において前記操作ボタンと前記計測関連情報との両者が相互に重なって表示される表示態様を回避する操作がされ、かつ、
E 前記両者が相互に重なって表示される場合、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる、
医用画像表示装置。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。
理由2(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2014-008339号公報
引用文献2:国際公開第2019/008867号
引用文献3:特開2015-198810号公報
引用文献4:特開2021-000250号公報
引用文献5:特開平3-286749号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
引用文献6:特開平9-47453号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
3 引用文献の記載事項、引用発明及び周知技術
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
本願の出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された特開2014-008339号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付与した。以下同様。)。
(ア)「【0012】
図1は、第1実施形態の超音波診断装置1を示す。超音波診断装置1は、システム制御部2、基準信号発生部3、送受信部4、超音波プローブ5、データ生成部6、画像生成部7、時系列データ計測部8、表示データ生成部9、及び表示装置10を備える。」
(イ)「【0020】
図1の説明に戻って、超音波プローブ5は、被検体に対して超音波の送受波を行なう。超音波プローブ5は、被検体の表面に対してその前面を接触させ超音波の送受波を行なうものであり、1次元に配列された複数個(N個)の微小な超音波振動子をその先端部に有している。この超音波振動子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルスを超音波パルス(送信超音波)に変換し、又、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する機能を有している。」
(ウ)「【0038】
表示データ生成部9は、画像生成部7によって生成された超音波画像や、時系列データ計測部8によって計測された診断パラメータの計測値を所定の表示フォーマットに基づいて合成して表示データを生成する。
【0039】
表示装置10は、表示データ生成部9によって生成された表示データを表示する。表示装置10は、図示しない変換回路及び表示部(ディスプレイ)と、タッチパネル10aとを備える。変換回路は、表示データ生成部9が生成した上述の表示データに対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成しディスプレイに表示する。タッチパネル10aは、複数のタッチセンサ(図示しない)を配置し、ディスプレイの表示面に設けられる。」
(エ)「【0043】
操作位置・内容認識部2bは、表示装置10のディスプレイで超音波画像(Bモード制御部2aによるBモード画像や、モード制御部2fによって表示されたカラードプラ画像、Mモード画像、又はドプラスペクトラム画像)や、動作選択メニュー制御部2dによる動作選択メニューの表示中に、タッチパネル10aから送られる操作位置(プレス位置、リリース位置、プレス位置から移動後の停止位置、及び、プレス位置から移動後のリリース位置等)を認識すると共に、操作内容(タップ操作、ダブルタップ操作、スライド操作、フリック操作、及びピンチ操作等)を認識する機能を有する。操作位置・内容認識部2bは、タッチパネル10aから送られた操作位置の情報と、この情報を受けた時間の情報とに基づいて、表示画面に対して操作者が入力を意図した操作がタップ操作、ダブルタップ操作、スライド操作、フリック操作、及びピンチ操作等のいずれの操作であるかを判別する。」
(オ)「【0047】
動作選択メニュー制御部2dは、表示装置10のディスプレイで超音波画像の表示中に、操作位置・内容認識部2bによって超音波画像内をプレス位置(又はリリース位置)とするタップ操作が認識されると、表示装置10のディスプレイに、タップ操作によるプレス位置を中心とする動作選択メニューを表示させる機能を有する。」
(カ)「【0094】
図23は、動作選択メニューの表示位置の変形例を示す図である。
【0095】
図23は、図6乃至図22で説明したものと異なり、Bモード画像内をプレス位置としてタップ操作した場合のプレス位置に関係なく、選択肢としての複数の動作モードのアイコンを含む動作選択メニューである。操作位置・内容認識部2bが動作選択メニュー内の所定位置(例えば、中心)をプレス位置とするスライド(フリップ)操作を認識した場合、動作選択メニュー制御部2dは、動作選択メニューの表示を移動させる。なお、図23は、Bモード画像内をプレス位置としてスライド(フリップ)操作した場合のプレス位置に関係なく、選択肢としての複数の動作モードのアイコンを含む動作選択メニューであってもよい。」
(キ)「【0101】
図26(a),(b)は、Bモード画像内の位置設定及び動作モード設定の第4例を説明するための図である。
【0102】
図26(a)は、フリーズされたBモード画像の表示中に、操作位置・内容認識部2bがBモード画像内を第1プレス位置(第1計測キャリパ)P1とするタップ操作を認識した直後に位置設定部2c及び動作選択メニュー制御部2dによって行なわれる表示状態を示す図である。図26(a)に示すように、操作位置・内容認識部2bによって認識されたタップ操作の第1プレス位置P1の位置に関係なく動作選択メニューが表示される。なお、Bモード画像の前面に表示される動作選択メニューのレイヤは、背後のBモード画像が透けて視認できるように半透明とすることが望ましい。また、図26(a)に示すように、操作位置・内容認識部2bが動作選択メニューの動作モード(キャリパーモード:「Ca」)のアイコン内をプレス位置とするタップ操作を認識すると、当該アイコンが他の動作モードのアイコンと異なる表示形式で表示される。」
(ク)図1
「
[図:0001437278000005.jpg]
」
(ケ)図23
「
[図:0001437278000006.jpg]
」
(コ)図26
「
[図:0001437278000007.jpg]
」
イ 引用文献1に記載された発明
上記(ア)~(キ)記載事項及び図面を総合すると、引用文献1には、第1実施形態において、動作選択メニューの表示位置を、図26に示す第4例のとおりとした超音波診断装置に係る発明として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 被検体に対して超音波の送受波を行ない、画像生成部7によって生成された超音波画像や、時系列データ計測部8によって計測された診断パラメータの計測値を、表示データ生成部9は、所定の表示フォーマットに基づいて合成して表示データを生成し、表示装置10は、表示データ生成部9によって生成された表示データを表示し、(【0020】、【0038】、【0039】)
表示装置10は、変換回路及び表示部(ディスプレイ)と、タッチパネル10aとを備え、タッチパネル10aは、複数のタッチセンサを配置し、ディスプレイの表示面に設けられ(【0039】)、操作位置・内容認識部2bは、表示画面に対して操作者が入力を意図した操作がタップ操作、ダブルタップ操作、スライド操作、フリック操作、及びピンチ操作等のいずれの操作であるかを判別し、(【0043】)
動作選択メニュー制御部2dは、表示装置10のディスプレイで超音波画像の表示中に、操作位置・内容認識部2bによって超音波画像内をプレス位置(又はリリース位置)とするタップ操作が認識されると、(【0047】)、Bモード画像内をプレス位置としてタップ操作した場合のプレス位置に関係なく、選択肢としての複数の動作モードのアイコンを含む動作選択メニューが表示され、(【0095】、【0102】)
Bモード画像の前面に表示される動作選択メニューのレイヤは、背後のBモード画像が透けて視認できるように半透明とする、(【0102】)
表示装置を備える超音波診断装置。(【0012】)
(2)周知技術を示す文献
ア 引用文献5
本願の出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す文献である引用文献5として引用された特開平3-286749号公報(以下「引用文献5」という。)には次の記載がある。
(ア)「(従来の技術)
この種の超音波診断装置は、当初のメカニカル方式非リアルタイム超音波診断装置から、電子走査方式リアルタイム超音波診断装置に至り、そして近時の血流イメージング装置を装備するに及んで、多用途・多機能を実現した高度イメージング診断装置となっている。
このような超音波診断装置にあっては、装置の機能を十分に活かすことにより高精度な診断情報を提供し得るものとなる。従って、診断に先立つ診断条件を含む広義の意味での運転条件の設定は臨床上重要な意義を持つ。ここで、上述したように設定すべき運転条件には、超音波送受波の条件、信号処理の条件、画像表示の条件等をはじめとして多数のものがあり、また、各条件それぞれには多数の設定内容がある。この種の装置にあって、上述した運転条件の設定は、超音波診断装置内の備わった制御器(マイクロコンピュータ等のCPU)が司っている。
そして、設定した運転条件及び装置の現実の運転状態は、モニタ画面上にキャラクタ(文字や数字等の符号情報)にて表示され得るようになっている。このように設定した運転条件及び装置の現実の運転状態がモニタ画面上に表示されるということは、より良き診断を実施する上で大きな意義を持ち得るものである一方、次の機会での診断、つまり履歴診断を行う上で大きな意義がある。すなわち、例えば、前回の診断画像とキャラクタとを撮影した写真を見て、今回の診断のための運転条件の設定を行うことができる、という点である。」(第1頁右下欄第4行~第2頁左上欄第13行)
(イ)「(実施例)
以下本発明にかかる超音波診断装置の一実施例を図面を参照して説明する。第1図は本実施例の超音波診断装置の構成を示す構成図である。
第1図に示すように、本実施例では、一例として電子走査型装置の例を示しており、微小超音波振動子多数を並設してなるプローブ20を有し、該プローブ20及び送受信器部21より図示しない被検体に対して超音波走査できるようになっている。送受信器21では超音波走査より得られる受信信号を得、これを信号処理器22に送り、ここで断層像生成のための検波や、血流速像生成のための検波等をして断層像や血流速像を得、DSC(ディジタル・スキャン・コンバータ)23にて超音波走査から例えば標準TV走査に変換してモニタ24にて表示する。
また、これら送受信器21,信号処理器22,DSC23は、運転コントローラ25により運転制御される。また、運転コントローラ25には、制御回路26を介してコンソールである操作部27が接続され、当該操作部27を操作者が操作することにより、診断条件を含む運転条件の設定を行うことができ、また、運転コントローラ25は装置の現実の運転状態を制御回路26に通告しているものとなっている。
さらに、制御回路26には、キャラクタ情報を記憶したEEFROM素子(書換え可能不揮発性メモリ素子)等からなるブレーンメモリ28が接続されている。また、操作部27には、キャラクタ情報の表示位置を変更するためのトラックボールやスイッチ等からなる変更スイッチ27Aと、当該キャラクタを表示しない場合を選定するための非表示スイッチ27Bとを備えている。
ここで、変更スイッチ27Aを操作することにより、ブレーンメモリ28内に記憶されたキャラクタ情報の画面上での表示番地を変更することができ、また、非表示スイッチ27Bを操作することにより、通常は表示さるキャラクタ情報の画面上での表示を取止めにすることができる。なお、ブレーンメモリ28は、EEPROM素子(書換え可能不揮発性メモリ素子)等からなるので、変更スイッチ27Aや非表示スイッチ27Bを操作した場合における記憶データの書換えは可能なのである。
以上のように構成された本実施例の作用を第2図(a)(b)(c)を参照して説明する。第2図(a)は変更スイッチ27Aや非表示スイッチ27Bを操作しない場合のモニタ画面を示した図である。第2図(b)は変更スイッチ27Aや非表示スイッチ27Bを操作した場合のブレーンメモリ28のデータ書換えを示す図である。第2図(c)は変更スイッチ27Aや非表示スイッチ27Bを操作した場合のモニタ画面を示した図である。
第2図(b)に示すように、変更前にあってブレーンメモリ28のキャラクタデータは、“FFT-GAIN”は表示であり且つ表示番地は(10,0)である。同“CFM-GAIN“は表示であり且つ表示番地は(10,1)である。同“B-GAIN″は非表示であり且つ表示番地は(9,3)である。同“MB-GAIN”は非表示であり且つ表示番地は(9,4)である。
これに対し、変更スイッチ27Aや非表示スイッチ27Bを操作して、変更後にあってブレーンメモリ28のキャラクタデータは、“FFT-GAIN′は非表示であり且つ表示番地は(9,3)となり、同“CFM-GA IN”は非表示であり且つ表示番地は(9,4)となり、同“B-GAIN”は表示であり且つ表示番地は(8,0)となり、同“MB-GAIN”は表示であり且つ表示番地は(8,1)となる。
以上の変更の結果、第2図(c)に示すようにキャラクタの表示位置の変更がなされ、また、表示/非表示の変更がなされる。なお、24Bは、通常における診断画像表示領域であり、24Cは通常におけるキャラクタ表示領域である。
従って、例えば、従来例で説明した例の場合、第3図はBモード像10とキャラクタ情報11とを同一画面12に表示した場合を示す図であり、この例では図示の場合であってもBモード像10とキャラクタ情報11との重なりは無いが、第4図に示すように、2つのBモード像10A、10Bを表示した場合は、自ずとキャラクタ情報表示部分が少なくなるので、第3図と同じ量のキャラクタ情報11を表示した場合であってもBモード像10A、10Bとキャラクタ情報11とは重なり合ってしまう。また、第3図の場合も、キャラクタ情報11の量を増やすとBモード像10とキャラクタ情報11とは重なり合ってしまう。このような場合に、本実施例のように、表示位置の変更や非表示への変更が容易になされるので、診断画像との重なりを防止することができ、的確な診断を行うことができるようになる。
なお、上記の実施例では、通常状態にあって表示であるものを非表示に変更する形態についてのみ説明しているが、この逆であっても、また相互変更するものであっても良い。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できるものである。」(第3頁左上欄第3行~第4頁右上欄第1行)
(ウ)第3、4図
「
[図:0001437278000008.jpg]
」
イ 引用文献6
本願の出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す文献である引用文献6として引用された特開平9-47453号公報(以下「引用文献6」という。)には図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2点間距離等の計測機能を有する超音波診断装置に関する。」
(イ)「【0010】イメージング回路3は、エコー信号に基づいて組織分布であるBモード画像、組織分布の時間変化を表すMモード画像、血流等の移動体の速度等の空間分布としてのドプラ画像を生成する。これら画像を総称してメイン画像という。イメージング回路3で生成されたメイン画像データは、フレームメモリ4に書き込まれる。
【0011】計測回路5は、複数種類の計測項目を計測可能に構成される。計測項目としては、例えば、Bモードでは2点間距離、周囲長、面積、またMモードでは2点間距離、2点間時間、スロープ(傾き)、またドプラモードでは拡張末期容量、1回拍出量、心拍出量、駆出量が含まれる。パターン発生回路6は、計測回路5からの計測項目及び計測値のデータに応じて、文字パターンデータを発生する。文字パターンデータは、フレームメモリ7に順次書き込まれる。これにより計測値を文字情報として表示するための計測値画像が生成される。なお、フレームメモリ7に書き込まれた状態での計測値画像のマトリクスサイズはn×mとする。拡大縮小回路8は、制御回路11からの縦方向拡大率α1 、横方向拡大率α2 に基づいてフレームメモリ7からの計測値画像のマトリクスサイズn×mを、(α1×n)×(α2 ×m)に拡大する。」
(ウ)「【0019】指定された計測項目の数によっては、図5(b)のように、メイン画像の肝心の部分が計測値画像に隠されて見えないという事態が起こり得る。オペレータによる操作卓13の適当な操作により、縦方向拡大率α1 、横方向拡大率α2 が入力される。図3(a)に示すように、フレームメモリ7の計測値画像データは、拡大縮小回路8により縦方向拡大率α1 、横方向拡大率α2 の情報に基づいて、マトリクスサイズ(α1 ×n)×(α2 ×m)に拡大(縮小)される。縮小処理には間引き処理が含まれ、拡大処理には補間処理が含まれる。マトリクスサイズ(α1 ×n)×(α2 ×m)に拡大(縮小)された計測値画像データは、フレームメモリ9に書き込まれる。
【0020】制御回路12の制御により、フレームメモリ4に書き込まれたメイン画像データと、マトリクスサイズ(α1 ×n)×(α2 ×m)に拡大(縮小)されフレームメモリ9に書き込まれた計測値画像データとは共にテレビ走査方式にしたがって所定の順番で同期して切替スイッチ10に読み出される。制御回路12の制御により、切替スイッチ10は、メイン画像の一部に計測値画像を嵌め込むための第2の領域の位置及びサイズに応じて特定の期間だけ第1の状態から第2の状態に切り替えられる。この切り替えにより、両画像が1フレームに合成される。第2の領域は、マトリクスサイズ(α1 ×n)×(α2 ×m)である。
【0021】これにより図3(b)に示すように、メイン画像の肝心の部分が計測値画像に隠されて見えないという事態が回避される。また、計測値画像の表示位置(嵌め込み領域の位置)によっては、文字判別の限界まで縮小しても、図4に示すように、メイン画像の肝心の部分が計測値画像に隠されて見えないという事態が起こり得る。オペレータによる操作卓13の適当な操作により、嵌め込み領域の位置の変更指示が入力される。制御回路12の制御により、切替スイッチ10が第1の状態から第2の状態に切り替えられる特定の期間が、変更された嵌め込み領域の位置に応じて変更される。この変更により、図4に示すようにメイン画像に対する計測値画像の嵌め込み領域の位置が変更され、メイン画像の肝心の部分が計測値画像に隠されて見えないという事態が回避される。本発明は上述した実施の形態に限定されることなく種々変形して実施可能である。」
ウ 周知技術
上記ア、イの記載事項に例示されるように、以下の技術的事項は、本願の出願日前における周知技術であると認められる(以下の技術的事項を、以下「周知技術1」という。)。
「キャラクタ情報や計測値画像がメイン画像と重なりあってしまい、メイン画像の肝心の部分が隠されて見えないという課題を解決するために、オペレータの操作により、メイン画像に対するキャラクタ情報や計測値画像の位置が変更され、隠されて見えないという事態が回避され、重なりを防止すること」
4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)構成Aについて
引用発明は、「被検体に対して超音波の送受波を行ない、画像生成部7によって生成された超音波画像や、時系列データ計測部8によって計測された診断パラメータの計測値を、表示データ生成部9は、所定の表示フォーマットに基づいて合成して表示データを生成し、表示装置10は、表示データ生成部9によって生成された表示データを表示」するものである。
ここで、引用発明の「被検体」は本願発明の「計測対象」に相当し、引用発明の「画像生成部7によって生成された超音波画像」及び「時系列データ計測部8によって計測された診断パラメータの計測値」は、本願発明の「計測関連情報」に相当し、当該「超音波画像」や「計測値」を「合成して」「生成し」た引用発明の「表示データ」は、本願発明の「計測関連情報」を含む「医用画像」に相当する。
また、引用発明の前記「超音波画像」と前記「計測値」は、「被検体」の計測に関連することは明らかである。
さらに、引用発明の「表示装置10」は、「表示データを表示」するものであるから、本願発明の「医用画像を表示する表示部」に相当する。
してみると、引用発明は本願発明の「計測対象の計測に関連する計測関連情報を含む医用画像を表示する表示部」という構成を備える。
(2)構成Bについて
引用発明は、「表示装置10は、変換回路及び表示部(ディスプレイ)と、タッチパネル10aとを備え、タッチパネル10aは、複数のタッチセンサを配置し、ディスプレイの表示面に設けられ、操作位置・内容認識部2bは、表示画面に対して操作者が入力を意図した操作がタップ操作、ダブルタップ操作、スライド操作、フリック操作、及びピンチ操作等のいずれの操作であるかを判別」するものである。
ここで、上記(1)でのべたように、引用発明の「表示装置10」は、「表示データを表示」するものであるから、「表示装置10」には「表示データ」すなわち本願発明の「医用画像」が表示されていることは明らかである。
そして、引用発明の「操作者」は、本願発明の「ユーザー」に相当し、引用発明の「表示画面に対して操作者が入力」する「タップ操作、ダブルタップ操作、スライド操作、フリック操作、及びピンチ操作等」の「操作」は、本願発明の「タッチ操作」に相当する。
さらに、引用発明の「表示装置10」に備えられた「タッチパネル10a」は、「複数のタッチセンサを配置」するから、当該「タッチセンサ」によって、前記「操作者」の「タッチ操作」を「検出」することは明らかであり、上記のように「表示装置10」には「医用画像」が表示されているから、「操作者」は「医用画像」上を「タッチ操作」することとなるといえる。
してみると、引用発明は本願発明の「前記医用画像上においてユーザーのタッチ操作を検出するタッチパネル」に相当する事項を有する。
(3)構成Cについて
引用発明は「動作選択メニュー制御部2dは、表示装置10のディスプレイで超音波画像の表示中に、操作位置・内容認識部2bによって超音波画像内をプレス位置(又はリリース位置)とするタップ操作が認識されると、Bモード画像内をプレス位置としてタップ操作した場合のプレス位置に関係なく、選択肢としての複数の動作モードのアイコンを含む動作選択メニューが表示され、Bモード画像の前面に表示される動作選択メニューのレイヤは、背後のBモード画像が透けて視認できるように半透明とする」ものである。
ここで、引用発明の「動作選択メニュー」は、「複数の動作モードのアイコンを含む」ものであるから、本願発明の「所定の機能を動作させるための操作ボタン」に相当し、引用発明の「Bモード画像」は超音波画像であるから、本願発明の「計測関連情報」に相当する。
また、引用発明の「動作選択メニュー制御部2d」は、「タップ操作が認識されると、Bモード画像内をプレス位置としてタップ操作した場合のプレス位置に関係なく」「動作選択メニューが表示され」、さらに「Bモード画像の前面に表示される動作選択メニューのレイヤは、背後のBモード画像が透けて視認できるように半透明とする」から、「超音波画像」と「動作選択メニュー」を「視認可能に表示」するように制御していると認められ、引用発明の「動作選択メニュー制御部2d」は、本願発明の「制御部」に相当する。
してみると、引用発明は、本願発明の「所定の機能を動作させるための操作ボタンと前記計測関連情報とを前記医用画像上において視認可能に表示するように、前記表示部を制御する制御部」という構成を備える。
(4)構成Eについて
引用発明は「Bモード画像の前面に表示される動作選択メニューのレイヤは、背後のBモード画像が透けて視認できるように半透明とする、表示装置を備える超音波診断装置」である。
引用発明の「表示装置を備える超音波診断装置」は本願発明の「医用画像表示装置」に相当する。
また引用発明の「Bモード画像」、「動作選択メニュー」がそれぞれ本願発明の「計測関連情報、「操作ボタン」に相当するから、引用発明の「Bモード画像の前面に表示される動作選択メニューのレイヤ」は、「両者が相互に重なって表示される場合」に相当する。
してみると、引用発明は、本願発明の「両者が相互に重なって表示される場合、」「操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」「医用画像表示装置。」に相当する事項を有する。
(5)一致点、相違点
上記(1)~(4)のとおりであるから、本件発明と引用発明とは、以下のアの点で一致し、下記イの点で相違する。
ア 一致点
「A 計測対象の計測に関連する計測関連情報を含む医用画像を表示する表示部と、
B 前記医用画像上においてユーザーのタッチ操作を検出するタッチパネルと、
C 所定の機能を動作させるための操作ボタンと前記計測関連情報とを前記医用画像上において視認可能に表示するように、前記表示部を制御する制御部と、
を備え、
E’前記両者が相互に重なって表示される場合、前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる、
医用画像表示装置。」
イ 相違点1(構成Dについて)
制御部について、本件発明は、「前記医用画像上において前記操作ボタンと前記計測関連情報との両者が相互に重なって表示される表示態様を回避する操作がされ」ることが特定されているのに対し、引用発明はそのように特定されていない点。
ウ 相違点2(構成E’について)
制御部について、本件発明は、「前記両者が相互に重なって表示される場合、前記両者が相互に重ならないように前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」ことが特定されているのに対し、引用発明は「前記両者が相互に重なって表示される場合、」操作ボタンを透けて視認できるように半透明として「前記操作ボタンと前記計測関連情報とを表示させる」点。
5 判断
(1)相違点について
ア 相違点1、2について
引用発明は、「Bモード画像の前面に表示される動作選択メニューのレイヤ」を「背後のBモード画像が透けて視認できるように半透明とする」ものであるから、「両者が相互に重なって表示される場合」に、「操作ボタン」により「計測関連情報」の肝心の部分が隠されて見えないという課題を解決するものである。
周知技術1も、「キャラクタ情報や計測値画像がメイン画像と重なりあってしまい、メイン画像の肝心の部分が隠されて見えないという課題を解決する」ものであるから、複数の画像表示を制御するという共通する技術分野において、隠されて見えないという事態を回避するという同様の課題を解決するものである。
そうすると、引用発明において、透けて視認できるようにする代わりに、同じ技術分野における同様の課題を解決するための上記周知技術1を採用して、「オペレータの操作により、」「計測関連情報」に対する「操作ボタン」の位置が変更され、「隠されて見えないという事態が回避され、重なりを防止する」ようにし、「操作ボタン」と「計測関連情報」を相互に重なって表示される表示態様を回避することは当業者が容易に想到し得たことである。
イ 以上より、引用発明において、周知技術1を適用し、相違点1、2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)効果について
本件発明により奏される効果も、引用発明、及び周知技術1から当業者が予期し得るものであり、格別顕著なものではない。
(3)請求人の主張について
請求人は、令和 7年 9月 2日提出の審判請求書において、
「引用文献5の第3頁右下欄第14行目から第4頁左上欄第15行目、および、図3等には、Bモード画像10とキャラクタ情報11とが重なり合う場合に重なり部分を極力回避する表示態様が記載されておりますが、計測関連情報と操作ボタンとの両者を重ならないように表示する本願発明の特徴事項が記載されてなく、また、開示も示唆もされておりません。」(主張1)、「次に、引用文献6の段落「0018」-「0021」および図3等には、文字情報が画像に重なり合う場合、文字情報の表示サイズを変更し、また、両方を変更することで、文字情報と画像との重なりを回避する表示態様が記載されております。」「したがって、引用文献6には、計測関連情報と操作ボタンとの両者を重ならないように表示する本願発明の特徴事項が記載されてなく、また、開示も示唆もされておりません。」(主張2)
との主張をしているので、検討する。
(主張1、2)について、
3(2)ウで述べたように、引用文献5、6から抽出された周知技術1は、「キャラクタ情報や計測値画像」と「メイン画像」が重なった場合、メイン画像の肝心の部分が隠されて見えないという課題を解決するために、オペレータの操作により、メイン画像が隠されて見えないという事態が回避され、重なりを防止することである。
一方、5(1)アで述べたように、引用発明の「動作選択メニュー」と「Bモード画像」が重なった場合にも「Bモード画像」「の肝心の部分が隠されて見えないという課題」を内在することは明らかである。
そして当該周知技術1の「オペレータの操作により、」「メイン画像」に対する「キャラクタ情報や計測値画像の位置が変更」することを、引用発明の「動作選択メニュー」と「Bモード画像」に適用して、「前記両者が相互に重なって表示される場合」に、相互に重ならないようにして、両者を相互に重なって表示される表示態様を回避することは、当業者が容易に想到できることである。
したがって、引用文献5が「Bモード画像10とキャラクタ情報11とが重なり合う場合に」重なり部分を極力回避することが記載され、引用文献6が「文字情報が画像に重なり合う場合」に重なりを回避することが記載されていることをもって、本願発明の構成とすることが容易に想到できないとはいえない。
よって、審判請求人の上記主張は採用できない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-013876