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特許拒絶査定不服審判

2025-003262

記録媒体搬送装置、記録媒体搬送方法および記録媒体搬送プログラム

審判番号
2025-003262
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-088559
請求日
2025年02月28日
審決日
2026年06月05日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】コニカミノルタ株式会社
  • 【請求人代理人】中川 雅博
審判長/審判官
  • 審判長 川俣 洋史
  • 審判官 山本 一
  • 審判官 殿川 雅也
分類
P18 .121-Z (B65H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第159条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-88559「記録媒体搬送装置、記録媒体搬送方法および記録媒体搬送プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年12月2日出願公開、特開2021-183521〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年5月21日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和6年 2月14日付け:拒絶理由通知 同年 4月18日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月17日付け:拒絶理由通知(最後) 同年 9月26日 :意見書、手続補正書の提出 同年11月29日付け:補正の却下の決定及び 拒絶査定(以下「原査定」という。) (12月 3日 :原査定の謄本の送達) 令和7年 2月28日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和7年2月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年2月28日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和7年2月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年4月18日にされた手続補正後をいう。)の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。 (1)本件補正前の請求項1 「【請求項1】 空隙を有する重畳紙と空隙を有しない用紙とのいずれかの記録媒体を収容する収容部と、 前記収容部に収容された前記記録媒体を取り出し、搬送対象物として搬送する搬送手段と、 前記搬送対象物による超音波の減衰量を示す値を出力する超音波センサと、 前記超音波センサの出力結果に基づいて、前記搬送対象物が空隙を有する重畳状態か否かを検知する重畳検知処理を実行する重畳検知手段と、 前記搬送手段により最初に搬送される第1搬送対象物に対して前記重畳検知処理の実行を禁止する禁止手段と、を備えた記録媒体搬送装置。」 (2)本件補正後の請求項1 「【請求項1】 空隙を有する重畳紙と空隙を有しない用紙とのいずれかの記録媒体を収容する収容部と、 前記収容部に収容された前記記録媒体を取り出し、搬送対象物として搬送する搬送手段と、 前記搬送対象物による超音波の減衰量を示す値を出力する単一の超音波センサと、 前記搬送対象物に対する前記超音波センサによる出力結果に基づいて、前記搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する種類検知処理を実行する種類検知手段と、 前記超音波センサの出力結果に基づいて、前記搬送対象物が空隙を有する重畳状態か否かを検知する重畳検知処理を実行する重畳検知手段と、 前記搬送手段により最初に搬送される第1搬送対象物に対して前記重畳検知処理の実行を禁止する禁止手段と、を備えた記録媒体搬送装置。」 2 補正の目的 (1)本件補正は、本件補正前の「超音波センサ」の数を、「単一の」に限定するとともに、「前記搬送対象物に対する前記超音波センサによる出力結果に基づいて、前記搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する種類検知処理を実行する種類検知手段」を備えることを加えるものである。しかしながら、本件補正前の請求項1には「種類検知手段」に関して特定されていないため、上記の「種類検知手段」の追加は、本件補正前の請求項1の発明特定事項を限定するものとはいえない。 さらに、「種類検知手段」の追加によって、本件補正後の請求項1に係る発明が解決しようとする課題に、本件補正前の請求項1に係る発明の「搬送対象物が空隙を有する重畳状態か否かを検知する」という課題とは異なる、「単一の」超音波センサによる出力結果に基づいて、「搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する」点が追加されることは明らかである。そして、本件補正後の課題は、本件補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもなく、技術的に密接に関連しているとはいえないから、本件補正の前後において、発明の解決しようとする課題が同一であるとはいえない。 したがって、本件補正は、本件補正前の請求項1からみて、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものに該当しない。 (2)本件補正前の請求項3には、 「 前記第1搬送対象物に対する前記超音波センサによる出力結果に基づいて、前記第1搬送対象物の種類を検知する種類検知処理を実行する種類検知手段」が記載されているから、念のため、本件補正が、本件補正前の請求項1を削除して本件補正前の請求項1を引用する請求項3を請求項1に繰り上げたものとみることができるかについて検討しておく。 本件補正前の請求項3には、「前記第1搬送対象物の種類を検知する種類検知処理」が特定されているのに対して、本件補正後の請求項1には、「搬送対象物」が、搬送手段により最初に搬送される第1搬送対象物であるか否か特定されておらず、本件補正の目的が特許法17条の2第5項1号に規定する請求項の削除にあたるとみることはできない。 さらに、同じ理由により、本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項3を減縮したものともいえないから、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当しない。 (3)また、本件補正は、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。 (4)したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものである。 3 独立特許要件の判断 前記2のとおりであるが、仮に本件補正が特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するとして、以下、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2)各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 ア 引用文献1 (ア)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、出願前の平成23年3月10日に発行された特開2011-46539号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。 a 【0001】~【0006】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、搬送路上の媒体の種類や重送の有無を識別する媒体識別装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、この種の媒体識別装置は、複数のシート状の媒体である用紙を重ねて収容する収容部から分離しながら1枚づつ搬送して所定箇所に給送する給送装置に用いられている。例えば、複写機、プリンタ、印刷機などの画像形成装置の給紙装置、原稿搬送装置などの給送装置や、スキャナの原稿給送装置に用いられている。これらの給送装置での用紙の種類識別は、例えば、複写条件、プリント条件、印刷条件、原稿読み取り条件に関する最適条件が媒体の種類によって異なるため、最適条件設定のために行う。この種類識別の方法としては、ユーザの種類入力操作によって行う方法や用紙を検出して自動的に行う方法が知られている。また、これらの給送装置での重送(2枚以上の重なった状態で搬送すること)の識別は、次の理由で行う。例えば画像形成中に重送が発生すると、重なった用紙の搬送途中での分離により、転写用部材や定着用部材への巻き付きが発生する可能性が有る。これが発生するとマシンに多大なダメージを与えることが懸念される。仮に分離せずに排出されたとしても、画像形成後の用紙の束に対して、重送用紙の混入状態をユーザーが再確認しなければならず、余計な作業が発生する。特にステープル等の後処理後では手間が増える。このような不具合を回避するには、重送が発生したら直ちに画像形成等を停止するとともに重送発生をユーザに報知する必要がある。この停止や報知の制御のために重送有無の識別するのである。この識別の方法としては、反射光量や透過光量を用いるものが知られている。 【0003】 このうち、上記ユーザの種類入力操作で用紙の種類を識別するものでは、「用紙情報の誤設定」や「使用用紙のトレイへの誤セット」等のユーザーの操作ミスが発生するおそれがある。この操作ミスが発生すると、マシンが認識している用紙設定と異なる用紙が使用されることになる結果、定着性低下や転写条件の違いによる画像品質の低下、用紙ジャムの発生等の様々な障害の発生が懸念される。特許文献1で提案の発明では、ユーザによる種類入力操作と、用紙の種類の自動識別とを併用しているので、この懸念は少ない。この他にも、様々な技術が提案されている。なお、上記ユーザの種類入力操作は公用されていおり、また特許文献2や3にも記載されている。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来の提案は、紙種検出機能もしくは重送検出機能のそれぞれ個々の精度向上に関するものがほとんどであった。実際に用紙(媒体)を使用するシステムにおいては、紙種検出機能と重送検出機能とを有機的に連携させて機構の簡素化を図ることが望ましい。 本発明は、以上の背景の下なされたものであり、その目的とするところは、紙種検出機能と重送検出機能とを有機的に連携させて機構の簡素化を図ることができる媒体識別装置、この媒体識別装置を備えた画像形成装置、この媒体識別装置のコンピュータ用のプログラム、及び、このプログラムを記録した媒体を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記目的を達成するために、請求項1の発明は、搬送路上の媒体の厚み方向の透過光量を測定する様に配置された透過光量測定手段と、前記透過光量測定手段で測定した結果を記憶しておく測定値記憶手段と、使用する媒体の種類をあらかじめ設定する為の媒体設定手段と、前記媒体設定手段で設定される各媒体毎に割り当てられる透過光量の情報を記憶している媒体情報記憶手段とを備え、媒体が搬送されてくるタイミング1回毎に透過光量測定を行うと共に、最初に搬送されてくる媒体に対しては媒体の種類判別を行い、かつ、それ以降搬送されてくる媒体に対しては重送検出を行うことを特徴とするものである。 ・・・中略・・・ 【発明の効果】 【0006】 請求項1乃至28の発明によれば、媒体種類の識別と、重送の検出とで、検出手段を兼用できる。この結果、機構の簡素化によるコストダウンを図ることができるという効果がある。」 b 【0008】~【0020】 「【0008】 〔実施形態1〕 以下、本発明を画像形成装置としての複写装置の給紙装置に適用した実施形態について説明する。まず、図1を用いてこの複写装置の概略について説明する。この画像形成装置は、原稿を走査して読み取り、デジタル化して用紙に複写する、いわゆるデジタルカラー複写機としての機能を有している。また、この画像形成装置は、原稿の画像情報を遠隔地と授受するファクシミリの機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷するいわゆるプリンタの機能も有している。 【0009】 図1において、カラー画像形成装置の略中央に画像形成部1が設けられている。この画像形成部1の下方には、多段状の給紙部2が配置されている。この給紙部2の各段には、記録媒体である普通紙や、OHPシート、第2原図などのシート束を積載した給紙装置としての給紙トレイ21が配設されている。格段の給紙トレイ21は個別に本体に達して脱着可能であり、かつ、本体側にはこの脱着を検知するセンサが設けられている。この給紙部2は、必要に応じて別の給紙装置22を増設することができるように構成されている。画像形成部1の図中右側には開閉可能な手差しトレイ120も設けられている。図示のように上部が本体から離れるように移動して開いた状態で、このトレイ120上にシート束を積載可能である。トレイ120上のシート有無を検知するセンサも設けられている。上記画像形成部1の上方には、原稿を読取る読取部3が配設されている。また、画像形成部1の左側には、画像が形成されたシートを排紙収納するための排紙収納部4が配設されている。 ・・・中略・・・ 【0014】 一方、上記中間転写ベルト5上へのフルカラートナー像の画像形成動作に平行して、上記給紙部2の選択された給紙トレイ21からシートが順次1枚ずつ分離給紙される。すなわち、図示の給紙部2においては、給紙トレイ21に回動可能に支持された底板24上にシート束が積載されている。この底板24の回動によりシート束の最上位のシートがピックアップローラ25に当接可能な位置まで上昇する。この最上位のシートは、ピックアップローラ25の回転により給紙されて、リバースローラ27により1枚に分離される。そして、1枚に分離された最上位のシートは、給紙ローラ26の回転により、給紙トレイ21から送り出されて、その搬送経路下流側に配置されているレジストローラ23へと搬送される。 【0015】 上述のようにして分離搬送されたシートは、上記レジストローラ23のニップに突き当たることにより搬送が一時止められて待機される。レジストローラ23は、上記中間転写ベルト5上に形成されたフルカラートナー像と、上記シートの先端との位置関係が所定の位置になるよう、タイミングをとって回転を開始するように制御される。このレジストローラ23の回転により、待機されているシートが再び給紙される。これにより、このシートの所定位置に、上記転写装置51により、中間転写ベルト5上に形成されたフルカラートナー像が転写される。 【0016】 このようにしてフルカラートナー像が転写されたシートは、その搬送経路の下流側の定着部8に送り込まれる。この定着部8は、上記転写装置51により転写されたフルカラートナー像をシート上に定着する。フルカラートナー像が定着されたシートは、排紙ローラ41により上記排紙収納部4に排紙収納される。 ここで、上記シートの両面に画像形成を行う際は、分岐部91にてシートを分岐し、両面装置9を経由させることにより、シートの表裏を反転させる。この表裏が反転されたシートは、上記レジストローラ23のニップに突き当たることで、そのスキューが補正された後、上述の片面への画像形成時と同様にして裏面への画像形成が行われる。 【0017】 次に、この実施形態における特徴部である媒体識別装置について説明する。図2はこの媒体識別装置の機械的な要素の設置形態の一例を示すものである。21は給紙トレイ、23はレジストローラ、24は底板、25はピックアップローラ、26は給紙ローラ、27はリバースローラ、110は発光手段、111は受光手段、114は用紙である。給紙トレイ21下流搬送路上に、透過光量測定手段を構成する発光手段110及び受光手段111を備えており、給紙トレイ21の底板24に載置された用紙束115の最上位シートから順に繰り出し搬送されてくる用紙の透過光量を1回毎に測定する。なお、設置の箇所については、給紙部から画像形成部までの搬送路上であれば、特に問わないが、複数の搬送経路を有する装置であれば、それらが集結するレジストローラ近傍にひとつ設けることがコスト上望ましい。 【0018】 上記発光手段110は、ある所定の光量を出力する。上記受光手段111は、発光手段110から出力された光量を検出する。発光手段110と受光手段111とは識別対象となる用紙114を挟む様に配置され、その用紙の厚み方向の透過光量を測定できるようになっている。本実施形態では、発光手段110、受光手段111それぞれに対応した制御部を備えており、搬送されてくる媒体の透過光量を測定し、その光量レベルから媒体の種類を判別したり、重ね送り等の媒体の状態を検出したりする。 【0019】 図3は複写装置内の主な制御ユニットを図示している。 エンジン制御部101は、画像制御部1、給紙部2、定着部8といった複写装置の主要部の動作の基本制御を主に行っている。コントローラ制御部102には、外部のホストコンピュータ103、表示部104、入力部105等が接続されていて、動作に必要な外部情報を入手及び管理すると共に、エンジン制御部101に必要な情報を提供し、システム全体の動きを管理している。なお、表示部104は操作パネルのディスプレイを用いて構成できる。上記入力部105は同じく操作パネルに設けた操作ボタンで構成できるのに加え、又は、これに代え、上記ディスプレイをタッチパネルで構成した場合には、これも入力部105の一部又は全部として使用できる。 【0020】 そして、上記媒体識別装置の各種情報管理のための記憶部(媒体情報記憶手段や測定値記憶手段)及び各種判定手段(演算部)はエンジン制御部101、コントローラ部102、給紙部2に含まれる制御部の何れか一つにあるいは二以上の記憶部や演算部に構成する。使用する用紙の種類を予め設定するための媒体設定手段は、上記入力部105と、これからの入力を受け付けながら、媒体情報記憶手段としてのメモリ部に設定内容を記憶させるための所定のメモリ部に記録されている制御プログラムと、このプログラムを実行させる演算手段とで構成できる。表示部104に一定の表示をしながら、この設定操作をガイダンスするような制御プログラムにする場合には、さらに、表示部104も構成要素となる。このような媒体設定手段の具体的な構成としては、前述の従来公用の技術、特許文献2や3に開示の技術などを用いることができる。この媒体設定手段を構成する制御プログラムやそれを実行する演算部も、エンジン制御部101、コントローラ部102、給紙部2に含まれる制御部の何れか一つにあるいは二以上の記憶部や演算部に構成する。」 c 【0021】~【0026】 「【0021】 図4は、媒体識別の制御のフローチャートである。 先ず、上記媒体設定手段により使用する用紙種類を選択(設定)する(S2)。それにより、上記媒体情報記憶手段に予め記憶されている各媒体毎の透過光量テーブル(例えば表1の内容のテーブル)より、その選択された用紙種類に応じた範囲値情報(R1~R4)が呼び出され、媒体種類判別用の比較値(範囲値)Rzとして設定される(S2)。ここで、Rzを範囲値としている理由は、例えば普通紙といっても、市場には多種多様の普通紙レベルの媒体が存在し、測定される透過光量がある範囲に入っていれば「普通紙」とみなすことにより、情報量の多さとその管理の煩雑さを回避するためである。 【表1】 [図:0001437975000001.jpg] 【0022】 そして、媒体情報の設定が行われると、次に比較値Yをリセットする(S3)。この比較値Yは、前回測定した媒体の透過光量を保存しているもので、重送の判定に用いる比較パラメータである。次に、任意のタイミングで媒体の搬送が開始されると(S4)、所定のタイミングで透過光量の測定を行い、その値は測定値Xとしてメモリーに一時保管される(S5)。これまでが、透過光量測定までの一連の流れである。 【0023】 次に、搬送されてくる媒体が1枚目であるか否かを判定を行う。この判定により「媒体種類判別」「重送判断」のどちらを行うかを判断する。これは、S6に示すように、比較値Yに値がセットされているか否かで判断を行う。通常一枚目であれば、搬送開始前の準備で、媒体情報が設定(S2)された時、それに合わせてY値のリセット(S3)を行うことで(比較値Y= NULL)最初の1枚目とみなす事ができ、この場合は媒体種類判定の対象となるので、S7のルーチンに移行する。 【0024】 なお、用紙の不足(ペーパーエンド等)による補充や、用紙の再セットが発生したとみなされる場合は、次に補充されるべき用紙が同一レベルの用紙であるかどうかが判らない。すなわち、給紙部2の格段の給紙トレイ21や手差しトレイ120のうち、この補充や再セットが発生したとみられる場合、具体的には、給紙トレイ21の脱着を検知したタイミングや手差しトレイ120で紙無しを検知し、かつその後に紙有りを検知したタイミングでは、収容されている用紙が交換され別の種類のものになった可能性がある。よって、これらの場合にもY値のリセットを行うことが望ましい。また、装置本体の電源が遮断されたタイミングあるいは遮断後にオンされたタイミングも、電源遮断中に上記トレイ21,120について用紙の交換がされた可能性があるタイミングであり、このタイミングでもY値のリセットを行うことが望ましい。このようなリセットを行う制御や上記S3のプログラム及びこれを実行する演算部で、リセット手段が構成される。 【0025】 そして、S7において、測定値Xと範囲値情報Rzの比較を行い、XがRzの範囲内であれば、測定された用紙と用紙設定が合致していると判断し、測定値Xを比較値Yにセットし(S11)、搬送動作を継続する。S7においてXがRzの範囲外となった時は、用紙違いと判断して、搬送動作を中止し、「設定違い」もしくは「用紙のセット違い」が発生した旨を警告する(S13)。 なお、S11でセットする比較値Yが、測定値記憶手段に記憶される測定の結果に相当し、この比較値Yを格納するメモリ部が、測定値記憶手段に相当する。 【0026】 S12において継続して搬送が行われると判断した時は、再びS4に戻り、次の用紙の透過光量の測定を行う(S5)。そして、S6の判定においては、前用紙の測定値である比較値Yがセットされているので、2枚目(2回目)の測定とみなし、重送判定のフローに移行する(S9)。ここでは、比較値Y(前用紙)と後測定値X(後続用紙)の比較を行う。通常、重送(重ね送り)が発生した場合の透過光量は、2枚重ねであれば、1枚時のそれより、理論上で約半分以下に減衰する。これを利用して、重送を検出する。比較値Yは1枚時の測定値バラツキを考慮して、ある範囲を持つ値を用いている。例えば、前用紙の測定値がXである場合、比較値Y=X±30%程度に設定することにより1枚⇒1枚時の誤検知を確実に防止している。そして、測定値Xが比較値Yより大幅に異なる(低下)場合は、重送していると判断し(S9でY、S10)、搬送動作を中止し、重ね送りが発生した旨を警告する(S13)。以降、繰り返し。この繰り返しの間、S5とS11のステップも繰り返すことになるので、測定値記憶手段による記憶は、上記透過光量測定手段で用紙を測定する毎に記憶内容を書き換えながら行われることになる。 そして、S12において正常に一連の搬送動作が終了した場合には、それ以降、用紙設定を変更しない場合や、用紙を変更しない場合は、Y値をリセットしないことにより制御の簡素化を図っている。」 d 図面 「【図4】 [図:0001437975000002.jpg] 」 (イ)引用文献1の記載から把握できる事項 前記(ア)b【0008】の「以下、本発明を画像形成装置としての複写装置の給紙装置に適用した実施形態について説明する。」及び【0020】の「上記媒体識別装置の各種情報管理のための記憶部(媒体情報記憶手段や測定値記憶手段)及び各種判定手段(演算部)はエンジン制御部101、コントローラ部102、給紙部2に含まれる制御部の何れか一つにあるいは二以上の記憶部や演算部に構成する。」、前記(ア)c【0024】の「このようなリセットを行う制御や上記S3のプログラム及びこれを実行する演算部で、リセット手段が構成される。」との記載からすれば、画像形成装置が演算部を有し、当該演算部が、媒体識別の制御を行うものと理解できる。 したがって、前記(ア)b【0018】の「その光量レベルから媒体の種類を判別したり、重ね送り等の媒体の状態を検出したりする」との記載、前記(ア)c【0021】~【0026】の媒体識別の各処理の記載を踏まえると、以下の事項が把握できる。 「画像形成装置が演算部を有し、前記演算部が、媒体の種類を判別し、重ね送り等の媒体の状態を検出するものであって、S2~S7、S9のルーチンを実行すること」 (ウ)引用発明 前記(ア)及び(イ)より、引用文献1には、次のとおりの発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「画像形成部1の下方に、多段状の給紙部2が配置され、各段には、記録媒体である普通紙などのシート束を積載した給紙装置としての給紙トレイ21が配設され、シート束を積載可能である手差しトレイ120も設けられる画像形成装置であって(前記(ア)b【0008】、【0009】)、 画像形成動作に平行して、上記給紙部2の選択された給紙トレイ21からシートが順次1枚ずつ分離給紙され、給紙トレイ21の最上位のシートは、ピックアップローラ25の回転により給紙されて、給紙ローラ26の回転により、給紙トレイ21から送り出されて、その搬送経路下流側に配置されているレジストローラ23へと搬送され(前記(ア)b【0014】)、 給紙トレイ21下流搬送路上に、透過光量測定手段を構成する発光手段110及び受光手段111を備えており、給紙トレイ21の底板24に載置された用紙束115の最上位シートから順に繰り出し搬送されてくる用紙の透過光量を1回毎に測定し(前記(ア)b【0017】)、 演算部を有し、搬送されてくる媒体の透過光量を測定し、その光量レベルから前記演算部が媒体の種類を判別し、重ね送り等の媒体の状態を検出するものであり(前記(ア)b【0018】、前記(イ))、 媒体設定手段により使用する用紙種類を選択(設定)することにより、媒体情報記憶手段に予め記憶されている各媒体毎の透過光量テーブルより、その選択された用紙種類に応じた範囲値情報が呼び出され、媒体種類判別用の比較値(範囲値)Rzとして設定され(S2)(前記(ア)c【0021】)、 媒体情報の設定が行われると、比較値Yをリセットし(S3)、次に、任意のタイミングで媒体の搬送が開始されると(S4)、所定のタイミングで透過光量の測定を行い、その値は測定値Xとしてメモリーに一時保管され(S5)(前記(ア)c【0022】)、 次に、S6に示すように、比較値Yに値がセットされているか否かで、搬送されてくる媒体が1枚目であるか否かの判定を行い、「媒体種類判別」「重送判断」のどちらを行うかを判断し、一枚目であれば、搬送開始前の準備で、Y値のリセット(S3)を行うことで最初の1枚目とみなす事ができ、この場合は媒体種類判定の対象となるので、S7のルーチンに移行し(前記(ア)c【0023】)、 S7において、測定値Xと範囲値情報Rzの比較を行い、XがRzの範囲内であれば、測定された用紙と用紙設定が合致していると判断し、測定値Xを比較値Yにセットし(S11)、搬送動作を継続し、XがRzの範囲外となった時は、用紙違いと判断し(前記(ア)c【0025】)、 再びS4に戻り、次の用紙の透過光量の測定を行い(S5)、S6の判定においては、前用紙の測定値である比較値Yがセットされているので、2枚目(2回目)の測定とみなし、重送判定のフローに移行し(S9)、重送(重ね送り)が発生した場合の透過光量は、2枚重ねであれば、1枚時のそれより、理論上で約半分以下に減衰することを利用して、重送を検出する、媒体識別の制御を行い(前記(ア)c【0021】、【0026】)、 前記演算部がS2~S7、S9のルーチンを実行し(前記(イ))、 リセットを行う制御や上記S3のプログラム及びこれを実行する演算部で、リセット手段が構成される(前記(ア)c【0024】)、 画像形成装置。」 イ 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用され、出願前の平成25年4月11日に発行された特開2013-63843号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0004】 超音波センサを用いて、単葉の媒体が搬送されているか重送が発生しているかを検知する場合には、媒体の枚数だけでなく媒体の厚さによっても超音波センサの出力レベルが変化する。」 (イ)「【0023】 <2.第1実施例> 以下、原稿読取装置1の各実施例について説明する。第1実施例では第2センサ51として、搬送される原稿の厚さを検出する紙厚検知センサが使用される。紙厚検知センサとしては、光学式紙厚センサ、圧力センサ及び機械式センサなど様々な形式のセンサが利用可能である。例えば光学式紙厚センサは、原稿の表面の反射光の変位を検出することによって原稿の紙厚を検出する。圧力センサは、原稿の紙厚に応じて変化する圧力を検出する。機械式センサは、原稿に接するローラの移動量を検出する。 【0024】 CPU31は、紙厚検知センサである第2センサ51の出力信号によって、搬送される原稿が、紙原稿であるのか、紙原稿よりも厚いカードの様な原稿であるのかを区別する。CPU31は、紙厚が異なる複数種の原稿が搬送されても、重送であるか否かを判断できるように、原稿の紙厚に応じて超音波センサ50の出力を調整する。以下の説明において紙原稿よりも厚いカードの様な原稿のことを「カード原稿」と表記することがある。 【0025】 図4の(A)及び図4の(B)は、異なる調整状態における超音波センサ50の出力特性の説明図である。図4の(A)の実線100は、単数の紙原稿が搬送されている場合の出力特性を示し、点線101は、紙原稿の重送が発生している場合の出力特性を示す。重送のため区間102において超音波センサ50の出力Sが低下する。このため、CPU31は、超音波センサ50の出力Sが重送判定閾値Th1より小さいか否かで重送有無を判断することができる。 【0026】 実線110は、単数のカード原稿が搬送されている場合の出力特性を示し、点線111は、カード原稿の重送が発生している場合の出力特性を示す。カード原稿の場合は、重送が発生していなくても超音波センサ50の出力Sは重送判定閾値Th1より小さいため、CPU31は重送有無を判断することができない。 【0027】 そこで、CPU31は、第2センサ51の出力信号によりカード原稿の搬送を検出した場合には、カード原稿搬送時の出力特性が図4の(B)の実線110及び点線111となるように超音波センサ50の出力Sの強度を調整する。実線110は、単数のカード原稿が搬送されている場合の出力特性を示し、点線111は、カード原稿の重送が発生している場合の出力特性を示す。参考のため、実線100及び点線101は、超音波センサ50の出力調整前の紙原稿搬送時の出力特性を示したものである。図4の(B)に示す出力特性では、単数のカード原稿が搬送されている場合の出力110が重送判定閾値Th1を超え、カード原稿重送時の出力111は重送判定閾値Th1より小さくなる。このためCPU31は、カード原稿の重送有無を判断することができる。」 (ウ)「【0047】 <4.第3実施例> 続いて、他の実施例について説明する。第3実施例の第2センサ51は超音波センサ50と同様の構成を有する。以下の説明において、第2センサ51を「第2超音波センサ51」と表記する。CPU31は、第2超音波センサ51の検出信号に応じて、単数のカード原稿が搬送されているのか紙原稿の重送が発生しているのかを判断する。 【0048】 このため、第2超音波センサ51の出力特性を超音波センサ50の出力特性と変え、単数のカード原稿を検出している場合と紙原稿の重送を検出する場合とで出力値の差がより広くなるように調整される。なお、超音波センサ50と第2超音波センサ51との間の干渉を防ぐために、超音波センサ50と第2超音波センサ51で送信される超音波の周波数を異ならせることが好ましい。 【0049】 図8の(A)は、第2超音波センサ51の出力特性の第1例を示す図である。本調整例では、第2超音波センサ51が送信する超音波の送信周波数が調整される。超音波は、周波数が低いほど厚い原稿を透過しやすい特性を有する。したがって、第2超音波センサ51が送信する超音波の送信周波数を超音波センサ50よりも低く調整すれば、カード原稿搬送時の減衰レベルが低減される。一方で、重送検知時の超音波センサの出力の減衰は原稿間の空気層によるものである。したがって、超音波の送信周波数の変化による重送時の出力の変動はカード原稿搬送時の場合の変動よりも小さい。このため、第2超音波センサ51が送信する超音波の送信周波数を超音波センサ50よりも低くすれば、単数のカード原稿の搬送時と紙原稿の重送時とで出力値の差がより広くなる。 【0050】 実線100、点線101及び二点鎖線102は、超音波センサ50の出力特性を示し、それぞれ単数の紙原稿の搬送時、紙原稿の重送時及び単数のカード原稿の搬送時の出力特性を示す。点線201及び二点鎖線202は、第2超音波センサ51の出力特性を示し、それぞれ紙原稿の重送時及び単数のカード原稿の搬送時の出力特性を示す。第2超音波センサ51が送信する超音波の送信周波数は超音波センサ50よりも低く調整され、その結果、単数のカード原稿の搬送時の出力202の減衰は、超音波センサ50の場合の出力102よりも小さい。 【0051】 このため、単数のカード原稿の搬送時の出力202と紙原稿の重送時における出力201との差が、超音波センサ50の場合におけるそれぞれの出力102及び101の差よりも拡大する。したがって、カード検出閾値Th3と第2超音波センサ51の出力S2を比較して、S2<Th3か否かで紙原稿の重送と単数のカード原稿の搬送とを判別する場合に、カード検出閾値Th3の選定が容易になり精度が向上する。 【0052】 図8の(B)は、第2超音波センサ51の出力特性の第2例を示す図である。本調整例では、第2超音波センサ51において原稿へ超音波が入射する入射角が調整される。上述の通り重送検知時の超音波センサの出力の減衰は原稿間の空気層によるものである。このため、原稿へ超音波が入射する入射角が大きくなると、原稿間を通過する距離が長くなるため原稿重送時における減衰量が増加する。一方で、単数の原稿を透過する場合の入射角の違いによる減衰量の変動は重送時の場合の変動よりも小さい。このため、第2超音波センサ51における原稿への超音波の入射角を超音波センサ50よりも大きくすれば、単数のカード原稿の搬送時と紙原稿の重送時とで出力値の差がより広くなる。 【0053】 点線101及び二点鎖線102は、超音波センサ50の出力特性を示し、それぞれ紙原稿の重送時及び単数のカード原稿の搬送時の出力特性を示す。点線201及び二点鎖線202は、第2超音波センサ51の出力特性を示し、それぞれ紙原稿の重送時及び単数のカード原稿の搬送時の出力特性を示す。第2超音波センサ51における原稿への超音波の入射角は超音波センサ50よりも大きく調整され、その結果、重送発生時の出力201の減衰は、超音波センサ50の場合の出力101よりも大きい。このため、単数のカード原稿の搬送時の出力202と紙原稿の重送時における出力201との差が、超音波センサ50の場合におけるそれぞれの出力102及び101の差よりも拡大する。 【0054】 なお、第2超音波センサ51の送信周波数を超音波センサ50の送信周波数よりも低くする調整と、第2超音波センサ51の入射角を超音波センサ50の入射角よりも大きくする調整とを組み合わせてもよい。これらの調整のいずれか一方だけを行ってもよい。 【0055】 ある実施例では、超音波センサ50の送信周波数として200kHzが使用され、第2超音波センサ51の送信周波数が200kHzよりも低く調整される。他の実施例では、超音波センサ50の送信周波数として300kHzが使用され、第2超音波センサ51の送信周波数が300kHzよりも低く調整される。 【0056】 また、ある実施例では、超音波センサ50における超音波の入射角として15度が使用され、第2超音波センサ51における超音波の入射角が15度よりも大きな角度に調整される。ある実施例では、超音波センサ50における超音波の入射角として25度が使用され、第2超音波センサ51における超音波の入射角が25度よりも大きな値に調整される。 【0057】 以上の超音波センサ50及び第2超音波センサ51の出力に基づく搬送原稿の判別条件及び重送検知条件をまとめると次の表の通りとなる。 【0058】 【表1】 [図:0001437975000003.jpg] 【0059】 (1)超音波センサ50の出力Sが重送判定閾値Th1以上の場合には、単数の紙原稿が搬送されていると判断する。 (2)超音波センサ50の出力Sが重送判定閾値Th1よりも小さく、第2超音波センサ51の出力S2がカード検出閾値Th3以上の場合には、単数のカード原稿が搬送されていると判断する。 (3)超音波センサ50の出力Sが重送判定閾値Th1よりも小さく、第2超音波センサ51の出力S2がカード検出閾値Th3よりも小さい場合には、紙原稿の重送が発生していると判断する。 【0060】 以下、図9を参照して、第3実施例における重送検知処理を説明する。ステップS301においてCPU31は、超音波センサ50の出力Sを検出する。ステップS302においてCPU31は、出力Sが重送判定閾値Th1より小さいか否かを判断する。出力Sが重送判定閾値Th1より小さい場合(ステップS302:Y)には処理はステップS304に進む。出力Sが重送判定閾値Th1以上の場合(ステップS302:N)には処理はステップS303に進む。ステップS303においてCPU31は、原稿の搬送経路として湾曲搬送路22を選択する。その後、処理が終了する。 【0061】 ステップS304において第2センサ51は、第2超音波センサ51の出力S2を検出する。ステップS305においてCPU31は、出力S2がカード検出閾値Th3よりも小さいか否かを判断する。出力S2がカード検出閾値Th3より小さい場合(ステップS305:Y)には処理はステップS308に進む。出力S2がカード検出閾値Th3以上の場合(ステップS305:N)には処理はステップS306に進む。 【0062】 ステップS306においてCPU31は、原稿の搬送経路を湾曲搬送路22から直線搬送路21に変更できるか否かを判断する。搬送経路を直線搬送路21に変更できる場合(ステップS306:Y)には処理はS307へ進む。搬送経路を変更できない場合(ステップS306:N)には、処理はS303へ進む。S307においてCPU31は、経路切換部23により原稿の搬送経路を湾曲搬送路22から直線搬送路21に切り替える。ステップS306における判断に関わらず、CPU31は、搬送原稿がカード原稿であると判断した場合には原稿の重送検知を無効化する。」 ウ 引用文献3 原査定の拒絶の理由に引用され、出願前の平成19年7月5日に発行された特開2007-168928号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0004】 しかし、記録紙と記録紙との間の空気層に応じた超音波センサの出力レベルの変化に基づいて記録紙の重送を検出するため、例えば封筒などの内部に空気層を有する記録紙を搬送する場合は、1枚のみ搬送していても重送が検出され、印刷処理が停止されるという問題を有する。また、封筒以外に、保護シートを添えて付着させるOHP(OverHead Projector)シート、2枚のシートを貼り合せたケント紙などの内部に空気層を有する場合も、1枚のみ搬送していても重送が検出され、印刷処理が停止される。また、空気層が分布している和紙などの記録紙も、1枚のみ搬送していても重送が検出され、印刷処理が停止される。そのため、画像形成処理が行えないという問題が生じる。 【0005】 本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、搬送されるシートの種類を受付け、受付けたシートの種類及び重送の検出結果に基づいてシートの搬送を停止するように構成したことにより、シートの種類に応じて、重送によるシートの停止処理を変更することが可能なシート搬送装置、画像形成装置及びシート搬送制御方法を提供することを目的とする。」 (イ)「【0042】 超音波センサ8は、搬送される記録紙に対して発信部8aから信号を発信し、発信された信号を受信部8bで受信した検出信号を制御部10へ出力することで、信号のエネルギの大小に基づいて、搬送される記録紙の枚数、すなわち、重送を検出する。超音波センサ8としては、例えば、株式会社村田製作所のMA200D1-1を用いることが可能である。なお、重送を検出する手段としては、超音波センサに限定されるものではなく、他のセンサを用いることも可能である。 (ウ)「【0048】 制御部10は、超音波センサ8から出力された検出結果(検出信号のレベル)に基づいて、重送の有無を判定する。制御部(停止手段)10は、操作部18(受付手段)が受付けた記録紙(シート)の種類及び超音波センサ8の検出結果に基づいてシート搬送を一旦停止すると共に印刷処理を中止し、その後、記録紙を排出させる。より詳しくは、制御部10は、操作部18が受付けた記録紙の種類が所定の種類でない場合、重送の検出によって記録紙の搬送を停止し、操作部18が受付けた記録紙の種類が所定の種類の場合、重送が検出されても記録紙の搬送を停止しない。また、前記所定の種類の記録紙は、内部に空気層を有する記録紙であり、例えば封筒、保護シートを添えて付着させるOHPシート、2枚のシートを貼り合わせたケント紙、又は空気層が分布する和紙である。」 (エ)「【0055】 また、上述した各実施の形態においては、記録紙の重送を検出する手段として、超音波センサを用いる構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、光学センサなどを用いる構成であってもよい。しかし、光学センサを使用する場合、記録紙の搬送方向の長さを検出し、記録紙の先端と後端との間の距離は原稿の寸法よりも大きい場合に、重送であると検出するため、2枚の記録紙が全く重なった場合には、検出できない虞があり、検出精度の点では、超音波センサが優れている。」 エ 周知技術等 (ア)前記イ(ア)【0004】及び(ウ)【0050】、【0053】並びにウ(ア)【0004】の記載を踏まえると、次に示す事項は出願前に媒体搬送の分野において、当業者に広く知られた周知の事項(以下「周知事項1」という。)であったと認められる。 [周知技術1] 「超音波センサの出力に基づいて、厚いカードのような媒体や内部に空気層を有する媒体であることの検出ができること、及び、媒体の重送の検出ができること」 (イ)前記ウ(ア)【0004】及び(ウ)【0048】の記載を踏まえると、次に示す事項は出願前に画像形成装置の分野において、当業者に広く知られた周知の事項(以下「周知事項2」という。)であったと認められる。 [周知事項2] 「画像形成装置において、搬送される記録紙が、封筒などの内部に空気層を有する記録紙である場合があること。」 (3)本件補正発明と引用発明の対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 搬送装置について 引用発明の「画像形成装置」は、「画像形成動作に平行して、上記給紙部2の選択された給紙トレイ21からシートが順次1枚ずつ分離給紙され」るものであって、シートを搬送する機構を有する装置であるから、本件補正発明と引用発明は、「搬送装置」の発明である点で一致する。 イ 収容部について (ア)本件出願の発明の詳細な説明【0082】には「記録媒体の種類は、用紙と重畳紙とを含む。また、用紙は、普通紙、上質紙、再生紙または写真用紙を含む。重畳紙は、例えば、封筒である。」との記載が、【0072】には「超音波の減衰率は、用紙と重畳紙とで顕著な差がある。これは、重畳紙は2枚の用紙が重なっていることによる。2枚の用紙が重なると2枚の用紙の間に空隙が存在するため、1枚の用紙による超音波の減衰率に比較して重畳紙による超音波の減衰理知が顕著に小さくなる。」との記載がある。 (イ)前記(ア)に示した記載を踏まえれば、本件補正発明の「空隙を有する重畳紙」は、2枚の用紙が重なっている媒体で例えば封筒であり、「空隙を有しない用紙」は、1枚の普通紙等をいうものと理解できる。 (ウ)そして、引用発明の「給紙トレイ21」は、「記録媒体である普通紙などのシート束を積載した給紙装置」として設けられており、引用発明の「手差しトレイ120」も「シート束を積載可能」であるから、引用発明の「「給紙トレイ21」及び「手差しトレイ120」」は、本件補正発明の「収容部」に相当し、両者は、「空隙を有しない用紙である記録媒体を収容する」点で共通する。 ウ 搬送手段について 引用発明は、「給紙トレイ21の最上位のシートは、ピックアップローラ25の回転により給紙されて、給紙ローラ26の回転により、給紙トレイ21から送り出されて、その搬送経路下流側に配置されているレジストローラ23へと搬送され」るものであるところ、引用発明の「ピックアップローラ25」、「給紙ローラ26」、「レジストローラ23」は、前記イを踏まえれば、本件補正発明の「前記収容部に収容された前記記録媒体を取り出し、搬送対象物として搬送する搬送手段」に相当する。 エ 超音波センサについて 本件補正発明は、「前記搬送対象物による超音波の減衰量を示す値を出力する単一の超音波センサ」を備えるのに対し、引用発明は、「搬送されてくる媒体の透過光量を測定」する「発光手段110及び受光手段111」を備えるものであって、「発光手段110及び受光手段111」は一対でセンサを構成することは自明であって、単一のセンサと解することができるから、両者は、前記ウを踏まえると、「前記搬送対象物による測定値を出力する単一のセンサ」を備える点で共通するものの、本件補正発明が「超音波の減衰量を示す値」を出力する「超音波センサ」を備えるのに対し、引用発明が「透過光量」を出力する「発光手段110及び受光手段111」を備える点で相違する。 オ 種類検知手段について 引用発明は、測定した「光量レベル」から「媒体の種類を判別」するものであって、S7のルーチンにおいて、「測定値Xと範囲値情報Rzの比較を行い」、「測定された用紙と用紙設定が合致している」か「用紙違い」と判断するものであるから、引用発明のS7のルーチンは、「発光手段110及び受光手段111」の測定値に基づいて用紙の種類を決定する処理といえる。 したがって、引用発明の「演算部」のS7のルーチンを実行する部分は、本件補正発明の「種類検知手段」に相当する。 加えて、引用発明の「範囲値情報Rz」は「各媒体毎の透過光量テーブルより」、「呼び出され」た「媒体種類判別用の比較値(範囲値)」であるから、用紙の種類が複数種類のうちから決定されるものであることは明らかである。 したがって、前記ウ及びエを踏まえれば、本件補正発明と引用発明は、「前記搬送対象物に対する前記センサによる出力結果に基づいて、前記搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する種類検知処理を実行する種類検知手段」を備えるものである点で共通する。 カ 重畳検知手段について (ア)前記イ(ア)に示した記載を踏まえれば、本件補正発明の「搬送対象物が空隙を有する重畳状態」は、2枚の用紙が重なっている状態と理解できる。 (イ)引用発明は、測定した「光量レベル」から「重ね送り等の媒体の状態を検出」するものであって、S9の重送判定のフローにおいて、「透過光量」が、「減衰することを利用して」、「重送を検出する」ものであるから、引用発明のS9のルーチンは、「発光手段110及び受光手段111」の測定値に基づいて用紙の重ね送りを決定する処理といえる。 したがって、引用発明の「演算部」のS9のルーチンを実行する部分は、本件補正発明の「重畳検知手段」に相当する。 したがって、前記ウ及びエを踏まえれば、本件補正発明と引用発明は、「前記センサの出力結果に基づいて、前記搬送対象物が空隙を有する重畳状態か否かを検知する重畳検知処理を実行する重畳検知手段」を備えるものである点で共通する。 キ 禁止手段について (ア)本件出願の発明の詳細な説明【0077】の「CPU111は、ジョブ実行部51と、搬送制御部53と、を含む。」との記載、【0081】の「搬送制御部53は、・・・禁止部69と、・・・を含む。」との記載、及び【0086】の「重畳検知部65は、禁止部69から禁止信号が入力されている場合は重畳検知処理を実行しないが、禁止部69から禁止信号が入力されていない場合は重畳検知処理を実行する。」との記載からみて、発明の詳細な説明の「禁止部69」が本件補正発明の「禁止手段」に対応すると認められるところ、本件補正発明「禁止手段」は、CPUによる制御の一部であって、当該手段の信号出力の実行によって、その信号に基づいて重畳検知処理が行われないという作用機能を奏する手段と理解できる。 (イ)そこで検討するに、引用発明の「リセット手段」は、「Y値のリセット」を行う「S3のプログラム」及び「これを実行する演算部」であり、「Y値のリセット」があることにより、S6において、「最初の1枚目とみなす事ができ、この場合は媒体種類判定の対象となるので、S7のルーチンに移行」するものであり、一方で、S6において、「用紙の測定値である比較値Yがセットされている」、すなわち、Y値のリセットがなければ、「2枚目(2回目)の測定とみなし、重送判定のフローに移行」するものである。 したがって、引用発明の「リセット手段」は、「Y値のリセット」の実行によって、重送判定が行われないものであるから、前記(ア)より、本件補正発明の「禁止手段」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明は、前記ウ及びカも踏まえれば、「前記搬送手段により最初に搬送される第1搬送対象物に対して前記重畳検知処理の実行を禁止する禁止手段」を備えるものである点で一致する。 ク 対比のまとめ 前記ア~キより、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点、相違点を有するものと認められる。 [一致点] 「 空隙を有しない用紙である記録媒体を収容する収容部と、 前記収容部に収容された前記記録媒体を取り出し、搬送対象物として搬送する搬送手段と、 前記搬送対象物による値を出力する単一のセンサと、 前記搬送対象物に対する前記センサによる出力結果に基づいて、前記搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する種類検知処理を実行する種類検知手段と、 前記センサの出力結果に基づいて、前記搬送対象物が空隙を有する重畳状態か否かを検知する重畳検知処理を実行する重畳検知手段と、 前記搬送手段により最初に搬送される第1搬送対象物に対して前記重畳検知処理の実行を禁止する禁止手段と、を備えた記録媒体搬送装置。」 [相違点1] 本件補正発明の「収容部」が、「空隙を有する重畳紙と」空隙を有しない用紙とのいずれかの記録媒体を収容するのに対し、 引用発明の「「給紙トレイ21」及び「手差しトレイ120」」は、「普通紙など」の記録媒体を収容するものの、「空隙を有する重畳紙」を収容することが特定されていない点。 [相違点2] 単一のセンサが、本件補正発明においては「超音波の減衰量を示す値」を出力する「超音波センサ」であり、「種類検知手段」及び「重畳検知手段」が「前記超音波センサ」の出力結果に基づいてそれぞれの処理を実行するものであるのに対し、 単一のセンサが、引用発明においては「透過光量」を出力する「発光手段110及び受光手段111」であり、「演算部」が当該「透過光量」を用いて「媒体の種類を判別」し、「重ね送り等の媒体の状態を検出」するものである点。 (4)相違点についての判断 ア 相違点1について 前記(2)エ(イ)周知事項2に示すように、画像形成装置において、搬送される記録紙が、封筒などの内部に空気層を有する記録紙である場合があることは、広く知られた周知の事項であるところ、前記(3)イ(ア)の記載を踏まえれば、当該封筒などの内部に空気層を有する記録紙は、本件補正発明の「空隙を有する重畳紙」に相当する。 そして、引用発明の画像形成装置において、記録対象は、用途等に応じて適宜選択し得る事項であって、当該周知の封筒などの内部に空気層を有する記録紙を用い、これを「普通紙など」とともに、「「給紙トレイ21」及び「手差しトレイ120」」に収容することは、当業者が適宜なし得る程度の設計変更にすぎない。 イ 相違点2について 前記(2)エ(ア)周知技術1に示すように、超音波センサの出力に基づいて、厚いカードのような媒体や内部に空気層を有する媒体であることの検出及び、媒体の重送の検出を行うことは、媒体搬送分野の周知技術である。 そして、引用発明において、媒体の種類を判別したり、重ね送り等の媒体の状態を検出する「発光手段110、受光手段111」に換えて、周知技術1に示す超音波センサとし、その出力に基づいて、厚いカードのような媒体や内部に空気層を有する媒体であることの検出及び、媒体の重送の検出を行うことは、センサの均等物と認められる手段への置換であって、単なる設計変更にすぎない。 (5)請求人の主張について ア 審判請求書における主張 請求人は審判請求書の[5](b)において、概略次のとおりの主張をしている。 (ア)引用発明の光学センサ(発光手段110及び受光手段111)と本件補正発明の超音波センサでは、紙種や空隙の検知原理および閾値設定が大きく異なり、また、超音波センサであれば、空隙を有する封筒と通常用紙との減衰量差が光学センサより顕著に表れるため、光学センサを超音波センサに置き換えることは容易ではない。 (イ)本件補正発明における記録媒体搬送装置は、単一の超音波センサを備えている点で、引用文献2と異なり、単一の超音波センサを用いて、最初の1枚を「重送判定」ではなく「種類検知」に当てることで、「封筒か否か」を先に確定し、その後の重送検知処理ではその判定結果に基づいた閾値を用いるため、部品のコストを抑制することができる。 (ウ)引用文献1および引用文献3記載の発明は、センサ値のみから複数種類のいずれの種類であるかを判断しておらず。このため、ユーザーによる設定が誤っている場合には、紙種を正確に判断することができない。これに対して、本件補正発明は、超音波センサによる出力結果に基づいて、搬送対象物の種類が複数の種類のうちから1つに決定されるため、ユーザーの誤った設定による誤作動が発生せず、収容部に空隙を有する重畳紙と空隙を有しない用紙とのいずれが収容されているか不明の状態において、封筒が重畳状態であるとの誤判断を防止したり、ユーザーの操作ミスを減らしたりすることがきるとの引用文献1~3に記載の発明のいずれからも奏することのない有利な効果を奏することができる。 イ 主張に対する検討 (ア)前記ア(ア)の主張について a 前記(2)イの引用文献2【0004】に「媒体の厚さによっても超音波センサの出力レベルが変化する」と記載され、引用文献2【0023】の第1実施例で「紙厚検知センサとしては、光学式紙厚センサ、圧力センサ及び機械式センサなど様々な形式のセンサが利用可能」と記載されることから、媒体の厚さによって出力を変えるセンサとして、超音波センサとともに光学式のセンサが把握できる。 b 前記(2)ウの引用文献3【0004】の「記録紙と記録紙との間の空気層に応じた超音波センサの出力レベルの変化に基づいて記録紙の重送を検出するため・・・封筒などの内部に空気層を有する記録紙を搬送する場合は、1枚のみ搬送していても重送が検出され、・・・保護シートを添えて付着させるOHP(OverHead Projector)シート、2枚のシートを貼り合せたケント紙などの内部に空気層を有する場合も、1枚のみ搬送していても重送が検出され」との記載から、内部に空気層を有する記録紙であることは超音波センサによって検出可能であることが把握でき、引用文献3【0055】の「記録紙の重送を検出する手段として、超音波センサを用いる構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、光学センサなどを用いる構成であってもよい」との記載から、重送、内部に空気層を有する記録紙であることは、超音波センサでなく、光学センサを用いても検知できることが把握できる。 c 本件補正発明の超音波センサと引用発明の発光手段110及び受光手段111は、その検知原理、閾値や感度等が異なるとしても、前者が超音波の減衰量を、後者が透過光量の減衰量という物理量の減衰の程度により判別するという近接した技術といえ、前記a及びbのとおり、光学センサと超音波センサとが同列の手段として記載されることも踏まえれば、媒体の検出を行うセンサとして均等物の範囲であって、置換が不可能とまではいえない。 d したがって、審判請求書における前記ア(ア)の主張は採用できない。 (イ)前記ア(イ)の主張について 本件補正発明は、「前記搬送対象物に対する前記超音波センサによる出力結果に基づいて、前記搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する種類検知処理を実行する種類検知手段」を備えるものであるところ、「最初の1枚」を種類検知に当てることが特定されておらず、 請求人の前記ア(イ)の効果の主張は、請求項の記載に基づかない主張である。 これをおくとしても、前記(3)エのとおり、引用発明は単一のセンサを用いるといえ、これを前記(4)イのとおり、超音波センサと置換することが設計変更と判断できたものであるところ、前記ア(イ)で主張する部品のコストを抑制するとの作用効果は、単一のセンサを用いる引用発明が有するものであって、本件補正発明における格別のものとして考慮することはできない。 したがって、審判請求書における前記ア(イ)の主張は採用できない。 (ウ)前記ア(ウ)の主張について 本件補正発明は、「前記搬送対象物に対する前記超音波センサによる出力結果に基づいて、前記搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する種類検知処理を実行する種類検知手段」を備えるものであるところ、センサ値のみから複数種類のいずれの種類であるかを判断することが特定されているものではなく、引用発明においても、センサによる出力結果に基づいて搬送対象物の種類を決定している点で両者に異なるところはない。 したがって、請求人の前記ア(ウ)の効果の主張は、請求項の記載に基づかない主張であって、採用できない。 (エ)審判請求書の請求人の主張はいずれも採用できない。 (6)小括 したがって、引用発明において前記相違点1~2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本件補正発明の奏する作用効果としては、当業者が予測困難であり、格別顕著なものは、認めることができない。 したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び周知事項2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 本件補正の適否についてのまとめ 前記2において示したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同項の規定に違反するものである。 仮に本件補正が特許法第17条の2第5項2号に掲げる事項を目的とするものに該当したとしても、前記3において示したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものである。 したがって、本件補正は、特許法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、前記第2に示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年4月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1 (進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2011-46539号公報 2.特開2013-63843号公報 3.特開2007-168928号公報 3 引用文献に記載された事項及び引用発明の認定 引用文献1~3に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア~ウにおいて示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から、「超音波センサ」を「単一の」との限定を削除して数を特定しないものとするとともに、「前記搬送対象物に対する前記超音波センサによる出力結果に基づいて、前記搬送対象物の種類として複数種類のうちから1つを決定する種類検知処理を実行する種類検知手段」の構成を削除するものである。 そうすると、本願発明と引用発明の相違点は、前記第2の3(3)の対比を踏まえると、前記相違点1及び相違点2になるところ、前記第2の3(4)ア及びイにおいて説示した理由と同様の理由により、引用発明において前記相違点1及び2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び周知事項2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである なお、前記相違点2に関して、令和6年7月17日付け拒絶理由通知書(最後)において、「引用文献1に記載の発明において代替的に超音波センサを採用することは当業者が容易に想到し得ることである。」と説示するとおり、引用発明において、センサにおける均等物の置換を行うことは当業者にとって容易であったことを論旨にするものであることは明らかであるから、当該拒絶理由通知書の論旨は審決における論旨と実質的に同様である。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-003262

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