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特許拒絶査定不服審判

2023-012098

レンズのためのレンズ本体、レンズのための外部筐体、レンズ系及びレンズ組立体

審判番号
2023-012098
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-112160外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年07月19日
審決日
2024年07月01日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-112160「レンズのためのレンズ本体、レンズのための外部筐体、レンズ系及びレンズ組立体」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月23日出願公開、特開2020- 13115〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和元年6月17日(パリ条約による優先権主張 2018年7月20日、ドイツ)の出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和 4年 9月30日付け:拒絶理由通知書
令和 4年12月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年 3月13日付け:拒絶査定(原査定)
令和 5年 7月19日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和5年7月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和5年7月19日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載

本件補正により、請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は、補正箇所である。)。

「【請求項1】
レンズ(2)のためのレンズ本体(1)であって、
- 内部筐体(6)を含み、
- 前記内部筐体(6)に調整可能に搭載された少なくとも1つの調整可能な機能要素(7、14)を含み、
- 前記内部筐体(6)に配置されたコントローラ(20)を含み、
- 前記内部筐体(6)の周囲に管状に延びる外部筐体(30)を可逆的に受けるように構成された固定デバイス(32)を含み、及び
- 前記コントローラ(20)のための信号又は前記コントローラ(20)からの信号を受信及び/又は送信する第1の信号インターフェース(24)を含み、前記第1の信号インターフェースは、円筒形状の前記内部筐体(6)の周方向に沿って配列されている、弾性を有する複数の接触構造を含み、前記第1の信号インターフェース(24)は、前記外部筐体(30)の相手方インターフェース(28)に可逆的に結合するように構成され 、
前記コントローラ(20)は、第1の数の機能を有し、
前記固定デバイス(32)は、工具レス保持機構を含む、レンズ本体(1)。」

(2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載

本件補正前の請求項1の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】
レンズ(2)のためのレンズ本体(1)であって、
- 内部筐体(6)を含み、
- 前記内部筐体(6)に調整可能に搭載された少なくとも1つの調整可能な機能要素(7、14)を含み、
- 前記内部筐体(6)に配置されたコントローラ(20)を含み、
- 前記内部筐体(6)の周囲に管状に延びる外部筐体(30)を可逆的に受けるように構成された固定デバイス(32)を含み、及び
- 前記コントローラ(20)のための信号又は前記コントローラ(20)からの信号を受信及び/又は送信する第1の信号インターフェース(24)を含み、前記第1の信号インターフェースは、前記内部筐体(6)に配置され、前記第1の信号インターフェース(24)は、前記外部筐体(30)の相手方インターフェース(28)に可逆的に結合するように構成され、
前記コントローラ(20)は、第1の数の機能を有し、
前記固定デバイス(32)は、工具レス保持機構を含む、レンズ本体(1)。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「内部筐体(6)」について、「円筒形状」との限定を付加するとともに、「第1の信号インターフェース」について、「前記内部筐体(6)に配置され」との記載を「円筒形状の前記内部筐体(6)の周方向に沿って配列されている、弾性を有する複数の接触構造を含み」と限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1) 本件補正発明について

本件補正後の請求項1に記載されたコントローラが有する「第1の数の機能」の記載は、コントローラが「第1の数の機能」の他に、「他の数の機能」を有することを前提とするものなのか、コントローラが他の数の機能を有することを前提とせず、「第1の数の機能」を有すれば足りるものなのか、判然としないから、本願明細書の記載を参酌する。

ア 本願明細書の記載によれば、レンズの機能は、録画された画像への効果(特に機能要素の調整による)及びデータ交換の両方により形成されており(【0010】)、「第1の数の機能」とは、録画された画像への効果(特に機能要素の調整による)及びデータ交換の両方により形成される機能として数えられる機能であることが理解できる。

イ コントローラが有する「第1の数の機能」は、「第1の信号インターフェースを介して(したがって外部筐体に配置された相手方インターフェースにより)選択可能且つ/又は検索可能である。」(【0016】)ものである。そして、「外部筐体は、コントローラにより提供される第1の数の機能に相対して変更された第2の数の機能を利用するように更に構成される。」(【0062】)ものであって、「外部筐体」の「識別ユニット」は、現在搭載されているレンズ本体のコントローラの側で提供された複数の情報から、外部筐体の機能範囲に対応する幾つかの情報のみを処理するように構成されるところ、レンズ本体の「コントローラ」は、特に利用可能な「全ての機能に関する情報を特に含む全ての情報を送信する」ように構成され、「外部筐体により利用可能な機能に割り当てられた情報のみを「選び」取る」ことから(【0055】、【0056】)、コントローラは「全ての機能」に相当する「第1の数の機能」を有しており、「第1の数の機能」以外の「他の数の機能」を有することを必須としているものではないことが理解できる。

ウ 一方、コントローラが有する「第1の数の機能」に相対して、外部筐体の識別ユニットで選び取られ、外部筐体で利用する機能について「第2の数の機能」という用語を用いており、本願明細書では、機能の数の「第1の数」をコントローラが有する機能の数について用い、「第2の数」を外部筐体が利用する機能の数について用いていることが理解できる。

エ 前記ア~ウを踏まえると、請求項1における「前記コントローラ(20)は、第1の数の機能を有し、」とは、コントローラが所定の数の機能の一組を有していれば足りることを意味すると認める。

オ よって、本件補正発明は、上記1(1)に記載した事項により特定され、「第1の数の機能」については、コントローラが所定の数の機能の一組である「第1の数の機能」を有すれば足り、コントローラが他の数の機能を有することは前提としないものと認定する。

(2) 本件補正発明の技術的意義

本件補正発明の目的とするところは、特に広い用途を有するカメラのレンズを可能にすることにある(【0004】)。

そして、本件補正発明は、前記内部筐体(6)の周囲に管状に延びる外部筐体(30)を可逆的に受けるように構成された固定デバイス(32)を含むことで、広い用途を有するカメラのレンズを可能にするものである。

このようにすることによって、レンズ本体は、異なる外部筐体(好ましくは異なる機能範囲を有する)を交換するようにも構成され、その結果、特に異なる用途でそれぞれ「合った」(全体)レンズ(レンズ系とも呼ばれる)を簡単に組み付けることができるという効果を有する(【0013】)。

(3) 引用文献の記載及び引用発明

ア 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である国際公開第2013/018453号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審が付した。)。

「背景技術
[0002] 直方体の撮影レンズ装置に複数の基板を配置する場合,長手方向に直交するように基板を配置することが考えられるが,撮影レンズ装置には長手方向にレンズ鏡筒が格納されているために,複数の基板を撮影レンズ装置の長手方向に直交するように配置することはできないことが多い。このためにカメラの筺体の内壁面に平行に基板が配置されているもの(特許文献1),外装部材内部に基板が設けられているもの(特許文献2),円柱状のカメラ・システム内に内壁に沿って基板が設けられているもの(特許文献3),レンズ鏡筒内に形成されている角柱の側面に基板が設けられているもの(特許文献4)などがある。また,テレビレンズ装置の電力不足によるノイズの混入を防止するもの(特許文献5)もある。
先行技術文献
特許文献
続きを表示(全15行)
[0003]特開2011-124784号公報
特開2010-11200号公報
特開2008-111980号公報
特開2007-114421号公報
特開平7-99599号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004] カメラ内に基板を配置するのでは,基板の故障などにより修理が必要な場合に,その故障した基板をカメラから取り外すことが難しい。
[0005] この発明は,複数の基板を配置しても基板の取り外しを容易とすることを目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] この発明は,(矩形状の)レンズ装置本体を収納する(矩形状の)撮影レンズ装置用カバーであって,それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されている複数の基板(複数の基板のうち,少なくとも二つ以上の基板構成が共通である)が,一側面の内側に設けられていることを特徴とする。」
「発明を実施するための形態
[0012] 図1は,この発明の実施例を示すもので,レンズ装置本体1と撮影レンズ装置用カバー30との斜視図である。レンズ装置本体1と撮影レンズ装置用カバー30とが組み合わせられて撮影レンズ装置となる。図1は,撮影レンズ装置を構成するレンズ装置本体1と撮影レンズ装置用カバー30とを背面側から見ており,奥側が撮影方向となる。
[0013] レンズ装置本体1は全体がほぼ直方体の矩形状である。レンズ装置本体1内にはズーム・レンズ,フォーカス・レンズなどが格納されている。
[0014] レンズ装置本体1の背面には正面から見てほぼ正方形のマウント板10が固定されている。このマウント板10の背面のほぼ中央にカメラ本体を装着するためのマウント21が形成されている。マウント21の右下にはカメラ本体とレンズ装置本体1とを電気的に接続するための雄コネクタ22が形成されている。マウント板10の一側面10Aにはインジケータ11および12ならびにバーチャル・システム接続用コネクタ13が設けられている。
続きを表示(全16行)
[0015] レンズ装置本体1の筺体2の一方の側面2Aの右上に取り付け部材5が取り付けられている。この取り付け部材5にねじ穴(雌ねじ)6が形成されている。レンズ装置本体1の筺体2の他方の側面(図1では見えない)にも取り付け部材5に対向する位置に,ねじ穴が形成されている取り付け部材が取り付けられている。
[0016] 撮影レンズ装置用カバー30は,中空の直方体の形状である。背面が開口されており(開口部34),上下左右のアルミニウム板(必ずしもアルミニウム板でなくともよい)31A,31B,31C,31Dによって囲まれている。図1においては見えないが撮影方向側の前面(図1では奥側)は開放されている。
[0017] 開口部34の左下には凸状のコネクタ37および38が設けられている。一側面のアルミニウム板31Bには,その一側面のアルミニウム板31Bに向かって右上部につまみ33が設けられている。このつまみ33には,雄ねじが形成されている。アルミニウム板31Bの反対側の側面31Dにもつまみ33に対向する位置につまみ(図示略)が形成されている。一側面のアルミニウム板31Bの内側にはそれぞれが独立している複数の基板41-52が配置されている。これらの基板の構成41-52はほぼ同じであり,それぞれの基板にはCPUが実装されている。複数の基板41-52はネットワーク・ラインにより接続されている。
[0018] 撮像レンズ用カバー30がレンズ装置本体1に装着される場合には,撮像レンズ用カバー30の開口部34を通ってレンズ装置本体1が撮像レンズ用カバー30に挿入されていく。レンズ装置本体1が撮像レンズ用カバー30に徐々に挿入されていくと,マウント板10と撮像レンズ用カバー30のアルミニウム板31A,31B,31Cおよび31Dの正面の端面とがぶつかる。すると,撮像レンズ用カバー30に形成されているコネクタ37および38とレンズ装置本体1に形成されているコネクタ7および8とがそれぞれ噛み合い,撮像レンズ用カバー30の内壁に配置されている基板とレンズ装置本体1とが電気的に接続される。一側面31Bに形成されているつまみ33および反対側の側面31Dに形成されているつまみをそれぞれまわすことにより,つまみ33等に形成されている雄ねじが取り付け部材5等に形成されている雌ねじ6等に入り込む。レンズ装置本体1に撮影レンズ装置用カバー30が着脱自在に装着されることとなる。
(当審注:「つまみ32等」は、「つまみ33等」の明らかな誤記であるため、誤記を正して摘記した。)
[0019] 撮影レンズ装置用カバー30が装着されているレンズ装置本体1から撮影レンズ装置用カバー30を外すときには,一側面31Bに形成されているつまみ33および反対側の側面31Dに形成されているつまみが緩められる。レンズ装置本体1が引っ張られることにより,レンズ装置本体1が撮影レンズ装置用カバー30から外れる。
(当審注:「一側面31Bに形成されているつまみ32」は、「一側面31Bに形成されているつまみ33」の明らかな誤記であるため、誤記を正して摘記した。)
[0020] 図2は,図1のII-II線に沿う断面図である。
[0021] 上述のように,一側面のアルミニウム板31Bには,それぞれが独立している(別々の基板)多数のCPU基板41-52(相互に着脱自在である)が配置(ビスなどで固定)されている。これらのCPU基板41-52のそれぞれにはCPUが実装されている。一つのCPUによって多数の処理が制御される場合には,多数の処理を並行して行うことができないが,この実施例では,基板のそれぞれにCPUが実装されているので,それぞれの基板に実装されているCPUを同時に駆動することにより多数の処理を同時に行うことができる。
[0022] カメラ通信CPU基板41は,カメラ本体と通信するものである。(中略)
[0023] (中略)また,カメラ通信CPU基板41とエクステンダ制御CPU基板52とコネクタ37とも互いにネットワーク・ラインにより接続されている。コネクタ37を通してレンズ装置本体1に設けられているメイン基板(図示略)とCPU基板41-52のいずれとも通信できることとなる。CPU基板41-52がネットワーク・ラインにより接続されているので,CPU基板41-52と通信するためのラインを少なくできる。ネットワーク・ラインに接続されているコネクタ37は一つであるが,二つ以上設けてもよい。アルミニウム板31Bに配置されている12個のCPU基板41-52の数よりも少ないコネクタを設けてレンズ装置本体1等と通信することもできる。CPU基板41-52のそれぞれと一対一にコネクタを形成してレンズ装置本体1等と通信する場合に比べてネットワーク・ラインの数(コネクタの数)を少なくできる。1本のネットワーク・ラインにすべてのCPU基板41-52が接続され,その1本のネットワーク・ラインがコネクタ37と接続されてもよい。
(当審注:「レンズ本体1」は、「レンズ装置本体1」の明らかな誤記であるため、誤記を正して摘記した。)」

「[0064] 上述した実施例では,CAN通信が利用されているがCAN通信以外のネットワーク技術を利用してもよい。たとえば,PROFIBUS,CC-Link,Interbus,EC-NETなどを利用することもできる。」

図1は次のものである。

[図1]

[図:0001417234000001.jpg]

図2は次のものである。

[図2]

[図:0001417234000002.jpg]

イ [0018]を参照しつつ、図1を見ると、撮像レンズ用カバー30の内側に形成されているコネクタ37および38とレンズ装置本体1の外側に形成されているコネクタ7および8が見て取れる。

ウ 上記ア及びイによれば、引用文献1には、発明を実施する形態(図1及び図2)に係るレンズ装置本体1について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明等の認定に根拠とした段落の段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。なお、「撮像レンズ用カバー30」と「撮影レンズ装置用カバー30」は、「撮像レンズ用カバー30」と統一して記載する。)。

「撮影レンズ装置を構成するレンズ装置本体1であって、([0012])
レンズ装置本体1は全体がほぼ直方体の矩形状であり、レンズ装置本体1内にはズーム・レンズ,フォーカス・レンズなどが格納され、([0013])
レンズ装置本体1の筺体2の一方の側面2Aの右上に取り付け部材5が取り付けられ、この取り付け部材5にねじ穴(雌ねじ)6が形成され、レンズ装置本体1の筺体2の他方の側面にも取り付け部材5に対向する位置に,ねじ穴が形成されている取り付け部材が取り付けられ、([0015])
撮像レンズ用カバー30がレンズ装置本体1に装着される場合には,撮像レンズ用カバー30の開口部34を通ってレンズ装置本体1が撮像レンズ用カバー30に挿入され、レンズ装置本体1が撮像レンズ用カバー30に徐々に挿入されていくと,マウント板10と撮像レンズ用カバー30のアルミニウム板31A,31B,31Cおよび31Dの正面の端面とがぶつかり、([0018])
撮像レンズ用カバー30の内側に形成されているコネクタ37および38とレンズ装置本体1の外側に形成されているコネクタ7および8とがそれぞれ噛み合い,撮像レンズ用カバー30の内壁に配置されている基板とレンズ装置本体1とが電気的に接続され、([0018]、図1及び前記イ)
撮像レンズ用カバー30の一側面31Bに形成されているつまみ33および反対側の側面31Dに形成されているつまみをそれぞれまわすことにより,つまみ33等に形成されている雄ねじが取り付け部材5等に形成されている雌ねじ6等に入り込み、レンズ装置本体1に撮影レンズ用カバー30が着脱自在に装着され、([0018])
撮像レンズ用カバー30が装着されているレンズ装置本体1から撮像レンズ用カバー30を外すときには,一側面31Bに形成されているつまみ33および反対側の側面31Dに形成されているつまみが緩められ、レンズ装置本体1が引っ張られることにより,レンズ装置本体1が撮像レンズ用カバー30から外れ、([0019])
一側面のアルミニウム板31Bには,それぞれが独立している(別々の基板)多数のCPU基板41-52(相互に着脱自在である)が配置(ビスなどで固定)され、([0021])
コネクタ37を通してレンズ装置本体1に設けられているメイン基板とCPU基板41-52のいずれとも通信できる([0023])
レンズ装置本体1。」

(4)対比

本件補正発明と引用発明を対比する。

ア 本件補正発明の「レンズ(2)のためのレンズ本体(1)であって、」及び「レンズ本体(1)」との特定事項について

引用発明の「レンズ装置本体1」は本件補正発明の「レンズ本体(1)」に相当する。

また、引用発明の「撮影レンズ装置」は、本件補正発明の「レンズ(2)」に相当する。

したがって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を備えている。

イ 本件補正発明の「- 内部筐体(6)を含み、」との特定事項について

引用発明のレンズ装置本体1の「筺体2」は、本件補正発明のレンズ本体(1)の「内部筐体(6)」に相当する。

したがって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を備えている。

ウ 本件補正発明の「- 前記内部筐体(6)に調整可能に搭載された少なくとも1つの調整可能な機能要素(7、14)を含み、」との特定事項について

引用発明の「ズーム・レンズ,フォーカス・レンズ」は、レンズ要素であるから、本件補正発明の「機能要素(7、14)」に相当する。

そして、引用発明の「ズーム・レンズ,フォーカス・レンズ」は、ズームやフォーカスをするために調整が可能であることは、自明である。

また、引用発明は、「レンズ装置本体1内にはズーム・レンズ,フォーカス・レンズなどが格納され」ており、「レンズ装置本体1」は「筺体2」を有することと、及び「筺体」は、「機器類を収める箱形の容器」(デジタル大辞泉)であることから、「筺体2」内に「ズーム・レンズ,フォーカス・レンズなどが格納され」ていることは明らかである。そうすると、引用発明の「筺体2」内に「ズーム・レンズ,フォーカス・レンズなどが格納され」は、本件補正発明の「前記内部筐体(6)に調整可能に搭載された少なくとも1つの調整可能な機能要素(7、14)を含み」に相当する。

したがって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を備えている。

エ 本件補正発明の「- 前記内部筐体(6)に配置されたコントローラ(20)を含み、」との特定事項について

引用発明の「メイン基板」は、本件補正発明の「コントローラ(20)」に相当する。

しかしながら、引用発明の「メイン基板」は、「レンズ装置本体1に設けられている」ものの、「筺体2」に設けられているかは明らかではない。

オ 本件補正発明の「- 前記内部筐体(6)の周囲に管状に延びる外部筐体(30)を可逆的に受けるように構成された固定デバイス(32)を含み、」との特定事項について

引用発明の「撮像レンズ用カバー30」は、「レンズ装置本体1」の周囲に管状に延びる「撮像レンズ用カバー30」であるといえ、本件補正発明の「内部筐体(6)の周囲に管状に延びる外部筐体(30)」に相当する。

また、引用発明は、「つまみ33」及び「つまみ」、「雄ねじ」、「雌ねじ6」並びに「取り付け部材5」により、「レンズ装置本体1に撮像レンズ用カバー30が着脱自在に装着され」る。したがって、引用発明の「撮像レンズ用カバー30が着脱自在に装着」するための「レンズ装置本体1の筺体2の」「取り付け部材5」及び「取り付け部材5に」「形成され」る「ねじ穴(雌ねじ)6」は、本件補正発明の「内部筐体(6)の周囲に管状に延びる外部筐体(30)を可逆的に受けるように構成された固定デバイス(32)」に相当する。

したがって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を備えている。

カ 本件補正発明の「- 前記コントローラ(20)のための信号又は前記コントローラ(20)からの信号を受信及び/又は送信する第1の信号インターフェース(24)を含み、前記第1の信号インターフェースは、円筒形状の前記内部筐体(6)の周方向に沿って配列されている、弾性を有する複数の接触構造を含み、前記第1の信号インターフェース(24)は、前記外部筐体(30)の相手方インターフェース(28)に可逆的に結合するように構成され、」との特定事項について

引用発明の「レンズ装置本体1の外側に形成されているコネクタ7および8」は、本件補正発明の「第1の信号インターフェース(24)」に、

引用発明の「撮像レンズ用カバー30の内側に形成されているコネクタ37および38」は、本件補正発明の「外部筐体(30)の相手方インターフェース(28)」に、

それぞれ相当する。

そして、引用発明の「コネクタ7および8」は、「メイン基板とCPU基板41-52のいずれとも通信」するためのものといえ、「前記コントローラ(20)のための信号又は前記コントローラ(20)からの信号を受信及び/又は送信する第1の信号インターフェース(24)」に相当する。さらに、引用発明の「コネクタ7および8」は、「レンズ装置本体1の外側に形成されている」から、本件補正発明と引用発明は、「第1の信号インターフェース」が「前記内部筐体(6)」「に」「配列されている」点で一致する。

また、引用発明は、「撮像レンズ用カバー30に形成されているコネクタ37および38とレンズ装置本体1に形成されているコネクタ7および8とがそれぞれ噛み合い,撮像レンズ用カバー30の内壁に配置されている基板とレンズ装置本体1とが電気的に接続され」るものであり、「レンズ装置本体1」と「撮像レンズ用カバー30」は「着脱自在」であるから、「撮像レンズ用カバー30に形成されているコネクタ37および38」と「レンズ装置本体1に形成されているコネクタ7および8」も「着脱自在」といえる。さらに、引用発明の「コネクタ7」又は「コネクタ8」は、「コネクタ37」又は「コネクタ38」と噛み合い、着脱自在に電気的に接続されるところ、そのような「コネクタ7」及び「コネクタ8」が複数の接触構造を備える接点を有することが一般的であるから複数の接触構造を含むといえ、加えて、引用発明は、「コネクタ7」と「コネクタ37」が噛み合い、「コネクタ8」と「コネクタ38」が噛み合うことからも、「コネクタ7」及び「コネクタ8」を備える引用発明は、複数の接触構造を含むといえる。そうすると、引用発明の「撮像レンズ用カバー30に形成されているコネクタ37および38が」「噛み合」う「コネクタ7および8」は、本件補正発明の「複数の接触構造を含み、」「外部筐体(30)の相手方インターフェース(28)に可逆的に結合するように構成され」た「第1の信号インターフェース(24)」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明は、「- 前記コントローラ(20)のための信号又は前記コントローラ(20)からの信号を受信及び/又は送信する第1の信号インターフェース(24)を含み、前記第1の信号インターフェースは、」「前記内部筐体(6)」「に」「配列されている、」「複数の接触構造を含み、前記第1の信号インターフェース(24)は、前記外部筐体(30)の相手方インターフェース(28)に可逆的に結合するように構成され」る点で一致する。

キ 本件補正発明の「前記コントローラ(20)は、第1の数の機能を有し、」との特定事項について

(ア) まず、前記(1)で認定したとおり、本件補正発明の「第1の数の機能」は、コントローラが所定の数の機能の一組である「第1の数の機能」を有すれば足り、コントローラが他の数の機能を有することは前提としないものである。

(イ)a 引用発明の「レンズ装置本体1に設けられているメイン基板」は「CPU基板41-52のいずれとも通信できる」ものであるから、「メイン基板」は、「多数のCPU基板41-52」に対応した所定の数の機能を有していることは明らかである。

b また、引用文献1の[0064]には、「上述した実施例では,CAN通信が利用されているがCAN通信以外のネットワーク技術を利用してもよい。たとえば,PROFIBUS,CC-Link,Interbus,EC-NETなどを利用することもできる。」と記載されており、引用発明において各種ネットワーク技術を利用できるといえ、そうすると、引用発明の「メイン基板」は、ネットワーク技術を変更することにも対応できるように構成されており、CAN通信の機能とは異なるPROFIBUS,CC-Link,Interbus,EC-NETなどの機能も含めた所定の数の機能を有しているといえる。

(ウ) 前記a及びbのいずれからも、引用発明のメイン基板は、所定の数の機能の一組を有しているといえるから、本件補正発明の「前記コントローラ(20)は、第1の数の機能を有し、」に相当する。

したがって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を備えている。

ク 本件補正発明の「前記固定デバイス(32)は、工具レス保持機構を含む、」との特定事項について

本件補正発明の「工具レス保持機構」について、本願明細書に「固定デバイスは、各外部筐体を工具レスで搭載するように構成され、各外部筐体の工具レスの搭載のために提供される保持機構を含む。例として、この場合、固定デバイスは、バヨネットキャッチの部分 - 各外部筐体は、対応する相手方部分を担持する戻り止めツメ機構(又はキャッチフック)であって、外部筐体が内部筐体上に押され、戻り止めツメ又はキャッチフックでクリップ留めされる(又は「フック留め」される)、戻り止めツメ機構(又はキャッチフック)を含む。(中略)外部筐体の簡単な搭載可能性は、そのような工具レスの保持機構により更に促進される。」(【0022】)、「任意選択的な代替の一実施形態では、固定デバイスは、各ネジにより(したがって工具を使用して)外部筐体を内部筐体に固定するのに使用することができる複数のネジ継手を含む。」(【0024】)と記載されていることから、本件補正発明の「工具レス保持機構」は、内部筐体又は外部筐体に形成されており、内部筐体又は外部筐体以外の部材や道具を要することなく、内部筐体の周囲に管状に延びる外部筐体を可逆的に受けるように保持できるようにする機構を含んでいるといえる。

そして、引用発明は、「撮像レンズ用カバー30の」「側面」「に形成されている」「つまみを」「まわすことにより、つまみ33等に形成されている雄ねじが取り付け部材5等に形成されている雌ねじ6等に入り込み、レンズ装置本体1に撮像レンズ用カバー30が着脱自在に装着され、撮像レンズ用カバー30が装着されているレンズ装置本体1から撮像レンズ用カバー30を外すときには,一側面31Bに形成されているつまみ33および反対側の側面31Dに形成されているつまみが緩められ、レンズ装置本体1が引っ張られることにより,レンズ装置本体1が撮像レンズ用カバー30から外れ」るものであるところ、つまみは撮像レンズ用カバー30の一側面31B及び反対側の側面31Dに形成されており、これらのつまみには,雄ねじが形成されているから、撮像レンズ用カバー及びレンズ装置本体以外の部材や道具を要することなく、レンズ装置本体に撮像レンズ用カバーが装着される。よって、引用発明のつまみを使用してレンズ装置本体1に撮像レンズ用カバー30が着脱自在できるようにする「レンズ装置本体1の筺体2の」「取り付け部材5」及び「取り付け部材5に」「形成され」る「ねじ穴(雌ねじ)6」は、本件補正発明の「工具レス保持機構」に相当するといえる。

したがって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を備えている。

(5) 一致点及び相違点の認定

上記(4)によれば、本件補正発明と引用発明は、下記の点で一致し、下記の点で相違する。

【一致点】

「レンズ(2)のためのレンズ本体(1)であって、
- 内部筐体(6)を含み、
- 前記内部筐体(6)に調整可能に搭載された少なくとも1つの調整可能な機能要素(7、14)を含み、
- コントローラ(20)を含み、
- 前記内部筐体(6)の周囲に管状に延びる外部筐体(30)を可逆的に受けるように構成された固定デバイス(32)を含み、及び
- 前記コントローラ(20)のための信号又は前記コントローラ(20)からの信号を受信及び/又は送信する第1の信号インターフェース(24)を含み、前記第1の信号インターフェースは、前記内部筐体(6)に配列されている、複数の接触構造を含み、前記第1の信号インターフェース(24)は、前記外部筐体(30)の相手方インターフェース(28)に可逆的に結合するように構成され、
前記コントローラ(20)は、第1の数の機能を有し、
前記固定デバイス(32)は、工具レス保持機構を含む、レンズ本体(1)。」

【相違点1】

コントローラ(20)が、本件補正発明は、「前記内部筐体(6)に配置された」ものであるのに対し、引用発明は、レンズ装置本体1に設けられているものの、筺体2に設けられているのか明らかでない点。

【相違点2】

第1の信号インターフェースが、本件補正発明は、「円筒形状の」前記内部筐体(6)「の周方向」に「沿って」配列されているものであるのに対し、引用発明は、コネクタ7および8はレンズ装置本体1の外側に形成されているものの、レンズ装置本体1は全体がほぼ直方体の矩形状である点。

【相違点3】

第1の信号インターフェースが、本件補正発明は、「弾性を有する」ものであるのに対し、引用発明は、そのようなものか明らかでない点。

(6) 判断

ア 相違点1について

引用発明の「メイン基板」は、「レンズ装置本体1に設けられている」ところ、当業者は、「メイン基板」を「レンズ装置本体1」の所定の箇所に設けようとするといえる。

そして、レンズ装置本体に設けられている基板を配置する場合に、レンズ装置本体の筺体に基板を配置するようになすことは、周知技術であり(必要ならば、特開2009-217236号公報(【0091】及び図10)及び引用文献1の先行技術文献として提示された特開2008-111980号公報(【0016】及び図2)を参照されたい。)、レンズ装置本体1に設けられているメイン基板を配置する場合に、レンズ装置本体1の筺体2にメイン基板を配置するようになすことは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。

イ 相違点2について

(ア) 引用文献1の発明の解決しようとする課題は「カメラ内に基板を配置するのでは,基板の故障などにより修理が必要な場合に,その故障した基板をカメラから取り外すことが難しい」([0004])ことであって、課題を解決するための手段は、「(矩形状の)レンズ装置本体を収納する(矩形状の)撮影レンズ装置用カバーであって,それぞれが独立している複数の基板のそれぞれに制御回路が実装されており,基板同士がネットワーク・ラインにより接続されている複数の基板(複数の基板のうち,少なくとも二つ以上の基板構成が共通である)が,一側面の内側に設けられている」([0006])ことである。

そうすると、引用文献1において、レンズ装置本体を矩形状とすることは、課題を解決するための手段とはいえず、また、「(矩形状の)」が括弧書きで記載されていることからして、矩形状以外のレンズ装置本体でもよいことが把握できる。このことは、引用文献1の背景技術として、円柱状のカメラ・システム及び角柱のレンズ鏡筒([0002]及び[0003])が提示されており、引用文献1は、角柱のレンズ鏡筒以外の円柱状のカメラ・システムも想定していることとも整合する。

そして、円筒状のレンズ鏡筒は、レンズ鏡筒としてイメージされる最も一般的な形状として周知であり、多種多様な製品展開もされて最も多く流通している形状といえ、当業者であれば、矩形状以外のレンズ鏡筒として、最もイメージされる周知技術のような円筒形状の鏡筒のレンズ筐体(必要ならば、特開2001-249260号公報(【0007】、【0018】、【0036】、図2及び図4)、特開2009-217236号公報(請求項1、【0004】、【0052】、図1及び2)及び引用文献1の先行技術文献として提示された特開2008-111980号公報(【0009】、【0010】、図1及び図2)を参照されたい。)を具現化しようとするものといえる。

(イ) そうすると、(ア)で説示したように引用文献1が矩形状以外のカメラ・システムも示唆していることを当業者は理解でき、引用発明の、レンズ装置を具現化する上で、周知技術の円筒形状とすることは引用文献1に記載されているに等しい事項である。そして、引用発明を周知技術により具現化した構成では、筺体2が円筒形状である以上、コネクタ7及び8の配置は、必然的に光軸に対して円筒形状の筺体2の外側の周方向に沿って配列されることとなる。

また、引用発明を周知技術で具現化した構成における「つまみ33」及び「つまみ」、「雄ねじ」、「雌ねじ6」並びに「取り付け部材5」の配置として、ねじによる固定のしやすさを考慮して、レンズ装置本体1の円筒形状の外周面に対してねじが垂直となるような配置とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項である。

(ウ) よって、当業者は、相違点2に係る本件補正発明の構成を容易に想到することができる。

ウ 相違点3について

(ア) 引用発明は「撮像レンズ用カバー30に形成されているコネクタ37および38とレンズ装置本体1に形成されているコネクタ7および8とがそれぞれ噛み合い,撮像レンズ用カバー30の内壁に配置されている基板とレンズ装置本体1とが電気的に接続され」るものであるところ、コネクタ同士を安定的に電気的接続させるようにすることは、当業者が認識する一般的な課題である。

(イ) そして、レンズに関する技術において、弾性体を備えた電気的コネクタは、周知技術(必要ならば、特開2010-152398号公報(【0019】、【0021】、【0024】、図2及び図5)、特開2015-204225号公報(【0027】、【0028】及び図8)及び特開平11-327022号公報(【0011】~【0013】、図2、図5及び図6))を参照されたい。)であり、引用発明から出発した当業者であれば、上記一般的な課題を解決するために、上記周知技術を採用することは容易に想到し得たことであり、そのようにして、当業者は、相違点3に係る本件補正発明の構成に至る。

エ 本件補正発明の効果について

これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明及び周知技術に基づき当業者が予測し得た範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ 請求人の主張について

(ア) 請求人は、引用発明では、内部筐体は直方体状に形成されているので、本件補正発明のような円筒形状の内部筐体は引用文献1には記載も示唆もされていない旨主張するが、上記イで説示したとおりであるから、失当である。

(イ) 請求人は、本件補正発明では、周方向に沿って配列されている、弾性を有する複数の接触構造を含む第1の信号インターフェースであるのに対し、引用発明では、コネクタ7および8と開示されているだけである旨主張するが、上記イ及びウで説示したとおりである。

(7) 小括

したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和5年7月19日に提出された手続補正書による補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年12月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~28に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、

本願発明は、優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないという内容を含むものである。

3 進歩性について

(1) 引用文献の記載及び引用発明

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載及び引用発明は、上記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。

(2) 対比・判断

本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「内部筐体(6)」について、「円筒形状」との限定を削除し、「第1の信号インターフェース」について、「円筒形状の前記内部筐体(6)の周方向に沿って配列されている、弾性を有する複数の接触構造を含み」と限定されたものを、「前記内部筐体(6)に配置され」としたものである。

そして、「第1の信号インターフェース」について、本件補正発明の「円筒形状の前記内部筐体(6)の周方向に沿って配列されている、弾性を有する複数の接触構造を含み」との特定事項は、本願発明の「前記内部筐体(6)に配置され」との特定事項に含まれるものといえる。

そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の事項を追加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)~(6)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-012098

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