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特許訂正審判

2020-390077

電気機器筐体及び電気機器

審判番号
2020-390077
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2018-551476外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年08月25日
審決日
2020年12月11日
公報発行日
2021年04月30日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P141 .852-Y (H05K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条3項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項、特許法第126条第4項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6444576号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
特許第6444576号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1、2、4、5〕について訂正することを認める。

理由

目次 ▾ 11項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本件特許第6444576号は、2018年(平成30年)4月6日を国際出願日とする出願であって、同年12月7日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和2年8月25日に訂正審判(以下、「本件訂正審判」という。)の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容

本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6444576号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、4、5について訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。

1.訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」と記載されているのを、「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」に訂正する。(下線は、訂正箇所を表す。以下同様。)

請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。

2.訂正事項2

訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」と記載されているのを、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え、」に訂正する。

請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。

3.訂正事項3

訂正前の明細書の【0029】段落に「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」と記載されているのを、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」に訂正する。

第3 当審の判断

1.訂正事項1

(1)訂正の目的について

a.請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックの前記一端部は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の前記凸側面を拘束し、前記ロック位置に配置された前記第2のフックの前記突起は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の端面を拘束し、」との記載によれば、取付レールの他方の端部の鍔部を拘束するため、第1のフックが突出位置に配置されると同時に第2のフックはロック位置に配置されることは明らかである。そして、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は、それぞれ鍔部を拘束するために第1のフック及び第2のフックの同じ側に位置することが明らかである。

b.請求項1の「前記フックガイド部にスライド可能に設置され、一端部が前記取付空間に突出する突出位置と前記一端部が前記フックガイド部に埋没する退避位置との間をスライド移動する第1のフックと、突起を備え、前記突起が前記取付空間に突出するロック位置と、前記突起が前記取付空間に突出しないアンロック位置との間で回転可能に設置された第2のフックとを備え、」との記載によれば、第1のフックは突出位置と退避位置との間をスライド移動し、第2のフックはロック位置とアンロック位置との間で回転可能に構成されている。

そして、上記a.を踏まえると第1のフックが突出位置のときに第2のフックはロック位置となり、第1のフックが退避位置のときに第2のフックはアンロック位置となる。

c.請求項1の「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」との記載によれば、第2のフックには回転の支点を挟んで第1のカム面と第2のカム面が形成されており、第1のカム面を押し上げれば第2のカム面側が下がる方向に動くことは明らかである。

請求項1の「前記第1のフックは、前記第2のフック側に設けられた第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも前記一端部寄りで前記第2のフック側に設けられた第2の傾斜面とを備え、」との記載から、第1のフックには、一端部寄りに第2の傾斜面、一端部から離れた側に第1の傾斜面が設けられていることは明らかである。

また、請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」との記載から、第1の傾斜面と第1のカム面が当接し、第2の傾斜面と第2のカム面が当接するように構成されている。

そして、上記a.で検討したように、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は同じ側に位置していることを踏まえれば、第1のフックの一端部側の第2の傾斜面に第2のフックの突起側の第2のカム面が当接し、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面に第2のフックの突起とは離れた側の第1のカムが当接するように構成されているといえる。

また、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は、ともに取付レールの他方の端部の鍔部を拘束するため、第1のフックが突出位置、第2のフックがロック位置となるとき、第2のフックは突起が第1のフックに近づき取付空間に突出するように回転することは明らかである。

d.上記b.c.で検討した構成によれば、第1のフックを突出位置へ移動させると、第2のフックの突起が第1のフックに近づき取付空間に突出するロック位置となるように、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面が第2のフックの第1のカム面に当接してこれを押し上げ、第2のフックを回転させる必要があるところ、訂正前の請求項1には「・・・前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」と記載されており、第1のフックを突出位置とするときに当接する傾斜面とカム面が異なっており整合しない。

したがって、第1のフックと第2のフックの動作を考慮すると、請求項1の「前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」なる記載は、「前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」の誤記であることは明らかである。(下線は、当審で付加した。)

e.上記c.で検討したとおり、請求項1に係る発明は第1のフックの一端部側の第2の傾斜面に第2のフックの突起側の第2のカム面が当接し、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面に第2のフックの突起とは離れた側の第1のカムが当接するように構成されている。

そして、第1のフックを退避位置へ移動させると、第2のフックがアンロック位置となり、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は、取付レールの他方の端部の鍔部を拘束を解くため、第2のフックの突起が第1のフックから離れるように第2のフックが回転することは明らかである。このとき、第1のフックの一端部側の第2の傾斜面が第2のフックの第2のカム面に当接してこれを押し上げる必要があるところ、訂正前の請求項1には「・・・前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し」と記載されており、第1のフックを退避位置とするときに当接する傾斜面とカム面が異なっており整合しない。

したがって、第1のフックと第2のフックの動作を考慮すると、請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し」なる記載は、「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し」の誤記であることは明らかである。

f.また、明細書及び図面の以下あ.~お.の記載によれば、第1のフックを突出位置へ移動させると、第1の傾斜面1aが第1のカム面2aに当接して、第2のフックがロック位置へ回転し、第1のフックを退避位置へ移動させると、第2の傾斜面1bが第2のカム面2bに当接して、第2のフックがアンロック位置へ回転することは明らかである。

あ.「第2のフック2は、取付空間33への突出量が増大する方向に第1のフック1がスライドする際に第1の傾斜面1aに当接して、ロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第1のカム面2aと、取付空間33への突出量が減少する方向に第1のフック1がスライドする際に第2の傾斜面1bに当接して、アンロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第2のカム面2bとを有する。」(【0029】段落)

い.「第1のフック1が突出位置に配置される際に、第1のカム面2aが第1の傾斜面1aに当接して第2のフック2をロック位置に向けて回転させる。第1のフック1が退避位置に配置される際に、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第2のフック2をアンロック位置に向けて回転させる。」(【0030】段落)

う.「・・・図6に示すように、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第1のフック1が退避位置に配置されているとき・・・」(【0031】段落)

え.「・・・操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて突出位置に配置すると、第1の傾斜面1aと第1のカム面2aとが当接して第2のフック2が回転してロック位置に配置される。・・・」(【0034】段落)

お.「・・・操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて退避位置に配置する。これにより、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第2のフック2を回転させてアンロック位置に配置する。・・・」(【0035】段落)

g.更に、図7によれば、第1のフックが退避位置に移動しているときに、第2の傾斜面1b(図6を参照。)が第2のカム面2bに当接し、図8によれば、第1のフックが突出位置に移動しているときに、第1の傾斜面1aが第1のカム面2aに当接していることが明らかである。

h.以上によれば、請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」は、「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」の誤記であることは明らかである。

したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の有無について

訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていた事項に基づく訂正であり、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであること、すなわち新規事項を追加するものではないことは明らかである。

したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件について

訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とし、訂正前の誤記を正すものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものでもないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項及び同条第7項の規定に適合するものである。

2.訂正事項2

(1)訂正の目的について

a.上記「1.訂正事項1」の(1)c.で指摘したように、請求項1に係る発明は第1のフックの一端部側の第2の傾斜面に第2のフックの突起側の第2のカム面が当接し、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面に第2のフックの突起とは離れた側の第1のカムが当接するように構成されている。

また、請求項1に「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」と記載されている。

そうしてみると、第1のフックの一端部側が第2のフックの他端側に、第1のフックの一端部から離れた側が第2のフックの一端側に対応することになる。しかしながら、対応する側については同様の呼称を用いるのが一般的であることを踏まえれば、第1のフックの一端部側が第2のフック2の一端側に、第1のフックの一端部から離れた側が第2のフックの他端側に対応するのが自然である。

したがって、請求項1の「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え」との記載は、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え」の誤記であることは明らかである。

b.また、請求項1に係る実施例について記載された図6及び「符号の説明」の【0044】段落を見ると、第2のフック2の第1のカム面2aが設けられた側が他端23であり、第2のカム面2bが設けられた側が一端22と記載されていることに鑑みても、請求項1の訂正事項2に係る記載は、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え」の誤記であることは明らかである。

c.以上によれば、請求項1の「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」は、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え、」の誤記であることは明らかである。

したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の有無について

訂正事項2に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていた事項に基づく訂正であり、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであること、すなわち新規事項を追加するものではないことは明らかである。

したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件について

訂正事項2に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とし、訂正前の誤記を正すものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものでもないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項及び同条第7項の規定に適合するものである。

3.訂正事項3

(1)訂正の目的について

a.第2のフック2に関し、明細書の【0029】段落に「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」と記載されていることから、第2のフック2において第1のカム面2aが一端22側に、第2のカム面2bが他端23側に設けられているといえる。

明細書の【0029】段落の「第2のフック2は、取付空間33への突出量が増大する方向に第1のフック1がスライドする際に第1の傾斜面1aに当接して、ロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第1のカム面2aと、取付空間33への突出量が減少する方向に第1のフック1がスライドする際に第2の傾斜面1bに当接して、アンロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第2のカム面2bとを有する。」との記載によれば、第1のフック1の第1の傾斜面1aと第2のフック2の第1のカム面2aが当接し、第1のフック1の第2の傾斜面1bと第2のフック2の第2のカム面2bが当接するといえる。

また、明細書の【0028】段落には第1のフック1に関し「・・・第2の傾斜面1bは、第1の傾斜面1aよりも一端部11寄りに設けられている。」と記載されている。

そうしてみると、第1のフック1の一端部側が第2のフック2の他端23側に、第1のフックの一端部11から離れた側が第2のフックの一端22側に対応する。しかしながら、対応する側に対しては同一の呼称を用いるのが一般的であることを踏まえれば、第1のフックの一端部11側に対応する第2のフック2の端部を「一端22側」、第1のフックの一端部11から離れた側に対応する第2のフックの端部を「他端23側」とするのが自然である。

したがって、訂正事項3に係る明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

b.また、明細書の【0029】段落に対応する図6、及び【符号の説明】欄である【0044】段落を見ると、第1のフック1の一端部11の側が第2のフックの一端22の側に対応し、第1のフックの一端部11から離れている側に第2のフックの他端23の側が対応しているから、訂正事項3に係る明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

c.更に、訂正事項3は実施形態2に係る訂正であるところ、実施の形態1に係る記載ではあるが、明細書の【0015】【0016】【0044】段落及び図2によれば、第2のフック2の一端22側が第1のフック1の一端部11側と同一の側に構成されることが記載されている。したがって、訂正事項3に係る明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

d.以上によれば、明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

(2)新規事項の有無について

訂正事項3に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていた事項に基づく訂正であり、新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであること、すなわち新規事項を追加するものではない。

したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件について

訂正事項3に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、明細書における誤記の訂正を目的とするものであり、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではないことは明らかであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものでもないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項及び同条第7項の規定に適合するものである。

4.一群の請求項について

訂正事項1、2に係る訂正前の請求項1、2、4、5について、請求項2、4、5は請求項1を直接または間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。

よって、訂正前の請求項1、2、4、5に対応する本件訂正後の請求項1、2、4、5についての訂正事項1、2は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項についての訂正である。

訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0029】の請求項1に対応する部分について訂正するものであるから、一群の請求項である請求項1、2、4、5の全てについて行うものである。

よって、本件特許明細書に係る訂正事項3は、特許法第126条第4項の規定に適合する。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するので、この訂正を認める。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-390077

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