特許訂正審判
2021-390172
回転電機
- 審判番号
- 2021-390172
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-530749
- 登録番号
- 6918242
- 請求日
- 2021年10月27日
- 審決日
- 2022年01月07日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】三菱電機 株式会社
- 【請求人代理人】曾我 道治
- 【請求人代理人】吉田 潤一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 田合 弘幸
- 審判官 木戸 優華
- 分類
- P141 .852-Y (H02K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6918242号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6918242号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1~16〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6918242号は、2018年(平成30年)7月17日を国際出願日とする出願であって、令和3年7月26日に特許権の設定登録がされ、同年10月27日に訂正審判(以下、「本件訂正審判」という。)の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6918242号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるというものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「閉塞部材が、上記カバーと上記負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」と記載されているのを、「閉塞部材が、上記カバーと上記反負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~16も同様に訂正する)。
2 訂正事項2
願書に添付した明細書の段落[0007]に「閉塞部材が、上記カバーと上記負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」と記載されているのを、「閉塞部材が、上記カバーと上記反負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」に訂正する。
3 訂正事項3
願書に添付した明細書の段落[0008]に「閉塞部材によりカバーと負荷側ブラケットとの間の隙間が塞がれているので、」と記載されているのを、「閉塞部材によりカバーと反負荷側ブラケットとの間の隙間が塞がれているので、」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的
ア 本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「閉塞部材が、上記カバーと上記負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」と記載されている。
しかしながら、「カバー」は回転電機本体の「反負荷側」の反負荷側ブラケットに取り付けられた電力変換装置が備える部材であり、「負荷側ブラケット」は回転電機本体の「負荷側」にある部材であることから、「カバー」と「負荷側ブラケット」とは「隙間」といえる程度の空間を隔てて近接する関係になく、「カバー」との間に「隙間」が生じるのは、「反負荷側ブラケット」の方と考えられるので、上記記載における「上記負荷側ブラケット」は「上記反負荷側ブラケット」の誤記と解するのが相当である。
そして、かかる解釈は、本件特許の特許請求の範囲の請求項2の記載「上記閉塞部材は、上記カバーの上記筒状部に接する状態で、上記反負荷側ブラケットに固定されている」、及び同請求項3の記載「上記閉塞部材は、上記カバーの上記筒状部の上記反負荷側ブラケット側の端面に接している」とも整合するものである。
そうすると、本件特許の特許請求の範囲の記載から、請求項1における「閉塞部材が、上記カバーと上記負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」との記載に誤記があり、正しい記載として「閉塞部材が、上記カバーと上記反負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」との記載が、自明な事項として定まるといえる。
イ 本件特許の明細書には以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同様。)。
(ア)「【0012】
回転電機本体200は、負荷側ブラケットであるフロントブラケット1および反負荷側ブラケットであるリヤブラケット2とからなるハウジングと、固定子鉄心31および固定子巻線32を有する固定子3と、シャフト4および界磁巻線5を有する回転子6と、を備えている。」
(イ)「【0030】
従来技術では、制御ユニットが回転電機本体から離れて配置されていたので、制御ユニットのカバーと回転電機本体のリヤハウジングとの間に隙間が形成されていた。そこで、ねじなどの異物が、当該隙間から制御ユニットのヒートシンクとリヤハウジングとの間を通り、リヤハウジングの通風孔を通って回転電機本体内の回転部に到達していた。これにより、ファンなどの部品が損傷するおそれがあった。
【0031】
実施の形態1では、電力供給ユニット300と固定子巻線32とを電気的に接続するバスバー212と成形樹脂211とを一体成形してなるインサート成形体210により、カバー130の筒状部130bの開口縁部とリヤブラケット2との間の隙間を塞いでいる。これにより、ねじなどの異物が、カバー130内に入り込み、吸気口21からリヤブラケット2内に流入する事態の発生が抑制される。すなわち、インサート成形体210は、閉塞部材を構成している。」
(ウ)「【0034】
カバー130とリヤブラケット2との間の隙間がバスバー212と成形樹脂211とを一体成形してなるインサート成形体210により塞がれているので、ヒートシンク140に異物流入防止用の突起を設ける必要がない。・・・」
(エ)「【0059】
・・・また、上記各実施の形態では、バスバーのインサート成形体を閉塞部材として用いているが、閉塞部材は、バスバーのインサート成形体に限定されず、カバーとリヤブラケットとの間の隙間を塞ぐことができる部材であればよい。・・・」
上記(ア)から、「リヤブラケット2」が「反負荷側ブラケット」であり、上記(イ)から、従来技術では、「制御ユニットのカバーと回転電機本体のリヤハウジングとの間に隙間が形成されていた」ため、「ねじなどの異物が、当該隙間から制御ユニットのヒートシンクとリヤハウジングとの間を通り、リヤハウジングの通風孔を通って回転電機本体内の回転部に到達し」、「ファンなどの部品が損傷するおそれがあ」るという課題があったことが理解でき、上記(イ)~(エ)から、「カバー130」と「リヤブラケット2」(反負荷側ブラケット)との間の隙間が「インサート成形体210」(閉塞部材)により塞がれることにより、上記課題を解決したことが理解できる。
そうすると、本件特許の特許請求の範囲の請求項1における「閉塞部材が、上記カバーと上記負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」との記載に誤記があり、当該記載を「閉塞部材が、上記カバーと上記反負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」と正すことは、本件特許の明細書における発明が解決しようとする課題及び当該課題を解決するための手段の記載内容とも整合するものである。
ウ 以上のとおりであるから、本件特許の特許請求の範囲の請求項1における「閉塞部材が、上記カバーと上記負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」という記載は、「閉塞部材が、上記カバーと上記反負荷側ブラケットとの間の隙間を塞いでいる」の誤記であることは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)新規事項
上記(1)のとおり、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであり、また、本件特許の明細書における上記(1)イ(ア)~(エ)の記載内容と整合するものである。そして、上記(1)イ(ア)~(エ)の記載は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)にも同様に記載されている。すると、訂正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更
上記(1)のとおり、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それ自体で、及び、本件特許の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであり、かつ、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まり、その誤りを正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。また、訂正後の請求項1の記載を直接又は間接的に引用する、請求項2~16の訂正についても同様である。
よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件
上記(1)のとおり、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであって、訂正事項1によって訂正された請求項1~16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないから、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2及び訂正事項3について
訂正事項2及び訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の段落【0007】及び【0008】について、訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、訂正事項1と同様に、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とし、かつ同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とし、かつ同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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