特許訂正審判
2017-390142
生分解性樹脂製機械部品及び転がり軸受
- 審判番号
- 2017-390142
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2009-098071外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年12月11日
- 審決日
- 2018年02月19日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (F16C) / P141 .852-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .854-Y (F16C) / P141 .856-Y (F16C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項2号特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第5項、特許法第2条第3項第1号、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5321211号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5321211号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5321211号は、平成21年4月14日に特許出願され、その請求項1~4に係る発明は、平成25年7月26日にその特許権の設定登録がなされたものであって、平成29年12月11日に本件訂正審判が請求された。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5321211号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。(審決注:下線部分が訂正箇所である。)
1 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「転がり軸受の内輪、外輪、転動体、保持器及びシール部材の少なくとも1つの機械部品であり、かつ、ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなることを特徴とする生分解性樹脂製機械部品。」とあるのを、
「転がり軸受の内輪、外輪、転動体、保持器及びシール部材の少なくとも1つの機械部品であり、かつ、ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなることを特徴とする生分解性樹脂製機械部品の製造方法。」に訂正する。
2 訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項2に「イミド系架橋剤がカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂製機械部品。」とあるのを、
「イミド系架橋剤がカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂製機械部品の製造方法。」に訂正する。
3 訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項3に「ポリビニルアルコールが、鹸化度73~98モル%、オキシアルキレン基量0.1~5モル%、重合度500~1500であることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性樹脂製機械部品。」とあるのを、
「ポリビニルアルコールが、鹸化度73~98モル%、オキシアルキレン基量0.1~5モル%、重合度500~1500であることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性樹脂製機械部品の製造方法。」に訂正する。
4 訂正事項4
本件特許の特許請求の範囲の請求項4を削除する。
5 訂正事項5
本件特許の明細書の【発明の名称】に「生分解性樹脂製機械部品及び転がり軸受」とあるのを、
「生分解性樹脂製機械部品の製造方法」に訂正する。
6 訂正事項6
本件特許の明細書の段落【0001】に「本発明は、生分解製樹脂を成形してなる内輪や外輪、転動体、保持器、シール部材に関する。また、前記内輪や外輪、転動体、保持器、シール部材を備える転がり軸受に関する。」とあるのを、
「本発明は、生分解製樹脂を成形してなる内輪や外輪、転動体、保持器、シール部材の少なくとも1つの機械部品の製造方法に関する。」に訂正する。
7 訂正事項7
本件特許の明細書の段落【0007】に「上記目的を達成するために本発明は、下記の生分解性樹脂製機械部品及び転がり軸受を提供する。(1)転がり軸受の内輪、外輪、転動体、保持器及びシール部材の少なくとも1つの機械部品であり、かつ、ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させたことを特徴とする生分解性樹脂製機械部品。(2)イミド系架橋剤がカルボジイミド化合物であることを特徴とする上記(1)記載の生分解性樹脂製機械部品。(3)ポリビニルアルコールが、鹸化度73~98モル%、オキシアルキレン基量0.1~5モル%、重合度500~1500であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の生分解性樹脂製機械部品。(4)内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体を転動自在に保持してなり、シール部材を備える転がり軸受であって、内輪、外輪、転動体、保持器及びシール部材の少なくとも1つが上記(1)~(3)の何れか1項に記載の生分解性樹脂製機械部品であることを特徴とする転がり軸受。」とあるのを、
「上記目的を達成するために本発明は、下記の生分解性樹脂製機械部品の製造方法を提供する。(1)転がり軸受の内輪、外輪、転動体、保持器及びシール部材の少なくとも1つの機械部品であり、かつ、ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させたことを特徴とする生分解性樹脂製機械部品の製造方法。(2)イミド系架橋剤がカルボジイミド化合物であることを特徴とする上記(1)記載の生分解性樹脂製機械部品の製造方法。(3)ポリビニルアルコールが、鹸化度73~98モル%、オキシアルキレン基量0.1~5モル%、重合度500~1500であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の生分解性樹脂製機械部品の製造方法。」に訂正する。
8 訂正事項8
本件特許の明細書の段落【0019】に「耐加水分解性の点から特に好ましく、」とあるのを、
「耐加水分解性の点から特に好ましい。」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前請求項1の記載は、「……なることを特徴とする生分解性樹脂製機械部品。」であるから、訂正前の請求項1に係る発明(以下、「訂正前請求項1発明」という。)の対象は、「生分解性樹脂製機械部品」という「物」であることは明らかである。
そして、訂正前請求項1には、「ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなる」と特定されていることから、「生分解性樹脂製機械部品」に関し、その「製造方法」が記載されている。
ここで、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号にいう『発明が明確であること』という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である」(最高裁第二小法廷判決平成27年6月5日(平成24年(受)第1204号))と判示されている。
そこで、上記判示事項を踏まえて検討すると、訂正前請求項1には、「ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなる」との「生分解性樹脂製機械部品」の製造方法が記載されているから、「発明が明確であること」という要件を欠くおそれがあるものである。
そして、訂正事項1は、「発明が明確であること」という要件を欠くおそれがある訂正前請求項1を、「生分解性樹脂製機械部品の製造方法」として、「ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなる」ことを特定する訂正後請求項1に訂正するものであって、「発明が明確であること」という要件を満たすものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許の明細書の段落【0024】には「上記のポリビニルアルコール及びイミド系架橋剤、更には補強材や添加剤を混練して樹脂組成物とし、機械部品の形状に合せて成形する。混練は樹脂やゴム用の混練機を使用でき、例えばヘンシェルミキサーやタンブラー等を用いてドライブレンドしてもよく、バンバリーミキサーやニーダー、押出機、ロールミル等の混練り機を用いて溶融混練してもよい。成形方法にも制限はなく、樹脂やゴム用の成形機を用いることができが、生産性の点では射出成形が好ましい。また、成形後に切削加工してもよい。」、同段落【0025】には「本発明では、成形品を熱処理して機械的強度を高める。熱処理温度は120~170℃であり、140~150℃がより好ましい。120℃未満では架橋反応が進行せず、機械的強度等の物性向上が十分ではなく、170℃を超えると樹脂の熱劣化が起こるおそれがある。……」、同段落【0030】には「(実施例1~3、比較例1~3) ポリビニルアルコール系樹脂として日本合成化学工業社製『エコマティAX-300』(鹸化度93%、オキシアルキレン基含有)、ガラス繊維として日東紡マテリアル社製『ECS03』(エポキシ系シランカップリング剤処理品)を用い、ポリビニルアルコール系樹脂:ガラス繊維=70:30で配合したものに、イミド系架橋剤として日清紡績社製『カルボジライトLA-1』(4,4´-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、カルボイミド当量248)を表1に示す割合で添加し、東洋精機製作所製『ラボプラストミル』にて溶融混練(200℃、回転数30rpmで5分間)した。尚、表1に示すイミド系架橋剤量は、ポリビニルアルコール100質量部に対する量である。」、同段落【0031】には「得られた混練物を粉砕した後、成形温度190~210℃、金型温度50℃、冷却時間50秒にて日本精工社製深溝玉軸受用『6203』用の保持器(図2参照)及びシール部材を射出成形した。その後、145℃で24時間熱架橋処理を施した後……」と記載されており、また、同段落【0037】の【表1】には実施例1~3及び比較例1~3について、イミド系架橋剤(質量部)及び架橋条件がそれぞれ記載されている。
したがって、本件特許の明細書には、訂正後の請求項1に係る発明(以下、「訂正後請求項1発明」という。)に対応する「ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなる」「生分解性樹脂製機械部品の製造方法」が記載されていると解されるから、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
ア 発明が解決しようとする課題とその解決手段について
特許法第126条第6項は、第1項に規定する訂正がいかなる場合にも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない旨を規定したものである。
また、特許法第36条第4項第1号の規定により委任された特許法施行規則の第24条の2には、「特許法第36条第4項第1号の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。」と規定されているから、訂正前請求項1発明と訂正後請求項1発明において、発明が解決しようとする課題及びその解決手段が、実質的に変更されたものか否かにより、訂正後請求項1発明の技術的意義が、訂正前請求項1発明の技術的意義を実質上拡張し、又は変更されたものであるか否かについて検討する。
訂正前の本件特許の明細書の段落【0005】~【0007】の記載から、訂正前請求項1発明の課題は、「ポリビニルアルコールは、200℃以上の高融点であるものの、100℃程度で機械的性質が大きく低下する。また、分子内に水酸基を多量に有するために耐水性に劣り、大気中の水分でも吸水が進んで機械的性質の経時的な低下を起こし易い。そのため、特に転がり軸受の内輪や外輪、転動体として広範囲な用途に使用するには強度不足が懸念される場合がある。また、保持器やシール部材においても、更なる強度向上が求められている。」ことであり、その解決手段は、「生分解性樹脂製機械部品」について、「ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなる」ことである。
一方、訂正後の本件特許の明細書の段落【0005】~【0007】の記載から、訂正後請求項1発明の課題は、「ポリビニルアルコールは、200℃以上の高融点であるものの、100℃程度で機械的性質が大きく低下する。また、分子内に水酸基を多量に有するために耐水性に劣り、大気中の水分でも吸水が進んで機械的性質の経時的な低下を起こし易い。そのため、特に転がり軸受の内輪や外輪、転動体として広範囲な用途に使用するには強度不足が懸念される場合がある。また、保持器やシール部材においても、更なる強度向上が求められている。」ことであり、その解決手段は、「生分解性樹脂製機械部品の製造方法」について、「ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなる」ことである。
そうすると、訂正前請求項1発明と訂正後請求項1発明の課題には、何ら変更はなく、また、訂正前請求項1発明と訂正後請求項1発明の課題解決手段には、実質的な変更はない。
したがって、訂正後請求項1発明の技術的意義は、訂正前請求項1発明の技術的意義を実質上拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正による第三者の不測の不利益について
特許請求の範囲は、「特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべて」が記載されたもの(特許法第36条第5項)である。
また、特許法第126条第6項は、第1項に規定する訂正がいかなる場合にも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない旨を規定したものであって、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、言い換えれば、訂正前の発明の「実施」に該当しないとされた行為が訂正後の発明の「実施」に該当する行為となる場合、第三者にとって不測の不利益が生じるおそれがあるため、そうした事態が生じないことを担保したものである。
以上を踏まえ、訂正前請求項1発明と訂正後請求項1発明において、それぞれの発明の「実施」に該当する行為の異同により、訂正後請求項1発明の「実施」に該当する行為が、訂正前請求項1発明の「実施」に該当する行為を実質上拡張し、又は変更するものであるか否かについて検討する。
ここで、特許法第2条第3項第1号に規定された「物の発明」(訂正前請求項1発明)及び第3号に規定された「物を生産する方法の発明」(訂正後請求項1発明)の実施について比較する。
「物の発明」の実施(第1号)とは、「その物の生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為」であり、「物を生産する方法」の実施(第3号)とは、「その方法の使用をする行為」(第2号)のほか、その方法により生産した「物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為」である。ここで、「物を生産する方法」の実施における「その方法の使用をする行為」とは、「その方法の使用により生産される物の生産をする行為」と解されることから、「物の発明」の実施における「その物の生産」をする行為に相当する。
すると、「物の発明」の実施においては、物の生産方法を特定するものではないのに対して、「物を生産する方法の発明」の実施においては、物の生産方法を「その方法」に特定している点で相違するが、その実施行為の各態様については、全て対応するものである。
そして、訂正前請求項1発明は、「ポリビニルアルコールをベース樹脂とし、前記ベース樹脂100質量部に対し2~5質量部のイミド系架橋剤を含有する樹脂組成物を前記機械部品に成形した後、成形品を120~170℃で熱処理して架橋反応を進行させてなる」という製造方法(以下、「特定の製造方法」という)により「生分解性樹脂製機械部品」という物が特定された「物の発明」であるから、前記特定の製造方法により製造された「生分解性樹脂製機械部品」に加え、前記特定の製造方法により製造された「生分解性樹脂製機械部品」と同一の構造・特性を有する物も、特許発明の実施に含むものである。
一方、訂正後請求項1発明は、上記特定の製造方法を更に限定した製造方法により「生分解性樹脂製機械部品の製造方法」という方法が特定された「物を生産する方法の発明」であるから、前記特定の製造方法を更に限定した製造方法により製造された「生分解性樹脂製機械部品」を、特許発明の実施に含むものである。
したがって、訂正後請求項1発明の「実施」に該当する行為は、訂正前請求項1発明の「実施」に該当する行為に全て含まれるので、第三者にとって不測の不利益が生じるおそれはないから、訂正前請求項1発明の「実施」に該当する行為を実質上拡張し、又は変更するものとはいえない。
ウ 小括
訂正後請求項1発明の技術的意義は、訂正前請求項1発明の技術的意義を実質上拡張し、又は変更するものではなく、訂正後請求項1発明の「実施」に該当する行為は、訂正前請求項1発明の「実施」に該当する行為を実質上拡張し、又は変更するものとはいえないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2及び3について
上記「1」と同様の理由により、上記訂正事項2及び3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、また、特許法第126条第5項、第6項の規定に適合する。
3 訂正事項4について
上記訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、また、特許法第126条第5項、第6項の規定に適合する。
なお、訂正事項4は、請求項を削除する訂正であるから、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件についての判断を要しない。
4 訂正事項5~7について
上記訂正事項5~7は、上記訂正事項1~4の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と、明細書の記載との整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、また、特許法第126条第5項、第6項の規定に適合する。
5 訂正事項8について
訂正前の明細書の段落【0019】の末尾は、「耐加水分解性の点から特に好ましく、」と記載されており、日本語表記として適切ではなく、誤記であったと解されるところ、上記訂正事項8は、当該段落の末尾を、日本語表記として適切である「耐加水分解性の点から特に好ましい。」に訂正するものであるから、上記訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当し、また、特許法第126条第5項から第7項までの規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1~8は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項から第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-390142