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特許訂正審判

2018-390145

転がり軸受及びその製造方法

審判番号
2018-390145
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2011-514463
登録番号
特許第5601320号(P5601320)
請求日
2018年09月20日
審決日
2018年11月19日
公報発行日
2019年02月22日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】日本精工 株式会社
  • 【請求人代理人】松山 美奈子
審判長/審判官
  • 審判長 大町 真義
  • 審判官 内田 博之
  • 審判官 小関 峰夫
分類
P141 .851-Y (F16C) / P141 .852-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .854-Y (F16C) / P141 .855-Y (F16C) / P141 .856-Y (F16C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5601320号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第5601320号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5601320号(以下、「本件特許」という。)は、2010年5月21日(優先権主張:2009年5月21日日本国、2010年2月19日 日本国)を国際出願日とし、平成26年8月29日に特許権の設定登録がされ、平成30年9月20日に本件訂正審判の請求がされたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、審判請求書の請求の趣旨に記載されているとおり、特許第5601320号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その内容は次のとおりである。(審決注:下線部分が訂正箇所である。) 1 訂正事項1 特許請求の範囲の【請求項1】の「前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=5~30:70~95で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径2μm以下であり、かつ、SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製である」との記載を 「前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=20:80で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径0.8μm以下であり、かつ、SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製である」に訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~8についても同様に訂正する)。 2 訂正事項2 特許請求の範囲の【請求項2】の「転動体の表面において、10~30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が5個/300mm2以下である」との記載を 「転動体の表面において、10~30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が2個/300mm2以下である」に訂正する(請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~8についても同様に訂正する)。 3 訂正事項3 特許請求の範囲の【請求項9】の「少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、 SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=5~30:70~95の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径2μm以下である転動体を作製する工程」との記載を 「少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、 SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=20:80の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径0.8μm以下である転動体を作製する工程」に訂正する(請求項9を直接的又は間接的に引用する請求項10についても同様に訂正する)。 4 訂正事項4 明細書の段落【0009】の「(1)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受において、 前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=5~30:70~95で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径2μm以下であり、かつ、SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製であることを特徴とする転がり軸受。」との記載を 「(1)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受において、 前記転動体が、アルミナ成分と、ジルコニア成分またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分=20:80で含み、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が、何れも平均粒径0.8μm以下であり、かつ、SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であるアルミナ-ジルコニア系複合材料製であることを特徴とする転がり軸受。」に訂正し、 同段落【0009】の「(2) 転動体の表面において、10~30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が5個/300mm2以下であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。」との記載を「(2) 転動体の表面において、10~30μmのジルコニア塊またはイットリア-ジルコニア塊の個数が2個/300mm2以下であることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。」に訂正し、 同段落【0009】の「(9)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=5~30:70~95の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径2μm以下である転動体を作製する工程を有することを特徴とする転がり軸受の製造方法。」との記載を 「(9)少なくとも内輪、外輪、転動体及び保持器を備える転がり軸受の製造方法において、SiO2、Na2O及びFe2O3の各含有量が何れも0.3質量%以下であり、かつ、アルミナ原料粉末と、ジルコニア原料粉末またはイットリアを1.5~5モル%含有するイットリア-ジルコニア原料粉末とを、質量比で、アルミナ原料粉末:ジルコニア原料粉末またはイットリア-ジルコニア原料粉末=20:80の割合で混合してなる混合物を、転動体の形状に成形した後、成形物を焼結して、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子が何れも平均粒径0.8μm以下である転動体を作製する工程を有することを特徴とする転がり軸受の製造方法。」に訂正する。 5 訂正事項5 明細書の段落【0026】の「ポリα-オレフィン油を基油にした場合んは」との記載を、「ポリα-オレフィン油を基油にした場合には」に訂正する。 6 訂正事項6 明細書の段落【0040】の「耐約付き性」との記載を、「耐焼付き性」に訂正する。 7 訂正事項7 明細書の段落【0042】の「ボール紙件片」との記載を、「ボール試験片」に訂正する。 8 訂正事項8 明細書の段落【0056】の「酸化鉄が起点とする剥離」との記載を、「酸化鉄を起点とする剥離」に訂正する。 9 訂正事項9 明細書の段落【0072】の「(図11参照)」との記載を、「(図10参照)」に訂正する。 10 訂正事項10 図面の【図11】中の「本発明の範囲」との記載及び当該記載の範囲を示す矢印を削除し、ジルコニア含有量(質量%)70%及び90%の位置にある2本の太線を、ジルコニア含有量(質量%)80%の位置にある1本の太線に訂正する。 11 訂正事項11 図面の【図14】中の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、粒径2μmの位置から粒径0.8μmの位置に訂正する。 12 訂正事項12 図面の【図17】中の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、ジルコニア塊の個数5個の位置から2個の位置に訂正する。 13 訂正事項13 図面の【図18】中のジルコニア塊の個数5個以下を示す破線及び矢印を、ジルコニア塊の個数2個以下を示す破線及び矢印に訂正し、「請求項4の範囲」との記載を「請求項2の範囲」に訂正し、「本発明の範囲」をジルコニア塊の個数0個のプロットのみを囲む範囲に縮小するように訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正事項1について (1)訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体について、アルミナ成分とジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分との質量比を「5~30:70~95」から「20:80」に限定し、アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子の平均粒径の範囲を「2μm以下」から「0.8μm以下」に限定するものである。 同様に、訂正後の特許請求の範囲の請求項2~8は、直接的又は間接的に訂正後の請求項1の転動体の限定を引用することにより発明特定事項を限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 転動体について、明細書の段落【0069】【表8】には、アルミナ成分とジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である試験片Aを用いた場合、軸受の計算寿命に対する寿命比が「1.50」と向上することが示されており、同段落【0059】【表5】には、アルミナ成分とイットリア-ジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:イットリア-ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である場合に寿命比が「1.25」と向上することが示されている。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 上記(1)のとおり、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の範囲内で、転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体を、さらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。 また、訂正後の請求項2~8についても、訂正後の請求項1を引用することにより、発明特定事項を更に限定するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 上記(1)のとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する訂正前の請求項2~8の発明特定事項である転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体を、さらに限定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。 2 訂正事項2について (1)訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2の転動体の表面に形成される10~30μmのジルコニア塊の個数の範囲を「5個/300mm2以下」から「2個/300mm2以下」に限定するものである。 同様に、訂正後の特許請求の範囲の請求項3~8は、直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2の転動体の表面に形成される10~30μmのジルコニア塊の個数の限定を引用することにより発明特定事項を限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 転動体について、明細書の段落【0066】【表7】には、300mm2当たりの10~30μmのジルコニア塊の個数が「1個」及び「2個」(すなわち「2個/300mm2以下」)の場合に寿命比がそれぞれ「1.20」及び「1.25」と向上していること、並びに同段落【0069】【表8】には、試験片Aの300mm2当たりの10~30μmのジルコニア塊の個数が「0個」であり、寿命比が「1.50」であることが記載されている。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 上記(1)のとおり、訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2の範囲内で、転動体の表面に形成される10~30μmのジルコニア塊の個数の範囲を、さらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。 また、訂正後の請求項3~8についても、訂正後の請求項2を引用することにより、発明特定事項を更に減縮するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 上記(1)のとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項2及び請求項2を引用する訂正前の請求項3~8の発明特定事項である転動体の表面に形成される10~30μmのジルコニア塊の個数の範囲を、さらに限定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。 3 訂正事項3について (1)訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項9の転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体の作製工程について、アルミナ成分とジルコニア成分またはイットリア-ジルコニア成分との質量比を「5~30:70~95」から「20:80」に限定し、焼結粒子の平均粒径の範囲を「2μm以下」から「0.8μm以下」に限定するものであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正前の請求項9には、アルミナ原料粉末を焼結することが特定されているにも関わらず、平均粒径の範囲が限定される焼結粒子としてアルミナ焼結粒子が特定されておらず、発明が不明瞭となっているため、平均粒径の範囲が限定される焼結粒子としてアルミナ焼結粒子を明記し、焼結工程における原料と産物の関係を整合させるべく「アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子」と訂正するものであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものでもある。 同様に、訂正事項3により、訂正後の特許請求の範囲の請求項10は、訂正後の請求項9の転動体の作製工程についての記載を引用することにより発明特定事項を限定するものであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとともに、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものでもある。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 転動体について、明細書の段落【0069】【表8】には、アルミナ成分とジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である試験片Aを用いた場合、軸受の計算寿命に対する寿命比が「1.50」と向上することが示されており、同段落【0059】【表5】には、アルミナ成分とイットリア-ジルコニア成分とを質量比で「アルミナ成分:イットリア-ジルコニア成分=20:80」で含み、焼結粒子の平均粒径が「0.8μm」である場合に寿命比が「1.25」と向上することが示されている。 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 また、上記【表5】及び【表8】の平均粒径に関して、明細書段落【0057】には「試験7」について「アルミナ焼結粒子とイットリア-ジルコニア焼結粒子とが混在しており、アルミナ焼結粒子とイットリア-ジルコニア焼結粒子とを区別することなく個々の粒径を求め、平均粒径を算出した」と記載されており、段落【0067】には「試験7~9を踏まえ、・・焼結粒子の粒径を測定して平均粒径を求めた」と記載されているから、「アルミナ焼結粒子、ジルコニア焼結粒子またはイットリア-ジルコニア焼結粒子」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 上記(1)のとおり、訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項9の範囲内で、転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体の作製工程を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。 また、訂正後の請求項10についても、訂正後の請求項9を引用することにより、発明特定事項を更に限定するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 上記(1)のとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項9及び請求項9を引用する訂正前の請求項10の発明特定事項である転がり軸受に備えられるアルミナ-ジルコニア系複合材料製の転動体の作製工程を、さらに限定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、独立特許要件を満たす。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 4 訂正事項4について (1)訂正の目的について 訂正前の明細書の段落【0009】には、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2及び9に対応する記載があるところ、訂正事項1~3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2及び9の発明特定事項と一致せず、不明瞭となる。 訂正事項4は、訂正事項1~3による訂正後の特許請求の範囲の記載と、明細書の記載を整合させる訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項4は、明細書の記載を訂正事項1~3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項4は、明細書の記載を訂正事項1~3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 5 訂正事項5について (1)訂正の目的について 訂正前の明細書の段落【0026】の「ポリα-オレフィン油を基油にした場合んは」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「ポリα-オレフィン油を基油にした場合には」の誤記であることは明白である。 訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 訂正事項5は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。 6 訂正事項6について (1)訂正の目的について 訂正前の明細書の段落【0040】の「耐約付き性」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「耐焼付き性」の誤記であることは明白である。 訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 訂正事項6は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。 7 訂正事項7について (1)訂正の目的について 訂正前の明細書の段落【0042】の「ボール紙件片」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「ボール試験片」の誤記であることは明白である。 訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 訂正事項7は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。 8 訂正事項8について (1)訂正の目的について 訂正前の明細書の段落【0056】の「酸化鉄が起点とする剥離」との記載は、日本語として意味をなしておらず、「酸化鉄を起点とする剥離」の誤記であることは明白である。 訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4)独立特許要件について 訂正事項8は、明らかな誤記を本来の意味に正すものであり、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許法第126条第7項の規定に適合する。 9 訂正事項9について (1)訂正の目的について 訂正前の明細書の段落【0072】には「下記の条件にてスラスト試験(図11参照)を行い、」と記載されている。 しかしながら、同段落【0011】には 「【図10】試験5におけるスラスト試験法を説明する模式図である。 【図11】試験5で得られた、アルミナ成分とジルコニア成分との比率と寿命比との関係を示すグラフである。」と記載されており、図面の【図10】には、スラスト試験の模式図が記載されており、【図11】には、ジルコニア含有量(質量%)を横軸とし寿命比を縦軸としたグラフが記載されている。 そうすると、訂正前の明細書の段落【0072】の「スラスト試験(図11参照)」との記載は、同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合しない。 訂正事項9は、訂正前の明細書の段落【0072】の「スラスト試験(図11参照)」との記載を「スラスト試験(図10参照)」とすることで、明細書の段落【0072】の記載を同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合させる訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項9は、明細書の段落【0072】の記載を同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項9は、明細書の段落【0072】の記載を同段落【0011】の記載並びに図面の【図10】及び【図11】の記載と整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 10 訂正事項10について (1)訂正の目的について 訂正事項1及び3による請求項1及び9の減縮により、アルミナ成分とジルコニア成分との質量比を「5~30:70~95」から「20:80」に限定することに伴い、訂正前の【図11】の「本発明の範囲」を示す記載が訂正後の特許請求の範囲の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。 訂正事項10は、図面の【図11】の「本発明の範囲」との記載及び当該記載の範囲を示す矢印を削除し、ジルコニア含有量(質量%)70%及び90%の位置にある2本の太線を、ジルコニア含有量(質量%)80%の位置にある1本の太線に訂正することで、訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び9の技術的範囲に含まれなくなる範囲が【図11】において「本発明の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項10は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項10は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 11 訂正事項11について (1)訂正の目的について 訂正事項1及び3による請求項1及び9の限定により、焼結粒子の平均粒径の範囲が「2μm以下」から「0.8μm以下」に限定されることに伴い、訂正前の【図14】の「本発明の範囲」を示す記載が、訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び9の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。 訂正事項11は、図面の【図14】の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、粒径2μmの位置から粒径0.8μmの位置に訂正することで、訂正事項1及び3による訂正後の請求項1及び9の技術的範囲に含まれなくなる範囲が【図14】において「本発明の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項11は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項11は、図面の記載を訂正事項1及び3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 12 訂正事項12について (1)訂正の目的について 訂正事項2による請求項2の減縮により、10~30μmのジルコニア塊の個数の範囲が「5個/300mm2以下」から「2個/300mm2以下」に限定されることに伴い、訂正前の【図17】の「本発明の範囲」を示す記載が訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の請求項2の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。 訂正事項12は、図面の【図17】の「本発明の範囲」を示す矢印と太線を、ジルコニア塊の個数5個の位置から2個の位置に訂正することで、訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の請求項2の技術的範囲に含まれなくなる範囲が【図17】において「本発明の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項12は、図面の記載を訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項12は、図面の記載を訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 13 訂正事項13について (1)訂正の目的について 訂正前の【図18】には、10~30μmのジルコニア塊の個数が5個/300mm2以下の範囲に対して「請求項4の範囲」と記載されているが、請求項4は転動体の密度の範囲を特定する請求項であり、10~30μmのジルコニア塊の個数の範囲を特定する請求項は請求項2であるから、訂正前の【図18】の「請求項4の範囲」との記載は、特許請求の範囲の記載との間で不明瞭である。 また、【図18】の「請求項4の範囲」との記載を「請求項2の範囲」に訂正したとしても、訂正事項2により、請求項2に記載される10~30μmのジルコニア塊の個数の範囲が「5個/300mm2以下」から「2個/300mm2以下」に限定されるから、【図18】の「請求項2の範囲」を示す範囲が、訂正事項2による訂正後の請求項2の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。 さらにまた、訂正事項1及び3による請求項1及び9の限定により、焼結粒子の平均粒径が0.8μmを超える試験片B~I(表8参照)を含む【図18】の、黒い正方形のプロットの全てを「本発明の範囲」として囲む記載も、訂正事項1及び3による訂正後の請求項1及び9の技術的範囲と一致せず、不明瞭となる。 訂正事項13は、図面の【図18】中のジルコニア塊の個数5個以下を示す破線及び矢印を、ジルコニア塊の個数2個以下を示す破線及び矢印に訂正し、「請求項4の範囲」との記載を「請求項2の範囲」に訂正し、「本発明の範囲」をジルコニア塊の個数0個の位置の黒い正方形のプロット(表8の焼結粒子の平均粒径が0.8μmとなっている試験片A参照)のみを囲む範囲に縮小するように訂正することで、訂正事項1~3による訂正後の請求項1及び9並びに請求項2及び4に含まれない範囲が【図18】において「本発明の範囲」並びに「請求項2の範囲」及び「請求項4の範囲」として示される不備を是正する訂正であり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 訂正事項13は、図面の記載を訂正事項1~3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて 訂正事項13は、図面の記載を訂正事項1~3による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 第4 むすび 以上のとおり、本件訂正審判に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第3号に規定する事項を目的とし、かつ、同法第5項ないし第7項までの規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-390145

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