特許訂正審判
2018-390127
ころ軸受
- 審判番号
- 2018-390127
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2011-116268
- 登録番号
- 特許第5866801号(P5866801)
- 請求日
- 2018年08月29日
- 審決日
- 2018年10月17日
- 公報発行日
- 2019年01月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 平田 信勝
- 審判官 内田 博之
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P141 .851-Y (F16C) / P141 .852-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C) / P141 .854-Y (F16C) / P141 .855-Y (F16C) / P141 .856-Y (F16C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5866801号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5866801号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5866801号(以下、「本件特許」という。)は、平成23年5月24日に出願され、平成28年1月15日に特許権の設定登録がされ、平成30年8月29日に本件訂正審判請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、審判請求書の請求の趣旨に記載されるとおり、特許第5866801号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その内容は次のとおりである(審決注:下線部分が訂正箇所である。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置された複数のころと、前記内輪及び前記外輪の一方に形成したつばと、を備えたころ軸受において、
前記ころの端面が摺接する前記つばのつば面の表面粗さ(Ra,ring)が、0.05μm以上0.30μm以下であり、
前記つば面の表面粗さの分布曲線の中心線に対する上下のとがり程度を示すとがり度合い(Rku,ring)が、3以上7以下であり、
前記つば面の表面粗さ(Ra,ring)及び前記つば面に摺接するころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、0.1≦Ra,ring/Ra,roller≦1.0の関係であり、
前記ころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、
0.03≦Ra,roller≦0.1
であることを特徴とするころ軸受。」との記載を、
「 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置された複数のころと、前記内輪及び前記外輪の一方に形成したつばと、を備えたころ軸受において、
前記ころの端面が摺接する前記つばのつば面の表面粗さ(Ra,ring)が、0.1μmであり、
前記つば面の表面粗さの分布曲線の中心線に対する上下のとがり程度を示すとがり度合い(Rku,ring)が、3.4であり、
前記つば面の表面粗さ(Ra,ring)及び前記つば面に摺接するころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、Ra,ring/Ra,roller=0.30の関係であり、
前記ころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、0.03
であることを特徴とするころ軸受。」に訂正する(請求項1を直接的に引用する請求項2も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の
「前記つば面の表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)を、-1.5以上-0.05以下に設定」との記載を
「前記つば面の表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)を、-0.4に設定」に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0006】の
「本発明に係るころ軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置された複数のころと、前記内輪及び前記外輪の一方に形成したつばと、を備えたころ軸受において、前記ころの端面が摺接する前記つばのつば面の表面粗さ(Ra,ring)が、0.05μm以上0.30μm以下であり、前記つば面の表面粗さの分布曲線の中心線に対する上下のとがり程度を示すとがり度合い(Rku,ring)が、3以上7以下であり、前記つば面の表面粗さ(Ra,ring)及び前記つば面に摺接するころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、0.1≦Ra,ring/Ra,roller≦1.0の関係であり、前記ころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、0.03≦Ra,roller≦0.1である。」との記載を、
「本発明に係るころ軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置された複数のころと、前記内輪及び前記外輪の一方に形成したつばと、を備えたころ軸受において、前記ころの端面が摺接する前記つばのつば面の表面粗さ(Ra,ring)が、0.1μmであり、前記つば面の表面粗さの分布曲線の中心線に対する上下のとがり程度を示すとがり度合い(Rku,ring)が、3.4であり、前記つば面の表面粗さ(Ra,ring)及び前記つば面に摺接するころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、Ra,ring/Ra,roller=0.30の関係であり、前記ころの端面の表面粗さ(Ra,roller)が、0.03である。」に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0007】の「前記つば面の表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)を、-1.5以上-0.05以下に設定した。」との記載を、「前記つば面の表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)を、-0.4に設定した。」に訂正する。
5 訂正事項5
明細書の段落【0014】の「すべり摩擦抵抗を小さする」との記載を、「すべり摩擦抵抗を小さくする」に訂正する。
6 訂正事項6
明細書の段落【0028】の【表1】中の「実施例2」ないし「実施例13」との記載を、「参考例2」ないし「参考例13」にそれぞれ訂正する。
7 訂正事項7
明細書の段落【0026】の「実施形態1から実施形態12」との記載を、「実施例1、参考例2から13」に訂正し、明細書の段落【0027】の「表1で示した実施形態と比較例の一部のもの」との記載を、「表1で示した実施例、参考例、比較例の一部のもの」に訂正する。 。
8 訂正事項8
明細書の段落【0029】の「トルク低減率は減少し」との記載を、「トルクは減少し」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1のころ軸受について、つば面の表面粗さ(Ra,ring)を「0.05μm以上0.30μm以下」から「0.1μm」に特定し、つば面の表面粗さの分布曲線の中心線に対する上下のとがり程度を示すとがり度合い(Rku,ring)を「3以上7以下」から「3.4」に特定し、つば面の表面粗さ(Ra,ring)及びころの端面の表面粗さ(Ra,roller)の関係を「0.1≦Ra,ring/Ra,roller≦1.0」から「Ra,ring/Ra,roller=0.30」に特定し、ころの端面の表面粗さ(Ra,roller)を「0.03≦Ra,roller≦0.1」から「0.03」に特定するものである。
同様に、訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の請求項2は、当該訂正後の請求項1の記載を引用することにより発明特定事項をさらに減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正前明細書の段落【0028】の【表1】には、「Ra,ring」が「0.1μm」であり、「Rku,ring」が「3.4」であり、「Ra,ring/Ra,roller」が「0.30」であり、「Ra,roller」が「0.03」である実施例1が記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、当該訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
前記「(1)」のとおり、訂正事項1は、請求項1に係る発明の発明特定事項であるころ軸受のつば面の表面粗さ及びころの端面の表面粗さに関する各数値をさらに特定するものであり、請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、請求項1を引用する訂正前の請求項2の記載について訂正するものではなく、請求項2に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、当該訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
前記「(1)」のとおり、訂正事項1は、請求項1に係る発明の発明特定事項であるころ軸受のつば面の表面粗さ及びころの端面の表面粗さに関する各数値をさらに特定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、独立特許要件を満たす。
また、訂正事項1についての訂正後の請求項2は、訂正後の請求項1を直接的に引用することにより発明特定事項をさらに特定するだけであり、独立特許要件を満たさなくなるような事情は存在しない。
以上のことから、訂正事項1についての訂正後の請求項1及び2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2のころ軸受について、つば面の表面粗さの分布曲線の対称性を示すゆがみ値(Rsk,ring)を「-1.5以上-0.05以下」から「-0.4」に特定するものであるから、当該訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正前明細書の段落【0028】の【表1】には、「Rsk,ring」が「-0.4」である実施例1が記載されているから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、当該訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
前記「(1)」のとおり、訂正事項2は、請求項2に係る発明の発明特定事項であるころ軸受のつば面の表面粗さに関する数値をさらに特定するものであり、請求項2に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、当該訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
ア 訂正後の請求項1について
前記「(1)」のとおり、訂正事項2は、請求項2に係る発明の発明特定事項であるころ軸受のつば面の表面粗さに関する数値をさらに特定するだけであるから、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、独立特許要件を満たす。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0006】には、訂正前の請求項1に対応する記載があり、訂正事項1による訂正後の請求項1の記載と一致せず、不明瞭となる。
訂正事項3は、明細書の記載を訂正事項1による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項3は、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると言えるから、当該訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項3は、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、当該訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0007】には、訂正前の請求項2に対応する記載があり、訂正事項2による訂正後の請求項2の記載と一致せず、不明瞭となる。
訂正事項4は、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項4は、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると言えるから、当該訂正事項4は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項4は、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、当該訂正事項4は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
、
5 訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0014】の「すべり摩擦抵抗を小さする」との記載は、「すべり摩擦抵抗を小さくする」の誤記であることは明白である。訂正事項5は、明らかな誤記を本来の表記に訂正するものであるから、当該訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項5は、上記(1)のとおり、日本語として明らかな誤記を本来の表記に訂正するものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると言えるから、当該訂正事項5は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項5は、上記(1)のとおり、日本語として明らかな誤記を本来の表記に訂正するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、当該訂正事項5は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項5は、上記(1)のとおり、日本語として明らかな誤記を本来の表記に訂正するものに過ぎず、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、独立特許要件を満たすから、当該訂正事項5は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
6 訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0028】の【表1】には、実施形態として、つば面及びころの端面の表面形状がそれぞれ異なる実施例1~13の態様が記載されている。
訂正事項1及び訂正事項2により、つば面及びころの端面の表面粗さに関する各数値を実施例1の表面粗さに対応する数値に特定したことにより、訂正前の実施例2ないし実施例13の態様は、訂正事項1及び訂正事項2による訂正後では実施例でなくなる。
訂正事項6は、明細書の記載を訂正事項1及び訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるため、当該訂正後の特許請求の範囲に含まれなくなる態様を「参考例」に訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項6は、訂正後の特許請求の範囲との整合を図るために、訂正前の「実施例2」ないし「実施例13」を「参考例2」ないし「参考例13」にそれぞれ訂正するものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると言えるから、当該訂正事項5は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項6は、訂正後の特許請求の範囲との整合を図るために、訂正前の「実施例2」ないし「実施例13」を「参考例2」ないし「参考例13」にそれぞれ訂正するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、当該訂正事項5は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
7 訂正事項7について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0026】には、「実施形態1から実施形態12、比較例1から比較例6の内輪1を備える円すいころ軸受を用いてトルクを比較した結果と、大つば面6a及び軌道面にショットブラストを施した内輪1(比較例7)を備える円すいころ軸受を用いたトルク結果を表1に記載する。」と記載されているが、訂正事項6によって表1中の「実施例2」ないし「実施例13」は「参考例2」ないし「参考例13」に訂正されたことに伴い、訂正前の明細書の段落【0026】には参考例の態様が実施形態として記載されていることになり、不明瞭である。
また、訂正前の明細書の段落【0026】の「実施形態1から実施形態12」及び段落【0027】の「実施態様」との記載は、訂正後の段落【0028】の【表1】の「実施例1」及び「参考例2」ないし「参考例13」との記載と一致せず、不明瞭である。
以上、訂正事項7は、訂正事項1及び訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載並びに訂正事項6による訂正後の明細書の記載との整合を図るため、訂正事項1及び訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲に含まれない「実施形態」を「参考例」に訂正し、訂正事項6による訂正後の明細書の段落【0028】の【表1】の記載とも整合させるものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項7は、明細書の記載を訂正事項1及び訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載並びに訂正事項6による訂正後の明細書の記載に整合させるものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると言えるから、当該訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項7は、明細書の記載を訂正事項1及び訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の記載並びに訂正事項6による訂正後の明細書の記載に整合させるものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、当該訂正事項7は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
8 訂正事項8について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0029】に「トルク低減率は減少し」と記載されている。一方、訂正前の明細書の段落【0005】には本発明の課題として「低速回転域のトルクを小さくすることができるころ軸受を提供する」と記載され、同段落【0010】には、本発明の効果として「短時間で低速回転域のトルクを小さくすることができる。」と記載され、発明の実施形態として同段落【0014】には「円すいころ軸受の起動トルクを低くするようにしている。」、同段落【0017】には「短時間で起動トルクを低くする。」、同段落【0026】には「低速回転域(250rpm)のトルクが10~80%低減している」と記載されている。また、同段落【0028】の【表1】の実施例1は、トルク低下率の欄に最大値「75%」が記載され、寿命試験の欄に最大値「100」が記載されており、同段落【0029】の末尾は「クリーンはくり寿命も向上することがわかる。」と記載されていて、表1の実施例1に関する記載に基いて本発明の効果を説明していると理解できる。
すると、同段落【0029】の「トルク低減率は減少し」との記載は、本発明の課題及び効果に反する記載であり、明細書の課題及び効果の記載との関係で不明瞭である。
同段落【0029】の「トルク低減率は減少し」との記載は、明細書の上述した他の記載に鑑みれば、トルク低下率が大きくなり、トルクが低下したこと、すなわち「トルクが減少し」が本来の意図であることは、当業者に自然に理解される。
そうであれば、明細書の他の記載と整合させ、本来の意味に正すため、訂正前の明細書の段落【0029】の「トルク低減率は減少し」を「トルクは減少し」に訂正することは、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項8は、不明瞭な記載を本来の意味に訂正するものに過ぎず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると言えるから、当該訂正事項8は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項8は、不明瞭な記載を本来の意味に訂正するものに過ぎず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないから、当該訂正事項8は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項から第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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