特許訂正審判
2024-390139
エボラウイルス糖タンパク質に対するヒト抗体
- 審判番号
- 2024-390139
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-536549外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6829199
- 請求日
- 2024年11月18日
- 審決日
- 2025年01月28日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 分類
- P141 .851-Y (C12N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6829199号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6829199号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔26、30~38〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6829199号は、平成28年1月25日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2015年1月26日、2015年5月14日及び2015年10月23日 いずれも米国(US))として出願され、その請求項1~46に係る発明について令和3年1月25日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和6年11月18日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、「特許第6829199号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項26および30~38について訂正することを認める、との審決を求めます。」というものである。
そして、本件審判の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1のとおりである(下線は訂正箇所を示すために当審が付した。以下も同様である。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項26に記載される
「請求項24に記載の医薬組成物。」
を、
「請求項25に記載の医薬組成物。」に訂正する。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項30~38は、訂正前の請求項26を直接又は間接的に引用する関係にあり、訂正事項1によって訂正される前の請求項26に連動して、訂正前の請求項30~38も訂正されるから、訂正前の請求項26及び30~38は、一群の請求項に該当する。
したがって、本件訂正は、特許法第126条第3項の規定に基づき、一群の請求項ごとにされたものである。
2 訂正事項1について
(1)訂正の目的
本件訂正前の請求項26は、医薬組成物について「第1の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片」を含むことが特定された請求項24を引用し、「第3の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片」をさらに含むことが特定されているところ、本件訂正後の請求項26では、請求項24を引用して「第2の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片」をさらに含むことが特定される請求項25を引用することで、医薬組成物が第1、第2及び第3の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含むことが特定されるといえる。
そうすると、本件訂正前の請求項26では、医薬組成物が2種類の抗体またはその抗原結合断片(第1及び第3の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片)を含むものであったところ、本件訂正後の請求項26では、さらにもう1種類の抗体またはその抗原結合断片(第2の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片)を含むことが特定されることで、医薬組成物がより限定されるものであるといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件特許明細書には、次の記載がある。
ア 「関連する態様では、本発明は、エボラウイルスGPに特異的に結合する第1の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、配列番号20のHCDR1アミノ酸配列;配列番号22のHCDR2アミノ酸配列;配列番号24のHCDR3アミノ酸配列;配列番号28のLCDR1アミノ酸配列;配列番号30のLCDR2アミノ酸配列および配列番号32のLCDR3アミノ酸配列を含む第1の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、エボラウイルスGPに特異的に結合する第2の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片をさらに含み得、前記第2の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、配列番号68のHCDR1アミノ酸配列;配列番号70のHCDR2アミノ酸配列;配列番号72のHCDR3アミノ酸配列;配列番号76のLCDR1アミノ酸配列;配列番号78のLCDR2アミノ酸配列および配列番号80のLCDR3アミノ酸配列を含む。この医薬組成物は、エボラウイルスGPに特異的に結合する第3の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片をさらに含み得、前記第3の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片が、配列番号148のHCDR1アミノ酸配列;配列番号150のHCDR2アミノ酸配列;配列番号152のHCDR3アミノ酸配列;配列番号156のLCDR1アミノ酸配列;配列番号158のLCDR2アミノ酸配列および配列番号160のLCDR3アミノ酸配列を含む。」(段落【0062】)
イ 「結果
試験した3種の候補モノクローナル抗体(合議体注:H1H17203P、H1H17139PおよびH1H17161P)は、エボラウイルスGPに同時に結合することができ、これにより、各抗体が、試験した他の抗体のエボラウイルスGPの結合部位に干渉しないことが示され、これにより、各抗体が、それぞれ異なるエピトープに結合するかまたはそれと相互作用することが示唆される。これにより、これらの3種の抗体の治療用抗体カクテルにおける使用の役割が支持される。」(実施例7の結果である段落【0222】)
ここで、上記イの3種の抗体であるH1H17203P、H1H17139PおよびH1H17161Pは、CDRのアミノ酸配列(【表1】、段落【0206】)からみて、それぞれ本件訂正後の請求項26で特定される第3、第1、第2の抗体に該当するものといえる(【表1】、段落【0206】)。
このとおり、本件特許明細書には、第1、第2及び第3の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物が記載される(上記ア)とともに、それらの具体物である3種の抗体がエボラウイルスGPに同時に結合できることが実験的に示され、当該3種の抗体の「治療用抗体カクテルにおける使用の役割が支持される」と記載されている(上記イ)のだから、本件特許明細書には、本件訂正後の請求項26で特定される第1、第2及び第3の抗体または抗原結合断片を含む医薬組成物について記載されていたといえるから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の全てを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、上記(2)で検討したとおり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立して特許を受けることができるものであること
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件訂正後の請求項26に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
そこで検討すると、本件訂正前の請求項26に係る発明は、特許を受けることができない理由を発見しないとして特許を受けることができたものと認められるところ、本件訂正後の請求項26に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由が新たに発見される事情はないから、訂正事項1に係る訂正は特許法第126条第7項に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求における特許請求の範囲に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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