特許訂正審判
2023-390095
初代造血細胞におけるタンパク質送達
- 審判番号
- 2023-390095
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-540255
- 登録番号
- 6886404
- 請求日
- 2023年07月14日
- 審決日
- 2023年09月28日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
- 【請求人代理人】小寺 秀紀
- 【請求人代理人】梅村 幸輔
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 啓子
- 審判官 吉森 晃
- 審判官 高堀 栄二
- 分類
- P141 .851-Y (C12N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6886404号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6886404号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6886404号に係る出願(特願2017-540255号)は、平成28年1月29日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2015年1月30日 米国、2015年8月25日 米国)として出願されたものであって、その請求項1-19に係る発明について令和3年5月18日に特許権の設定登録がなされた。
これについて、令和5年7月14日に本件訂正審判が請求された。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6886404号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
そして、本件訂正審判の請求による訂正の内容は、下記訂正事項1-9のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に記載された「a)Cas9リボヌクレオタンパク質複合体と細胞とを含む反応混合物を提供する工程であって、Cas9リボヌクレオタンパク質複合体が、Cas9ヌクレアーゼドメインと、細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズするガイドRNAとを含む、工程」を、「a)Cas9リボヌクレオタンパク質複合体と一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型と細胞とを含む反応混合物を提供する工程であって、Cas9リボヌクレオタンパク質複合体が、Cas9ヌクレアーゼドメインと、細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズするガイドRNAとを含み、DNA鋳型が50、75、または100 bから110、120、125、150、200、225、または250 bの長さを有する、工程」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に記載された「b)エレクトロポレーションによって細胞内部にCas9リボヌクレオタンパク質複合体を導入する工程」を、「b)エレクトロポレーションによって細胞内部にCas9リボヌクレオタンパク質複合体とDNA鋳型とを導入する工程」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に記載された「請求項9に記載の」を、「請求項1に記載の」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11に記載された「請求項9または10に記載の」を、「請求項1または10に記載の」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項12に記載された「請求項1~10のいずれか一項に記載の」を、「請求項1~8および10のいずれか一項に記載の」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項16に記載された「a)Cas9ヌクレアーゼドメインと細胞とを含む反応混合物を提供する工程」を、「a)Cas9ヌクレアーゼドメインと一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型と細胞とを含む反応混合物を提供する工程であって、DNA鋳型が50、75、または100 bから110、120、125、150、200、225、または250 bの長さを有する、工程」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16に記載された「b)エレクトロポレーションによって細胞内部にCas9ヌクレアーゼドメインを導入する工程」を、「b)エレクトロポレーションによって細胞内部にCas9ヌクレアーゼドメインとDNA鋳型とを導入する工程」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項19に記載された「該複数の細胞の少なくとも20%が、Cas9リボヌクレオタンパク質複合体を含有する」を、「該複数の細胞の少なくとも20%が、Cas9リボヌクレオタンパク質複合体と一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型とを含有し、DNA鋳型が50、75、または100 bから110、120、125、150、200、225、または250 bの長さを有する」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1及び訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の、最初に提供する反応混合物において、「Cas9リボヌクレオタンパク質複合体と細胞」に加え、さらに「一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型」を含むこと、及び、当該DNA鋳型の長さを特定するものであり、また、訂正事項2は、その後のエレクトロポレーションによって導入する工程において、細胞に「Cas9リボヌクレオタンパク質複合体」に加え「DNA鋳型」も導入することを特定するものである。
これらの訂正は、発明を限定するものであり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許の願書に添付した明細書の段落[0011]には、「反応混合物は、二本鎖または一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型をさらに含」むこと、段落[0089]には、「鋳型核酸は、15塩基(b)または塩基対(bp)から約5キロ塩基(kb)またはキロ塩基対(kbp)の長さ(例えば、約50、75、もしくは100 bまたはbpから約110、120、125、150、200、225、もしくは250 bまたはbpの長さ)を含有することができる。」ことが記載されているから、当該訂正事項1及び2が、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
よって、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1及び訂正事項2は、訂正前の請求項1において、発明を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、当該訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第6項に規定される要件に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項1及び同項を引用する訂正後の請求項2~8、10~19に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、当該訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第7項に規定される要件に適合する。
2 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項9を削除するものであり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項3は、訂正前の請求項9を削除するものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
よって、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項3は、訂正前の請求項9を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、当該訂正事項3は、特許法第126条第6項に規定される要件に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項3は、訂正前の請求項9を削除するものであり、訂正後の請求項9に記載されている事項により特定される発明はないから、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件の判断は要しない。
3 訂正事項4及び訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正事項4及び訂正事項5は、訂正前の請求項10及び請求項11において、引用する請求項を「(訂正前の請求項1を引用する訂正前の)請求項9」から「(訂正後の)請求項1」とするものであり、すなわち、訂正前の請求項10及び請求項11において、DNA鋳型の長さを特定するものである。
この訂正は、発明を限定するものであり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項4及び訂正事項5は、訂正前の請求項10及び請求項11において、DNA鋳型の長さを特定するものであるが、当該DNA鋳型の長さは、本件特許の願書に添付した明細書の段落[0089]に記載されているから、当該訂正事項4及び訂正事項5が、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
よって、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項4及び訂正事項5は、訂正前の請求項10において、発明を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、当該訂正事項4及び訂正事項5は、特許法第126条第6項に規定される要件に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項10及び請求項11、並びに請求項10を引用する訂正後の請求項12、13に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、当該訂正事項4及び訂正事項5は、特許法第126条第7項に規定される要件に適合する。
4 訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項12において、引用する請求項のうち請求項9を削除し、訂正後の請求項1~8、10を引用するものであるが、当該請求項1~8、10は、発明を限定する訂正を行っているところ(詳細は、上述の第3「当審の判断」の1~3を参照のこと)、当該訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正前の請求項12において、引用する請求項9の削除は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
また、訂正前の請求項12において引用する請求項1~8、10の訂正については、上述の通り、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
よって、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正前の請求項12において、引用する請求項9の削除は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
また、訂正前の請求項12において引用する請求項1~8、10の訂正についても、上述の通り、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、当該訂正事項6は、特許法第126条第6項に規定される要件に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項12及び同項が引用する訂正後の請求項13に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、当該訂正事項6は、特許法第126条第7項に規定される要件に適合する。
5 訂正事項7及び訂正事項8について
(1)訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の請求項16の、最初に提供する反応混合物において、「Cas9ヌクレアーゼドメインと細胞」に加え、さらに「一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型」を含むこと、及び、当該DNA鋳型の長さを特定するものであり、また、訂正事項8は、その後のエレクトロポレーションによって導入する工程において、細胞に「Cas9ヌクレアーゼドメイン」に加え「DNA鋳型」も導入することを特定するものである。
これらの訂正は、発明を限定するものであり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許の願書に添付した明細書の段落[0011]には、「反応混合物は、二本鎖または一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型をさらに含」むこと、段落[0089]には、「鋳型核酸は、15塩基(b)または塩基対(bp)から約5キロ塩基(kb)またはキロ塩基対(kbp)の長さ(例えば、約50、75、もしくは100 bまたはbpから約110、120、125、150、200、225、もしくは250 bまたはbpの長さ)を含有することができる。」ことが記載されているから、当該訂正事項7及び8が、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
よって、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項7及び訂正事項8は、訂正前の請求項16において、発明を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、当該訂正事項7及び訂正事項8は、特許法第126条第6項に規定される要件に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項16及び同項を引用する訂正後の請求項17、18に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、当該訂正事項7及び訂正事項8は、特許法第126条第7項に規定される要件に適合する。
6 訂正事項9について
(1)訂正の目的について
訂正事項9は、訂正前の請求項19の、複数の細胞(の集団)の少なくとも20%において、「Cas9リボヌクレオタンパク質複合体」に加え、さらに「一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型」を含むこと、及び、当該DNA鋳型の長さを特定するものである。
これらの訂正は、発明を限定するものであり、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許の願書に添付した明細書の段落[0019]には、「いくつかの態様において、複数の細胞の少なくとも20%は、Cas9リボヌクレオタンパク質複合体および一本鎖オリゴヌクレオチドDNA鋳型を含有する」こと、段落[0089]には、「鋳型核酸は、15塩基(b)または塩基対(bp)から約5キロ塩基(kb)またはキロ塩基対(kbp)の長さ(例えば、約50、75、もしくは100 bまたはbpから約110、120、125、150、200、225、もしくは250 bまたはbpの長さ)を含有することができる。」ことが記載されているから、当該訂正事項9が、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
よって、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項9は、訂正前の請求項19において、発明を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、当該訂正事項9は、特許法第126条第6項に規定される要件に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項19に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、当該訂正事項9は、特許法第126条第7項に規定される要件に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定する要件に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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