特許訂正審判
2018-390048
水素吸蔵合金
- 審判番号
- 2018-390048
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2012-085525
- 登録番号
- 特許第5342669号(P5342669)
- 請求日
- 2018年03月08日
- 審決日
- 2018年05月15日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】三井金属鉱業 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人翔和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 一弘
- 審判官 金 公彦
- 審判官 長谷山 健
- 分類
- P141 .841-Y (C22C) / P141 .851-Y (C22C) / P141 .854-Y (C22C) / P141 .855-Y (C22C) / P141 .856-Y (C22C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第3項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5342669号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5342669号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第5342669号(以下、「本件特許」という。)は、平成19年12月 7日に出願された特願2007-317650号の一部を平成24年 4月 4日に新たな特許出願とした特願2012-85525号の請求項1~6に係る発明について、平成25年 8月16日に特許権の設定登録がされ、平成30年 3月 8日付けで本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正事項
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は「特許第5342669号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
2 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1,2のとおりである。なお、下線は、審判請求人が訂正箇所を示すために付したものである。
(1)訂正事項1
請求項1の「一般式MmNiaMnbAlcCod(4.90≦a+b+c+d≦5.40、aは3.45~4.40、dは0.15~0.80)で表わすことができるCaCu5型の結晶構造の母相を有するAB5型水素吸蔵合金において、前記AB5型のAサイトを、ミッシュメタル(『Mm』と称する)全体の90~100質量%をLa及びCeが占めるMmが構成する水素吸蔵合金であって、
当該水素吸蔵合金のX線回折測定から得られる結晶子サイズ(Lorentzian法)が466nmより大きく、かつ歪み(Lorentzian法)が0.18以下であることを特徴とする水素吸蔵合金。」を
「一般式MmNiaMnbAlcCod(4.90≦a+b+c+d≦5.40、aは3.45~4.40、dは0.15~0.80)で表わすことができるCaCu5型の結晶構造の母相を有するAB5型水素吸蔵合金において、前記AB5型のAサイトを、ミッシュメタル(『Mm』と称する)全体の90~100質量%をLa及びCeが占めるMmが構成する水素吸蔵合金であって、
当該水素吸蔵合金のX線回折測定を下記(1)及び(2)の手順により行い、当該X線回折測定により得られたX線回折パターンを下記(3)の手順により解析して得られる結晶子サイズ(Lorentzian法)が466nmより大きく、かつ歪み(Lorentzian法)が0.18以下であることを特徴とする水素吸蔵合金。
(1)500μmの篩目を通過する粒子の水素吸蔵合金粉末を目開き20μmの篩で分級して20μmの篩目を通過する粒子の水素吸蔵合金粉末を得る。
(2)当該粉末を、ブルカー・エイエックスエス(株)製D8ADVANCEを用い、X線回折測定する。
(3)得られたX線回折パターンについて、回折角2θ=20~120°の範囲において、解析用ソフトウェアTopasを用い、FundamentalParameterを採用し、Pawley法による格子定数の精密化を行う。次に、得られた格子定数を固定して結晶子サイズ(Lorentzian法)と歪み(Lorentzian法)とを変数とした計算を行う。」と訂正する。
(2)訂正事項2
請求項2の「一般式MmNiaMnbAlcCod(4.90≦a+b+c+d≦5.40、aは3.45~4.40、dは0.15~0.80)で表わすことができるCaCu5型の結晶構造の母相を有するAB5型水素吸蔵合金において、前記AB5型のAサイトを、ミッシュメタル(『Mm』と称する)全体の100質量%をLa及びCeが占めるMmが構成する水素吸蔵合金であって、
当該水素吸蔵合金のX線回折測定から得られる結晶子サイズ(Lorentzian法)が466nmより大きく、かつ歪み(Lorentzian法)が0.18以下であることを特徴とする水素吸蔵合金。」を
「一般式MmNiaMnbAlcCod(4.90≦a+b+c+d≦5.40、aは3.45~4.40、dは0.15~0.80)で表わすことができるCaCu5型の結晶構造の母相を有するAB5型水素吸蔵合金において、前記AB5型のAサイトを、ミッシュメタル(『Mm』と称する)全体の100質量%をLa及びCeが占めるMmが構成する水素吸蔵合金であって、
当該水素吸蔵合金のX線回折測定を下記(1)及び(2)の手順により行い、当該X線回折測定により得られたX線回折パターンを下記(3)の手順により解析して得られる結晶子サイズ(Lorentzian法)が466nmより大きく、かつ歪み(Lorentzian法)が0.18以下であることを特徴とする水素吸蔵合金。
(1)500μmの篩目を通過する粒子の水素吸蔵合金粉末を目開き20μmの篩で分級して20μmの篩目を通過する粒子の水素吸蔵合金粉末を得る。
(2)当該粉末を、ブルカー・エイエックスエス(株)製D8ADVANCEを用い、X線回折測定する。
(3)得られたX線回折パターンについて、回折角2θ=20~120°の範囲において、解析用ソフトウェアTopasを用い、FundamentalParameterを採用し、Pawley法による格子定数の精密化を行う。次に、得られた格子定数を固定して結晶子サイズ(Lorentzian法)と歪み(Lorentzian法)とを変数とした計算を行う。」と訂正する。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正事項1に係る本件訂正前の請求項1,3~6について、請求項3~6は、請求項1を引用しているから、訂正事項1に係る本件訂正によって、請求項1に連動して訂正される。
訂正事項2に係る本件訂正前の請求項2~6について、請求項3~6は、請求項2を引用しているから、訂正事項2に係る本件訂正によって、請求項2に連動して訂正される。
そして、請求項1と2は、請求項3~6を介して一群の関係にあるから、本件訂正前の請求項1~6に対応する本件訂正後の請求項1~6は、一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第126条第3項の規定に適合する。
2 訂正要件の検討
(1)訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項1に係る本件訂正は、水素吸蔵合金の「結晶子サイズ(Lorentzian法)」及び「歪み(Lorentzian法)」を「X線回折測定」から得る際の「X線回折測定」「の手順」及び「当該X線回折測定により得られたX線回折パターン」の「解析」「の手順」を「(1)500μmの篩目を通過する粒子の水素吸蔵合金粉末を目開き20μmの篩で分級して20μmの篩目を通過する粒子の水素吸蔵合金粉末を得る。/(2)当該粉末を、ブルカー・エイエックスエス(株)製D8ADVANCEを用い、X線回折測定する。/(3)得られたX線回折パターンについて、回折角2θ=20~120°の範囲において、解析用ソフトウェアTopasを用い、FundamentalParameterを採用し、Pawley法による格子定数の精密化を行う。次に、得られた格子定数を固定して結晶子サイズ(Lorentzian法)と歪み(Lorentzian法)とを変数とした計算を行う。」(なお、「/」は改行を表す。以下同様。)と限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「<結晶子サイズ、歪みの測定>/ 得られた―500μm(500μmの篩目を通過する粒子)の水素吸蔵合金粉末20gをサイクロミル((型式1033-200)吉田製作所製)で1分間粉砕し、目開き20μmの篩で分級して―20μm(20μmの篩目を通過する粒子)の水素吸蔵合金粉末(サンプル)を得た。/ 得られたサンプルをサンプルホルダーに充填し、X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス(株)製D8ADVANCE)を使用し測定を行った。」(【0055】),「測定により得られたX線回折パターン(回折角2θ=20~120°の範囲)を用いて、解析用ソフトウエア(ソフト名:TopasVersion3)で解析した。/解析には、FundamentalParameterを採用し、結晶子サイズ(Lorentzian法)も変数とした状態でPawley法による格子定数の精密化を行った。/ 次に、得られた格子定数を固定し、結晶子サイズ(Lorentzian法)と歪み(Lorentzian法)を変数とした計算を行った。」(【0057】)と記載されているから、訂正事項1に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る本件訂正は、前記(ア)のとおり、水素吸蔵合金の「結晶子サイズ(Lorentzian法)」及び「歪み(Lorentzian法)」を「X線回折測定」から得る際の「X線回折測定」「の手順」及び「当該X線回折測定により得られたX線回折パターン」の「解析」「の手順」を具体的に特定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2について
訂正事項2に係る本件訂正の内容は、訂正事項1に係る本件訂正の内容と実質的に同一である。
したがって、前記アで検討したのと同様の理由により、訂正事項2に係る本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第126条第5項の規定に適合し、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)独立特許要件
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~6に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである理由は見いだせないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第5~7項の規定に適合する。
第4 平成30年 3月30日付け上申書について
審判請求人は平成30年 3月30日付けで上申書を提出し、本件特許並びに特許第5001809号及び特許第5617094号に係る平成29年(ワ)第29808号損害賠償請求事件において、以下の無効理由1~3に基づく特許無効の抗弁がされた旨、上申している。
無効理由1:明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号違反),実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号違反)
無効理由2:サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号違反)1
無効理由3:サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号違反)2
そして、上記上申書の内容を検討しても、上記無効理由1~3は、前記「第3 当審の判断」「2 訂正要件の検討」「(2)独立特許要件」の判断を左右するものではない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第3項及び第5~7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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