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特許訂正審判

2026-390087

無線通信システムにおける多重ユーザ送受信のための方法及びこのための装置

審判番号
2026-390087
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2017-541088
登録番号
6753858
請求日
2026年05月19日
審決日
2026年06月19日
公報発行日
2026年09月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
  • 【請求人代理人】青木 篤
  • 【請求人代理人】三橋 真二
  • 【請求人代理人】河合 章
  • 【請求人代理人】南山 知広
  • 【請求人代理人】竹本 実
審判長/審判官
  • 審判長 高野 洋
  • 審判官 玉木 宏治
  • 審判官 寺谷 大亮
分類
P141 .842-Y (H04L) / P141 .852-Y (H04L) / P141 .854-Y (H04L) / P141 .856-Y (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第184条の19、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項、特許法第184条の4第1項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第6753858号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6753858号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1~10〕及び11について訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6753858号(以下「本件特許」という。)は、2015年(平成27年)11月30日を国際出願日として出願されたものであって、令和2年8月24日にその請求項1~11に係る特許権の設定登録がなされ、令和8年5月19日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6753858号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10、11について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。 第3 本件訂正の内容 本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(なお、下線は訂正箇所を示す。) 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスと予め定義されたマトリクスの一つの列とを掛け合わせて、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」及び「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列の全ての要素とを掛け合わせて生成され、 前記予め定義したマトリクスは、列のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、 前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、 前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの列は、それぞれの異なるSTAに適用される」と記載されているのを、それぞれ、「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスと予め定義されたマトリクスの一つの行とを掛け合わせて、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」及び「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行の全ての要素とを掛け合わせて生成され、 前記予め定義したマトリクスは、行のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、 前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、 前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの行は、それぞれの異なるSTAに適用される」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項2から10も同様に訂正する。) 2 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5に「前記予め定義されたマトリクスの一つの列がかけられたトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」と記載されているのを、「前記予め定義されたマトリクスの一つの行がかけられたトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」に訂正する。 3 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6に「前記予め定義されたマトリクスの一つの列がかけられたトーン単位と関係なく、特定トーン間隔を有するトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」と記載されているのを、「前記予め定義されたマトリクスの一つの行がかけられたトーン単位と関係なく、特定トーン間隔を有するトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」に訂正する。 4 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9に「前記予め定義されたシーケンスは、それぞれの時空間ストリームに対して前記予め定義されたマトリクスの異なる列がかけられる」と記載されているのを、「前記予め定義されたシーケンスは、それぞれの時空間ストリームに対して前記予め定義されたマトリクスの異なる行がかけられる」に訂正する。 5 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項11に「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスに予め定義されたマトリクスの一つの列を掛け合わることにより、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域の中で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」及び「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列の全ての要素とを掛け合わせて生成され、 前記予め定義したマトリクスは、列のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、 前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、 前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの列は、それぞれの異なるSTAに適用される」と記載されているのを、それぞれ、「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスに予め定義されたマトリクスの一つの行を掛け合わることにより、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域の中で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」及び「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行の全ての要素とを掛け合わせて生成され、 前記予め定義したマトリクスは、行のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、 前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、 前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの行は、それぞれの異なるSTAに適用される」に訂正する。 第4 当審の判断 1 一群の請求項について 本件訂正前の請求項2~10は、本件訂正前の請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、本件訂正前の請求項1を引用する請求項は請求項2~10以外に存在しないから、請求項1~10は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 2 訂正事項1について (1)訂正の目的について 後の参照の便宜のため、訂正事項1について、記号1A~1Eを付して以下のように分説し、「訂正事項1A」のようにして参照する。 ア 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1において、 1A 「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスと予め定義されたマトリクスの一つの列とを掛け合わせて、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」と記載されているのを、「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスと予め定義されたマトリクスの一つの行とを掛け合わせて、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」と訂正すること、 1B 「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列の全ての要素とを掛け合わせて生成され、」と記載されているのを、「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行の全ての要素とを掛け合わせて生成され、」と訂正すること、 1C 「前記予め定義したマトリクスは、列のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、」と記載されているのを、「前記予め定義したマトリクスは、行のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、」と訂正すること、 1D 「前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、」と記載されているのを、「前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、」と訂正すること、及び、 1E 「前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの列は、それぞれの異なるSTAに適用される」と記載されているのを、「前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの行は、それぞれの異なるSTAに適用される」と訂正することからなる。 イ 訂正事項1A、1B、1D及び1Eについて 本件特許明細書には、以下の記載がある。(なお、本項において、下線は強調のために当審で付与したものである。) 「【0015】 本発明の一態様は、無線通信システムにおけるSTA(Station)装置が多重ユーザ(MU:Multi user)送信を行う方法において、MU送信帯域幅による周波数領域(frequency domain)でHE-LTF(High Efficiency-Long Training Field)シーケンスを生成するステップ及び前記HE-LTFシーケンスがマッピングされる1つ以上のシンボルを含む物理プロトコルデータユニット(PPDU:Physical Protocol Data Unit)を送信するステップを含み、前記HE-LTFシーケンスは、予め定義されたシーケンスにP行列の1つの行(row)の長さ単位に前記P行列の1つの行がかけられて生成されることができる。 【0016】 本発明の他の一態様は、無線通信システムにおける多重ユーザ(MU:Multi user)送信を行うSTA(Station)装置において、無線信号を送受信するためのRF(Radio Frequency)ユニット及び前記RFユニットを制御するプロセッサを備え、前記プロセッサは、MU送信帯域幅による周波数領域(frequency domain)でHE-LTF(High Efficiency-Long Training Field)シーケンスを生成し、前記HE-LTFシーケンスがマッピングされる1つ以上のシンボルを含む物理プロトコルデータユニット(PPDU:Physical Protocol Data Unit)を送信するように構成され、前記HE-LTFシーケンスは、予め定義されたシーケンスにP行列の1つの行(row)の長さ単位に前記P行列の1つの行がかけられて生成されることができる。」 「【0296】 これを克服するために本発明では、UL MU MIMO及び/又はUL OFDMA送信状況でチャネル推定(channel estimation)及びCFO測定を同時に行うことができる新しいP行列コーディングされたLTF(P matrix coded LTF)方式を提案する。」 「【0299】 1.P行列コーディングLTF(P matrix coded LTF)方式 1-A)HE-LTFシーケンス生成 既存のP行列を用いてユーザ別に直交(orthogonal)したLTFシーケンスを生成することにより、周波数ドメイン(frequency domain)でチャネル相関(channel correlation)が大きいという仮定下に、新しいCFO測定及びチャネル推定技法を次のように提案する。」 「【0302】 図16は、本発明の一実施形態に係るHE-LTFシーケンスを生成する方法を例示する。 【0303】 図16においてL_i(すなわち、L_1、L_2、L_3、...)は、予め定義された共通のHE-LTFシーケンスを示す。iは、HE-LTFがマッピングされるサブキャリアインデックスを示す。 【0304】 s_i(k)(すなわち、s_1(k)、s_2(k)、s_3(k)、...)は、ストリームkに対するスクランブルされたHE-LTFシーケンスを示す。ここで、kは、ストリームインデックスを示し、iは、HE-LTFがマッピングされるサブキャリアインデックスを示す。 【0305】 予め定義された共通のHE-LTFシーケンス(L_i)を各ストリーム別にP行列の互いに異なる行(row)(すなわち、P行列コード)を用いてスクランブル(scramble)する。 【0306】 より具体的に、各ストリーム別に予め定義された共通のHE-LTFシーケンスのN_f個(例えば、4等)のサブ-シーケンス(sub-sequence)単位にP行列の互いに異なる行(row)の行列要素(matrix element)をかける。すなわち、サブ-シーケンスに属するシーケンス要素とP行列の特定行を構成する行列要素とが順にかけられる。 【0307】 このように、スクランブルされたHE-LTFシーケンス(s_i)は、N_f個(例えば、4等)の連続的なエントリー(entry)のサブ-シーケンス(sub-sequence)単位に各ストリーム別に直交(orthogonal)する。すなわち、各ストリーム別にスクランブルされたHE-LTFシーケンスは、区分的に直交(piecewise orthogonal)する。 【0308】 図16に示すように、ストリーム1の場合、予め定義された共通のHE-LTFシーケンスにP行列の1番目の行の行列要素(matrix element)がかけられて(スクランブルされた)、HE-LTFシーケンス(すなわち、HE-LTFシーケンス1)が生成される。ストリーム2の場合、HE-LTFシーケンスにP行列の2番目の行の要素がかけられて(スクランブルされた)、HE-LTFシーケンス(すなわち、HE-LTFシーケンス2)が生成される。 【0309】 具体的に説明すれば、ストリーム1の場合、1番目のHE-LTFシーケンス要素L_1にP行列の1番目の行(row)の1番目の行列要素(すなわち、1)がかけられ、2番目のHE-LTFシーケンス要素L_2にP行列の1番目の行(row)の2番目の行列要素(すなわち、-1)がかけられ、3番目のHE-LTFシーケンス要素L_3にP行列の1番目の行(row)の3番目の行列要素(すなわち、1)がかけられ、4番目のHE-LTFシーケンスL_1にP行列の4番目の行(row)の1番目の行列要素(すなわち、1)がかけられる。そして、残りのHE-LTFシーケンスに対しても4個のシーケンス単位に(すなわち、L_5~L_8、L_9~L_12、L_13~L_16、...)、上記の過程を繰り返すことにより(スクランブルされた)、HE-LTFシーケンス1(s_i(1))が生成される。 【0310】 そして、ストリーム2の場合も、P行列の2番目の行(row)を用いて上記の過程を同様に進行することにより(スクランブルされた)、HE-LTFシーケンス2(s_i(2))が生成される。」 「【0407】 図21は、本発明の一実施形態に係るHE-LTF生成方法を例示する図である。」 「【0409】 図21に示すように、前述した図16のように、各ストリーム別にHE-LTFシーケンスにN_f個(例えば、4等)のサブ-シーケンス(sub-sequence)単位にP行列の互いに異なる行(row)の行列要素(matrix element)をかける。」 「【0412】 ここで、選択的に前述した1-B)方式のように、時間領域での直交性(orthogonality)を維持するために、追加的に各ストリーム別にP行列の互いに異なる行(row)が各HE-LTFシンボルのデータトーンにかけられることができる。」 「【0416】 図21の例示のように、一番最後のトーン位置にP行列を循環(cyclic)して適用することができるが、一番最初の部分にP行列を循環(cyclic)して適用することもできる。すなわち、一番最初のHE-LTFシーケンス要素には、P行列の行(row)の後から順に行列要素(matrix element)をかけることができる。例えば、L_3、L_4、L_5、L_6にP行列の行(row)をかける場合、L_1、L_2には、L_5、L_6にかけられたP行列の値をかけると、1番目のトーン(すなわち、L_1)から4番目のトーン(すなわち、L_4)にもユーザ別に直交性(orthogonality)が維持される。 【0417】 また、前と後に同時に残ったトーンが存在するようにP行列をかけてHE-LTFシーケンスを構成することもできる。例えば、(L_2、L_3、L_4、L_5)から(L_22、L_23、L_24、L_25)にP_4×4行列の行(row)をかけることができる。すなわち、最後に残ったHE-LTFシーケンス要素には、P行列の行(row)の前から順に行列要素(matrixelement)をかけ、一番最初のHE-LTFシーケンス要素には、P行列の行(row)の後から順に行列要素(matrix element)をかけることができる。すなわち、上記の例において残ったL_26には、L_22にかけられたP行列の値をかけ、残ったL_1には、L_5にかけられたP行列の値をかけることができる。この場合にも、P行列の循環的直交性(cyclic orthogonality)を利用してユーザ別に直交性(orthogonality)を維持できる。」 これらの記載によれば、本件特許明細書における「HE-LTFシーケンス」は、予め定められたシーケンス(予め定義された共通のHE-LTFシーケンス)にP行列の「行」をかけることにより生成されるものである。そして、本件特許明細書には、「HE-LTFシーケンス」の生成に際して、予め定められたシーケンス(予め定義された共通のHE-LTFシーケンス)にP行列の「列」をかけることは記載されていない。 以上を踏まえると、本件特許の請求項1における「LTFシーケンス」が、予め定義された定められたシーケンスに予め定義されたマトリクスの「行」を掛け合わせることにより生成されることは明らかである。 したがって、訂正事項1Aについて、本件訂正前の請求項1において「予め定義されたシーケンスと予め定義されたマトリクスの一つの列とを掛け合わせて、」と記載されているのを、「予め定義されたシーケンスと予め定義されたマトリクスの一つの行とを掛け合わせて、」と訂正すること、訂正事項1Bについて、本件訂正前の請求項1において「前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列の全ての要素とを掛け合わせて生成され、」と記載されているのを、「前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行の全ての要素とを掛け合わせて生成され、」と訂正すること、訂正事項1Dについて、本件訂正前の請求項1において「前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、」と記載されているのを、「前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、」と訂正すること、及び、訂正事項1Eについて、本件訂正前の請求項1において「前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの列」と記載されているのを、「前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの行」と訂正することは、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 ウ 訂正事項1Cについて 本件特許明細書には、以下の記載がある。(なお、本項において、下線は強調のために当審で付与したものである。) 「【0222】 また、チャネル推定は、VHT-LTFで行われ、P行列(matrix)をかけて同じサブキャリアのシンボルとストリームとの間に直交性(orthogonality)を作り、これを利用して測定することができる。P行列は、P行列を構成する各行(row)別に直交性(orthogonality)を有する行列を意味する。」 「【0301】 ただし、本発明がこれに限定されるものではなく、UL MU MIMO及び/又はUL OFDMA送信にこれと相違した数のユーザが参加することもできる。また、既存に定義されたP行列でない、各行(row)別に直交(orthogonal)する新しいP行列が定義されて用いられることもできる。また、各ユーザ別に1つ以上のストリームを割り当てられる場合にも本発明が同様に適用され得る。」 これらの記載によれば、本件特許明細書におけるP行列は、各行(row)別に直交性を有する行列である。そして、本件特許明細書には、P行列が各列(column)別に直交性を有する行列であることは記載されていない。 以上を踏まえると、本件特許の請求項1における「予め定義されたマトリクス」は、行のそれぞれの間の直交性を有するマトリクスであるといえる。 したがって、訂正事項1Cについて、本件訂正前の請求項1において「前記予め定義したマトリクスは、列のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、」と記載されているのを、「前記予め定義したマトリクスは、行のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、」と訂正することは、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 エ 小括 前記イ及びウを踏まえると、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 前記第1のとおり、本件特許に係る出願は、外国語特許出願(特許法第184条の4第1項に規定する外国語でされた国際特許出願)であるから、誤記の訂正を目的とする訂正事項1に係る訂正は、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項の規定により、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「国際出願時明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでなければならない。 予め定義されたシーケンスと予め定義されたマトリクスの「行」を掛け合わせることや、予め定義されたマトリクスが「行」のそれぞれの間の直交性を有することは、本件特許の国際出願時明細書等の[15]、[16]、[254]、[330]、[334]~[336]、[339]~[347]、[461]、[463]、[466]、[470]及び[471]に、前記(1)イ及びウで摘記した【0015】、【0016】、【0222】、【0296】、【0299】、【0302】~【0310】、【0407】、【0409】、【0412】、【0416】及び【0417】と同様の記載があるから、国際出願時明細書等に記載される事項である。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1に係る訂正は、誤記を正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 3 訂正事項2について (1)訂正の目的について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項5において、「前記予め定義されたマトリクスの一つの列がかけられたトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」と記載されているのを、「前記予め定義されたマトリクスの一つの行がかけられたトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」と訂正するものである。 前記2(1)イ及びウでの検討を踏まえると、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 前記2(2)での検討を踏まえると、訂正事項2に係る訂正は、本件特許の国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2に係る訂正は、誤記を正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 4 訂正事項3について (1)訂正の目的について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項6において、「前記予め定義されたマトリクスの一つの列がかけられたトーン単位と関係なく、特定トーン間隔を有するトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」と記載されているのを、「前記予め定義されたマトリクスの一つの行がかけられたトーン単位と関係なく、特定トーン間隔を有するトーン単位でキャリア周波数オフセットとチャネル推定に利用される」と訂正するものである。 前記2(1)イ及びウでの検討を踏まえると、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 前記2(2)での検討を踏まえると、訂正事項3に係る訂正は、本件特許の国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3に係る訂正は、誤記を正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 5 訂正事項4について (1)訂正の目的について 訂正事項4は、本件訂正前の請求項9において、「前記予め定義されたシーケンスは、それぞれの時空間ストリームに対して前記予め定義されたマトリクスの異なる列がかけられる」と記載されているのを、「前記予め定義されたシーケンスは、それぞれの時空間ストリームに対して前記予め定義されたマトリクスの異なる行がかけられる」に訂正するものである。 前記2(1)イ及びウでの検討を踏まえると、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 前記2(2)での検討を踏まえると、訂正事項4に係る訂正は、本件特許の国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項4に係る訂正は、誤記を正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 6 訂正事項5について (1)訂正の目的について 訂正事項5は、本件訂正前の請求項11において、「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスに予め定義されたマトリクスの一つの列を掛け合わることにより、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域の中で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」及び「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列の全ての要素とを掛け合わせて生成され、前記予め定義したマトリクスは、列のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの列のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの列は、それぞれの異なるSTAに適用される」と記載されているのを、それぞれ、「前記LTFシンボルは、予め定義されたシーケンスに予め定義されたマトリクスの一つの行を掛け合わることにより、MU送信帯域幅にしたがって周波数領域の中で生成されたLTFシーケンスに基づいて生成され」及び「前記LTFシーケンスの第1部分は、複数の連結された要素を生成するために、前記予め定義されたシーケンスの等しい長さの複数の第1部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行の全ての要素とを掛け合わせて生成され、前記予め定義したマトリクスは、行のそれぞれの間の直交性を有するM行(Mは自然数)でM列のマトリクスであり、 前記LTFシーケンスの第2部分は、前記予め定義されたシーケンスの第2部分と前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットのみとを掛け合わせて生成され、連続する第1要素の数を構成する前記予め定義されたマトリクスの前記一つの行のサブセットは前記予め定義されたシーケンスの第2部分の要素の数に対応し、前記予め定義したシーケンスを掛け合わされた前記予め定義されたマトリクスのそれぞれの行は、それぞれの異なるSTAに適用される」と訂正するものである。 訂正事項5に係る訂正は、本件訂正前の請求項11において、訂正事項1と同様の訂正を行うものであるから、前記2(1)イ及びウを踏まえると、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の有無について 前記2(2)での検討を踏まえると、訂正事項5に係る訂正は、本件特許の国際出願時明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第184条の19の規定により読み替えて適用する同法第126条第5項に適合する。 (3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項5に係る訂正は、誤記を正しい記載にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 7 独立特許要件について 訂正事項1~5に係る訂正の目的が、特許法第126条第1項ただし書第2号に該当するものであるから、同条第7項に規定する要件に適合するかについて検討すると、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~11に記載されている事項により特定される発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。 したがって、訂正事項1~5に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するので、この訂正を認める。 よって、結論のとおり審決する。

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