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特許訂正審判

2017-390126

転がり軸受

審判番号
2017-390126
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2006-142263
登録番号
特許第5070735号(P5070735)
請求日
2017年11月22日
審決日
2018年02月27日
公報発行日
2018年05月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】日本精工 株式会社
  • 【請求人代理人】松山 美奈子
審判長/審判官
  • 審判長 板谷 一弘
  • 審判官 河本 充雄
  • 審判官 金 公彦
分類
P141 .841-Y (C22C) / P141 .851-Y (C22C) / P141 .852-Y (C22C) / P141 .853-Y (C22C) / P141 .854-Y (C22C) / P141 .855-Y (C22C) / P141 .856-Y (C22C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第131条の2第1項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5070735号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第5070735号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5070735号は、平成18年5月23日を出願日とする出願(特願2006-142263号)の請求項1に係る発明について、平成24年8月31日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成29年11月22日に本件訂正審判の請求がされ、同年12月6日付けで手続補正指令がされ、同年12月13日に手続補正書(審判請求書)が提出され、平成30年1月11日付けで訂正拒絶理由通知が通知され、これに対して、同年1月26日に、平成29年12月13日に補正された審判請求書及び訂正明細書を補正する手続補正(以下、「本件補正」という。)がされるとともに意見書が提出されたものである。 なお、平成29年12月13日提出の手続補正書(審判請求書)により、平成29年11月22日提出の審判請求書及び訂正明細書は補正されており、以下、当該補正前の審判請求書を「補正前審判請求書」といい、当該補正後の審判請求書を「補正後審判請求書」といいう。 第2 本件補正の適否について 本件補正は、補正後審判請求書の「請求の理由」に記載された訂正事項20を削除するとともに、当該訂正事項20の削除に整合するように訂正明細書を補正するものであるから、補正前審判請求書の請求の要旨を変更するものではなく、特許法第131条の2第1項の規定を満たすものである。 したがって、本件補正を認める。 なお、本件補正により、平成30年1月11日付け訂正拒絶理由通知において、特許法第126条第1項ただし書各号のいずれの事項を目的とするものではないと指摘した訂正事項20は削除されたから、訂正拒絶理由は解消している。 第3 請求の趣旨及び訂正事項 1 請求の趣旨 本件訂正審判請求の趣旨は、特許第5070735号の明細書、特許請求の範囲及び図面を、補正後審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める、との審決を求める、というものである。 2 訂正事項 本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1~19、21~24のとおりである。(当審注:下線は訂正箇所を示すため当審が付与した。) (1) 訂正事項1 請求項1の「C:0.3wt%以上1.2wt%以下、Cr:0.5wt%以上2.0wt%以下、Si:0.3wt%以上2.2wt%以下、Mn:0.3wt%以上2.0wt%以下、残部鉄と不可避的不純物、且つSi/Mnが5以下の鋼からなる転動体」との記載を「C:0.95wt%以上1.10wt%以下、Cr:0.9wt%以上1.20wt%以下、Si:0.4wt%以上0.7wt%以下、Mn:0.9wt%以上1.15wt%以下、残部鉄と不可避的不純物、且つSi/Mnが5以下の鋼からなる転動体」に訂正し(訂正事項1-1)、「表面層の窒素濃度を0.2wt%以上2wt%以下」との記載を「表面層の窒素濃度を0.2wt%以上0.64wt%以下」に訂正し(訂正事項1-2)、「窒化物面積率を1%以上10%未満」との記載を「窒化物面積率を1%以上3.56%以下」に訂正し(訂正事項1-3)、「0.8≦γRAB/γC≦1.5」との記載を「γRAB/γC=0.8」に訂正する(訂正事項1-4)。 (2) 訂正事項2 請求項1の「前記窒化物面積率」との記載を「窒化物面積率」に訂正する。 (3) 訂正事項3 明細書【0005】の「Si:0.3wt%以上2.2wt%以下、Mn:0.3wt%以上2.0wt%以下で、且つSi/Mnが5以下の鋼からなる転動体」との記載を「C:0.95wt%以上1.10wt%以下、Cr:0.9wt%以上1.20wt%以下、Si:0.4wt%以上0.7wt%以下、Mn:0.9wt%以上1.15wt%以下、残部鉄と不可避的不純物で、且つSi/Mnが5以下の鋼からなる転動体」に訂正し、「その表面層の窒素濃度を0.2wt%以上とし」との記載を「その表面層の窒素濃度を0.2wt%以上0.64wt%以下とし」に訂正し、「前記窒化物面積率を1%以上10%未満とする」との記載を「窒化物面積率を1%以上3.56%以下とする」に訂正する。 (4) 訂正事項4 明細書【0006】の「0.8≦γRAB/γC≦1.5」との記載を「γRAB/γC=0.8」に訂正する。 (5) 訂正事項5 明細書【0008】の「[表面窒素濃度が0.2wt%以上で、析出したSi・Mn系窒化物の面積率が1~10%]」との記載を「[表面窒素濃度が0.2wt%以上0.64wt%以下で、析出したSi・Mn系窒化物の面積率が1~3.56%]」に訂正し、「Si・Mn系窒化物の面積率が10%を超えると効果が飽和するので、上限値を10%、窒素濃度を2wt%とすることが好ましい。」との記載を削除する。 (6) 訂正事項6 明細書【0009】の「Si含有量:0.3~2.2wt%、Mn含有量:0.3~2.0wt%」との記載を「Si含有量:0.4wt%~0.7wt%、Mn含有量:0.9wt%~1.15wt%」に訂正する。 (7) 訂正事項7 明細書【0010】の「[Si含有量:0.3~2.2wt%]」との記載を「[Si含有量:0.4wt%~0.7wt%]」に訂正し、「Mnの存在によって、0.3wt%以上の添加」との記載を「Mnの存在によって、0.4wt%以上の添加」に訂正し、「[Mn含有量:0.3~2.0wt%]」との記載を「[Mn含有量:0.9wt%~1.15wt%]」に訂正し、「Siとの共存によって、0.3wt%以上の添加」との記載を「Siとの共存によって、0.9wt%以上の添加」に訂正し、「2.0wt%以下とする。」との記載を「1.15wt%以下とする。」に訂正する。 (8) 訂正事項8 明細書【0012】の「[転動体のC:0.3wt%以上1.2wt%以下]」との記載を「[転動体のC:0.95wt%以上1.10wt%以下]」に訂正し、「上限値を1.2wt%」との記載を「上限値を1.10wt%」に訂正する。 (9) 訂正事項9 明細書【0013】の「Cr:0.5wt%以上2.0wt%以下」との記載を「Cr:0.9wt%以上1.20wt%以下」に訂正し、「Cr含有量は0.5wt%以上2.0wt%以下」との記載を「Cr含有量は0.9wt%以上1.20wt%以下」に訂正する。 (10) 訂正事項10 明細書【0014】の「0.8≦γRAB/γC≦1.5」との記載を「γRAB/γC=0.8」に訂正し、「範囲としては0.8≦γRAB/γC≦1.5が好適である。」との記載を削除し、「γRAB/γCの比率を0.8以上とする」との記載を「γRAB/γCの比率を0.8とする」に訂正する。 (11) 訂正事項11 明細書【0023】の「Si:0.3wt%以上2.2wt%以下、Mn:0.3wt%以上2.0wt%以下で、且つSi/Mnが5以下の鋼からなる転動体」との記載を「C:0.95wt%以上1.10wt%以下、Cr:0.9wt%以上1.20wt%以下、Si:0.4wt%以上0.7wt%以下、Mn:0.9wt%以上1.15wt%以下、残部鉄と不可避的不純物で、且つSi/Mnが5以下の鋼からなる転動体」に訂正し、「その表面層の窒素濃度を0.2wt%以上とし」との記載を「その表面層の窒素濃度を0.2wt%以上0.64wt%以下とし」に訂正し、「前記窒化物面積率を1%以上10%未満とする」との記載を「窒化物面積率を1%以上3.56%以下とする」に訂正し、「0.8≦γRAB/γC≦1.5」との記載の「γRAB/γC=0.8」に訂正する。 (12) 訂正事項12 明細書【0024】の「鋼種2」との記載を「鋼種14」に訂正する。 (13) 訂正事項13 明細書【0027】の「各試験辺」との記載を「各試験片」に訂正し、「比較例1」との記載を「比較例21」に訂正する。 (14) 訂正事項14 明細書【0028】の【表2】の実施例26~29及び比較例24、25に関する記載を削除する。 (15) 訂正事項15 明細書の【0029】の「また、Si・Mn系窒化物の面積率が10%を超えると効果が飽和していることが分かる。」との記載を削除する。 (16) 訂正事項16 明細書【0031】の「表4に示す」との記載を「表3に示す」に訂正する。 (17) 訂正事項17 明細書【0032】の【表3】の「実施例2~19」との記載を「参考例2~19」に訂正する。 (18) 訂正事項18 明細書【0033】の「窒素濃度0.2wt%以上2.0wt%以下、Si・Mn系窒化物面積率1%以上10%以下」との記載を「窒素濃度0.35wt%、Si・Mn系窒化物面積率2.04%」に訂正し(訂正事項18-1)、「実施例は」との記載を「実施例1は」に訂正し(訂正事項18-2)、「この表3中の転動体表面の残留オーステナイト量γCと軌道輪表面の残留オーステナイト量γRABとの比γRAB/γCと、寿命比率との関係を図6に示す。同図から明らかなように」との記載を「この表3から明らかなように」に訂正し(訂正事項18-3)、「0.8≦γRAB/γC≦1.5」との記載を「γRAB/γC=0.8」に訂正し(訂正事項18-4)、「比較例2」との記載を「比較例1」に訂正する(訂正事項18-5)。 (19) 訂正事項19 明細書【0034】の記載を削除する。 (20) 訂正事項21 明細書【0037】の「0.8wt%をとする」との記載を「0.8wt%とする」に訂正する。 (21) 訂正事項22 明細書【0038】の【図6】の「転動体の残留オーステナイト量と軌道輪の残留オーステナイト量との比と、寿命比率との関係を示す説明図である。」との記載、及び、【図7】の「Si/Mn比率とSi・Mn系窒化物の面積率との関係を示す説明図である。」との記載を削除する。 (22) 訂正事項23 図面の【図3】及び【図4】に記載の、訂正前の【表2】に記載されている実施例26~29及び比較例24、25に関するプロットを削除する。 (23) 訂正事項24 図面の【図6】及び【図7】を削除する。 第3 当審の判断 1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1について ア 訂正事項1-1について (ア) 訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載されていた転動体を構成する鋼の組成のうち、「C」の含有量を「0.3wt%以上1.2wt%以下」から「0.95wt%以上1.10wt%以下」に限定し、「Cr」の含有量を「0.5wt%以上2.0wt%以下」から「0.9wt%以上1.20wt%以下」に限定し、「Si」の含有量を「0.3wt%以上2.2wt%以下」から「0.4wt%以上0.7wt%以下」に限定し、「Mn」の含有量を「0.3wt%以上2.0wt%以下」から「0.9wt%以上1.15wt%以下」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ) 願書に添付した明細書(以下、「訂正前明細書」という。)【0033】には、「少なくとも転動体には、Si、Mn含有量が高いSUJ3を用いるのが望ましい(本発明範囲)。」と記載されているところ、上記「SUJ3」の組成は、JIS G4805に定められており、C:0.95-1.10%、Si:0.40-0.70%、Mn:0.90-1.15%、Cr:0.90-1.20%、残部鉄と不可避不純物(P:0.025%以下及びS:0.025%以下)であるから(請求人が補正前審判請求書に添付した、高炭素クロム軸受鋼鋼材に関するJIS G 4805:2008及びJIS G 4805(1990)参照。)、訂正事項1-1に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。 (ウ) 前記(ア)、(イ)で検討したように、訂正事項1-1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項1-2、1-3について (ア) 訂正事項1-2、1-3に係る訂正は、「表面層の窒素濃度」の範囲を「0.2wt%以上2wt%以下」から「0.2wt%以上0.64wt%以下」に限定し、「窒化物面積率」の範囲を「1%以上10%未満」から「1%以上3.56%以下」に限定するものであるから、いずれも特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ) 訂正前明細書【0028】の【表2】における「実施例25」には、「窒素濃度」が「0.64」(wt%)、「面積率」が「3.56」(%)であることが記載されているから、訂正事項1-2、1-3に係る訂正は、いずれも訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。 (ウ) 前記(ア)、(イ)で検討したように、訂正事項1-2、1-3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項1-4について (ア) 訂正事項1-4に係る訂正は、「γRAB/γC」について、「0.8≦γRAB/γC≦1.5」との範囲であったのを「γRAB/γC=0.8」との値に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ) 訂正前明細書【0032】の【表3】における「実施例1」には、「γRAB/γC」が「0.80」であることが記載されているから、訂正事項1-4に係る訂正は、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものである。 (ウ) 前記(ア)、(イ)で検討したように、訂正事項1-4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、訂正前明細書に記載した事項の範囲内においてするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 以上から、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1において、「前記窒化物面積率」との記載の前に「窒化物面積率」との事項は記載されていないため、「前記」を削除して記載を明確にするものである。 したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3) 訂正事項3~11について 訂正事項3~11に係る訂正は、いずれも、訂正事項1又は2に係る訂正によって生じる特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との記載の不一致を解消して、記載の整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (4) 訂正事項12について 訂正前明細書【0024】には、「なお、下記表1中、鋼種1はJIS SUJ3、鋼種2はJIS SUJ2に相当する。」と記載されているところ、同【0025】の【表1】には、「鋼種1」及び「鋼種14」は記載されているものの「鋼種2」は記載されていない。 そして、上記【表1】の「鋼種14」の組成は、JIS G 4805によれば、SUJ2に相当する(請求人が補正前審判請求書に添付した、高炭素クロム軸受鋼鋼材に関するJIS G 4805:2008及びJIS G 4805(1990)参照。)から、上記【0024】の「鋼種2」と、上記【表1】の「鋼種14」とは、いずれもSUJ2に相当するものの、両者の鋼種番号は整合しておらず不明瞭な記載となっていたため、訂正事項12に係る訂正は、両者の鋼種番号の記載を整合させるため、上記【0024】の「鋼種2」を「鋼種14」に訂正することにより記載を明瞭にするものである。 したがって、訂正事項12に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (5) 訂正事項13について 訂正前明細書【0027】の「各試験辺」との記載は、願書に最初に添付した明細書【0024】の「種々の窒素濃度、Si・Mn系窒化物面積率の試験片を作成した」との記載からすると、「各試験片」の明らかな誤記であると認められる。 また、同【0027】には、「寿命比を下記表2に示す。寿命比は、比較例1のL10寿命を1としたときの比率で示す。」と記載されているところ、同【0028】の【表2】には、「比較例1」は記載されておらず、「比較例21」の「寿命比」が「1.0」であることからすると、上記「比較例1」は、明らかに「比較例21」の誤記であると認められる。 したがって、訂正事項13に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (6) 訂正事項14について 訂正事項1に係る訂正によって、訂正後の請求項1の「表面層の窒素濃度」は、「0.2wt%以上0.64wt%以下」となったため、訂正前明細書【0028】の【表2】における「鋼種1」を用いた「実施例26~29」は、訂正後の請求項1に係る発明の実施例ではなくなった。 訂正事項14に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって、訂正後の請求項1に係る発明の実施例ではなくなった、上記【表2】における「鋼種1」を用いた「実施例26~29」、及び、これら実施例に対応する比較例である、「鋼種1」を用いた「比較例24、25」を削除するものである。 したがって、訂正事項14に係る訂正は、訂正事項1によって生じる特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との記載の不一致を解消して、記載の整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (7) 訂正事項23について 訂正事項23に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項14に係る訂正(前記(6)参照。)によって、訂正前明細書【0028】の【表2】における「実施例26~29」及び「比較例24、25」が削除されたことに伴い、図面の【図3】及び【図4】に記載されている、上記【表2】の実施例26~29及び比較例24、25に関するプロットを削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (8) 訂正事項15について 訂正事項15に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項23に係る訂正(前記(7)参照。)によって、図面の【図4】に記載されている、上記【表2】の実施例26~29及び比較例24、25に関するプロットが削除されたことに伴い、訂正前明細書【0029】の、上記【図4】から読み取れる事項に関する記載を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (9) 訂正事項16について 訂正前明細書【0031】には、「転がり寿命比率を表4に示す」と記載されているところ、願書に最初に添付した明細書において、「転がり寿命比率」が記載されているのは、【0036】の【表4】ではなく、【0032】の【表3】であるから、上記【0031】の「表4」は、明らかに「表3」の誤記であると認められる。 したがって、訂正事項16に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (10) 訂正事項17について 訂正事項1に係る訂正によって、訂正後の請求項1の「γRAB/γC」は、「0.8」のみとなったため、訂正前明細書【0032】の【表3】における「実施例2~19」は、訂正後の請求項1に係る発明の実施例ではなくなった。 訂正事項17に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって、訂正後の請求項1に係る発明の実施例ではなくなった、上記【表3】における「実施例2~19」を「参考例2~19」とするものである。 したがって、訂正事項17に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって生じる特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との記載の不一致を解消して、記載の整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (11) 訂正事項24 訂正事項24に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項17に係る訂正(前記(10)参照。)によって、訂正前明細書【0032】の【表3】における実施例が「実施例1」のみとなったことに伴い、訂正前の【図6】、【図7】の本発明範囲のプロットが、いずれも1点のみとなることから、これらの図面の意義がなくなるため、これら図面を削除するものである。 したがって、訂正事項24に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (12) 訂正事項18について ア 訂正事項18-1、18-4について 訂正事項18-1、18-4に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項17に係る訂正(前記(10)参照。)によって、訂正前明細書【0032】の【表3】における実施例が「実施例1」のみとなったことに伴い、同【0033】における、窒素濃度の範囲が「0.2wt%以上2.0wt%以下」であったのを、上記【表3】の実施例1の窒素濃度の値である「0.35wt%」に訂正するとともに、Si・Mn系窒化物面積率の範囲が「1%以上10%」であったのを、同実施例1のSi・Mn系窒化物面積率の値である「2.04%」に訂正するものであるから、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項18-2について 訂正事項18-2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項17に係る訂正(前記(10)参照。)によって、訂正前明細書【0032】の【表3】における実施例が「実施例1」のみとなったことに伴い、上記【表3】に関する記載である、同【0033】における「実施例は」を「実施例1は」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項18-3について 訂正事項18-3に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項24に係る訂正(前記(11)参照。)によって、【図6】が削除されたことに伴い、訂正前明細書【0033】の【図6】に関する記載を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 訂正事項18-5について 訂正前明細書【0033】には、「比較例2は、転動体の鋼種がSUJ2である」と記載されているところ、訂正前明細書【0031】の「比較例1(SUJ2相当)」との記載と整合しておらず、不明瞭な記載となっていたため、訂正事項18-5に係る訂正は、上記【0033】の「比較例2」を「比較例1」に訂正することにより記載を明瞭にするものである。 したがって、訂正事項18-5に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ 以上から、訂正事項18に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (13) 訂正事項19について 訂正事項19に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項24に係る訂正(前記(11)参照。)によって、【図7】が削除されたことに伴い、訂正前明細書【0034】の【図7】に関する記載を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (14) 訂正事項21について 訂正前明細書【0037】の「0.8wt%をとする」は、「0.8wt%とする」の誤記であることは明らかであるから、訂正事項21に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (15) 訂正事項22について 訂正事項22に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項24に係る訂正(前記(11)参照。)によって、【図6】及び【図7】が削除されたことに伴い、訂正前明細書【0038】の【図6】及び【図7】に関する記載を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 2 訂正後の発明の独立特許要件について 訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見いだせないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号~第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-390126

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