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特許異議申立

2022-700955

凍結乾燥かき卵およびその製造方法

審判番号
2022-700955
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-103031外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
7054541
請求日
2022年09月29日
審決日
2023年05月25日
公報発行日
2023年08月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7054541号発明「凍結乾燥かき卵およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7054541号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5について訂正することを認める。 特許第7054541号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 特許第7054541号の請求項5に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7054541号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、令和2年6月15日の出願であって、令和4年4月6日にその特許権の設定登録(請求項の数5)がされ、同年同月14日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許に対し、同年9月29日に特許異議申立人 中水 麻衣(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし5)がされ、令和5年2月27日付けで取消理由が通知され、同年3月31日に特許権者 アスザックフーズ株式会社(以下、「特許権者」という。)より訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされたものである。 なお、以下の第2に記載するとおり、本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、実質的に、本件訂正前の請求項5の削除のみの訂正であるといえ、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるといえるから、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えないこととした。 第2 本件訂正請求について 1 請求の趣旨 本件訂正請求における請求の趣旨は、「特許第7054541号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5について訂正することを求める。」というものである。 2 訂正の適否についての判断 (1) 訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1について 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項5を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2で示したとおり、本件訂正は認められたため、本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、順に「本件発明1」のようにいい、これらを総称して「本件発明」という場合がある。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 液体を注ぐことにより復元されてかき卵スープとして喫食される凍結乾燥かき卵の製造方法であって、 卵を加熱した水に投入して、かき卵を含むかき卵調理液を製造する工程と、 前記かき卵調理液とは別に、塩分を含むスープ調味液を製造する工程と、 前記かき卵調理液および前記スープ調味液のいずれか一方の液を容器に充填し、次いで該一方の液上に他方の液を充填する工程と、 次いで、前記かき卵調理液および前記スープ調味液を凍結乾燥する工程と、を含むこと を特徴とする凍結乾燥かき卵の製造方法。 【請求項2】 前記スープ調味液を製造する工程において、前記かき卵以外の具材を、前記スープ調味液に含ませること を特徴とする請求項1記載の凍結乾燥かき卵の製造方法。 【請求項3】 前記かき卵調理液を製造する工程において、前記卵を所定の長さを有するスリット孔を通して前記水に投入すること を特徴とする請求項1または請求項2記載の凍結乾燥かき卵の製造方法。 【請求項4】 前記かき卵調理液を製造する工程において、前記水に還元水飴を混合すること を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の凍結乾燥かき卵の製造方法。 【請求項5】 (削除)」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 令和4年9月29日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(甲第2号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 証拠方法 ・甲第1号証:特開昭62-205768号公報 ・甲第2号証:特開2002-51747号公報 ・甲第3号証:特開2015-50971号公報 以下、順に「甲1」等という。 第5 令和5年2月27日付けで特許権者に通知した取消理由の概要 本件特許の請求項1ないし5に係る特許に対して、当審が令和5年2月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。なお、取消理由は、申立理由のうち、申立理由1を包含する。 取消理由1(甲1に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項5に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項5に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 第6 取消理由についての当審の判断 上記第2で述べたとおり、訂正により特許請求の範囲の請求項5は削除された。そうすると、請求項5については取消理由の対象が存在しない。 第7 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由についての判断 取消理由において採用しなかった特許異議申立の申立理由は、申立理由1の一部と申立理由2であるので、以下順に検討する。 1 申立理由1(甲1に基づく進歩性)について (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には、「即席かき卵汁の製造方法」に関し、おおむね次の事項が記載されている。 ・「(1)(イ)デキストリン溶液、あるいはデキストリン溶液とスープの混合液に加熱かくはん下に卵液を滴下させてかき卵液を調製する工程。 (ロ)野菜に充分アルファー化したデキストリン溶液を加えて薄いフィルムにて形成される袋中に詰め真空処理し、脱気した後均一の厚さに圧延して凍結し一定の形状に切断して具材を調製する工程。 (ハ) (ロ)の工程にて調製される具材を容器に入れ、(イ)の工程にて調製されるかき卵液を加えて凍結乾燥する工程。 以上(イ)、(ロ)、(ハ)の三つの工程を結合してなることを特徴とする即席かき卵汁の製造方法。 (2)卵液100部に対し、250~400部のデキストリン溶液あるいはデキストリンとスープの混合液を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の即席かき卵汁の製造方法。 (3)野菜100部に対し、15~60部の2.5~7%濃度のアルファー化したデキストリンを含有する液を加えることを特徴とする特許請求の範囲第1項、第2項のいづれか1項に記載の即席かき卵汁の製造方法。」(特許請求の範囲) ・「本発明は喫食時に混合等の手間が不要で、熱湯を注ぐだけで瞬時に復元し、かつ具材も含有されているような簡便で美味な即席かき卵汁製品を提供せんとするものである。」(2頁左上欄4~7行) ・「本発明は (A)喫食時に熱湯を加えれば瞬時に復元する。 (B)かき卵汁部と具材部とが一体となっていて、具材の壊れがなく、喫食時の取り扱いがワンタッチでできる。 (C)具材としては複数種類の野菜を用いる。 (D)高級感を出すために復元時にかき卵汁にとろみが付与されている。 という、簡便性と高級感のある即席かき卵汁を製造するにあたり、以下のような手段を採用する。」(2頁右上欄14行~左下欄3行) ・「ホ、実施例 一定の形状に切断したしいたけ200g、青ねぎ200g、人参200gに対し5%デキストリン溶液(デキストリンとしては日澱化学(株)「アミコールTP」を用いた。)460gを混合しポリ袋に詰めた。ポリ袋を10Torr以下の高真空下にて脱気し、厚みを約1cmにして板状のまま一晩冷凍庫にて凍結した。凍結物を30mm×30mmに切断し、プラスチック製の枠容器に加えた。この容器は長方形、逆微垂直体の一定容量と形状を有するものである。 デキストリン93gを水3678gに溶解し、加熱して充分アルファー化させた後、食塩、みりん、だし、香辛料等を添加し、90~95℃まで加熱し全卵をといてからざ等の不純物を除いた後に先のデキストリン溶液に滴下して薄膜状のかき卵を調製し、直ちに40℃以下に冷却した。 このものを野菜凍結物の入った容器内に野菜凍結物を包むように55g注加した。分注後直ちに-25℃の冷凍庫にて2時間以上予備凍結した。完全に凍結後真空度0.2~0.5Torr下にて24時間常法により凍結乾燥した。」(3頁左欄12行~右欄12行) イ 甲1に記載された発明 甲1には、特許請求の範囲について整理すると、以下の発明が記載されていると認める。 「(イ)デキストリン溶液に加熱かくはん下に卵液を滴下させてかき卵液を調製する工程、(ロ)野菜に充分アルファー化したデキストリン溶液を加えて薄いフィルムにて形成される袋中に詰め真空処理し、脱気した後均一の厚さに圧延して凍結し一定の形状に切断して具材を調製する工程、(ハ)(ロ)の工程にて調製される具材を容器に入れ、(イ)の工程にて調製されるかき卵液を加えて凍結乾燥する工程の三つの工程を結合してなる、即席かき卵汁の製造方法。」(以下、「甲1発明」という。) (2)本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「即席かき卵汁」は、凍結乾燥により得られるものであり、また、熱湯を注ぐだけで瞬時に復元し喫食するものであるから、本件発明1の「液体を注ぐことにより復元されてかき卵スープとして喫食される凍結乾燥かき卵」に相当する。 甲1発明の「デキストリン溶液に加熱かくはん下に卵液を滴下させてかき卵液を調製する工程」は、本件発明1の「卵を加熱した水に投入して、かき卵を含むかき卵調理液を製造する工程」に相当する。 甲1発明の「野菜に充分アルファー化したデキストリン溶液を加え」る工程は、本件発明1の「前記かき卵調理液とは別に、スープ調味液を製造する工程」に相当する。 甲1発明の「(ロ)の工程にて調製される具材を容器に入れ、(イ)の工程にて調製されるかき卵液を加えて凍結乾燥する」工程は、本件発明1の「前記かき卵調理液および前記スープ調味液のいずれか一方の液を容器に充填」する工程及び「前記かき卵調理液を凍結乾燥する工程」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「液体を注ぐことにより復元されてかき卵スープとして喫食される凍結乾燥かき卵の製造方法であって、 卵を加熱した水に投入して、かき卵を含むかき卵調理液を製造する工程と、 前記かき卵調理液とは別に、スープ調味液を製造する工程と、 前記かき卵調理液および前記スープ調味液のいずれか一方の液を容器に充填する工程と、 次いで、前記かき卵調理液を凍結乾燥する工程と、を含む」「凍結乾燥かき卵の製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1-1> スープ調味液について、本件発明1は、「塩分を含む」のに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 <相違点1-2> 本件発明1は、「一方の液上に他方の液を充填する工程」を有しているのに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 そこで、事案に鑑み、相違点1-2について検討する。 甲1には、「(ロ)の工程にて調製される具材を容器に入れ、(イ)の工程にて調製されるかき卵液を加える」ことが記載されているが、「(ロ)の工程にて調製される具材」は、「真空処理し、脱気した後均一の厚さに圧延して凍結し一定の形状に切断」した固体であるから、「一方の液上に他方の液を充填する工程」について記載されているとはいえず、甲1発明の「一方の液上に他方の液を充填する工程」を有することを示す証拠もない。 そうすると、相違点1-2は、実質的な相違点である。 また、甲1には、甲1発明において、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はないし、他の提出された証拠にもそのような記載はない。 したがって、甲1発明において、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 そして、本件発明1の奏する「液体で戻した際に大きく広がって、卵の風味および柔らかく滑らかな食感を有する卵色のかき卵が復元可能な凍結乾燥かき卵を比較的手間が掛からない方法で製造することができる。」(【0012】)という効果は、甲1発明並びに甲1及びその他の提出された証拠に記載された事項からみて、本件発明1の構成から当業者が予測できる範囲の効果を超える顕著なものである。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲1及びその他の提出された証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)本件発明2ないし4について 本件発明2ないし4は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものである。 そして、上記(2)で検討したとおり、本件発明1は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明である本件特許発明2ないし4は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立理由1についてのむすび したがって、申立理由1によっては、本件特許の請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 2 申立理由2(甲2に基づく進歩性)について (1)甲2に記載された事項等 ア 甲2に記載された事項 甲2には、「即席かき玉子スープの製造方法並びに該方法により得られた即席かき玉子スープ」に関し、おおむね次の事項が記載されている。 ・「【0002】 【従来の技術】これまで、湯を注いで戻すだけで簡単に喫食することのできる即席のFD( Freeze-drying;凍結乾燥)かき玉子スープが種々提案されている。この即席かき玉子スープの商品価値としては、スープの味、全体の見た目(具材の形状、外観の好ましさ、かき玉子の形状等)の他に、かき玉子の食感も重視されていることが、外部評価結果より明らかとなっている。」 ・「【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、卵スープとしてのかき玉子の食感並びに形状に優れた即席かき玉子スープを製造する方法を提供することを目的とするものである。即ち、本発明は、湯戻しを行った際に、殆どざらつきを感じず、柔らかくて、食感に優れると共に、薄膜状であって形状にも優れたかき玉子が得られる即席かき玉子スープを製造する方法を提供することを目的とするものである。」 ・「【0028】実施例1(かき玉子作成時の熱水温度の選定) 小麦澱粉を水に加えて2.4%濃度とした澱粉液600gについて、第1表に示すように、80~96℃の温度範囲内で2℃刻みに、かつ、89℃での実施を加え、合計10種類の加熱を実施し(第1表中に、熱水温度として記載した。)、攪拌しながらこれに、予めキサンタンガムを卵液に対し0.2%添加しておいた卵液300gをそれぞれ加えて、10種類のかき玉子を製造した。これら10種類のかき玉子に、粉末及び液体の調味料類を添加し、トレーに分注した後、-20℃以下の冷凍庫にて凍結した。これらを真空凍結乾燥機にて乾燥することにより、10種類の即席かき玉子スープサンプルを製造した。得られた10種類の即席かき玉子スープサンプルをカップに入れ、規定量の熱湯を注ぎ、30秒間攪拌し、かき玉子の食感と形状とについて、それぞれ評価した。また、総合評価として、かき玉子の食感と形状のそれぞれの評価のうちで悪い方の評価を併せて示した。これらの結果を第1表に示す。 ・・・ 【0031】 【表1】第1表 [図:0001400478000001.jpg] 」 イ 甲2に記載された発明 甲2には、実施例1における熱水温度89℃の場合について整理すると、以下の発明が記載されていると認める。 「小麦澱粉を水に加えて2.4%濃度とした澱粉液600gについて、89℃での加熱を実施し、攪拌しながらこれに、予めキサンタンガムを卵液に対し0.2%添加しておいた卵液300gをそれぞれ加えて、かき玉子を製造し、このかき玉子に、粉末及び液体の調味料類を添加し、トレーに分注した後、-20℃以下の冷凍庫にて凍結し、これを真空凍結乾燥機にて乾燥することにより、即席かき玉子スープサンプルを製造する方法。」(以下、「甲2発明」という。) (2)本件発明1について 本件発明1と甲2発明とを対比する。 甲2発明の「即席かき玉子スープサンプル」は、凍結、乾燥により得られるものであり、また、湯を注いで戻すだけで簡単に喫食することのできるものであるから、本件発明1の「液体を注ぐことにより復元されてかき卵スープとして喫食される凍結乾燥かき卵」に相当する。 甲2発明の「小麦澱粉を水に加えて2.4%濃度とした澱粉液600gについて、89℃での加熱を実施し、攪拌しながらこれに、予めキサンタンガムを卵液に対し0.2%添加しておいた卵液300gをそれぞれ加えて、かき玉子を製造」する工程は、本件発明1の「卵を加熱した水に投入して、かき卵を含むかき卵調理液を製造する工程」に相当する。 甲2発明の「このかき玉子に、粉末及び液体の調味料類を添加」する工程は、粉末及び液体の調味料類がかき玉子とは別に製造されたことは明らかであるから、本件発明1の「前記かき卵調理液とは別に、スープ調味液を製造する工程」を有しているといえる。 甲2発明の「-20℃以下の冷凍庫にて凍結し、これを真空凍結乾燥機にて乾燥する」工程は、本件発明1の「前記かき卵調理液を凍結乾燥する工程」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、 「液体を注ぐことにより復元されてかき卵スープとして喫食される凍結乾燥かき卵の製造方法であって、 卵を加熱した水に投入して、かき卵を含むかき卵調理液を製造する工程と、 前記かき卵調理液とは別に、スープ調味液を製造する工程と、 次いで、前記かき卵調理液を凍結乾燥する工程と、を含む」「凍結乾燥かき卵の製造方法。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2-1> スープ調味液について、本件発明1は、「塩分を含む」のに対し、甲2発明は、そのような特定がない点。 <相違点2-2> 本件発明1は、「かき卵調理液および前記スープ調味液のいずれか一方の液を容器に充填し、一方の液上に他方の液を充填する工程」を有しているのに対し、甲2発明は、そのような特定がない点。 そこで、事案に鑑み、相違点2-2について検討する。 甲2には、「かき卵調理液および前記スープ調味液のいずれか一方の液を容器に充填し、一方の液上に他方の液を充填する工程」についての記載はなく、甲2発明は、「かき玉子に、粉末及び液体の調味料類を添加」する工程を有するものであるが、当該工程が「一方の液上に他方の液を充填する工程」であるとはいえず、甲2発明が「かき卵調理液および前記スープ調味液のいずれか一方の液を容器に充填し、一方の液上に他方の液を充填する工程」を有することを示す証拠もない。 そうすると、相違点2-2は、実質的な相違点である。 また、甲2には、甲2発明において、相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はないし、上記1(2)で検討したとおり甲1にもそのような記載はないし、甲1以外の他の提出された証拠にもそのような記載はない。 したがって、甲2発明において、相違点2-2に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 そして、本件発明1の奏する「液体で戻した際に大きく広がって、卵の風味および柔らかく滑らかな食感を有する卵色のかき卵が復元可能な凍結乾燥かき卵を比較的手間が掛からない方法で製造することができる。」という効果は、甲2発明並びに甲2及びその他の提出された証拠に記載された事項からみて、本件発明1の構成から当業者が予測できる範囲の効果を超える顕著なものである。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲2及びその他の提出された証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (3)本件発明2ないし4について 本件発明2ないし4は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て有するものである。 そして、上記(2)で検討したとおり、本件発明1は甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明である本件特許発明2ないし4は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立理由2についてのむすび したがって、申立理由2によっては、本件特許の請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 第8 結語 上記第7のとおり、本件特許の請求項1ないし4に係る特許は、特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許の請求項5に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項5に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700955

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    共通の審決分類: 113・A23L、121・A23L
  • 2024-700938異議申立 / 2026-05-08 / 訂正認容果汁含有飲料
    共通の審決分類: 113・A23L、121・A23L

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