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特許異議申立

2024-700956

フライ食品、フライ食品の製造方法、およびフライ食品のパンク抑制方法

審判番号
2024-700956
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-142463
登録番号
7460837
請求日
2024年10月02日
審決日
2025年12月24日
公報発行日
2026年04月24日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社ニッスイ
  • 【権利者代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
  • 【権利者代理人】森田 拓
  • 【権利者代理人】前川 純一
  • 【権利者代理人】上島 類
  • 【権利者代理人】伊藤 潤
  • 【異議申立人】上垣内 俊彦
審判長/審判官
  • 審判長 柴田 昌弘
  • 審判官 宮久保 博幸
  • 審判官 加藤 友也
分類
P1651.113-YAA(A23L) / P1651.121-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L) / P1651.536-YAA(A23L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第3項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7460837号発明「フライ食品、フライ食品の製造方法、およびフライ食品のパンク抑制方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7460837号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし5、7及び8〕、6、〔9ないし13、15及び16〕、14、〔17ないし20〕、〔21及び22〕、〔23ないし26〕並びに27について訂正することを認める。 特許第7460837号の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許を維持する。 特許第7460837号の請求項2、4、5、8、10、12、13、16、18ないし20、22及び24ないし26に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7460837号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし27に係る特許についての出願は、令和5年9月1日を出願日とする特許出願であって、令和6年3月25日にその特許権の設定登録(請求項の数27)がされ、同年4月2日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対して、同年10月2日に特許異議申立人 上垣内 俊彦(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし27)がされ、同年同月15日に特許異議申立人から手続補正書(方式)が提出され、同年11月15日に特許異議申立人から手続補正書(方式)及び上申書が提出され、令和7年1月16日付けで取消理由が通知され、同年3月21日に特許権者 株式会社ニッスイ(以下、「特許権者」という。)から訂正の請求がされるとともに意見書が提出され、同年同月31日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年5月2日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年同月14日に特許異議申立人から手続補正書(方式)が提出され、同年8月1日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年9月22日に特許権者から訂正の請求がされるとともに意見書が提出されたものである。 なお、令和7年3月21日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、すでに特許異議申立人に意見書の提出の機会が与えられており、下記第2 1のとおり、令和7年9月22日にされた訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、下記第6及び7のとおり、提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体は判断し、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された特別の事情があるときといえるから、特許異議申立人に再度の意見書の提出の機会を与えていない。 第2 本件訂正について 1 訂正の内容 令和7年9月22日にされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示すものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記中種のpHが8以下である、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」と記載されているのを、「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料と、牛乳を除く酸性原料と、を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下である、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」に訂正する。 併せて、請求項1の記載を引用する請求項3及び7も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または2に記載のフライ食品。」と記載されているのを、「請求項1に記載のフライ食品。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する、請求項5に記載のフライ食品。」と記載されているのを、「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下であり、 前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に「前記塩基性原料が、水産物、畜産物、または農産物を塩基性水溶液で処理したものである、請求項5に記載のフライ食品。」と記載されているのを、「前記塩基性原料が、水産物、畜産物、または農産物(大豆を除く)を塩基性水溶液で処理したものである、請求項1に記載のフライ食品。」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることによりpH8以下の流動性の中種を調製する工程を有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」と記載されているのを、「塩基性原料を含有する混合物において、牛乳を除く酸性原料を共存させることによりpH5.5以上7.8以下の流動性の中種を調製する工程を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」に訂正する。 併せて、請求項9の記載を引用する請求項11及び15も同様に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11に「請求項9または10に記載の製造方法。」と記載されているのを、「請求項9に記載の製造方法。」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項12を削除する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13を削除する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14に「前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する、請求項13に記載の製造方法。」と記載されているのを、「塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることによりpH5.5以上7.8以下の流動性の中種を調製する工程を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項15に「前記塩基性原料が、水産物、畜産物、または農産物を塩基性水溶液で処理したものである、請求項13に記載の製造方法。」と記載されているのを、「前記塩基性原料が、水産物、畜産物、または農産物(大豆を除く)を塩基性水溶液で処理したものである、請求項9に記載の製造方法。」に訂正する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項16を削除する。 (17)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項17に「塩基性原料および酸性原料を含有し、pHが8以下である中種を有する、クリームソースを含有するコロッケ(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」と記載されているのを、「塩基性原料と、牛乳を除く酸性原料と、を含有し、pHが5.5以上8以下である中種を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、 クリームソースを含有するコロッケ(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」に訂正する。 (18)訂正事項18 特許請求の範囲の請求項18を削除する。 (19)訂正事項19 特許請求の範囲の請求項19を削除する。 (20)訂正事項20 特許請求の範囲の請求項20を削除する。 (21)訂正事項21 特許請求の範囲の請求項21に「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしない、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」と記載されているのを、「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上であり、 185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしない、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」に訂正する。 (22)訂正事項22 特許請求の範囲の請求項22を削除する。 (23)訂正事項23 特許請求の範囲の請求項23に「塩基性原料を含有する流動性の中種のpHを8以下とする、フライ食品のパンク抑制方法(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)。」と記載されているのを、「塩基性原料を含有する流動性の中種のpHを5.5以上7.8以下とする、フライ食品のパンク抑制方法(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)であって、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 有機酸を含有する酸性原料(牛乳を除く)を共存させることによりpHを調整する、方法。」に訂正する。 (24)訂正事項24 特許請求の範囲の請求項24を削除する。 (25)訂正事項25 特許請求の範囲の請求項25を削除する。 (26)訂正事項26 特許請求の範囲の請求項26を削除する。 (27)訂正事項27 特許請求の範囲の請求項27に「酸性原料の、塩基性原料を含有する流動性の中種を有するフライ食品のパンク抑制のための使用(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)。」と記載されているのを、「牛乳を除く酸性原料の、塩基性原料を含有する流動性の中種を有するフライ食品のパンク抑制のための使用(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)であって、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、使用。」に訂正する。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)請求項1についての訂正について 訂正事項1による請求項1についての訂正は、「塩基性原料」及び「酸性原料」についての特定事項を追加するとともに「中種のpH」の数値範囲を狭くするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による請求項1についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)請求項2についての訂正について 訂正事項2による請求項2についての訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2による請求項2についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)請求項3についての訂正について 訂正事項1による請求項3についての訂正は、請求項1についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項3による請求項3についての訂正は、引用請求項を削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1及び3による請求項3についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)請求項4についての訂正について 訂正事項4による請求項4についての訂正は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4による請求項4についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)請求項5についての訂正について 訂正事項5による請求項5についての訂正は、請求項5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項5による請求項5についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)請求項6についての訂正について 訂正事項6による請求項6についての訂正は、訂正前の請求項6が請求項1又は2の記載を引用する請求項5の記載を引用していたのを請求項1、2及び5の記載を引用しない形式に書き下すとともに、「塩基性原料」及び「酸性原料」についての特定事項を追加するとともに「中種のpH」の数値範囲を狭くするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項6による請求項6についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)請求項7についての訂正について 訂正事項1による請求項7についての訂正は、請求項1についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項7による請求項7についての訂正は、「農産物」についての特定事項を追加するとともに、訂正前の請求項7が請求項5を引用していたのを請求項5が削除されたことに伴い、引用する請求項を請求項1に変更したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1及び7による請求項7についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)請求項8についての訂正について 訂正事項8による請求項8についての訂正は、請求項8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項8による請求項8についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)請求項9についての訂正について 訂正事項9による請求項9についての訂正は、「塩基性原料」及び「酸性原料」についての特定事項を追加するとともに「中種」の「pH」の数値範囲を狭くするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項9による請求項9についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (10)請求項10についての訂正について 訂正事項10による請求項10についての訂正は、請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項10による請求項10についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (11)請求項11についての訂正について 訂正事項9による請求項11についての訂正は、請求項9についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項11による請求項11についての訂正は、引用請求項を削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項9及び11による請求項11についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (12)請求項12についての訂正について 訂正事項12による請求項12についての訂正は、請求項12を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項12による請求項12についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (13)請求項13についての訂正について 訂正事項13による請求項13についての訂正は、請求項13を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項13による請求項13についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (14)請求項14についての訂正について 訂正事項14による請求項14についての訂正は、訂正前の請求項14が請求項9又は10の記載を引用する請求項13の記載を引用していたのを請求項9又は10の記載を引用する請求項13の記載を引用しない形式に書き下すとともに、「塩基性原料」及び「酸性原料」についての特定事項を追加するとともに「中種のpH」の数値範囲を狭くするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項14による請求項14についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (15)請求項15についての訂正について 訂正事項9による請求項15についての訂正は、請求項9についての訂正と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項15による請求項15についての訂正は、「農産物」についての特定事項を追加するとともに、訂正前の請求項15が請求項13を引用していたのを請求項13が削除されたことに伴い、引用する請求項を請求項9に変更したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項9及び15による請求項15についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (16)請求項16についての訂正について 訂正事項16による請求項16についての訂正は、請求項16を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項16による請求項16についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (17)請求項17についての訂正について 訂正事項17による請求項17についての訂正は、「塩基性原料」及び「酸性原料」についての特定事項を追加するとともに「中種」の「pH」の数値範囲を狭くするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項17による請求項17についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (18)請求項18についての訂正について 訂正事項18による請求項18についての訂正は、請求項18を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項18による請求項18についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (19)請求項19についての訂正について 訂正事項19による請求項19についての訂正は、請求項19を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項19による請求項19についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (20)請求項20についての訂正について 訂正事項20による請求項20についての訂正は、請求項20を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項20による請求項20についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (21)請求項21についての訂正について 訂正事項21による請求項21についての訂正は、「塩基性原料」、「酸性原料」及び「中種のpH」についての特定事項を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項21による請求項21についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (22)請求項22についての訂正について 訂正事項22による請求項22についての訂正は、請求項22を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項22による請求項22についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (23)請求項23についての訂正について 訂正事項23による請求項23についての訂正は、「塩基性原料」、「酸性原料」及び「中種のpH」についての特定事項を追加するとともに「pHを調整する」方法を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項23による請求項23についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (24)請求項24についての訂正について 訂正事項24による請求項24についての訂正は、請求項24を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項24による請求項24についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (25)請求項25についての訂正について 訂正事項25による請求項25についての訂正は、請求項25を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項25による請求項25についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (26)請求項26についての訂正について 訂正事項26による請求項26についての訂正は、請求項26を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項26による請求項26についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (27)請求項27についての訂正について 訂正事項27による請求項27についての訂正は、「塩基性原料」及び「酸性原料」についての特定事項を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項27による請求項27についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 むすび 以上のとおり、訂正事項1ないし27による請求項1ないし27についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1又は4号に掲げる事項を目的とするものである。 また、訂正事項1ないし27による請求項1ないし27についての訂正は、いずれも、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 なお、訂正前の請求項1ないし8は一群の請求項に該当するものである。 そして、訂正事項1ないし8による請求項1ないし8についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 訂正前の請求項9ないし16は一群の請求項に該当するものである。 そして、訂正事項9ないし16による請求項9ないし16についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 訂正前の請求項17ないし20は一群の請求項に該当するものである。 そして、訂正事項17ないし20による請求項17ないし20についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 訂正前の請求項21及び22は一群の請求項に該当するものである。 そして、訂正事項21及び22による請求項21及び22についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 訂正前の請求項23ないし26は一群の請求項に該当するものである。 そして、訂正事項23ないし26による請求項23ないし26についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 訂正事項27による請求項27についての訂正は、請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第3項の規定に適合する。 また、特許異議申立人からの特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし27に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 さらに、訂正後の請求項6及び14については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することの求めがされている。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし5、7及び8〕、6、〔9ないし13、15及び16〕、14、〔17ないし20〕、〔21及び22〕、〔23ないし26〕並びに27について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし27に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料と、牛乳を除く酸性原料と、を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下である、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 前記中種の粘度は、85℃において50Pa・s以下である、請求項1に記載のフライ食品。 【請求項4】(削除) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下であり、 前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。 【請求項7】 前記塩基性原料が、水産物、畜産物、または農産物(大豆を除く)を塩基性水溶液で処理したものである、請求項1に記載のフライ食品。 【請求項8】(削除) 【請求項9】 塩基性原料を含有する混合物において、牛乳を除く酸性原料を共存させることによりpH5.5以上7.8以下の流動性の中種を調製する工程を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。 【請求項10】(削除) 【請求項11】 前記中種の粘度は、85℃において50Pa・s以下である、請求項9に記載の製造方法。 【請求項12】(削除) 【請求項13】(削除) 【請求項14】 塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることによりpH5.5以上7.8以下の流動性の中種を調製する工程を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。 【請求項15】 前記塩基性原料が、水産物、畜産物、または農産物(大豆を除く)を塩基性水溶液で処理したものである、請求項9に記載の製造方法。 【請求項16】(削除) 【請求項17】 塩基性原料と、牛乳を除く酸性原料と、を含有し、pHが5.5以上8以下である中種を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、 クリームソースを含有するコロッケ(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。 【請求項18】(削除) 【請求項19】(削除) 【請求項20】(削除) 【請求項21】 流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上であり、 185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしない、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。 【請求項22】(削除) 【請求項23】 塩基性原料を含有する流動性の中種のpHを5.5以上7.8以下とする、フライ食品のパンク抑制方法(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)であって、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 有機酸を含有する酸性原料(牛乳を除く)を共存させることによりpHを調整する、方法。 【請求項24】(削除) 【請求項25】(削除) 【請求項26】(削除) 【請求項27】 牛乳を除く酸性原料の、塩基性原料を含有する流動性の中種を有するフライ食品のパンク抑制のための使用(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)であって、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、使用。」 第4 特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由の概要等 令和6年10月2日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した特許異議申立ての理由の概要及び証拠方法は次のとおりである。 1 申立理由1(新規性) (1)申立理由1-1(甲第1号証に基づく新規性) 本件特許発明1、3~5、7~9、11~13、15~17、19~23、25~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)申立理由1-2(甲第2号証に基づく新規性) 本件特許発明1、3~9、11~17、19~23、25~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)申立理由1-3(甲第5号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4)申立理由1-4(甲第6号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5)申立理由1-5(甲第9号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第9号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6)申立理由1-6(甲第11号証に基づく新規性) 本件特許発明1~5、7~13、15~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7)申立理由1-7(甲第14号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第14号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (8)申立理由1-8(甲第15号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第15号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (9)申立理由1-9(甲第18号証に基づく新規性) 本件特許発明1~5、8~13、16~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第18号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (10)申立理由1-10(甲第20-1~20-10号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第20-1~20-10号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (11)申立理由1-11(甲第22-1~22-7号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第22-1~22-7号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (12)申立理由1-12(甲第20-11号証に基づく新規性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第20-11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 申立理由2(進歩性) (1)申立理由2-1(甲第1号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)申立理由2-2(甲第2号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)申立理由2-3(甲第5号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4)申立理由2-4(甲第6号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5)申立理由2-5(甲第9号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第9号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6)申立理由2-6(甲第11号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第11号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7)申立理由2-7(甲第14号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第14号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (8)申立理由2-8(甲第15号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第15号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (9)申立理由2-9(甲第18号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第18号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (10)申立理由2-10(甲第20-1~20-10号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第20-1~20-10号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (11)申立理由2-11(甲第22-1~22-7号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第22-1~22-7号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (12)申立理由2-12(甲第20-11号証に基づく進歩性) 本件特許発明1~27は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第20-11号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 3 申立理由3(明確性要件) 本件特許の特許請求の範囲の記載は、概略、下記の点で特許法第36条第6項第2号の要件を満たさない。 (1)各独立項で「塩基性原料」と規定がなされているが、この「塩基性原料」がどの時点で塩基性を示す原料を指すのか不明確である。例えば、本件明細書には、「塩基性原料は、中種に含まれる原料のうち、塩基性を示すものであれば、特に制限されない」と記載されている(【0008】)が、どの時点で塩基性を示す原料を指すのかが判然としない。塩基性原料は、フライ食品から取り出してpHを測定したときに塩基性を示すものを指すのか、それとも原料として使用する製造開始時点で塩基性を示せばよいのかが不明である。 (2)本件明細書の【0007】の記載を読む限り、本件特許発明において、塩基性原料のpHが8.0以下であることは想定されていないと解される。 しかしながら、請求項1には、「塩基性原料のpHが8.0超」であることは規定されていないので、中種のpHを「8.0以下」に規定したことの技術的意味が不明であり、発明の技術的範囲が不明確となっている。 (3)本件明細書の【0010】の記載を読むと、「リン酸塩、酢酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等)」といった塩基性物質それ自体は「塩基性原料」に含まれないと解される。 しかし、請求項1には塩基性物質がリン酸塩等以外であることは規定されていない。 従って、「塩基性原料」について、リン酸塩等が「塩基性原料」に含まれるのか否か不明確となっている。 (4)本件明細書の【0010】における「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品」における「加工品」とはどのような加工までを含むのか不明である。本件明細書の【0010】の記載を読むと、あたかも“リン酸塩、酢酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等)”といった化合物そのものは「塩基性原料」や「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品」に該当しないようにも解される。 しかし、例えば、「ホタテ殻」は本件明細書でいう「水産物」に該当する一方で、ホタテの殻に焼成処理や抽出処理を施せば、焼成カルシウムや炭酸カルシウム、水酸化カルシウムといった化合物が得られる。このように、「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品」における「加工品」とはどのような加工品を指すのかが不明確となっている。 (5)比較例2は、酸性原料が含まれており、中種のpHが8.0以下であり、本件特許発明1をみたすにもかかわらず、比較例となっており発明の効果が奏されないことが示されており、本件特許発明1の範囲が不明確となっている。 (6)本件明細書の【0027】に「以下に述べる物性等は、塩基性原料および酸性原料を含有させた後の中種についてのものであり、典型的には、中種の全ての原料を混合した後、衣材を付着させる前の中種についてのものである。」と記載されている。 一般に、中種とは、衣以外の部分を指す。 そして、本件明細書の【0007】においても、「中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなることが見出された。」と記載されている。例えば、塩基性物質と酸性物質とが混合されてpHを所定以下に低下させた組成物(混合物)を別の具材で挟んで油調したものは、油調時に組成物(混合物)と外側の油調油に別の具材が介在するからpH調整によるパンク抑制の効果は発揮されない。そうすると、前記の組成物(混合物)以外は衣となる製品以外には、本件特許発明の効果が得難いと考えられる。 しかしながら、本件特許の全ての独立項に“中種が、全ての原料が混合状態となった組成物であり、フライ食品において、当該組成物以外は、衣である、つまりバッター及びパン粉であること”が規定されているわけではない。 このため、本件特許の全ての請求項の記載は不明確である。 (7)請求項1の「流動性」の定義として、【0006】に「油調時に流動性を有する」と記載されているが、結局どの程度の流動性を意味するのか、不明である。本件明細書には、【0028】に85℃の粘度が記載されているが、「あってもよい」という記載にすぎない。粘度が請求項1に限定されない以上、請求項1の「流動性」の語は不明確である。 4 申立理由4(サポート要件及び実施可能要件) 本件特許の特許請求の範囲の記載は、概略、下記の点で特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない。また、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、概略、下記の点で特許法第36条第4項第1号の要件を満たさない。 (1)本件明細書の各実施例では塩基性原料として、pH9.21~9.36のカニ原料が用いられているのみである。これに対し、本件のいずれの請求項にも、塩基性原料のpHが9以上であることは規定されていない。 本件明細書に示されたpH9.0以上の塩基性原料を用いた場合のパンク抑制の効果が、pH9.0未満の塩基性原料を用いた場合によっても同様に奏されると当業者は理解できない。 (2)本件明細書には、「塩基性原料は、中種に含まれる原料のうち、塩基性を示すものであれば特に制限されない」と記載されている(【0008】)が、どの時点を基準として塩基性を示す原料を指すのかの規定がない。 本件実施例では、そもそもpHが8程度のカニを、pH9.21以上にまで高めた塩基性原料を用いた実際例の記載しかない。そして本件特許発明の要旨はpHを従来よりも高めたものに特有の課題をpH低下で解決したことにあるとみられるから、当業者は、例えば、最終的な中種のpHが同じだったとしても、塩基処理を行っていないカニや、カニ缶詰等において酸添加によるpH低下を経たカニを用いた場合にまで、本件特許発明1と同様の効果を奏すると言えるとは、理解できない。 (3)本件明細書に記載の実施例の塩基性原料は、全てカニ殻とカニ肉との混合物(カニの肉および擂り潰したカニの殻を含む原料)である。 ここで、パンクの生じやすさは、塩基性原料のpHのみならず、中種の液体部分との接触性や濡れ性などによっても影響を生じさせるとみられるところ、殻及びカニ肉との混合物以外で実施例で示された効果が奏されることは、本件明細書に記載されていない。そうすると、カニ殻とカニ肉の混合物以外の塩基性材料において、pHさえ満たせば全ての塩基性材料で効果があるか、当業者は理解できない。 (4)本件明細書における比較例2は、中種に酸性原料が含まれている。比較例2は中種のpHが8.0以下であり、本件特許発明1をみたすにもかかわらず、比較例となっており発明の効果が奏されないことが本件明細書の実施例にて示されている。一方で本件明細書の各実施例では、リンゴ酸、クエン酸、ヨーグルト、ゆず果汁パウダー又はすだち果汁パウダーを添加し、その添加前からpHを0.58以上低下させたとき以外にはパンク抑制の効果が示されていない(例えば比較例2と実施例7との関係を参照)。 ここで、本件特許発明の効果は、中種のpHをどの程度効果的に低下させるかという点に強く関係しているから、有機酸の種類やpH低下の程度は中種の物性を左右し、発明の効果に影響すると解される。そうすると、有機酸の種類を「リンゴ酸、クエン酸、ヨーグルト、ゆず果汁パウダー又はすだち果汁パウダー」に限定し、且つ、その添加前からpHを0.58以上低下させることを限定しない場合に、本件明細書の実施例と同様の効果が奏されると当業者は理解できない。 (5)本件明細書の【0027】に「以下に述べる物性等は、塩基性原料および酸性原料を含有させた後の中種についてのものであり、典型的には、中種の全ての原料を混合した後、衣材を付着させる前の中種についてのものである。」と記載されている。 一般に、中種とは、衣以外の部分を指す。 そして、本件明細書の【0007】においても、「中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなることが見出された。」と記載されている。ということは、例えば、塩基性物質と酸性物質とが混合されてpHを所定以下に低下させた組成物(混合物)を別の具材で挟んで油調したものは、油調時に組成物(混合物)と外側の油調油に別の具材が介在するからpH調整によるパンク抑制の効果は発揮されない。すなわち、全原料を混合した組成物(混合物)以外は衣となる製品以外には、本件特許発明の効果が得難いと考えられる。 しかしながら、本件の独立項には“中種が、全ての原料が混合状態となった組成物であり、フライ食品において、当該組成物以外は、衣である、つまりバッター及びパン粉であること”であることが規定されていない。 (6)本件明細書の実施例では、中種の粘度が85℃で「5Pa・s以上25Pa・s以下」であったものしか記載されていない。そして、本件特許発明の“油ちょう中にパンクを起こしにくいフライ食品の提供、油ちょう中にパンクを起こしにくいフライ食品”という課題に対し、85℃の粘度が高すぎる場合、本件特許発明の技術的意義を有さず、低すぎる場合、パンク抑制効果が得られないから、当業者は、中種の粘度が85℃で「5Pa・s以上25Pa・s以下」以外の場合に本件特許発明の課題が解決できると考えられない。 5 証拠方法 甲第1号証:特開2019-140994号公報 甲第2号証:特開平9-308457号公報 甲第3号証:液卵の製造等に係る衛生確保について(◆平成05年08月27日衛食第116号衛乳第190号) 甲第4号証:第1回養鶏問題懇談会委員要求資料,平成16年9月21日農林水産省生産局畜産部 甲第5号証:特開2011-63号公報 甲第6号証:特開2008-154578号公報 甲第7号証:特開平7-203922号公報 甲第8号証:塩化カルシウム,株式会社日吉 甲第9号証:国際公開第2020/031837号 甲第10号証:オニオンスープの食味および呈味成分に及ぼすコンソメ類と炒めタマネギの影響,日本家政学会誌,Vol.55,No.5,p389-398,2004 甲第11号証:特開2021-141827号公報 甲第12号証:牛乳および乳製品のpH測定 甲第13号証:主要な保存料・日持向上剤の抗菌メカニズム―どこまで解明されているか?,Jpn. J. Food Microbiol.,31(2),p70-75,2014 甲第14号証:国際公開第2017/030206号 甲第15号証:特開2012-223133号公報 甲第16号証:国際公開第2005/012542号 甲第17号証:特開平9-28306号公報 甲第18号証:特開2017-169464号公報 甲第19-1号証:AQUATIC RESEARCH 6(2),p117-124,2023 甲第19-2号証:Foods 2018 July;7(7):99 甲第19-3号証:Korean Journal of Fisheries and Aquatic Sciences,48(5),655-660,2015 甲第19-4号証:東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,18,57-63,1990 甲第19-5号証:鳥取県産業技術センター研究報告,No. 16,2013,p32-35 甲第19-6号証:わたりがに缶詰、業務用 甲第19-7号証:缶詰・びん詰・レトルト食品情報 甲第19-8号証:特開2020-103251号公報 甲第20-1号証:基本のカニクリームコロッケ 公開日2009年9月1日 甲第20-2号証:美味しいカニクリームコロッケ♪レシピ・作り方公開日2011年10月7日 甲第20-3号証:カニクリームコロッケ 公開日2001年1月20日 甲第20-4号証:かにクリームコロッケ レシピ・作り方 公開日2012年12月23日 甲第20-5号証:かにクリームコロッケ 公開日2018年4月11日 甲第20-6号証:我が家の定番!カニクリームコロッケ 公開日2019年12月4日 甲第20-7号証:かにクリームコロッケ レシピ・作り方 公開日2012年6月27日 甲第20-8号証:飯田深雪のレシピ「カニクリームコロッケ」 公開日2022年10月3日 甲第20-9号証:クリームがとろ~り♪『カニクリームコロッケ』公開日2017年8月22日 甲第20-10号証:失敗知らずのカニクリームコロッケ 公開日2015年4月13日 甲第20-11号証:かに殻でだしをとったかにクリームコロッケ 公開日2007年11月18日 甲第21-1号証:「日本のエビ・世界のエビ」,東京水産大学第9回公開講座編集委員会編,株式会社成山堂書店,昭和63年1月18日二版発行,p184-185 甲第21-2号証:「亜硫酸塩処理エビ中の二酸化イオウ残存とホルムアルデヒド生成に関する研究」,日本水産学会誌,43(1),p115-120,1977 甲第21-3号証:特開2002-51693号公報 甲第21-4号証:「加熱しても生のエビ?!」(福岡市保健環境研究所) 甲第22-1号証:えびクリームコロッケ 公開日2013年3月10日 甲第22-2号証:簡単にまるめてエビクリームコロッケ 公開日2014年11月21日 甲第22-3号証:クリームコロッケ*えび 公開日2020年9月1日 甲第22-4号証:エビとトマトの豆乳クリームコロッケ 公開日2020年4月24日 甲第22-5号証:濃厚!海老クリームコロッケ 公開日2007年1月10日 甲第22-6号証:えびクリームコロッケ 公開日2005年11月3日 甲第22-7号証:エビクリームコロッケ 公開日2012年10月12日 甲第23号証:重曹(重炭酸ナトリウム)Sodium Bicarbonate,株式会社トクヤマ 甲第24号証:0.01mol/l炭酸水素ナトリウム水溶液のpHを求めよ 公開日2018年11月28日,Yahoo!知恵袋 甲第25号証:新鮮卵のゆで卵の卵殻のむけやすさに関する研究,家政学雑誌,Vol.28,No.7,1977,p471-476 甲第26号証:重曹の裏ワザがスゴイ!!掃除だけじゃない いつものゆで卵や湯豆腐に意外な活用術|暮らしニスタ 甲第27号証:特開2015-195765号公報 甲第28号証:L-アルギニン,Merck 甲第29号証:レモン類に含まれる健康機能性成分について,食品分析開発センター 甲第30号証:し好飲料類/<アルコール飲料類>/(醸造酒類)/ぶどう酒/白-10.炭水化物-可食部100g-有機酸 甲第31号証:ホワイトソースとは?意味や使い方・コトバンク 甲第32号証:乳及び乳製品の成分規格等に関する省令における成分規格の見直しについて、厚生労働省、平成26年2月 甲第33号証:特開2023-43257号公報 甲第34号証:特開2000-354474号公報 甲第35号証:牛乳と調理,調理科学,1977年,10巻2号,p53-61 甲第36号証:特開2022-035401号公報 甲第37号証:「【重曹】原料の素は何からできていますか?どうやって製造されていますか?_共立食品株式会社」 甲第38号証:L型発酵乳酸カルシウム,amazon 甲第39号証:特開2007-063080号公報 甲第40号証:小麦粉の長期保存による品質の変化,1986年,37巻9号,p803-807 甲第41号証:牛乳の熱凝固におよぼす野菜の影響について,たまねぎ汁の場合,家政学雑誌,家政学雑誌,28(6),p442-445 甲第42号証:キョクヨーマルシェ,ソフトシェルシュリンプ 甲第43号証:特開平6-165634号公報 参考文献1:特許第5697866号公報 参考文献2:日本食品工業学会誌,39巻(1992)7号,p586-595 参考文献3:容器詰加熱殺菌食品HACCPマニュアル「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」,公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会,2018年6月20日 参考文献4:クリームコロッケWikipedia 参考文献5:シェフ直伝!簡単ホワイトソース・グラタン,公開日2014年6月21日 参考文献6:安全なか性ソーダの取扱い,平成18年11月20日改訂,日本ソーダ工業会発行 参考文献7:兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告.水産編,37号,p19-23,兵庫県立農林水産技術総合センター,2004年11月発行 参考文献8:水産物の利用に関する共同研究 第11集,昭和45年9月,p12-20 参考文献9:蟹クリームコロッケマカロニグラタン♪,公開日2016年7月3日 参考文献10:「ほっともっと」寒い冬にあたたかみを感じる洋食の味『カニクリームコロッケ弁当』500円、『しょうが焼き&チキンかつ弁当』500円2月2日(水)より全国で新発売,公開日2022年1月26日,エキサイトニュース 参考文献11:エビの保水剤テスト結果を解説!保水時間を変えたらどうなる?,公開日2022年03月28日,コーラルシー 参考文献12:Food Science and technology international,17(4), p403-414,August 2011及び部分和訳 参考文献1ないし12は、令和7年5月2日に提出された意見書に添付されたものである。摘記に際し、URL等の摘記は省略した。以下、順に「甲1」又は「参1」のようにいう。 第5 取消理由(決定の予告)の概要 令和7年8月1日付けで通知された取消理由(決定の予告)(以下、「取消理由(決定の予告)」という。)の概要は次のとおりである。 1 取消理由1A(甲1に基づく新規性) 本件特許発明1、3、9、11、17、21、23及び26は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、9、11、17、21、23及び26に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 取消理由1E(甲11に基づく新規性) 本件特許発明1、3、7、9、11、15、23及び26は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲11に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、7、9、11、15、23及び26に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 3 取消理由2A(甲1に基づく進歩性) 本件特許発明1、3、7、9、11、15、17、21、23及び26は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、7、9、11、15、17、21、23及び26に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 4 取消理由2E(甲11に基づく進歩性) 本件特許発明1、3、7、9、11、15、23及び26は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲11に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、3、7、9、11、15、23及び26に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 第6 取消理由(決定の予告)についての当審の判断 取消理由1A(甲1に基づく新規性)及び取消理由2A(甲1に基づく進歩性)並びに申立理由1-1(甲1に基づく新規性)及び申立理由2-1(甲1に基づく進歩性)はいずれも甲1に基づく新規性又は進歩性の理由であるから、併せて検討する。 また、取消理由1E(甲11に基づく新規性)及び取消理由2E(甲11に基づく進歩性)並びに申立理由1-6(甲11に基づく新規性)及び申立理由2-6(甲11に基づく進歩性)はいずれも甲11に基づく新規性又は進歩性の理由であるから、併せて検討する。 1 取消理由1A(甲1に基づく新規性)及び取消理由2A(甲1に基づく進歩性)並びに申立理由1-1(甲1に基づく新規性)及び申立理由2-1(甲1に基づく進歩性)について (1)甲1に記載された事項等 ア 甲1に記載された事項 甲1には、「クリームコロッケ及びその製造方法」に関しておおむね次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。他の証拠についても同様。 ・「【0004】 主要具材として低糖質及び低脂質素材である豆乳を使用し、フライ中にパンクすることがなく、フライ後、時間が経っても中具が固まることなく滑らかな食感を維持する事ができるクリームコロッケを提供する。また、クリームコロッケのパンク防止方法を提供する。」 ・「【0016】 本発明において「塩基性物質」は、多価酸のアルカリ金属塩および多価酸のアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種類の塩基性物質である。本発明において塩基性物質としては、食品に使用可能な多価酸のアルカリ金属塩または多価酸のアンモニウム塩であって、水溶液が塩基性を示すものであれば特に制限なく使用することができる。本発明において塩基性物質は、豆乳に添加して豆乳をアルカリ性にすることにより酸凝固剤による凝固速度を遅延させることができる。またアルカリ金属塩およびアンモニウム塩は1価カチオンであるから、塩凝固剤に含まれる2価カチオンと豆乳蛋白質との架橋凝固を拮抗的に抑制させることができる。本発明において多価酸の例としては炭酸、リン酸、ピロリン酸などが挙げられる。本発明において塩基性物質は、炭酸水素塩、リン酸水素塩、ピロリン酸塩であることが好ましく、例えば重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2ナトリウム、ピロリン酸4ナトリウム、ピロリン酸4カリウムなどの単塩又は混合したものを使用することができる。さらに好ましくは重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2ナトリウムであり、最も好ましくは重曹(炭酸水素ナトリウム)である。 本発明において塩基性物質は、豆乳100質量部に対して0.01~0.07質量部添加することができる。好ましくは0.03~0.06質量部、さらに好ましくは0.03~0.05質量部添加することができる。0.01~0.07質量部では、凝固剤による豆乳の大豆蛋白の凝固力の緩和の程度が適度であって、適度な粘度となり、なめらかな食感となる。また、加熱中にガスが発生して豆乳に泡立ちが生じるといったことがなく、豆腐様食品を製造する上で好ましい作業性を有する。」 ・「【0017】 本発明において、「凝固剤」は酸凝固剤及び/又は塩凝固剤である。塩凝固剤としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、乳酸カルシウム等の二価カチオン塩又はニガリを例示することができる。酸凝固剤としては、グルコノデルタラクトン(GDL)、乳酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸を例示することができる。 凝固剤の添加量は、使用する凝固剤の種別によって適宜変更することができるが、豆乳100質量部に対して好ましくは0.08質量部以上添加することができる。より好ましくは0.08~0.5質量部である。凝固剤の添加量が0.08質量部未満では、大豆タンパク質の凝固が起こりにくくなり、粘度が低くなる傾向にある。凝固剤の添加量が0.5質量部を超えると、添加量に依存して凝固剤の異味(エグミ、苦味、酸味)が感じられる傾向にある。」 ・「【0034】 [製造例1(豆乳の製造)] (1)洗浄した100質量部の大豆を水に浸漬し、吸水して膨潤した浸漬大豆230質量部を得た。 (2)浸漬大豆100質量部に水200質量部を加え、湿式粉砕、次いで均質化して生呉を得た。 (3)生呉を98℃で10分間加熱した後、圧搾ろ過によりオカラを除去して豆乳を得た。 なお得られた豆乳は、使用するまで冷蔵保管した。」 ・「【0035】 [製造例2 豆腐様流動性食品] (1)Brix11に調製した豆乳100質量部に重曹0.01質量部を混合し、分散機(スリーワンモータ TYPE HEIDOn 3000H)を用いて回転速度300rpmで攪拌均質化した。 (2)凝固剤である塩化マグネシウム0.15質量部を重曹含有豆乳に添加し、 更に20秒攪拌均質化した。なお、工程(1)と(2)は、豆乳の凝固が進行しないように品温(中心温度)15℃で行った。 (3)200ml容量の充填容器に投入し、92℃で15分間静置して凝固させた。 (4)得られた豆乳凝固物を家庭用ジューサーミキサーに投入し、15秒間攪拌混合して豆腐様流動性食品を得た。」 ・「【0036】 [製造例3 クリームコロッケの揚げ種及びクリームコロッケ様食品の製造] 下記表1の配合に従い、以下手順でクリームコロッケの具材を製造した。 (1)油1.5質量部をひいて熱したフライパンにみじん切りにした玉ねぎ15質量部を投入し、玉ねぎが半透明になるまでいためた。 (2)豆腐様流動性食品と粉末原料をミキサー(Stephan社製UMC5)に投入し、均一になるまで撹拌混合した。 (3)工程(2)で得られた撹拌混合物をホールコーンと共にフライパンに投入し、ひと煮立ちするまで加熱混合した。 (4)粗熱を取った後、縦6cm横4cmの樹脂製容器に40gずつ充填し、急速冷凍してクリームコロッケ様食品の揚げ種とした。 (5)工程(4)で得られた冷凍揚げ種に打ち粉(日本製粉社製F910)をまぶし、バッターミックス(日本製粉社製B2467)を水溶きしたバッター液にくぐらせ、パン粉(日本製粉社製NF白生パン粉・中目)を付着させてクリームコロッケ様食品を得た。 (6)得られたクリームコロッケ様食品5個を175℃に加温したサラダ油に投入し、6分間フライしてフライ済みクリームコロッケ様食品を得た。 【表1】 [図:0001434126000001.jpg] 植物性たんぱくは大豆たんぱく(不二製油社製サンラバー10)、増粘剤はヒドロキシプロピルタピオカ澱粉(カーギルジャパン社製C☆CreamTex75750)である。」 ・「【0038】 [評価例2 パンク時間の測定] 製造例3で得られたクリームコロッケ様食品5個を175℃に加温したサラダ油に投入し、衣の一部が破裂して具材が噴出するまでの平均時間を測定した。なお、標準的なクリームコロッケをパンクさせることなくフライしようとする場合、フライ時間は2~3分間(120~180秒間)程度であり、この場合浮上せず、揚げ色は淡い狐色に仕上がる。」 ・「【0040】 [試験例1 重曹、凝固剤の添加量の検討] 豆乳100質量部に対する重曹の添加量、凝固剤の種別、凝固剤の添加量を表3に記載の通りにした以外は製造例2及び3に従ってフライ済みクリームコロッケ様食品を得た。 対照例1では豆腐様流動性食品に代えて市販のホワイトソース(ハインツ日本社製ホワイトソース)を使用した以外は製造例3に従ってフライ済み食品を得た(対照例は標準的なクリームコロッケである)。評価例1及び2に従って評価し、結果を表3に記載した。 【表3】 [図:0001434126000002.jpg] [図:0001434126000003.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 甲1に記載された事項を、特に実施例1ないし5並びに比較例1及び2に関して整理すると、甲1には次の発明が記載されていると認める。 <甲1食品発明> 「豆乳100質量部、重曹、凝固剤であるGDL又は塩化Mgを含有する豆腐様流動性食品、粉末状コンソメを含む粉末原料、玉ねぎ及びホールコーンを含む揚げ種を有し、フライ後、時間が経っても中具が固まることなく滑らかな食感を維持する事ができる、実施例1ないし5並びに比較例1及び2のクリームコロッケ。」(実施例1ないし5並びに比較例1及び2については上記ア参照。以下、同様。) <甲1製造方法発明> 「豆乳100質量部、重曹、凝固剤であるGDL又は塩化Mgを含有する豆腐様流動性食品、粉末状コンソメを含む粉末原料、玉ねぎ及びホールコーンを含む揚げ種を有し、フライ後、時間が経っても中具が固まることなく滑らかな食感を維持する事ができる、実施例1ないし5並びに比較例1及び2のクリームコロッケの製造方法。」 <甲1防止方法発明> 「豆乳100質量部、重曹、凝固剤であるGDL又は塩化Mgを含有する豆腐様流動性食品、粉末状コンソメを含む粉末原料、玉ねぎ及びホールコーンを含む揚げ種を有し、フライ後、時間が経っても中具が固まることなく滑らかな食感を維持する事ができ、フライ中にパンクすることがない、実施例1ないし5並びに比較例1及び2のパンク防止方法。」 (2)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1食品発明を対比する。 甲1食品発明は、時間が経っても中具が固まることなく滑らかな食感が維持されるものだから、その「揚げ種」は本件特許発明1のように流動性を有していると認められ、甲1食品発明における「揚げ種」は、本件特許発明1における「流動性の中種」に相当する。 甲1食品発明はフライされるものであるから、甲1食品発明における「クリームコロッケ」は、本件特許発明1における「フライ食品」に相当する。 甲1食品発明は、「酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物」を含んでいない。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を有するフライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1-1> 本件特許発明1においては「中種は、塩基性原料と、牛乳を除く酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下である」と特定されているのに対し、甲1食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-1について検討する。 相違点1-1が実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、大豆の加工品である「豆乳」を含むことを発明特定事項とする甲1食品発明において、「塩基性原料」として「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つ」を採用する動機付けとなる記載は、甲1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1食品発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明1は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」(本件特許の発明の詳細な説明の【0007】参照。)という本件特許発明1の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明1は甲1食品発明であるとはいえないし、甲1食品発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)本件特許発明3及び7について 本件特許発明3及び7はいずれも請求項1を引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1食品発明であるとはいえないし、甲1食品発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (4)本件特許発明6について ア 対比 本件特許発明6と甲1食品発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を有するフライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-6> 本件特許発明6においては「中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下であり、 前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する」と特定されているのに対し、甲1食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-6について検討する。 甲1食品発明において、「塩基性原料」として「甲殻類の殻を含有する」ことを採用する動機付けとなる記載は、甲1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1食品発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-6に係る本件特許発明6の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明6は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明6の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明6は甲1食品発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲1製造方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を調製する工程を有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1-9> 本件特許発明9においては「中種」に関して「塩基性原料を含有する混合物において、牛乳を除く酸性原料を共存させることによりpH5.5以上7.8以下の」「中種を調製する」と特定された上で、「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する」と特定されているのに対し、甲1製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-9について検討する。 相違点1-9が実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、大豆の加工品である「豆乳」を含むことを発明特定事項とする甲1製造方法発明において、「塩基性原料」として「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つ」を採用する動機付けとなる記載は、甲1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1製造方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-9に係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明9は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明9は甲1製造方法発明であるとはいえないし、甲1製造方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件特許発明11及び15について 本件特許発明11及び15はいずれも請求項9を引用して特定するものであり、本件特許発明9の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明9と同様に、甲1製造方法発明であるとはいえないし、甲1製造方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (7)本件特許発明14について ア 対比 本件特許発明14と甲1製造方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を調製する工程を有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1-14> 本件特許発明14においては「中種」に関して「塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることによりpH5.5以上7.8以下の」「中種を調製する」と特定された上で、「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する」と特定されているのに対し、甲1製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-14について検討する。 甲1製造方法発明において、「塩基性原料」として「甲殻類の殻を含有する」ことを採用する動機付けとなる記載は、甲1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1製造方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-14に係る本件特許発明14の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明14は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明14の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明14は甲1製造方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (8)本件特許発明17について ア 対比 本件特許発明17と甲1食品発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 甲1食品発明における「揚げ種」は、クリームコロッケの揚げ種だから、いわゆるクリームソースと認められ、また、クリームコロッケは、コロッケの1種である。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「中種を有し、 クリームソースを含有するコロッケ(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1-17> 本件特許発明17においては「中種」に関して「塩基性原料と、牛乳を除く酸性原料と、を含有し、pHが5.5以上8以下である」と特定された上で、「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する」と特定されているのに対し、甲1食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-17について検討する。 相違点1-17が実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、大豆の加工品である「豆乳」を含むことを発明特定事項とする甲1食品発明において、「塩基性原料」として「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つ」を採用する動機付けとなる記載は、甲1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1食品発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-17に係る本件特許発明17の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明17は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明17の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明17は甲1食品発明であるとはいえないし、甲1食品発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (9)本件特許発明21について ア 対比 本件特許発明21と甲1食品発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を有する、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1-21a> 本件特許発明21においては「前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上であり」と特定されているのに対し、甲1食品発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1-21b> 本件特許発明21においては「185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしない」と特定されているのに対し、甲1食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-21aについて検討する。 相違点1-21aが実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、大豆の加工品である「豆乳」を含むことを発明特定事項とする甲1食品発明において、「塩基性原料」として「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つ」を採用する動機付けとなる記載は、甲1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1食品発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-21aに係る本件特許発明21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明21は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明21の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明21は甲1食品発明であるとはいえないし、甲1食品発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (10)本件特許発明23について ア 対比 本件特許発明23と甲1防止方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「フライ食品のパンク抑制方法(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1-23> 本件特許発明23においては「塩基性原料を含有する流動性の中種のpHを5.5以上7.8以下とする」及び「前記塩基性原料は、水産物、畜産物(大豆を除く)、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 有機酸を含有する酸性原料(牛乳を除く)を共存させることにより、pHを調整する」と特定されているのに対し、甲1防止方法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点1-23について検討する。 相違点1-23が実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、大豆の加工品である「豆乳」を含むことを発明特定事項とする甲1防止方法発明において、「塩基性原料」として「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つ」を採用する動機付けとなる記載は、甲1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲1防止方法発明において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1-23に係る本件特許発明23の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明23は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明23の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、本件特許発明23は甲1防止方法発明であるとはいえないし、甲1防止方法発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (11)本件特許発明27について 甲1に記載された事項から本件特許発明27と対比・判断することが可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (12)取消理由1A及び2A並びに申立理由1-1及び2-1についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、7、9、11、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、取消理由1A及び2A並びに申立理由1-1及び2-1によっては取り消すことはできない。 2 取消理由1E(甲11に基づく新規性)及び取消理由2E(甲11に基づく進歩性)並びに申立理由1-6(甲11に基づく新規性)及び申立理由2-6(甲11に基づく進歩性)について (1)甲11に記載された事項等 ア 甲11に記載された事項 甲11には、「フライ食品」に関しておおむね次の事項が記載されている。 ・「【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、衣の破裂を防止する等の保形性に優れ、食感にも優れるフライ食品を提供することができる。」 ・「【0024】 本発明のクリームコロッケは、セルロースナノファイバーを含有するホワイトソース具材を使用する以外は、常法により調製することができる。例えば、ホワイトソース具材の調製方法として、水に乳原料、小麦粉等の澱粉、調味料などの粉体混合物を加え攪拌溶解した後、攪拌しながら油脂及びセルロースナノファイバー、必要に応じて乳清タンパク質及び/又は脱アシル型ジェランガム及びカルシウム塩を加えて、攪拌しながら加温し、70~90℃程度まで加温した後、全量補正したものを冷却して具材を調製する方法を挙げることができる。この具材を適量に分けて成型し、小麦粉、バッター、パン粉の順に適量塗布して、必要に応じて冷凍保存した後、油調して、クリームコロッケを調製する方法を例示することができるが、コロッケを調製できる方法であれば、特に限定されない。」 ・「【0027】 (セルロース原料) 本発明に用いるセルロースナノファイバーを製造するためのセルロース原料としては、例えば、植物性材料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ)、動物性材料(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))産生物等を起源とするものが挙げられる。パルプとしては、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等が挙げられる。これらのすべてが使用できるが、植物または微生物由来のセルロース繊維が好ましく、植物由来のセルロース繊維がより好ましい。」 ・「【0053】 [実施例1] (カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの調製) 回転数を100rpmに調節した5L容の二軸ニーダーに、イソプロパノール(IPA)1089部と、水酸化ナトリウム31部を水121部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量で200部仕込んだ。30℃で60分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸ナトリウム117部を添加し、30℃で30分間撹拌した後、30分かけて70℃に昇温し、70℃で60分間カルボキシメチル化反応をさせた。マーセル化反応時及びカルボキシメチル化反応時の反応媒中の水の割合は、10質量%である。反応終了後、中和し、65%含水メタノールで洗浄し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.27、セルロースI型の結晶化度64%のカルボキシメチル化セル ロースのナトリウム塩を得た。なお、カルボキシメチル置換度及びセルロースI型の結晶化度の測定方法は、先述の通りである。 得られたカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、1%(w/v)水分散体とした。これを、150MPaの高圧ホモジナイザーで3回処理し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの分散体を得た。得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、平均繊維径が3.2nm、アスペクト比が40であった。 得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを水で固形分0.7質量%の分散体とし、カルボキシメチルセルロース(日本製紙(株)製、商品名:F350HC-4、粘度(1質量%、25℃、60rpm)約3000mPa・s、カルボキシメチル置換度約0.90)を、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーに対して40質量%(すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの固形分を100質量部としたときにカルボキシメチルセルロースの固形分が40質量部となるように)添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌した。 この分散体に、水酸化ナトリウム水溶液0.5質量%を加え、pHを9に調整した後、ドラム乾燥機D0405(カツラギ工業社製)のドラム表面に塗布し、140℃で1分間乾燥した。得られた乾燥物を掻き取り、次いで、衝撃式ミルを用いて1時間あたり10kgの速さで乾燥物を粉砕し、水分量5質量%の乾燥粉砕物を得た。得られた粉砕物を、30メッシュを用いて分級し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー及びカルボキシメチルセルロースを含む粉体(CNF粉体1)を得た。」 ・「【0054】 (クリームコロッケの製造) TKホモミクサー(特殊機化工業社製)を用いて、水を10000rpmで撹拌しているところに、上記で得られたCNF粉体1を投入し、30分間撹拌することにより、1.5重量%のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散液を得た。小麦粉6部、脱脂粉乳5.4部、サラダ油3部、マーガリン2部、ゼラチン1部、食塩0.5部、ホワイトペッパー0.1部、牛乳30部、上記で得られた1.5質量%CM化セルロースナノファイバー水分散液を33.3部(固形分0.5部)、水37部をステンレスビーカーに入れ、約85℃に加温し、TKホモミキサーを用いて5000rpmで撹拌してホワイトソース具材を調整した。 続いて、上記ホワイトソース具材を20gに小分けし、小麦粉、パン粉を適量塗布して、成形し、-40℃で一晩急速凍結保存した。 上記の凍結保存処理物を180℃で、4分間油ちょうしてクリームコロッケを製造した。」 イ 甲11に記載された発明 甲11に記載された事項を、特に実施例1に関して整理すると、甲11には次の発明が記載されていると認める。 <甲11食品発明> 「pHを9に調整した後に得たCNF粉体1を0.5部と牛乳30部を含むホワイトソース具材を有する、実施例1のクリームコロッケ。」(実施例1については上記ア参照。以下、同様。) <甲11製造方法発明> 「pHを9に調整した後に得たCNF粉体1を0.5部と牛乳30部を含むホワイトソース具材を有する、実施例1のクリームコロッケの製造方法。」 <甲11防止方法発明> 「pHを9に調整した後に得たCNF粉体1を0.5部と牛乳30部を含むホワイトソース具材を有する、実施例1のクリームコロッケの衣の破裂を防止する方法。」 (2)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲11食品発明を対比する。 甲11食品発明における「ホワイトソース具材」は、クリームコロッケの中種だから流動性を有するものであり、本件特許発明1における「流動性の中種」に相当する。 甲11食品発明における「CNF粉体1」はpHを9に調整された後のものだから、塩基性を示す原料であり、本件特許発明1における「塩基性原料」に相当し、また、「前記塩基性原料のpHが8超」という発明特定事項を満たす。 甲11食品発明における「牛乳」は有機酸を含み弱酸性を示す原料と認められるから、本件特許発明1における「酸性原料」に相当し、また、「前記酸性原料が、有機酸を含有」という発明特定事項を満たす。 甲11食品発明は油ちょうされるものであるから、甲11食品発明における「クリームコロッケ」は、本件特許発明1における「フライ食品」に相当する。 甲11食品発明は、「酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物」を含んでいない。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料と、酸性原料とを、含有し、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点11-1a> 「酸性原料」に関して、本件特許発明1においては「牛乳を除く酸性原料」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点11-1b> 本件特許発明1においては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「前記中種のpHが5.5以上7.8以下である」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点11-1aについて検討する。 相違点11-1aが実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、「酸性原料」である「牛乳」を含むことを発明特定事項とする甲11食品発明において、「酸性原料」として「牛乳を除く酸性原料」を採用する動機付けとなる記載は、甲11にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲11食品発明において、甲11及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点11-1aに係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明1は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲11食品発明であるとはいえないし、甲11食品発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)本件特許発明3及び7について 本件特許発明3及び7はいずれも請求項1を引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲11食品発明であるとはいえないし、甲11食品発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (4)本件特許発明6について ア 対比 本件特許発明6と甲11食品発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲11食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点11-6a> 本件特許発明6においては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「前記中種のpHが5.5以上7.8以下であり」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点11-6b> 本件特許発明6においては「前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点11-6bについて検討する。 甲11食品発明において、「塩基性原料」として「甲殻類の殻を含有する」ことを採用する動機付けとなる記載は、甲11にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲11食品発明において、甲11及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点11-6bに係る本件特許発明6の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明6は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明6の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明6は甲11食品発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲11製造方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲11食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることにより流動性の中種を調製する工程を有し、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点11-9a> 「酸性原料」に関して、本件特許発明9においては「牛乳を除く酸性原料」と特定されているのに対し、甲11製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点11-9b> 本件特許発明9においては「中種」が「pH5.5以上7.8以下」と特定された上で、「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」と特定されているのに対し、甲11製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点11-9aについて検討する。 相違点11-9aが実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、「酸性原料」である「牛乳」を含むことを発明特定事項とする甲11製造方法発明において、「酸性原料」として「牛乳を除く酸性原料」を採用する動機付けとなる記載は、甲11にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲11製造方法発明において、甲11及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点11-9aに係る本件特許発明9の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明9は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明9は甲11製造方法発明であるとはいえないし、甲11製造方法発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件特許発明11及び15について 本件特許発明11及び15はいずれも請求項9を引用して特定するものであり、本件特許発明9の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明9と同様に、甲11製造方法発明であるとはいえないし、甲11製造方法発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (7)本件特許発明14について ア 対比 本件特許発明14と甲11製造方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲11食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることにより流動性の中種を調製する工程を有し、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点11-14a> 本件特許発明14においては「中種」に関して「pH5.5以上7.8以下の」「中種を調製する」と特定された上で、「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」と特定されているのに対し、甲11製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点11-14b> 本件特許発明14においては「前記塩基性原料が、甲殻類の殻を含有する」と特定されているのに対し、甲11製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点11-14bについて検討する。 甲11製造方法発明において、「塩基性原料」として「甲殻類の殻を含有する」ことを採用する動機付けとなる記載は、甲11にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲11製造方法発明において、甲11及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点11-14bに係る本件特許発明14の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明14は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明14の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明14は甲11製造方法発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (8)本件特許発明17について ア 対比 本件特許発明17と甲11食品発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲11食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 甲11食品発明における「ホワイトソース具材」は本件特許発明17における「クリームソース」に相当する。 甲11食品発明における「クリームコロッケ」は本件特許発明17における「コロッケ」に相当する。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「塩基性原料と、酸性原料と、を含有する、中種を有し、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、 クリームソースを含有するコロッケ(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点11-17a> 「酸性原料」に関して、本件特許発明17においては「牛乳を除く酸性原料」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点11-17b> 本件特許発明17においては「中種」の「pHが5.5以上8以下である」と特定された上で、「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 相違点11-17aについて検討する。 相違点11-17aが実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、「酸性原料」である「牛乳」を含むことを発明特定事項とする甲11食品発明において、「酸性原料」として「牛乳を除く酸性原料」を採用する動機付けとなる記載は、甲11にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲11食品発明において、甲11及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点11-17aに係る本件特許発明17の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明17は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明17の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明17は甲11食品発明であるとはいえないし、甲11食品発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (9)本件特許発明21について ア 対比 本件特許発明21と甲11食品発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲11食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点11-21a> 本件特許発明21においては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「前記中種のpHが5.5以上であり」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点11-21b> 本件特許発明21においては「185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしない」と特定されているのに対し、甲11食品発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点11-21bについて検討する。 相違点11-21bが実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、甲11食品発明において、「185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしない」ことを採用する動機付けとなる記載は、甲11にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲11食品発明において、甲11及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点11-21bに係る本件特許発明21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明21は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明21の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明21は甲11食品発明であるとはいえないし、甲11食品発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (10)本件特許発明23について ア 対比 本件特許発明23と甲11防止方法発明を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲11食品発明の間と同様の相当関係が成り立つ。 そうすると、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「塩基性原料を含有する流動性の中種を有する、フライ食品のパンク抑制方法(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)であって、 前記塩基性原料のpHが8超である、方法。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点11-23a> 本件特許発明23においては「中種のpHを5.5以上7.8以下とする」及び「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」と特定されているのに対し、甲11防止方法発明においてはそのようには特定されていない点。 <相違点11-23b> 本件特許発明23においては「有機酸を含有する酸性原料(牛乳を除く)を共存させることによりpHを調整する」と特定されているのに対し、甲11防止方法発明においてはそのようには特定されていない点。 イ 判断 事案に鑑み、相違点11-23bについて検討する。 相違点11-23bが実質的な相違点であることは当業者に明らかである。 そして、「酸性原料」である「牛乳」を含むことを発明特定事項とする甲11防止方法発明において、「酸性原料」として「酸性原料(牛乳を除く)」を採用する動機付けとなる記載は、甲11にはないし、他の証拠にもない。 したがって、甲11防止方法発明において、甲11及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点11-23bに係る本件特許発明23の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 また、本件特許発明23は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明23の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明23は甲11防止方法発明であるとはいえないし、甲11防止方法発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (11)本件特許発明27について 甲11に記載された事項から本件特許発明27と対比・判断することが可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲11に記載された発明であるとはいえないし、甲11に記載された発明並びに甲11及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (12)取消理由1E及び2E並びに申立理由1-6及び2-6についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、7、9、11、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、取消理由1E及び2E並びに申立理由1-6及び2-6によっては取り消すことはできない。 第7 取消理由(決定の予告)として採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由について 取消理由(決定の予告)として採用しなかった特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由は、申立理由1-2ないし1-5、1-7ないし1-12、2-2ないし2-5及び2-7ないし2-12、申立理由3並びに申立理由4である。 以下、順に検討する。なお、同じ証拠に基づく新規性・進歩性の理由は併せて検討する。 1 申立理由1-2(甲2に基づく新規性)及び申立理由2-2(甲2に基づく進歩性)について (1)甲2に記載された発明 甲2には「酸性水中油型乳化食品」に関する事項が記載され、その記載を特に実施例1又は比較例(【0013】及び【0014】)に関して整理すると、甲2には次の発明が記載されていると認める。 <甲2食品発明> 「全卵、アルコール酢を含む酸性水中油型乳化物に、酢酸ピクルスとミンスドオニオンを後合わせした和え物又はアルコール酢を含む酸性水中油型乳化物に、全卵、酢酸ピクルス、ミンスドオニオンを後合わせした和え物が中央部に充填された、クリームコロッケ。」 <甲2製造方法発明> 「全卵、アルコール酢を含む酸性水中油型乳化物に、酢酸ピクルスとミンスドオニオンを後合わせした和え物又はアルコール酢を含む酸性水中油型乳化物に、全卵、酢酸ピクルス、ミンスドオニオンを後合わせした和え物が中央部に充填された、クリームコロッケの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲2食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点2-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「中種」の「pH」が「5.5以上」と特定されているのに対し、甲2食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点2-1について検討する。 甲2には、甲2食品発明において、「中種」の「pH」を「5.5以上」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲2食品発明において、甲2及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点2-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲2食品発明であるとはいえないし、甲2食品発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲2製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点2-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「中種」の「pH」が「5.5以上7.8以下」と特定されているのに対し、甲2製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点2-9について検討する。 甲2には、甲2製造方法発明において、「中種」の「pH」を「5.5以上7.8以下」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲2製造方法発明において、甲2及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点2-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲2製造方法発明であるとはいえないし、甲2製造方法発明並びに甲2及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 甲2に記載された事項からは、本件特許発明23と対比・判断可能な「フライ食品のパンク抑制方法」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明23は甲2に記載された発明であるとはいえないし、甲2に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲2に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲2に記載された発明であるとはいえないし、甲2に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 オ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、令和7年5月2日に提出された意見書において、参4及び5を例示した上で、クリームコロッケの中種はベシャメルソースとタルタルソースとが層状に重ねられていると解するのが妥当であり、その場合に、中種全体のpHは5.5以上である蓋然性が高い旨主張する(上記意見書第10ないし13ページ)が、甲2食品発明又は甲2製造方法発明において、ベシャメルソースとタルタルソースとが層状に重ねられているものを採用する動機付けとなる記載及び本件特許発明の「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という効果を予測させるような記載は、甲2にはないし、他の証拠にもない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (3)申立理由1-2及び2-2についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-2及び2-2によっては取り消すことはできない。 2 申立理由1-3(甲5に基づく新規性)及び申立理由2-3(甲5に基づく進歩性)について (1)甲5に記載された発明 甲5には「加熱調理用衣付き食品及び食感改善剤」に関する事項が記載され、その記載を特に実施例1又は実施例3(【0036】及び【0039】)に関して整理すると、甲5には次の発明が記載されていると認める。 <甲5食品発明> 「液卵白と乳酸を含む乳酸発酵卵白32%を混合した中種又は液卵白と乳酸を含む乳酸発酵卵白0.1%とヨーグルト31.9%を混合した中種を有する、加熱調理用クリームコロッケ。」 <甲5製造方法発明> 「液卵白と乳酸を含む乳酸発酵卵白32%を混合した中種又は液卵白と乳酸を含む乳酸発酵卵白0.1%とヨーグルト31.9%を混合した中種を有する、加熱調理用クリームコロッケの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲5食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点5-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「中種」の「pH」が「5.5以上」と特定されているのに対し、甲5食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点5-1について検討する。 甲5には、甲5食品発明において、「中種」の「pH」を「5.5以上」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲5食品発明において、甲5及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点5-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲5食品発明であるとはいえないし、甲5食品発明並びに甲5及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲5製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点2-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「中種」の「pH」が「5.5以上7.8以下」と特定されているのに対し、甲5製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点5-9について検討する。 甲5には、甲5製造方法発明において、「中種」の「pH」を「5.5以上7.8以下」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲5製造方法発明において、甲5及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点5-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲5製造方法発明であるとはいえないし、甲5製造方法発明並びに甲5及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 甲5に記載された事項からは、本件特許発明23と対比・判断可能な「フライ食品のパンク抑制方法」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明23は甲5に記載された発明であるとはいえないし、甲5に記載された発明並びに甲5及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲5に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲5に記載された発明であるとはいえないし、甲5に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 オ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、令和7年5月2日に提出された意見書において、甲5の【0036】の記載に鑑みれば、pH5.5以上になる蓋然性が高い旨主張する(上記意見書第15ページ)が、甲5食品発明又は甲5製造方法発明において、pH5.5以上になっていることの具体的な証拠は示されていないし、本件特許発明の「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という効果を予測させるような記載は、甲5にはないし、他の証拠にもない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (3)申立理由1-3及び2-3についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-3及び2-3によっては取り消すことはできない。 3 申立理由1-4(甲6に基づく新規性)及び申立理由2-4(甲6に基づく進歩性)について (1)甲6に記載された発明 甲6には「クリームコロッケ及びその製造方法」に関する事項が記載され、その記載を特に実施例10及び11(【0049】ないし【0055】)に関して整理すると、甲6には次の発明が記載されていると認める。 <甲6食品発明> 「乳清タンパク質、牛乳及び乳酸カルシウムを含むホワイトソースを含有する中種を油調して製造したクリームコロッケ。」 <甲6製造方法発明> 「乳清タンパク質、牛乳及び乳酸カルシウムを含むホワイトソースを含有する中種を油調してクリームコロッケを製造する方法。」 <甲6防止方法発明> 「乳清タンパク質、牛乳及び乳酸カルシウムを含むホワイトソースを含有する中種を油調してクリームコロッケのパンク現象を起こりにくくする方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲6食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点6-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明1、3、7、17及び21においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲6食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点6-1について検討する。 甲6には、甲6食品発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲6食品発明において、甲6及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点6-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲6食品発明であるとはいえないし、甲6食品発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲6製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点6-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明9、11及び15においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲6製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点6-9について検討する。 甲6には、甲6製造方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲6製造方法発明において、甲6及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点6-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲6製造方法発明であるとはいえないし、甲6製造方法発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 本件特許発明23と甲6防止方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点6-23> 本件特許発明23においては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲6防止方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点6-23について検討する。 甲6には、甲6防止方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲6防止方法発明において、甲6及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点6-23に係る本件特許発明23の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明23は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明23の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明23は甲6防止方法発明であるとはいえないし、甲6防止方法発明並びに甲6及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲6に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲6に記載された発明であるとはいえないし、甲6に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)申立理由1-4及び2-4についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-4及び2-4によっては取り消すことはできない。 4 申立理由1-5(甲9に基づく新規性)及び申立理由2-5(甲9に基づく進歩性)について (1)甲9に記載された発明 甲9には「フライ食品のパンク抑制剤、パンク抑制方法及びフライ食品」に関する事項が記載され、その記載を特に実施例1([0073]ないし[0084])に関して整理すると、甲9には次の発明が記載されていると認める。 <甲9食品発明> 「炭酸カルシウム1質量%を混合した成分A2.0質量%と冷牛乳65.7質量%を材料に用いた中具を有する、クリームコロッケ。」 <甲9製造方法発明> 「炭酸カルシウム1質量%を混合した成分A2.0質量%と冷牛乳65.7質量%を材料に用いた中具を有する、クリームコロッケの製造方法。」 <甲9抑制方法発明> 「炭酸カルシウム1質量%を混合した成分A2.0質量%と冷牛乳65.7質量%を材料に用いた中具を有する、クリームコロッケのパンク抑制方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲9食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点9-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明1、3、7、17及び21においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲9食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点9-1について検討する。 甲9には、甲9食品発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲9食品発明において、甲9及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点9-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲9食品発明であるとはいえないし、甲9食品発明並びに甲9及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲9製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点9-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明9、11及び15においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲9製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点9-9について検討する。 甲9には、甲9製造方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲9製造方法発明において、甲9及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点9-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲9製造方法発明であるとはいえないし、甲9製造方法発明並びに甲9及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 本件特許発明23と甲9抑制方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点9-23> 本件特許発明23においては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲9製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点9-23について検討する。 甲9には、甲9抑制方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲9抑制方法発明において、甲9及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点9-23に係る本件特許発明23の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明23は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明23の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明23は甲9抑制方法発明であるとはいえないし、甲9抑制方法発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲9に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲9に記載された発明であるとはいえないし、甲9に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)申立理由1-5及び2-5についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-5及び2-5によっては取り消すことはできない。 5 申立理由1-7(甲14に基づく新規性)及び申立理由2-7(甲14に基づく進歩性)について (1)甲14に記載された発明 甲14には「ウェランンガム含有組成物」に関する事項が記載され、その記載を特に実施例2-1ないし2-5([0251]ないし[0261])に関して整理すると、甲14には次の発明が記載されていると認める。 <甲14食品発明> 「チキンコンソメ及び牛乳を含む具材を油調してなるクリームコロッケ。」 <甲14製造方法発明> 「チキンコンソメ及び牛乳を含む具材を油調するクリームコロッケの製造方法。」 <甲14防止方法発明> 「チキンコンソメ及び牛乳を含む具材を油調するクリームコロッケのパンク防止方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲14食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点14-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明1、3、7、17及び21においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲14食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点14-1について検討する。 甲14には、甲14食品発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲14食品発明において、甲14及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点14-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲14食品発明であるとはいえないし、甲14食品発明並びに甲14及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲14製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点14-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明9、11及び15においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲14製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点14-9について検討する。 甲14には、甲14製造方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲14製造方法発明において、甲14及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点14-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲14製造方法発明であるとはいえないし、甲14製造方法発明並びに甲14及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 本件特許発明23と甲14防止方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点14-23> 本件特許発明23においては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲14防止方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点14-23について検討する。 甲14には、甲14防止方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物(大豆を除く)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲14防止方法発明において、甲14及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点14-23に係る本件特許発明23の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明23は「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明23の構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明23は甲14防止方法発明であるとはいえないし、甲14防止方法発明並びに甲14及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲14に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲14に記載された発明であるとはいえないし、甲14に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)申立理由1-7及び2-7についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-7及び2-7によっては取り消すことはできない。 6 申立理由1-8(甲15に基づく新規性)及び申立理由2-8(甲15に基づく進歩性)について (1)甲15に記載された発明 甲15には「ルー用油脂組成物、ルー、ルー利用食品」に関する事項が記載され、その記載を特に請求項1ないし5に関して整理すると、甲15には次の発明が記載されていると認める。 <甲15食品発明> 「小麦粉とpH5.2~6.2の範囲で加水分解されたカゼイン分解物を含むルー用油脂組成物を混合、加熱してなるルーを利用したクリームコロッケ。」 <甲15製造方法発明> 「小麦粉とpH5.2~6.2の範囲で加水分解されたカゼイン分解物を含むルー用油脂組成物を混合、加熱してなるルーを利用したクリームコロッケの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲15食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点15-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明1、3、7、17及び21においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲15食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点15-1について検討する。 甲15には、甲15食品発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲15食品発明において、甲15及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点15-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲15食品発明であるとはいえないし、甲15食品発明並びに甲15及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲15製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点15-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明9、11及び15においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲15製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点15-9について検討する。 甲15には、甲15製造方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲15製造方法発明において、甲5及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点15-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲15製造方法発明であるとはいえないし、甲15製造方法発明並びに甲15及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 甲15に記載された事項からは、本件特許発明23と対比・判断可能な「フライ食品のパンク抑制方法」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明23は甲15に記載された発明であるとはいえないし、甲15に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲15に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲15に記載された発明であるとはいえないし、甲15に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)申立理由1-8及び2-8についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-8及び2-8によっては取り消すことはできない。 7 申立理由1-9(甲18に基づく新規性)及び申立理由2-9(甲18に基づく進歩性)について (1)甲18に記載された発明 甲18には「呈味組成物の製造方法」に関する事項が記載され、その記載を特に例2及び3(【0049】ないし【0057】)に関して整理すると、甲18には次の発明が記載されていると認める。 <甲18食品発明> 「脱脂粉乳、発酵乳、クエン酸を含む混合物を酵素処理して得られた遊離アミノ酸を含む呈味組成物を含むホワイトソース。」 <甲18製造方法発明> 「脱脂粉乳、発酵乳、クエン酸を含む混合物を酵素処理して得られた遊離アミノ酸を含む呈味組成物を含むホワイトソースの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲18食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点18-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明1、3、7、17及び21においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲18食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点18-1について検討する。 甲18には、甲18食品発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲18食品発明において、甲18及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点18-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲18食品発明であるとはいえないし、甲18食品発明並びに甲18及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲18製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点18-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物(当審注:本件特許発明9、11及び15においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲18製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点18-9について検討する。 甲18には、甲18製造方法発明において、「塩基性原料」を「水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり」及び「pHが8超であり」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲18製造方法発明において、甲18及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点18-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲18製造方法発明であるとはいえないし、甲18製造方法発明並びに甲18及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 甲18に記載された事項からは、本件特許発明23と対比・判断可能な「フライ食品のパンク抑制方法」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明23は甲18に記載された発明であるとはいえないし、甲18に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲18に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲18に記載された発明であるとはいえないし、甲18に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)申立理由1-9及び2-9についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、9、11、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-9及び2-9によっては取り消すことはできない。 8 申立理由1-10(甲20-1~20-10に基づく新規性)及び申立理由2-10(甲20-1~20-10に基づく進歩性)について (1)甲20-1~20-10に記載された発明 甲20-1~20-10はいずれも「かにクリームコロッケ」のレシピである。 そして、甲20-1には、次の発明が記載されていると認める。 <甲20-1食品発明> 「蟹のほぐし身115g、玉ねぎ1/2個、バター30g、小麦粉大さじ5、牛乳300cc、レモン汁1/4個分くらい、塩・コショウ少々を材料とするホワイトソースを有するクリームコロッケ。」 <甲20-1製造方法発明> 「蟹のほぐし身115g、玉ねぎ1/2個、バター30g、小麦粉大さじ5、牛乳300cc、レモン汁1/4個分くらい、塩・コショウ少々を材料とするホワイトソースを有するクリームコロッケの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲20-1食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点20-1-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲20-1食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点20-1-1について検討する。 甲20-1には、甲20-1食品発明において、「塩基性原料」の「pH」を「8超」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲20-1食品発明において、甲20-1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点20-1-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲20-1食品発明であるとはいえないし、甲20-1食品発明並びに甲20-1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲20-1製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点20-1-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲20-1製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点20-1-9について検討する。 甲20-1には、甲20-1製造方法発明において、「塩基性原料」の「pH」を「8超」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲20-1製造方法発明において、甲20-1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点20-1-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲20-1製造方法発明であるとはいえないし、甲20-1製造方法発明並びに甲20-1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 甲20-1に記載された事項からは、本件特許発明23と対比・判断可能な「フライ食品のパンク抑制方法」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明23は甲20-1に記載された発明であるとはいえないし、甲20-1に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲20-1に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲20-1に記載された発明であるとはいえないし、甲20-1に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 オ 甲20-2ないし20-10に記載された発明との対比・判断について 本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27と甲20-2ないし20-10のいずれかに記載された発明との対比・判断についても、上記アないしエと同様である。 すなわち、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は甲20-2ないし20-10のいずれかに記載された発明であるとはいえないし、甲20-2ないし20-10のいずれかに記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 カ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、令和7年5月2日に提出された意見書において、参8ないし10を示した上で、ベニズワイガニやズワイガニを用いた場合にpHが8以上になっている旨主張する(上記意見書第17及び18ページ)が、甲20-1食品発明又は甲20-1製造方法発明において、「塩基性原料」の「pH」が「8超」となっている具体的な証拠は示されていないし、「塩基性原料」の「pH」を「8超」とする動機付けとなる記載及び本件特許発明の「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という効果を予測させるような記載も、甲20-1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (3)申立理由1-10及び2-10についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-10及び2-10によっては取り消すことはできない。 9 申立理由1-11(甲22-1~22-7に基づく新規性)及び申立理由2-11(甲22-1~22-7に基づく進歩性)について (1)甲22-1~22-7に記載された発明 甲22-1~22-7はいずれも「えびクリームコロッケ」のレシピである。 そして、甲22-1には、次の発明が記載されていると認める。 <甲22-1食品発明> 「バター40g、小麦粉(薄力粉)大5、牛乳500cc、コンソメキューブ1個、塩小1/2、むきえび100g、酒少々、玉ねぎ1個、レモン汁小1/2、塩少々、卵2個、パン粉適量を材料とするクリームコロッケ。」 <甲22-1製造方法発明> 「バター40g、小麦粉(薄力粉)大5、牛乳500cc、コンソメキューブ1個、塩小1/2、むきえび100g、酒少々、玉ねぎ1個、レモン汁小1/2、塩少々、卵2個、パン粉適量を材料とするクリームコロッケの製造方法。」 (2)対比・判断 ア 本件特許発明1、3、6、7、17及び21について 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかと甲22-1食品発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点22-1-1> 本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれかにおいては「前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲22-1食品発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点22-1-1について検討する。 甲22-1には、甲22-1食品発明において、「塩基性原料」の「pH」を「8超」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲22-1食品発明において、甲22-1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点22-1-1に係る本件特許発明1、3、6、7、17及び21の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、17及び21のいずれも甲22-1食品発明であるとはいえないし、甲22-1食品発明並びに甲22-1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 イ 本件特許発明9、11、14及び15について 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかと甲22-1製造方法発明を対比するに、両者は少なくとも次の点で相違する。 <相違点22-1-9> 本件特許発明9、11、14及び15のいずれかにおいては「前記塩基性原料のpHが8超であり」と特定されているのに対し、甲22-1製造方法発明においてはそのようには特定されていない点。 相違点22-1-9について検討する。 甲22-1には、甲22-1製造方法発明において、「塩基性原料」の「pH」を「8超」とする動機付けとなる記載はないし、他の証拠にもない。 したがって、甲22-1製造方法発明において、甲22-1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点22-1-9に係る本件特許発明9、11、14及び15の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 そして、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という本件特許発明9、11、14及び15のいずれの構成から当業者が予測することのできた範囲の効果を超える顕著な効果を奏するものである。 よって、本件特許発明9、11、14及び15のいずれも甲22-1製造方法発明であるとはいえないし、甲22-1製造方法発明並びに甲22-1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 ウ 本件特許発明23について 甲22-1に記載された事項からは、本件特許発明23と対比・判断可能な「フライ食品のパンク抑制方法」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明23は甲22-1に記載された発明であるとはいえないし、甲22-1に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 エ 本件特許発明27について 甲22-1に記載された事項からは、本件特許発明27と対比・判断可能な「酸性原料」の「使用」の発明を認定することはできない。 したがって、本件特許発明27は甲22-1に記載された発明であるとはいえないし、甲22-1に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 オ 甲22-2ないし22-7に記載された発明との対比・判断について 本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27と甲22-2ないし22-7のいずれかに記載された発明との対比・判断についても、上記アないしエと同様である。 すなわち、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は甲22-2ないし22-7のいずれかに記載された発明であるとはいえないし、甲22-2ないし22-7のいずれかに記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 カ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、令和7年5月2日に提出された意見書において、参11及び12を示した上で、甲22-1~22-7で用いられている冷凍エビ等のむきエビのpHが8以上である蓋然性が高い旨主張する(上記意見書第18及び19ページ)が、甲22-1食品発明又は甲22-1製造方法発明において、「塩基性原料」の「pH」が「8超」となっている具体的な証拠は示されていないし、「塩基性原料」の「pH」を「8超」とする動機付けとなる記載及び本件特許発明の「フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる」という効果を予測させるような記載も、甲22-1にはないし、他の証拠にもない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (3)申立理由1-11及び2-11についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-11及び2-11によっては取り消すことはできない。 10 申立理由1-12(甲20-11に基づく新規性)及び申立理由2-12(甲20-11に基づく進歩性)について (1)対比・判断 本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27と甲20-11に記載された発明との対比・判断についても、上記8 アないしオと同様である。 すなわち、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は甲20-11に記載された発明であるとはいえないし、甲20-11に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (2)申立理由1-12及び2-12についてのむすび したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。 よって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、申立理由1-12及び2-12によっては取り消すことはできない。 11 申立理由3(明確性要件)について (1)明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 そこで、検討する。 (2)明確性要件の判断 本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27の記載は、それら自体に不明確な記載はなく、また、発明の詳細な説明の記載とも整合している。 したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に関して、特許請求の範囲の記載は、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (3)特許異議申立人の主張について ア 特許異議申立人の上記第4 3における主張について 特許異議申立人の上記第4 3における主張について検討するに、次のとおり、いずれもの主張も採用できない。 (ア)上記第4 3(1)について 本件訂正により、本件特許の各独立請求項における「塩基性原料」は「水産物、畜産物、農産物(当審注:請求項1、9、17、21及び23においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも一つであり」かつ「pHが8超であり」と特定され、「塩基性原料」は、元々「pHが8超」である「水産物、畜産物、農産物」であるか、「水産物、畜産物、農産物」の「加工品」として「pHが8超」となっているものであることが明確になった。 したがって、「塩基性原料」が、原料として用いられる段階で、「pHが8超」となっているものであることは当業者であれば理解できる。 (イ)上記第4 3(2)について 本件訂正により、本件特許の各独立請求項における「塩基性原料」は「pHが8超」であることが特定された。 (ウ)上記第4 3(3)について 本件訂正により、本件特許の各独立請求項における「塩基性原料」は「水産物、畜産物、農産物(当審注:請求項1、9、17、21及び23においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも一つであり」と特定され、塩基性水溶液自体は「塩基性原料」に含まれないことが明らかになった。 (エ)上記第4 3(4)について 本件特許発明が属する技術分野において、「水産物、畜産物、農産物(当審注:請求項1、9、17、21及び23においては、「農産物(大豆を除く)」とされている。)」の「加工品」がどのようなものかは当業者であれば理解できる。 (オ)上記第4 3(5)について 発明の効果が奏されるかどうかは明確性要件の判断を左右するものではない。 なお、本件訂正により、比較例2は本件特許発明1の範囲に含まれないことが明らかになった。 (カ)上記第4 3(6)について 本件特許の全ての請求項において、「中種が、全ての原料が混合状態となった組成物であり、フライ食品において、当該組成物以外は、衣である、つまりバッター及びパン粉であること」が特定されていないとしても、本件特許発明が属する技術分野において、「中種」がどのようなものか当業者であれば理解できる。 (キ)上記第4 3(7)について 本件特許発明が属する技術分野において、「流動性」がどのような性質かは当業者であれば理解できる。 イ 特許異議申立人の令和7年5月2日に提出された意見書における主張について 特許異議申立人の令和7年5月2日に提出された意見書(第19ページ(7)明確性違反について)における主張について検討する。 特許異議申立人の上記意見書における主張は、上記第4 3(1)の主張とおおむね同旨であるから、それについての判断は上記ア(ア)と同様である。 すなわち、特許異議申立人の令和7年5月2日に提出された意見書における主張は採用できない。 (4)申立理由3についてのむすび したがって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由3によっては取り消すことはできない。 12 申立理由4(サポート要件及び実施可能要件)について (1)判断基準 ア サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 実施可能要件の判断基準 上記第3のとおり、本件特許発明1、3、6、7、17及び21は物の発明であるところ、物の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、使用をすることができる程度の記載があることを要する。 また、本件特許発明9、11、14及び15は物を生産する方法の発明であるところ、物を生産する方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産する方法の使用をし、その方法により生産した物の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 さらに、本件特許発明23及び27は方法の発明であるところ、方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法の使用をすることができる程度の記載があることを要する。 (2)サポート要件の判断 本件特許の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)の【0001】ないし【0004】によると、本件特許発明1、3、6、7及び21の解決しようとする課題は「油ちょう中にパンクを起こしにくいフライ食品又はコロッケ」を提供することであり、本件特許発明17の解決しようとする課題は「油ちょう中にパンクを起こしにくいコロッケ」を提供することであり、本件特許発明9、11、14及び15の解決しようとする課題は「油ちょう中にパンクを起こしにくいフライ食品の製造方法」を提供することであり、本件特許発明23の解決しようとする課題は「油ちょう中におけるフライ食品のパンク抑制方法」を提供することであり、本件特許発明27の解決しようとする課題は「酸性原料」の「フライ食品のパンク抑制のための使用」を提供することである(以下、総称して「発明の課題」という。)。 発明の詳細な説明の【0005】には「本開示は、例えば、流動性の中種を有し、前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、前記中種のpHが8以下である、フライ食品;塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることによりpH8以下の流動性の中種を調製する工程を有する、フライ食品の製造方法;塩基性原料を含有する流動性の中種のpHを8以下とする、フライ食品のパンク抑制方法;酸性原料の、塩基性原料を含有する流動性の中種を有するフライ食品のパンク抑制のための使用等を開示する。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0007】には「本開示のフライ食品において、中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、pHが8.0以下である。今般、フライ食品の中種に甲殻類の殻等の塩基性原料を含有させた場合に、油ちょう中におけるパンク(衣の破裂)の発生頻度が高くなることが判明した。そして、フライ食品の中種に塩基性原料を含有させた場合であっても、酸性原料を共存させて中種のpHを抑制することにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなることが見出された。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0009】には「塩基性原料のpHは、上述の通りの方法で測定した場合において、8超であってもよく」と記載され、同【0010】には「塩基性原料としては、例えば、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つが挙げられる。・・・(略)・・・水産物、畜産物、農産物、またはそれらの加工品のうち、元来塩基性であるもの(甲殻類の殻等)を用いてもよい。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0024】には「酸性原料は、有機酸を含有する原料であってもよい。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0031】には「本開示のフライ食品において、中種のpHは、8以下である。・・・(略)・・・典型的には、中種のpHが適度に低いと、油ちょう中におけるフライ食品のパンクを抑制しやすい。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0028】には「上述したように、中種は、油ちょう時において流動性を有する。」と記載され、同【0029】には「中種の粘度の上限値および下限値は、本開示の範囲で任意に組み合わせることができる。中種の粘度は、例えば85℃において0.01Pa・s以上50Pa・s以下であってもよく」と記載され、同【0040】には「前記工程により調製された中種は、油ちょう時において流動性を有する。中種の粘度は、85℃において50Pa・s以下としてもよく」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0035】には「本開示のフライ食品はクリームソースを含有するコロッケであってもよい。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0037】には「一実施の形態において、本開示のフライ食品は、流動性の中種を有し、前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしないフライ食品と定義することもできる。この場合、塩基性原料、酸性原料については上述したものと同じであるが、中種のpHは、必ずしも8以下である必要はない。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0038】には「本開示のフライ食品の製造方法は、塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることによりpH8以下の流動性の中種を調製する工程を有する。塩基性原料、酸性原料、およびその他の原料については、上述のフライ食品についての項で説明したものと同様のものを用いることができる。」と記載され、同【0042】には「本開示のフライ食品の製造方法において、調製後の中種のpHは、8以下となるようにする。」と記載され、同【0043】には「中種のpHは、4以上となるようにしてもよく、4.5以上となるようにしてもよく、5以上となるようにしてもよく、5.5以上となるようにしてもよい。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0045】には「本開示のフライ食品のパンク抑制方法では、塩基性原料を含有する流動性の中種のpHを8以下とする。フライ食品の中種が塩基性原料を含有する場合、油ちょう中におけるパンク(衣の破裂)の発生頻度が高くなりやすい。一方で、本開示のフライ食品のパンク抑制方法によれば、中種のpHを8以下とすることにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる。塩基性原料およびその他の原料については、上述のフライ食品についての項で説明したものと同様のものを用いることができる。」と記載され、同【0049】には「本開示のフライ食品のパンク抑制方法においては、中種のpHを8以下となるようにしてもよく、7.8以下となるようにしてもよく、7.6以下となるようにしてもよく、7.4以下となるようにしてもよく、7.2以下となるようにしてもよく、7以下となるようにしてもよく、6.8以下となるようにしてもよく、6.6以下となるようにしてもよく、6.4以下となるようにしてもよく、6.2以下となるようにしてもよく、6以下となるようにしてもよい。典型的には、中種のpHを適度に低くすると、パンク抑制効果が顕著となりやすい。」と記載され、同【0050】には「 本開示のフライ食品のパンク抑制方法においては、中種のpHを4以上となるようにしてもよく、4.5以上となるようにしてもよく、5以上となるようにしてもよく、5.5以上となるようにしてもよい。典型的には、中種のpHを適度に高くすると、喫食時において異味を感じにくいフライ食品を製造しやすくなる。」と記載されている。 発明の詳細な説明の【0051】には「本開示は、塩基性原料を含有する流動性の中種を有するフライ食品のパンク抑制のために酸性原料を使用することをも開示する。フライ食品の中種が塩基性原料を含有する場合、油ちょう中におけるパンク(衣の破裂)の発生頻度が高くなりやすい。一方で、酸性原料を使用し、中種のpHを適度に低いものとすることにより、フライ食品が油ちょう中にパンクを起こしにくくなる。塩基性原料およびその他の原料については、上述のフライ食品についての項で説明したものと同様のものを用いることができる。」と記載されている。 上記のとおり、発明の詳細な説明には、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に対応する記載がある。 発明の詳細な説明の【0057】ないし【0081】には、「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料と、酸性原料と、を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下である、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」の条件を満たす実施例1ないし13が、上記条件を満たさない比較例1ないし3と比べて、パンクの発生が抑制されていることを確認する記載がある。 そうすると、発明の詳細な説明の記載から、当業者は「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料と、酸性原料と、を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上7.8以下である、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」、「塩基性原料を含有する混合物において、酸性原料を共存させることによりpH5.5以上7.8以下の流動性の中種を調製する工程を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)の製造方法。」、「塩基性原料と、酸性原料と、を含有し、pHが5.5以上8以下である中種を有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、 クリームソースを含有するコロッケ(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」、「流動性の中種を有し、 前記中種は、塩基性原料および酸性原料を含有し、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有し、 前記中種のpHが5.5以上であり、 185℃での油ちょうにおいて10分以上パンクしない、 フライ食品(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有するものを除く)。」、「塩基性原料を含有する流動性の中種のpHを5.5以上7.8以下とする、フライ食品のパンク抑制方法(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)であって、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 有機酸を含有する酸性原料を共存させることによりpHを調整する、方法。」及び「酸性原料の、塩基性原料を含有する流動性の中種を有するフライ食品のパンク抑制のための使用(ただし、酵素処理卵黄を含む酸性水中油型乳化物を含有させる工程を含むものを除く)であって、 前記塩基性原料は、水産物、畜産物、農産物、およびそれらの加工品からなる群より選択される少なくとも1つであり、 前記塩基性原料のpHが8超であり、 前記酸性原料が、有機酸を含有する、使用。」は発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は発明の課題を解決できると認識できる上記「フライ食品」、「コロッケ」、「製造方法」、「パンク抑制方法」及び「使用」のいずれかであるか、それらをさらに限定したものである。 したがって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 よって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。 (3)実施可能要件の判断 発明の詳細な説明の記載は上記(2)のとおりであり、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27の各発明特定事項について具体的に記載され、実施例についても具体的に記載されている。 したがって、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1、3、6、7、17及び21を生産し、使用することができる程度の記載があるといえるし、本件特許発明9、11、14及び15の使用をし、それにより生産した物の使用をすることができる程度の記載があるといえるし、本件特許発明23及び27の使用をすることができる程度の記載があるといえる。 よって、本件特許発明1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に関して、発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を充足する。 (4)特許異議申立人の主張について ア 特許異議申立人の上記第4 4における主張について 特許異議申立人の上記第4 4における主張について検討するに、次のとおり、いずれもの主張も採用できない。 (ア)第4 4(1)について 発明の詳細な説明の記載から、pH9.0未満の塩基性原料を用いた場合でも、pH9.0以上のカニ原料を塩基性原料として用いた実施例と程度の差はあるとしても同様の効果を奏すると当業者は理解するし、そうでないという具体的な証拠が示されている訳でもない。 また、pH9.0未満の塩基性原料を用いた場合には、当業者といえどもその実施ができないという具体的な証拠が示されている訳でもない。 (イ)第4 4(2)について 上記11(3)アのとおり、「塩基性原料」が、原料として用いられる段階で、「pHが8超」となっているものであることは当業者であれば理解できる。 したがって、「どの時点を基準として塩基性を示す原料を指すのかの規定がない。」とはいえない。 (ウ)第4 4(3)について 発明の詳細な説明の記載から、「塩基性原料」として、カニ殻とカニ肉との混合物以外の塩基性材料を用いた場合でも、カニ殻とカニ肉との混合物を塩基性原料として用いた実施例と程度の差はあるとしても同様の効果を奏すると当業者は理解するし、そうでないという具体的な証拠が示されている訳でもない。 また、「塩基性原料」として、カニ殻とカニ肉との混合物以外の塩基性材料を用いた場合には、当業者といえどもその実施ができないという具体的な証拠が示されている訳でもない。 (エ)第4 4(4)について 本件訂正により、比較例2は本件特許発明1の範囲内でないものとなった。 (オ)第4 4(5)について 発明の詳細な説明の記載から、「中種」がどのようなものであるとしても、実施例と程度の差はあるとしても同様の効果を奏すると当業者は理解するし、そうでないという具体的な証拠が示されている訳でもない。 また、「中種」の種類によっては、当業者といえどもその実施ができないものがあることの具体的な証拠が示されている訳でもない。 (カ)第4 4(6)について 発明の詳細な説明の記載から、中種の粘度が85℃で「5Pa・s以上25Pa・s以下」の範囲以外の場合でも、中種の粘度が85℃で「5Pa・s以上25Pa・s以下」の範囲にある実施例と程度の差はあるとしても同様の効果を奏すると当業者は理解するし、そうでないという具体的な証拠が示されている訳でもない。 また、中種の粘度が85℃で「5Pa・s以上25Pa・s以下」の範囲以外の場合には、当業者といえどもその実施ができないという具体的な証拠が示されている訳でもない。 イ 特許異議申立人の令和7年5月2日に提出された意見書における主張について 特許異議申立人の令和7年5月2日に提出された意見書(第19ページ(8)サポート要件違反及び実施可能要件違反について)における主張について検討する。 特許異議申立人の上記意見書における主張は、上記第4 4(1)及び(3)の主張とおおむね同旨の主張に加え、本件特許発明1を満たすと考えられる甲1、甲2及び甲5に記載されたものがサポート要件及び実施可能要件を満たさない旨の主張である。 上記第4 4(1)及び(3)の主張とおおむね同旨の主張については、上記アと同様に判断される。 本件特許発明1を満たすと考えられる甲1、甲2及び甲5に記載されたものがサポート要件及び実施可能要件を満たさない旨の主張については、甲1、甲2及び甲5に記載されたものは、本件特許発明の発明特定事項の条件を満たさないので、甲1、甲2及び甲5に記載されたものが本件特許発明と同様の効果を奏するか、また、本件特許発明の課題を解決できるかどうかは、サポート要件及び実施可能要件の判断を左右するものではない。 したがって、特許異議申立人の令和7年5月2日に提出された意見書における主張は採用できない。 (5)申立理由4についてのむすび したがって、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、特許法第36条第6項第1号及び同法同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、申立理由4によっては取り消すことはできない。 第8 結語 上記第6及び7のとおり、本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許は、取消理由(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1、3、6、7、9、11、14、15、17、21、23及び27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許の請求項2、4、5、8、10、12、13、16、18ないし20、22及び24ないし26に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項2、4、5、8、10、12、13、16、18ないし20、22及び24ないし26に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700956

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