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特許拒絶査定不服審判

2022-017158

光コネクタ用フェルール、光コネクタおよび複合ファイバ接続構造体

審判番号
2022-017158
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-539654外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年10月26日
審決日
2023年09月25日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (G02B) / P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-539654「光コネクタ用フェルール、光コネクタおよび複合ファイバ接続構造体」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月 5日国際公開、WO2020/045669〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)8月30日(優先権主張2018年(平成30年)8月31日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和4年 2月28日付け:拒絶理由通知書 同年 5月 6日 :意見書、手続補正書 同年 7月19日付け:拒絶査定 同年10月26日 :審判請求書、手続補正書 第2 令和4年10月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定[補正の却下の決定の結論] 令和4年10月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項8の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「第1端面と、前記第1端面と反対側の第2端面と、前記第1端面から前記第2端面にかけて貫通する第1貫通孔と、を有し、生体に固定される筒状の第1フェルールに、導電部を有するシール部材を介して接続可能な接続フェルールであって、 前記第1フェルールに接続された状態で前記第2端面に対向する第3端面と、前記第3端面と反対側の第4端面と、前記第3端面から前記第4端面にかけて貫通する第2貫通孔と、を有する筒状のフェルール本体、および前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する線状部とを含み、 前記接続フェルールが前記シール部材を介して前記第1フェルールに接続された状態で、前記導電部が前記線状部に電気的に接続されている、接続フェルール。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和4年5月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項8の記載は次のとおりである。 「第3端面と、前記第3端面と反対側の第4端面と、前記第3端面から前記第4端面にかけて貫通する第2貫通孔と、を有する筒状のフェルール本体、および前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する線状部を含む接続フェルール。」 2 本件補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項8における「接続フェルール」について、「第1端面と、前記第1端面と反対側の第2端面と、前記第1端面から前記第2端面にかけて貫通する第1貫通孔と、を有し、生体に固定される筒状の第1フェルールに、導電部を有するシール部材を介して接続可能な」ものであること、「第3端面」が「前記第1フェルールに接続された状態で前記第2端面に対向する」ものであること、及び、「前記接続フェルールが前記シール部材を介して前記第1フェルールに接続された状態で、前記導電部が前記線状部に電気的に接続されている」こと、を限定することを含むものである。 前記限定を付加する補正は、補正前の請求項8に記載された発明と補正後の請求項8に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項8に記載される発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明の認定 本件補正後の請求項8に係る発明(以下「本件補正発明」という。)を、上記1(1)に記載された事項のとおりに認定する。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献の記載事項 本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である米国特許出願公開第2011/0224554号明細書(原査定の引用文献2。以下「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている(下線及び日本語訳は当審で付した。)。 (ア)「What is claimed is: ・・・(略)・・・ 9. A fiber-optic connector comprising a first ferrule and a second ferrule, both ferrules having a body portion having a straight external surface with a central axis, a connector end and a distal end and at least two interspaced optical fiber passages extending therebetween, parallel to said central axis and each securely housing an optical fiber therein having a tip exposed at said connector end, and a guide axis parallel to and spaced from both the optical fiber passages and the central axis; wherein the first ferrule has a male guide pin protruding from the connector end along the guide axis, and the second ferrule has female bore mating the male guide pin and extending inwardly from the connector end along the guide axis; and a sleeve having two opposite open ends and an internal surface mating with the external surface of both ferrules to slidingly receive each ferrule at a corresponding end with the guide pin received in the bore and the optical fiber tips being aligned with corresponding optical fiber tips of the other ferrule. 10. The fiber-optic connector of claim 9 wherein the guide pin is hollow and a conduit passage extends along the guide axis through both ferrules and the guide pin. ・・・(略)・・・ 17. The fiber-optic connector of claim 9 wherein the sleeve has a lengthwise slit defined therein and is formed of a material having elasticity to cause a closing spring action when the slit is broadened, wherein the internal surface of the sleeve forms an interference-fit with the external surface of both ferrules for the ferrules to broaden the slit when inserted therein and the spring action to thereafter hold the ferrules inside the sleeve. 18. The fiber-optic connector of claim 17 wherein the external surfaces of both ferrules and the internal surface of the sleeve are cylindrical.」 (日本語訳: 特許請求の範囲 ・・・(略)・・・ 9.第1フェルールと第2フェルールを備える光ファイバコネクタであって、両方のフェルールが、中心軸を有する直線状の外面と、接続端と、遠位端と、前記中心軸に平行にその間に延び、前記接続端に先端が露出した光ファイバをその中に確実に収容する少なくとも2つの間隔をあけた光ファイバ通路と、前記ファイバ通路と前記中心軸との両方に平行で、かつ、間隔をあけたガイド軸とを有する本体部分を有しており、第1フェルールは、ガイド軸に沿って接続端から突出する雄ガイドピンを有し、第2フェルールは、雄ガイドピンと嵌合し、ガイド軸に沿って接続端から内側に延びる雌ボアを有し、スリーブは、2つの対向する開放端と、両方のフェルールの外面と嵌合する内面を有し、対応する端部で各フェルールを摺動可能に受け入れ、ガイドピンがボア内に受け入れられ、光ファイバ先端が対応する光ファイバ先端と位置合わせされる、光ファイバコネクタ。 10.ガイドピンは中空であり、管路が、両方のフェルールとガイドピンを介してガイド軸に沿って延びている、請求項9に記載の光ファイバコネクタ。 ・・・(略)・・・ 17.前記スリーブは、その中に画定された長手方向のスリットを有し、前記スリットが広がると閉鎖ばね作用を引き起こす弾性を有する材料で形成され、前記スリーブの内面が締まり嵌めを形成し、フェルールが挿入されると、両方のフェルールの外面がスリットを広げ、その後、バネ作用によってフェルールがスリーブ内に保持される、請求項9に記載の光ファイバコネクタ。 18.両方のフェルールの外面及びスリーブの内面が円筒形である、請求項17に記載の光ファイバコネクタ。) (イ)「0015] FIG. 1 shows an example of an optogenetic system 10. In this example, the optogenetic system 10 includes a light source 12 which can be a LED source, laser source, white light source for instance. At the other end, a fiber optic cannula 14 is shown adhered to a body surface 16 of a mammal, with optical fiber 18 penetrating into body tissue 20 of the mammal to provide light thereto. A patch cord 22 connects the light source to the cannula 14. The connector 24 between the patch cord 22 and the cannula 14 includes a ferrule 26 provided at the end of the patch cord 22, a ferrule 28 forming part of the cannula 14, and a sleeve 30 which can receive both ferrules 26, 28.」 (日本語訳: [0015] 図1は、光遺伝学的システム10の一例を示す図である。この例では、光遺伝学的システム10は、例えば、LED光源、レーザ光源、白色光源であり得る光源12を含む。他方の端部において、カニューレ14は、哺乳類の生体表面16に付着した状態で示され、哺乳類の身体組織20の中に進入した光を提供する光ファイバ18が設けられている。パッチコード22は、光源をカニューレ14に接続する。パッチコード22とカニューレ14との間のコネクタ24は、パッチコード22の端部に設けられたフェルール26と、カニューレ14の一部であるフェルール28と、2つのフェルール26、28を受けることができるスリーブ30を含む。) (ウ)「図1 [図:0001404395000001.jpg] 」 (エ)「[0016]The components of the cannula 14 and connector 24 are shown in greater detail on FIG. 2. The patch cord 22 is shown on the left hand side and the cannula 14 is shown on the right hand side. In this particular example, the cannula 14 is a two-fiber cannula which houses two optical fibers 18a, 18b which can be interspaced from one another by a very precise distance (d, shown in FIG. 5). More precisely, the ferrule 28 has two optical fiber passages, which can be made by high precision machining of the ferrule 28 for instance. The optical fiber passages 32 can be seen to be parallel to a central axis 34 of the ferrule 28, and extend from a connection end 36 thereof (which is typically precisely polished flat) to a distal end, or implant end, adapted to attachment to a body surface. During use, the distal end 38 is adhered to the surface of the body. In this particular example, the ferrule 28 has an elongated body portion 42 having an external surface forming a sleeve engagement path and extending from the connection end 36, and a flange portion 46 at the distal end 38. Optical fibers 18a, 18b, better seen on FIG. 5, are housed in the optical fiber passages 32 and extend from the connection end to protrude outwardly from the distal end 38 by a penetration distance D.」 (日本語訳: [0016] カニューレ14及びコネクタ24の構成要素は、図2に詳細に示されている。パッチコード22は左側に示され、そしてカニューレ14が右側に示されている。この特定の例では、カニューレ14は、非常に正確な距離(図5に示されているd)によって互いから離間することができる2本の光ファイバ18a,18bを収納する2ファイバカニューレである。より正確には、フェルール28は2つの光ファイバ通路を有し、それらは例えばフェルール28の高精度加工によって製造することができる。光ファイバ通路32は、フェルール28の中心軸34に平行であるように見え、フェルール28の接続端36(通常、正確に平坦に研磨されている)から、体の表面への取り付けに適した遠位端またはインプラント端まで延びている。使用中、遠位端38は、体の表面に接着されている。この特定の例では、フェルール28は、スリーブ係合経路を形成し、接続端36から延在する外部表面を有する細長い本体部分42と、遠位端38におけるフランジ部46とを有している。図5により良好に見られ、光ファイバ18a、18bは、光ファイバ通路32内に収容され、接続端から延び、遠位端38から貫入距離Dだけ外方へ突出している。) (オ)「図2 [図:0001404395000002.jpg] 」 (カ)「[0020] In this example, the patch cord 22 has a ferrule 26 quite similar to the one used in the cannula 14. This ferrule 26 also has two interspaced optical fiber passages (54a, 54b in FIG. 5) interspaced from one another, and two associated optical fibers 56a, 56b precisely reaching the connection end 58 and having buffer 60 and jacket 62 shown extending out from the distal end 64. An optional tube 66 or jacket can also be used, the use of which will be discussed below. The elements extending out the distal end 64 can be covered by a sheathing, which is not shown in FIG. 2. Of course, the position of the optical fiber passages 54a, 54b in the cross-section of the body portion will be made to correspond closely to the position of the optical fiber passages 32 in the cross-section in the cannula (as shown in FIG. 3). Otherwise, the misalignment of at least one of the two optical fiber connections may be inevitable, and generate undesired power losses. One difference of the patch cord ferrule 26 is the absence of a flange portion 46, which was not required in this case. Another difference resides in the fact that this ferrule 26 has a guide pin 52 providing a male portion protruding from the connection end 58.」 (日本語訳: [0020] この例では、パッチコード22は、カニューレ14に使用されるのとまったく同様にしてフェルール26を有している。このフェルール26はまた、互いに分離した2つの光ファイバ通路(図5の54a、54b)、及び、接続端58に到達し、遠位端64から外に延在し、バッファ60とジャケット62を有する第2光ファイバ56a、56b、を有している。任意のチューブ66またはジャケットを使用することも可能であり、これらの使用は、以下に説明する。遠位端64から延出している要素は、図2には示されていない外層で覆うことができる。当然、本体部分の断面内の光ファイバ通路54a,54bの位置は、カニューレの断面において光ファイバ通路32の位置(図3に示す)にほぼ対応する。そうでない場合、2本の光ファイバの接続のうちの少なくとも1つのずれが避けられないことがあり、不要な損失を発生させる。パッチコードのフェルール26の違いの1つは、フランジ部46が存在しないことである。他の違いは、このフェルール26は、接続端58から突出した雄部を提供するガイドピン52を有することである。) (キ)[0024]A further optional feature of the cannula 14 and connector 24 provided in this embodiment is also shown in FIG. 4. The optional feature is a conduit passage which can extend across and through both ferrules 26, 28 to deliver a fluid, electrical wires or the like through the cannula 14 and into the body tissue.The conduit passage 76 can include a passage portion 78, 80 extending further from the bottom of the bore 50, 74 of both ferrules 26, 28, and entirely across, and the guide pin 52 can hollow, so as to allow continuing the passage across it. If fluid is to be delivered, it can be provided into the patch cord ferrule 26 from a flexible tube 66 inserted securely into the conduit passage at the distal end 64. A hollow needle 54 can be provided at the implant end 38 of the cannula 14 to prolong the conduit passage 76 into the body tissue. Providing the conduit passage 76 through the guide pin 52 is particularly practical to deliver fluid. In this case, the guide pin 52 can serve both as a portion of the conduit passage 76 and an angular alignment feature for the optical connection.」 (日本語訳: [0024] 本実施例では、カニューレ14及びコネクタ24のさらなる任意の特徴が図4にも示されている。任意の特徴は、両フェルール26、28を横切って貫通するものであり、カニューレ14を通って体組織内に流体、電線などを送達することが可能な管路である。管路76は、両方のフェルール26、28のボア50、74の底部からさらに全体にわたって延在する通路部分78、80を含むことができ、ガイドピン52は中空にすることができ、これにより横断的な通路の接続を可能にすることができる。流体が送達される場合に、遠位端64で管路76へ確実に挿入されたフレキシブルチューブ66からパッチコードのフェルール26に提供することができる。中空針54は、カニューレ14の端部38に設けられ、管路76を身体組織内に延ばすことができるようにする。ガイドピン52を介して管路76を設けることにより、流体を送達するために特に実用的である。この場合、ガイドピン52は、管路76の一部、及び、光接続のための角度調整機構としても兼用することができる。) (ク)「図4 [図:0001404395000003.jpg] 」 (当審注:図4には、図番「22」と「66」が記載されているところ、当該「22」と「66」は、誤って入れ換わり表記されていると認められる。すなわち、[0024]には、「チューブ66」が「管路76」に挿入されていることが記載されているところ、図4からは「22」が「管路76」に挿入されていることが見て取れる。そして、[0024]の上記記載は、引用文献の他の記載に照らして誤りがあるとは認められない。よって、上記のとおり認定した。) (ケ)「図5 [図:0001404395000004.jpg] 」 イ 引用文献の記載から読み取れる技術的事項 上記アの記載から、引用文献には、図2~5に係る光ファイバコネクタにおいて用いられるフェルール26について、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 (ア)フェルール26は、請求項10及び18によって引用される請求項9に記載された第1フェルールに係るものである。(請求項9、請求項10、請求項18、[0020]) (イ)フェルール26とともに光ファイバコネクタを構成するフェルール28は、請求項10及び18によって引用される請求項9に記載された第2フェルールに係るものである。(請求項9、請求項10、請求項18、[0020]) (ウ)フェル-ル26及びフェルール28それぞれの遠位端64、38及び接続端58、36はいずれも面状であることが図2,図4及び図5から看取される。そして、フェル-ル26及びフェルール28はそれぞれの接続端58、36を接触させて接続される。([0016]、[0020]、図2、図4、図5) ウ 引用発明の認定 上記ア及びイによれば、引用文献には、図2~5に係る光ファイバコネクタにおいて用いられる第1フェルール26について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(引用発明等の認定に用いた段落の段落番号等を参考までに括弧内に付してある。以下同じ。)。 「第2フェルール28とともに光ファイバコネクタを構成する第1フェルール26であって、 第1フェルール26と第2フェルール28を備える光ファイバコネクタであって、両方のフェルールが、中心軸34を有する直線状の外面と、接続端58、36と、遠位端64、38と、前記中心軸34に平行にその間に延び、前記接続端58、36に先端が露出した光ファイバをその中に確実に収容する少なくとも2つの間隔をあけた光ファイバ通路32、54a、54bと、前記ファイバ通路32、54a、54bと前記中心軸34との両方に平行で、かつ、間隔をあけたガイド軸72とを有する本体部分を有しており、第1フェルール26は、ガイド軸72に沿って接続端58から突出する雄ガイドピン52を有し、第2フェルール28は、雄ガイドピン52と嵌合し、ガイド軸72に沿って接続端36から内側に延びる雌ボア50を有し、スリーブ30は、2つの対向する開放端と、両方のフェルールの外面と嵌合する内面を有し、対応する端部で各フェルール26,28を摺動可能に受け入れ、ガイドピン52がボア50内に受け入れられ、光ファイバ先端が対応する光ファイバ先端と位置合わせされるものであり、(請求項9、上記イ(ア)及び(イ)) ガイドピン52は中空であり、管路76が、両方のフェルール26、28とガイドピン52を介してガイド軸72に沿って延びており、(請求項10) 両方のフェルール26、28の外面及びスリーブ30の内面が円筒形であり、(請求項18) 第1フェル-ル26及び第2フェルール28それぞれの遠位端64、38及び接続端58、36はいずれも面状であり、両フェル-ル26、28はそれぞれの接続端58、36を接触させて接続されるものであり、(上記イ(ウ)) 第2フェルール28は、使用中、遠位端38は、体の表面に接着され、([0016]) 両フェルール26、28を横切って貫通して体組織内に流体、電線などを送達することが可能な管路76を有し、 任意のチューブ66を用いることができ、当該チューブ66は、遠位端64で管路76に挿入され、([0020]・[0024]) 管路76は、両方のフェルール26、28のボア50、74の底部からさらに全体にわたって延在する通路部分78、80を含むことができ、ガイドピン52は中空にすることができ、これにより横断的な通路の接続を可能にすることができる、([0024]) 第1フェルール26。」 (3)対比並びに一致点及び相違点の認定 ア 対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア)本件補正発明の「第1端面と、前記第1端面と反対側の第2端面と、前記第1端面から前記第2端面にかけて貫通する第1貫通孔と、を有し、生体に固定される筒状の第1フェルールに、導電部を有するシール部材を介して接続可能な接続フェルールであって、」との特定事項について a 引用発明の「第1フェルール26」は、「第2フェルール28」とそれぞれの接続端58、36を接触させて接続されるものであることから、本件補正発明の「接続フェルール」に相当する。 b 引用発明の「第2フェルール28」は、本件補正発明の「第1フェルール」に相当する。 c 引用発明の「第2フェルール28」における「遠位端38」及び「接続端36」は「いずれも面状で」あることから、それぞれ、本件補正発明の「第1端面」及び「前記第1端面と反対側の第2端面」に相当することが明らかである。 d 引用発明の「第2フェルール28」における「光ファイバ通路32」は、「接続端36」及び「遠位端38」の「間」において「前記中心軸34に平行に」「延び」るものであることから、本件補正発明の「前記第1端面から前記第2端面にかけて貫通する第1貫通孔」に相当する。 e 引用発明の「第2フェルール28」が「使用中、遠位端38は、体の表面に接着され」ることは、本件補正発明の「第1フェルール」が「生体に固定される」ことに相当する。 f 引用発明において「第1フェル-ル26」と「第2フェルール28」は「それぞれの接続端58、36を接触させて接続されるもの」であるが、本件補正発明の「導電部を有するシール部材を介して接続可能」である事項を満たすといえるのか不明である。 g 引用発明の「第2フェルール28」は、「外面」「が円筒形」であり、「光ファイバ通路32」(本件補正発明の「第1の貫通孔」に相当。)を備えるものの、本件補正発明の「筒状」である構成を満たすといえるのか明らかではない。 (イ)本件補正発明の「前記第1フェルールに接続された状態で前記第2端面に対向する第3端面と、前記第3端面と反対側の第4端面と、前記第3端面から前記第4端面にかけて貫通する第2貫通孔と、を有する筒状のフェルール本体、および前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する線状部とを含み、」との特定事項について a 引用発明の「第1フェルール26」(本件補正発明の「接続フェルール」に相当。)の「接続端58」、「遠位端64」、「光ファイバ通路54a、54b」及び「本体部分」は、上記(ア)c及び同bの認定を踏まえると、それぞれ本件補正発明の「前記第1フェルールに接続された状態で前記第2端面に対向する第3端面」、「前記第3端面と反対側の第4端面」、「前記第3端面から前記第4端面にかけて貫通する第2貫通孔」及び「フェルール本体」に相当する。 b 引用発明の「第1フェルール26」は、本件補正発明の「前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する線状部」について、後記(ウ)のとおり「前記導電部が前記線状部に電気的に接続されている」との特定事項があることにも照らすと、当該「前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する線状部」を備えているとはいえない。 c 引用発明の「第1フェルール26」は、上記(ア)gと同様に、本件補正発明の「筒状」である構成を満たすといえるのか明らかではない。 (ウ)本件補正発明の「前記接続フェルールが前記シール部材を介して前記第1フェルールに接続された状態で、前記導電部が前記線状部に電気的に接続されている、」との特定事項について 引用発明は、「第1フェルール26」(本件補正発明の「接続フェルール」に相当。)が「第2フェル-ル28」(本件補正発明の「第1フェルール」に相当。)と「それぞれの接続端58、36を接触させて接続される」ものであり、「両フェルール26、28を横切って貫通して体組織内に」「電線」「を送達することが可能な管路76を有し」ているが、本件補正発明の上記特定事項を満たしているといえるのか明らかではない。 イ 一致点及び相違点の認定 上記アによれば、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、又は、以下の相違点で一応相違するか、相違する。 <一致点> 第1端面と、前記第1端面と反対側の第2端面と、前記第1端面から前記第2端面にかけて貫通する第1貫通孔と、を有し、生体に固定される第1フェルールに、接続可能な接続フェルールであって、 前記第1フェルールに接続された状態で前記第2端面に対向する第3端面と、前記第3端面と反対側の第4端面と、前記第3端面から前記第4端面にかけて貫通する第2貫通孔と、を有するフェルール本体を含む、 接続フェルール。 <相違点1> 「接続フェルール」及び「第1フェルール」が、本件補正発明は「筒状」であるのに対して、引用発明は「外面」「が円筒形」であり、いずれも、「光ファイバ通路54a、54b、32」を備えるものである点。 <相違点2> 「接続フェルール」が、本件補正発明は「前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する線状部」を有するのに対して、引用発明は有していない点。 <相違点3> 「接続フェルール」が、本件補正発明は、「導電部を有するシール部材を介して第1フェルールに」接続可能であって、「前記シール部材を介して前記第1フェルールに接続された状態で、前記導電部が前記線状部に電気的に接続されている」のに対して、引用発明は、「第1フェルール26」が「第2フェル-ル28」と「それぞれの接続端58、36を接触させて接続される」ものであり、「両フェルール26、28を横切って貫通して体組織内に」「電線」「を送達することが可能な管路76を有し」ている点。 (4)判断 ア 相違点1に対する判断 相違点1に係る本件補正発明に係る構成における「筒状」の意味を検討すると、まず、一般に「筒」とは「円く細長くて中空になっているもの。管。」(広辞苑第6版)を意味する。そして、「中空」のサイズについて、本願の明細書の【0017】には「接続フェルール」の「第2貫通孔内に配置される」「第2光ファイバ60」は「単一の光ファイバでもよい」と記載されていることから、本件補正発明の「筒状」は、(第2貫通孔の径に対応するところの)中空のサイズが単一の光ファイバの径程度のものであってよい。 これを引用発明の「第2フェルール28」及び「第1フェルール26」についてみると、当該各フェルールは、「外面」「が円筒形」であり「光ファイバ通路54a、54b、32」を有することから、「円く細長くて中空になっているもの」であり、中空のサイズは、単一の光ファイバの径程度のものである。 よって、引用発明の「第2フェルール28」及び「第1フェルール26」は、いずれも、本件補正発明でいう「筒状」といえるから、相違点1は、実質的なものではない。 イ 相違点2及び3に対する判断 (ア)まず、相違点3に係る本件補正発明の特定事項(以下「相違点3特定事項」という。)をみると、これは、本件補正発明の対象である「接続フェルール」に含まれない「第1フェルール」及び「導電部を有するシール部材」に係る特定事項を含むものである。そこで、このような特定事項を含む相違点3特定事項によって、本件補正発明の対象である「接続フェルール」がどのように特定されているのかについて検討すると、以下のとおり、「接続フェルール」の「第3端面」に導電性のある「線状部」が露出していれば足りると解される。 a 相違点3特定事項のうち「接続フェルール」に属する構成は「線状部」のみであることから、相違点3特定事項によって、「線状部」及び「接続フェルール」がどのように特定されたことになるのかが問題となる。しかるに、相違点3特定事項は、「接続フェルール」が、「導電部を有するシール部材を介して第1フェルールに」接続可能であり、「前記シール部材を介して前記第1フェルールに接続された状態で、前記導電部が前記線状部に電気的に接続されて」いることを特定するところ、上記でいう、前記第1フェルールに接続された状態では、「接続フェルール」の「第3端面」が「シール部材」と接していると解されることから、相違点3特定事項を満たすといえるためには、「接続フェルール」の「第3端面」に導電性のある「線状部」が露出していれば足りると解するのが自然である。 b そして、この理解は、本願の明細書及び図面の記載にも沿う。 すなわち、本願の明細書の【0026】には、「シール部材」を用いた態様に係る第3実施形態が説明されているところ、そこでは、「固定フェルール10と接続フェルール50Aとの間にさらにシール部材70を備える点で第2実施形態と異なっており、その他の構成は同じである」と記載されている。この第2実施形態について、同【0023】には、接続フェルール50Aは、「導電路55Aおよび流体流路56を有する点で第1実施形態と異なって」いると記載されているとともに、同【0024】には、導電路55Aは、第1実施形態の導電路55と同様である旨記載されている。そして、第1実施形態の導電路55は、線状部であって、その一部は、第3端面51に露出しており、これにより、複合ファイバ20の信号配線22と電気的に接続できる旨記載されている(同【0016】)。 このように、本願の明細書及び図面の記載によれば、「シール部材」がある第3実施形態でも、それが設けられていない第1及び第2実施形態でも、「接続フェルール」の構成の観点からみれば、第1実施形態のように、線状部である導電路が第3端面51に露出していることに変わりないことから、上記(ア)の理解は、本願の明細書及び図面の記載に沿うといえる。 c よって、相違点3に係る本件補正発明の特定事項を満たしているといえるためには、「接続フェルール」の「第3端部」に導電性のある「線状部」が露出していれば足りる。 (イ)上記(ア)をも踏まえると、引用発明において相違点2及び3に係る本件補正発明の構成に至るためには、「第1フェルール26」(本件補正発明の「接続フェルール」に相当。)に「接続端58」(本件補正発明の「第3端面」に相当。)から「遠位端64」(本件補正発明の「第4端面」に相当。)まで延びる導電性のある「線状部」を有するようにした上で、前記「接続端58」に前記「線状部」を露出させれば足りると解される。 引用発明は、「両フェルール26、28を横切って貫通して体組織内に流体、電線などを送達することが可能な管路76」を有するものであることから、両フェルール26、28を横切って貫通した電気的接続路を設けるものである一方、当該管路76を流体の送達のために用いた場合、それを電気的接続路としては使用し難いことが明らかである。 他方、光ファイバを保持する光学部品同士を接続する場合において、光学的な接続と電気的な接続を同時に行うために、両方の光学部品に、光ファイバに沿って配置された線状の配線部を設け、前記両方の配線部同士を、両方の光学部品の突き合わせ面において接触させて、電気的な接続を行うことは周知技術である(例えば、特開2018-13604号公報の【0074】、【0079】、図1及び図2、国際公開第2017/110088号の[0087]、図18参照。)。 そうすると、引用発明から出発した当業者は、管路76が電気的接続路としては使用し難い状況になることを踏まえて、上記周知技術に基づいて、第1フェルール26及び第2フェルール28の双方に、光ファイバ18に沿って配置された線状の配線部を設けるとともに、前記両方の配線部同士が、接続端58、36を接触させたときに接触するようにすることに容易に至るといえる。そして、そのように構成した第1フェルール26は、光ファイバ(光ファイバ通路54a、54b)に沿って遠位端64から接続端58まで延びる線状部の配線部を有し、前記接続端58で前記配線部が露出するものであるといえるから、相違点2及び3に係る本件補正発明の構成を満たしているといえる。 ウ 効果について 本件補正発明の効果は、本件補正発明の構成が奏するものとして、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が予測し得たものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 エ 請求人の主張について 請求人は、シール部材を介して電気的に接続を行う点は、引用文献に記載も無いことから本件補正発明は進歩性を有する旨を主張しているが、上記イで説示したとおりであり、当該主張は採用できない。 オ 独立特許要件のまとめ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (5)本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年10月26日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年5月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は、当該請求項8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、当該請求項8の記載は上記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。 (新規性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない (進歩性)本願発明は、その優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である上記引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項は、前記第2[理由]2(2)ア及びイに、それぞれ記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明における、「接続フェルール」が「第1端面と、前記第1端面と反対側の第2端面と、前記第1端面から前記第2端面にかけて貫通する第1貫通孔と、を有し、生体に固定される筒状の第1フェルールに、導電部を有するシール部材を介して接続可能な」こと、「第3端面」が「前記第1フェルールに接続された状態で前記第2端面に対向する」こと、及び、「前記接続フェルールが前記シール部材を介して前記第1フェルールに接続された状態で、前記導電部が前記線状部に電気的に接続されている」こと、に係る特定事項を省いた発明である。そこで、本件補正発明と引用発明の相違点との関係に照らして本願発明を整理すると、本願発明は、本件補正発明から相違点3に係る本件補正発明の特定事項を省いたものであることに加えて、「線状部」が、相違点3に係る本件補正発明の特定事項の「前記導電部が前記線状部に電気的に接続されている」ことが省かれたことに伴い、結局、「前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する」との事項のみにより特定されるものである。 そして、上記整理に基づいて本願発明の「線状部」と引用発明の構成を対比すると、引用発明の「フェルール26」は、「両フェルール26、28を横切って貫通して体組織内に流体、電線などを送達することが可能な管路76」に含まれる「チューブ66」、「通路部分78」及び「接続端から内側に延びる雌ボア74」を備えるところ、それらからなるものは、本願発明の「前記第3端面から前記第2貫通孔に沿って位置する線状部」に相当するといえることから、本願発明と引用発明の対比において、「線状部」に係る特定事項は、本願発明では一致点となる。 このような本願発明と引用発明とは、結局、相違点1において一応相違するか、又は、相違し、その余の点で一致するといえるから、本件補正発明と同様の理由を踏まえれば、本願発明は、引用発明であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-017158

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