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特許拒絶査定不服審判

2022-017233

光学レンズ、カメラモジュール及びその組み立て方法

審判番号
2022-017233
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-508008
請求日
2022年10月27日
審決日
2024年02月02日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】▲寧▼波舜宇光▲電▼信息有限公司
  • 【請求人代理人】村山 靖彦
  • 【請求人代理人】実広 信哉
  • 【請求人代理人】阿部 達彦
審判長/審判官
  • 審判長 波多江 進
  • 審判官 野村 伸雄
  • 審判官 吉野 三寛
分類
P18 .113-Z (G02B) / P18 .121-Z (G02B) / P18 .537-Z (G02B) / P18 .55 -Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-508008「光学レンズ、カメラモジュール及びその組み立て方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月14日国際公開、WO2019/029331、令和 2年10月22日国内公表、特表2020-530592〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)7月19日(パリ条約による優先権主張 平成29年8月11日、中国、2件)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和 2年 3月24日 :手続補正書の提出 令和 3年 4月21日付け:拒絶理由通知書 同年 8月10日 :意見書、手続補正書の提出 令和 4年 1月19日付け:拒絶理由通知書(最後の拒絶理由) 同年 4月18日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月17日付け:補正の却下の決定、拒絶査定(以下「原査 定」という。) ( 同月27日 :原査定の謄本の送達) 同年10月27日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和4年10月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年10月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項13の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項13の記載は、次のとおり補正された。下線部は、補正箇所である。 「【請求項13】 光学レンズであって、 第1のレンズバレルと少なくとも1つの第1のレンズシートを含む第1のサブレンズと、及び 第2のレンズバレルと少なくとも1つの第2のレンズシートを含む第2のサブレンズと、 を含み、 前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズの光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1のレンズシートと前記少なくとも1つの第2のレンズシートを含むイメージング可能な光学系を構成し、 前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズは接着剤によりお互いに固定され、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間には構造的ギャップが形成され、前記構造的ギャップは、前記光学系によりイメージングされる像面とターゲット面がマッチングする前記光軸方向の寸法値を有し、 前記構造的ギャップは、 前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され、 前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値が、500μmより小さく、かつ、 同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値の差が2μmと60μmとの間であることを特徴とする前記光学レンズ。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項14の記載 本件補正前の、令和3年8月10日にされた手続補正により補正された請求項14の記載は次のとおりである。 「【請求項14】 光学レンズであって、 第1のレンズバレルと少なくとも1つの第1のレンズシートを含む第1のサブレンズと、及び 第2のレンズバレルと少なくとも1つの第2のレンズシートを含む第2のサブレンズと、 を含み、 前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズの光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1のレンズシートと前記少なくとも1つの第2のレンズシートを含むイメージング可能な光学系を構成し、 前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズは接着剤によりお互いに固定され、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間には構造的ギャップを有し、前記構造的ギャップは、前記光学系によりイメージングされる像面とターゲット面がマッチングする前記光軸方向でのサイズ値を有することを特徴とする前記光学レンズ。」 2 本件補正の適否 本件補正のうち請求項13についての補正は、本件補正前の請求項14に記載された発明を特定するために必要な事項である「構造的ギャップ」についての、「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され、前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値が、500μmより小さく、かつ、同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値の差が2μmと60μmとの間である」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項14に記載された発明と本件補正後の請求項13に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち請求項13についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項13に記載される発明(以下「本件補正発明13」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。 (1) 明確性について ア 物の発明についての請求項にその物の製造方法が記載されている点について (ア) 本件補正発明13は、「前記構造的ギャップは、前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され」との発明特定事項により特定されるものである。 (イ) そして、本件補正発明13は、「光学レンズ」という物の発明であるところ、本件補正により追加された「前記構造的ギャップは、前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され」との上記発明特定事項は、本件補正発明13の「光学レンズ」の製造に関して、実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲のマッチングを、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して行うという、製造に関する技術的な特徴が付されたものであるから、本件補正発明13に係る特許請求の範囲の請求項13は、物の発明についての請求項にその物の製造方法が記載されている場合に該当する。 (ウ) ここで、最高裁判決(最高裁第二小法廷平成27年6月5日 平成24年(受)第1204号、同第2658号)が、物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情(以下「不可能・非実際的事情」という。)が存在するときに限られると判示した趣旨は、そのような特許請求の範囲の記載は、一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが不明であり、権利範囲についての予測可能性を奪う結果となることから、これを無制約に許すのではなく、前記事情が存在するときに限って認めるとした点にある。 そこで、本件補正発明13について不可能・非実際的事情が存在するかどうかについて検討すると、明細書等には不可能・非実際的事情が存在することについて何ら記載がなく、また、他に出願人からの主張・立証もなされておらず、さらに、当業者にとって不可能・非実際的事情が存在することが明らかであると判断すべき事情も存在しない。 したがって、本件補正発明13は、明確ではない。 イ 「寸法値の差」について 本件補正発明13は、「同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値の差が2μmと60μmとの間である」との発明特定事項を有している。 当該発明特定事項における「寸法値の差」は、複数の光学レンズアセンブリにおいて初めて定義できる値であるところ、本件補正発明13は複数ではない「光学レンズ」の発明であることから、それ単体で見た場合には「寸法値の差」を定義することはできない。 したがって、当該発明特定事項は、本件補正発明13の「光学レンズ」では定義できない「寸法値の差」を特定するものとなっており、発明が不明確となっている。 したがって、本件補正発明13は、明確ではない。 (2) 進歩性について ア 本件補正発明13 本件補正発明13は、上記(1)で指摘した明確性要件違反はあるものの、この点については下記ウ(ウ)でその解釈を検討することとし、その余の点については上記1(1)の請求項13に記載した事項により特定されるとおりのものとして、以下検討する。 イ 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (ア) 引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に発行された中国特許出願公開第102662222号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は、当合議体が付した。)。 a 特許請求の範囲 「 [図:0001411752000001.jpg] 」 (訳: 1.イメージセンサ(2)が回路基板(1)の表面に貼り付けられて成るイメージセンサ組立体(D)と、レンズホルダー組立体(A)と、鏡筒組立体(B)と、を備えるレンズ及び微調整モジュール構造であって、前記レンズホルダー組立体(A)がイメージセンサ(2)上に取り付けられ、レンズホルダー組立体(A)上に鏡筒組立体(B)が固定されることを特徴とする、レンズ及び微調整モジュール構造。 2.前記レンズホルダー組立体(A)はレンズホルダー(7)を備え、レンズホルダー(7)内部には回路基板(1)に近い側から、回路基板(1)から離れる側に向かって、フィルタ(4)、スペーサリング(3)、第二レンズ(5)及び遮光板(6)が順に取り付けられ、前記鏡筒組立体(B)は鏡筒(8)を備え、鏡筒(8)内に第一レンズ(9)が取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ及び微調整モジュール構造。) b 明細書 「 [図:0001411752000002.jpg] 」 (訳:【0009】 前記レンズ及び微調整モジュールの組み付け方法であって、以下の工程が用いられることを特徴とする。 (1)イメージセンサを回路基板の表面に貼り付ける工程と、 (2)フィルタ、スペーサリング、第二レンズ及び遮光板が取り付けられたレンズホルダーをイメージセンサ上に取り付け、次いで第一レンズが取り付けられた鏡筒をレンズホルダー上に取り付ける工程と、 (3)画像の鮮明度の調整工程であって、画像が鮮明であれば、レンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒とを接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とし、画像が鮮明でなければ、レンズホルダーと鏡筒との間に微調整調整リングを配置し、画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整し、次いでレンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒と微調整調整リングとの間を接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とする工程。) c 図面 「 [図:0001411752000003.jpg] 」 (イ) 図1から読み取れる事項の認定 図1を見ると、レンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)は、光軸を一致させて配置されていることが把握できる。 (ウ) 引用発明の認定 前記(ア)で摘記した引用文献1の記載事項及び前記(イ)で認定した図1から読み取れる事項から、引用文献1には、図1~図4で示されるレンズ及び微調整モジュール構造に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(以下、引用発明の認定に用いた箇所の段落番号等を参考までに括弧内に付した。)。 「イメージセンサ(2)が回路基板(1)の表面に貼り付けられて成るイメージセンサ組立体(D)と、レンズホルダー組立体(A)と、鏡筒組立体(B)と、を備えるレンズ及び微調整モジュール構造であって、前記レンズホルダー組立体(A)がイメージセンサ(2)上に取り付けられ、レンズホルダー組立体(A)上に鏡筒組立体(B)が固定され、(特許請求の範囲1) 前記レンズホルダー組立体(A)はレンズホルダー(7)を備え、レンズホルダー(7)内部には回路基板(1)に近い側から、回路基板(1)から離れる側に向かって、フィルタ(4)、スペーサリング(3)、第二レンズ(5)及び遮光板(6)が順に取り付けられ、前記鏡筒組立体(B)は鏡筒(8)を備え、鏡筒(8)内に第一レンズ(9)が取り付けられ、(特許請求の範囲2) レンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)は、光軸を一致させて配置され、(上記(イ)) レンズ及び微調整モジュールの組み付け方法に用いられる画像の鮮明度の調整工程が、画像が鮮明であれば、レンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒とを接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とし、画像が鮮明でなければ、レンズホルダーと鏡筒との間に微調整調整リングを配置し、画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整し、次いでレンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒と微調整調整リングとの間を接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とする工程である(【0009】) レンズ及び微調整モジュール構造。」 ウ 本件補正発明13と引用発明との対比・判断 (ア) 対比分析 a 引用発明の「鏡筒(8)」は、本件補正発明13の「第1のレンズバレル」に、 引用発明の「第一レンズ(9)」は、本件補正発明13の「第1のレンズシート」に、 引用発明の「鏡筒組立体(B)」は、本件補正発明13の「第1のサブレンズ」に、 引用発明の「レンズホルダー(7)」は、本件補正発明13の「第2のレンズバレル」に、 引用発明の「第二レンズ(5)」は、本件補正発明13の「第2のレンズシート」に、 引用発明の「レンズホルダー組立体(A)」は、本件補正発明13の「第2のサブレンズ」に、 引用発明の「鏡筒組立体(B)」及び「レンズホルダー組立体(A)」からなる構成は、本件補正発明13の「光学レンズ」に、 それぞれ、相当する。 b 本件補正発明13の「第1のレンズバレルと少なくとも1つの第1のレンズシートを含む第1のサブレンズと、及び第2のレンズバレルと少なくとも1つの第2のレンズシートを含む第2のサブレンズ」の発明特定事項について 引用発明は、「鏡筒組立体(B)は鏡筒(8)を備え、鏡筒(8)内に第一レンズ(9)が取り付けられ」、「レンズホルダー組立体(A)はレンズホルダー(7)を備え、レンズホルダー(7)内部には」「第二レンズ(5)」が「取り付けられ」ている。 したがって、上記aを踏まえると、引用発明は、上記発明特定事項を満たす。 c 本件補正発明13の「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズの光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1のレンズシートと前記少なくとも1つの第2のレンズシートを含むイメージング可能な光学系」の発明特定事項について 引用発明は、「レンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)は、光軸を一致させて配置され」ているものであるから、鏡筒組立体(B)をレンズホルダー組立体(A)の光軸に配置しているといえる。 また、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)は、イメージセンサ(2)上にイメージングするためのものであることは明らかであるから、引用発明は、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)を含むイメージングを行うことが可能な光学系を備えているといえる。 したがって、引用発明は、上記発明特定事項を満たす。 d 本件補正発明13の「前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズは接着剤によりお互いに固定され」の発明特定事項について 引用発明は、「レンズホルダーと鏡筒とを接着剤で固定」又は「レンズホルダーと鏡筒と微調整調整リングとの間を接着剤で固定」している。そうすると、引用発明は、鏡筒(8)を備えた鏡筒組立体(B)とレンズホルダー(7)を備えたレンズホルダー組立体(A)とを接着剤で固定しているといえる。 したがって、引用発明は、上記発明特定事項を満たす。 (イ) 一致点及び相違点 以上のことから、本件補正発明13と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「光学レンズであって、 第1のレンズバレルと少なくとも1つの第1のレンズシートを含む第1のサブレンズと、及び 第2のレンズバレルと少なくとも1つの第2のレンズシートを含む第2のサブレンズと、を含み、 前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズの光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1のレンズシートと前記少なくとも1つの第2のレンズシートを含むイメージング可能な光学系を構成し、 前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズは接着剤によりお互いに固定される前記光学レンズ。」 【相違点】 本件補正発明13では、「前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間には構造的ギャップが形成され、前記構造的ギャップは、前記光学系によりイメージングされる像面とターゲット面がマッチングする前記光軸方向の寸法値を有し」ており、「前記構造的ギャップは、前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され」るものであり、「前記構造的ギャップの光軸方向の寸法値が、500μmより小さく」なっており、「同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値の差が2μmと60μmとの間である」のに対し、引用発明では、「レンズ及び微調整モジュールの組み付け方法に用いられる画像の鮮明度の調整工程が、画像が鮮明であれば、レンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒とを接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とし、画像が鮮明でなければ、レンズホルダーと鏡筒との間に微調整調整リングを配置し、画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整し、次いでレンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒と微調整調整リングとの間を接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とする工程である」ものの、構造的ギャップの有無とその寸法が不明である点。 (ウ) 相違点に対する判断 以下、上記相違点について検討する。 a(a) 引用発明は、「画像の鮮明度の調整工程であって、画像が鮮明であれば、レンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒とを接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とし、画像が鮮明でなければ、レンズホルダーと鏡筒との間に微調整調整リングを配置し、画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整し、次いでレンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒と微調整調整リングとの間を接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とする工程で組み付けられる」ものであることから、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)との間の距離は、イメージセンサ(2)の撮像面における画像が鮮明になるように調整されたものであるといえる。そして、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)との間の距離の調整は、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)が近づく方向及び離れる方向で行われ、その調整できる範囲は、調整のための必要十分な値に設定する必要があるから、当業者は、画像が鮮明になるように調整された状態で、第一レンズ(9)と第一レンズ(9)との間に、隙間が形成されるように、すなわち、第二レンズ(5)が取り付けられたレンズホルダー組立体(A)と第一レンズ(9)が取り付けられた鏡筒組立体(B)との間に、隙間が形成されるように設計するといえる。そして、当該隙間は、画像が鮮明になるような光軸方向の寸法値を有するといえる。 (b) ところで、レンズ間隔を変化させることにより、像面湾曲が変化することは技術常識である(必要ならば、特開2007-65515号公報(【0018】)、特開2017-126036号公報(【0013】)及び特開2008-145770号公報(【0024】)を参照されたい。)。 (c) また、引用発明は「画像が鮮明になる」ように調整するものであるところ、画像が鮮明であるためには、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)とにより結像される画像の位置とイメージセンサの位置が、画像中のある一点(例えば、中心)で一致するのみでは足りず、画像全体で一致、すなわち結像される画像の面とイメージセンサの面がマッチングする必要があることは明らかである。 (d) 前記(b)及び(c)を踏まえると、引用発明における「画像が鮮明になる」ように調整することは、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)とにより結像される画像の面と、イメージセンサの面がマッチングするように第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整することであるといえ、さらに、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)とにより結像される画像の面の像面湾曲と、イメージセンサの面の像面湾曲がマッチングするように第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整することであるともいえる。 (e) したがって、前記(a)を踏まえると、引用発明の調整後のレンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)との間の隙間は、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)とにより結像される画像の面と、イメージセンサの面がマッチングするように、また、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)とにより結像される画像の面の像面湾曲と、イメージセンサの面の像面湾曲がマッチングするように調整された寸法値を有するものであるといえるから、相違点に係る本件補正発明13の「前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間には構造的ギャップが形成され、前記構造的ギャップは、前記光学系によりイメージングされる像面とターゲット面がマッチングする前記光軸方向の寸法値を有[する]」との発明特定事項を満たすものである。 b 次に、相違点に係る本件補正発明13の発明特定事項である、「構造的ギャップは、前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され」たものである点について検討する。 (a) まず、本件補正発明13は「光学レンズ」という物の発明であるところ、上記の点が、「前記構造的ギャップは、光学系によりイメージングされる像面とターゲット面がマッチングする前記光軸方向の寸法値を有[する]」という光学レンズの状態を特定するにとどまると解すれば、引用発明では、レンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)との間の隙間は、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)とにより結像される画像の面と、イメージセンサの面がマッチングするように調整された寸法値を有するものであるといえることは上記a(e)で説示したとおりであるから、引用発明は、上記の点を満たすこととなる。 (b) 次に、上記の点が、「光学レンズ」の物としてのなんらかの構成を特定するものと解してさらに検討する。 引用発明は、「レンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)は、光軸を一致させて配置され」ており、「レンズ及び微調整モジュールの組み付け方法に用いられる画像の鮮明度の調整工程が、」「画像が鮮明でなければ、レンズホルダーと鏡筒との間に微調整調整リングを配置し、画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整」するものであるから、引用発明において第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整することは、相違点1に係る本件補正発明13の「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させる」ことに他ならない。 また、引用発明は「画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整し」ていることから、距離を調整しつつ画像を取得し、画像が鮮明かどうかを判断していることは明らかであり、画像が鮮明かどうかを判断することは、上記a(d)に照らせば、画像の面の像面湾曲とイメージセンサの面の像面湾曲とのずれを判断することを含んでいるといえ、画像の面の像面湾曲とイメージセンサの面の像面湾曲とのずれを判断する際には、実質的に画像の面の像面湾曲を取得しているといえる。よって、引用発明は、相違点に係る本件補正発明13の「移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して」いるものといえる。 そして、引用発明における「画像が鮮明になる」ように調整することは、第一レンズ(9)と第二レンズ(5)とにより結像される画像の面の像面湾曲と、イメージセンサの面の像面湾曲がマッチングするように第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整することであるといえることは、前記a(d)で説示したとおりであるから、引用発明は、相違点に係る本件補正発明13の「構造的ギャップは、」「前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され[る]」との発明特定事項を満たしている。 したがって、上記の点が、「光学レンズ」の物としてのなんらかの構成を特定するものと解したとしても、引用発明は、上記の点を満たすこととなる。 c(a) 以上検討によれば、引用発明における画像の鮮明度の調整工程を経たレンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)との間の隙間の寸法は、相違点に係る本件補正発明13の発明特定事項である、構造的ギャップが「前記光学系によりイメージングされる像面とターゲット面がマッチングする前記光軸方向の寸法値を有し」ており、「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され」たものであるといえる。 (b) なお、本件補正発明13は、「光学レンズ」を対象とするものであって、「ターゲット面」は光学レンズには含まれておらず、像面とマッチングすべきターゲット面の具体的な形状も特定されてはいない。してみると、「光学レンズ」単独で見た場合、光学レンズの光学系によりイメージングされる像面とターゲット面とがマッチングしているかどうかを判別することはできない。 そうすると、光学系によりイメージングされる像面や実際の測定像面湾曲がどのようなものであっても、これらにマッチングするターゲット面やターゲット像面湾曲が存在し得るという意味で、前記(a)の構造的ギャップは、任意の光軸方向での寸法値の構造的ギャップを含むから、前記(a)の構造的ギャップについての発明特定事項は、ターゲット面を含まない「光学レンズ」の構成としては、そもそも引用発明との実質的な相違点でないともいえる。 d 次に、相違点に係る本件補正発明の「前記構造的ギャップの光軸方向の寸法値が、500μmより小さく」なっている点について検討すると、本願明細書の【0081】には「本発明は、構造的ギャップを設定し、好ましくは500μmより小さい複数の構造的ギャップの範囲を制限して、複数のレンズユニット間の多軸調整のための空間を提供し、多軸調整を可能にする。」と記載されていることから、当該寸法値を、500μmより小さくする技術上の意義は、複数のレンズユニット間の多軸調整のための空間を提供し、多軸調整を可能にするものといえる。 そして、引用発明は、「第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整し」ていることから、当該調整のための距離やこれに対応するレンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)との間の隙間の寸法値は、調整のための必要十分な値にする必要があることは当業者には明らかであるから、引用発明において、レンズホルダー組立体(A)と鏡筒組立体(B)との間の隙間を調整に必要十分な寸法値とし、その具体的な値として500μm以下とすることは、当業者が適宜なし得た設計的事項にすぎない。 e さらに、相違点に係る本件補正発明13の「同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値の差が2μmと60μmとの間である」点について検討すると、本件補正発明13の対象である「光学レンズ」単独としてみたときに寸法値の差が定義できないことは上記(1)イで指摘したとおりであり、本件補正発明13は、この点に関しては任意の光学レンズを含むから、この点は「光学レンズ」の構成としては実質的な相違点ではない。 f 効果について そして、本件補正発明13の作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 g 審判請求人の主張について (a) 審判請求人の主張内容 審判請求人は、以下の旨を主張している。 I) 引用文献1には、「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるように、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得する」点が開示されておらず、本件補正発明13は、組立工程中にリアルタイムでレンズアセンブリの像面湾曲を調整することが可能であり、像面湾曲のばらつきが抑えられ、画質を改善しながら、像面湾曲に起因する不良品率が低減され、製造コストが低減される、また、光軸方向に沿って第1のサブレンズと第2のサブレンズとの距離を調整するだけで、実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲を一致させて、光学レンズの画質を補償できることを表すものである。このように、大量生産する光学レンズの像面湾曲分布を収束させることができ、プロセス能力指数(CPK)を向上させることができる。従って、画質を改善しながら像面湾曲のばらつきが低減され、像面湾曲に起因する不良品率が低減され、製造コストが低減される。 II) 引用文献1には、「前記構造的ギャップの前記光軸方向のサイズ値が、500μmより小さく、かつ、同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向のサイズ値の差が2μmと60μmとの間である」点が開示されておらず、本件補正発明13では、光学レンズとそのカメラモジュールの像面湾曲の差は、構造的ギャップを用いて補償するため、複数の光学レンズの構造的ギャップの差が生まれ、その差が2μm~60μmである場合大量生産製品の像面湾曲の一貫性を向上させることができ、これにより、大量生産製品の品質を向上させることができる。 (b) 審判請求人の主張についての検討 上記主張について検討する。 I) 引用発明の「画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整」することが、「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるように、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得する」ことといえることは上記b及びcで説示したとおりである。 II) 「前記構造的ギャップの前記光軸方向のサイズ値が、500μmより小さく、かつ、同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向のサイズ値の差が2μmと60μmとの間である」点については、上記d及びeで検討したとおりである。 III) 以上のとおり、審判請求人の上記(a)I)及びII)の主張は、上記a~fの判断を左右するものではない。 エ 小括 したがって、本件補正発明13は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 独立特許要件についてのまとめ 以上によれば、本件補正発明13は明確でないから、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、また、本件補正発明13は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正の却下の決定についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明14及び請求項1に係る発明について 1 本願発明14及び請求項1に係る発明 (1)本願発明14 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項14に係る発明(以下「本願発明14」という。)は、その請求項14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、当該請求項14の記載は前記第2の[理由]1(2)に示したとおりである。 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載 本件補正前の、令和3年8月10日にされた手続補正により補正された請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 光学レンズ組み立て方法であって、 第1のレンズバレルと少なくとも1つの第1のレンズシートを含む第1のサブレンズと、第2のレンズバレルと少なくとも1つの第2のレンズシートを含む第2のサブレンズを用意するステップと、 前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズの光軸に配置して、前記少なくとも1つ の第1のレンズシートと前記少なくとも1つの第2のレンズシートを含むイメージング可能な光学系を構成するステップと、 前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して光軸方向に移動させ、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間に構造的ギャップが形成されるように前記第1のサブレンズ及び前記第2のサブレンズを接着剤によりお互いに固定することにより、前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面をターゲット面にマッチングさせるステップと、及び 前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズの光軸方向における相対距離が変わらないように、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズを接続するステップと、を含むことを特徴とする光学レンズ組み立て方法。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概略は、以下の理由を含むものである。 理由1.(新規事項)令和3年8月10日付け手続補正書でした補正後の請求項1における、「第1のサブレンズ」及び「第2のサブレンズ」について、「接着剤によりお互いに固定」するステップの後、さらに何らかの「接続」を行うステップは翻訳文等に記載されておらず、また翻訳文等の記載から自明な事項とも認められない点で、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、当該補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。 理由2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が、「第1のサブレンズ」及び「第2のサブレンズ」について、「接着剤によりお互いに固定」した後、さらに「接続する」構成と認められるが、「固定」した後に行う「接続」の具体的な内容が不明であり、特定される事項が明確でない点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由3.(新規性)本願発明14は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由4.(進歩性)本願発明14は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記の引用文献1に記載された発明に基いて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 <引用文献等一覧> 引用文献1.中国特許出願公開第102662222号明細書 3 当審の判断 (1) 理由1(新規事項)について 令和3年8月10日付け手続補正書でした請求項1についての補正は、「前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間に構造的ギャップが形成されるように前記第1のサブレンズ及び前記第2のサブレンズを接着剤によりお互いに固定す」るという事項を追加する補正を含むものである。 上記追加された事項によって、当該請求項1は、「第1のサブレンズ」及び「第2のサブレンズ」について、「接着剤によりお互いに固定」するステップの後、さらに何らかの「接続する」ステップを有する構成となった。 これに対して、翻訳文等の【請求項14】及び【0025】において、「前記接続ステップにおいて、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズを接着工程により接続する」、【0114】及び【0157】には「例えば、一実施例において、接着工程により第1のサブレンズと第2のサブレンズを接続する。」という記載があるものの、「第1のサブレンズ」及び「第2のサブレンズ」について、「接着剤によりお互いに固定」するステップの後、さらに何らかの「接続する」ステップを有する構成についての記載はない。 そして、翻訳文等の「前記接続ステップにおいて、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズを接着工程により接続する」についての特定を、「第1のサブレンズ」及び「第2のサブレンズ」について、「接着剤によりお互いに固定」するステップの後、さらに何らかの「接続する」ステップを有する構成について特定することは、翻訳文等の記載から自明なものではなく、翻訳文等に記載した事項との関係で、新たな技術的事項を導入するものである。 (2) 理由2(明確性)について 請求項1において、「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して光軸方向に移動させ、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間に構造的ギャップが形成されるように前記第1のサブレンズ及び前記第2のサブレンズを接着剤によりお互いに固定することにより、前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面をターゲット面にマッチングさせるステップと、及び前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズの光軸方向における相対距離が変わらないように、前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズを接続するステップと、を含むことを特徴とする光学レンズ組み立て方法。」と記載されている。 しかしながら、上記記載では「第1のサブレンズ」及び「第2のサブレンズ」について、「接着剤によりお互いに固定」した後にさらに「接続する」構成と認められるが、「固定」した後に行う「接続」の具体的な内容が不明であり、明確でない。 よって、請求項1に係る発明は明確でない。 (3) 理由3(新規性)及び理由4(進歩性)について ア 引用文献の記載事項及び引用発明の認定 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]2(2)イで記載したとおりである。 イ 対比・判断 本願発明14は、実質的に、前記第2の[理由]2(2)で検討した本件補正発明13から、「構造的ギャップ」について「前記第1のサブレンズを前記第2のサブレンズに対して前記光軸方向に移動させることにより、移動された実際の測定位置で前記光学系によりイメージングされる実際の測定像面湾曲を獲得して、前記実際の測定像面湾曲とターゲット像面湾曲をマッチングさせるステップにより形成され、前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値が、500μmより小さく、かつ、同じ設計の複数の光学レンズアセンブリにおける前記構造的ギャップの前記光軸方向の寸法値の差が2μmと60μmとの間である」に係る限定事項を削除し、「構造的ギャップが形成され」を「構造的ギャップを有し」とし、「光軸方向の寸法値を有し、」を「光軸方向でのサイズ値を有する」としたものである。 そうすると、本願発明14と引用発明との相違点は、本願発明14では、「前記第1のサブレンズと前記第2のサブレンズとの間には構造的ギャップを有し、前記構造的ギャップは、前記光学系によりイメージングされる像面とターゲット面がマッチングする前記光軸方向のサイズ値を有する」のに対し、引用発明では、「レンズ及び微調整モジュールの組み付け方法に用いられる画像の鮮明度の調整工程が、画像が鮮明であれば、レンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒とを接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とし、画像が鮮明でなければ、レンズホルダーと鏡筒との間に微調整調整リングを配置し、画像が鮮明になるまで第一レンズと第二レンズとの間の距離を調整し、次いでレンズホルダーとイメージセンサ、レンズホルダーと鏡筒と微調整調整リングとの間を接着剤で固定し、ベークして前記レンズ及び微調整モジュール構造とする工程である」ものの、構造的ギャップの有無とその寸法が不明である点となる。 そして、前記第2の[理由]2(2)ウ(ウ)aで説示したとおり、引用発明は上記相違点に係る本願発明14の発明特定事項を満たすから、本願発明14は引用発明である。また、本願発明14は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえる。 第4 むすび 以上のとおり、令和3年8月10日付け手続補正書でした補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、また、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、さらに、本願発明14は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、本願発明14は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-017233

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