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特許異議申立

2021-700688

高吸水性樹脂の製造方法

審判番号
2021-700688
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-531815外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6814885
請求日
2021年07月16日
審決日
2022年09月30日
公報発行日
2023年01月27日
結論
訂正認容
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(C08J) / P1651.121-YAA(C08J) / P1651.536-YAA(C08J) / P1651.537-YAA(C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
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特許第6814885号発明「高吸水性樹脂の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6814885号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第6814885号の請求項2ないし9に係る特許を維持する。 特許第6814885号の請求項1に対する特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6814885号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)12月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年(平成30年)1月16日(大韓民国))を国際出願日とする出願であって、令和2年12月23日にその特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、特許掲載公報が令和3年1月20日に発行され、その後、その特許に対し、同年7月16日に特許異議申立人 株式会社日本触媒(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、同年10月1日付けで取消理由通知が通知され、令和4年1月4日に特許権者 エルジー・ケム・リミテッド(以下、「特許権者」という。)から訂正請求がされるとともに意見書が提出され、同年同月7日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年2月9日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年4月21日に取消理由通知<決定の予告>が通知され、同年7月22日に特許権者から意見書が提出されたものである。 第2 本件訂正について 1 訂正の内容 令和4年1月4日にされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という)の内容は、次のとおりであって、請求項1ないし9という一群の請求項について訂正するものである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記微粉再造粒体製造段階は、前記微粉と水をせん断力印加可能な混合装置で混合する段階を含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階; 前記含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して150μm以下の粒径を有する微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子に分級する段階; 前記微粉を水と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階;および 前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、 前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~20重量部の水を使用し、前記微粉と水をせん断力印加可能な混合装置で混合しており、 前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含み、 前記圧搾は、前記微粉再造粒体を圧搾および切断するチョッパ(chopper)で行われる、高吸水性樹脂の製造方法。」と訂正する。 併せて、請求項2を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項2を訂正したことに伴う訂正をする。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と訂正する。 併せて、請求項3を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項3を訂正したことに伴う訂正をする。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2~4のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と訂正する。 併せて、請求項5を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項5を訂正したことに伴う訂正をする。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2~5のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と訂正する。 併せて、請求項6を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項6を訂正したことに伴う訂正をする。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2~6のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と訂正する。 併せて、請求項7を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項7を訂正したことに伴う訂正をする。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2~7のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と訂正する。 併せて、請求項8を引用する請求項9についても、請求項8を訂正したことに伴う訂正をする。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2~8のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と訂正する。 (9)訂正事項9 明細書の発明の詳細な説明の段落【0011】に、「よって、本発明は、水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して150μm以下の粒径を有する微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子に分級する段階;前記微粉を水と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階;および前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~30重量部の水を使用し、前記圧搾微粉再造粒体製造段階は前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含む高吸水性樹脂の製造方法を提供する。」と記載されているのを、「よって、本発明は、水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して150μm以下の粒径を有する微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子に分級する段階;前記微粉を水と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階;および前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~20重量部の水を使用し、前記微粉再造粒体製造段階は、前記微粉と水をせん断力印加可能な混合装置で混合しており、前記圧搾微粉再造粒体製造段階は前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含み、前記圧搾は、前記微粉再造粒体を圧搾および切断するチョッパ(chopper)で行われる高吸水性樹脂の製造方法を提供する。」に訂正する。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1による請求項1についての訂正は、請求項1を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による請求項1についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2に係る請求項2についての訂正は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項2による請求項2についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3ないし9の訂正についても同様である。 (3)訂正事項3について 訂正事項3に係る請求項3についての訂正は、訂正前の請求項3が引用していた請求項1を引用しないようにするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3に係る請求項3の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項3の記載を直接又は間接的に引用する請求項4ないし9の訂正についても同様である。 (4)訂正事項4について 訂正事項4に係る請求項5についての訂正は、訂正前の請求項5が引用していた請求項1を引用しないようにするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4に係る請求項5の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項5の記載を直接又は間接的に引用する請求項6ないし9の訂正についても同様である。 (5)訂正事項5について 訂正事項5に係る請求項6についての訂正は、訂正前の請求項6が引用していた請求項1を引用しないようにするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項5に係る請求項6の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項7ないし9の訂正についても同様である。 (6)訂正事項6について 訂正事項6に係る請求項7についての訂正は、訂正前の請求項7が引用していた請求項1を引用しないようにするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項6に係る請求項7の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項8及び9の訂正についても同様である。 (7)訂正事項7について 訂正事項7に係る請求項8についての訂正は、訂正前の請求項8が引用していた請求項1を引用しないようにするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7に係る請求項8の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 請求項8の記載を引用する請求項9の訂正についても同様である。 (8)訂正事項8について 訂正事項8に係る請求項9についての訂正は、訂正前の請求項9が引用していた請求項1を引用しないようにするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項8に係る請求項9の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)訂正事項9について 訂正事項9は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 なお、当該明細書の記載に係る訂正事項9は、請求項1ないし9という一群の請求項に係る訂正である。 3 むすび 以上のとおり、訂正事項1ないし9による請求項1ないし9についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものである。 また、訂正事項1ないし9による請求項1ないし9についての訂正は、いずれも、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4ないし6項の規定に適合する。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、本件特許発明1ないし9を総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階; 前記含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して150μm以下の粒径を有する微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子に分級する段階; 前記微粉を水と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階;および 前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、 前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~20重量部の水を使用し、前記微粉と水をせん断力印加可能な混合装置で混合しており、 前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含み、 前記圧搾は、前記微粉再造粒体を圧搾および切断するチョッパ(chopper)で行われる、高吸水性樹脂の製造方法。 【請求項3】 前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記圧搾と、粉砕の間に乾燥段階をさらに 含む、請求項2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。 【請求項4】 前記乾燥は、120~220℃で行われる、請求項3に記載の高吸水性樹脂の製造方法。 【請求項5】 前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記圧搾および粉砕された微粉再造粒体を150μm以下の粒径を有する再造粒体微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する再造粒体正常粒子に分級する段階を含む、請求項2~4のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。 【請求項6】 300~600μmの粒径を有する前記圧搾微粉再造粒体はEDANA法WSP 241.3によって測定した保水能(CRC)が33.0~45.0g/gであり、ボルテックス法(Vortex)による吸水速度が50秒以下である、請求項2~5のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。 【請求項7】 前記圧搾微粉再造粒体を表面架橋する段階をさらに含む、請求項2~6のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。 【請求項8】 前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して3~20重量部の水を使用する、請求項2~7のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。 【請求項9】 前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して5~20重量部の水を使用する、請求項2~8のいずれかに記載の高吸水性樹脂の製造方法。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 令和3年7月16日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の甲第1号証に記載された発明であるから、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 申立理由2(甲第1号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 申立理由3(甲第2号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明、甲第3号証及び甲第4号証に記載の技術事項に基づいて、優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 4 申立理由4(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 ・含水率が低い微粉に対して少しの水の添加でうまく造粒できないから、特許請求の範囲の記載は、発明の課題を解決できない範囲を包含している。 5 申立理由5(実施可能要件) 本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 ・含水率が低い微粉に対して少しの水の添加でどのようにして再造粒すればいいかわからず、当業者でも実施できない。 6 証拠方法 甲第1号証 :特開2005-15787号公報 甲第2号証 :韓国公開特許第10-2017-0007094号公報 甲第3号証 :特表2005-511304号公報 甲第4号証 :特開平10-204184号公報 甲第5号証 :拒絶理由通知(発送日:令和2年7月14日)に対し、特許権者が令和2年10月8日に提出した意見書 甲第6号証 :特開2016-28117号公報 以下、甲第1号証ないし甲第6号証を、それぞれ「甲1」ないし「甲6」などという。証拠の表記は、おおむね特許異議申立書の記載に従った。 第5 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由の概要 当審が令和4年4月21日付けで特許権者に通知した取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由の概要は、次のとおりであり、申立理由2及び3と同旨である。 取消理由1(甲1に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明に基づいて、優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 取消理由2(甲2に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基づいて、優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第6 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由についての当審の判断 以下に述べるように、当審が令和4年4月21日付けで特許権者に通知した取消理由通知<決定の予告>における取消理由1及び取消理由2には理由がないと判断する。 1 証拠の記載事項等 (1)甲1の記載事項等 ア 甲1の記載事項 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 吸水性樹脂の微粉末を用いて、該微粉末よりも大きい粒子径を持つ粒状の吸水材を製造する方法であって、 前記吸水性樹脂の微粉末に、全体の平均含水率が20~60重量%の範囲内になるよう水性液を添加することにより微粉粒子を凝集させて、粒子状の吸水性樹脂含水物を得る工程(a)と、 該粒子状含水物に機械的圧縮力を与えると同時に粉砕することによって、前記吸水材の粒塊を得る工程(b)と、 を含む、吸水材の製造方法。 ・・・ 【請求項5】 前記工程(a)が、前記含水物として、前記吸水性樹脂の微粉末を撹拌下、水性液と接触させることによって、低含水率の表面層および、高含水率の中心層で構成された粒状の吸水性樹脂含水物を得る、請求項1、3、4のいずれかに記載の吸水材の製造方法。 ・・・ 【請求項7】 吸水性樹脂の微粉末と水性液とが接触した後、0.001~5分以内に、機械的圧縮力を与えると同時に粉砕することによって、前記吸水材の粒塊を得る、請求項1から6までのいずれかに記載の吸水材の製造方法。 【請求項8】 水性液添加後の粉砕前の吸水性樹脂含水物の温度が40~100℃である、請求項1から7までのいずれかに記載の吸水材の製造方法。 【請求項9】 工程(b)ののちに、吸水材の粒塊をさらに乾燥する乾燥工程(c)を含む、請求項1から8までのいずれかに記載の吸水材の製造方法。」 (イ)「【背景技術】 【0002】 微粉末状の吸水性樹脂は、吸水性樹脂の製造過程で発生する。例えば、ブロック状あるいはシート状の吸水性樹脂を粉砕して吸水性樹脂製品を製造する際に、所望の粒径範囲よりも細かくなった粒子が発生する。その他にも、吸水性樹脂製品の製造過程において、粒子同士あるいは装置との衝突などで、製品として不適当な微粉末が発生することがある。また、逆相縣濁重合では重合時に所定粒径以下の微粉末が副生してくる。 このような吸水性樹脂の微粉末を回収して再利用する技術に造粒による技術が提案されている。一般的に、造粒時における吸水性樹脂のバインダとしては、効率や安全性、製造コスト等の面から、水ないし水性液が好適である。そこで、上述した方法においても、微粉末に、バインダ的役割を果たす水性液を添加する方法が殆どである。 【0003】 しかしながら、吸水性樹脂、特に、微粉末状の吸水性樹脂は、その表面積が大きいため、吸収速度が速く、水性液を均一に添加することは困難である。また、水性液の混合助剤としての不溶性無機粉末等の使用は、一般に、コストの問題のみならず、粉塵の発生、造粒強度や諸物性を低下させるという問題点を有している。 ・・・ 【0006】 逆に、処理効率を上げるために、吸水性樹脂含水物の含水率を50重量%以上、好ましくは60重量%以上に高めておく場合は、その含水物の表面粘着性は低下する。しかし、表面の粘着力が小さくなることは、微粉同士の結合が弱くなることを意味する。即ち、形成された吸水性樹脂含水物の保形性や強度の低下を引き起こすため、返って取扱いが難しくなる。 しかも、最終的な吸水性樹脂製品は乾燥状態で供給することが多いので、含有する水分は除去しなければならず、高含水状態で得られた吸水性樹脂含水物は、水分を除去するのに多大な手間と時間がかかる。即ち、加熱乾燥に必要なエネルギーコストが増えてしまうため、当初の目的である効率の良い製造方法の確立からは考え難い方法であり、また、長時間の乾燥は吸水性樹脂の熱劣化を引き起こす場合もあった。そこで、特に乾燥を簡略化するために、水の使用量を低減させて、含水率数重量%~10数重量%で微粉を造粒する手法も提案されているが、含水率が低い場合、造粒強度が非常に弱いという問題を有していた。 【0007】 さらに、得られた吸水性樹脂含水物を十分に乾燥させて、表面の粘着性を無くしてから、細断や粉砕等の作業を行うことも考えられる。しかし、微粉末の造粒強度(微粉同士の結合力)によっては、完全に乾燥してからでは、細断や粉砕の際に、新たに微粉が発生し易くなってしまう。 本発明の課題は、吸水性樹脂の微粉末を実使用に好適な粒径の吸水材とするために、処理装置などへの付着の問題を起こさず、安価に造粒強度が高くかつ品質性能に優れた吸水材を効率良く得られるようにすることである。」 (ウ)「【0010】 なお、水性液体は、水を含めば特に制限はなく、有機溶媒を含んでいてもよいし、無溶媒であってもよいし、溶質を含んでいてもよいが、好ましくは、尿、特に人尿である。 上記吸水性樹脂は、単量体から重合して新規に製造されたものであってもよいし、使用済みの吸水性樹脂製品を再生する際に発生する微粉末であってもよい。吸水性樹脂を粉砕して粉体にしたあと、通常の篩(フルイ)装置で分級することによって、所定の粒径を有する微粉を得ることができる。篩で分級される吸水性樹脂には、後述する表面架橋の施された樹脂を用いたり、表面架橋を行う前の吸水性樹脂を用いたりすることができる。 微粉の粒径は、吸水材の使用目的や要求性能によっても変更可能である。通常、粒径300μm未満の微粉が使用され、重量平均粒子径150~10μm、さらには130~20μm、特に120~40μmが好ましい。微粉の形状は、製造方法や製造後の履歴などによって異なり、例えば、一般的な球状のほか、球状の一部に凹凸や歪みがあるもの、不定形破砕状や鱗片状をなすもの、繊維状のものなどがある。 【0011】 〔吸水性樹脂含水物(方法1、方法2)〕 吸水性樹脂含水物は、吸水性樹脂の微粉に水分を含有させた状態で集積させて所定の形態で一体化させたものである。本発明において、吸水性樹脂含水物の含水率は必須に20~60重量%の範囲であり、その形状は粒子状(方法1)またはシート状(方法2)である。 該吸水性樹脂含水物は、シート状含水物(方法2)の場合、表面側よりも中心側の含水率が低くてもよく、表面側よりも中心側の含水率が高くてもよい。表面側から中心側へと連続的に含水率が低くなってもよいし、段階的に含水率が低くなっていてもよい。表面側から中心側へと連続的に含水率が高くなってもよいし、段階的に含水率が高くなっていてもよい。また、粒状含水物の場合、含水率は均一であってもよいが、好ましくは、前述シート状含水物と同様、含水率の勾配を有する。即ち、特にシート状含水物の場合、該吸水性樹脂含水物の表面と内部で異なった含水率を有していることが必要であり、また、粒子状含水物(方法1)でも、一つの粒子内で異なった含水率を有することが好ましい。」 (エ)「【0012】 吸水性樹脂の微粉は、水を全く添加せずにまたは少量添加するだけで、単に集積させただけでは一体化せず、十分な保形性は示さない。特定量の水を含ませることで、微粉同士が結合して一体化する。したがって、含水率が最も低い中心部部分でも、一体化させるのに最低限必要な量以上の水を含有させておくことが望ましい。含水率が高くなるほど、即ち、含水率が50重量%、好ましくは60重量%を超えると、表面の粘着性や付着性が少なくなる。但し、含水率が高くなり過ぎると、最終的に含有水を除去する作業に手間がかかるとともに、微粉同士の結合力が低下し、含水物の保形性や一体性も低下する。 該吸水性樹脂含水物のうち、高含水部分の含水率を50~99重量%に設定することができる。好ましくは60~99重量%である。低含水部分の含水率を1~50重量%未満に設定することができる。好ましくは1~40重量%である。」 (オ)「【0014】 含水物に供給する水(水性液)には、微粉同士の結合力を増す結合剤を配合しておくことができる。結合剤としては、架橋剤や無機微粒子が挙げられる。 用いられる架橋剤としては、吸水性樹脂の持つ官能基(例えば、カルボキシル基)と反応しうる官能基を2個以上有する架橋剤が用いられ、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールなど)、ポリグリシジル化合物(例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルなど)、アルキレンカーボネート(例えば、エチレンカーボネートなど)、多価アミン化合物(例えば、エチレンジアミンなど)、多価イソシアネート、ポリアジリジン化合物などが挙げられる。」 (カ)「【0023】 逆ママコ状吸水性樹脂含水物の作成には、吸水性樹脂微粉末と供給水性液とを高速で、短時間撹拌混合する必要があり、その混合時間は、1分以内、好ましくは30秒以内で行うことが望ましい。 混合時間が長い場合には、微粉末が水性液を吸収後、吸水性樹脂含水物の含水率が造粒粒子内部で均一になってしまい、混合装置内で、該吸水性樹脂含水物が付着し、大きな塊状物となって混合が不可能になる。 このような瞬間的な混合が可能な装置であれば、特に限定されないが、容器固定型混合機、中でも、機械撹拌型混合機が好ましい。該混合機としては、例えば、スーパーターボ(日清社製)、タービュライザー(ホソカワミクロン社製)、レーディゲミキサー(レーディゲ社製)などが挙げられる。バッチ式混合機および連続式混合機のいずれでもよい。安定した性能が達成できる点でバッチ式混合機が好ましい場合もある。」 (キ)「【0025】 〔吸水材粒塊の作製(方法1、方法2)〕・・・工程(b) 本発明で吸水材粒塊とは、微粉と水性液よりなる吸水性樹脂含水物の細粒化粒子(造粒含水粒子)を指す。 含水物に機械的圧縮力を与えると同時に粉砕することによって、吸水材の粒塊を得る。なお、機械的圧縮は、含水物が圧縮されればよく、たとえば、圧縮時の含水物の変形や嵩比重の増大から確認できる。前記シート状ないし粒状の含水物は、表面側と中心側とで含水率勾配を有する(含水率の差が十分にある)状態で、さらに機械的圧縮力を与えると同時に粉砕して、粒状化(細粒化)を行う。粉砕される含水物は、均一な粉砕のために好ましくは、前述の加熱状態(好ましくは50~100℃)である。 ・・・ 【0027】 粒状化装置あるいは粒状化手段(機械的圧縮力を与える装置または手段)としては、基本的には、通常の粒塊状をなす吸水材の製造技術が連続式またはバッチ式で適用できる。具体的には、ミートチョッパ装置、一軸スクリュー式押出機(ドームグランなど)、二軸混練押出機、ニーダー、スリッター、ハサミやカッターによる切断、裁断装置、粉砕機などからなる群から選ばれた1種または2種以上が使用される。これら押出混練粉砕機には、通常、1軸または複数の回転軸と、その周りに複数の撹拌部材が備えられていて、これらによって、含水物が押し出される。また、これら押出混練粉砕機には、加熱や保温を行う装置(たとえば、ジャケット)を備えておくことができる。物性面からも、好ましくは、連続ニーダーやミートチョッパなどの押出混練粉砕機であり、特に好ましくはミートチョッパなど、細孔からの(連続式)押出混練粉砕機である。ミートチョッパなどでの細孔の口径は、直径で、好ましくは1~30mm、さらには3~25mmのもの(非円形状の場合は、面積から円に換算)が用いられる。なお、孔の形状は、円形、楕円形、四角形、三角形でもよいが、好ましくは円形の孔である。」 (ク)「【0049】 上記架橋重合体が水溶液重合で得られたものでゲル状である場合、すなわち含水ゲル状架橋重合体である場合、該架橋重合体は、必要に応じて乾燥し、乾燥の前および/または後で通常粉砕されて吸水性樹脂とする。また、乾燥は通常80℃~250℃、好ましくは100℃~220℃、より好ましくは120℃~200℃の温度範囲で行われる。乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、および乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう選択される。 本発明に用いることのできる吸水性樹脂の含水率(吸水性樹脂中に含まれる水分量で規定され、180℃で3時間の乾燥減量で測定される)は特に限定されないが、得られる吸水材の物性面から、好ましくは含水率が0.1~50重量%、より好ましくは0.2~30重量%、さらに好ましくは0.3~15重量%、特に好ましくは0.5~10重量%の粉末状態である。 【0050】 また本発明の製造方法に用いることのできる吸水性樹脂としては、粒子状のものを挙げることができる。吸水性樹脂の粒子は重合反応により得られた乾燥粉砕前のゲル状の重量平均粒子径が1000μmを超えるようなものも使用できるが、通常、乾燥・粉砕・分級をすることにより目的に応じた粉末粒径に調整される。 また本発明の製造方法に用いることのできる吸水性樹脂微粉末の粒径としては、重量平均粒子径が150μm~10μmの範囲が好適に用いられる。 このようにして得られた吸水性樹脂の粒子形状は、球状、破砕状、不定形状等特に限定されるものではないが、粉砕工程を経て得られた不定形破砕状のものが好ましく使用できる。」 (ケ)「【0068】 前記実施形態の装置を用いて、吸水材粒塊40を製造し、その性能を評価した。 吸水材粒塊乾燥体の粉砕については、粉砕後の重量平均粒子径が450~500μmになるように、粉砕条件を設定した。 〔参考例・・・吸水性樹脂粉末(α)の製造〕 シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38重量%、モノマーの平均分子量88.5)にポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数n=9)7.40gを溶解させて反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で、30分間除去した。続いて、反応液に10重量%過硫酸ナトリウム水溶液28.3gおよび1重量%L-アスコルビン酸水溶液2.1gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、20~95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体(1)を取り出した。 【0069】 得られた含水ゲル状架橋重合体(1)は、その径が約5mm以下に細分化されていた。この細分化された含水ゲル状架橋重合体(1)を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、WML型ロールミル(井ノ口技研製)で、0.4mmのクリアランスで粉砕し、さらに目開き850μmのJIS標準篩で分級することで、重量平均粒子径430μmでかつ150μm未満の粒子径を有する樹脂の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して12.0重量%、含水率6.0重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(α)を得た。 次いで、この吸水性樹脂粉末(α)を、目開き150μmのJIS標準篩を用いて、粒子径850~150μmの吸水性樹脂粉末(α1)および、粒子径150μm未満の吸水性樹脂粉末(α2)に分級した。吸水性樹脂粉末(α)は、無加圧下吸水倍率35.1(g/g)、可溶分量は10.1重量%であった。 【0070】 〔実施例1〕・・・粒子状の吸水性樹脂含水物経由(方法1) 参考例で得られた、粒径150μm未満の吸水性樹脂粉末(α2)500gを5Lレーディゲミキサー(M5R型レーディゲ社製)に入れ、該レーディゲミキサーの主軸(鋤状羽根)を330rpmで高速回転させながら、水330gを一気に投入した。 水を投入後、直ちに撹拌を停止し、得られた吸水性樹脂含水物を速やかに取り出した。 得られた該吸水性樹脂含水物は、表面の含水率が低く、中心部の含水率が高い、粒径10mm程度の逆ママコ状の吸水性樹脂含水物70であった。 得られた逆ママコ状吸水性樹脂含水物70の外側と内側の含水率を測定した。 【0071】 外側の含水率は39重量%、内側の含水率は70重量%であった。また、その高含水率層および低含水率層の割合は、粒子全体に対して、高含水率層(粒子状含水物の内層)が81重量%、低含水率層(粒子状含水物の表層)が19重量%であった。 また、この作業と平行して、同じく得られた逆ママコ状吸水性樹脂含水物70を、孔径6.2mmの多孔金属プレートを有したROYAL製ミートチョッパ(12VR-400K)に速やかに投入した。ミートチョッパに投入され混練粉砕された吸水性樹脂含水物70は、約70℃の温度を有しながら、ミートチョッパより排出され、均一な含水率(65重量%)を有する吸水材粒塊物(40)を得た。その時の粒径は、約5mmを有し、温度が高い為に粒子同士の接着は抑えられていた。 【0072】 得られた吸水材粒塊物(40)を目開き850μm(20メッシュ)の金網上に広げ、熱風循環式乾燥機に入れ、170℃で20分間乾燥した。吸水材粒塊乾燥体をWML型ロールミル(井ノ口技研製)で、0.4mmのクリアランスで粉砕し、更に目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級し、重量平均粒子径430μmでかつ150μm未満の粒子径を有する樹脂の割合が当該吸水材に対して10.7重量%、含水率6.0重量%の不定形破砕状の吸水材(1)を得た。上記(1)の吸水材の微粉再生率、比表面積を測定した。上記測定結果を表1に示す。 〔実施例2〕・・・含水率が異なる3層からなるシート状の吸水性樹脂含水物経由(方法2) 図1の装置を用いた。走行速度を0.58m/min(10Hz)に設定した、幅50cmの(表面をフッ素樹脂コートした)ベルトコンベアの上方に、スプレーノズル(いけうち製KB80063)により水を17.79g/minで供給し、ベルトコンベアの上面に薄い水の層を形成させた。参考例で得られた、粒径150μm未満の吸水性樹脂粉末(α2)を、アキュレートフィーダー(クマ製作所製)に投入し、該フィーダーの微粉供給量を90g/minに設定した。尚、吸水性樹脂粉末(α2)は、予め70℃に加温している。該吸水性樹脂粉末(α2)は、該フィーダーにより薄い水の層を形成させたベルトコンベア上に吸水性樹脂粉末(α2)を供給される。さらに、その積層した吸水性樹脂粉末(α2)の上方から、スプレーノズル(いけうち製KB80063)により水を17.79g/minで再び供給することにより、外側裏表両面が高含水率を有し、中心部は低含水率を有している、厚さ約2mmのシート状の吸水性樹脂含水物(24)を得た。 【0073】 得られたシート状吸水性樹脂含水物(24)を、孔径6.2mmの多孔金属プレートを有したヒラガ製ミートチョッパ(TB32型)に速やかに投入した。 ミートチョッパに投入され混練粉砕された吸水性樹脂含水物(24)は、約70℃の温度を有しながら、ミートチョッパより排出され、均一な含水率を有する吸水材粒塊物(40)を得た。その時の粒径は、約5mmを有し、温度が高い為に粒子同士の接着は抑えられていた。 得られた吸水材粒塊物(40)を目開き850μm(20メッシュ)の金網上に広げ、熱風循環式乾燥機に入れ、170℃で20分間乾燥した。吸水材粒塊乾燥体をWML型ロールミル(井ノ口技研製)で、0.4mmのクリアランスで粉砕し、更に目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級し、重量平均粒子径400μmでかつ150μm未満の粒子径を有する樹脂の割合が当該吸水材に対して12.5重量%、含水率6.8重量%の不定形破砕状の吸水材(2)を得た。上記(2)の吸水材の微粉再生率、比表面積を測定した。上記測定結果を表1に示す。」 (コ)「【0087】 【表1】 [図:0001393060000001.jpg] 」 イ 甲1に記載された発明 甲1の特許請求の範囲の請求項1、2、8並びに段落【0050】、【0068】、【0069】、【0072】及び【0073】の記載からみて、甲1には、請求項1、2を引用する請求項8の実施態様としての実施例2の吸水材(2)の製造方法として、次のとおりの発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38重量%、モノマーの平均分子量88.5)にポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数n=9)7.40gを溶解させて反応液とし、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で、30分間除去し、続いて、反応液に10重量%過硫酸ナトリウム水溶液28.3gおよび1重量%L-アスコルビン酸水溶液2.1gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始し、そして、生成したゲルを粉砕しながら、20~95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体(1)を取り出し、この細分化された含水ゲル状架橋重合体(1)を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥し、次いで、WML型ロールミル(井ノ口技研製)で、0.4mmのクリアランスで粉砕し、さらに目開き850μmのJIS標準篩で分級することで、重量平均粒子径430μmでかつ150μm未満の粒子径を有する樹脂の割合が当該吸水性樹脂粉末に対して12.0重量%、含水率6.0重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(α)を得、次いで、この吸水性樹脂粉末(α)を、目開き150μmのJIS標準篩を用いて、粒子径850~150μmの吸水性樹脂粉末(α1)および、粒子径150μm未満の吸水性樹脂粉末(α2)に分級し、走行速度を0.58m/min(10Hz)に設定した、幅50cmの(表面をフッ素樹脂コートした)ベルトコンベアの上方に、スプレーノズル(いけうち製KB80063)により水を17.79g/minで供給し、ベルトコンベアの上面に薄い水の層を形成させ、前記の吸水性樹脂粉末(α2)を70℃に加温し、アキュレートフィーダー(クマ製作所製)に投入し、該フィーダーの微粉供給量を90g/minに設定して該フィーダーにより薄い水の層を形成させたベルトコンベア上に吸水性樹脂粉末(α2)を供給され、さらに、その積層した吸水性樹脂粉末(α2)の上方から、スプレーノズル(いけうち製KB80063)により水を17.79g/minで再び供給することにより、外側裏表両面が高含水率を有し、中心部は低含水率を有している、厚さ約2mmのシート状の吸水性樹脂含水物(24)を得、得られたシート状吸水性樹脂含水物(24)を、孔径6.2mmの多孔金属プレートを有したヒラガ製ミートチョッパ(TB32型)に速やかに投入し、ミートチョッパに投入され混練粉砕された吸水性樹脂含水物(24)は、約70℃の温度を有しながら、ミートチョッパより排出され、均一な含水率を有する吸水材粒塊物(40)を得、その時の粒径は、約5mmを有し、温度が高い為に粒子同士の接着は抑えられており、得られた吸水材粒塊物(40)を目開き850μm(20メッシュ)の金網上に広げ、熱風循環式乾燥機に入れ、170℃で20分間乾燥し、吸水材粒塊乾燥体をWML型ロールミル(井ノ口技研製)で、0.4mmのクリアランスで粉砕し、更に目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級し、重量平均粒子径400μmでかつ150μm未満の粒子径を有する樹脂の割合が当該吸水材に対して12.5重量%、含水率6.8重量%の不定形破砕状の吸水材(2)を得る製造方法。」 (2)甲2の記載事項等 ア 甲2の記載事項 甲2には、以下の記載がある。なお、原文の摘記は省略し、日本語訳のみ記載する。 (ア)「請求項1 a)含水ゲル状重合体を乾燥及び粉砕して150μm未満の粒度を有する第1微粉及び150μmないし850μmの粒度を有するベース樹脂に分級する段階; b)上記第1微粉の一部、水及び添加物を混合して第1微粉再組立体を製造する段階; c)上記第1微粉再組立休をチョッパ(chopper)に通過させた後、乾燥及び粉砕する段階;及び d)上記粉砕された第1微粉再組立体を150μm末満の粒度を有する第2微粉及び150μmないし850μmの粒度を有する吸水性樹脂に分級して高吸水性樹脂を得る段階を含む高吸水性樹脂の製造方法。 請求項2 a)含水ゲル状重合体を乾燥及び粉砕して150μm未満の粒度を有する第1微粉及び150μmないし850μmの粒度を有するベース樹脂に分級する段階; b)上記第1微粉の一部と水を混合して第1微粉再組立体を製造する段階; c)上記第1微粉再組立体をチョッパに通過させた後 、乾燥及び粉砕する段階; d)上記粉砕された第1微粉再組立体を150μm末満の粒度を有する第2微粉に分級する段階; e)上記第1微粉の一部、上記第2微粉の一部、水及び添加物を混合して、第2微粉再組立体を製造する段階; f)上記第2微粉再組立体をチョッパに通過させた後、乾燥及び粉砕する段階; 及び g)上記粉砕された第2微粉再組立体を分級して、150μmないし850μmの粒度を有する高吸水性樹脂を得る段階を含む高吸水性樹脂の製造方法。 ・・・ 請求項12 請求項1または請求項2において、 上記高吸収性樹脂を表面架橋剤で表面架橋する段階をさらに含む吸水性樹脂の製造方法。」(特許請求の範囲の請求項1、2、12) (イ)「一方、本発明による高吸水性樹脂の製造方法において、単量体組成物中の水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は重合時間及び反応条件などを考慮して適切に選択して使用することができるが、望ましくは40ないし55重量%にすることができる。水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度が40重量%未満の場合、経済性面で不利であり、55重量%超過する場合、重合された含水ゲル状重合体の粉砕時粉砕効率が低く現われ得る。」(段落[0021]) (ウ)「このような単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を準備する方法もまた通常使われる重合方法なら、その構成の限定がない。具体的に、重 合方法は直合エネルギー源によって大きく熱重合及び光重合に分けられて、通常 熱璽合を進行する場合、ニーダ ( k n e a d e r ) のような撹拌軸を有した反応器で進行され得、光重合を進行する場合、移動可能なコンベヤーベルトを具備した反応器で進行されうるが、上述した重合方法は1例であり、本発明は上述した重合方法に限定されない。」(段落[0022]) (エ)「[実験例2]保水能(CRC,Centrifugal Retention Capacity) 上記実施例1ないし6及び比較例1ないし3によって製造した高吸収性樹脂それぞれに対して表面架橋反応以前と以後にそれぞれ保水能を測定した。保水能の測定はEDANA法WSP241.3を基準にした。用意された裔吸収性樹脂中粒度300ないし600μmの試料0.2gをティーバッグに入れて0.9%塩水溶液に30分間沈殿する。以後250G(gravity)の遠心力で3分間脱水した後塩水溶液が吸収された誠を測定した。」(段落[0117]、[0118]) (オ)「[実験例4]吸収速度 上記実施例1ないし6及び比較例1ないし3によって製造した高吸収性樹脂それぞれに対して吸収速度を測定した。吸収速度の測定は50ml塩水を100mlビーカーにマグネチックバーと共に入れた。撹拌機を使用して撹拌速度を60rpmで指定した。撹拌されている塩水に2.0gの高吸収性樹脂を入れると同時に時間を測定した。ビーカーの中に渦が消える時点に時間測定を終了した。」(段落[0123]、[0124]) (カ)「 [図:0001393060000002.jpg] 」(段落[0131]の表1) (キ)「 [図:0001393060000003.jpg] 」(図5) イ 甲2に記載された発明 甲2の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項12として記載されている発明として、次のとおりの発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 <甲2発明> 「a)含水ゲル状重合体を乾燥及び粉砕して150μm未満の粒度を有する第1微粉及び150μmないし850μmの粒度を有するベース樹脂に分級する段階; b)上記第1微粉の一部、水及び添加物を混合して第1微粉再組立体を製造する段階; c)上記第1微粉再組立休をチョッパ(chopper)に通過させた後、乾燥及び粉砕する段階;及び d)上記粉砕された第1微粉再組立体を150μm末満の粒度を有する第2微粉及び150μmないし850μmの粒度を有する吸水性樹脂に分級して高吸水性樹脂を得る段階、 h)上記高吸収性樹脂を表面架橋剤で表面架橋する段階、 を含む高吸水性樹脂の製造方法。」 2 取消理由1(甲1に基づく進歩性)について (1)本件特許発明2と甲1発明の対比及び検討 本件特許発明2と甲1発明を対比する。 甲1発明の「吸水性樹脂粉末(α2)」、「吸水材(2)」は、それぞれ、本件特許発明2の「微粉末」、「高吸水性樹脂」に相当する。 甲1発明の「シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38重量%、モノマーの平均分子量88.5)にポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数n=9)7.40gを溶解させて反応液とし、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で、30分間除去し、続いて、反応液に10重量%過硫酸ナトリウム水溶液28.3gおよび1重量%L-アスコルビン酸水溶液2.1gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始し、そして、生成したゲルを粉砕しながら、20~95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体(1)を取り出」す工程部分において、「アクリル酸ナトリウム」、「過硫酸ナトリウム」は、本件特許発明2における「水溶性エチレン系不飽和単量体」、「重合開始剤」に相当し、これらを含むモノマー組成物を熱重合して含水ゲル状架橋重合体(1)を得ているのは明らかであるから、前記工程部分は、本件特許発明2における「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階」に相当する。 甲1発明の含水ゲル状架橋重合体(1)(本件特許発明2の「含水ゲル状重合体」)は、乾燥、粉砕されて粒子径850~150μmの吸水性樹脂粉末(α1)および、粒子径150μm未満の吸水性樹脂粉末(α2)に分級されているから、甲1発明は、本件特許発明2の「前記含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して150μm以下の粒径を有する微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子に分級する段階」を有している。 甲1発明は、吸水性樹脂粉末(α2)をベルトコンベア上面の薄い水の層の上に供給し、さらにその上方からスプレーノズルで水を供給し、厚さ約2mmのシート状の吸水性樹脂含水物(24)を得ているから、本件特許発明2と、「前記微粉を水と混合し、」「微粉」からなる吸水性樹脂含水物「を製造する段階」を有している限りで相当する。 そして、甲1発明においても、当該吸水性樹脂含水物(24)は、ミートチョッパに投入され混練粉砕された吸水性樹脂含水物(24)は、70℃の温度を有しながら、ミートチョッパより排出され、乾燥、粉砕、分級されているから、甲1発明は、本件特許発明2の「前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含み、前記圧搾は、前記微粉再造粒体を圧搾および切断するチョッパ(chopper)で行われる」を有している。 そうすると、本件特許発明2と甲1発明との一致点及び相違点はそれぞれ次のとおりである。 <一致点> 水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階; 前記含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して150μm以下の粒径を有する微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子に分級する段階; 前記微粉を水と混合し、吸水性樹脂含水物を製造する段階;および 前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、 前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含み、 前記圧搾は、前記微粉再造粒体を圧搾および切断するチョッパ(chopper)で行われる、高吸水性樹脂の製造方法。 <相違点1-1> 微粉と水とを混合し、吸水性樹脂含水物を製造する段階に関し、本件特許発明2は、「再造粒して」と特定するとともに、微粉再造粒体製造段階において、「前記微粉と水をせん断力印加可能な混合装置で混合」と特定するのに対し、甲1発明は、「シート状」であって、混合装置については記載がない点 <相違点1-2> 水の添加量に関し、本件特許発明2は、「前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~20重量部の水を使用し」と特定するのに対し、甲1発明は、微粉供給量を90g/minに対し、水を17.79g/minで供給し、ベルトコンベアの上面に薄い水の層を形成させ、吸水性樹脂粉末(α2)を90g/minの微粉供給量で供給し、その上方から、スプレーノズル(いけうち製KB80063)により水を17.79g/minで再び供給するものである点 事案に鑑み、相違点1-2について検討する。 コンベア上では、微粉供給量を90g/minに対して、水は、(17.79+17.79)=35.58g/min供給されているから、微粉100重量部に対しては、水は、(35.58×100/90)=39.53重量部と算出され、本件特許発明2の「1~20重量部」とは相違している。 そして、本件特許発明2において、微粉100重量部に対して、水の添加量を「1~20重量部」とする動機となる記載はないし、特許異議申立人の提出したいずれの証拠にも、微粉100重両部に対して水の添加量を「1~20重量部」とすることは記載されていない。 また、当該事項が当業者において周知であったともいえない。 してみれば、甲1発明において、相違点1-2に係る本件特許発明2の発明特定事項とすることが当業者において容易に想到し得たものということはできない。 なお、特許異議申立人は、甲1発明の「吸水性樹脂粉末(α2)」(微粉末)の水を加える前の含水率を6重量%であると主張しているが、甲1には、粒子径850~150μmの吸水性樹脂粉末(α1)と粒子径150μm未満の吸水性樹脂粉末(α2)に分級する前の不定形の吸水樹脂粉末(α)の含水率が6重量%であること(段落【0069】)は記載されているが、分級後の吸水性樹脂粉末(α2)の含水率は不明であり、分級により、吸水率が変化することが明らかであることから、当該分級前の含水率から、分級後の吸水性樹脂粉末(α2)の含水率を推定することはできず、当該主張は採用できない。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は甲1発明、すなわち、甲1に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件特許発明3ないし9と甲1発明の対比及び検討 本件特許発明3ないし9は、いずれも、請求項2を直接又は間接的に引用するものであって、請求項2に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明2と同様に、甲1発明、すなわち、甲1に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものではない。 (3)小括 よって、取消理由1には理由がない。 3 取消理由2(甲2に基づく進歩性)について (1)本件特許発明2と甲2発明の対比及び検討 本件特許発明2と甲2発明を対比する。 甲2発明の「第1微粉」、「150μmないし850μmの粒度を有するベース樹脂」は、それぞれ、本件特許発明2の「微粉」、「150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子」に相当し、甲2発明においても本件特許発明2における「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階」を有することは明らかである。 甲2発明の「b)上記第1微粉の一部と水を混合して第1微粉再組立体を製造する段階」は、本件特許発明2の「前記微粉を水と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階」に相当する。 甲2発明の「c)上記第1微粉再組立休をチョッパ(chopper)に通過させた後、乾燥及び粉砕する段階;及びd)上記粉砕された第1微粉組立体を150μm末満の粒度を有する第2微粉及び150μmないし850μmの粒度を有する吸水性樹脂に分級して高吸水性樹脂を得る段階」は、本件特許発明2の「前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記圧搾は、前記微粉再造粒体を圧搾および切断するチョッパ(chopper)で行われる」に相当する。 そうすると、本件特許発明2と甲2発明との一致点及び相違点はそれぞれ次のとおりである。 <一致点> 水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含むモノマー組成物に熱重合または光重合を行って含水ゲル状重合体を製造する段階; 前記含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して150μm以下の粒径を有する微粉、および150μm超過850μm以下の粒径を有する正常粒子に分級する段階; 前記微粉を水と混合し、再造粒して、微粉再造粒体を製造する段階;および 前記微粉再造粒体を圧搾、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階を含み、 前記圧搾は、前記微粉再造粒体を圧搾および切断するチョッパ(chopper)で行われる、高吸水性樹脂の製造方法。 <相違点2-1> 微粉再造粒体製造段階に関し、本件特許発明2は、「前記微粉と水をせん断力印加可能な混合装置で混合する」と特定するのに対し、甲2発明は、この点を特定しない点。 <相違点2-2> 水の添加量に関し、本件特許発明2は、「前記微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~20重量部の水を使用し」と特定するのに対し、甲2発明は、この点を特定しない点。 <相違点2-3> 圧搾する段階に関し、本件特許発明2は、「前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する」と特定するのに対し、甲2発明は、この点を特定しない点。 事案に鑑み、相違点2-2について検討する。 相違点2-2に係る本件特許発明2の発明特定事項を開示する文献は甲1を含めて提示されておらず、当業者において、相違点2-2に係る本件特許発明2の発明特定事項が周知であったものともいえない。 そして、甲2発明の微粉に対して、相違点2-2に係る本件特許発明2の発明特定事項とする動機もない。 してみれば、甲2発明において、相違点2-2に係る本件特許発明2の発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲2発明、すなわち、甲2に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件特許発明3ないし9について 本件特許発明3ないし9は、いずれも、請求項2を直接又は間接的に引用するものであって、請求項2に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明2と同様に、甲2発明、すなわち、甲2に記載された発明及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものではない。 (3)小括 よって、取消理由2には理由がない。 第7 取消理由通知<決定の予告>に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立ての理由について 取消理由通知<決定の予告>に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立ての理由は、申立理由1、4及び5であるので、以下、検討する。 1 申立理由1(甲1に基づく新規性) 上記第6 2(2)における対比のとおり、本件特許発明2と甲1に記載された発明とを対比すると、両者は、相違点1-1及び相違点1-2の点で相違し、少なくとも相違点1-2は実質的な相違点であるから、本件特許発明2は、甲1に記載された発明でない。 本件特許発明3ないし9についても同様である。 よって、申立理由1は、理由がない。 2 申立理由4(サポート要件) 本件特許発明の課題は、「微粉再造粒時に水の使用量を減らして工程上利点を有することができると共に、減少された再微粉発生量を示し、優れた物性を有する微粉再造粒体の製造を可能にする高吸水性樹脂の製造方法を提供する」(【0010】)ことである。そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明を見るに、「本発明者の継続的な実験結果、微粉再造粒時の水使用量を相対的に減らしながらも、このような微粉再造粒後に特定条件下の圧搾工程、例えば、40~105℃、或いは40~90℃、或いは45~75℃で行う圧搾工程を適用することによって、優れた強度を示す圧搾微粉再造粒体を得ることができるのが確認された。」(【0019】)、「その結果、前記(圧搾)微粉再造粒体およびこれを用いた高吸水性樹脂の製造過程で、再微粉発生量を少なくとも増加された水使用量を適用した場合と同様に減らすことができる。また、水使用量を減らしながらも、優れた物性、例えば、高い吸水速度および優れた吸水能を示す高吸水性樹脂を製造することができる。これに加えて、前記水使用量の減少によって、微粉再造粒後乾燥時に必要なエネルギーを低減することができ、工程の費用を減少させ、最小限の乾燥工程で装置の負荷を減らすことができる。」(【0020】、【0021】)との記載があり、具体的に記載された実施例及び比較例において、微粉再造粒時の水の使用量が微粉100重量部に対して1~20重量部の範囲で利用し、40~105℃の圧搾行程を行った実施例は、この条件を満足しない比較例に比べて再微粉率が低く、優れた吸水能と優れた吸水速度を示すことを確認されている。 これらの記載に接した当業者であれば、「微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~20重量部の水を使用し、前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含」む製造方法により製造された吸水性樹脂は、微粉再造粒時に水の使用量を減らして工程上利点を有することができると共に、減少された再微粉発生量を示し、優れた物性を有する微粉再造粒体の製造を可能にする高吸水性樹脂となるものと理解することができる。 そして、本件特許発明2ないし9は、「微粉再造粒体段階では、前記微粉の100重量部に対して1~20重量部の水を使用し、前記圧搾微粉再造粒体製造段階は、前記微粉再造粒体を40~105℃の温度で圧搾する段階を含」む製造方法をさらに限定したものであるから、本件特許発明の課題を解決するものと認識できる。 なお、特許異議申立人は、含水率が低い微粉に対して少しの水の添加ではうまく造粒できないから、特許請求の範囲の記載は、発明の課題を解決できない範囲を包含している旨主張しているが、当業者は、少量の水では造粒できないとの技術常識があり、含水量が少ない微粉であれば、1~20重量部の水として、多めの水が想定されていると理解できるから、特許異議申立人の主張は失当であって採用できない。 よって、申立理由4は理由がない。 3 申立理由5(実施可能要件) 本件特許発明2ないし9に関し、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、含水ゲル状重合体を製造する段階について(【0027】~【0051】)、分級する段階について(【0057】~【0063】、微粉再造粒体を製造する段階について(【0064】~【0068】)、圧搾微粉再造粒体を製造する段階について(【0069】~【0072】)詳細に記載されており、さらには、実施例の具体的な記載もある。 してみれば、本件特許の明細書には、本件特許発明2ないし9について当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものといえる。 なお、特許異議申立人は、含水率が低い微粉に対して少しの水の添加でどのようにして再造粒すればいいかわからず、当業者でも実施できないと主張をするが、当業者は、少量の水では微粉から造粒できないとの技術常識があり、含水量が少ない微粉であれば、1~20重量部の水として、多めの水を利用すると理解できるから、特許異議申立人の主張は失当であって採用できない。 よって、申立理由5は理由がない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項2ないし9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項2ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許の請求項1に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項1に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700688

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