特許異議申立
2022-700923
高吸水性樹脂の製造方法、および高吸水性樹脂
- 審判番号
- 2022-700923
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-542558
- 登録番号
- 7039108
- 請求日
- 2022年09月22日
- 審決日
- 2023年09月01日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】エルジー・ケム・リミテッド
- 【権利者代理人】実広 信哉
- 【権利者代理人】渡部 崇
- 【異議申立人】株式会社 日本触媒
- 【異議申立人代理人】IBC一番町弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 植前 充司
- 審判官 磯貝 香苗
- 審判官 淺野 美奈
- 分類
- P1651.113-YAA(C08J) / P1651.121-YAA(C08J) / P1651.536-YAA(C08J) / P1651.537-YAA(C08J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号特許法113条4号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第113条第4号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7039108号発明「高吸水性樹脂の製造方法、および高吸水性樹脂」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7039108号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕、〔8ないし12〕について訂正することを認める。
特許第7039108号の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を維持する。
特許第7039108号の請求項2及び9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7039108号(以下、この通知において「本件特許」という。)の請求項1ないし12に係る特許についての出願は、
2019年(令和元年)11月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年12月11日 韓国、2019年11月25日 韓国)を国際出願日とする出願であって、
令和 4年 3月11日にその特許権の設定登録(請求項の数12)がされ、
令和 4年 3月22日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、当該特許に対して、
令和 4年 9月22日に特許異議申立人 株式会社日本触媒(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議申立て(対象請求項:全請求項)がされ、
令和 5年 1月 5日付けで取消理由が通知され、
令和 5年 3月27日に特許権者(エルジー・ケム・リミテッド)より訂正請求がなされるとともに意見書が提出され、
令和 5年 4月27日付けで特許法第120条の5第5項の規定に基づき特許異議申立人に対し訂正請求があった旨の通知がなされ、
令和 5年 6月 6日に特許異議申立人より意見書が提出されたものである。
第2 本件訂正について
1 訂正の内容
令和 5年 3月27日にされた訂正請求における訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む、高吸水性樹脂の製造方法」と記載されているのを、
「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含み、前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂の製造方法」に訂正する。
併せて、請求項1を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。」と記載されているのを、
「請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。」に訂正する。
併せて、請求項3を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても、請求項3を訂正したことに伴う訂正をする。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、
「請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法」と記載されているのを、
「請求項1または3に記載の高吸水性樹脂の製造方法」に訂正する。
併せて、請求項4を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても、請求項4を訂正したことに伴う訂正をする。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1から4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法」と記載されているのを、
「請求項1、3および4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法」に訂正する。
併せて、請求項5を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても、請求項5を訂正したことに伴う訂正をする。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に
「請求項1から5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法」と記載されているのを、
「請求項1および3から5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法」に訂正する。
併せて、請求項6を引用して特定する請求項7についても、請求項6を訂正したことに伴う訂正をする。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に
「前記繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入している、高吸水性樹脂」と記載されているのを、
「前記繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しており、前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂」に訂正する。
併せて、請求項8を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても、請求項8を訂正したことに伴う訂正をする。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に、
「請求項8または9に記載の高吸水性樹脂」と記載されているのを、
「請求項8に記載の高吸水性樹脂」に訂正する。
併せて、請求項10を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても、請求項10を訂正したことに伴う訂正をする。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項11に、
「請求項8から10のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂」と記載されているのを、
「請求項8または10に記載の高吸水性樹脂」に訂正する。
併せて、請求項11を引用して特定する請求項12についても、請求項11を訂正したことに伴う訂正をする。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12に、
「請求項8から11のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂」と記載されているのを、
「請求項8、10および11のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂」に訂正する。
(12)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし7に対応する訂正後の請求項1ないし7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、訂正前の8ないし12について、請求項9ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項7により記載が訂正される請求項8に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項8ないし12に対応する訂正後の請求項8ないし12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の目的、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内か否か、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)請求項1の訂正について
訂正事項1による請求項1についての訂正は、訂正前の請求項1において、微粉分散体中の繊維の含有量を、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項1による請求項1についての訂正は、訂正前の請求項2に記載された事項であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求項1を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても同様である。
(2)請求項2の訂正について
訂正事項2による請求項2についての訂正は、請求項の削除に係るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項2による請求項2についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)請求項3ないし6についての訂正について
訂正事項3ないし6による請求項3ないし6についての訂正は、訂正前の請求項3ないし6が訂正前の請求項2を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2を削除したことに伴い、請求項2を引用しないように変更するものであって、特許法第120の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項3ないし6による請求項3ないし6についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求項3ないし6を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても同様である。
(4)請求項8についての訂正について
訂正事項7による請求項8についての訂正は、訂正前の請求項8において、微粉再造粒体中の繊維の含有量を、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項7による請求項8についての訂正は、訂正前の請求項9に記載された事項であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求項8を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても同様である。
(5)請求項9についての訂正について
訂正事項8による請求項9についての訂正は、請求項の削除に係るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項8による請求項9についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(6)請求項10ないし12についての訂正について
訂正事項9ないし11による請求項10ないし12についての訂正は、訂正前の請求項10ないし12が訂正前の請求項9を引用する記載であったものを、訂正前の請求項9を削除したことに伴い、請求項9を引用しないように変更するものであって、特許法第120の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項9ないし11による請求項10ないし12についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求項10ないし11を直接又は間接的に引用して特定する他の請求項についても同様である。
3 むすび
以上のとおり、訂正事項1ないし11による請求項1ないし12についての訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書き第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものである。
また、訂正事項1ないし11による請求項1ないし12についての訂正は、いずれも特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5及び6項の規定に適合する。
さらに、特許異議の申立は、訂正前の請求項1ないし12に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕、〔8ないし12〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明12」という。また、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明12」をまとめて、「本件特許発明」という場合がある。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】
水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;
前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級して、150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階;
フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、前記微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および
前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階を含み、
前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含み、
前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記繊維の長さは1~20mmである、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記繊維の幅は1~100μmである、請求項1または3に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記合成高分子繊維は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、およびアセテートからなる群から選択される1種以上である、請求項1、3および4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記微粉再造粒体を乾燥、粉砕および分級する段階をさらに含む、請求項1および3から5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記粉砕および分級した微粉再造粒体を表面架橋する段階をさらに含む、請求項6に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち、粒径が150μm未満の微粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体粒子を含む、高吸水性樹脂であって、
前記繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しており、
前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
EDANA法WSP 241.3により測定した遠心分離保水能(CRC)が30~45g/gである、請求項8に記載の高吸水性樹脂。
【請求項11】
EDANA法WSP 242.3により測定した0.3psiの加圧吸水能(AUL)が25~40g/gである、請求項8または10に記載の高吸水性樹脂。
【請求項12】
吸水速度(vortex time)が60秒以下である、請求項8、10および11のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂。
第4 特許異議申立書に記載した申立理由の概要
1 特許異議申立人が提出した特許異議申立書に記載した申立理由の概要
令和 4年 9月22日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した特許異議申立理由の概要は次のとおりである。
(1)申立理由1-1(甲第4号証に基づく新規性)
本件特許の請求項8ないし10、12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項8ないし10、12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)申立理由1-2(甲第5号証に基づく新規性)
本件特許の請求項8ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項8ないし9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(3)申立理由2-1(甲第1号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(4)申立理由2-2(甲第2号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(5)申立理由2-3(甲第3号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(6)申立理由2-4(甲第4号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項8ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項8ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(7)申立理由2-5(甲第5号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(8)申立理由2-6(甲第6号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(9)申立理由2-7(甲第7号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(10)申立理由2-8(甲第8号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第8号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(11)申立理由2-9(甲第9号証に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第9号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(12)申立理由3(実施可能要件)
本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(13)申立理由4(サポート要件)
本件特許発明1ないし12は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
申立理由3及び申立理由4の概略は次のとおりである。
ア 課題を解決した実施例の有無について
本件特許明細書の段落【0007】の記載によれば、本件特許発明における課題は以下のとおりである。
「【0007】本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、吸水速度に優れながらも、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招かない微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。」
一方、本件特許明細書【0126】〔表1〕を見ると、比較例1に対して実施例1は吸水速度が向上しているものの、加圧吸水能の低下を招いており、実施例2~9は、吸水速度は比較例1よりも速いが、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招いている。よって、「吸水速度に優れながらも、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招かない微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂およびその製造方法を提供する」ことができておらず本件特許発明1ないし12は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えている。
イ 微粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体について
本件特許発明8ないし12で特定される高吸水性樹脂は、粒径が150μm未満の微粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体粒子を含む」ことを構成としている。
しかしながら、本件特許明細書の実施例に開示される具体的な製造方法では、微粉に水を添加して微粉再造粒体を製造すると、原料としての微粉は微粉という性状を維持することができず、多孔質の連続体のような構造が出来上がるから、各粒子はその性状を留めず多孔質の連続体となったものに繊維が含まれて構成されることになり、そのようなものしか本願実施例では得られていない。
よって、「粒径が150μm未満の微粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体粒子」は本件特許明細書に開示された範囲を超えるものである。
ウ 遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUP)について
遠心分離保水能(CRC)は、本件特許明細書【0116】~【0118】に、加圧吸水能(AUL)は、本件特許明細書【0119】~【0123】に記載の方法が参照される。
本件特許発明では♯40―50(目開き425―300μm想到)の篩で分級された特定の粒度のものに対して遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(AUL)が測定されるが、#40の篩上に残るものばかりであったり、♯50の篩を通過するものばかりであれば、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(AUL)は測定不能である。
よって、本件特許発明10、11は本件特許明細書に開示された範囲を超えるものである。
(14)申立理由5(サポート要件)
本件特許発明1ないし12は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
申立理由5の概略は次のとおりである。
ア 高吸水性樹種中での微粉再造粒体の含有量について
本件特許発明8の「微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂」において、高吸水性樹脂中の微粉再造粒体の含有量は特定されていない。
本件特許明細書の実施例1では、高吸水性樹脂を製造するための原料として微粉再造粒体は25重量部混合されており主成分ではない。この微粉再造粒体を原料(又は原料の一部)とせず、ミートチョッパーで粉砕した含水ゲル状重合体のみを原料とする比較例1では、遠心保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUL)が最も優れている。そうすると、遠心保水能(CRC)、加圧吸水能(AUL)等の物性に大きく影響を与える、実施例における主成分の構成(含水ゲル状重合体)が規定されていない本件特許発明1ないし12によって、遠心保水能(CRC)や加圧吸水能(AUL)等の物性低下を招かないとの課題を解決できるとは認識できない。
イ 微粉再造粒体を高吸水性樹脂に含ませる段階について
本件特許発明1ないし7においては、微粉再造粒体を製造するところまでは規定されているが、そこで製造した微粉再造粒体をどうするのか規定はなく、微粉再造粒体を高吸水性樹脂に含ませる段階について規定されていない。微粉再造粒体を原料としたものを高吸水性樹脂に含ませる段階を規定していない本件特許発明1ないし7は、吸水速度に優れながらも、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招かない微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂を提供するとの課題が解決できることを当業者が認識できる様に記載された範囲を超えている。
ウ 高吸水性樹脂の原料としての含水ゲル状重合体と微粉再造粒体との割合について
本件特許明細書の実施例1~9及び比較例2と、比較例1、3とを対比すると、微粉再造粒体を高吸水性樹脂の原料の一部(実施例では25重量%)とすることにいよって、吸水速度に優れる高吸水性樹脂を提供しようとしている。このことから、微粉再造粒体だけではなく、ミートチョッパーで粉砕した含水ゲル状重合体も、ある程度の量(実施例では75重量%)含有させることが課題解決のために必須の構成である。
エ 微粉分散体中の繊維の量について
本件特許発明1、3ないし8、10ないし12においては、微粉分散体中の繊維の含有量は特定されていない。本件特許明細書の比較例2においては、微粉100重量部に対して繊維を20重量部使用した結果、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招いている。本件特許明細書では繊維を1~10重量部添加した場合しか効果を確認できておらず、それ以外の量で効果を示すとはいえない。
オ 微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂における微粉再造粒体及び繊維の量について
本件特許発明1、8においては、微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂中の微粉再造粒体と繊維の量が規定されていない。前記ア のとおり、高吸水性樹脂素中での微粉再造粒体と繊維の量は保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性において重要な要素である。
カ 繊維長、繊維幅、微粉再造粒体の粒径の規定の欠如について
本件特許発明の課題の解決において、本件特許発明1、8では「繊維長」「繊維幅」が規定されていないが、本件特許明細書【0074】には所定の繊維長と繊維幅が必要なことが記載され、本件特許明細書の実施例においては、繊維長3~8mm、繊維幅10~50μmが開示されている。本件特許発明においては、微粉再造粒体の粒径も特定されていないが、微粉再造粒体の粒径に比して繊維長が短ければ、微細再造粒体の内部に繊維が全て取り込まれてしまい、微粉再造粒体の粒子内部を貫通した構成をとることができない。
よって、本件特許明細書【0074】の繊維の長さが短すぎるか、または幅が狭すぎると微粉再造粒体の吸水速度向上効果を確保できないこと、及び実施例1~9(繊維長3~8mm/繊維幅10~50μm、微細再造粒体の乾燥、粉砕物を150~850μmに分級)の記載により、繊維長、繊維幅、及び、微粉再造粒体の粒径が規定されていない本件特許発明1ないし12はサポート要件を満たさない。
キ 本件特許発明10ないし12について
本件特許発明10ないし12は、発明の目的、解決しようとする課題のみを構成として請求項に記載したものであり、当該課題を達成し、課題を解決する手段が請求項中に記載されていないから、本件特許発明10ないし12はサポート要件を満たさない。
(15)申立理由6(明確性)
本件特許の請求項4、8ないし12に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
申立理由6の概略は次のとおりである。
ア 本件特許発明10、11のCRC、AULについて
本件特許発明10、11の遠心保水能(CRC)、加圧吸水能(AUL)は高吸水樹脂における40~50メッシュで測定されるものである。他方、本件特許発明10、11では高吸水性樹脂の粒度分布は特定されておらず、40~50メッシュの粒度区分を全く含まない高吸水性樹脂を包含する。高吸水性樹脂のAULなどの諸物性は粒度区分で異なることが技術常識であるから、高吸水性樹脂の粒度を規定しない本件特許発明10、11は明瞭でない。
イ 本件特許発明8ないし12の粒径が150μm未満の微粉について
前記(12)イ において記載したように、含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕、分級して得た微粉と水と繊維とを混合した微粉造粒体は、多孔質の連続体の形態になってしまうため、粒子(粒)が存在せず、そのため、微粉の「粒径が150μm未満」という数値限定が何を意味しているのか分からない。
ウ 本件特許発明8ないし12の微粉の粒径の測定方法について
前記イ にて記載したとおり、含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕、分級して得た微粉と水と繊維とを混合した微粉造粒体は、多孔質の連続体の形態となって粒子が存在せず、粒径という概念がないため、多孔質の連続体のどこをどのように測定して150μm未満と判断するのか不明である。
エ 本件特許発明4の「繊維の幅」について
本件特許明細書には、「繊維長さ」についての記載はあるが、「繊維の幅」の測定方法については記載がない。繊維の幅は1本の繊維であっても長軸方向の全ての箇所においてその幅は均一ではないから、1本の繊維におけるどの箇所を選択して幅を特定するのか不明である。
(16)証拠方法
甲第1号証:特表2006-528708号公報
甲第2号証:特開2013-34942号公報
甲第3号証:特許第3970818号
甲第4号証:特開2006-63508号公報
甲第5号証:特開昭59-86657号公報
甲第6号証:特開2008-18328号公報
甲第7号証:特開平10-204184号公報
甲第8号証:特開昭63-63723号公報
甲第9号証:韓国公開特許第10-2017-0106154号公報
甲第10号証:特開昭61-62463号公報
甲第11号証:特開平6-245958号公報
甲第12号証:韓国公開特許第10-2017-0052480号公報
甲第13号証:特開2012-24683号公報
甲第14号証:化学大辞典(第1版 第7刷) 株式会社東京化学同人(発行日:平成17年(2005)年7月1日)
甲第15号証:特開平10-45812号公報
甲第16号証:Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998)(Fredric L. Buchholz(Editor), Andrew T. Graham(Editor))、p151-152、p215
甲第17号証:特表平6-507564号公報
なお、証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。
以下、順に「甲1」のようにいう。
第5 取消理由の概要
当審から特許権者に対して令和 5年1月 5日付けで通知した取消理由の概要は次のとおりである。
取消理由1(サポート要件)
本件特許の請求項1、3~8、10~12に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
本件特許明細書の【0007】の記載から、本件特許発明の課題は「吸水速度に優れながらも、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招かない微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂及びその製造方法を提供すること」であり、その課題解決手段として本件特許明細書【0008】には「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級して150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階;フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上の繊維と、前記微粉および水を混合して微粉水溶液を製造する段階;および前記微粉水溶液を攪拌した微粉再造粒体を製造する段階を含む高吸水性樹脂の製造方法」を採用することが記載されている(なお、請求項1の記載では、「微粉水溶液」は「微粉分散体」となっている。)。
しかしながら、本件特許明細書の実施例1~9及び比較例1~3について検討すると、微粉再造粒体を製造した比較例2(請求項1、3~8、10~12については構成要件を満たす実験例)では、吸水速度については良好な結果を得ている一方で、遠心分離保水能力(CRC)及び加圧吸水能(AUL)については、実施例1~9の遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUL)には及ばない数値となっているだけでなく、微粉再造粒体製造時に繊維を配合しない比較例1よりも劣る結果となっている。これらの結果から、微粉再造粒時に配合する繊維の量が20重量部を超えると、吸水速度には優れるが、遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUL)が劣化することが理解され、その劣化の程度としては、微粉再造粒時に繊維を全く配合しないものよりも遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUL)が悪くなることも理解される。
そうすると、繊維含有量の特定がない本件特許発明1、3~8、10~12は「吸水速度に優れながらも、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招かない」という課題を解決し得ない範囲を包含している。
してみると、本件特許の請求項1、3~8、10~12に係る発明は、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明の記載を請求項1、3~8、10~12に係る発明の範囲にまで、拡張ないし一般化することができない。
したがって、本件特許の請求項1、3~8、10~12に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。
第6 取消理由についての当審の判断
上記第3のとおり、取消理由の対象となる請求項1、3~8、10~12は、本件訂正により、
請求項1、3~7については、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」、
請求項8、10~12については、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」、と特定された。
したがって、取消理由1は理由がない。
第7 取消理由において採用しなかった申立理由についての当審の判断
第5 取消理由における取消理由1(サポート要件)は、第4 特許異議申立書に記載した申立理由の概要の申立理由4 ア である。
以下に記載するように、それ以外の特許異議申立人の申立理由はいずれもその理由がないと判断する。
以下、順に検討する。
1 申立理由2-1(甲1に基づく進歩性)
(1) 甲1に記載された発明
甲1の【請求項1】、【請求項8】~【請求項10】、【0013】、【0017】、【0042】~【0043】、【0048】、【0052】、【0061】、【0074】、【0077】、【0091】~【0092】、【0097】、【0106】、【0120】~【0123】〔表1〕から甲1には次の発明が記載されている。
<甲1発明A>
「300gのアクリル酸を2分し、一方を429.1gの蒸留水に添加し、トリアリルアミン0.36g、アリルオキシエチレングリコールアクリル酸エステル1.05g、メトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート12gを他方のアクリル酸に溶解し、該混合物を水に添加し、溶液を10℃に冷却し、次に、233.1gの50%水酸化ナトリウムを温度が30℃を超えないように冷却しながら徐々に添加し、次に、溶液を20℃の窒素でフラッシュし、さらに冷却し、開始温度である4℃に達した時に、炭酸ナトリウム0.9gと開始剤溶液(蒸留水10gに溶解した2,2’-アゾビス-アミノジプロパン-ジヒドロクロリド0.1g、蒸留水10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.15g、蒸留水1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.1g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.01g)を添加し、最終温度に達した後、得られたゲルを粉砕し、150℃で90分間乾燥し、該乾燥物を粗く粉末化し、粉砕し、下記表1のデータに従ってふるい分けし、その後、Huttlin社(BWI Huttlin、Daimlerstrase 7、D-79585 シュタイネン)の流動床コーター「Unilab-5-TJ」内で、下記表1に示す粒子分布を有する超吸収体微粒子を得、該超吸収体粒子1,600gに、水酸化ナトリウムで50モル%が中和された未架橋ポリアクリル酸(Mw:約100,000g/モル)の20%溶液(架橋剤としての2%のポリグリコール300を含む)400gを20分間にわたって吹き付け、供給温度は50℃、生成系温度は30~35℃として、1,698gの最終生産物を得、該生成物を190℃で10分間循環空気内で保持する工程を有するポリマー微粒子の製造方法。
【表1】はつぎのとおり。
[図:0001404763000001.jpg]
」
<甲1発明B>
「甲1発明Aにより製造されたポリマー微粒子。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲1発明Aとを対比する。
甲1発明Aの「300gのアクリル酸」、「2,2’-アゾビス-アミノジプロパン-ジヒドロクロリド0.1g」及び「ペルオキシ二硫酸ナトリウム0.15g」は、本件特許発明1の「水溶性エチレン系不飽和単量体」、「重合開始剤」に相当する。
甲1発明Aの「300gのアクリル酸を2分し」「トリアリルアミン0.36g、アリルオキシエチレングリコールアクリル酸エステル1.05g、メトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート12gを他方のアクリル酸に溶解し、該混合物を水に添加し」「次に、233.1gの50%水酸化ナトリウムを温度が30℃を超えないように冷却しながら徐々に添加し、次に、溶液を20℃の窒素でフラッシュし、さらに冷却し、開始温度である4℃に達した時に、炭酸ナトリウム0.9gと開始剤溶液(蒸留水10gに溶解した2,2’-アゾビス-アミノジプロパン-ジヒドロクロリド0.1g、蒸留水10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.15g、蒸留水1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.1g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.01g)を添加し」た混合液は、本件特許発明1における「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物」に相当する。
甲1発明Aの「開始温度である4℃に達した時に、炭酸ナトリウム0.9gと開始剤溶液(蒸留水10gに溶解した2,2’-アゾビス-アミノジプロパン-ジヒドロクロリド0.1g、蒸留水10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.15g、蒸留水1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.1g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.01g)を添加し、最終温度に達した後」「ゲル」を「得」る工程は、本件特許発明1における単量体組成物を「熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階」に相当する。
甲1発明Aの
「得られたゲルを粉砕し、150℃で90分間乾燥」する工程は、本件特許発明1の「前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕」する工程に相当する。
甲1発明Aの「下記表1のデータに従ってふるい分け」する工程は、表1のデータによると、850μm~、600~850μm、300~600μm、150~300μm、~150μmに分けられることが示されているから、本件特許発明1の「分級」に相当する。
甲1発明Aの「下記表1に示す粒子分布を有する超吸収体微粒子を得、該超吸収体粒子1,600gに、水酸化ナトリウムで50モル%が中和された未架橋ポリアクリル酸(Mw:約100,000g/モル)の20%溶液(架橋剤としての2%のポリグリコール300を含む)400gを20分間にわたって吹き付け、供給温度は50℃、生成系温度は30~35℃として、1,698gの最終生産物を得、該生成物を190℃で10分間循環空気内で保持する」工程は、本件特許発明1において含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級した粒子の「粉および水を混合して」「粉分散体を製造する段階」に相当している。
そして、甲1発明Aにおいては、このような「粉分散体を製造する段階」を経過した後で、表1において粒径分布が大粒径化したことが示されているから、本件特許発明1における「粉再造粒体を製造する段階」を有している。
甲1発明Aにおける「1,698gの最終生産物」は、本件特許発明1における「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合又は光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級し、分級した後の粉と水を混合して粉分散体を製造する段階;および、粉分散体から粉再造粒体を製造する段階を含む、高吸水性樹脂の製造方法。」で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1A>本件特許発明1は、分級して「150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階」を有しているのに対し、甲1発明Aは、表1の中のデータに従いふるいわけをしているが、「150μm未満の粒径を有する微粉」と「150~850μmの粒径を有する定常粒子」とに分級するとの特定を有さない点
<相違点1B>本件特許発明1は、微粉分散体を製造するに際し、「150μm未満の粒径を有する微粉」を使用しているのに対して、甲1発明Aは、そのような特定を有さない点
<相違点1C>本件特許発明1は、微粉分散体を製造するに際し、「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維」と微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲1発明Aにおいてはそのような特定を有さない点。
<相違点1D>本件特許発明1は、微粉再造粒体を製造する段階において「微粉分散体を攪拌する」のに対し、甲1発明Aは、そのような特定を有さない点。
<相違点1E>本件特許発明1は、微粉分散体は、「微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む」のに対し、甲1発明Aにおいては「超吸収体微粒子1,600gに、水酸化ナトリウムで50モル%が中和された未架橋ポリアクリル酸(Mw:約100,000g/モル)の20%溶液(架橋剤としての2%のポリグリコール300を含む)400g」で配合しており、微粉に対する水の含有量が数値範囲を満たさない点
事案に鑑み、上記相違点1Cについて検討する。
甲1【0077】には、再造粒体の製造時において配合可能な添加剤として「無機または有機粉末分離剤等の分離剤等の分離剤も好ましい。」と記載されており、「好ましい分離剤は、木粉、パルプ繊維、粉末状樹皮、セルロース粉末、パーライト等のミネラル充填材、ナイロン粉末等の・・・・」と記載されている。
ここで、甲1においては、パルプ繊維について分離剤の一種として例示的に記載されているにとどまるものであり、甲1発明Aの再造粒時において繊維を積極的に配合して凝集することについてはきっかけないし契機となる記載はない。
また、甲1において、繊維の種類としてフラッフパルプや合成高分子繊維に関する記載はなく、特許異議申立人が提出したいずれの証拠においても、再造粒時においてフラッフパルプ又は合成高分子繊維を配合する構成についての開示はない。
さらに、甲1において、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて動機となる記載はなく、特許異議申立人の提出したいずれの証拠においても、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて開示はない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にする効果を有しており、微粉100重量部に対し繊維1重量部以上~20重量部未満とすることにより、吸水速度に優れながらも、遠心保水能及び加圧吸水能の物性低下を招かない、という顕著な効果を有するものである。
したがって、甲1発明Aにおいて、相違点1Cに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
なお、特許異議申立人は、繊維としてフラッフパルプは非常にありふれたものであり、甲1発明Aにおいて、フラッフパルプを選択することは容易である旨主張するが、甲1発明A及び他の全ての証拠をみても、フラッフパルプを採用した上で、相違点1Cに係る本件特許発明1の特定事項を満たすことによる顕著な効果については、何ら示唆されるものでないから、特許異議申立人の上記主張は採用し得ない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明3ないし7は、甲1発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲1発明Bとを対比する。
甲1発明Bの「300gのアクリル酸を2分し」「トリアリルアミン0.36g、アリルオキシエチレングリコールアクリル酸エステル1.05g、メトキシポリエチレングリコール(22EO)メタクリレート12gを他方のアクリル酸に溶解し、該混合物を水に添加し」「次に、233.1gの50%水酸化ナトリウムを温度が30℃を超えないように冷却しながら徐々に添加し、次に、溶液を20℃の窒素でフラッシュし、さらに冷却し、開始温度である4℃に達した時に、炭酸ナトリウム0.9gと開始剤溶液(蒸留水10gに溶解した2,2’-アゾビス-アミノジプロパン-ジヒドロクロリド0.1g、蒸留水10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.15g、蒸留水1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.1g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.01g)を添加し、最終温度に達した後、得られたゲル」は、本件特許発明8における「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも1部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体」に相当する。
甲1発明Bにおいて「下記表1のデータに従ってふるい分け」した結果、表1のデータで~150μmの区分に42.4重量%含有されている粒子は、本件特許発明8の「粒径が150μm未満の微粉」に相当する。
甲1発明Bの「下記表1に示す粒子分布を有する超吸収体微粒子」「1,600gに、水酸化ナトリウムで50モル%が中和された未架橋ポリアクリル酸(Mw:約100,000g/モル)の20%溶液(架橋剤としての2%のポリグリコール300を含む)400gを20分間にわたって吹き付け、供給温度は50℃、生成系温度は30~35℃として」得た「1,698gの最終生産物」は、表1において粒径分布が大粒径側へシフトしているから、本件特許発明8の「凝集された」「再造粒体粒子」に相当する。
そして、甲1発明Bの「ポリマー微粒子」は、本件特許発明8の「高吸水性樹脂」に相当している。
そうすると、本件特許発明8と甲1発明Bとは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体の粒径150μm未満の微粉が凝集された再造粒体粒子を含む高吸水性樹脂」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1F>本件特許発明8は、粒径が150μm未満の微粉が凝集されて微粉再造粒体粒子を含むのに対して、甲1発明Bは、粒径が150μm未満の微粉の他に150μmを超える粒子も凝集された再造粒体粒子である点
<相違点1G>本件特許発明8は、微粉再造粒体粒子を凝集するのにフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上の繊維を凝集し、前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含との特定を有するのに対して、甲1発明Bは、そのような特定がない点
<相違点1H>本件特許発明8は、繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しているのに対して、甲1発明Bは、そのような特定がない点
事案に鑑み、上記相違点1Gについて検討する。
相違点1Gは、上記(2)相違点1Cと同旨であり、同様に判断される。
したがって、甲1発明Bにおいて、相違点1Gに係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲1発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
したがって、本件特許発明10ないし12は、甲1発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由2-1についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
したがって、取消理由2-1によって本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
2 申立理由2-2(甲2に基づく進歩性)
(1)甲2に記載された発明
甲2の【請求項1】、【請求項3】、【請求項7】、【請求項10】、【0001】、【0007】、【0028】、【0035】、【0040】~【0043】、【0049】~【0051】、【0054】~【0059】、【0068】~【0075】、【0087】~【0089】、【0092】~【0100】、【0109】~【0110】、【0114】~【0122】、【0138】〔実施例10〕、【0143】〔表1〕~【0144】には次の発明が記載されている。
<甲2発明A>
「アクリル酸215.2g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)1.78g(0.095モル%)及び1.0重量%のジエチレントリアミン5酢酸・5ナトリウム水溶液1.58gから混合溶液(I)を作成し、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液215.2g及び32℃に調温したイオン交換水209.9gを投入して、混合溶液(II)を作成し、混合溶液(I)をマグネチックスターラーで攪拌しながら、混合溶液(II)を開放系で素早く加えて混合し、単量体水溶液(1)を得、上記単量体水溶液(1)をそのまま静置させ、液温が95℃まで低下するのを待って、3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.30gを加え、溶液(1)とし、その後、当該溶液(1)を数秒間攪拌し、表面温度が100℃に加熱されたステンレス製バット型重合容器中に開放系で注ぎ、上記溶液(1)がバット型重合容器に注がれて間もなく、重合が開始し、重合終了後、4分間重合容器中で保持させ、含水ゲル状架橋重合体(1)として得、上記操作で得られた含水ゲル状架橋重合体(1)を、ミートチョッパー(ROYAL MEAT CHOPPER VR400K/飯塚工業(株);ダイス径9.5mm)を用いて解砕し、細分化された粒子状含水ゲル状架橋重合体(1)を得、続いて、上記粒子状含水ゲル状架橋重合体(1)を、目開き300μm(50メッシュ)の金網上に広げ、180℃で35分間熱風乾燥を行い、次いで、ロールミルを用いて粉砕を行い、その後、目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級し、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(A)を得、得られた吸水性樹脂粉末(A)の重量平均粒子径(D50)は340μm、粒子径150μm未満の吸水性樹脂粉末の割合は15重量%、含水率は6重量%、無加圧下吸水倍率(CRC)は32[g/g]であり、上記の操作で得られた吸水性樹脂粉末(A)について、更に目開き150μmのJIS標準篩を用いて分級し、粒子径が150μm以上850μm未満の吸水性樹脂粉末(A1)と、粒子径が150μm未満の吸水性樹脂粉末(A2)をそれぞれ得、吸水性樹脂粉末(A2)210g、結晶性セルロース(製品名セオラスTG-101/旭化成製)90gとの混合物を、0℃のウォーターバスで保温したモルタルミキサー(西日本試験機製作所製)に投入した後、当該モルタルミキサーの攪拌羽根を高速回転(60Hz/100V)させながら、90℃に加熱した熱水300gを一気に添加し、10秒間で完全に混合し、上記熱水の添加後、高速攪拌を3分間継続して、粒子径が3~10mmであるゲル状の粒子状凝集物(1)を得、続いて、得られた粒子状凝集物(1)を目開き300μm(50メッシュ)の金網上に拡げて載せ、熱風循環式乾燥機を用いて、150℃で30分間乾燥を行い、吸水性樹脂造粒物(1)を得、得られた吸水性樹脂造粒物(1)について、粉砕、分級操作を行うことで、粒子径が150μm以上850μm未満である粒子状吸水剤(1)を得る製造方法。」
<甲2発明B>
「甲2発明Aにおいて得られた粒子状吸水剤(1)。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲2発明Aとを対比する。
甲2発明Aの「アクリル酸215.2g」、「3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.30g」は、本件特許発明1の「水溶性エチレン系不飽和単量体」、「重合開始剤」に相当する。
甲2発明Aの「溶液(1)」は、「アクリル酸215.2g」を含む「単量体水溶液(1)」に「3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.30g」を加えたものであるから、本件特許発明1の「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物」に相当する。
甲2発明Aの「溶液(1)がバット型重合容器に注がれて間もなく、重合が開始し、重合終了後、4分間重合容器中で保持させ、含水ゲル状架橋重合体(1)」を「得」る工程は、本件特許発明1の「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階」に相当する。
甲2発明Aの「上記粒子状含水ゲル状架橋重合体(1)を、目開き300μm(50メッシュ)の金網上に広げ、180℃で35分間熱風乾燥を行」う工程、「次いで、ロールミルを用いて粉砕を行」う工程、「その後、目開き850μmのJIS標準篩を用いて分級し、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(A)を得、」「得られた吸水性樹脂粉末(A)について、更に目開き150μmのJIS標準篩を用いて分級し、粒子径が150μm以上850μm未満の吸水性樹脂粉末(A1)と、粒子径が150μm未満の吸水性樹脂粉末(A2)をそれぞれ得」る工程は、本件特許発明1の「前記含水ゲル状重合体を乾燥」、「粉砕」、「分級して、150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階」に相当する。
さらに、甲2発明Aの「吸水性樹脂粉末(A2)210g」「を、0℃のウォーターバスで保温したモルタルミキサー(西日本試験機製作所製)に投入した後、当該モルタルミキサーの攪拌羽根を高速回転(60Hz/100V)させながら、90℃に加熱した熱水300gを一気に添加し、10秒間で完全に混合し、上記熱水の添加後、高速攪拌を3分間継続して、粒子径が3~10mmであるゲル状の粒子状凝集物(1)を得」る工程は、本件特許発明1の「前記微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む」工程に相当する。
そして、甲2発明Aの「吸水性樹脂造粒物(1)」は、本件特許発明1の「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲2発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級して、150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階;前記微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および
前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む、高吸水性樹脂の製造方法。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点2A>本件特許発明1は、微粉分散体を製造する工程において「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維」を混合し、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲2発明Aはそのような特定はない点。
上記相違点2Aについて検討する。
甲2【0086】には、「(添加工程)上述した粒子状凝集物、吸水性樹脂造粒物や粒子状吸水剤に、消毒剤、抗菌剤、香料、各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等を添加して、種々の機能を付与させることもできる。」と記載されており、親水性短繊維について言及されてはいるが、添加可能な成分の1つとして例示的に記載されているにとどまり、甲2発明Aの微粉分散体に、繊維を積極的に配合して微粉再造粒体を形成することについてはきっかけないし契機となる記載はない。
また、甲2において、繊維の種類としてフラッフパルプや合成高分子繊維に関する記載はなく、特許異議申立人が提出したいずれの証拠においても、微粉再造粒体の形成時においてフラッフパルプ又は合成高分子繊維を配合する構成についての開示はない。
さらに、甲2において、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて動機となる記載はなく、特許異議申立人の提出したいずれの証拠においても、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについての開示はない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にする効果を有しており、微粉100重量部に対し繊維1重量部以上~20重量部未満とすることにより、吸水速度に優れながらも、遠心保水能及び加圧吸水能の物性低下を招かない、という顕著な効果を有するものである。
したがって、甲2発明Aにおいて、相違点2Aに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、本件特許発明1は、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
したがって、本件特許発明3ないし7は、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲2発明Bとを対比する。
甲2発明Bの「アクリル酸215.2g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)1.78g(0.095モル%)及び1.0重量%のジエチレントリアミン5酢酸・5ナトリウム水溶液1.58gから混合溶液(I)を作成し、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液215.2g及び32℃に調温したイオン交換水209.9gを投入して、混合溶液(II)を作成し、混合溶液(I)をマグネチックスターラーで攪拌しながら、混合溶液(II)を開放系で素早く加えて混合し、単量体水溶液(1)を得、上記単量体水溶液(1)をそのまま静置させ、液温が95℃まで低下するのを待って、3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.30gを加え、溶液(1)とし、その後、当該溶液(1)を数秒間攪拌し、表面温度が100℃に加熱されたステンレス製バット型重合容器中に開放系で注ぎ、上記溶液(1)がバット型重合容器に注がれて間もなく、重合が開始し、重合終了後、4分間重合容器中で保持させ」て得られた「含水ゲル状架橋重合体(1)」は、本件特許発明8の「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体」に相当する。
甲2発明Bの「吸水性樹脂粉末(A)について、更に目開き150μmのJIS標準篩を用いて分級し」て得た「粒子径が150μm未満の吸水性樹脂粉末(A2)」は、本件特許発明8の「粒径が150μm未満の微粉」に相当する。
甲2発明Bの「粒子状凝集物(1)」は、本件特許発明8の「凝集された微粉再造粒体粒子」に相当する。
甲2発明Bの「粒子状吸水剤(1)」は、本件特許発明8の「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明8と甲2発明Bとは
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち、粒径が150μm未満の微粉;が凝集された微粉再造粒体粒子を含む、高吸水性樹脂」で一致し、次の点で相違する。
<相違点2B>本件特許発明8は、微粉再造粒体粒子を凝集するのに「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上の繊維」を凝集し、「前記微粉造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲2発明Bはそのような特定がない点
<相違点2C>本件特許発明8は、繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しているのに対して、甲2発明Bはそのような特定がない点
事案に鑑み、相違点2Bについて検討する。
相違点2Bは、上記(2)相違点2Aと同旨であり、同様に判断される。
したがって、甲2発明Bにおいて、相違点2Bに係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲2発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
したがって、本件特許発明10ないし12は、甲2発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)申立理由2-2についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
したがって、取消理由2-2によって本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
3 申立理由2-3(甲3に基づく進歩性)
(1) 甲3に記載された発明
甲3の【請求項1】、【請求項6】、【0007】、【0026】~【0029】、【0033】、【0046】~【0047】、【0065】~【0066】、【0092】~【0096】、【0103】、【0159】〔表4〕(参考例1)には次の発明が記載されている。
<甲3発明A>
「アクリル酸ナトリウム75モル%およびアクリル酸25モル%からなる単量体成分の水溶液4400g(単量体成分の濃度37重量%)と、架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート2.72g(0.05モル%対単量体成分)とを入れ、窒素ガスを吹き込んで反応系内を窒素置換し、次いで、開始剤として過硫酸ナトリウム1.10gと亜硫酸ナトリウム1.10gとを添加し、単量体水溶液は重合の進行に伴い柔らかい含水ゲルを生成し羽根の回転により次第に細分化され、重合が始まった後、40分後に含水ゲル状重合体は約1.9mmの平均粒子径に細分化され、得られた含水ゲル状重合体を金網上で150℃の温度条件下に2時間熱風乾燥し、この乾燥物をハンマーミルを用いて粉砕し、40メッシュ(目開き425μm)の金網を通過させる事により参考用吸水性樹脂(1)を得、参考用吸水性樹脂(1)100重量部とグリセリン0.5重量部、水2重量部およびイソプロピルアルコール0.5重量部とをタビュライザー(TX-14、ホソカワミクロン株式会社製)で混合し、得られた混合物をパドルドライヤー(NPD-6W、奈良機械株式会社製)により連続的に加熱処理し、参考用吸水性樹脂(2)を得、得られた参考用吸水性樹脂(2)100重量部を200メッシュ(目開き75μm)の金網で分級し、金網上に残ったものを吸水性樹脂の一次粒子(a)、金網を通過したものを吸水性樹脂(a)と、吸水性樹脂の一次粒子(a)の平均粒子径は210μm、吸水性樹脂(a)の平均粒子径は32μmであり、当該吸水性樹脂(a)100重量部に対し、グリセリン5重量部とエポミンP-1000(重量平均分子量約7万のポリエチレンイミン、株式会社日本触媒製)の50%水溶液を10重量部とをレディゲミキサー(M5R、レディゲ社製)中で約30分間混合し、得られた混合物を球面状ダイを有する前押し出し式スクリュー型押し出し造粒機(ドームグランDG-L1、ダイ孔径=0.6mm、不二パウダル株式会社製)で押し出し造粒し、得られた造粒物を90℃の乾燥器中で約1時間加熱処理をし、吸水性樹脂の造粒粒子(a)を得、得られた造粒粒子(a)の平均粒子径は450μmであり、該造粒粒子(a)8重量部と吸水性樹脂の一次粒子(a)92重量部とをビニール袋に入れ、手で振り回すことで混合し、吸水性樹脂組成物(1)を得る、吸水性樹脂組成物(1)の製造方法。」
<甲3発明B>
「甲3発明Aの製造方法にて製造された吸水性樹脂組成物(1)。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲3発明Aとを対比する。
甲3発明Aの「アクリル酸ナトリウム75モル%およびアクリル酸25モル%からなる単量体成分」、「開始剤として過硫酸ナトリウム1.10g」は、それぞれ、本件特許発明1の「水溶性エチレン系不飽和単量体」、「重合開始剤」に相当する。
甲3発明Aの「単量体水溶液は重合の進行に伴い柔らかい含水ゲルを生成し」た工程は、本件特許発明1の「単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階」に相当する。
甲3発明Aの「得られた含水ゲル状重合体を金網上で150℃の温度条件下に2時間熱風乾燥」する工程、「この乾燥物をハンマーミルを用いて粉砕」する工程、「40メッシュ(目開き425μm)の金網を通過させる」工程は、それぞれ、本件特許発明1の「前記含水ゲル状重合体を乾燥」、「粉砕」、「分級」する工程に相当する。
甲3発明Aの「得られた参考用吸水性樹脂(2)100重量部を200メッシュ(目開き75μm)の金網で分級し」「金網を通過した」「平均粒子径は32μm」の「吸水性樹脂(a)」を得る工程は、本件特許発明1の「分級して」「微粉」を得る工程に相当する。
さらに、甲3発明Aの「吸水性樹脂(a)100重量部に対し、グリセリン5重量部とエポミンP-1000(重量平均分子量約7万のポリエチレンイミン、株式会社日本触媒製)の50%水溶液を10重量部とをレディゲミキサー(M5R、レディゲ社製)中で約30分間混合」する工程は、本件特許発明1の「微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階」に相当する。
そして、甲3発明Aの「吸水性樹脂組成物(1)」は、本件特許発明1の「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲3発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級して微粉を分級する段階;前記微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階を含む、高吸水性樹脂の製造方法。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点3A>本件特許発明1は、「150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に」分級するのに対して、甲3発明Aは、200メッシュ(目開き75μm)にて分級している点。
<相違点3B>本件特許発明1は、微粉分散体を製造する際し、「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維」と微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、「前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲3発明Aは、そのような特定はない点。
<相違点3C>本件特許発明1は、微粉分散体は、「微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む」のに対し、甲3発明Aは「吸水性樹脂(a)100重量部に対し、グリセリン5重量部とエポミンP-1000(重量平均分子量約7万のポリエチレンイミン、株式会社日本触媒製)の50%水溶液を10重量部」で配合しており、微粉に対する水の含有量が数値範囲を満たさない点。
事案に鑑み、上記相違点3Bについて検討する。
甲3【0046】~【0047】には、「本発明に用いる吸水性樹脂は、造粒を阻害しない範囲の量で水不溶性微粒子、界面活性剤および短繊維等の助剤成分を含有していてもよい。」と記載され、「水不溶性有機微粒子としては、カーボンブラック、活性炭およびパルプ粉等を挙げることができる。」と記載されている。ここで、甲3においては、パルプ粉について助剤成分の一種として例示的に記載されているにとどまるものであり、甲3発明Aの再造粒時において繊維を積極的に配合して凝集することについてはきっかけないし契機となる記載はない。
また、甲3において、繊維の種類としてフラッフパルプや合成高分子繊維に関する記載はなく、特許異議申立人が提出したいずれの証拠においても、再造粒時においてフラッフパルプ又は合成高分子繊維を配合する構成についての開示はない。
さらに、甲3において、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて動機となる記載はなく、特許異議申立人の提出したいずれの証拠においても、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて開示はない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にする効果を有しており、微粉100重量部に対し繊維1重量部以上~20重量部未満とすることにより、吸水速度に優れながらも、遠心保水能及び加圧吸水能の物性低下を招かない、という顕著な効果を有するものである。
したがって、甲3発明Aにおいて、相違点3Bに係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
なお、特許異議申立人はフラッフパルプの配合が周知であることに基づく主張をするが、この点は1(2)と同様に判断される。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲3発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
したがって、本件特許発明3ないし7は、甲3発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲3発明Bとを対比する。
甲3発明Bの「金網を通過した」「平均粒子径は32μm」の「吸水性樹脂(a)」は、本件特許発明8の「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち」の「粒径が150μm未満の微粉」に相当する。
また、甲3発明Bの「吸水性樹脂の造粒粒子(a)」は、本件特許発明8の「微粉が凝集された微粉再造粒粒子」に相当する。
そうすると、本件特許発明8と甲3発明Bとは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体の粒径150μm未満の微粉が凝集された再造粒体粒子を含む高吸水性樹脂」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点3D>本件特許発明8は、微粉再造粒体粒子を凝集するのに「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上の繊維」を凝集し、「前記微粉分散体は、微粉100重量に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲3発明Bは、そのような特定がない点。
<相違点3E>本件特許発明8は、繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しているのに対して、甲3発明Bは、そのような特定がない点。
事案に鑑み、相違点3Dについて検討する。
相違点3Dは上記(2)相違点3Bと同旨であり、同様に判断される。
したがって、甲3発明Bにおいて、相違点3Dに係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲3発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
よって、本件特許発明10ないし12は、甲3発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由2-3についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
4 申立理由1-1(甲4に基づく新規性)及び申立理由2-4(甲4に基づく進歩性)について
(1)甲4に記載された発明
甲4の【請求項1】、【0019】、【0023】~【0024】、【0035】~【0036】、【0039】~【0043】、【0064】~【0065】、【0114】、【0125】~、【0135】、【0142】、【0148】、【0151】【表1】、【0152】【表2】、【図1】~【図4】から甲4には次の発明が記載されている。
<甲4発明>
「アクリル酸部分中和水溶液に架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に酸化剤として31重量%の過酸化水素水溶液4.55重量部を加えて溶液Aを調製し、これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して、架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に還元剤としてL-アスコルビン酸0.57重量部を加えて溶液Bを調製し、調製した溶液Aと溶液Bを内径0.13mmのノズルを用いて混合し、溶液Aおよび溶液Bは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって、液滴平均粒径が500μmで重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下し、非成形繊維堆積塔から搬送されたパルプ堆積シート上に落下して重合を完了させ、搬送されたシート上にジエチレングコールジグリシジルエーテル3重量%水溶液(1000ppm対吸水性樹脂重量)を噴霧し、上記表面処理層上に、ポリエステル繊維(平均繊維長600μm、平均繊維径1.5デシテックス)を空気とともに送り込み、15g/m2の目付量になるように繊維堆積層を形成させ、更に、同様の重合条件で、重合粒子の目付量が100g/m2となるように液滴の落下、重合を行い、搬送されたシート上にジエチレングコールジグリシジルエーテル3%水溶液(1000ppm対吸水性樹脂重量)を噴霧した後、120℃で30分間、吸水性樹脂シートの含水率が5%になるまで熱風乾燥し、得られた吸水性樹脂シートの表面に顕微鏡で確認される、下記図5に示す如く、略球状の吸水性樹脂粒子の2個以上が凝集した凝集粒子と表面接着繊維および/または部分包埋繊維とを有する吸水性樹脂複合体。
図5は次のとおり。
[図:0001404763000002.jpg]
」
(2)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲4発明とを対比する。
甲4発明の「アクリル酸部分中和水溶液に架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に酸化剤として31重量%の過酸化水素水溶液4.55重量部を加えて溶液Aを調製し、これとは別に該部分中和アクリル酸水溶液100重量部に対して、架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミド0.14重量部と更に還元剤としてL-アスコルビン酸0.57重量部を加えて溶液Bを調製し、調製した溶液Aと溶液Bを内径0.13mmのノズルを用いて混合し、溶液Aおよび溶液Bは、それぞれのノズル対のノズルを出たところで合流し、それぞれ約10mmほど液柱を形成した後、液滴となって重合を進行させながら気相中(空気中、温度50℃)を落下」して製造される「略球状の吸水性樹脂粒子」は、本件特許発明8の「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち」「の」「粉」に相当する。
また、甲4発明の「ポリエステル繊維(平均繊維長600μm、平均繊維径1.5デシテックス)」は、本件特許発明8の「合成高分子繊維」に相当する。
さらに、甲4発明の「図5に示す如く、略球状の吸水性樹脂粒子の2個以上が凝集した凝集粒子と表面接着繊維および/または部分包埋繊維とを有する」構成は、「微粉及び合成高分子繊維が凝集された微粉再造粒体」であって「繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入している」構成に相当する。
甲4発明の「吸水性樹脂複合体」は、本件特許発明8の「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明8と甲4発明とは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうちの粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体粒子を含む、高吸水性樹脂であって、前記繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入している、高吸水性樹脂。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点4A>本件特許発明8は、粒径が150μm未満の微粉が凝集された微粉再造粒体粒子を含むのに対して、甲4発明においては、そのような特定はない点
<相違点4B>本件特許発明8は、微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、との特定を有するのに対して、甲4発明においては、そのような特定を有さない点。
上記相違点4Aについて検討する。
甲4発明においては、酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体の重合体は内径約0.13mmのノズルからの液滴落下により略球状に重合形成され、そのときの液滴の平均粒径は500μmである。よって、相違点4Aは実質的な相違点である。したがって、本件特許発明8は甲4発明ではない。
甲4【0022】には、この吸水性樹脂粒子の1次粒子の平均粒径は30~500μmが特に好ましい、との記載があるが、これを150μm未満の微粉とすることについてのきっかけないし契機となる記載はない。
本件特許発明8は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と粒径が150μm未満の微粉を凝集させて微粉再造粒体を形成し、これを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にするという顕著な効果を有している。
したがって、、甲4発明において、相違点4Aに係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
なお、特許異議申立人は、粒径が150μm未満の微粉のほか、粒径が150μm以上の粒子を含むことを排除しない旨主張するが、甲4発明の平均粒径は上記のとおり判断されるから、当該主張は採用し得ない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
よって、本件特許発明9、10、12は、甲4発明ではなく、本件特許発明9ないし12は、本件特許発明8と同様に甲4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由1-1及び申立理由2-4についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項8、10及び12に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件特許の請求項8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
よって、申立理由1-1及び申立理由2-4によって、本件特許の請求項8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
5 申立理由1-2(甲5に基づく新規性)及び申立理由2-5(甲5に基づく進歩性)について
(1)甲5に記載された発明
甲5(第4頁左上欄実施例1等)には次の発明が記載されている。
<甲5発明A>
「アクリル酸ナトリウム74.9モル%、アクリル酸25モル%及びトリメチロールプロパントリアクリレート0.1モル%からなるアクリル酸塩系単量体の43%水溶液4000部を、過硫酸アンモニウム0.6部及び亜硫酸水素ナトリウム0.2部を用いて窒素雰囲気中55~80℃で静置重合し、ゲル状含水重合体を得、このゲル状含水重合体を180℃の熱風乾燥器で乾燥後、振動式粉砕機で粉砕し、ポリアクリル酸塩架橋体の粉末(a)を得、容量4tのV型プレンダーにKCフロックW-100〔山陽国策バルブ(株)製(100メツシュパス90重量%以上)〕100gと水40gとを入れ、均一な湿潤粉体となるまでよく混合し、これに粉末(a)l000gを添加し、30分間攪拌混合し、造粒物の軟凝集体を得、この造粒物の軟凝集体は容易にほぐれて嵩比重の小さい高吸収性樹脂組成物の粉体(1)を得る製造方法。」
<甲5発明B>
「甲5発明Aにて製造された高吸収性樹脂組成物。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲5発明Aとを対比する。
甲5発明Aの「アクリル酸ナトリウム74.9モル%、アクリル酸25モル%」、「過硫酸アンモニウム0.6部」は、本件特許発明1の「水溶性エチレン系不飽和単量体」、「重合開始剤」に相当する。
また、甲5発明Aの「静置重合し、ゲル状含水重合体を得」る工程は、本件特許発明1の「熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階」に相当する。
甲5発明の「180℃の熱風乾燥器で乾燥後、振動式粉砕機で粉砕」する工程は、本件特許発明1の「含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕」する工程に相当する。
そして、甲5発明の「ポリアクリル酸塩架橋体の粉末(a)を得、容量4tのV型プレンダーにKCフロックW-100〔山陽国策バルブ(株)製(100メツシュパス90重量%以上)〕100gと水40gとを入れ、均一な湿潤粉体となるまでよく混合し、これに粉末(a)l000gを添加し、30分間攪拌混合」する工程は、本件特許発明1の「繊維と、粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および、前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階」に相当する。
さらに、甲5発明Aの「ポリアクリル酸塩架橋体の粉末(a)」の「粉末(a)l000g」と「KCフロックW-100〔山陽国策バルブ(株)製(100メツシュパス90重量%以上)〕100g」の混合比率は、本件特許発明1の「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定事項を満たす。
そうすると、本件特許発明1と甲5発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合又は光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕し、繊維と粉と水を混合して粉分散体を製造する段階;および、粉分散体から粉再造粒体を製造する段階を含み、前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂の製造方法。」で一致し、以下の点で相違する。
<相違点5A>本件特許発明1は、分級して「150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階」を有しているのに対し、甲5発明Aは分級をしていない点。
<相違点5B>本件特許発明1は、微粉分散体を製造するに際し、「150μm未満の粒径を有する微粉」を使用しているのに対して、甲5発明Aは、当該粒度区分の微粉を使用するものではない点。
<相違点5C>本件特許発明1は、微粉分散体を製造する際し、「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上」と微粉および水を混合して微粉分散体を製造しているのに対し、甲5発明Aは、「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上」である繊維を使用していない点。
<相違点5D>本件特許発明1は、微粉分散体は、「微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む」のに対し、甲5発明Aは「水40g」と「粉末(a)l000g」の割合で配合しており、微粉に対する水の含有量が数値範囲を満たさない点。
事案に鑑み、上記相違点5A及び相違点5Bについて検討する。
甲5(第2頁左下欄第3~11行)には、「高吸収性樹脂粉末の粒度としては、20メッシュの標準篩を通過するもので且つ200メッシュの標準篩を通過するものが90重量%以下であるものである。」と記載されており、再造粒体を形成するための高吸収性樹脂粉末の粒度を調整することについては言及しているものの、再造粒体を形成するための高吸収性樹脂粉末を分級し、150μm未満の粒径を有する微粉を取り出して、再造粒体の製造工程に供給する思想はなく、甲5には、そのようなきっかけないし契機となる記載がない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、150μm未満の粒径を有する微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にするという顕著な効果を有している。
したがって、甲5発明Aにおいて、相違点5A及び相違点5Bに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
この点に関し、特許異議申立人は分級の点について実質的な相違点ではない旨主張するが、上記のとおり判断されるものであって、当該主張は採用し得ない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲5発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明3ないし7は、甲5発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲5発明Bとを対比する。
甲5発明Bのポリアクリル酸塩架橋体の粉末(a)は、本件特許発明8の「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち」「の粉」に相当する。
甲5発明Bの「KCフロックW-100〔山陽国策バルブ(株)製(100メツシュパス90重量%以上)〕100g」は、本件特許発明8の「繊維」に相当する。
甲5発明Bの「造粒物の軟凝集体」は、本件特許発明8の「粉;および」「繊維が凝集された粉再造粒体粒子」に相当する。
甲5発明Bの「高吸収性樹脂組成物」は、本件特許発明8の「高吸水性樹脂」に相当する。
さらに、甲5発明Bの「ポリアクリル酸塩架橋体の粉末(a)」の「粉末(a)l000g」と「KCフロックW-100〔山陽国策バルブ(株)製(100メツシュパス90重量%以上)〕100g」の混合比率は、本件特許発明8の「前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定事項を満たす。
そうすると、本件特許発明8と甲5発明Bとは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち、粉;および繊維が凝集された微粉再造粒体粒子を含み、微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点5E>本件特許発明8は、粒径が150μm未満の微粉が凝集されて微粉再造粒体粒子を含むのに対して、甲5発明Bは、微粉再造粒体粒子を構成する重合体粒子の粒径の特定はない点。
<相違点5F>本件特許発明8は、微粉再造粒体粒子を凝集するのにフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上を凝集しているのに対して、甲5発明Bは、パルプフロック「KCフロックW-100〔山陽国策バルブ(株)製(100メツシュパス90重量%以上)を使用している点。
<相違点5G>本件特許発明8は、繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しているのに対して、甲5発明Bは、そのような特定がない点。
本件特許発明8と甲5発明Bとは、上記相違点5E、相違点5F、相違点5Gの点で相違するから、本件特許発明8は甲5発明Bではない。
事案に鑑み、相違点5Eについて検討する。
甲5(第2頁左下欄第3~11行)には、「高吸収性樹脂粉末の粒度としては、20メッシュの標準篩を通過するもので且つ200メッシュの標準篩を通過するものが90重量%以下であるものである。」と記載されており、再造粒体を形成するための高吸収性樹脂粉末の粒度について言及はしているものの、再造粒体を形成するための高吸収性樹脂粉末として150μm未満の粒径を有する微粉を使用する思想はなく、甲5には、そのようなきっかけないし契機となる記載はない。
本件特許発明8は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、150μm未満の粒径を有する微粉が凝集された微粉再造粒体を高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にするという顕著な効果を有している。
したがって、甲5発明Bにおいて、相違点5Eに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲5発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
よって、本件特許発明10ないし12は、本件特許発明8と同様に、甲5発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由1-2及び申立理由2-5についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項8に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件特許の請求項8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
よって、申立理由1-2及び申立理由2-5によって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
6 申立理由2-6(甲6に基づく進歩性)
(1) 甲6に記載された発明
甲6の【請求項1】、【0005】、【0011】、【0013】、【0018】~【0021】、【0027】、【0031】、【0040】、【0042】~【0046】、【0062】〔実施例2〕から甲6には次の発明が記載されている。
<甲6発明A>
「反応器中で、アクリル酸725.2g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液3837.3g、純水821.3g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)52.6g、D(-)-ソルビトール(分子量182.17、和光純薬工業(株)製)18.3gを溶解させて反応液とし、この反応液を25℃に調整しながら窒素ガス雰囲気下で20分間脱気し、続いて、反応液に15質量%過硫酸ナトリウム水溶液20.1gおよび0.1質量%L-アスコルビン酸水溶液25.2gを攪拌しながら添加しておよぼ1分後に重合が開始され、生成したゲルを粉砕しながら、25~95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体(1)を取り出し、細分化された含水ゲル状架橋重合体(1)を目開き850μmのステンレス金網上に広げ、180℃で40分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミル(WML型ロール粉砕機、有限会社井ノ口技研製)を用いて粉砕し、さらにJIS850μm、600μm、300μm、150μm、45μm標準篩で分級調合することで、D50が461μmでかつ850μm以上の粒子径を有する粒子の割合が0質量%、600μm以上850μm未満の粒子径を有する粒子の割合が28質量%、150μm未満の粒子径を有する粒子の割合が2.2質量%、対数標準偏差(σζ)が0.364である不定形破砕状の吸水性樹脂(A)を得、吸水性樹脂(A)を目開き212μmのJIS標準篩で分級することにより、212μm以下の不定形破砕状の吸水性樹脂(B)を得、吸水性樹脂(B)100重量部に、ポリアクリル酸(重量平均分子量約80万、商品名アクアリックAS58、株式会社日本触媒製)の1%水溶液を100重量部均一に混合し、その後加熱処理、粉砕、分級調合、表面架橋処理を行い、粒子状吸水剤(2)を得る、粒子状吸水剤(2)の製造方法。」
<甲6発明B>
「甲6発明Aにより製造された吸水状吸水剤(2)。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲6発明Aとを対比する。
甲6発明Aにおける「アクリル酸725.2g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液3837.3g」、「15質量%過硫酸ナトリウム水溶液20.1g」、「25~95℃で重合」、「含水ゲル状架橋重合体(1)」、はそれぞれ、本件特許発明1における、「水溶性エチレン系不飽和単量体」、「重合開始剤」、「熱重合または光重合」、「含水ゲル状重合体」に相当する。
また、甲6発明Aにおける「含水ゲル状架橋重合体(1)を目開き850μmのステンレス金網上に広げ、180℃で40分間熱風乾燥」、「乾燥物をロールミル(WML型ロール粉砕機、有限会社井ノ口技研製)を用いて粉砕」、「JIS850μm、600μm、300μm、150μm、45μm標準篩で分級調合」は、それぞれ、本件特許発明1における「含水ゲル状重合体を乾燥」、「粉砕」、「分級」に相当する。
さらに、甲6発明Aにおける、「吸水性樹脂(A)を目開き212μmのJIS標準篩で分級することにより、212μm以下の不定形破砕状の吸水性樹脂(B)を得」る工程は、本件特許発明1における、特定の数値「未満の粒径を有する微粉」を分級による得る工程に相当する。
そして、甲6発明Aにおける、「吸水性樹脂(B)100重量部に、ポリアクリル酸(重量平均分子量約80万、商品名アクアリックAS58、株式会社日本触媒製)の1%水溶液を100重量部均一に混合し、その後加熱処理、粉砕、分級調合、表面架橋処理を行い、粒子状吸水剤(2)を得」る工程は、本件特許発明1における、「微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および、前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む」構成に相当する。
甲6発明Aにおける「粒子状吸水剤(2)」は、本件特許発明1における「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲6発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合又は光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級して、特定の数値未満の粒径を有する微粉に分級する段階;前記微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階を含み、前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む、高吸水性樹脂の製造方法。」で一致し、以下の点で相違する。
<相違点6A>本件特許発明1は、分級して「150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階」を有しているのに対し、甲6発明Aは、212μm未満の微粉と212μm以上の粒子とに分けており、粒径の境目が150μmではない点。
<相違点6B>本件特許発明1は、微粉分散体を製造する際し、「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維」と微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲6発明Aは、そのような特定を有さない点。
事案に鑑み、上記相違点6Bについて検討する。
甲6【0019】には、「本発明に用いる吸水性樹脂は、造粒を阻害しない範囲の量で水不溶性微粒子および短繊維等の助剤成分、」「を含有していてもよい。」と記載されているが、短繊維に関しては助剤成分の一種として例示的に記載されているにとどまるものであり、甲6発明Aの再造粒時において繊維を積極的に配合して凝集することについてはきっかけないし契機となる記載はない。
また、甲6において、繊維の種類としてフラッフパルプや合成高分子繊維に関する記載はなく、特許異議申立人が提出したいずれの証拠においても、再造粒時においてフラッフパルプ又は合成高分子繊維を配合する構成についての開示はない。
さらに、甲6において、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて動機となる記載はなく、特許異議申立人の提出したいずれの証拠においても、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて開示はない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にする効果を有しており、微粉100重量部に対し繊維1重量部以上~20重量部未満とすることにより、吸水速度に優れながらも、遠心保水能及び加圧吸水能の物性低下を招かない、という顕著な効果を有するものである。
したがって、甲6発明Aにおいて、相違点6Bに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲6発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明3ないし7は、甲6発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲6発明Bとを対比する。
甲6発明Bにおける「アクリル酸725.2g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液3837.3g」を「重合」した「含水ゲル状架橋重合体(1)」は、本件特許発明8における「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体」に相当する。
また、甲6発明Bにおける「細分化された含水ゲル状架橋重合体(1)を目開き850μmのステンレス金網上に広げ、180℃で40分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミル(WML型ロール粉砕機、有限会社井ノ口技研製)を用いて粉砕し、さらにJIS850μm、600μm、300μm、150μm、45μm標準篩で分級調合」した「不定形破砕状の吸水性樹脂(A)」を「目開き212μmのJIS標準篩で分級」した「212μm以下の不定形破砕状の吸水性樹脂(B)」は、本件特許発明8における「粒径が」特定の数値「未満の微粉」に相当する。
さらに、甲6発明Bにおける「吸水性樹脂(B)100重量部に、ポリアクリル酸(重量平均分子量約80万、商品名アクアリックAS58、株式会社日本触媒製)の1%水溶液を100重量部均一に混合し、加熱処理、粉砕、分級調合、表面架橋処理を行」う工程は、本件特許発明8における「微粉;」「が凝集された微粉再造粒体」を製造する工程に相当する。
そして、甲6発明Bにおける「粒子状吸水剤(2)」は、本件特許発明8における「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明8と甲6発明Bとは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち、粒径が特定数値未満の微粉が凝集された微粉再造粒体粒子を含む、高吸水性樹脂。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点6C>本件特許発明8は、粒径が150μm未満の微粉が凝集されて微粉再造粒体粒子を含むのに対して、甲6発明Bは、粒径が212μm未満の微粉である点。
<相違点6D>本件特許発明8は、微粉再造粒体粒子を凝集するのに「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上の繊維」を凝集し、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲6発明Bは、そのような特定がない点。
事案に鑑み、相違点6Dについて検討する。
相違点6Dは、上記(2)相違点6Bと同旨であり、同様に判断される。
したがって、甲6発明Bにおいて、相違点6Dに係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲6発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
よって 本件特許発明10ないし12は、甲6発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由2-6についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
よって、申立理由2-6によって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
7 申立理由2-7(甲7に基づく進歩性)
(1)甲7に記載された発明
甲7の【請求項1】、【請求項6】、【0003】~【0004】、【0007】~【0008】、【0010】~【0012】、【0014】、【0030】~【0031】、【0034】~【0036】、【0043】〔実施例8〕から甲7には次の発明が記載されている。
<甲7発明A>
「市販の吸水性樹脂(「サンウェットIM-5000D」;三洋化成工業製、ポリアクリル酸塩架橋物;含水率5.6%)を100メッシュのJIS標準フルイ(目開き:150μm)で篩い、フルイを通過した微粒子(b)を採取し、小型タービュラーザーを使用し、(b)に微粉末状親水性シリカ(「エアロジル200」;日本エアロジル社製)0.1%を添加混合し、さらに20%の水を添加して混合し、この混合物を室温でローラーコンパクティングマシーンを用い、線圧力1トン/cmでシート状に加圧成形し、この加圧成形物を水分含量5%に乾燥し、ロールミルで粉砕後、粒度調整して100~850μmの粒度の吸水剤(8)を得る、吸水剤(8)の製造方法。」
<甲7発明B>
「甲7発明Aの製造方法により製造された吸水剤(8)。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲7発明Aとを対比する。
甲7発明Aにおける「「市販の吸水性樹脂(「サンウェットIM-5000D」;三洋化成工業製、ポリアクリル酸塩架橋物;含水率5.6%)」は、ポリアクリル酸塩架橋物であるから、本件特許発明1における「水溶性エチレン系不飽和単量体及び重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して」製造されたものであることは明らかであり、本件特許発明1における「含水ゲル状重合体」を「乾燥」したものに相当する。
また、甲7発明Aにおける「100メッシュのJIS標準フルイ(目開き:150μm)で篩い、フルイを通過した微粒子(b)を採取」する工程は、本件特許発明1における「含水ゲル重合体」を「粉砕、分級して、150μm未満の粒径を有する微粉」とそれ以外を得る工程である。
さらに、甲7発明Aにおける「フルイを通過した微粒子(b)を採取し、小型タービュラーザーを使用し、(b)に微粉末状親水性シリカ(「エアロジル200」;日本エアロジル社製)0.1%を添加混合し、さらに20%の水を添加して混合」する工程は、本件特許発明1における「前記微粉および水を混合」する工程に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲7発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を得る段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、分級して、150μm未満の微粉とそれ以外に分級する段階;前記微粉と水を混合する段階を含む高吸水性樹脂の製造方法。」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点7A>本件特許発明1は、含水ゲル状重合体を乾燥した後に「粉砕」しているのに対して甲7発明Aは、粉砕工程について特定されていない点。
<相違点7B>本件特許発明1は、「150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級」しているのに対して、甲7発明Aは、150μm未満の粒径を有する微粉と150μm以上の粒径を有する粒子に分けているが、150~850μmの粒径を有する定常粒子を分画するものではない点。
<相違点7C>本件特許発明1は、「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維」と微粉および水を混合し、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲7発明Aは、そのような特定を有さない点。
<相違点7D>本件特許発明1は、「微粉分散体」を製造しているのに対し、甲7発明Aは、微粉と水を混合しているが、微粉が水に分散された状態にあるとは特定されていない点。
<相違点7E>本件特許発明1は、微粉分散体は、「微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む」のに対し、甲7発明Aは、フルイを通過した微粒子(b)に20%の水を添加しており、微粉に対する水の含有量が数値範囲を満たさない点。
事案に鑑み、上記相違点7Cについて検討する。
甲7【0031】には、「任意の工程で、必要に応じて、「添加剤や増量剤として」「繊維状物(パルプ、合成繊維など)等を添加することができる。」と記載されているが、ここで、甲7においては、パルプや合成繊維等は一般的に添加剤として使用できる成分を例示的に記載されているにとどまるものであり、甲7発明Aにおいて微粉と水を混合する際に繊維を積極的に配合することを示唆するものではない。
また、甲7において、繊維の種類としてフラッフパルプや合成高分子繊維に関する記載はなく、特許異議申立人が提出したいずれの証拠においても、再造粒時においてフラッフパルプ又は合成高分子繊維を配合することについて動機となる記載はない。
さらに、甲7において、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて動機となる記載はなく、特許異議申立人の提出したいずれの証拠においても、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて開示はない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にする効果を有しており、微粉100重量部に対し繊維1重量部以上~20重量部未満とすることにより、吸水速度に優れながらも、遠心保水能及び加圧吸水能の物性低下を招かない、という顕著な効果を有するものである。
したがって、甲7発明Aにおいて、相違点7Cに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲7発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明3ないし7は、甲7発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲7発明Bとを対比する。
甲7発明Bの「市販の吸水性樹脂(「サンウェットIM-5000D」;三洋化成工業製、ポリアクリル酸塩架橋物;含水率5.6%)を100メッシュのJIS標準フルイ(目開き:150μm)で篩い、フルイを通過した微粒子(b)」は、本件特許発明8の「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち、粒径が150μm未満の微粉」に相当する。
また、甲7発明Bの「フルイを通過した微粒子(b)を採取し、小型タービュラーザーを使用し、(b)に微粉末状親水性シリカ(「エアロジル200」;日本エアロジル社製)0.1%を添加混合し、さらに20%の水を添加して混合し、この混合物を室温でローラーコンパクティングマシーンを用い、線圧力1トン/cmでシート状に加圧成形し、この加圧成形物を水分含量5%に乾燥し、ロールミルで粉砕後、粒度調整」して得た「吸水剤(8)」は、本件特許発明8の「粒径が150μm未満の微粉」「が凝集された微粉再造粒体粒子を含む」「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明8と甲7発明Bとは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体の粒径150μm未満の微粉が凝集した再造粒体粒子を含む高吸水性樹脂」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点7F>本件特許発明8は、微粉再造粒体粒子を製造する際に「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上の繊維」を使用し、「前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲7発明Bは、そのような特定がない点。
上記相違点7Fについて検討する。
相違点7Fは、上記(2)相違点7Cと同旨であり、同様に判断される。
したがって、甲7発明Bにおいて、相違点7Fに係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲7発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
よって、本件特許発明10ないし12は、甲7発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由2-7についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
よって、申立理由2-7によって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
1 申立理由2-8(甲8に基づく進歩性)
(1)甲8に記載された発明
甲8の特許請求の範囲、第2頁左上欄12~15行、第2頁右上欄第4行~末行、第2頁左下欄第5~11行、第2頁右下欄6行~第3頁右下欄第6行、第4頁右下欄第9行~15行の実施例4から、甲8には次の発明が記載されている。
<甲8発明A>
「アクリル酸30gを水39gに苛性ソーダ13.4gを溶解した水溶液で中和し、モノマー水溶液のモノマー濃度は45重量%とし、次いで、過硫酸ナトリウム150mgとメチレンビスアクリルアミド50mgを加え均一に溶解し、このモノマー溶液を窒素雰囲気下において、80℃、30分重合し、含水した吸液性ポリマー(B)を得、含水した吸液性ポリマー(B)66.6g(吸液性ポリマー重量30g)と水200g及びレーヨン繊維(繊維長10mm、繊維径3デニール)30gとをスクリュー回転式混合機を用い約1時間混練後、100℃、8時間減圧乾燥機にて乾燥し、更に回転版式粉砕機にて粉砕することにより、レーヨン繊維の約40%が吸液性ポリマーを貫通し、且つポリマーから繊維が外に出ている吸液性複合体を得る、吸液性複合体の製造方法。」
<甲8発明B>
「甲8発明Aの製造方法で製造された吸液性複合体。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲8発明Aとを対比する。
甲8発明Aの「アクリル酸30gを水39gに苛性ソーダ13.4gを溶解した水溶液で中和し」た「モノマー」は、本件特許発明1の「水溶性エチレン系不飽和単量体」に相当する。
甲8発明Aの「過硫酸ナトリウム150mg」を加え均一に溶解し」た「このモノマー溶液」は、本件特許発明1の水溶性エチレン系不飽和単量体および「重合開始剤を含む単量体組成物」に相当する。
甲8発明Aの「含水した吸液性ポリマー(B)」は、本件特許発明1の「含水ゲル状重合体」に相当する。
甲8発明Aの「含水した吸液性ポリマー(B)66.6g(吸液性ポリマー重量30g)と水200g及びレーヨン繊維(繊維長10mm、繊維径3デニール)30gとをスクリュー回転式混合機を用い約1時間混練」する工程は、本件特許発明の「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上と」含水ゲル状重合体からなる「粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および、前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階」に相当する。
そして、甲8発明Aの「吸液性複合体」は本件特許発明の「高吸水性樹脂」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と甲8発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合又は光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、前記含水ゲル状重合体からなる粉と水を混合して粉分散体を製造する段階;前記微粉分散体を攪拌して微粉再造粒体を製造する段階を含む、高吸水性樹脂の製造方法。」で一致し、以下の点で相違する。
<相違点8A>本件特許発明1は、含水ゲル状重合体を「乾燥、粉砕」するのに対して、甲8発明Aは、含水ゲル状重合体に対する乾燥、粉砕工程がない点。
<相違点8B>本件発明1は、「分級して、150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階」を有しているのに対し、甲8発明Aは、分級していない点。
<相違点8C>本件特許発明1は、微粉分散体を製造するに際し、「150μm未満の粒径を有する微粉」を使用しているのに対して、甲8発明Aは、当該粒度区分の微粉を使用するものではない点。
<相違点8D>本件特許発明1は、微粉分散体は、「微粉100重量部に対して水を50~150重量部で含む」のに対し、甲8発明Aは「含水した吸液性ポリマー(B)66.6g(吸液性ポリマー重量30g)と水200g」の割合で配合しており、粉に対する水の含有量が数値範囲を満たさない点。
<相違点8E>本件特許発明1は、「微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲8発明Aは、「含水した吸液性ポリマー(B)66.6g(吸液性ポリマー重量30g)」と「レーヨン繊維(繊維長10mm、繊維径3デニール)30g」であって、数値範囲を満たさない点。
事案に鑑み、相違点8A及び相違点8Bについて検討する。
甲8(第2頁右下欄第6~11行)には、「吸液性ポリマーは」「粉末状、顆粒状、塊状、シート状などの形態があり、本発明の複合体を製造するにはそのいずれも使用可能である。粉末状、顆粒状、塊状の場合、粒子径は通常15~500メッシュが好ましい。」と記載されており、複合体(再造粒体)を形成するための吸液性ポリマーの粒度を調整することについては言及しているものの、再造粒体を形成するための吸液性ポリマーを分級し、150μm未満の粒径を有する微粉を取り出して再造粒体の製造工程に供給する思想はなく、甲8には、そのようなきっかけないし契機となる記載はない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、150μm未満の粒径を有する微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にするという顕著な効果を有している。
したがって、甲8発明Aにおいて、相違点8A及び相違点8Bに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
この点に関し、特許異議申立人は分級の点について実質的な相違点ではない旨主張するが、上記のとおり判断されるものであって、当該主張は採用し得ない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲8発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明3ないし7は、甲8発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲8発明Bとを対比する。
甲8発明Bにおける「アクリル酸30gを水39gに苛性ソーダ13.4gを溶解した水溶液で中和し、モノマー水溶液のモノマー濃度は45重量%とし、次いで、過硫酸ナトリウム150mgとメチレンビスアクリルアミド50mgを加え均一に溶解し、このモノマー溶液を窒素雰囲気下において、80℃、30分重合し」て得られた「含水した吸液性ポリマー(B)」は、本件特許発明8における「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体」に相当する。
また、甲8発明Bにおける「レーヨン繊維(繊維長10mm、繊維径3デニール)30g」は、本件特許発明8における「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上」に相当する。
さらに、甲8発明Bにおいて、「吸液性複合体」が「レーヨン繊維の約40%が吸液性ポリマーを貫通し、且つポリマーから繊維が外に出ている」形態は、本件特許発明8の「繊維の少なくとも一部は微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入している」形態に相当する。
そうすると、本件特許発明8と甲8発明Bとは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体とフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維からなる微粉再造粒体粒子を含む高吸水性樹脂であって、前記繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入している、高吸水性樹脂」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点8F>本件特許発明8は、粒径が150μm未満の微粉が凝集された微粉再造粒体粒子であるのに対して、甲8発明Bは、微粉再造粒体粒子を構成する重合体粒子の粒径の特定はない点。
<相違点8G>本件特許発明8は、「前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲8発明Bは、「含水した吸液性ポリマー(B)66.6g(吸液性ポリマー重量30g)」と「レーヨン繊維(繊維長10mm、繊維径3デニール)30g」であって、数値範囲を満たさない点。
上記相違点8Fについて検討する。
甲8(第2頁右下欄第6~11行)には、「吸液性ポリマーは」「粉末状、顆粒状、塊状、シート状などの形態があり、本発明の複合体を製造するにはそのいずれも使用可能である。粉末状、顆粒状、塊状の場合、粒子径は通常15~500メッシュが好ましい。」と記載されており、複合体(再造粒体)を形成するための吸液性ポリマーの粒度を調整することについては言及しているものの、150μm未満の粒径を有する微粉を使用して微粉再造粒体を構成する思想はなく、甲8には、そのようなきっかけないし契機となる記載はない。
本件特許発明8は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、150μm未満の粒径を有する微粉が凝集された微粉再造粒体を高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にするという顕著な効果を有している。
したがって、甲8発明Bにおいて、相違点8Fに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
なお、特許異議申立人はこの点について、本件特許発明8が本件特許発明1の製造方法により必然的に得られるものならば、進歩性のない本件特許発明1の製造方法によって得られる本件特許発明8も進歩性がない等の主張をするが、本件特許発明1は上記(1)のとおり判断され、本件特許発明8は独立して上記のとおり判断される。したがって、特許異議申立人の主張は採用し得ない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲8発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
よって、本件特許発明10ないし12は、甲8発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由2-8についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
よって、申立理由2-8によって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
9 申立理由2-9(甲9に基づく進歩性)
(1)甲9に記載された発明
甲9の【請求項1】、【請求項10】、【請求項14】~【請求項16】、【0004】、【0015】~【0017】、【0020】、【0111】から甲9には次の発明が記載されている。
<甲9発明A>
「水溶性エチレン系不飽和単量体及び重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を粗粉砕する段階;粗粉砕された含水ゲル状重合体を乾燥および粉砕して、150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階;微粉、水および添加剤を混合して微粉水溶液を調整し、微粉水溶液と粗粉砕された含水ゲル状重合体とを混合して微粉造粒体を製造する段階を含み、微粉100重量部に対して、水を100~300重量部含む、高吸水性樹脂の製造方法。」
<甲9発明B>
「甲9発明Aの製造方法により製造された「高吸水性樹脂。」
(2)本件特許発明1についての対比・判断
本件特許発明1と甲9発明Aとを対比する。
甲9発明Aの「微粉、水および添加剤を混合して」得られた「微粉水溶液」は、本件特許発明1の「微粉分散体」に相当する。
また、甲9発明Aの微粉分散体において「微粉100重量部に対して、水を100~300重量部含む」構成は、本件発明1の「微粉100重量部に対して水を50~150重量部含む」のうち、水が100~150重量部の範囲で重複している。
そうすると、本件特許発明1と甲9発明Aとは、
「水溶性エチレン系不飽和単量体および重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合又は光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級して、150μm未満の粒径を有する微粉および150~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階;前記微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;および前記微粉分散体から微粉再造粒体を製造する段階を含み、微粉100に対して水を100~150重量部含む、高吸水性樹脂の製造方法。」の点で一致し次の点で相違する。
<相違点9A>本件特許発明1は、微粉分散体を製造する際し、「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維」と微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、「前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲9発明Aは、そのような特定を有さない点。
上記相違点9Aについて検討する。
甲9には微粉分散体から微粉再造粒体を製造する際に、繊維を配合することについてきっかけないし契機となる記載はない。
また、特許異議申立人が提出したいずれの証拠においても、再造粒時においてフラッフパルプ又は合成高分子繊維を配合することについて動機となる記載はない。
さらに、甲9において、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて動機となる記載はなく、特許異議申立人の提出したいずれの証拠においても、フラッフパルプ又は合成高分子繊維の配合量を調整することについて開示はない。
本件特許発明1は、フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、微粉および水を混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体から微粉再造粒体を形成してこれを高吸水性樹脂に含めることによって、遠心分離保水能(CRC)、加圧吸水能(ALU)、吸水速度のいずれの特性も良好にする効果を有しており、微粉100重量部に対し繊維1重量部以上~20重量部未満とすることにより、吸水速度に優れながらも、遠心保水能及び加圧吸水能の物性低下を招かない、という顕著な効果を有するものである。
したがって、甲9発明Aにおいて、相違点9Aに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
なお、特許異議申立人は繊維の中からフラッフパルプを選択することは容易である旨主張するが、この点は上記1(2)のとおり判断される。
よって、本件特許発明1は、甲9発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3ないし7についての対比・判断
本件特許発明3ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。
よって、本件特許発明3ないし7は、甲9発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件特許発明8についての対比・判断
本件特許発明8と甲9発明Bとを対比する。
本件特許発明8と甲9発明Bとは、
「酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体の粒径150μm未満の微粉が凝集された再造粒体粒子を含む高吸水性樹脂」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点9B>本件特許発明8は、微粉再造粒体には粒径が150μm未満の微粉が凝集されて含むのに対して、甲9発明Bは、粒径が150μm未満の微粉の他に、粗粉砕された含水ゲル状重合体も凝集再造粒体に含まれる点。
<相違点9C>本件特許発明8は、微粉再造粒体粒子を凝集するのに「フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうち1種以上の繊維」を凝集し、「前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む」との特定を有するのに対して、甲9発明Bは、そのような特定がない点。
<相違点9D>本件特許発明8は、繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しているのに対して、甲9発明Bは、そのような特定がない点。
事案に鑑み、相違点9Cについて検討する。
相違点9Cは、上記(2)相違点9Aと同旨であり、同様に判断される。
したがって、甲9発明Bにおいて、相違点9Cに係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明8は、甲9発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明10ないし12についての対比・判断
本件特許発明10ないし12は、請求項8を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明8と同様に判断される。
よって、甲9発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立理由2-9についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。
よって、申立理由2-9によって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
10 申立理由3(実施可能要件)について
(1)実施可能要件の判断基準
上記第3のとおり、本件特許発明1、3ないし7は物を製造する方法の発明であり、本件特許発明8、10ないし12は物の発明である。
物を製造する方法の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造する方法を使用し、その物を製造する方法により製造した物の使用をすることができる程度の記載があることを要する。
物の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、使用することができる程度の記載があることを要する。
以上を踏まえ以下、検討する。
(2)実施可能要件の判断
本件特許の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明1、3ないし8、10ないし12の各発明特定事項について、その実現方法を含め具体的に記載されており、実施例についても具体的に記載されている。
したがって、発明の詳細な説明において、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づき、過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1、3ないし7の製造方法を使用し、製造した物の使用をすることができる程度の記載があるといえるし、本件特許発明8、10ないし12の物を生産し、使用することができる程度の記載があるといえる。
よって、本件特許発明1、3ないし8、10ないし12に関して、発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を充足する。
(3)特許異議申立人の主張について
上記第4 1(12)の特許異議申立人の主張について検討する。
ア 課題を解決した実施例の有無について
本件特許明細書【0126】の実施例1~9及び比較例1~3において、実施例1は繊維を配合しない比較例1に対して吸水速度が69secから51secに向上し、加圧吸水能については0.1g/g低下した結果となっている。
また、実施例2~9についても同様に、繊維を配合しない比較例1に対して吸水速度が69secから39~48secに向上し、加圧吸水能については最大で1g/g低下した結果が示されている。
これらの結果は、実施例1~9において、吸水速度を大きく向上させつつ、保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUP)の物性低下を十分に抑制した結果を得ているものである。
よって、当該実験結果を以て実施可能要件違反であるとはいえない。
イ 微粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体について
特許異議申立人が特許異議申立書第184頁で示している第12号証 図1の多孔質連続体については、本件特許発明1、3ないし7の製造方法にて製造すると、必然的に多孔質連続体になる、というような技術常識が存在するものではない。
そして、本件特許明細書の【図1】にて、繊維及び微粉が凝集された微粉再造粒体の製造が確認されているものである。
したがって、主張イの点において、実施可能要件違反であるとはいえない。
ウ 遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUP)について
特許異議申立人が説明するように遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUP)については被測定対象物の粒度分布が規定されているものであるが、被測定対象物の粒度分布が規定範囲内にない場合においては、当業者は規定粒度範囲に収まる測定対象物を適宜粉砕分級或いは造粒にて調整し得るものである。したがって、主張ウの点において、実施可能要件違反であるとはいえない。
以上のとおりであるから、特許異議申立人の上記第4 1(12)の主張は採用し得ない。
(4)申立理由3についてのまとめ
したがって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、特許法第113条第4号に該当しない。
したがって、本件特許の請求項1、3ないし8、1ないし12に係る特許は申立理由3によって取り消すことはできない。
11 申立理由4及び申立理由5(サポート要件)について
(1)サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
以下に検討する。
(2)サポート要件の判断
本件特許の発明の詳細な説明の【0007】の「本発明は、」「吸水速度に優れながらも、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)などの物性低下を招かない微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。」との記載によると、本件特許発明1、3ないし8、10ないし12の解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は、吸水速度に優れながらも、保水能(CRC)や加圧吸水能(AUP)の物性低下を招かない微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂及びその製造方法を提供することである。
また、本件特許の発明の詳細な説明の【0008】ないし【0021】には本件特許発明1ないし12に対応する記載がある。
さらに、本件特許の発明の詳細な説明の【0029】には微粉について、【0030】には微粉再造粒体について、【0034】ないし【0037】には水溶性エチレン径不飽和単量体について、【0038】ないし【0044】には重合開始剤について、【0045】ないし【0047】には架橋剤及び内部架橋について、【0049】ないし【0051】には溶媒について、【0053】ないし【0055】には重合方法及び重合装置について、【0056】には重合体の含水率について、【0057】ないし【0060】には含水ゲル状重合体の粉砕について、【0061】ないし【0064】には乾燥について、【0065】ないし【0066】には乾燥した重合体の粉砕について、【0067】ないし【0068】には粉砕した重合体の分級について、【0069】ないし【0071】には凝集について、【0072】ないし【0076】には繊維について、【0077】ないし【0080】には微粉再造粒体の製造工程について、【0081】ないし【0084】には微粉再造粒体の分級工程について、【0085】ないし【0096】には表面架橋について、【0101】には保水能について、【0102】には加圧吸水能について、それぞれ記載されている。
そして、本件特許の発明の詳細な説明の【0105】ないし【0128】には、水溶性エチレン系不飽和単量体及び重合開始剤を含む単量体組成物を光重合して含水ゲル状重合体を製造した後、含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕、分級して、150μm未満の粒径を有する微粉及び150μm~850μmの粒径を有する定常粒子に分級し、フラッフパルプ又は合成高分子繊維としてPP、PVA、Nylonからなる繊維と、微粉100重量部及び水を50~150重量部混合して微粉分散体を製造し、微粉分散体を撹拌して微粉再造粒体を製造して得た高吸水性樹脂であって、フラッフパルプ又は合成高分子繊維が微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入されている高吸水性樹脂が具体的に製造されており、この高吸水性樹脂が優れた保水能、加圧吸水能、高い吸水速度を示すことが記載されている。
そうすると、当業者はこれらの記載事項から、
・水溶性エチレン系不飽和単量体及び重合開始剤を含む単量体組成物を熱重合又は光重合して含水ゲル状重合体を製造する段階;
前記含水ゲル状重合体を乾燥、粉砕および分級して、150μm未満の粒径を有する微粉及び150μm~850μmの粒径を有する定常粒子に分級する段階;
フラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維と、前記微粉および水を混合して微粉分散体を製造する段階;
前記微粉分散体を撹拌して微粉再造粒体を製造する段階を含み、
前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して水を50~150
重量部で含み、
前記微粉分散体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂の製造方法、によって、あるいは、
・酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和した水溶性エチレン系不飽和単量体を重合させた重合体のうち、粒径が150μm未満の微粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体粒子を含む、高吸水性樹脂であって、
前記繊維の少なくとも一部は、微粉再造粒体の粒子内部を貫通して混入しており、
前記微粉再造粒体は、微粉100重量部に対して繊維を1重量部以上~20重量部未満含む、高吸水性樹脂、によって、発明の課題を解決することができると認識できる。
そして、本件特許発明1、3ないし8、10ないし12は、上記発明の課題を解決できると認識できる、高吸水性樹脂の製造方法、及び、高吸水性樹脂である。
したがって、本件特許発明1、3ないし8、10ないし12は、本件特許の発明の詳細な説明に記載された発明であって、本件特許の発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえ、本件特許発明1、3ないし8、10ないし12に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合するといえる。
(3)特許異議申立人の主張について
上記第4 1(13)(14)の特許異議申立人の主張について検討する。
・第4 1(13)の特許異議申立人の主張について
ア 課題を解決した実施例の有無について、
イ 微粉;およびフラッフパルプおよび合成高分子繊維のうちの1種以上の繊維が凝集された微粉再造粒体について、
ウ 遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUP)について、
上記ア、イ、ウについては前記10(3)での検討と同旨により、サポート要件違反であるとはいえない。
・第4 1(14)の特許異議申立人の主張について
ア 高吸水性樹脂中での微粉再造粒体の含有量について
ウ 高吸水性樹脂の原料としての含水ゲル状重合体と微粉再造粒体との割合について
オ 微粉再造粒体を含む高吸水性樹脂における微粉再造粒体及び繊維の量について
上記ア、ウ、オについては、特許異議申立人が説明しているように高吸水性樹脂中の各成分や含有割合によって、吸水速度と遠心分離保水能、加圧吸水能の具体的な測定数値が変動することはあり得るが、既に検討したとおり、本件の発明の課題は、本件特許発明1の製造方法、本件特許発明8の高吸水性樹脂の構成を採用することにより解決されているものであるから、本件特許発明1、8において、高吸水性樹脂中での微粉再造粒体の含有量や、含水ゲル状重合体、微粉再造粒体、繊維の量等が特定されなければ、発明の課題が解決し得ないとはいえない。
イ 微粉再造粒体を高吸水性樹脂に含ませる段階について
本件特許発明1、3ないし7においては、微粉再造粒体が高吸水性樹脂に含まれることにより、遠心分離保水能と加圧吸水能の物性低下を招くことなく吸水速度を向上させているものであるから、微粉再造粒体の高吸水性樹脂に含ませる段階如何によりその特性が失われるものではなく、製造した微粉再造粒体を高吸水性樹脂に含ませる段階についての特定はなくとも、発明の課題を解決するものである。
エ 微粉分散体中の繊維の量について
本件特許発明1、3ないし8、10ないし12は第2 本件訂正により繊維の量が特定された。よって当該主張についてはその根拠が存在しない。
カ 繊維長、繊維幅、微粉再造粒体の粒径の規定の欠如について
既に検討したとおり、本件の発明の課題は、本件特許発明1の製造方法、本件特許発明8の高吸水性樹脂の構成を採用することにより解決されているものである。したがって、繊維長及び繊維幅、微府再造粒体について特定の数値範囲でなければ、発明の課題を解決し得ないとはいえない。
キ 本件特許発明10ないし12について
本件特許発明10ないし12は、遠心分離保水能、加圧吸水能、吸水速度の物性値についてそれぞれ数値限定した構成を有しているが、これらの遠心分離保水能、加圧吸水能、吸水速度を達成するために必要な事項が本件特許の発明の詳細な説明において記載され、かつ、本件特許明細書の実施例等における具体例において具体的に達成されたことが記載されている。
(4)申立理由4、5についてのまとめ
したがって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、特許法第113条第4号に該当しない。
よって、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許は申立理由4、申立理由5によって取り消すことはできない。
12 申立理由6(明確性要件)について
(1)明確性要件の判断基準
特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
そこで、検討する。
(2)明確性要件の判断
本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12の記載は、上記第3のとおりであり、それ自体に不明確な記載はなく、本件特許の明細書の記載及び図面とも整合する。
したがって、本件特許発明1、3ないし8、10ないし12に関して、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
(3)特許異議申立人の主張について
上記第4 1(5)の特許異議申立人の主張について検討する。
ア 本件特許発明10、11のCRC、AULについて
前記10 (3)で検討したとおり、遠心分離保水能(CRC)及び加圧吸水能(AUP)については被測定対象物の粒度分布が規定されているものであるが、被測定対象物の粒度分布が規定範囲内にない場合においては、規定粒度範囲に収まる測定対象物を適宜粉砕分級或いは造粒にて調整し測定されるものであるから、この点を以て本件特許発明10、11は不明瞭であるとはいえない。
イ 本件特許発明8ないし12の粒径が150μm未満の微粉について
ウ 本件特許発明8ないし12の微粉の粒径の測定方法について
前記10 (3)で記したとおり、特許異議申立人が特許異議申立書第184頁で示している第12号証図1の多孔質連続体については、本件特許発明1ないし7の製造方法にて製造すると必然的に多孔質連続体になる、というような技術常識が存在するものでもなく、また、本件特許明細書の発明の詳細な説明において記載されている製造方法により微粉再造粒体を製造すると、このように多孔質連続体になるということもない。
そして、本件特許明細書の【図1】にて、繊維及び微粉が凝集された微粉再造粒体の製造が確認されており、微粉分散体に供給する微粉の粒径、凝集により形成される微粉再造粒体を構成する微粉の粒径、を意味していることが理解される。よって、この点において本件特許発明8ないし12は不明瞭ではない。
エ 本件特許発明4の「繊維の幅」について
当該技術分野において繊維の幅については複数の測定手法が知られるところ、既知の測定方法のうちいずれかを以て繊維の幅を特定すれば足りるものである。よって、本件特許発明4は繊維の幅の点で不明瞭ではない。
第7 結語
上記第6のとおり、本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12は、特許異議申立書に記載した申立理由によっては、取消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、3ないし8、10ないし12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項2および9に係る特許は訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項2および9に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなった。
したがって、特許異議申立人による請求項2および9に係る特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700923