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特許異議申立

2023-700115

ハードコートフィルム

審判番号
2023-700115
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-557747
登録番号
7113760
請求日
2023年02月03日
審決日
2023年12月22日
公報発行日
2024年03月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日本製紙株式会社
  • 【権利者代理人】大塚 武史
  • 【異議申立人】鈴木 雅也
審判長/審判官
  • 審判長 加藤 友也
  • 審判官 磯貝 香苗
  • 審判官 植前 充司
分類
P1651.113-YAA(C08J) / P1651.121-YAA(C08J) / P1651.536-YAA(C08J) / P1651.537-YAA(C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項2号特許法113条4号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第4号、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第126条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7113760号発明「ハードコートフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7113760号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8〕について訂正することを認める。 特許第7113760号の請求項1ないし5、7及び8に係る特許を維持する。 特許第7113760号の請求項6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7113760号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、 2017年(平成29年)12月16日(優先権主張 2016年12月19日)に国際出願され、 令和 4年 7月28日にその特許権の設定登録(請求項の数 8)がされ、 令和 4年 8月 5日に特許掲載公報が発行された。 その後、当該特許に対し、 令和 5年 2月 3日に 鈴木 雅也 (以下、「特許異議申立人」という。)が、全ての請求項に係る特許に対して特許異議申立てを行い、 令和 5年 5月 1日付けで取消理由が通知され、 令和 5年 7月 7日に特許権者(日本製紙株式会社)より訂正請求がされるとともに意見書が提出され、 令和 5年 8月17日付けで特許法第120条の5第5項の規定に基づき特許異議申立人に対し訂正請求があった旨の通知がされ、 令和 5年 9月21日に特許異議申立人より意見書が提出されたものである。 第2 本件訂正について 1 訂正の内容 令和 5年 7月 7日にされた訂正請求における訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層」と記載されているのを、 「有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有する一層からなるハードコート層」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし5、7及び8についても同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に、 「平均粒子径2μm以上5μm以下であり、」と記載されているのを、 「平均粒子径2μm以上5μm以下であり、 前記ハードコートフィルムの平均膜厚が3.7μm~4.8μmであり、」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし5、7及び8についても同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記ハードコートフィルムのヘイズ値が8%以上35%以下であり、」と記載されているのを、 「前記ハードコートフィルムのヘイズ値が8%以上35%以下であり、 前記ハードコートフィルムの外部ヘイズ値が2.9%以上30%以下であり、」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし5、7及び8についても同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7に、 「請求項1乃至6のいずれかに」と記載されているのを、 「請求項1乃至5のいずれかに」と訂正する。 請求項7の記載を引用して特定する請求項8についても同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項8に、 「請求項1乃至7のいずれかに」と記載されているのを、 「請求項1乃至5、7のいずれかに」と訂正する。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内か否か、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1ないし3による請求項1の訂正について 訂正事項1ないし3による請求項1についての訂正は、訂正前の請求項1において、ハードコート層の層数を一層とし、平均膜厚を3.7μm~4.8μmとし、外部ヘイズ値を2.9%以上30%以下に特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による請求項1についての訂正は、本件特許明細書【0048】ないし【0049】、【0063】ないし【0064】の記載から、訂正事項2による請求項1についての訂正は、本件特許明細書【0086】【表2】の記載から、訂正事項3による請求項1についての訂正は、本件特許明細書【0040】及び【0061】【表1】の記載からみて、いずれも願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項2ないし5、7及び8についても同様である。 (2)訂正事項4による請求項6の訂正について 訂正事項4による請求項6についての訂正は、請求項の削除に係るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4による請求項6についての訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものあり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (3)訂正事項5及び6による請求項7及び8の訂正について 訂正事項5による請求項7の訂正及び訂正事項6による請求項8の訂正は、請求項7及び請求項8の引用請求項から請求項6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項5に係る請求項7の訂正、訂正事項6による請求項8の訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法126条第6項に適合するものである。 3 むすび 以上のとおり、訂正事項1ないし6による請求項1ないし8についての訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。 また、訂正事項1ないし6による請求項1ないし8についての訂正は、いずれも特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5及び6項の規定に適合する。 訂正前の請求項1ないし8は一群の請求項に該当するものであり、訂正事項1ないし6による請求項1ないし8についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項毎にされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 さらに、特許異議の申立は、訂正前の請求項1ないし8に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明8」という。また、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明8」をまとめて、「本件特許発明」という場合がある。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 透明フィルム上に、有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有する一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルムであって、 前記電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と前記有機微粒子の屈折率(ny)の差(|nx-ny|)が0.03以上であり、 前記ハードコート層に平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子を含み、前記ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子Aが、平均粒子径2μm以上5μm以下であり、 前記ハードコート層の平均膜厚が3.7μm~4.8μmであり、 前記ハードコートフィルムのヘイズ値が8%以上35%以下であり、 前記ハードコートフィルムの外部ヘイズ値が2.9%以上30%以下であり、 且つ前記ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上である ことを特徴とするハードコートフィルム。 【請求項2】 前記ハードコートフィルム表面の凹凸の平均傾斜角が2.1度以下であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。 【請求項3】 前記ハードコートフィルム表面の評価領域内の高さの平均値をゼロ(零)としたときの、評価領域内の高さ最大値と評価領域内の高さ最小値との差で表わす最大断面高さが3.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。 【請求項4】 前記ハードコートフィルムの拡散反射率が4.0%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルム。 【請求項5】 前記ハードコートフィルムの透過鮮明度155%以上320%以下であり、且つ光沢度が30%以上80%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハードコートフィルム。 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 前記ハードコート層上に、フッ素系樹脂を含有する反射防止層を積層してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のハードコートフィルム。 【請求項8】 前記透明フィルムが、トリアセチルセルロースフィルムであることを特徴とする請求項1乃至5、7のいずれかに記載のハードコートフィルム。 第4 特許異議申立書に記載した特許異議申立理由の概要 令和 5年 2月 3日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書に記載した申立理由の概要及び提出証拠は次の1ないし6のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1ないし3、7及び8は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許発明1ないし8は、甲第1号証に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(甲第2号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1、7及び8は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許発明1ないし8は、甲第2号証に記載された発明に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 申立理由3(甲第3号証に基づく進歩性) 本件特許発明1ないし8は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 4 申立理由4(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、下記(1)ないし(2)の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (1)シリコン微粒子について 請求項1には、「前記ハードコート層に平均粒子径の異なる2種類以上の有機微粒子を含み」との記載があり、本件特許明細書の実施例では有機微粒子としてシリコン微粒子を用いている。しかしながら、シリコン微粒子はSi微粒子であるので、無機微粒子であり、有機微粒子ではない。本件特許明細書には、シリコン微粒子が有機微粒子であることを裏付ける記載もない。本件特許明細書の実施例は全て本件特許発明に含まれないものである。したがって、本件特許発明は本件特許明細書によってサポートされていない。 (2)拡散反射率について 請求項4には「前記ハードコートフィルムの拡散反射率が4.0%以下である」との記載がある。一方で、本件特許明細書【0038】には「上記の拡散反射率が4.0%以下であることにより、良好な防眩性を維持しつつ、輝度ムラを抑えることができるという本発明の効果をより得やすくなる。」という記載がある。しかしながら、請求項4は、ハードコートフィルムの拡散反射率が4.0%以下となっているため、本件特許発明4は0%も含む。すなわち、本件特許発明4は、防眩性を発揮しないものも含む。したがって、本件特許発明4は本件特許発明の効果を奏さないものを含む。 5 申立理由5(明確性要件) 本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、下記(1)ないし(4)の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (1)有機微粒子の屈折率について 請求項1には「前記有機微粒子の屈折率(ny)」という記載がある一方で、ハードコート層に平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子を含むことが必須となっている。 ここで、本件特許明細書【0029】には「本発明の有機微粒子の屈折率(ny)は、その様なハードコート層に含まれるすべての有機微粒子の平均屈折率をいい」という記載がある。 しかしながら、本件特許明細書【0086】【表2】を見ると、微粒子Aと微粒子Bについて、それぞれ、電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)との屈折率差を求めているので、上記本件特許明細書【0029】の記載と矛盾している。 したがって、本件特許明細書等の記載を参酌しても、「有機微粒子の屈折率」を明確に把握できない。よって、本件特許発明は明確でない。 (2)平均粒子径について 請求項1には「平均粒子径」という記載がある。当該平均粒子径に関し、本件特許明細書【0026】には「なお、本発明において、上記平均粒子径とは、微粒子の長さ平均径であり」との記載がある。 しかしながら、微粒子の長さ平均径とは、微粒子のどこの長さを意味しているのか不明であり、また平均粒子径は個数の微粒子で測定するのかも不明である。 したがって、本件特許明細書等の記載を参酌しても、「平均粒子径」を明確に把握することができないので、本件特許発明は明確でない。 (3)耐擦傷性荷重について 請求項1には「前記ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上である」との記載がある。 しかしながら、通常の耐擦傷性荷重の単位は「g/cm2」であるため、耐擦傷性荷重の単位が明確でない。 したがって、本件特許明細書等を参酌しても「耐擦傷性荷重」を明確に把握することができず、本件特許発明は明確でない。 (4)平均傾斜角について 請求項2には「平均傾斜角」という記載がある。 当該平均傾斜角に関して、本件特許明細書【0082】には「(8)平均傾斜角 (株)菱化システム製の三次元表面粗計「VertScan2.0」を用いて、フィルム表面の凹凸部の平均傾斜角を測定した。」という記載はあるが、測定条件が全く記載されていない。 したがって、本件特許明細書等の記載を参酌しても、「平均傾斜角」を明確に把握することができないので、本件特許発明2は明確でない。 6 証拠方法 甲第1号証:特開2005-156642号公報 甲第2号証:特開2008-56749号公報 甲第3号証:国際公開第2009/041321号 甲第4号証:特開2013-195595号公報 甲第5号証:JIS B601-1994 甲第6号証:特開2012-247779号公報 甲第7号証:特開2010-211150号公報 甲第8号証:特開2009-175299号公報 甲第9号証:特開2010-102186号公報 証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。 以下、順に「甲1」のようにいう。 第5 令和 5年 5月 1日付け取消理由通知に記載した取消理由の概要 当審が令和 5年 5月 1日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 取消理由(甲1に基づく新規性・進歩性) 本件特許発明1ないし8は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲1に記載された発明に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 第6 令和 5年 5月 1日付け取消理由についての判断 当審は以下に述べるように、令和 5年 5月 1日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、「取消理由」という。)によって本件特許を取り消すことはできないと判断する。 1 甲1に記載された発明 甲1は「反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置」に関する文献であり、その【請求項1】、【0280】、【0286】~【0312】実施例2に記載された事項を中心に整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明> 「厚さ78μmのセルロースアセテートプロピオネートを基材とするフィルムからなる支持体上に透明導電性層、光拡散層(HKF-02)と低屈折率層を順次積層して形成された反射防止層を設けてなる反射防止フィルムであって、 光拡散層(HKF-02)は、スチレンビーズ(粒径3μm、屈折率1.61)及びスチレンビーズ(粒径5μm、屈折率1.61)をハードコート塗布液(紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率1.51)に分散して調整したものであり、 光拡散層(HKF-02)を、透明導電性層を設けたセルロースアシレートフィルム上に塗布後、紫外線照射して硬化し、乾燥膜厚4.0μmに形成して光拡散フィルム(HKF-02)を作成し、 光拡散フィルム(HKF-02)のヘイズは34%であり、 低屈折率層は、熱架橋性含フッ素ポリマーを含む硬化性組成物塗布液を膜厚85nmに塗布し、紫外線を照射して硬化したものであり、得られた反射防止フィルムのフィルム表面の形状は、Ra:0.20μm、Rz:0.98μm、Sm:60.5μm、Ry:1.27μmであって、 ヘイズ値が30%であり、スチルウール擦り耐性がAである反射防止フィルム。 スチルウール擦り耐性の評価:露光前後の反射防止フィルムにおいて、♯0000のスチルウールに500g/cm2の荷重をかけ、60往復したときの傷の状態を観察して、以下の3段階で評価した。 A:傷が全く付かない。 B:少し傷が付くが見えにくい。 C:顕著に傷が付く。」 2 検討 (1) 本件特許発明1についての対比・判断 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明における「透明導電性層」を設けた「厚さ78μmのセルロースアセテートプロピオネートを基材とするフィルム」は、本件特許発明1における「透明フィルム」に相当する。 甲1発明における「光拡散層(HKF-02)」は、「紫外線照射して硬化し」たものであるから、本件特許発明1における「ハードコート層」に相当し、かつ、「一層からなる」との特定を満たす。 そして、甲1発明における「反射防止フィルム」は、「紫外線照射して硬化し」た「光拡散層(HKF-02)」を有するフィルムであるから、本件特許発明1における「一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルム」に相当する。 甲1発明における「光拡散層(HKF-02)」の「ハードコート塗布液(紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率1.51)」は、本件特許発明1における「ハードコート層」の「電離放射線硬化型樹脂」に相当する。 甲1発明における「光拡散層」の「乾燥膜厚4.0μm」は、本件特許発明1における「ハードコート層の平均膜厚が3.7μm~4.8μmであり」との特定事項を満たす。 甲1発明における「光拡散層(HKF-02)」の「スチレンビーズ(粒径3μm、屈折率1.61)及びスチレンビーズ(粒径5μm、屈折率1.61)」は、本件特許発明1における「有機微粒子」であって、「平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子」に相当する。 そして、甲1発明における「光拡散層(HKF-02)」の「スチレンビーズ(粒径5μm、屈折率1.61)」は、本件特許発明1における「前記ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子A」に相当し、「有機微粒子Aが、平均粒子径2μm以上5μm以下であり」との発明特定事項を満たす。 さらに、甲1発明における「光拡散層(HKF-02)」の「ハードコート塗布液(紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率1.51)」と「平均一次粒子径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)と平均一次粒子径5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)」の屈折率差は、本件特許発明1における「電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と前記有機微粒子の屈折率(ny)の差(|nx-ny|)が0.03以上」との発明特定事項を満たす。 また、甲1発明における「光拡散フィルム(HKF-02)のヘイズは34%」である構成は、本件特許発明1における「一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルム」の「ヘイズ値が8%以上35%以下であり」との発明特定事項を満たす。 そうすると、本件特許発明1と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりである。 <一致点> 「透明フィルム上に、有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有する一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルムであって、 前記電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と前記有機微粒子の屈折率(ny)の差(|ny-nx|)が0.03以上であり、 前記ハードコート層に平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子を含み、前記ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子Aが、平均粒子径2μm以上5μm以下であり、 前記ハードコート層の平均膜厚が3.7μm~4.8μmであり、 前記ハードコート層のヘイズ値が8%以上35%以下である、 ハードコートフィルム」 <相違点1-1> 本件特許発明1は一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルムの「外部ヘイズ値が2.9%以上30%以下であ」るとの特定を有するのに対して、甲1発明は、そのような特定を有さない点。 <相違点1-2> 本件特許発明1は一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルムの「耐擦傷性荷重が200g以上である」との特定を有するのに対して、甲1発明は、そのような特定を有さない点。 甲1には一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルムの外部ヘイズ値については何ら記載されておらず不明であるから、相違点1-1は実質的な相違点である。 また、甲1には光拡散層と低屈折率層を設けた反射防止フィルム(すなわち、ハードコード層が光拡散層と低屈折率層であるとき)の耐擦傷性荷重性能(スチルウール試験)については記載されているが、光拡散層の耐擦傷性については何ら記載がなく不明であるから、相違点1-2も実質的な相違点である。 よって、本件特許発明1と甲1発明は相違点1-1、相違点1-2の点で相違するから、本件特許発明1は甲1発明ではない。 相違点1-1について検討する。 甲1において、外部ヘイズを調整する動機となる記載はない。 特許異議申立人の提出した甲7【0024】には、光学フィルムにおいて、ハードコート層の外部ヘーズ値(当審注:外部ヘイズ値と同じ)は像鮮明度及び視認性の観点から7%以下とし、防眩性の観点から1.0%以上であることが好ましく、3.5~5.0%であることがさらに好ましい旨一般的には記載されているが、甲1発明は光拡散層上に低屈折率層を設け、その低屈折率層表面の表面粗さを調整してなるものであることから、甲7の記載を以てしても、甲1発明において、電離放射線硬化型樹脂及び平均粒径の異なる2種以上の有機微粒子を含む一層からなるハードコート層、すなわち光拡散層に対し、その外部ヘイズ値の数値を2.9%以上30%以下に調整する契機となるものではない、 そして、他の全ての証拠においても、甲1発明の外部ヘイズ値を2.9%以上30%以下とする動機となる記載はない。 したがって、甲1発明において、相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 次に、相違点1-2について検討する。 甲1発明は、光拡散層上に低屈折率層を設けてなる反射防止フィルムであり、最表面層として低屈折率層を有するフィルムであるから、甲1発明において低屈折率層の下に形成されている光拡散層の耐擦傷性荷重を200g以上とする動機はなく、甲1及び他の全ての証拠を見てもそのように設計する動機となる記載はない。 したがって、甲1発明において、相違点1-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 以上のとおりであるから、本件特許発明1は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2) 本件特許発明2ないし5、7及び8についての対比・判断 本件特許発明2ないし5、7及び8は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。 よって、本件特許発明2ないし5、7及び8は甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 取消理由についてのまとめ 以上のとおり、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。 したがって、取消理由によって本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許を取り消すことはできない。 第7 取消理由に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立理由について 取消理由に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立理由は、 ・申立理由2(甲2に基づく新規性・進歩性) ・申立理由3(甲3に基づく進歩性) ・申立理由4(サポート要件) ・申立理由5(明確性要件)である。 以下、順に検討する。 1 申立理由2(甲2に基づく新規性・進歩性) (1)甲2に記載された発明 甲2は「電離放射線硬化性樹脂組成物及びそれを用いた積層体」に関する文献であり、その【0069】、【0085】~【0086】、【0098】~【0108】の配合例(1)~(4)を使用した実施例1~4に記載された事項を中心に整理すると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲2発明> 「ポリオルガノシロキサン鎖及びラジカル重合性二重結合を持つビニル共重合体溶液A1、A2、A3と、 ペンタエリスリトールテトラアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート=99/1、及び、アロニックスM306(東亜合成社製、ペンタエリスリトールテトラアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート=35/65)、あるいは、 紫光UV7605B(日本合成化学製、6官能ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂)を、 トルエン及び1,3-ジオキソランに溶解し、光重合開始剤を加え、この溶液に、 平均粒径3.5μm、屈折率1.525の架橋ポリスチレン-メチルメタアクリレート粒子(XX-12AE、積水化学社製)、及び、 平均粒径2.5μm、屈折率1.490の架橋メチルメタアクリレート粒子(エポスターM1002、日本触媒社製) を加えて調製した電離放射線硬化性樹脂組成物(1)~(4)を厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(冨士写真フィルム社製)にバーコーターを用いて塗布し、70℃-1分で乾燥させた後、窒素パージにより0.3重量%以下酸素濃度雰囲気にて、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射量400mJ/cm2で照射して塗布層を硬化させ、厚さ5.5μmの防眩層を形成した、ヘイズが10~32%、耐擦傷性試験が5の防眩フィルム。 耐擦傷性試験:スチールウール♯0000を用い、500g/cm2荷重で10往復擦り、傷の程度を目視評価 」 (2)検討 ア 本件特許発明1についての対比・判断 本件特許発明1と甲2発明をと対比する。 甲2発明における「防眩層」は、「電離放射線硬化性樹脂組成物(1)~(4)を」「塗布」「乾燥させた後」「紫外線を照射量400mJ/cm2で照射し」「硬化」した層であるから、本件特許発明1におけるハードコート層」に相当する。 そして、甲2発明における「防眩層」は、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布、乾燥、紫外線照射による硬化の一連の工程で形成されているから、本件特許発明1における「一層からなる」ハードコート層に相当する。 さらに、甲2発明における「防眩フィルム」は、本件特許発明1における「ハードコートフィルム」に相当する。 また、甲2発明における「トリアセチルセルロースフィルム」は、本件特許発明1における「透明フィルム」に相当する。 甲2発明における「ポリオルガノシロキサン鎖及びラジカル重合性二重結合を持つビニル共重合体溶液A1、A2、A3」、「ペンタエリスリトールテトラアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート=99/1」、「アロニックスM306(東亜合成社製、ペンタエリスリトールテトラアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート=35/65)」及び「紫光UV7605B(日本合成化学製、6官能ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂)」はいずれも、本件特許発明1における「電離放射線硬化性樹脂」に相当する。 甲2発明における「平均粒径3.5μm、屈折率1.525の架橋ポリスチレン-メチルメタアクリレート粒子(XX-12AE、積水化学社製)」及び「平均粒径2.5μm、屈折率1.490の架橋メチルメタアクリレート粒子(エポスターM1002、日本触媒社製)」は、本件特許発明1における「平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子」に相当し、甲2発明における「平均粒径3.5μm、屈折率1.525の架橋ポリスチレン-メチルメタアクリレート粒子H(XX-12AE、積水化学社製)」は、本件特許発明1における「ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子A」であって、「平均粒子径2μm以上5μm以下であり」との特定事項を満たす。 さらに、甲2発明における「ヘイズが10~32%」は、本件特許発明1における「ハードコートフィルムのヘイズ値が8%以上35%以下であり」との特定事項を満たす。 また、甲2発明における「耐擦傷性試験が5」とは、「スチールウール♯0000を用い、500g/cm2荷重で10往復擦り、傷の程度を目視評価」であるから、本件特許発明1における「前記ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上である」との発明特定事項を満たしている。 そうすると、本件特許発明1と甲2発明との一致点、相違点は次のとおりである。 <一致点> 「透明フィルム上に、有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有する一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルムであって、 前記ハードコート層に平均粒径の異なる2種以上の有機微粒子を含み、前記ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を有する有機微粒子Aが、平均粒子径2μm以上5μm以下であり、 前記ハードコートフィルムのヘイズ値が8%以上35%以下であり、 且つ前記ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上である ハードコートフィルム。」 <相違点2-1> 本件特許発明1は「電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と有機微粒子の屈折率(ny)の差(|ny-nx|)が0.03以上であ」るとの特定を有するのに対して、甲2発明は、そのような特定を有さない点 <相違点2-2> 本件特許発明1は「ハードコート層の平均膜厚が3.7μm~4.8μmであ」るとの特定を有するのに対して、甲2発明は、そのような特定を有さない点 <相違点2-3> 本件特許発明1はハードコートフィルムの「外部ヘイズ値が2.9%以上30%以下であ」るとの特定を有するのに対して、甲2発明は、そのような特定を有さない点 上記相違点2-1について検討する。 甲2発明における電離放射線硬化型樹脂である「ポリオルガノシロキサン鎖及びラジカル重合性二重結合を持つビニル共重合体溶液A1、A2、A3」「ペンタエリスリトールテトラアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート=99/1」「「アロニックスM306(東亜合成社製、ペンタエリスリトールテトラアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート=35/65)」「紫光UV7605B(日本合成化学製、6官能ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂)」の屈折率については、いずれも甲2に記載されておらず、また他の全ての証拠を見ても明らかではない。 この点について、特許異議申立人は、甲8及び甲9の記載事項から、電離放射線硬化型樹脂の屈折率が1.53程度であることが周知技術であり、甲2発明の電離放射線硬化型樹脂の屈折率を1.53と仮定すると、甲2発明の架橋メチルメタクリレート粒子の屈折率1.490との差は0.04になるから、この点は相違点ではない旨主張している(特許異議申立書第60頁第12~18行)。 しかしながら、甲8及び甲9の記載を参酌しても、電離放射線硬化型樹脂の屈折率がモノマー種や樹脂組成によらず1.53であるとはいえないから、甲2発明の電離放射線硬化型樹脂の正確な屈折率は依然として不明である。すなわち、甲2発明において、電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と有機微粒子の屈折率(ny)の差(|ny-nx|)が0.03以上を満たすためには、電離放射線硬化型樹脂の屈折率は1.52以上でなければならないが、甲8及び甲9の記載を参酌しても、甲8及び甲9に記載の電離放射線硬化型樹脂とはモノマー種及び樹脂組成が異なる甲2発明の電離放射線硬化型樹脂の屈折率が屈折率1.52以上である、と判断することはできない。 よって、相違点2-1は実質的な相違点である。 したがって、本件特許発明1は甲2発明ではない。 また、甲2及び他の全ての証拠をみても、甲2発明において、電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と有機微粒子の屈折率(ny)の差(|ny-nx|)が0.03以上とする動機となる記載はない。 したがって、甲2発明において、相違点2-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 そして、本件特許発明1は、電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と有機微粒子の屈折率(ny)の差(|ny-nx|)を0.03以上とすることにより、良好な輝度ムラ抑制と良好な防眩性を両立できる(本件特許明細書【0046】)という格別かつ顕著な効果を奏するものである。 よって、他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は甲2発明であるとはいえず、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2ないし5、7及び8についての対比・判断 本件特許発明2ないし5、7及び8は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。 よって、本件特許発明7及び8は甲2発明であるとはいえず、本件特許発明2ないし5、7及び8は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)申立理由2についてのまとめ 以上のとおり、本件特許の請求項1、7及び8に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。 したがって、申立理由2によって本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許を取り消すことはできない。 2 申立理由3(甲3に基づく進歩性)について (1)甲3に記載された発明 甲3は「光学フィルム、偏光板および画像形成装置」に関する文献であり、その[0152]~[0155]、[0169]~[0179]、[0182][表3]実施例16に記載された事項を中心に整理すると、甲3には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲3発明> 「透明フィルム基材であるセルロースエステルフィルム(コニカミノルタタックKC4UY、コニカミノルタオプト(株)製、トリアセチルセルロース、アセチル置換度2.9、膜厚40μm)に防眩層として、次の組成の防眩層用塗布組成物1をダイコートし、乾燥した後、0.30J/cm2の紫外線を高圧水銀灯で照射して、硬化後の膜厚が5μmとなるように防眩層を塗設したものであって、防眩層の透明樹脂のみの屈折率は1.49であり、全ヘイズが25%、表面ヘイズが5%、内部ヘイズが20%、鉛筆硬度が5Hである光学フィルム。 (防眩層用塗布組成物1)アセトン 35質量部、酢酸エチル 35質量部、シクロヘキサノン 15質量部、トルエン 15質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート 30質量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート 45質量部、ウレタンアクリレート(商品名U-4HA、新中村化学工業社製) 25質量部、1-ヒドロキシシクロヘキシルーフェニルーケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 8質量部、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モノホルノプロパン-1-オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 8質量部、粒子D:フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子(根上工業(株)製 MF-0043 平均粒径3.5μm 屈折率1.42)、及び、粒子H:シリカ粒子(平均粒径1.0μm 屈折率1.46)」 (2)検討 ア 本件特許発明1についての対比・判断 本件特許発明1と甲3発明とを対比する。 甲3発明における「透明フィルム基材であるセルロースエステルフィルム(コニカミノルタタックKC4UY、コニカミノルタオプト(株)製、トリアセチルセルロース、アセチル置換度2.9、膜厚40μm)」は、本件特許発明1における「透明フィルム」に相当する。 甲3発明における「防眩層」は「防眩層用塗布組成物1」を「ダイコートし」「乾燥」した後、「0.30J/cm2の紫外線を高圧水銀灯で照射して、硬化」した層であるから、本件特許発明1における「ハードコート層」に相当する。 また、甲3発明における「防眩層」は、防眩層用塗布組成物のダイコート、乾燥、紫外線照射による硬化の一連の工程で形成されているから、本件特許発明1における「一層からなる」ハードコート層に相当する。 そして、甲3発明における「光学フィルム」は、本件特許発明1における「ハードコートフィルム」に相当する。 また、甲3発明における「ペンタエリスリトールトリアクリレート」、「ペンタエリスリトールテトラアクリレート」及び「ウレタンアクリレート(商品名U-4HA、新中村化学工業社製)」の混合組成物は、本件特許発明1における「電離放射線硬化型樹脂」に相当する。 甲3発明における「粒子D:フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子(根上工業(株)製 MF-0043 平均粒径3.5μm 屈折率1.42)、及び、粒子H:シリカ粒子(平均粒径1.0μm 屈折率1.46)」は、本件特許発明1における「平均粒子径の異なる2種以上の」「微粒子」に相当する。 また、甲3発明における「粒子D:フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子(根上工業(株)製 MF-0043 平均粒径3.5μm 屈折率1.42)」は、本件特許発明1における「ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子A」に相当し、「平均粒子径2μm以上5μm以下であり」との特定事項を満たす。 そして、甲3発明においては、電離放射線硬化型樹脂の「透明樹脂のみの屈折率は1.49」であって、「粒子D:フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子(根上工業(株)製 MF-0043 平均粒径3.5μm)は「屈折率1.42」であるから、本件特許発明1の「電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と有機微粒子の屈折率(ny)の差(|nx―ny|)が0.03以上であり」との特定事項を満たす。 さらに、甲3発明における「全ヘイズが25%、表面ヘイズが5%」は、本件特許発明1における「ハードコートフィルムのヘイズ値が8%以上35%以下であり」「外部ヘイズ値が2.9%以上30%以下である」との特定事項を満たす。 そうすると、本件特許発明1と甲3発明との一致点、相違点は次のとおりである。 <一致点> 「透明フィルム上に、有機微粒子及び電離旺斜線硬化型樹脂を含有する一層からなるハードコート層を有するハードコートフィルムであって、 前記電離放射線硬化型樹脂の屈折率(nx)と前記有機微粒子の屈折率(ny)との差(|nx-ny|)が0.03以上であり、 前記ハードコート層に平均粒子径の異なる2種以上の微粒子を含み、前記ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子Aが、平均粒子径2μm以上5μm以下であり、 前記ハードコートフィルムのヘイズ値が8%以上35%以下であり、 前記ハードコートフィルムの外部ヘイズ値が2.9%以上30%以下である ハードコートフィルム。」 <相違点3-1> 本件特許発明1はハードコート層に平均粒子径の異なる2種以上の「有機」微粒子を含むとの特定を有するのに対して、甲3発明は、そのような特定を有さない点。 <相違点3-2> 本件特許発明1は「ハードコート層の平均膜厚が3.7μm~4.8μmであ」るとの特定を有するのに対して、甲3発明は、そのような特定を有さない点。 <相違点3-3> 本件特許発明1は「ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上であ」るとの特定を有するのに対して、甲3発明は、そのような特定を有さない点。 相違点3-1について検討する。 甲3において、甲3発明の平均粒子径の異なる2種類の微粒子を、そのどちらも有機微粒子として、平均粒子径の異なる2種類以上の有機微粒子とする動機となる記載はない。 そして、他の全ての証拠においても、甲3発明の平均粒子径の異なる2種類の微粒子を、いずれも有機微粒子として、平均粒子径の異なる2種類以上の有機微粒子とする動機となる記載はない。 特許異議申立人は、相違点3-1に係る平均粒子径の異なる2種類以上の有機微粒子に関し、甲3にはシリカを主成分とする無機粒子の他、アクリル系粒子も挙げられているとともに、フッ素含有アクリル樹脂粒子が好ましい旨記載されているから、甲3発明において、シリカ粒子の代わりに、アクリル系粒子やフッ素含有アクリル樹脂粒子を用いることに何ら困難性はないと主張している(特許異議申立書第68頁第16~23行)。 しかしながら、甲3の他のハードコートフィルム製造例をみても、有機微粒子を2種用いたフィルム製造例(甲3の実施例12、13)は、いずれもヘイズ値が40%と本件特許発明1で規定する範囲である8%以上35%以下から外れるものとなっており、甲3発明において具体的に調整されている防眩層組成のうち、「粒子H:シリカ粒子(平均粒径1.0μm 屈折率1.46)」を取り出して、これを他の有機微粒子に変更し、かつ、ヘイズ値を変えないか、あるいは、ヘイズ値が本件特許発明1の範囲である8%以上35%以下を満たすように調整する動機はない。 そして、甲3及び他の全ての証拠をみても、そのように粒子を変更し、かつ、ヘイズ値を調整する動機となる記載はない。 したがって、甲3発明において、相違点3-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 よって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件特許発明2ないし5、7及び8についての対比・判断 本件特許発明2ないし5、7及び8は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであって、請求項1に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件特許発明1と同様に判断される。 よって、本件特許発明2ないし5、7及び8は、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)申立理由3についてのまとめ 以上のとおり、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る発明は、特許法第29条第2項に該当しないから、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許は特許法第113条第2号に該当しない。 したがって、申立理由3によって本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許を取り消すことはできない。 3 申立理由4(サポート要件)について (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで、検討する。 (2)サポート要件の判断 本件特許の発明の詳細な説明の【0008】の「そこで本発明は、良好な防眩性を維持しつつ、輝度ムラを抑えることができ、ディスプレイの視認性の良好なハードコートフィルムを提供することを課題とする。」との記載によると、本件特許発明1ないし5、7及び8の解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は、良好な防眩性を維持しつつ、輝度ムラを抑えることができ、ディスプレイの視認性の良好なハードコートフィルムを提供することである。 また、本件特許の発明の詳細な説明の【0009】ないし【0014】には本件特許発明1ないし5、7及び8に対応する記載がある。 さらに、本件特許の発明の詳細な説明の【0017】には透明フィルム基材について、【0017】ないし【0021】には電離放射線硬化型樹脂について、【0022】には電離放射線硬化型樹脂の屈折率について、【0023】ないし【0028】には有機微粒子について、【0029】には有機微粒子の屈折率について、【0031】ないし【0033】にはハードコート層の製造方法について、【0034】にはハードコートフィルムの表面の平均傾斜角について、【0035】ないし【0037】には最大断面高さについて、【0038】には拡散反射率について、【0039】には透明鮮明度について、【0040】にはヘイズ値について、【0041】には耐擦傷性荷重について、【0042】ないし【0045】には反射防止層について、【0046】には電離放射線硬化型樹脂の屈折率と有機微粒子の屈折率との差について、それぞれ記載されている。 そして、本件特許の発明の詳細な説明の【0048】ないし【0088】には、透明フィルム上に、有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムの具体的な製造例が記載され、電離放射線硬化型樹脂の屈折率と有機微粒子の屈折率との差が0.03以上であり、ハードコート層には平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子を含有し、ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子Aが平均粒子径2μm以上5μm以下であり、ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上であるハードコートフィルムにおいては、キラツキと防眩性の両指標において良好な結果が得られており、輝度ムラの抑制と表面凹凸による防眩性の発現をバランスよく両立することができ、また、優れたハード性(耐擦傷性)を備えることが記載されている。 以上の記載事項から、当業者は、透明フィルム上に、有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムの具体的な製造例が記載され、電離放射線硬化型樹脂の屈折率と有機微粒子の屈折率との差が0.03以上であり、ハードコート層には平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子を含有し、ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子Aが平均粒子径2μm以上5μm以下であり、ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上であるフィルムにより、発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1ないし5、7及び8は、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できるハードコートフィルムをさらに限定したものである。 したがって、本件特許発明1ないし5、7及び8は、本件特許の発明の詳細な説明に記載された発明で、本件特許の発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえ、本件特許発明1ないし5、7及び8に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合するといえる。 (3)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人の第4 4の主張について検討する。 ・シリコン微粒子について 特許異議申立人が主張する本件特許明細書に記載のシリコン微粒子は、本件特許明細書【0063】「有機微粒子Aしてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製シリコン微粒子(平均粒径4.5μm、屈折率1.43)7部」「同シリコン微粒子(平均粒径2.0μm、屈折率1.43)3部」であるが、これはSi元素の微粒子ではなく、シリコン樹脂粒子である。 シリコン樹脂は、siliconeの発音に近い表記として片仮名で「シリコーン(樹脂)」と記されるが、「シリコン(樹脂)」と記されることもあり、その際に「(樹脂)」は省略されている場合もあることが、当該技術分野において広く知られている。 そして、当該シリコン樹脂粒子が有機微粒子を示すことは、本件特許明細書【0023】に「本発明のハードコート層には有機微粒子が含まれることが需要である。その様な有機微粒子を形成する材料としては、………(中略)………シリコン樹脂(屈折率1.42)等が挙げられる。」との記載からも明らかである。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用し得ない。 ・拡散反射率について 上記(2)においても検討したとおり、本件特許発明の課題は、透明フィルム上に、有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムの具体的な製造例が記載され、電離放射線硬化型樹脂の屈折率と有機微粒子の屈折率との差が0.03以上であり、ハードコート層には平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子を含有し、ハードコート層に含まれる最大の平均粒子径を示す有機微粒子Aが平均粒子径2μm以上5μm以下であり、ハードコートフィルムの耐擦傷性荷重が200g以上であるフィルムにより解決されている。本件特許発明4は、発明の課題を解決できる範囲をさらに限定したものであるから、本件特許発明4も当然にサポート要件に適合すると判断されるものであって、特許異議申立人の当該主張は上記判断に影響しない。 よって、特許異議申立人の主張は採用し得ない。 (4)申立理由4についてのまとめ したがって、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、特許法第113条第4号に該当せず、申立理由4によっては取り消すことはできない。 5 申立理由5(明確性要件)について (1)明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 そこで、検討する。 (2)明確性要件の判断 本件特許の請求項1ないし5、7及び8の記載は、上記第3のとおりであり、それ自体に不明確な記載はなく、本件特許の明細書の記載とも整合する。 したがって、本件特許発明1ないし5、7及び8に関して、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 (3)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人の上記第4 5の主張について検討する。 ・有機微粒子の屈折率について 本件特許の請求項1には、「有機微粒子及び電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムであって、前記電離放射線硬化型樹の屈折率(nx)と前記有機微粒子の屈折率(ny)との差(|nx-ny|)が0.03以上であり」と記載されているから、ハードコート層には、「前記電離放射線硬化型樹の屈折率(nx)と前記有機微粒子の屈折率(ny)との差(|nx-ny|)が0.03以上」である有機微粒子が少なくとも1種以上含まれることが特定されている。 また、本件特許の請求項1には「前記ハードコート層に平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子を含み」と記載されているから、ハードコート層には、平均粒子径の異なる2種以上の有機微粒子が含まれることが特定されている。 請求項1の記載は(2)で検討したとおり明確であり、請求項1の「有機微粒子の屈折率」は明確に把握することができ、この点を以て第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 ・平均粒子径について 本件特許の発明の詳細な説明において平均粒子径の計測方法の特定及び測定値の統計処理に関する記載はないが、本件特許の発明の詳細な説明【0026】に「本発明において、上記平均粒子径とは、微粒子の長さ平均値であり、たとえばレーザー回折粒度測定器SALD2200(島津製作所製)によって測定することが可能である」等と記載されていることから、当該技術分野において使用される通常の測定方法にて平均粒子径が測定されると解されるものであり、この点を以て第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 ・耐擦傷性荷重について 本件特許の発明の詳細な説明においては、耐擦傷性荷重の単位が[g]となっているが、耐擦傷性試験における荷重が単位面積当たりで示されることが通常であることは明らかあって、この点を以て第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 ・平均傾斜角について 平均傾斜角の測定に関しては、本件特許明細書【0082】に記載されているとおりの測定方法により測定されるものであり、当該技術分野における通常の測定方法にて測定されるものであるから、当該測定条件の詳細が明記されていないことを以て、第三者の利益が不当に解されるほどの不明確であるとはいえない。 (4)申立理由5についてのまとめ したがって、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、特許法第113条第4号に該当せず、申立理由5によっては取り消すことはできない。 第8 結語 上記第6及び第7のとおり、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許は、取消理由並びに特許異議申立書に記載した申立理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許の請求項6に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項6に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700115

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