特許異議申立
2021-700157
織地の製造方法および生機
- 審判番号
- 2021-700157
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-172074外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6739490
- 請求日
- 2021年02月12日
- 審決日
- 2021年11月24日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日清紡テキスタイル株式会社
- 【権利者代理人】籾井 孝文
- 【異議申立人】山田 友則
- 分類
- P1651.121-YAA(D03D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6739490号発明「織地の製造方法および生機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6739490号の特許請求の範囲を令和3年8月26日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕、〔8-10〕について訂正することを認める。
特許第6739490号の請求項2~7に係る特許を維持する。
特許第6739490号の請求項1、8~10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6739490号の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成30年9月14日に出願され、令和2年7月27日にその特許権の設定登録がされ、令和2年8月12日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年2月12日 : 特許異議申立人山田友則(以下「申立人」という。)による請求項1~10に係る特許に対する特許異議の申立て
令和3年6月30日付け: 取消理由通知書
令和3年8月26日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
第2 訂正の請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求は、特許第6739490号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりのものである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項2に「下記関係式(1)および(2)を満たすように製織時の経糸張力を調整する、請求項1に記載の製造方法。
T=(W/S)×K (1)
0.5≦K≦1.5 (2)
(式中、Tは製織時の経糸張力(N)を表し、Sは経糸全体の英国式綿番手の平均値を表し、Wは経糸総数を表し、Kは係数を表す)」とあるのを、
「導電糸および非導電糸を経糸として用いて、無杼織機によって織地を製織する、織地の製造方法であって、
該経糸の糊付着量が、2.0質量% 以下であり、
該非導電糸が、綿繊維を5質量%~99質量%の含有量で含み、
該非導電糸が、2本以上の単糸を引き揃えて撚った合撚糸を含み、
下記関係式(1)および(2)を満たすように製織時の経糸張力を調整する、製造方法。
T=(W/S)×K (1)
0.5≦K≦1.5 (2)
(式中、Tは製織時の経糸張力(N)を表し、Sは経糸全体の英国式綿番手の平均値を表し、Wは経糸総数を表し、Kは係数を表す)」に訂正する。(請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項3~7についても同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項3の「請求項1または2に記載」を、「請求項2に記載」に訂正する。(請求項3を直接的又は間接的に引用する請求項4~7についても同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4の「請求項1から3のいずれかに記載」を、「請求項2または3に記載」に訂正する。(請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項5~7についても同様に訂正する。)
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5の「請求項1から4のいずれかに記載」を、「請求項2から4のいずれかに記載」に訂正する。(請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項6~7についても同様に訂正する。)
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6の「請求項1から5のいずれかに記載」を、「請求項2から5のいずれかに記載」に訂正する。(請求項6を引用する請求項7についても同様に訂正する。)
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7の「請求項1から6のいずれかに記載」を、「請求項2から6のいずれかに記載」に訂正する。
(8)訂正事項8
訂正前の特許請求の範囲の請求項8、請求項9及び請求項10を削除する。
2 訂正の適否
本件訂正前の請求項1~7は、請求項2~7が請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、また、本件訂正前の請求項8~10は、請求項9~10が請求項8を引用しているものであって、訂正事項8によって訂正される請求項8に連動して訂正されるものであるから、本件訂正請求は、一群の請求項1~7、一群の請求項8~10について、請求されたものである。
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であるところ、請求項間の引用関係を解消して独立形式へ改める訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正であり、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3~7
訂正事項3~7は、訂正事項1で請求項1が削除されたことに伴い、請求項1との引用関係を解消する訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の特許請求の範囲の請求項8、請求項9及び請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 小括
したがって、訂正事項1~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正後の請求項〔1-7〕、〔8-10〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
上記のとおり、本件訂正請求が認められるから、本件特許の請求項2~7に係る発明(以下「本件発明2」等といい、総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2~7に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項2】
導電糸および非導電糸を経糸として用いて、無杼織機によって織地を製織する、織地の製造方法であって、
該経糸の糊付着量が、2.0質量% 以下であり、
該非導電糸が、綿繊維を5質量%~99質量%の含有量で含み、
該非導電糸が、2本以上の単糸を引き揃えて撚った合撚糸を含み、
下記関係式(1)および(2)を満たすように製織時の経糸張力を調整する、製造方法。
T=(W/S)×K (1)
0.5≦K≦1.5 (2)
(式中、Tは製織時の経糸張力(N)を表し、Sは経糸全体の英国式綿番手の平均値を表し、Wは経糸総数を表し、Kは係数を表す)
【請求項3】
前記合撚糸が、双糸または三子である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記非導電糸の伸度が、0.5%~20.0%である、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記経糸の筬通し数が、4本~8本である、請求項2から4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記導電糸が、短繊維を含む鞘糸で導電性を有する芯糸を被覆したコアスパンヤーンである、請求項2から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記経糸が、0.2本/2.54cm~5.0本/2.54cmの間隔で配置された前記導電糸を含む、請求項2から6のいずれかに記載の製造方法。」
2 取消理由の概要
理由(進歩性)
本件特許の請求項1、3~10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
甲第1号証:特開2012-12718号公報(以下「甲1」という。)
3 取消理由についての判断
訂正後の本件発明2~7は、取消理由を通知していない訂正前の請求項2に係る発明特定事項を全て含むものであるから、甲1に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得たものではない。
4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)本件発明2
ア 甲1の記載及び甲1発明
甲1の織物試料の調製(【0057】及び【0058】)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「綿100重量%紡績糸をリング式の撚糸機を用いて英式番手で40番双糸(40/2)を作成し、また、双糸を作る時にポリエステル導電糸を合撚することで導電糸入り紡績糸を作成し、
40/2の綿紡績糸と導電糸入り紡績糸を糊付けして整経し、導電糸入り紡績糸を、経糸24.5本に1本の割合で配列し、40/2の紡績糸を緯糸に用いてエアージェットルームにて、織物(生機)を製織する方法。」
イ 対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「導電糸および非導電糸を経糸として用いて、無杼織機によって織地を製織する、織地の製造方法であって、
該非導電糸が、綿繊維を含み、
該非導電糸が、2本以上の単糸を引き揃えて撚った合撚糸を含む、製造方法。」
(相違点1)
本件発明2が、経糸の糊付着量が、2.0質量%以下であるのに対し、甲1発明が、綿紡績糸と導電糸入り紡績糸とを糊付けして整経するものの、糊付着量が不明である点。
(相違点2)
本件発明2が、非導電糸が、綿繊維を5質量%~99質量%の含有量で含むものであるのに対し、甲1発明が、綿100重量%紡績糸である点。
(相違点3)
本件発明2が、「下記関係式(1)および(2)を満たすように製織時の経糸張力を調整する、製造方法。
T=(W/S)×K (1)
0.5≦K≦1.5 (2)
(式中、Tは製織時の経糸張力(N)を表し、Sは経糸全体の英国式綿番手の平均値を表し、Wは経糸総数を表し、Kは係数を表す)」であるのに対し、甲1発明が、当該構成について不明である点。
ウ 判断
事案に鑑み、先ず、相違点3について検討する。
相違点3に係る本件発明2の関係式(1)および(2)を満たすように製織時の経糸張力を調整する事項については、甲1に記載ないし示唆はない。
また、該事項は、他の甲各号証においても記載ないし示唆はないし、当該技術分野において、周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明3~7
本件発明3~7は、本件発明2を直接的又は間接的に引用するものであり、本件発明2の発明特定事項の全てを含むものである。
したがって、上記(1)で述べたとおり、本件発明3~7は、甲1発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 むすび
以上のとおりであるから、請求項2~7に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。他に請求項2~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1、8~10に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除されたため、申立人による請求項1、8~10に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700157