特許訂正審判
2020-390051
遊技機
- 審判番号
- 2020-390051
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-228442
- 登録番号
- 特許第6705491号(P6705491)
- 請求日
- 2020年06月23日
- 審決日
- 2020年09月08日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 三洋物産
- 【請求人代理人】川口 光男
- 審判長/審判官
- 審判長 石井 哲
- 審判官 小島 寛史
- 審判官 鷲崎 亮
- 分類
- P141 .852-Y (A63F) / P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6705491号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6705491号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6705491号(以下、「本件特許」という。)は、平成24年6月15日(優先権主張 平成24年4月20日)に出願された特願2012-135747号の一部を平成28年10月5日に特願2016-196915号として新たな特許出願とし、その一部を平成30年12月5日に特願2018-228442号として新たな特許出願としたものであり、令和2年5月18日に特許権の設定登録がなされ、同年6月23日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の趣旨は、本件特許の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正事項
1 訂正事項1
明細書の段落【0004】に「ところで、遊技機メーカーが新機種等を製作する場合には、従来の遊技機に対する評価等を参考にして、遊技者に喜ばれる遊技機づくりを目指している。しかしながら、例えば、マーケティングを調査会社に依頼する等して行う場合には、満足な数の反応が得られなかったり、結果報告が遅れたりするおそれがある。また、遊技者に対して行ったアンケートの回答が正確ではないことも懸念される。」と記載されているのを、
「ところで、遊技者が自身の遊技を顧みる場合に、遊技者が遊技した履歴が残されていると、参考資料として重宝される。」に訂正する(下線部は訂正箇所を表す。以下も同様。)。
2 訂正事項2
明細書の段落【0005】に「ところで、遊技者が自身の遊技を顧みる場合に、遊技者が遊技した履歴が残されていると、参考資料として重宝される。」と記載されているのを、
「本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、遊技に関する情報をより多く得ることのできる遊技機を提供することにある。」に訂正し、
明細書の段落【0006】を削除する。
なお、請求人は審判請求書において、段落【0005】の訂正と段落【0006】を削除する訂正とを異なる訂正事項としているが、これらは訂正前の段落【0006】の記載を段落【0005】へと移動させるために、訂正前の段落【0006】の記載を訂正後の段落【0005】に記載するとともに、段落【0006】の記載を削除するものであり、訂正要件についてまとめて検討することが妥当であるから、当審において訂正事項2として1つの訂正事項にまとめた。
3 訂正事項3
明細書の段落【0008】に「本発明によれば、遊技者の遊技傾向に関する情報を広く収集することができる。」と記載されているのを、
「本発明によれば、遊技に関する情報をより多く得ることができる。」に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0009】に「本発明によれば、遊技に関する情報をより多く得ることができる。」と記載されているのを、
「 【図1】パチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機を示す斜視図である。
【図3】内枠及び前面枠セットを開放した状態を示す斜視図である。
【図4】内枠および遊技盤等の構成を示す正面図である。
【図5】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図6】内枠及び裏パックユニット等を開放した状態を示す斜視図である。
【図7】パチンコ機の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図8】メニュー表示処理を示すフローチャートである。
【図9】パスワード入力処理を示すフローチャートである。
【図10】コード発行処理を示すフローチャートである。
【図11】メニュー画面を示す説明図である。
【図12】パスワード入力画面を示す説明図である。
【図13】サーバによるアクセス対応処理を示すフローチャートである。
【図14】サーバによるパスワード発行処理を示すフローチャートである。
【図15】遊技システムの概略を示す説明図である。
【図16】ご当地演出を示す説明図である。」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)には、「【発明が解決しようとする課題】」の見出しに続いて、段落【0004】に「ところで、遊技機メーカーが新機種等を製作する場合には、従来の遊技機に対する評価等を参考にして、遊技者に喜ばれる遊技機づくりを目指している。しかしながら、例えば、マーケティングを調査会社に依頼する等して行う場合には、満足な数の反応が得られなかったり、結果報告が遅れたりするおそれがある。また、遊技者に対して行ったアンケートの回答が正確ではないことも懸念される。」と記載され、段落【0005】に「ところで、遊技者が自身の遊技を顧みる場合に、遊技者が遊技した履歴が残されていると、参考資料として重宝される。」と記載されており、いずれの段落の記載が発明が解決しようとする課題に対応するものか、一見したところ必ずしも明らかでなかった。
しかるところ、訂正事項1は、両段落の記載のうち、訂正前の段落【0005】の記載のみを残すことにより、同段落の記載が発明が解決しようとする課題に対応するものであることを明らかにしようとするものであり、それに伴い、訂正前の段落【0004】の記載を削除するとともに、訂正前の段落【0005】の記載を、訂正後の段落【0004】に記載することとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項1に係る訂正後の段落【0004】の記載は、訂正前の段落【0005】に記載されているものであるから、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項1は、訂正前の段落【0004】の記載を削除するとともに、訂正前の段落【0005】の記載を、訂正後の段落【0004】に記載するものであるところ、訂正前の段落【0004】の記載は、訂正の前後を通じて段落【0291】及び【0292】にも記載されているものである。
また、訂正前の段落【0004】には、「ところで、遊技機メーカーが新機種等を製作する場合には、従来の遊技機に対する評価等を参考にして、遊技者に喜ばれる遊技機づくりを目指している。しかしながら、例えば、マーケティングを調査会社に依頼する等して行う場合には、満足な数の反応が得られなかったり、結果報告が遅れたりするおそれがある。また、遊技者に対して行ったアンケートの回答が正確ではないことも懸念される。」という課題が記載されているところ、特許請求の範囲に記載された発明は、携帯情報端末やサーバなどを含まない「遊技機」の発明であって、当該課題と対応していないことが明らかであるから、当該課題を直接的に解決するものとはいえない。
そうすると、訂正事項1は、明細書の訂正であって、明細書の他の箇所にも記載されており特許請求の範囲に記載された発明と対応してしないことが明らかな課題の記載を段落【0004】から削除するとともに、訂正前の段落【0005】の記載を訂正後の段落【0004】に記載するものであって、特許請求の範囲の解釈に影響するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前の本件特許明細書には、「【課題を解決するための手段】」の見出しに続いて、段落【0006】に「本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、遊技に関する情報をより多く得ることのできる遊技機を提供することにある。」と記載されているところ、当該記載は、発明の目的を説明するものであって、課題を解決するための手段を説明するものではないから、誤りであることが明らかである。
訂正事項2は、訂正前の段落【0006】の記載を、「【課題を解決するための手段】」の見出しよりも前の段落【0005】に記載するように訂正するとともに、段落【0006】の記載を削除することにより、上記の誤りを正そうとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
本件特許の願書に最初に添付した明細書(以下、「本件当初明細書」という。)の段落【0210】には、「従って、より多くの選択情報を得るといった作用効果が一層確実に奏される。」と記載されている。また、遊技に関する情報をより多く得ることができるようにすることは、遊技機の技術分野における自明な課題でもある。そうすると、訂正事項2に係る訂正後の段落【0005】の記載(「本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、遊技に関する情報をより多く得ることのできる遊技機を提供することにある。」)は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件当初明細書等」という。)の記載に基づくものであって、本件当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また、段落【0006】を削除する訂正は、訂正前の段落【0006】の記載を段落【0005】へと移動させるために、訂正前の段落【0006】の記載を段落【0005】に記載することに伴いなされるものであるから、本件当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであることが明らかである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2は、明細書における課題を解決するための手段に解決手段ではなく発明の目的が記載されているという誤記を訂正するため、その記載箇所を変更するにすぎないものであって、特許請求の範囲の解釈に影響するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第第6項の規定に適合する。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正前の本件特許明細書には、「【発明の効果】」の見出しに続いて、段落【0008】に「本発明によれば、遊技者の遊技傾向に関する情報を広く収集することができる。」と記載され、それに続いて、「【図面の簡単な説明】」の見出しの後に、段落【0009】に「本発明によれば、遊技に関する情報をより多く得ることができる。」と記載されており、いずれの段落の記載が発明の効果に対応するものか必ずしも明らかでなかった。
しかるところ、訂正事項3は、両段落の記載のうち、訂正前の段落【0009】の記載のみを残すことにより、同段落の記載が発明の効果に対応するものであることを明らかにしようとするものであり、それに伴い、訂正前の段落【0008】の記載を削除するとともに、訂正前の段落【0009】の記載を、訂正後の段落【0008】に記載することとするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項3に係る訂正後の段落【0008】の記載は、訂正前の段落【0009】に記載されているものであるから、訂正事項3は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3は、訂正前の段落【0008】に記載されていた「本発明によれば、遊技者の遊技傾向に関する情報を広く収集することができる。」という効果の記載を削除するとともに、訂正前の段落【0009】に記載されていた「本発明によれば、遊技に関する情報をより多く得ることができる。」という効果を訂正後の段落【0008】に記載することとするものであるところ、後者の効果は前者の効果を包含するものである。
そうすると、訂正事項3は、明細書の訂正であって、特許請求の範囲を拡張又は変更するような形でその解釈に影響するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前の本件特許明細書には、「【図面の簡単な説明】」の見出しに続いて、段落【0009】に「本発明によれば、遊技に関する情報をより多く得ることができる。」と記載されているところ、当該記載は、図面についての簡単な説明をするものではないから、誤りであることが明らかである。
そして、訂正事項4は、図面の簡単な説明の記載として、訂正前に図1~16の各図の説明をしていなかったものから、説明をしたものに改めようとするものであり、本件当初明細書の段落【0009】の記載からみて、図面の簡単な説明の記載として、訂正事項4に係る訂正後の段落【0009】の記載が正しいものであることも明らかである。
そうすると、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項4に係る訂正後の段落【0009】の記載は、本件当初明細書の段落【0009】に記載されていたものであるから、本件当初明細書等の記載に基づくものであって、本件当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項4は、明細書における図面の簡単な説明において図面の説明がなされていないという誤記を訂正するにすぎないものであり、特許請求の範囲の解釈に影響するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
5 独立特許要件について
訂正後における特許請求の範囲の請求項1~2に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を見いだせない。
したがって、訂正事項2及び4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1乃至4は、特許法第126条第1項ただし書第2号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第5項乃至第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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